プーアール茶.com

革登単樹秋天散茶2014年 その5.

製造 : 2014年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明革登山大葉種古樹・単樹 
茶廠 : 革登山農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 茶缶密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ケトル・白磁の杯 鉄瓶・石油ストーブ
街
街

お茶の感想:
寝ているときに脳は勝手に考えているらしい。
春だから、たぶんこんなこと。
農家に滞在していて、鮮葉がどんどん運び込まれる。
竹編み笊に広げて萎凋するのを手伝っている。
そうだ、もっとやんわり萎凋させるために竹編み笊に布を貼ってみようか。
以前にも考えたが、まだ試していない。
まず布を手配して、服の直しをしている近所のおばさんに編んでもらおう。
このへんで目覚めたのだと思う。
よし、まず布を探そう。
あれ?
ここは日本だった。新型コロナ騒動中だった。
現実がドーン。
一瞬、場所や時間がふたつある。
こんなことあるよな。
今、こっちに意識を戻そう。
今日も山にゆく。
道
木
数日前のトレッキングで、患っていた肩の痛みがましになった。
山歩きは骨盤や背骨の歪みを調整するから、肩甲骨や首もほぐれるのだろう。
肩の痛みのせいでラオスの森の高幹の茶樹は見れないとあきらめていた。1日8時間の森の走行は無理。でも、痛みがましになると、行けそうな気がしてきた。
来年に向けてやってみようか。
今日はこのお茶。
+【革登単樹秋天散茶2014年 その1.】
ただただ山の上でお茶を飲んでぼーっとする。
泡茶
青い空。白い雲。ちょっと冷たい風。暖かい日光。鳥の声。風にそよぐ草木。新緑の匂い。街からかすかに聞こえてくる騒音。すべてを照らす眩しい光。
いつもの空気。いつもの光。
お茶を飲むとその時を思い出す。
2014年11月に革登にいたときの空気、風、光、匂い。
茶葉にかすかな松の葉の香り。革登の茶葉の上等のサイン。
茶酔いは、寝てるときの夢が見ている別の時空に行ったり来たりするようなもので、場所や時間がふたつになる。
意識を開放してぼーっとしたら、脳はあんがいそれが心地よいらしく、”こっち”と”あっち”を行ったり来たりして楽しんでいる様子。しばらく帰ってこないこともある。
今、この文書を書いているときはシラフで、”こっち”にしか居ないから、ヘンなことを書いていると自覚している。
山道
茶友がなにか言い出して意識が”こっち”に戻ってきた。
「秋のお茶の苦底の味と、静かな酔い心地が良いと思えるようになった。春のアピールの強いのは自分はもう卒業した。」
そんなことを言った。
「そうだよな。そこまでゆくには長い道を歩かないとな。」
そんな返事をした。
山を下りて、夢見心地がだんだん醒めてきた。
他人のつくりものの世界、”こっち”の世界に引き込まれる。
”こっち”があるから”あっち”もある。
また山にゆこう。
南禅寺

ひとりごと:
”あっち”の世界にある意識は、死んでからも宇宙のどこかを漂いつづけるような気がする。
若い茶友がある日夢を見て、布を貼った竹編み笊で萎凋をはじめる。
ほんの1年か2年前までは、自分が学んできたことを残して、次の世代にバトンタッチしたいと考えていた。
今はもうそんなこと思わなくなった。
名前も仕事も残さなくてよい。
勝手にしやがれ。
水

白牡丹生態茶2014年 その6.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 福建省福鼎市磻溪大白茶種
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : 茶缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶・杯 鉄瓶・炭火
白茶

お茶の感想:
白牡丹を飲む。
+【白牡丹生態茶2014年】
白茶づくりの技術は福建省のが圧倒的に上。
雲南省の月光白はそれに比べたら別モノだろう。同じカテゴリーにはできない。
軽発酵をすすめない技術に差が見える。
泡茶
浮く
月光白にありがちな黒く変色した茶葉が白牡丹にはひとつも無い。
白茶づくりは鮮葉の水分を一定の速度でゆっくりと均一に抜くところに技術の要があるらしい。
この工程で軽発酵をなるべくすすまないようにさせる。水分の抜き方ひとつで軽発酵の酵素反応を調整できるというのが、自分にとっては謎すぎる。
遊びでいいから、白茶づくりはときどき試して、この謎を解いてゆこうと思う。
泡茶
プーアール茶の生茶の茶葉はギュッと縮まっているから、お湯を吸うと大きく広がるが、白茶はあまり変わらない。茶葉の繊維が縮まらないように製茶しているわけだ。
揉捻をしない。
乾燥させる時には、なるべく茶葉がザルの表面に擦れないよう注意を払う。
繊維にショックを与えないこと。
手作業で茶葉を揉んで揉んでヘトヘトになる紅茶づくりとは真逆である。
湯
湯
2煎3煎とすすめても風味がブレない。白茶は白茶のまま。
自分のつくったのは煎がすすむと黄茶や紅茶の風味が混じってくる。
+【怖司小樹月光白2019年・秋天 その1.】
白牡丹は製茶の最後に”乾燥”と称した軽い火入れ工程があって、そこで軽発酵の原因である酸化酵素の活性を死活させるのだろうと推測しているが、こういう微妙な火入れが自分にはできない。
圧餅後の乾燥にこの技術を取り入れたい。
生茶でも紅茶でも、圧餅後に軽い火入れができたら長期熟成は違う道をゆくと思う。
白茶にも20年30年と長期熟成させる陳年モノがあるが、その方向へ熟成する生茶や紅茶。
マニア心をくすぐるよな。
葉底

ひとりごと:
4月4日から清明節で森のお茶の采茶がはじまった。
ラオスの森の高幹もこれからはじまる。
この日に現場にいないなんてヘンな感じだ。
気持ちここにあらず。
すでに西双版納に入った茶友たちは、新型コロナから遠いオアシスにいることをそれとなくアピールしてくる。うまい飯や酒。新芽がたくさん出てきた山の喜び。
悔しいー。
自分もオアシスで楽しくやりたい。

怖司小樹月光白2019年・秋天 その1.

製造 : 2019年10月26日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山怖司寨小茶樹
茶廠 : 農家・店長
工程 : 白茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶・茶杯 鉄瓶・炭
月光白
白茶
白茶
泡茶

お茶の感想:
ひとり茶にする。
外に出るのも怖くなってきた。
インフルエンザの流行のときは身内にひとりふたり発症者がいるものだが、新型コロナウィルスはまだそこまで来ていない。けれど、地元からちらほら出てきて、確実に近づいている。
自分は休める。
ひとりでも動きを止めたほうが、止められない仕事に就いている人たちの負担を軽減できる。
サイクリングしてコンビニで水を買った時に、レジのアルバイトの人にすごく申し訳ない気がした。
もう行かない。
桜
さて、昨年の秋のお茶。
はじめてつくった白茶。
雲南省の茶葉でつくる月光白という白茶。
このお茶をつくった日にいっしょにつくった。
+【巴達一芽紅茶2019年・秋天 その1.】
茶湯
もちろん失敗作だけれど、原因がまだわからない。
お茶はクスリ。
白茶には白茶の体感があり薬効がある。はず。
1月の”ゆるいめの試飲会”で参加者といっしょに飲んだことがある。
「身体がポカポカ暖まって良いお茶です。」と言われたが、それは白茶に求めている効果からちょっとズレている。もっと涼しい感じ。涼しくても生茶のような”寒”ではない感じ。
まず、茶葉の成長度がズレていると思う。
あと1日か2日待ってから摘んだほうがよかったかもしれない。
白茶
萎凋
萎凋のときにもっとゆっくり乾燥させるべきだったと思う。
2日かけたけれど、それでも早すぎ。水の抜けるショックで新芽が少し湾曲している。技術の高い福建省の白毫銀針ならもっとピンとまっすぐである。
そして最大の欠点は熱に弱いこと。
3煎もしたら茶葉が紅茶っぽい色になってゆく。
茶葉
葉底
餅茶にしてから炭火の遠火で1時間ほどかけて炙った。
包み紙ごと炙ったので紙がちょっと焦げたり、餅面がほんのり黄色く色がついた。火を入れて成分の変化を止めようとしたが、その効果は感じられない。
もっとぬるい火で時間をかけるべきだったか・・・。
炙り
それでも、味は良いし飲んだ後の体感も良い。
おなじ原料でつくった紅茶よりもずっとやさしい感じ。
白茶らしくなくても十分に魅力がある。
もしかしたらこの完成度で良いのかもしれないから、ときどき飲んで確かめようと思う。

ひとりごと:
白茶の資格がなければ白茶と言わなければよいし。

巴達古樹紅餅2010年 その28.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶・炭火
日向
大文字

お茶の感想:
台湾人の茶友は赤いものと相性がよいらしい。
赤い肉、赤いワイン、野菜も果物も赤いもの。
中医からそうアドバイスされてから、なるべく赤いのを身体に取り入れるように心がけて、睡眠が良くなったり、その効果も実感しているとのこと。
なのでお茶は紅茶。
たしかに、体質と色の相性はあるような気がする。
今日はこのお茶。
+【巴達古樹紅餅2010年】
新型コロナウィルスで空気のこもったところでは集まれないから外に出た。
大文字山に登った。
春茶の季節なのに山に行けていない。
トレーニングになると考えて、半日くらいのちょっと長いコースを選んでみたが、ちょうどよい感じだった。
最年少の12歳の男の子がいちばん元気に歩いた。
大文字
保温ボトルでお茶をつくるコツ。
茶葉を少し入れて、熱湯を注いで、蓋を開けたまま10分くらい置く。
70度から80度の間くらいに冷めてから蓋をする。
こうすると保温ボトルにありがちな煮え味を防いで、爽やかさが保てる。
『巴達古樹紅餅2010年』は太陽に負けない。
明るいところで飲んでもじゅうぶんに開く。
茶
10年熟成の酸味とまろやかさと滋味深さと、ポッと火のつくような茶気と、チカラがみなぎる”陽”の茶酔いと、山歩きの疲れを癒やすのにピッタリのお茶。
このお茶以外に考えられない。
哲学の道
花びら

ひとりごと:
自分の食べものの色はたぶん白。
あまり意識していないが、例えばケーキビュッフェなんかで選ぶと、なぜか白いのに手が伸びる。
そういえば、かなり昔に色と身体の相性がわかる日本人にみてもらったことがあった。オーリングテストで白だった。
白は肺が弱い体質と言われた・・・。
危ない。

漫撒春眠紅餅2016年 その2.

製造 : 2016年03月21日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)香椿林
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 散茶
保存 : お菓子の缶
茶水 : 井戸水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯 鉄瓶・炭火
庭
茶器

お茶の感想:
花粉症なのでこの季節は辛い。
目や鼻や喉がムズ痒くて、痒いと思えば思うほど痒くなるから、炎症にまで発展しないよう熱を冷ますお茶で忘れたい。
涼のお茶。
+【漫撒春眠紅餅2016年 その1.】
”陰”でもあり、”あっち”でもある。
前回の試飲の記事は2016年9月。鮮味が強く残っていることや、白茶の性質があることを書いていた。
それから3年半。今そこに注目してみたら、鮮味は消えて、白茶の熟成に似た薬味が出てきている。
茶湯
いいお茶だな。
内輪だけで集まって静かに飲みたかったけれど、あまり静かになれない。
そうか。
はじめて会う人同士がいると、お茶よりも人に気を取られるのだな。
ま、仕方がない。
お茶に気を取られないということは、それこそ”陰”の作用かもしれない。
葉底
花粉症の痒みも忘れていた。
忘れていることさえ忘れていた。
今になって振り返ってみて、そういう状態だったなーとわかる。
当初の涼をとる目的はどうでもよくなっている。
飲んだ瞬間の反応に意識を向けるだけでは、こういうお茶の評価はできないよな。

ひとりごと:
人の出会いにもそういうことがあるかもしれない。

92紅帯青餅プーアル茶 その7.

製造 : 1992年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村古茶樹
茶廠 : 西双版納孟海茶廠(国営時代)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 香港ー広州ー上海 その後密封
茶水 : アサヒおいしい水富士山
茶器 : 宜興の茶壺(白泥)・鉄瓶・炭火

お茶の感想:
せっかく暇なので試飲会をしたいが、新型コロナウィルスに感染しても感染させても嫌だし、人が集まるのは難しい。
ひとりでヒソヒソ飲むのが当店のお茶だとしても、その対極があるからこそひとりの時間に深みがでてくるわけだし。
喫茶文化は都市の文化。
人の集まる都市に、お茶を飲む意味。
都市はいろんな人との出会いが多い。人と人が出会って化学反応みたいなのが起こって、新しい創造が生まれる。その興奮の酔いを醒ますお茶。
昔の中国の文人たちも、隠居と言いつつ都市の郊外くらいに距離を保って、友人たちが訪ねてくるのを待っていたような感じがある。例えば、西双版納ほど距離が遠いと誰も訪ねて来ないから、隠居プレイは成立しないのだ。
喧騒の中の孤独を味わう。
「東京の居酒屋は喧騒の中の孤独を楽しめ」と居酒屋の先生が教えてくれたが、お茶もまた孤独の味わいがなければ成立しないだろう。
ウィルス対策は、都市にいながら人に会わないようにしましょう・・・というのだから、あまりのあべこべに理解が追いつかない。
孤独の味が薄くならないかと心配。
BAR
さて、上海から茶友が来ていて、この状況で帰国することもできずに1ヶ月間ほど小さな宿に逗留している。
その宿のオーナーも上海人で、宿は茶友家族に貸切りだから、宿のBARカウンターを借りて内輪だけの試飲会をした。
炭炉も炭も鉄瓶も持ち込んで、環境は整った。
茶友は仕事でふだんからニューヨーク・パリを行き来しているから、新型コロナウィルスに対する覚悟というか、心構えというか、たぶん自分と温度差がなくて交流しやすい。
一日目は、紅茶・生茶・熟茶と、オリジナルのお茶を飲んで終わろうとしたら、最後に茶友が1995年の手持ちの生茶を試してほしいと言い出した。
困ったな・・・。
「ダメなやつだったらどうする?」
「正直に言えばいいさ。こっちは素人で間違って当たり前だし。」
人を見て大丈夫だと判断した。
大丈夫じゃないこともある。本当のことを言うと恨まれるから気をつけないと・・・。
で、その1995年のお茶はまあまあだった。つまりダメということだけれど、偽物や粗悪品というわけではなく、1995年くらいのはそんなものが多いということ。
鉄瓶
ちょっと勉強の機会になると思って、自分の手持ちの1990年代の2つで二日目の試飲会をした。試飲会というより勉強会。
この2つのお茶。
+【92紅帯青餅】
+【紅絲帯プーアル青餅96年】
餅茶に埋め込まれた赤いリボン"紅帯"が共通している。
茶友の1995年も”紅帯”のやつらしい。崩した茶葉だけを持ってきていたので紅帯の実物は見ていない。
『92紅帯青餅』は、”7532”の等級ブレンドがベース。
『紅絲帯プーアル青餅96年』は、”7542”の等級ブレンドがベース。
”小葉青餅”に分類される。
紅帯は”小葉青餅”のなかでも特別に小さな新芽・若葉の配合の多いもののはずだが、茶友の1995年のはもっと大きい等級のブレンドで、”7582”くらいの”大葉青餅”に相当した。
もしも転売価値を求めるならこの点でアウト。
自分で飲んで満足するならセーフ。
ただ、ビンテージモノは鑑定に面白さがあるから、「美味しけりゃいい」と言ってしまうとつまらない。
茶友の1995年のお茶の味は易武山地域の原料には違いないが、高級感がない。量産品の『老字号可以興茶磚80年代』にそっくり。
+【老字号可以興茶磚80年代 その4.】
勉強会
上等の味には旬の濃度が大事。
この数年の当店のオリジナルのお茶が、旬のほんの数日のタイミングで采茶していることからわかるように、春が春らしさを、秋が秋らしさを表現できるのは、炎の炎上する瞬間にシャッターを切るみたいなもの。毎日采茶して大量に茶葉を集める量産品では旬の濃度が上がらない。
旬の濃度は、茶葉の大きさでは見分けられない。旬のハズレの時期のほうが新芽の産量は多いのだから。外観で判断しにくいのだ。
どこで旬を見るかと言うと、口感と体感と触感。
まず口感。
上質なお茶は水質を変えると言うが、旬の濃いお茶は水に粘りを与える。
水質は、自分でお茶淹れをするとわかる。飲まずともわかる。
茶杯に注ぐとき、最後の一滴一滴のポトポトの粒に弾力がある。水面を弾んだり滑って転がったりする。
サッと一瞬だけ茶葉に湯を通すだけでも水は十分に粘りを持つ。
粘った水は舌や喉に甘く、お腹にやさしい。
『92紅帯青餅』が上だった。
つぎに体感。
小葉青餅は旬の新芽・若葉がウリなのだから茶気は強い。強いアルコールの酒みたいなもの。
飲み込んだお茶がいったん腹の底で暖かくなったら、あれよあれよという間に上がってきて頭を揺らす。蒸気機関車のようにポーッと気を吐きたくなる。
その酔い心地は強烈なのに柔らかい。という矛盾を解決した酔いであるべき。
『92紅帯青餅』が上だった。
最後に触感。
言うまでもなく、葉底を指で触ってみる。
フワフワ羽毛のように柔らかいながら弾力が生きているのが上等。
『92紅帯青餅』が上だった。
茶気
たぶん、『92紅帯青餅』と『紅絲帯プーアル青餅96年』と同時に飲み比べたのは初めて。
はじめから結果はわかっていながらも、実際に体験すると”分かる”ことに大きな感動があって、なかなかよい勉強会になったと思う。
今回は旬の濃度という観点で評価したが、熟成の観点では『紅絲帯プーアル青餅96年』のほうが上等。
旬を選ぶか熟成を選ぶか。
そこはビンテージを趣味にする個人の好みかな。

ひとりごと:
試飲会の会場はどこなと借りれるとして、集まる人をどう選ぶかが問題。
もしも感染したり感染させたりしたときに、本人はよくても、例えばその人の家族や職場に伝染したとなると、試飲会が原因となってしまう。なので本人の意志だけで来られては困る。
ただ、これからはそうなる。
コロナの問題が終わってから・・・なんていう時期はいつまで待っても来ないと見ている。また新しいウィルスが流行ることもあるだろうし。
どこでもいつでも感染したり感染させたりする。まれに死ぬ人がいる。
みんなの認識が変わるしかない。
そう。脳の中のスイッチが切り替わるだけ。世界を変えるのはそこだけ。
ただ、ひとりだけスイッチを変えてもダメなのだ。
みんなのスイッチが変わるまで待つしかない。
あと何年かかるのかな・・・。

巴達古樹紅餅2010年 その27.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺紅泥(秋水)・チェコ土の茶杯 鉄瓶・炭火
茶具
缶
鉄瓶
温壺

お茶の感想:
疫病による影響をよく考えてみたけれど、この仕事は変わらなそう。景気の影響も少なそう。
これをキッカケになにか新しいことをはじめる・・・なんてことにはならなそう。
やや退屈というか、寂しいというか。
なぜそうなのか?考えてみた。
たぶん、お茶を飲むのが習慣になっている、ごく少ない人を相手にした仕事だから。
お茶を飲む習慣は、自分がそうであるように、生活から離れられない。
一日に一度は、ひとりになってこっそりお茶を飲む。
自分で淹れて自分で飲む。
中国茶ファンでもそういう楽しみ方をしている人は意外と少ないだろう。
この楽しみがたまらん。
自分だけで満足。みんなにお茶の良さを知ってもらおうなんてぜんぜん思わない。
知らない人にシェアする気なんてさらさらない。知っている人だけがヒソヒソ楽しめばいい。
いつのまにかそうなっていった。
この仕事をはじめた当初はそうでもなかったから、サイトのページによっては初心者向けな内容が残っていて違和感がある。早く消したい。ぼちぼちやってゆこうと思う。
さて、このお茶。
10年前にはじめてつくった紅茶。
+【巴達古樹紅餅2010年】
注ぎ
注ぎ
紅茶をつくりはじめたのは「みんなの知っている紅茶という土俵に上がれば、茶葉の素質の良さが際立つだろう・・・」と思ったからだけれど、今はそんな野心もない。
熟成10年目で、みんなの味からちょっとずつ離れてきているから。
熟成は、味をまろやかにするし、体感を穏やかにするし、人を選ばなくなるのが一般的だけれど、紅茶はそうでもない。紅茶は世界中に普及していて誰でも知っているから、逆に紅茶っぽくない要素を熟成の味に見つけやすい。
ひとことで言うと、プーアール茶っぽくなってきている。
まだそんなにはっきりしないけれど、手元に数枚置いて何年もかけてちょっとずつ飲んできた人にはわかる。歳月の味。
大きめのポットにちょっとの茶葉を入れて一煎で出し切るような、茶葉を煮やすような淹れ方をしたら、いわゆる普通の紅茶味になってしまう。
どんな淹れ方が歳月の味を楽しめるのか、いつもの茶壺で3日間ほどいろいろ試してみた。
茶葉は気持ち少なめにするべし。
茶壺の中の茶葉の量と湯量の比率の問題。湯量が多いほど熱量が多い。
茶湯
つまり、茶葉にしっかり熱を伝えたい。
熱が伝わらないと”熟味”の良さが出ないということ。
はじめの3煎めくらいまでは、熱熱の湯を注いでさっと切って、香りを抽出する感じ。
茶葉に熱が入ってきた4煎めくらいからは、じっくり蒸らして、味を抽出する感じ。
香りに火や煙があり、味に海や地がある。
花や果実のキレイな香り、旨味や甘みの美味しさ、そんなナンパなやつらはあくまで脇役である。
圧倒的な自然の迫力。
味の景色のひろがり、寄せては返す体感の波。
快感に溺れる。

ひとりごと:
西双版納で春いちばんが始まった。
昨年の秋に見学したあの山のあの茶樹。
巴達古樹紅餅2010年と同じく、西双版納の西の茶山。
昨年の秋
(昨年2019年の秋の写真 農家の若者が撮影)
でも、巴達山ではない。孟宗山の古樹。
一天一采で紅茶をつくる。
今朝、村の人10人ほどが采茶のために山に入った。
予定通りだ。
10年後には西の横綱になる。当店の紅茶の中で。
今のところ、東には横綱がいるけれど、西には関脇クラスしかいないからな・・・。
春の新芽
(現在2020年の早春の新芽の写真 農家の若者が撮影)
自分がそこに居ないだけ。
農家の若者がすべてやってくれる。
自分ができるのは、天気が崩れないことを祈るだけ。
道具

易武古樹青餅2010年 その39.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・杯 銅のヤカン+炭火
ヤカン
茶具
写真
朝日

お茶の感想:
タイのチェンコーンの川岸のいつもの宿でずっと待っている。
夜の空が白んできたら目が覚める。
お湯を沸かして、日の出を見ながらお茶を飲む。
この地域はあと1ヶ月したら夏だから、日が昇ると暑くて、メコン川で泳げる。流れが早くて、川上に向かって泳げば同じところに留まっていられる。
源流はチベットの雪解け水で、途中にダムが7つほどあって2週間くらいかかるのかな?それでも駆け下りてくる水はあんがい冷たい。熱帯地方とは思えない清らかな水。
ネットで現地と連絡をとりつつ中国へ入るチャンスを伺っているが、毎日状況が変わって、今回はちょっと無理そう。
ラオスの山へ直接行く手もあるが、そっちは中国人の茶友のほうが難しそう。
たとえラオスの高幹のお茶づくりができても、ラオスの村では完成できなくて、中国へ持ち込んで圧餅の二次加工をしなければならない。
その陸路の国境は封鎖されていて、中国人でもラオス人でもない外国人の自分は往来できない。
万事休すとはこのことか。
ま、若い茶友らがなんとかするだろ。すでに現地入りして春のお茶づくりの準備をしている。
自分は行けなくてもお茶はできる。
ところで、チェンコーンで炭炉を見つけた。
タイの北部とかラオスの北部で鍋料理があるのだが、それ用。
レストランのテーブルの上に置いて、小さな土鍋をグツグツ沸かしながら具を入れて食べるやつ。
ぜんぶセットで500円くらい。安!
ヤカン
炭火
七輪みたいに下から空気が通るから、けっこうな強火になって、ヤカンの吹き上げる熱い蒸気に怒りを感じる。
この強い気をお茶にする。
気の強いこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
たっぷり湯で茶器をじっくり温めて、茶壺の蒸気で茶葉をゆっくり蒸らして、ポンポンに沸いた湯を、ヤカンを持ち上げてちょっと手元で落ち着かせてから注ぐ。
茶葉
茶
アツアツは苦手だからちょっと冷まして口に入れるも、”火”のチカラが宿っていて、ひとくちしたら「プハーッ」となる。
何度か「プハーッ」としたら、底のほうからチカラがみなぎってくる。
風呂上がりのように火照ってくる。
朝焼け
葉底
川
川
船
子どもたち
冬の乾季が終わって夏の雨期がくる。
今はまだ乾季。気温は30度を越していても、雨がほとんど降らない。
この地域一帯はいまのうちに山も畑も枯れ草を焼くから、空が煙る。
漂う煙の粒子やら灰の粉やらを太陽の光がさらに焼くのだろうか。
肌にチリチリ熱いものを感じる。
この感じ。
いつもは春のお茶づくりの忙しさが迫ってくる予感になるが、今回はどうも違う予感が混ざっている。

ひとりごと:
+【チェンコーンのパパイヤビレッジの動画】 
友人のしている宿(自分の宿は別にあるけど、薬草サウナに来ている。)
パパイヤビレッジ
いつものようにメコン川で泳いでいたら、なんとなく心が騒いだ。
突然帰国を決めて、当日の飛行機のチケットを買った。
急いで荷物をまとめて宿を出て、ローカルバスでチェンラーイの空港へ。
深夜にバンコクの国際空港をトランジットしたが、東南アジアの入り口となっている空港はいつもより混雑していた。混雑というか混乱していた。
タイには欧州の人たちが多く長期滞在している。その人達がいっせいに帰国しようとしているのだろうか。慌てている様子だった。
次の日、欧州のいくつかの国が国境封鎖を発表した。
そういうことだったのか。
空

刮風秋水紅餅2018年 その5.

製造 : 2018年10月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と店長
工程 : 紅茶
圧餅 : 2018年10月25日
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶・炭火
水
茶器

お茶の感想:
「たった3gですごい強い酔いでした・・・。」
と、お客様から報告があった。
ん?
と思って、試してみた。
国有林の森の古茶樹で、秋の采茶で、静かで穏やかなはず。
葉底
一煎めを淹れたときに原因がわかった。
茶葉を温度に慣らしていなかったのだな。たぶん。
カラカラに乾いて、しかも冬だから冷えている茶葉に、いきなり熱湯を浴びせている。
温度の差異に繊維が耐えきれない。
耳を近づけるとブチブチ切れる音がするはず。
注ぎ
紅茶は長時間の揉捻で繊維が解けた感じになっているから、さらに繊維が切れ切れになると一煎めにドッと成分が出てしまう。
茶葉をすこし温めるとか、茶壺の中でちょっと蒸らすとか、熱湯のショックをやわらげるウォーミングアップが必要なのだ。
一煎めのショックが少なくて荒れなければ、二煎め三煎めも安泰。お茶の味だけでなく体感も心の動きも安泰。
茶湯
茶葉のウォーミングアップのみならず、お茶を淹れる技術は、空手や剣道のような”型”として覚えたほうがよいだろな。
理屈でそれを覚えようとしたら、多方面にわたる科学を膨大に勉強しなければならなくて、脳が混乱して現実的じゃない。
どんなお茶を淹れるときも、とにかく器を温める。器の蒸気で茶葉を蒸らす。
この手間をかける時間が心を整える時間になる。
いつも同じ動作。同じリズム。
準備を整えてから一煎めの湯を注ぐ前に、目を閉じて静まるのを待つべし。
良い道具、良い茶葉、良い水、それよりも大事なこと。
葉底を観察するのも”型”のうち。
葉底
うまく淹れたときと、そうでないときと、違いが現れる。
今回のはいまいち。
粉砕された茶葉が多いのはもともとだから仕方ないとして、カタチの残っている茶葉がのびのびとしていない感じ。

ひとりごと:
この人にこのお茶。
そのつながりがしっかりしてきたと思う。
好みの味である必要などない。
コストパフォーマンスが良い必要もない。
上等を知る必要もない。
もっと大きな成果が隠れていて、これからゆっくり湧き出てくる。
この人にこのお茶に意味ができる。
この人にしかわからない意味になるけれど、それで十分。

版納古樹熟餅2010年 その43.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
茶器
注ぎ

お茶の感想:
茶壺に湯を注いで、杯に注いで、それから杯の中でゆっくり冷めてゆく。
この冷めてゆく間に変化している。
熟茶はこのときまろやかになる。雑味が消える。
なので、ゆっくり冷めてほしいので、厚みがあって縦に長い湯呑みを選んだ。
また、そこそこ湯量のあるほうがゆっくり冷めるので、茶壺の大きさも選ぶ。
杯
寒い日は杯の暖かさが手にうれしい。
いくつかタイプの異なる茶器を持つと、その日の気分や体調に合わせたお茶を淹れられるからいいよな。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
茶器

ひとりごと:
茶器使いのノウハウを他人に聞くのは、ほどほどにしたほうがよい。
自分に聞くほうが大事だから。
自分の身体や感覚に聞く習慣を身につける。
そこにお茶の学びの価値がある。
上手か下手かなんて、どうでもいいことだから。


茶想

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