プーアール茶.com

勉強会・上海 炭火を使う 11月4日

炭炉

中国語メインの講義です。日本語の補足もします。

内容:
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
お茶の性質(効能)を決めるのは製茶だけではありません。
「製茶」・「保存」・「泡茶」、この3つの段階で調整されます。
「製茶」・「保存」のタイプの異なるお茶を「泡茶」で調整しみて、飲んでみて、体感をもとにお茶の性質を探ります。
火入れ(熱)の効果がわかりやすい鉄瓶と炭火でお茶を淹れます。

参加費:
ひとり350元

場所:
上海 天山茶城 1階のお店
中山西路520号天山茶城1252 云元谷 
玉屏南路の天山茶城正門から入ってまっすぐ35メートルほど。右側の店。

日時:
11月4日 土曜 午前10時から 3時間半ほど

お茶を飲むとお腹が減ります。
事前にお腹を満たしておいてください。
お昼の時間にかかるので、お菓子や軽食などをご持参いただいてもよいです。当方ではご用意しません。

一扇磨単樹B春の散茶2015年 その4.

製造 : 2015年03月20日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)一扇磨
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+鉄瓶
龍眼の木の炭
炭の火

お茶の感想:
龍眼の木の炭をもらった。
前回使った核桃炭とはちょっと性質が異なる。火力がある。焼肉とか焼き魚に使うようなタイプで、カンタンに言えばちょっと安モノなのだな。ニオイもちょっとある。炭にまんべんなく熱がまわって白くなってくると火力が安定してニオイもなくなるが、室内には向いていない。
西双版納は気温26度なので、窓を全開にして炭を使う。
天気悪い
そろそろ雨季の終わる頃だが、まだ天気の悪い日が多い。
茶葉の整理をしていたらこのお茶が残りわずかだったので飲み切ることにした。
『一扇磨単樹B春の散茶2015年』(卸売部)
単樹Aのほうが上等だったが、今から見るとBのほうもなかなか。
炭で炙る
単樹B
茶葉の温度を少し上げて水分を逃がす。
焙煎ほどではない、ただの乾燥。
こうすると香りが立つ。茶壺の中に入れて茶葉を蒸らしてから湯を注ぐのだから茶葉はまた水分を取り込むのだが、香りは違う。
銅の溶けたもの
茶針の枕にしているのはタイの骨董屋さんで見つけた銅の溶けたもの。
骨董屋さんの言うには、仏像の台座の部分らしい。
お茶セット
チェコ土の茶壺
鉄瓶
お湯を注ぐ
茶を注ぐ
葉底
沸き立ての湯は96.5度くらい。景洪市は海抜560メートルくらいなので100度にはならない。
生茶は茶葉を煮やすと渋味・辛味など嫌な味が出やすいが、鉄瓶+炭火の組み合わせは煮え味が出にくい。
かといってちょっと冷ました90度以下の湯で淹れるとキリッとしない。
沸き立てのグツグツの湯なのに穏やかな熱の響き。
また耐泡がよい。7煎を超えたくらいの味がしっかりしている。
白い炭
炭炉の上蓋
鉄瓶1リットル弱の水でお茶を飲みきるのにちょうど良い炭の量がわかってきた。
炭炉には上蓋があるので、この予熱で鉄瓶を乾かして、茶器も乾かせる。

ひとりごと:
雲南の陶器に詳しい茶商友達がサンプルを持ってきた。プーアール市の土らしい。
茶壺
煮水
茶葉乾燥
雲南省は山ばかりでいろんな地層があって、茶器に適したのもたくさんある。
これから探ってゆこうと思う。

版納古樹熟餅2010年 その37.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 西双版納のミネラウォーター
茶器 : 鉄瓶+小さめの蓋碗
西双版納

お茶の感想:
西双版納に帰ってきた。
チェンマイから300キロほど北に移動するだけなのに気候は違う。西双版納の景洪市は空気がとても軽く感じる。
青い空を見ていたら縦に長い長方形の白い板みたいなものが雲の流れと反対の方向へ飛んでいったのだけれど、ま、そんな話はしないほうがよいか・・・。UFOは信じないけれど見たことはあると言うことにしよ。
今年の秋もお茶づくりは様子見になると思うが、それでもやりたいことはいっぱいある。
炭炉と鉄瓶
炭の火
通販サイトのタオバオで広東省潮州の炭炉を買ってみた。
日本の七輪に似ている。潮州には紅泥と呼ぶ土があって、これが茶壺にもよいし炭炉にもよいらしい。
炭の火を探ってみる。
火は、お茶を淹れるときも大事だし、お茶をつくるときも大事だし、いずれは勉強することになる。
前回の勉強会「煎じるお茶」で、茶葉を煮るのにアルコールランプをつかったが、炭の火だったらまた違う風味や体感が得られたかもしれないと考えている。熱には響き方の違いがあることを、お茶淹れの茶壺の素材や形状の違いについて注目していたけれど、熱の響きという表現をするならその震源となる火の違いにこそ注目するべきだろう。
炭炉
最近よく使っている鉄瓶で湯を沸かすのは、ガスの弱火や電気コンロの200Wで20分ちょっと時間をかけているが、たとえ同じ20分で沸騰させても炭の火にはまた違う響きがあり、湯の質は異なるはずだ。
炭は核桃炭。クルミの炭。この他にも龍眼やオリーブの炭がある。いずれもしっかり炭化していて穏やかに燃えるタイプ。
クルミの炭
炭は点火させるのが容易でない。
穴がいっぱい空いた鉄鍋に炭を入れてガスコンロにかけて火をつけるが、なかなか燃えない。ガスやアルコールは火花が散るだけでパッと燃え上がるのだから大違いだ。例えば乾燥した木材は炎が移るのは早いが、炭はそうじゃない。炎はほとんど出ない。試しにアルコールを少し含ませた炭に火をつけてみたら、アルコールの炎がメラメラ15秒ほどで燃え尽きた時点で炭はなにごともなかったのように元の黒い色に戻った。赤くならない。炭には熱量が要るらしいのだ。ひとつの炭では燃えられない。いくつも集まって熱がこもってあるところに達してやっと赤い色が見えてくる。時間がかかる。
アルコールランプ
炭の火
ガスやアルコールの火は熱の芯がどこにあるのか見てすぐにわかる。ところが炭の火の熱はどこに芯があるのかよくわからない。炭全体が熱くなって、炭炉も熱くなって、鉄瓶の全体が熱くなって、どこからともなく湯が沸くような感じ。その点、ガスやアルコールの火には芯があり、鉄瓶の底の中心あたりから湯が沸くのが見える。
炭は熱が一点に集中しないから、その効果で熱の流れがとても穏やかになる。
熱の流れ。この勢いを利用するケースもあるのだろう。
例えば、薪の火で茶葉を炒るのや陶器を焼くのは、熱の流れの効果を利用しているかもしれない。
チェコのマルちゃんの窯
薪の火
チェコ土の茶杯
いくつかのお茶を試したいと思うが、まずは熟茶。
【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
湯の熱が茶葉の内部にグッと入って成分を抽出するほどに甘くなる熟茶。
湯の温度が高いだけではダメで、響きの長いのが良い。長い波長の熱が伝わると水質がトロンとしてきて余計に甘く感じる。
鉄瓶
鉄瓶の同じカタチのが2つあるので同時に沸かして、ガスコンロ+アルコールランプのと炭炉のとを比べてみた。
炭の火は一定じゃない。点火してからだんだん火力が強くなる。対してガス+アルコールは一定。沸騰までの時間を合わせるためにアルコールの小さな火でじわじわ温めてからガスで仕上げることにした。
小さめの蓋碗。茶葉は3.6g。
蓋碗と熟茶
炭の火とアルコールランプの水
左: 炭火の湯
右: アルコールランプの湯
水の味にすでにその差が現れていた。
炭火はしっとり甘い。ガスコンロ+アルコールランプはピリピリ辛い。
炭火のお茶とガスコンロのお茶
左: 炭火のお茶
右: アルコールランプのお茶
お茶になってもそれは同じ。同じ茶葉だからお茶の味は同じではずだが口感が違うと味も違うように感じる。茶湯の色の差くらい違う。
炭火のはフワッと舌に触った瞬間にほどける。ふくらむ。ひろがる。喜んでいるような味。それに比べるとアルコールランプのは怒っているような味。
試しに4煎めから左右を入れ替えてみた。
アルコールランプと炭火のお茶の味比べ
左: アルコールランプのお茶
右: 炭火のお茶
左右を入れ替えてから1煎めで味も入れ替わった。2煎めで茶湯の色が近付いて3煎目には同じになった。煎がすすんでいるせいか色が逆点することはなかった。
炭火とアルコールランプ
沸騰する具合を見てなるべく同じ温度になるように調整するべく炭を足したり引いたりしたが、それでも炭火の湯のほうが高い温度を長く保つような性質になる。
やはり熱の響き方だろう。
念のため温度計で鉄瓶の湯の温度を測ったらアルコールランプのほうが1度高いことになった。この正確な計測は難しいから数値はあてにならない。
炭火のほうが美味しいお茶になる。はっきりしている。1回分の炭のコストは8元ほど。かなり割高になるけれど、良い茶葉と良い道具を揃えたら炭を使わなきゃ損だよな。
次は生茶で試してみようと思う。

ひとりごと:
鉄瓶を欲しがっていた西双版納の茶商友達が遊びに来て、パッと目があったチェコ土の茶壺。
チェコ土の茶壺
チェコ土の茶壺
売るのは惜しいが、こういうのは縁。愛せる人の手に渡るものなのだ。
雲南の陶器に詳しい人で土質が気になると言っていたから、いろんなお茶を試してくれるだろう。

倚邦古樹青餅2014年・明後 その9.

製造 : 2014年05月15日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+銅のヤカン
メコン川
川の舟
川の草
空
川の階段
川の社
窓からメコン川

お茶の感想:
火入れ実験のつづき。
西双版納から茶友に持ってきてもらったお茶。
『邦古樹青餅2014年・明後』(卸売部)
これを茶壺で火入れしてみる。
茶葉
茶壺をつかって茶葉の火入れ
今回は湯が沸騰してから40分の火入れ。ちょっと長め。
蒸気には蒸気ならではの熱の性質があるだろう。茶葉の火入れにしては低温だが、時間をかけて熱量を補う。
前回の勉強会で生茶の餅茶『易武古樹青餅2010年』を炭火で炙るのを試した。
お餅を焼くみたいに小さめの七輪に網を敷いて、餅茶の崩したカケラを置く。
お餅
(写真は実際にお餅を焼いているところ。)
炭は3つだけ。結果的には2つでも十分だった。
初回は加減がわからずに焦がしたが、2回めは手を近づけても耐えられるほどの遠火でじっくり1時間ほど炙った。
これがとても香りのよいお茶になった。焦げ臭さや煙臭さはない。新鮮な緑が蘇るような爽やかな香り。やや烏龍茶っぽくなる。味はシンプルになる。苦味とその反動の甘味と、お茶のお茶たる個性だけが際立つ。
遠赤外線の照射は茶葉の表面の複雑な形状にもまんべんなく熱がゆきわたるのがよい。また、弱い火を長時間維持するのはガスや電熱よりも経済的かもしれない。
茶壺の中
今回は、茶壺ごと蒸すようなカタチだが、茶壺の中は乾燥している。
実はこの茶壺はちょっと水漏れする。少量の蒸気が入るかもしれないが、空気中の水は冷たいほうへ逃げる性質があるため、蓋の裏が少し湿る程度で茶葉を蒸らすことはなかった。
茶葉に水分が少しでもあると酸化が早まる。
乾燥している茶葉でもごく少量の水分を含んでいる。その水分が熱をもつと茶葉の成分変化を早める。これを避けるために、茶壺と茶葉とを常温から時間をかけてゆっくり温度を上げてゆく。茶葉がさらに乾燥して、それから温度をもっと上げてゆく。こうして水分による影響をなるべく避ける。
茶壺の温度が上がってから茶葉を投入すると、低い温度の茶葉に水分が逃げ込むかもしれないので、茶壺と茶葉をいっしょに加熱するほうがよいと考えている。
ヤカンの蒸気の熱を利用するのは温度に上限があるので焦げる心配はない。そこがよい。時間だけを調整して火入れの感覚をつかめる。
泡茶
こうして火入れした茶葉は、湯を注いでから茶葉の成分が出るのにちょっと時間がかかる。まだ熟成3年モノなのに20年モノくらいの感じに似ている。
じっくり抽出するせいもあって、味もまた熟成されたものに近づく。
このお茶の場合、いつもは4煎めくらいから出てくる深い味わいが1煎めからいきなり出る。また、早春のお茶にありがちな辛味は消失している。味はシンプル。小葉種の軽い苦味が際立つ。複雑さや鮮やかさは消えて静かになる。
体感は落ち着いている。喉のとおりは涼しく腹の底のほうへすっと収まる。「寒」の性質は「温」の性質に近づいているせいか、飲んだ後のドキドキするような胸のあたりの詰まり感もなくなっている。
このブログでもたびたび指摘しているが、生茶のプーアール茶を若いうちに飲むのは難しい。汗をかく暑い季節はよいが、寒い季節には向かない。個人差もあるのでその加減を自分で探って見つけて、いちいち計るように注意して飲まなければならない。
お茶として完成していない。
未完成のまま流通していることになる。
しかし、昔の人は未完成なお茶を自分の手元で完成させていた。冷蔵庫もない時代に、長期保存できる乾物のひとつとして保存のケアをしたり、煎じ方に工夫したり、熟成による薬効の変化をそれぞれの家庭のやり方で見つけていただろう。
家庭に知恵があったのだよな。
知恵のない現代の家庭にどんなお茶を売ったら良いのかを考えてお茶メーカーはいろいろ工夫するけれど、その展開はあまりカシコくない結果になると見ている。

ひとりごと:
チェンコーンに通いだしてから6年経つが、今回はじめて見つけた豚の生の血のラープ。
ラープは肉を香草やスパイスをいっしょに叩いてミンチにして、塩や魚醤や辛子味噌などで味付けしたもの。
生のラープ
この写真のラープは血だけでなく肉も生である。数年前に西双版納のタイ族の村でご馳走になって以来だったが、チェンコーンのお惣菜屋さんにも売っていた。
味は、牛肉の生のユッケやタルタルステーキや魚のなめろうにも似ているが、血生臭さなど全くなく、脂っぽいこともなく、サラッと口に溶ける。火入れしていないので血の成分が生きているからだろう。
豚の生の血って細菌や寄生虫が怖いよな。
体調の良いときに食べる。ゆっくり食べる。付いている香草といっしょに食べる。主食のもち米といっしょに食べる。ラオスの50度の焼酎ストレートを飲みながら食べる。冷たい飲み物を飲まない。
お腹の中の消化の過程で発酵に似たようなことが起こっているが、良い発酵をしたら悪い菌などやっつけてくれる。はず。

巴達古樹紅餅2010年 その23.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン
川を見ている
川を見ている
川の社
川と舟
川と朝日
川を見ている
夕焼けの空
川の夕焼け
川の月
川の月

お茶の感想:
また川を見ている。
+【ずっと川を見ている】
この1ヶ月間ブログの更新をしなかったが、毎日お茶淹れて飲んでずーっと考えている。
茶葉を炙ること。茶葉を煮出すこと。
前回の勉強会「煎じるお茶」に思いがけない成果があって、これからどんなアプローチで理解してゆこうか思案している。
火入れの火(熱)でお茶の味も変わるし体感も変わる。
思っていたようなちょっとの差ではない大きな差がある。火(熱)の性質にはいろんなタイプがあるから、味や体感もいろんなタイプになる。
お茶を淹れるときの火(熱)と同じように製茶のときの火(熱)もまたお茶の性質を左右する。
中国茶には様々なお茶があるが、そのつくり分ける技術は味や香りの個性を求めると同時に、薬効のタイプをつくり分けることを重視したとみている。個人的に勝手に。昔はお茶がもっと医食同源に近いところにあって、お茶を飲む目的が違ったはずだ。
茶葉を炙ったり煮出したりという行為は薬草を煎じる感覚に近い。
西双版納の山の農家では今でも薬草を採ってきては家庭の常備薬をつくっている。村にひとりは詳しい老人がいたりする。例えば三七(田七人参)は、生のまま・天日干し・炙り・煮出し、などの加工によって効能が異なり用途が異なる。
お茶もまた過去にはこのような違いがはっきり意識されていたと考える。
この観点からお茶づくりやお茶淹れを見直してゆきたい。
さて、タイのチェンコーンに滞在中にこのお茶に気付きがあったので記録する。
+【巴達古樹紅餅2010年】
雨の川
雨
タイの北部のチェンマイやチェンコーンに行くときはいつも崩しかけの餅茶を持ってゆく。ジップロックに密封しているけれど、お茶を淹れるたびに崩すので高い湿度の空気に触れてしまう。パリパリに乾燥していた茶葉が一週間後には湿ってほんのり柔らかくなるのが指先の触感でわかる。一煎分ずつ小さな袋に小分けして密封しておくとよいが面倒なのでしていない。
湿ったときは晒干(天日干し)でリカバリーできる。
餅茶を晒干
チェンコーンの太陽の光はとくべつ強く感じるのだが、おそらく広大なメコン川の水面や真っ白な雲に反射した光が飛び散っているからだ。
ちょっと思いついて、今回は晒干する前に崩した茶葉をちょっと残しおいて、晒干した後の茶葉と飲み比べてみた。差がわかりやすいように1時間で済むところを2時晒干した。晒干後は茶葉の粗熱がすぐには取れないので翌日までまってから淹れた。
巴達古樹紅餅2010年泡茶
巴達古樹紅餅2010年泡茶
思った通り。
晒干のは火入れのとよく似た風味になっている。
体感も火入れのと似ている。前回の上海の勉強会の参加者にお茶の「生」に敏感で悪酔いしやすい方がいらっしゃったが、その方ならこの違いがもっとわかりやすいだろうと思う。
調子に乗ってこんなこともしてみた。
茶壺で茶葉を炙る
茶葉を火入れする
茶壺を銅のヤカンの口に据えて、お湯を沸かす湯気で茶壺ごと茶葉を温める。
弱火で25分かけて水を沸かして、さらに15分温め続ける。
(※茶壺とヤカンに温度差があると茶壺が割れる心配があるので真似しないほうがよい。)
より火入れのすすんだ茶葉になる。
火入れ後
茶壺の中は水が入っていないのでカラカラ。
かすかに焙煎香が出ている。もちろん烏龍茶とまではゆかないが、その雰囲気はある。
泡茶焙煎後
味は紅茶そのもの。メイラード反応に似たココアっぽい風味が出て、やや糖質の焦げた甘い香りがある。
味は透明感が増して、ひとことで言うとサッパリしている。生の辛味のピリピリは感じなくて、喉の通りがスッと落ち着いている。腹の収まりも良い。
もちろん失うものもある。色彩豊かな風味、複雑な風味、一煎ごとの表情の変化。これらは生の特有の魅力だったことがわかる。
晒干の餅茶
生に仕上げた晒干の紅茶だから、後からお客様が手元でちょっと手を加える余地がある。
冷蔵庫もない時代の昔の家庭では手元でケアしなければならない食材がいろいろあって、それぞれの工夫がまた家庭の味になっていただろう。
そこに家庭の医学のような知恵も潜んでいたと思う。

ひとりごと:
上海の坊
前回の勉強会「煎じるお茶」を終えてすぐの8月中頃から上海の坊が京都に遊びに来てバタバタして、彼らが帰ってすぐの8月末にタイのチェンマイに移動してホッとするのもつかの間、今度は西双版納の茶友がラオス経由でタイに来てチェンコーンで合流してチェンライまでいっしょに行って、チェンコーンに戻ってやっとひとりで静かになったらもう9月中盤。
日本から飛行機を乗り継いでチェンマイの宿に着いて疲れて爆睡して目が覚めたときに、ほんの3秒くらいだと思うけれど、ココがどこかわからなくなっていた。もしかしたら1秒くらいは自分が誰かもわからなかった。
けっこう慌てた。こんなことはじめて。今度寝て起きたらどうなるのだろ。
ランテン村
アンティークの布
チェンコーンからチェンライ伸ばす
パパイヤビレッジ
チェンコーンに遊びにきている韓国人のジョンさんにこの話をしたら、「僕もときどきなります」とのことなので、ま、大丈夫だろ。ジョンさんは自由人であちこち気ままに旅して移動が多いから、体と気持ちの在るところにタイムラグが生じるのだ。
この件はそういうことで流しておこ。

茶学 整えない

西双版納の山の泉
子供がお茶を淹れると大人よりも美味しくなるのは偶然じゃない。
子供の注ぐ水は活き活しているから、お茶の味も活き活きする。
大人は水を注ぐのに、こぼしてはいけないとか、美しく見えたいとか、美味しく淹れたいとか、意識がお茶淹れの動作をカタくして水もカタまる。
子供の手はそこまで水をきっちりコントロールできないから、ヤカンから茶壺へ注ぐ湯がユルユルして外にこぼれたり、茶壺から杯にそそぐ水が勢い余って外に飛び出たり、水は乱れてありのままをさらけ出す。
大人でも油断するとそうなることはある。けれど、油断してそうなるのと、緊張してもそうなってしまう子供のと、水の振動は微妙に違うのだな。
水の入った茶器を動かすと、動きにあわせて水は揺れる。動きが早かったり動線が鋭角だったりすると水は暴れる。
そんな水の自然な状態を自分の思うように制しようとしないで、ちょっと許してやるくらいのほうがよいのかもしれない。

雅安の藏茶1970年代 その1.

製造 : 1970年代
茶葉 : 四川省雅安市
茶廠 : 四川省雅安市茶廠
工程 : 藏茶
形状 : 圧延貨幣型
保存 : 崑山市倉庫
茶水 : 京都地下水
茶器 : 鉄瓶・チェコ土の茶杯
藏茶1970年代

お茶の感想:
四川省雅安市の藏茶。
推定1970年代のもの。先日の上海の勉強会のときにスペースを借りた天山茶城のお店に売っていた。
いまどき藏茶の老茶も珍しいので経緯を聞くと、台湾人が上海近郊都市の崑山市に大きな倉庫を構えて大量の茶葉を保有していて、そこから出てきたらしい。たぶん老茶を小出しに売りはじめたのだろう。
崑山市は上海と蘇州の間に位置する。台湾系の大手企業が集まり工業団地をつくって、この20年くらいで急速に発展した。現在は地価が高騰しているが、昔なら倉庫にできる土地ならいくらでもあったはずだ。倉庫の土地と茶葉に投資してダブルで価格高騰するのを待つ。例えば20年待ったとして30倍に達しただろうか。今世紀中にはもう二度とないタイミングだったと思うが、珍しいことではない。長い歴史をみると物価や茶葉の価格変動を見込んで大量の茶葉を貯蔵してひと儲けした例はいくらでもある。
貨幣のカタチ
貨幣のカタチ
実際、このお茶は古代の貨幣のカタチをしている。
ある地域では茶葉がそのまま通貨として流通していたこともある。長い目で見たら、いつの時代も現金よりも茶葉を貯蓄しておいたほうが安定している。
この固まり390g。竹で編んだ直方体の籠に30キロ分で詰められ牛か羊の皮で包まれる。(上の写真)
藏茶は雅安市から西へ運ばれる。高原に住む遊牧民族やチベット仏教の坊さんのお茶。出荷する前に微生物発酵を促す工程があるので黒茶に分類される。
遊牧民族のバター茶はまさにこの茶葉でつくる。「煎じるお茶」の勉強会のテーマにピッタリ。勉強会での試飲にバターは用意しないが、塩は用意しておこうと思う。
煎じ方はカンタン。ヤカンに湯を沸かして茶葉を投入するだけ。
茶殻
ヤカンに茶葉
ここで注目するのは、煮出し時間によって味も体感も変わってゆくということ。
何分煮出すのがよいのだろう?
煮出し2分
煮出し2分め。
20分以内で十分とは思うが、それを飲んで確かめるのが今回の勉強会。
ちょうどよい煮出し時間は、茶葉の性質によっても、飲む人の体質によっても、その日のコンディションによっても異なる。自分で飲んで自分の身体に聞くのだ。
煮出し20分
煮出し20分茶湯
煮出し20分め。
茶葉に熱が通るほどに成分の変化がすすむ。鉄瓶なので鉄分との化合によるなにかもあるだろう。
煮出し2分と20分を飲み比べて体感の違いに気付く。20分のほうが身体へのアタリが柔らかくて涼しい。
茎も混ざる老葉を微生物発酵させたお茶には特有のピリピリ感があるが、煮出し時間を長くするとそれも和らぐ。
ここで疑問なのが、なぜあらかじめもっと火入れをしておかないのか?ということ。
メーカーから出荷する前に焙煎しておけば、もっと涼しくてピリピリもないので20分も煮出す必要はないだろう。
そう、このお茶もまた、火入れの余地を残した生な仕上げになっているのだ。生のまま長期熟成させることになにか意味があるのだろうか。後発酵の微生物との関係を考えてあるのだろうか。
謎がまた増えてしまった。
一生かかって、お茶のことがもっとわからなくなって終わりそう。
葉底
葉底の色からしたら1970年代っぽくない。プーアール茶だったらこの緑が残っていたらおかしいけれど、たしか藏茶づくりの乳酸発酵を経た茶葉は、長年熟成しても緑色が残りやすいのだよな。

ひとりごと:
業務連絡。
青島に住んでいたE本くん。
久しぶりにメールくれたけれど、そちらの携帯電話のメールがパソコンメールを受信拒否にしているせいなのか、こちらからのメールが不達になる。
設定解除してもういちどメールされたし。
業務連絡以上。

勉強会・京都 煎じるお茶 8月12日

炙る2
終了しましたが、資料のために残します。

テーマ:
煎じるお茶。
「煎じる」という言葉の残っているとおり、お茶は漢方薬のように煮出して飲まれていました。
土瓶で煮るお茶。いくつかタイプの異なる茶葉を煮出して飲んでみて、それぞれの体感を探ります。
陸羽の茶経にでてくる炙ってから煮出すお茶も試します。

場所:
京都 岡崎 好日居(地図)
会場にはエアコンがありません。扇風機のみです。汗をかきます。

予約:
募集終わりました。

試飲プログラム:
易武古樹青餅2010年
老班章古樹純料茶2010年
昆明老方磚92年
プーアル方茶80年代
雅安の藏茶1970年代
7582大葉青餅70年代

素食をご用意いたします。
豆腐、お揚げ、お粥、お漬物など。

巴達古樹紅餅2010年 その22.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶+火入れ
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
チェコ土の茶壺
チェコ土
鉄瓶

お茶の感想:
晴れてはいるが、台風が近付いているせいで生暖かい風が吹いている。
空気中の水分が皮膚を圧迫してうまく汗が出ない状態。こんな日は発酵度の高いお茶で身体の芯を温める。いっきに汗がでるので着替えを用意してシャワーする。シャキッとしたいなら冷たいお茶ではダメなのだ。
この理屈だとやはり茶気の強めがよい。もっとも茶気が充実している早春の新芽・若葉のお茶がよい。茶気はアルコール度数の高い酒と似ていて、茶の成分を短時間で身体に巡らせるチカラがある。
茶葉
さて、このお茶。
【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
生と火入れの体感の違いを探る。
味や香りはすぐにわかるけれど、体感は経験の積み重ねなので時間がかかる。じっくり飲んでゆくしかない。その日の天候や体調も影響するから、夏から冬にかけて時々飲んで様子を見る。
昔の人が紅茶の製法を確立したときに、どのような薬効を求めていたのかを想像してみる。白茶・黄茶・緑茶・青茶・黒茶にはない紅茶ならではの薬効。
その上で、生と火入れはどちらが体感としてより紅茶的なのか。
それとも、こういうときは生、こういうときは火入れ、という具合に使い分けることができるのか。
今日は鉄瓶の熱い湯でじっくり抽出してみた。
火入れ
まず火入れバージョン。
一煎めから透明感のある味わい。
ひとことで言うとまとまっている。
濃い目にするとやや酸っぱい。生よりも酸味が立つ。この酸味は長期保存した烏龍茶にもよくある。味はバランスで、バランスが良いと酸っぱさに気付かされないけれど、意識してみたらあんがいあるものなのだ。
味が澄んでいると喉からお腹への通りもよい。すっと入って収まる。
血が体中に巡って上気して汗が出てくるが茶酔いは軽い。新芽・若葉の強い茶気で頭がゆらっとくるが、目が覚めてシャキッとするほうが勝っている。朝の一杯にピッタリな感じ。
生バージョン
つぎに生のバージョン。
香りは生がよい。熱湯を注ぐと春の野の花の香りがぱっと蘇る。香りの中に涼し気なメントールを感じる。
やや味が濁っている。渋味もある。良く言えばボリュームを感じるが、味が濁っていると喉から腹への収まりがスムーズではなくなり胸につかえる感じがする。濃い目に淹れると生の辛味のピリピリが喉を刺激して一瞬イガっとくるが、消散するのが早いので悪くはない。この刺激は後からメントールの涼しさとなる。
荒れた感じがするのは1煎めだけのことで、2煎・3煎とすすめると落ち着く。渋味は穏やかになる。味は透明感を増して収まりもよくなる。
茶酔いはやや強い。目にグルグルくる。生の酔いは揺れが大きい。身体にやや重く感じる。そして眠くなる。朝向けじゃないかも。
飲んだ順番もあるかと思うので、明日は逆の順番で飲んでみる。
汗をかく
生のほうは煎ごとの変化が大きくて、火入れのほうは小さい。
では、大きめの茶壺で一煎出し切りにしたらどうだろ。
これも次回に試そうと思う。
生バージョン

ひとりごと:
上海のお茶ファンに向けてのイベントをもっとやろうと思う。
お茶をよく飲むし、お金も使っているし、厳しい目をもっている人たち(悪く言えばスレている)に叩かれたほうが自分にも良い。
日本人は面と向かって批判的なことを言うのも聞くのも慣れていないが、上海人は慣れている。
自分の意見を言い出して止まらない人に「今日はわたしが老師を担当します!」と制することが何度もあるが、面白い意見が出て思わぬ方向に転がってゆくこともある。年配の参加者からは昔の古き良き時代の経験談が聞き出せることもある。
今回は日本語と中国語と分けて行ったが、中国語の聞き取りができる日本人は中国語のほうの勉強会に参加する手もあるよな。
そういうのも企画してみようかな。

巴達古樹紅餅2010年 その21.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶+火入れ
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン・白磁の茶杯
銅のヤカン
白磁の茶杯

お茶の感想:
上海での勉強会があんがいよかった。
「体感を探る」テーマだと、お茶の良し悪しよりも自分の身体に合うかどうかで評価できる。お茶の良し悪しを話すと、参加者は間違っちゃ恥ずかしい・・・という遠慮があって本音を言いにくい。しかし、自分の身体のことなら正解も間違いもないから飾らないないままを口にできる。価格が高かろうが他人の評価が高かろうが、自分の体に合わないものは合わない!と言える。
お茶はけっして美味しいのをそろえたのではなかった。やや問題があるのもある。(もちろん健康を害する問題ではない。)
+『勉強会・上海 体感を探る 8月1日』
けれど実験としては最適。そう。参加者は知らないうちに人体実験されていたのだった。
そして成果があった。自分の身体ではわからないところに光を当てることができた。
7月31日の中国語と8月1日の日本語と合わせて13人ほど。参加者の中にはある種のお茶に身体が合わない人がいて、敏感に反応してくれた。
自分がよくわかっていなかった2つの問題。
早春に采茶したことによる茶気。
「生」な製茶の仕上げによる茶気。
どちらにも弱い人、どちらかに弱い人、この2つのパターンがあった。
そして今回のいちばんの発見は「生」な仕上げに弱い人は、たとえ冬片老葉のような季節外れの大葉を采茶しても酔い心地に気持ちよさがないということ。さらに1950年モノという長期熟成を経てもまだ「生」を感じるということ。
さて、今日のお茶『巴達古樹紅餅2010年紅茶』。
火入れバージョン
火入れバージョン
上海に置きっぱなしにしていた宝モノをいくつか持ち帰ってきた。
銅のヤカン。清代末期の景徳鎮の杯。そしてこのお茶の火入れバージョンのサンプル。
『巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.』(火入れの様子)
1枚モノが何枚かあったので久しぶりに試飲してみたら、その場に居合わせた上海人のお茶ファンに買い尽くされた。
手元には崩したサンプルのみ残っている。
火入れバージョン
当初、上の記事を読んでみても火入れバージョンの評価は低い。喉から胸にかけて「燥」な苦しさがあった。乾燥機の荒れた熱がそのまま茶葉に記憶されたような感じ。1年半ほど経った今は完全にそれが落ちて、静かな語り口になっている。
火入れしない「生」のほうは涼しい口当たりが特徴。火入れバージョンには今もこの口当たりの涼しさはないが、飲んだ後の余韻の涼しさはむしろ火入れのほうがよいかもしれない。口当たりの涼しさは「生」の成分のスパイスが関係しているらしい。舌にピリピリした刺激が「生」な仕上げのお茶には共通してある。勉強会で飲んだサンプルの茶葉にもそれが見つかる。
生か火入れか。
日本酒の生と火入れとの違いに似ているところもある。
生は味に複雑かつ多彩なところが全体のボリューム感につながるが、悪く言えば騒がしい。その点、火入れのはスッキリして静かである。ピリピリはほとんどない。静かなゆえに底力をストレートに感じることができる。まっすぐ筋の通った感じ。
うーん。
火入れバージョン
これなら火入れバージョンを追加でつくってみてもよいかな。餅茶そのまま火入れするのだからいつでもできる。
サンプルがなくなるまで試飲して、それからゆっくり考えるとしよう。
体感はどうかというと、今回のではわからないから次回に検証する。

ひとりごと:
鉄と銅。
鉄と銅
ぜんぜん違うよな。熱の伝わり方もぜんぜん違う。銅のヤカンは表面がキンキンに熱くてちょっとでも手が触れたら痛いくらい熱い。
銅のヤカン
音に例えると高音域がクリアー。
お茶の味もそういう感じに入る。
体感の違いもあるだろな。
これを実証する勉強会をしたい。


茶想

試飲の記録です。

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