プーアール茶.com

巴達古樹紅餅2010年 その25.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
鉄瓶
炭火

お茶の感想:
茶葉の芯にひそむ水。
茶葉の繊維のミクロの水道管に残るわずかな水が保存熟成にとってマイナスである・・・とは言えない。
逆の可能性も考えてみる。
物理的には無理なはずだが、水を完全に抜くと茶葉の繊維が傷むだろう。繊維の緊密な状態を保つ水のあるほうが、保存熟成にとって有利な面があるかもしれない。そう考えると思い当たるところもある。
巴達古樹紅餅2010年
巴達古樹紅餅2010年
この紅茶には2015年の秋に熱風乾燥を試したサンプルがあった。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.】
100度に近い熱風を与えているので焙煎とも言える。
このときの文章を振り返ってみると、茶葉が生まれながらに持つ酸化酵素の変化に注目している。70度で失活する酵素なので、熱風乾燥後はこれによる変化は少ないだろう。しかし、熱による茶葉の繊維の劣化については触れていない。
乾燥の「燥」と表現していたドライな風味は、酵素だけでなく茶葉の繊維の変化にも原因があるのではないのか?
それから2年経つ。
実はこのサンプルは上海の友人の店に残してあって、興味のありそうなお茶マニアに飲んでもらっている。
その評価はというと熱風乾燥をしていない”生”のほうが圧勝。
”生”のどこがよいのか。
熱風乾燥
生
上: 熱風乾燥
下: 生
この2つを飲み比べると、味の違いはわずか。
熱風乾燥のほうがやや酸味が強い。味の輪郭がハッキリしている。”生”のほうは全体的にぼんやりしている。
それよりも口当たりに大きな違いを感じる。
”生”のほうは口に溶ける。喉をすべる。腹になじむ。
「美味しいですか?」と誰かに聞いたら、その人は舌先や鼻先に意識を集中して、どちらも美味しいし個人の好みの問題ということになるだろう。
しかし、中国茶の上等は舌先や鼻先の味にはそれほど大きな価値はつかない。
口感。体感。これは味の好みほど個人差が現れない。
口感や体感を左右するものがどこから来るのかを知るのは、お茶づくりの大事なところ。
ところで、熟成のパターンはひとつではない。
生茶・紅茶・熟茶を長期熟成させているが、熟茶の茶葉は芯の水が溜まりにくくなっている。
微生物発酵の黒麹菌の菌糸が茶葉に潜り込んで、ミクロの水道管に穴をいっぱい開けるからだろう。多少湿度の高い環境に保存しても茶葉が水を吸収できないから、結果的に乾燥を保った状態となる。
20年めのこのお茶。
+【大益茶磚96年プーアル茶】
熟茶
今あらためて飲んでみると、おしるこ。
粉っぽいというか埃っぽいというか、小豆のようなきな粉のような風味がある。甘味・旨味は穀物レベルの豊かさを感じる。
常温の焦げと呼んでいるメイラード反応がさらにすすむと、豆っぽい風味はお香のような清らかさを得る。
2010年のオリジナルの熟茶『版納古樹熟餅2010年』はまだそこまで粉っぽくないが、この7年間の変化をふりかえると”常温の焦げ”はすすんでいる。このまま20年経つと同じように豆っぽくなり、さらに熟成がすすむとお香っぽくなるだろう。なってほしい。
熟茶は微生物発酵の時点で”生”な要素を失っている。
熟茶の熟成変化と、熱風乾燥の『巴達古樹紅餅2010年紅茶』のこの2年間の変化と、ちょっと似ているような気がするのだ。
葉底
左: 熱風乾燥の葉底
右: 生の葉底
”生”のほうがより赤く変色がすすんでいる。同じ環境に保存していても茶葉の繊維の水を含む量が”生”のほうが多いとしたら、この色の差は当然である。
すごく微妙だけれど、指で触った感じが”生”のほうがフワフワ柔らかい。
生茶のようにつくったこの紅茶もまた、涼しさと潤いとが求められる"陰”のお茶。
もっと熟成がすすんで、甘くしっとりした味わいになっても、身体を温める効果が強く出てきても、涼しさと潤いとを失ってはいけない。
保存熟成の茶葉の芯にわずかな水が保たれる効果が、ここにあるかもしれない。

ひとりごと:
そしてこの茶葉の水は、保存のときの通気を許すことによって少しずつ新しいものに入れ替わったほうが良いかもしれないと推測している。
なぜかというと、水は一箇所に溜まろうとするから。
完全に密封してまったく空気が動かないようでは、餅茶全体の茶葉にまんべんなく水がめぐるのは難しいだろう。それとも気圧の変化やわずかな温度の変化が水を動かしてくれるだろうか。
家庭で1枚ずつ密封保存している餅茶は、たまに崩すときに密封の袋の口を開けたり閉めたりしているだろう。それで十分だと思うけれど。

巴達古樹紅餅2010年 その24.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン・炭火
醒茶器

お茶の感想:
このお茶を醒茶器にかける。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
熟成8年目になり、茶葉の繊維の結束がゆるんできて、ミクロの水道管が水を溜めにくい状態になっているのだろうか?先日醒茶器を試した同じ種類の2016年のこの茶葉よりも出てくる水の量が少ない。
+【章朗古樹紅餅2016年 その3.】
同じ環境に保存していても茶葉のコンディションによって水の保有量は異なる。
一般的に熟成期間の短いうちは水を多く含みやすいから吐き出す量もそれなりに多くなるので、保存環境をどうするかは思案のしどころ。
醒茶器を鉄瓶の上
8年前にはそんなこともよくわかっていなかったけれど、このお茶はうまくいっている。
最初の3年目くらいまでは生茶のプーアール茶と同じように通気を許して、4年目くらいから乾燥気味に保存するようになり、5年目の2015年の秋に上海の事務所を閉めて西双版納や日本へ搬出するために1枚毎に密封したのを機会に、現在もそのまま密封保存している。
意図せずとも茶葉は水分の少ない状態で密封されることになった。
このまま密封しておくのか、それとも再び通気を許してみるのか。
今また別れ道に立ったところ。
というのも、醒茶器で加熱して出てきた水の臭いは古い土壁みたいな感じで、雑味につながりそうだから。
実際に醒茶器でこれを取り除いたお茶は華やかで新鮮味がある。
炭火
鉄瓶
チェコ土の茶壺
巴達古樹紅餅2010年
水分をもうちょっと茶葉から出して保存したい。
しかし、加熱して強制的に乾燥させるのはナシだ。
熱で茶葉の成分を変質させると、”生”に仕上げた魅力が失われる。その魅力とは、お茶を淹れる湯の熱が少しずつ茶葉の成分を変えて一煎一煎に多彩な表情を見せるところ。”生”のそんな魅力をいったん知ると、火入れで安定した風味は面白くなくなる。
オートマ車よりもマニュアル車がよい人は、操縦や走りの味わいを味わえる人。同じようにお茶淹れの味わいを味わえる人向けのお茶。自分でお茶を淹れる中国茶ならでは魅力がある。
高温の熱が成分を大きく変化させる。ならば、低温の熱の晒干(天日干し)という手がある。もしくは晒干と同じくらいの弱い熱を炭火の照射熱から得る手もある。
うーん。とりあえず1枚テストしてみるか。

ひとりごと:
鉄瓶の工房を見学してきた。
鉄瓶の工房
砂鉄
ガチホンモノの砂鉄で鉄瓶をつくったら、どうしても1つ40万円以上はするな・・・。

刮風寨冬片老葉2016年 その4.

製造 : 2016年12月(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 晒干緑茶
形状 : 散茶50gパック
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 鉄瓶+チェコ土の片口+炭火
炭を熾す
炭を熾す
炭を熾す
炭を熾す

お茶の感想:
炙るお茶を試す。
もういちどこのお茶。
『刮風寨冬片老葉2016年』(卸売部)
茶葉を炙る
茶葉を炙る
漫撒山の原生林のまん中にある刮風寨茶坪。
写真のある記事。
+【刮風寨古樹紅茶2015年・秋天 その1.】
こんな老葉ぜいたくすぎるが、茶漬けにする。
炙り具合は、茶葉の香りが芳ばしくなってくるのでカンタンにわかる。
白いご飯と片口と
湯を注ぐ
茶葉アップ
火の通った茶葉は湯に浸かると黒く変色する。まだ緑の残っている部分はあまり火の通っていないところ。このムラのあったほうが風味がふくらむ。
片口から湯気
お茶漬け
茶葉のほんのり焦げた芳ばしさと、大葉の透き通った旨味と、米の甘味と。
これまで食べた中でいちばん美味しいお茶漬け。
勉強会・京都 炭火とプーアール茶 1月27日・28日にて試食予定。

ひごりごと:
乳酸発酵の製造工程があると思われるちょっと酸っぱいお茶。
+『昆明老方磚92年 その1.』
これもお茶漬けを試してみた。
昆明老方磚92年
昆明老方磚92年
昆明老方磚92年
銅のヤカンで炭火の低温90度くらいで30分間煮出した。
お茶の酸味と米の甘味の相性がよいかと思ったが、これはダメだった。
陳香(お香のような香り)のクセが強くて、米のほんのり甘い香りを消してしまう。

勉強会・京都 炭火とプーアール茶 1月27日・28日

炭火とプーアール茶
テーマ:
炭火とプーアール茶。
炭の”火”のチカラを活かしてプーアール茶を淹れます。
店長ふじもとが江戸前寿司職人になった気分で、
茹でたり、煮たり、炙ったり、お客様の目の前でお茶づくりを仕上げます。
プーアール茶漬けなど、素食もあります。
西双版納から茶商友達のゲストもあります。

日時:
1月27日 土曜 午後3時から7時頃まで 満席
1月28日 日曜 午後3時から7時頃まで 満席

場所:
京都 岡崎 好日居(地図)

お代:
ひとり1回 13000円

予約:
1回の定員5名。
両日とも満席のためキャンセル待ちのみ受付。
メールしてください。
+【ふじもと店長にメールを送信する】←クリック

お品書き:
プーアール茶数種。
素食をご用意いたします。
豆腐料理・珍味・お茶漬け・お菓子・お酒など。

刮風寨冬片老葉2016年 その3.

製造 : 2016年12月(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 晒干緑茶
形状 : 散茶50gパック
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 銅のヤカン+炭火
炭火

お茶の感想:
プーアール茶は沸き立ての熱い湯で淹れるのが基本とされている。
蓋碗なり茶壺なりに熱湯を注いでサッと湯を切る短時間の抽出により、茶葉を煮やさないようにして、お茶の新鮮な香りや涼しい味わいを求める。熱い湯で煮やしてしまうと重くなって涼しさを損なう。また、90度以下に温度を下げると煮える問題はないが、香りも味もぼやけて涼しさを欠く。新しい(熟成数年くらいの)生茶は生っぽさが鼻につく。
熱湯で淹れるプーアール茶
蓋碗なり茶壺なりに湯の熱が吸収される分も考えて、やはり熱湯がふさわしい。
西双版納で淹れていたお茶を上海に持ってきて淹れると、上海のほうが美味しくなる。
海抜600メートルくらいの西双版納の沸点は97度くらい。海抜0メートルくらいの上海の沸点は100度くらい。たった3度の差がお茶の味に影響する。
温度が低くても、持続させて熱量でカバーしてはどうだろ?
茶馬古道のチベットやネパールなどの山岳地帯の遊牧民がヤカンで煮たお茶にバターを混ぜて飲むのをテレビ番組などで見るが、海抜3000メートルを超えるところでグツグツ沸かしても90度に達しないはずだから、もしかしたら煮え味の問題はないかもしれない。
そこで、炭火の出番。
炭火
銅のヤカン
炭火の湯を観察していると、90度から80度くらいの”静かな温度”が長く続くことに気付く。
これは他の熱源の電気やガスでは難しい。
電熱ポットには温度調整できるものがあり、80度に設定すればよいと思うかもしれないが、その構造上センサーが80度から外れた温度を感知すると電熱のオン・オフを頻繁に繰り返し、ポットの中の湯は熱源に近いところは熱くて遠いところは冷たくて、暖流と寒流が混ざり合い湯は荒れている。こんなところに茶葉を放り込んだら味も荒れるだろう。
炭火の照射熱がヤカンを下からふんわり包み込んで生まれる”静かな温度”の湯。
温度計は見なくてもよい。
鉄瓶なり銅のヤカンなりで湯を沸かすのに慣れてくると、沸騰するまでのサインをいくつか見つける。湯気の出方とか、湯の動きとか、鉄や銅の微かな音鳴りとか。沸騰する前後の湯を飲んで、口の感覚で違いを覚える手もある。
そうすると、だいたい80度から90度くらいをキープする炭火の加減がわかるようになる。
まずこのお茶を試す。
『刮風寨冬片老葉2016年』(卸売部)
刮風寨冬片老葉2016年
刮風寨冬片老葉2016年
湯気
茶湯の色
30分ほど湯に浸かってこの透明な茶湯の色。
味も透明感ありながら生っぽさはない。もともと火入れの甘い製茶なので、白茶の寿眉に似た草っぽい生さがあったが、香りは新鮮味を残しつつ味わいはしっかり晒青緑茶。いわゆる生茶のプーアール茶。大きく育った茶葉なので、渋味・苦味がほとんど無く、ぼんやり輪郭の見えない味。
このくらいが飲み頃だと思うが、試しにさらに1時間浸してみた。
炭は燃え尽きるのを待つだけだが、途中隙間が空いて空気の通りが良くなると火力が上るので、たまに見て火箸で炭のポジションを調整する。
銅のヤカンの中
茶湯1時間後
香りは、草というより茶葉に近づき、漢方っぽいスパイスもある。
味は、柔らかい苦味とちょっとの渋味が加わりキリッとしてきた。
煮えたときに出てくる濁りや、舌にねっとりした感じは無い。爽やかさを保っている。
茶葉の性質上、このお茶はこの淹れ方が最も適しているだろう。
次回はこの淹れ方が適してなさそうな茶葉で試そうと思う。

ひとりごと:
炭火には、茶壺や蓋碗のように手の延長になってくるような感覚がある。
火箸で炭と炭の隙間を調整したり、角度を変えてみたり。灰匙で灰を寄せてみたり、灰を避けてみたり。
まだ思うようにはゆかないけれど、自転車に乗ってバランスをとるような身体の感覚。
電熱のダイヤルやガスのつまみを調整するのとは違うよな。
炭火使用後
炭火

章朗古樹紅餅2016年 その3.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 不完全な密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
ガスバーナーと炭火
ガスバーナーと炭火

お茶の感想:
炭火の点火は今のところガスバーナーがいちばん良い手だと思う。
湯を沸かすのは従来の電気やガスのコンロに任せて、静かな沸騰をキープする弱めの火を炭に任せるならば、炭全体が白くなるまでしっかり熾す必要はない。端のほうが赤くなって、その小さな火がゆっくり全体にまわってゆく過程の火力で十分。
炭はひとつでは燃えることができない。
炭同士が互いに熱を照射し合って火力を強めてゆくので、最低でも3つのフォーメーションになる。
切り炭の火
切り炭を立てて3つ並べると2時間は沸騰状態を保つことができる。火力を上げたければ炭の数を増やせばよいし、長時間キープしたければもっと太い炭を使ってもよいし、火力の微調整は炭と炭の隙間の空気の通り具合を火箸で調整したらよい。コツを掴めばそう難しいものでもない。
火遊びは楽しい。
ただ、自分はたまたま子供の頃に田舎で火遊びを経験している。竈や七輪や五右衛門風呂の火を毎日焚く生活があり、ちょっとの火傷で済む学習もしている。しかし、そういう経験のない人がいきなり部屋の中で炭火を焚くのは危ない。だから、みんなにおすすめできるものではない。
茶葉を温めて乾燥させる
さて、醒茶器を使いだしてから、茶葉の持つ水分が気になって仕方がない。
醒茶器のサイズに合わせて新しい鉄瓶も用意した。1.4リットルの湯を沸かせるサイズ。デカい重い。
いろんな茶葉を試してみる。
カラカラに乾燥していても茶葉の芯のところにはごくわずかながらも水分が残っていて、この水を完全に抜くことは物理的にできないだろうが、もうちょっと少なくしたほうが長期熟成には良いのじゃないかと考えが変わってきた。
プーアール茶の保存はあまり湿気に気を使わないのが一般的で、ちょっと湿気たくらいのほうが熟成に良いという意見もあるくらいだから、それに比べたら当店はかなり乾燥ぎみにしてきたが、いや、もっと乾燥させてもよいかもしれないと思う。
微生物発酵の関与する保存熟成でない場合は、茶葉の持つわずかな水を残しておく利点は少ないだろう。
烏龍茶や緑茶に比べるとかなり火入れが浅く、揉捻(茶葉を揉む工程)もそこそこなプーアール茶の生茶。それゆえに茶葉のミクロの繊維の水道管がしっかりしていて水を保持しやすい。
以前、老茶を専門に扱っていたときの30年モノの生茶の茶葉を思い出してみると、もっとカラカラに乾燥した質感だった。茶葉の繊維のミクロの水道管が壊れて、保持できる水分量が少ない様子。
保存環境にある空気中の水分、つまり湿度が高かろうが低かろうが、茶葉の保有できる水分量の違いで熟成変化は異なってくる。湿度計を基準にしてはこのことが見えない。
章朗古樹紅餅2016年
今日は水分量の気になるこのお茶。
+【章朗古樹紅餅2016年】
これを醒茶器で1時間ほど温めてしっかり乾燥させてみた。
以前に、同じ製法のこの紅茶の記事に書いている。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印 その5.】
--------------
2016年のオリジナルの紅茶に共通してあるトマト味。缶詰トマトのような煮え味。
白磁の蓋碗でサッと淹れると見つけにくいが、茶壺など保温性の高い茶器で高温の湯でじっくり抽出すると出てくる。
--------------
原因は、圧餅後の乾燥の工程にあるのではないかと推測していたが、そうじゃなくて、もしかしたら茶葉のミクロの水道管が持つ水分が影響しているのではないのか?と推測してみる。
水分がわかりやすいようにたっぷり30gほど醒茶器に入れた。
茶葉から出る水分
やっぱり出てくる。
ま、この量は一般的な餅茶なら生茶でも熟茶でもあるレベルで、異常ではない。ただ、晒干で仕上げる紅茶においてはもっと乾燥するのが理想かもしれない。
淹れてみると、やはり缶詰トマト味はほとんど無くなった。
2煎めにぐっと濃くしても出てこない。トマト味は茶葉が煮えた味ではなかったのだ。圧餅後の乾燥の問題でもなかったのかもしれない。
章朗古樹紅餅2016年の茶湯
ラベンダーのような鮮花の香りが蘇る。この香りは製茶のときの軽発酵で出てくる香りと同じ。すでに1年ちょっと経つが、まだ新鮮な成分が保たれている。
もともと醒茶をしなくても3煎めにはトマト味は消えていた。なので、醒茶で茶葉の芯の水を抜くと、1煎めから3煎めと同じようなことが起こっていると見ることができる。
この結果を得て、茶葉を二次加工したり保存熟成の方針を変えたり、ということはしないのだな。
この先何年もかけてじわじわ茶葉の芯の水が自然に抜けてくれるのを待つつもり。
保存は「密封」と記しているが、実のところ完全な密封にはなっていない。(「不完全な密封」と書くことにする。)あえて言うなら、もうちょっと水分が逃げやすく工夫したほうが良いのかもしれない。
アイデアを練ってみる。
2煎めに濃く淹れる

ひとりごと:
こだわりのカフェはそこらじゅうにあって、職人がコーヒーを淹れてくれるが、お茶にそういうところは少ない。
時代劇に出てくる峠の茶屋が近所にあったらなーと思う。
こんなことを言い出すのは、きっと炭火で湯を沸かすのが面倒になってきたからだ。
チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶・炭炉・炭・それに醒茶器まで、ますます重装備になって、この一式をスーツケースに入れて旅することを考えると足が重い。炭を熾して湯を沸かして飲むまでに50分もかかると気持ちも重い。
3段重ね
白磁の蓋碗と茶杯に銅のヤカンと電気ポット。軽くてコンパクトでいつでもパッとお茶が飲めるのも良いよな。
ま、いつでも戻れるから大丈夫だろ。

易武古樹青餅2010年 その36.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 京都 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 銅のヤカン+チェコ土の茶壺+炭火
火鉢
菊炭

お茶の感想:
日本の炭をつかってみる。
京都は茶道の本拠地だけあって、炭・火鉢・火消し壺・火箸、などが近所にあって、半日のうちに揃った。
ところがここからが長い。
炭の火がなかなか起こらない。中国の胡桃の炭とは勝手が違う。
また、炭炉ではなく火鉢をつかう点でも違う。
火鉢の扱いが下手くそなので、部屋じゅう白い灰にまみれた。
たぶん、中国茶を淹れることに関しては炭炉のほうが機能的だが、もうちょっと勉強してみる。
安全第一にしないと。
さてこのお茶。
【易武古樹青餅2010年】
易武古樹青餅2010年京都壺熟成
易武古樹青餅2010年京都壺熟成
茶葉は保存環境によって熟成変化が異なるので、その違いをみる。
個人所有のこの一枚は陶器の梅干し壺のような蓋のある器に入れて書斎に保存している。
お茶淹れ
お茶淹れ
いつもの調子でサッと淹れたら、1煎め・2煎めがかなり薄くなった。
10日ほど前に飲んだ西双版納に置いているのは2煎めには濃い味が出たはずだ。
こういうことはよくある。
壺に入れて長い間放置していたのは茶葉が眠っているので、目を覚まさなければならない。
「醒茶」と呼ばれるのだが、いくつか手がある。
壺から出して、包み紙のまま乾燥した暗いところに1日置いて新鮮な空気を呼吸させる。
晒干(天日干し)でちょっと温度を上げて、空気との温度差をつけて内側の水分を吐き出させる。
もうちょっと急ぐなら茶葉を炙ってもよいし、それが面倒なら洗茶を念入りにしてもよいし。洗茶が嫌なら、茶器をしっかり温めて、高温の湯で1煎めの抽出時間を長くする。
茶湯の色
茶葉のコンディションによって手を使い分ける。
壺の中の淀んだ空気に慣れた茶葉は、ミクロの繊維に入り込んでいる空気と水分とを吐き出しにくい状態になっている・・・のかもしれない。いきなり熱い湯をかけても浸透しないのだ。
最近始めた醒茶の方法で、湯の温度で茶葉を温めるという手がある。
茶葉の目を覚ます
これをチェコの陶芸作家のマルちゃんに伝えたら、こんなものが届いた。
茶葉を温める器
茶葉を温める器
醒茶器とでも呼ぶかな。
器の表面の温度で茶葉を焦がしたくない。できるだけ内側の空気の温度で茶葉をふんわり温めたい。生茶の”生”の風味を活かしたい。
そうすると湯の沸く温度でじっくり温めるのがよいのだが、あいにく銅のヤカンの口にはサイズが合わないので、火鉢の縁に置いて、炭火の照射熱で温めた。
じっくり20分くらい。器の外側を手で触れてもギリギリ火傷しないくらいの温度で。
火鉢の縁に置く
茶葉を温める
蓋に水滴
蓋がドーム型になっているので、器を底から温めると蓋の裏側に水滴がつく。
空気中の水は暖かいほうから冷たいほうへ逃げる性質があるので、器の内側でいちばん冷たい蓋の裏に集まる。
たった8gほどの茶葉でもこれだけの水分が入っている。
茶壺にあらかじめ茶葉を入れて、茶壺ごと温める方法(上の写真でしている方法)にはひとつ問題がある。茶壺は普段からお茶を淹れるので、乾いても水分が完全に抜けないから、その水分で茶葉を蒸してしまうのだ。なので専用器があるほうがよい。
炭火の照射熱はけっこう熱くて温度調整が難しいので、やはり鉄瓶の蓋に据えたほうがよいだろうな。
もうひとつ鉄瓶買うことになるのかな。
目が覚めた易武古樹青餅2010年

ひとりごと:
天才と秀才。
日本人は秀才のほうが好き?
努力して勝ち得た成功が尊くて、ポン!と神が与えたものは不公平だから認めたくない?
はじめて出会う日本人に、「雲南でお茶つくる仕事しています。」と言うと、どうも努力とか経験のところを質問される。
「経験はありません。お茶の畑も持っていません。」
美味しいお茶が手に入るかどうかは運。自然と星のめぐりが勝手に決めることなのだけれど、ま、そうは言いにくい。
銘茶は美人。

冬のお取り寄せ期間 告知

12月21日より、
冬のお取り寄せ期間をお知らせします。
過去にお求めになっていて、
登録のまだ済まされていない方は、
たいへんお手数ですが、
こちらのページからメールをください。
+【お取り寄せについて】

なお、
すでに登録したはずなのに、
案内のメールが届かないお客様は、
大変申し訳ございませんが、
送信し忘れの可能性があるので、
店長ふじもとまでメールにてお教えください。

上海の冬の空気

夕暮れ時を上海の坊と散歩した。
12月のピリッと冷たい空気に、自分の体温の暖かさを味わう。
帰宅を急ぐ人でざわめく上海の夕暮れ時は、なんとも言えない寂しさと温もりを感じる。
8回目の冬を迎える坊もなんとなくわかっていて、言葉少なく散歩を楽しんでいた。
12月の雨の上海
プラタナスの街路樹の落ち葉の色を気に入った様子。
子供には微かな美しさを見つける眼があり、自分はその眼を借りて楽しむことができる。
お茶の味わいはこういうときに膨らむと思う。
お茶を味わうときにふと思い出す景色とか体感とか。
記憶の何処かに仕舞われて思い出させなくても、ふと幸せを感じたりとか。

勉強会・上海 生茶の加工 12月16日・17日

餅茶を炙る
煮るお茶
中国語メインの講義です。日本語の補足もします。

内容:
生茶のプーアール茶は”寒”の強いお茶。
とくに寒い季節には気持ち良く飲めません。
生茶は産地から消費地に運ばれる間のどこかの時点で、自然な変化や二次加工を経て、”寒”から”温”へと性質を変えていました。
圧延加工、火入れ、微生物発酵。
2017年の春の晒青毛茶に手を加えて、変化のいくつかのパターンを実際に味わってみます。

参加費:
ひとり400元

場所:
上海 天山茶城 1階のお店
中山西路520号天山茶城1252 云元谷 
玉屏南路の天山茶城正門から入ってまっすぐ35メートルほど。右側の店。

日時:
12月16日 土曜 午前10時から 3時間半ほど
12月17日 日曜 午前10時から 3時間半ほど
どちらか。

予約:
募集終了

お茶を飲むとお腹が減ります。
事前にお腹を満たしておいてください。


茶想

試飲の記録です。

・キーワード検索

・カレンダー

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>

・表示されている記事

・お茶と年代のカテゴリー

・記録

お茶の歴史
お茶の歴史 (JUGEMレビュー »)
ヴィクター・H・メア,アーリン・ホー

・サイトリンク

・プロフィール

 

mobile

qrcode

powered

みんなのブログポータル JUGEM