プーアール茶.com

刮風寨冬片老葉2016年 その2.

製造 : 2016年12月(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 晒干緑茶
形状 : 散茶50gパック
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶+鉄瓶
冬片老葉

お茶の感想:
最近このお茶をいろんな人にすすめているがウケない。
+『刮風寨冬片老葉2016年 その1.』
あまり反応がないというか、手応えがない。
たぶん、見るべきところが伝わっていない。
お茶の体感からしたらかなり上質。新茶のものではなく20年モノや30年モノの老茶と同じレベルだと思う。
成長した大葉は身体へのアタリが優しい。冬茶の厚い葉や茎はでんぷん質を多く含むからお腹への収まりがよい。
ひとことで言うと、飲み疲れしないお茶。
毎日飲んでやっとその良さがわかる。ちょっと飲んだくらいではわからない。
冬片老葉
冬片老葉
こんなお茶、いまどき少ない。
その希少性もいまひとつ伝わらない。
毎日同じお茶を飲む生活スタイルの人なんていないから、そういう観点で評価されない。
中国茶全体を見ても、売れ筋の多くは飲み疲れするようなアピールの強いものばかり。お茶を買いに行った店で試飲するとアピールの強いのにどうしても惹かれてしまう。
SNSの口コミも最近はチカラをもっていて、口コミしたい人が口コミしやすいお茶がウケル。ちょっと飲んだくらいではわからないお茶なんてウケないのだ。
プーアル方茶80年代
写真は碁石茶。
4年前にこのブログで紹介している
お茶の産地にあるのは銘茶だけではない。
ある茶山にしかない。ある村にしかない。ある家の人しかつくっていない。そんなお茶がいくらでもあった。名前も分類も定義もないお茶。特定の消費者だけに求められていたお茶。碁石茶もそんなお茶のひとつ。現地を巡ってそんなお茶に出会うのは旅する茶商の楽しみだった。
でも、最近はこういうお茶になかなか出会わない。
農家もSNSを活用して売れ筋を把握したり消費者に直接アピールしたり、マーケティングしている。生産者としては不特定多数に求められるお茶をつくったほうが儲かるし安全だし。労力が同じなら儲かる仕事をしたいのは当然。
名前も分類も定義もないお茶は居所がなくなったのだ。
冬片老葉
冬片老葉
今年の春にチェコの若い茶商が西双版納に訪ねてきて、この『刮風寨冬片老葉2016年』をたくさん持って帰った。
どういうふうに紹介するのかと聞くと、毎月のお試しセットでいろんなお茶と一緒に箱に詰めて200人の会員に配るらしい。15gに小分けするそうだ。
「そんなのでこのお茶の良さはわからないよ!」
と言ってみたものの、
「それしか茶葉を売る術はない。」
と賢そうな顔をして返されて、なにも言えなくなった。
くやしい。こんなヤツに紹介しなきゃよかった。
冬片老葉
と思ったけれど、結局自分も毎日飲むお茶として利用するお客様を見つけられず。同じことだった。

ひとりごと:
すでに人々の生活に毎日のお茶の居所がなくなっているというのに、それを知りながら毎日のお茶を礼賛するのはわざとらしいかなあ。どうだろ。

プーアル方茶80年代 その1.

製造 : 1980年代後期
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海茶区
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 未入倉
茶水 : 京都地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
プーアル方茶80年代
プーアル方茶80年代

お茶の感想:
資料として保存しているサンプル茶葉を整理していたらこんなのが出てきた。
+【プーアル方茶80年代】
美味しいかというと、1980年代のお茶の中ではそれほどでもない。
でも個性が立っている。
8月1日に予定している上海での勉強会の「体感を探る」にピッタリなお茶だろ。ということで試飲してみる。
久々なので、熟成がすすんでいるはず。
チェコ土の茶壺
個性のある茶葉にはチェコ土のマルちゃんの茶壺。
茶壺
かけ湯
めったにしないこんなこともしてみる。効果のほどは定かでない。
惑星の表面っぽいザラザラ肌が湯を吸って吐く。それを見たいだけ。
チェコ土の茶壺
熱があるので蒸発してすぐ乾く。
プーアル方茶80年代
プーアル方茶80年代
ちょっと思い切って濃くしてみた。
苦い甘い。薬っぽい。仁丹みたい。
新芽・若葉の摘み時がよかったのだろう、水質がキメ細かく舌触りに潤いを与える。口に苦くてもスルッと入る。
30年くらい熟成したことで身体へのアタリは穏やかだけれど、孟海茶区独特の苦味による涼しさは健在。方茶ならではのスッキリ感がある。アミノ酸的な旨味の少ない健康な茶葉だ。
微かにチョコレート風味が感じられるようになった。熟成による味の変化。崩して保存しているので茶葉が空気に晒されたことによる効果だと思う。方茶は圧延が強く内側に空気が入りにくいので、固まったままだとこうはならない。
2007年に出品したときに比べると甘味が増してずっと美味しくなっている。
葉底
1980年代のお茶だが、香港倉庫に入らなかった未入倉のものなので、茶葉にまだ緑っぽいところが残っている。

ひとりごと:
勉強会のテーマ「体感を探る」は、これから日本でもやってゆく。
お茶の味を自分の身体に聞いてみる。これがあんがいできていないのだ。
なぜできないかというと、自分の身体にどう聞いたらよいのかわからないからだ。
体感のタイプの違うお茶を飲むことで、身体のどこにどういう変化が現れるのかを経験したらわかるようになる・・・はず。
この経験はお茶だけでなくふだんの食事にも応用できる。
ほんとうに知るべきは、お茶の上質よりもふだんの食事にある。

勉強会・上海 体感を探る 8月1日

勉強会
日本語の講義です。
中国語の講義は7月31日に行います。

テーマ:
体感を探る。
薬としての利用からはじまったお茶。
体感の異なるプーアール茶を飲み比べ、医食同源の観点を考察します。

場所:
上海 天山茶城 1階のお店
中山西路520号天山茶城1252 云元谷 
玉屏南路の天山茶城正門から入ってまっすぐ20メートルほど。

日時:
8月1日 火曜 午前10時から 3時間半ほど

参加費:
ひとり400元 現金をご用意ください。

予約:
店長へメールしてください。
+【勉強会上海8月1日参加希望】 ←メールする
定員8名ほど。
予約が埋まり次第募集を締め切ります。
キャンセル料はいただきませんが、なるべくキャンセルしないで済むよう計画してください。

茶単:
刮風寨古樹晒青茶 2017年4月 生茶 春 新葉 西双版納勐臘 4ヶ月
刮風寨古樹青餅茶 2016年4月 生茶 春 新葉 西双版納勐臘 1年
刮風寨単樹小餅  2016年4月 生茶 春 新葉 西双版納勐臘 1年
刮風寨冬片老葉茶 2016年12月 生茶 冬 老葉 西双版納勐臘 8ヶ月
銷台甲級沱茶90年代 1996年 熟茶 春 新葉 西双版納勐海 20年
7581荷香茶磚97年 1997年 熟茶 秋 老葉 景谷 20年
沈香老散茶50年代 1950年代 生茶 秋 老葉 西双版納勐臘 60年
(飲むお茶は当日まで変更することがあります。)

お茶を飲むとお腹が減ります。
事前にお腹を満たしておいてください。
お昼の時間をまたぐので、お菓子や軽食などをご持参いただいてもよいです。当方ではご用意しません。

白牡丹生態茶2014年 その5.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 福建省福鼎市磻溪大白茶種
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
鉄瓶

お茶の感想:
鉄瓶の湯の熱には粘りがある。
保温力というか持続力というかすぐに冷めにくい感じ。
鉄瓶から注いだ茶壺にも、茶壺から注いだ茶杯にも、熱の粘りはつづいている。
これを高温という言葉で表現すると、熱にデリケートな茶葉を煮やしてしまいそうだが、そうはなりにくい。
高温ながらやさしく熱が伝わる感じ。
熱にデリケートな茶葉で試してみたくなって、白茶のこれ。
『白牡丹生態茶2014年』(卸売部)
本当は、プーアール茶の生茶も熟茶も紅茶も熱にはデリケートなのだ。
プーアール茶というと基本は高温で煮出すと教えられることが多いから、なにも考えずに淹れていたら多彩な風味に出会えない。
ところが、高温を否定すると、ちょっと温度を下げてみるか・・・となりがち。
そうじゃない。熱の伝わり方が問題。
茶壺
この白茶は2014年ですでに3年経っていて、熟成による香りの変化が現れている。かすかに漢方のようなスパイスの薫るいい感じだと思う。
ところが、この香りはちょっと温度を下げた80度くらいでは眠たくてピンとしない。しかし、沸き立ての湯を注いで90度以上で蒸らすと、とくに茶壺のように保温力のある茶器では酸っぱくなりやすい。渋味も出て甘味が少ない。これを煮え味と呼んでいる。
香りをとるか味をとるかになってしまうのは、温度の問題と考えるからだろう。
例えば92度の湯を注ぐとか、ピッタリな温度設定があるのかもしれないが、気温や茶器のコンディションは毎日変化しているので、別の日は94度でないとダメという具合に変動する。なのでピッタリな温度や時間の設定は、正確なようで正確ではないのだ。
そこで、鉄瓶の湯の熱の粘りに期待してみる。
例えば、熱い湯の風呂にザブーンと入ったら火傷するけれど、かけ湯して皮膚を慣らしながらそっと入ったら大丈夫。
同じ温度でも熱の伝わり方が違うと、熱による変化の結果も異なってくる。
鉄瓶から注ぐ湯の落ち方。
茶壺の中での湯の熱のまわり方。
茶葉にやさしく熱が伝わるカタチをイメージする。もちろん沸きたての熱い湯で淹れる。
チェコマルちゃんの急須
チェコマルちゃんの急須
チェコ土の茶壺は底が広く浅く口がつぼんだ急須タイプを選んだ。
湯の熱は上に上がる。茶壺がタテに長いのは湯の温度が直接的に茶葉に伝わりやすい。底が広く浅いのは湯の熱が反射したり逃げたりして間接的になる。
また、底が広いと茶葉がゆったり広がる。茶葉に伝わる熱が均質になりやすい。
湯を注いでしっかり温めてから湯を捨てて、もういちど熱い湯を注いで半分くらい。妥協のない熱い湯である。
白茶を淹れる茶葉を浮かべる
その上から茶葉を入れて浮かべる。茶葉は自身の重さでじわじわ沈むのを待つ。浮いているのはそのままで無理に押し込まない。蓋をして蒸らすと乾いた茶葉が湯に馴染みながらゆっくり沈む。
風呂の熱い湯に片足ずつそっと入るのと同じように茶葉を熱に慣らす。
3煎め
3煎めくらいまで浮かんだままの茶葉があるが、それでも放っておく。
浮いている茶葉が蒸気で蒸らされる空間を残すように湯の量を調整する。この空間を湯で占めてしまうと熱のまわりが直接的になりやすい。
湯を注ぐところを開ける
湯を注ぐところを空けて、茶葉に直接熱い湯を落とさないようにする。
やはりこれで煮えることなく酸味は出ない。香りは生き生きとしている。
3煎・4煎とすすめても甘味・旨味はひかえめで新鮮味がある。4煎めくらいでちょっと渋味が出たが、こんなものだろう。
白牡丹生態茶2014年
白茶
白茶は前菜のサラダのようなお茶。じっくり味わうメインディッシュなお茶ではない。サラッとした味の印象のまま、ちょっともの足りないくらいで終えるのがカッコイイと思う。
逆に、鉄瓶の湯の熱の粘りをじっくり茶葉の芯に伝えて、甘味や旨味を引き出したいときは、湯を茶壺の口元いっぱいまで注ぐか、縦長の茶壺を使うとよいかもしれない。別の機会に試してみる。

ひとりごと:
ふと思いついて、紅茶を淹れてみた。
このお茶。
+【漫撒一水紅餅2016年】
漫撒一水紅餅2016年
漫撒一水紅餅2016年注ぎ
漫撒一水紅餅2016年
茶壺の口もといっぱいまで湯を注いでじっくり抽出したら、やはり煮えて酸味が強くなった。

7581荷香茶磚97年 その8.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 西双版納 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶

お茶の感想:
もしかしたら鉄瓶と白磁の蓋碗の相性がいまいちかもしれない。
昨日淹れて思ったのだけれど、質感が違いすぎる。
白磁の蓋碗
音が響くように熱が響く。
厚くて重い鉄に響く音と、薄いガラス質の白磁に響く音と、その違いはなんとなく想像できるだろう。
熱もそのように響き方が異なり、茶葉への浸透のしかたが異なり、出てくるお茶の味が異なる。
鉄瓶
鉄瓶肌
この写真を見てもなんとなくそう思うだろ。
白磁と鉄瓶はあまりに異質だ。
鉄瓶の響きはゆったりしていて、チェコ土のマルちゃんの茶壺の波長と似ている。
高温で焼き締められた石のように硬い石器。
チェコ土の茶壺
チェコ土の茶壺
こういう感覚って大事。
うまく説明できなくてもよい。お茶の味という現物でもって自分の感覚をそのまま人に伝えることができる。
今日は熟茶で試すから熱量をしっかり茶葉に伝えたい。保温力のあるチェコ土の茶壺にした。
見かけは異なるが土質はほぼいっしょ。内側の釉薬はなし。
この土質はお茶との相性がよいのか、釉薬なしのほうが素直な味になる。
チェコ土の茶壺2つ
チェコ土の茶壺
公道杯は使わず、チェコ土の茶杯にそのまま注ぐ。
鉄瓶とステンレス電気ポット。
このお茶。
『7581荷香茶磚97年』(卸売部)
7581荷香茶磚97年
1980年代の製法を再現した、ちょっと実験的な作品。
新芽・若葉を避けて成長するのを待ってから采茶したような繊維の硬くなった茶葉の様子がある。揉捻で捻れないから開いたまま。茎の部分も多い。でんぷん質の多い秋茶ではないかと思うが、茶葉は季節や成長度によって成分構成が違うので、微生物発酵の工程にも影響してそれぞれの味になる。
1990年代からの熟茶は、味が濃く体感の熱いのが多い中、このお茶はサッパリしていて体感も涼しい。お腹の底から温まるが、夏に飲んでも暑苦しくはならない。
こういう茶葉のタイプは、遊牧民らがヤカンに煮出してバター茶などにしていたものなので、サッと湯を切るような淹れ方では成分が抽出しきれない。
茶壺で高温を長く維持したい。一煎ごとに湯を切ると茶葉が冷めやすいので、茶杯に注いで残った湯はそのままにして、上から熱い湯を足すようにする。
一煎め
左: ステンレス電気ポット
右: 鉄瓶
3煎めくらいまで、なぜかステンレス電気ポットのほうが茶湯の色が赤い。しかし味のボリュームの差はない。
口に含むと、やはり鉄瓶のほうの湯が熱い。3分以上蒸らし時間があっても鉄瓶は高温を維持している。
味の印象は異なる。ステンレス電気ポットは味や香りがバラバラでまとまっていない感じ。鉄瓶のはまとまっている。
いくつもの茶葉から上質を選ぶための試飲をするとき、口の中に広がる味や香りの方向を見る。方向がはっきりしているのは上等。例えば、上に抜けるとか下に沈むとか左右に広がるとか、どこか決まった方向のあるのがよい。バラバラで方向の定まらないのは上質ではない。そのように評価する。
今回は同じ茶葉なのにこの差が出る。
7煎くらいまで進めたが、茶湯の色の濃さや味のボリュームには差がない。どちらが特別に甘いとか苦いとかいうこともない。鉄瓶のほうが耐泡(煎がつづく)が良いというわけでもない。
ただ、味の印象が異なる。はっきり言えば、終始鉄瓶のお茶のほうが美味しかった。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)は同じ。

ひとりごと:
思っていたよりも鉄瓶は個性を主張しない。
湯が熱いからといって、お茶が濃く出たり特別に香りが立つというわけでもない。なにかを隠すこともない。そのへんあっさりしている。素直に出る。
これなら試飲用のヤカンも鉄瓶にしてよいかもしれない。
ガスで沸かしてアルコールランプで保温というフォーメーションもなかなか良い。
ステンレス電気ポットはもう使わなくなるな。
鉄瓶

章朗古樹春餅2016年・黄印 その2.

製造 : 2016年4月7日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 生茶のプーアル茶
保存 : 密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : 白磁の蓋碗・鉄瓶・ステンレス電気ポット
八角鉄瓶

お茶の感想:
今回入手した鉄瓶はすべて新品。
古びた感じに見えるが中古ではない。
専門店に教えてもらって、なるべく昔ながらの製法のを選んだ。
内側に漆が塗ってあり、漆と鉄が化合してできた黒錆(黒鉄)の膜をつくっている。これによって鉄を劣化させる赤錆の発生が防げる。
茶葉のタンニンと鉄の化合によっても黒錆はできるので、ときどき茶葉を煮て内側の膜を補強するとよい。
それにしても鉄瓶はデリケート。
湯を沸かした後にしっかり乾かさないで濡れたままにすると、次の日にはもう赤錆の小さなスポットが現れる。
茶葉を煮たらすぐにリカバリーできるが、鉄という素材は敏感というか不安定というか、見かけによらないところがある。
鉄瓶の錆
詳しい人の話では、鉄瓶で沸かした湯には鉄イオンが溶け出すらしい。ということは、やはり濃いめのお茶に個性が現れるはず。時間をかけて小さな火で水からゆっくり沸かしたり、茶葉の成分をじっくり抽出するのは有効なのだ。
鉄瓶で湯を沸かすだけでお茶淹れのいろんなバランスが変化する。鉄や水や火や空気の微かなサインを読み取らなければならない。
幼いころは水遊びや砂遊びに夢中になれて、万物と自分とのつながりを確かめていたけれど、大人になってからは水や火や土みたいな元素なやつに興味が薄れてしまうのだな。なぜだろ?あまり賢そうじゃないし、オシャレでもないしかな。
自然観察が楽しめたらお茶淹れは面白い。鉄瓶ならではのデリケートさも味わえるだろう。
そこが味わえないと、お茶淹れがただの作業になってしまう。
作業になると、正しさを求めたり合理的にやろうとしたり、つまらないものにしてしまう。
鉄瓶が機能的かどうか、プーアール茶を美味しく淹れられるかどうか、実はそんなことはどうだってよいのだ。お茶淹れそのものの味わいが味わえるかどうか。鉄瓶ならではの味わいを見つけられるかどうか。味わいの達人になれるかどうか。
章朗古樹青餅・黄印2016年
さて、今日はこのお茶。
【章朗古樹青餅2016年・黄印】
西双版納の孟海茶区から西へ、ミャンマーにかけて分布する古茶樹には共通した苦味がある。
苦くて、その反動で甘い。
この苦味が鉄瓶の湯にどう反応するのかが見どころ。
今回はステンレスの電気ポットと比べてみる。
ステンレス電気ポットと鉄瓶
久しぶりに白磁の蓋碗。
茶葉の重量もちゃんと計ってテイスティングっぽくなった。
鉄瓶は湯が沸くのに25分。
ステンレス電気ポットは3分20秒。
湧いてから、鉄瓶はアルコールランプの小さな火で沸騰状態を保つ。ステンレスの電気ポットは一煎ごとにスイッチを入れて再沸騰させる。
もちろん、鉄瓶の湯に鉄の味がするなんてことはない。念のため。
章朗古樹青餅・黄印2016年
左:ステンレス電気ポット
右:鉄瓶
茶湯の色はまったく同じ。
香りのボリュームにはほとんど差がなかった。
鉄瓶の湯は熱い。
杯を持つ指の感じでは5度くらいの差がある。
2煎め
3煎め
葉底(煎じた後の茶葉)の開き方が1煎めから違っている。写真は2煎めと3煎め。
水質が違う。
鉄瓶のは、口当たりまろやかで喉ごしに潤いがある。
ステンレスの電気ポットのは、”燥”。ドライでカラッとしている。
味わいは、金属の質感のもつイメージ通りで、鉄瓶のは重低音。ステンレスのは高音。音のような響きの違いがある。
ステンレス電気ポットと鉄瓶
苦味は鉄瓶のほうがよい。強いのに優しい。
ステンレスの電気ポットは若い味。鉄瓶は1年ほど保存熟成したような味に落ち着きがある。
なるほど、このような味の出方ならハツラツとしすぎた新しい生茶を飲むなら鉄瓶が適している。
耐泡(煎がつづく)は意外と同じ。
7煎くらい進めても、茶湯の色も味のボリューム感もほぼ同じである。
鉄瓶の煎が前倒しになって続かないというのは、錯覚だったのだろう。
次回は熟茶で試してみる。

ひとりごと:
多くの人がお茶淹れをあまり楽しめていないのではないかとうすうす感じていて、なぜそうなのかと考えてみて、こんな話になった。
機能性や合理性を求めるあまり、お茶入れが作業になる。
作業はつまらないから、いずれロボットにお茶を淹れてもらうようになる。コーヒーマシンがすでにそうか・・・。
なんでもロボットになってゆくと、作業にひそんでいた味わいが減るよな。味わいながら無意識に楽しんだり学んだりしているのに、もったいない。
ロボットメーカーの立場からは、日常に潜む味わいを無駄なこととして、まずは人々の意識から価値を無くしていって、もっとたくさんロボットを売ろうとするだろ。
機能性や合理性や正しさを主張している人は、実はみんなロボットメーカーの回し者で、味わい泥棒なのだ。

版納古樹熟餅2010年 その36.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 鉄瓶+チェコ土の茶壺
鉄瓶あられ

お茶の感想:
鉄瓶を探る。
濃く淹れても透明感のある味わい。
高温抽出でありがちなドライな刺激をしっとりと包み込む水質。
いろんなお茶を濃い目に淹れてみよう。
ということで、今日はこのお茶。
【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
思い切って真っ黒に出してみる。
いつもは7煎くらいまで続けるところを、前倒しにして3煎めで切るつもり。
鉄瓶なら1煎めからフルパワー。3煎で出し切る配分は無理なくできるはず。
鉄瓶独特の熱の響きをつくるには時間を掛けてじっくり湯を沸かしたほうがよい・・・と信じている。
まずガスコンロの弱火で25分ほどかけて水から湯を沸かす。途中からシューン!という音が鳴り出して、底から小さな気泡が湧いて上下に対流する。気泡がだんだん大きくなって蓋のそでから噴く蒸気にチカラがみなぎる。
ガス火
ガス火の熱はまっすぐ上がり鉄瓶の底を突き抜ける。
上への直進力が強すぎる。水に強い刺激を与えるから、写真のように小さくトロトロした火で鉄瓶まで1センチ以上の隙間を空けたほうがよい。コンロの高さ調整ができるよう薄い五徳を敷く手もある。
沸騰するまでの時間、水は鉄から伝わる熱の響きを聞いている。水の粒子がそれを記憶する。
アルコールランプ
アルコールランプの火も親指の先くらい小さめ。
鉄瓶から茶壺に湯を注いでからも水の記憶はすぐに消えない。茶葉にその熱が伝わり抽出される成分にもなにかが響いている。
たぶんそういうことじゃないかなというようなお茶の味。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
味のように体感にも違いがでてくる。
これだけ真っ黒く抽出してもサッパリしている。熟茶にありがちな暑苦しさはなく、むしろ涼しい。手前味噌ながら茶葉が良いというのもある。
茶酔いはゆったりと長い波で寄せてくる。
静かで落ちついた体感。
お腹の底を温める熱がいつもより力強い。
水が記憶する熱の響きは、おそらく体内にもなんらかのカタチで伝わる。
鉄瓶を傷めたくないので試さないが、強火で短時間で沸騰させたらお茶の体感も変わってくるだろう。いつも使っているステンレスの電気ポットは3分で沸騰するが、その湯でこのお茶を濃く淹れたらもっと辛くて暑い味になるし、体感はもっと衝撃が突然くる感じ。そうすると、昔みたいに炭火で湯を沸かすともっとやさしくなるだろう。
この熱の響きはお茶の成分を身体に”伝えるカタチ”をもっているのではないかと思うが、冷たいお茶では酔えなくなるので、水の記憶と熱とはセットで響いているのだ。
お茶は熱いうちに飲むほうがよい。
冷たいお茶を飲む日本人の習慣は、茶酔いを評価していないことがわかる。飲みものが身体にどう響くかに関心がないのだな。
鉄瓶

ひとりごと:
もしかしたら酒でさえ酔い心地を評価していないかもしれない。
舌先・鼻先の味や香りだけで評価していたら、大事なところを見落としてしまう。
つくっている人が大事なところを見てほしいと思っているお酒が飲みたい。

易武古樹青餅2010年 その34.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 京都陶器の茶壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 鉄瓶+チェコ土の茶壺
鉄瓶

お茶の感想:
お茶の良し悪しは酔いの質をみる。
茶酔いの快楽がいちばん価値あるところ。
舌先・鼻先でわかる味や香りはその次で、むしろ没個性でひかえめなほうがよかったりする。
人は快楽に上質を求めると、なぜかストイックになれる。
なにかの本で読んだが、アヘンがそうらしい。アヘン戦争のアヘン。
その効能を最大限に発揮できるよう、喫烟する一日前からなにも食ベない。酒もお茶も飲まない。コップ一杯の水だけでしのぐ。空腹時に酒を飲むと酔いが回るように、空っぽの身体にアヘンが回るとブッ飛べるそうだ。もしも身体に不純物が入っていると飛べなくなる。
たとえ裕福な人でも、美食・美酒をあきらめてアヘンの快楽に生きようとする。だから中毒者はガリガリになってゆく。映画などで貧民が生活苦から逃げるためにアヘンに溺れてガリガリというのは作られたイメージかもしれない。むしろ公務員など要職に就く人がアヘンに侵されるから社会に大きなダメージを与える。大英帝国の狙いはそこだったわけだ。
歴史の本によると、アヘンの喫烟は主に茶楼で行われていた。
交易で栄えた華やかし頃の中国の都市の茶楼は『千と千尋の神隠し』の舞台となる油屋みたいなイメージだろうか。カンフー時代劇でも出てくる木造の豪華な館。個室で寝そべり窓から表通りを見下ろしながら、食・酒・煙草・茶・女・音楽と、あらゆる快楽を嗜む。
タイの仏像
その中のひとつだから、茶酔いは他の快楽に負けられない。
茶葉を選んだり、道具をそろえたり、キレイな水を汲みに走ったり、湯を沸かすのに時間をかけたり、淹れ方を工夫したり、瞑想したり。茶酔いの快楽のためなら手間暇を惜しまない。犠牲をためらわない。
山深い霊気のあるところに育つ茶樹で、樹齢は300年を超えた高い幹のものを選ぶ。采茶や製茶はできるだけ人の手の汚れ(わざとらしさ)から遠ざけなければならない・・・など、現在にも残る価値観は味のためより茶酔いのためだとすると、あまり大げさな話には聞こえない。快楽を求めるストイックにはわざとらしさがない。
お茶は仏教と相性がよくて、禁欲的な生活をするお坊さんが茶を飲むイメージがあるけれど、お坊さんは茶酔いの効能が最大限に発揮されるコンディションを整えているという点で、ストイックな快楽主義者である。身体に不純物が入っている凡人とは違うレベルの酔いを体験しているにちがいない。お経を唱える声がムニャムニャとなにを言っているのかよくわからないのは、茶酔いにラリった状態を表現しているのかもしれない。
さて、長い前フリになったが今日から鉄瓶を試す。
鉄瓶八角
茶葉との相性もあるだろうから、いろいろ試してゆくとなると一年はかかりそうだ。長い旅は望むところだ。もっと遠くへ連れて行ってほしい。
茶壺と同じで使い始めは安定しない。内側の漆塗りや鉄の臭いがあるので、熟茶の茶葉を2回煮て”ならし”をした。それでも安定するには3ヶ月はかかるだろう。
湯はガスコンロの極小の火で24分かかって沸騰させる。それからアルコールランプの小さな火で高温を保つ。「シューン」と小さな音が鳴っているくらいの沸騰。
今日はこのお茶。
【易武古樹青餅2010年】
易武古樹青餅2010年試作品
湯の熱には響きがあるという話を「茶学」でしていたけれど、その理屈からすると鉄瓶の熱はお寺の鐘のようにゴォーーーンと低音で響く。
茶壺に注ぐ湯、茶壺から杯に注ぐ茶。ともに湯気がみなぎって熱量の高さが現れている。生茶は高温で煮やすと苦味・渋味が立ってしまうので、ちょっと心配だけれど思い切ってじっくり濃い目に抽出してみた。
易武古樹青餅2010年
茶湯の色からしても濃い味になったはずだが、口に含んだ瞬間は意外とあっさり。ややトロンとした舌触りながら透明感があり涼しい液体。と思っていたら、ちょっと時間差があって底の方から味わいが湧いてくる。
一煎めにして三煎めくらいの深い味わい。ゆったりと長い波長。チェコ土のマルちゃんの茶壺の波長ともピッタリ合う感じ。
ひとくちめにして「はーーーーーっ!」とため息が出て腹の底から息を吐きる。
香りは素直に出ている。アピールはおとなしめだが、これも長い波長で余韻が続く。
苦味の効き方はおおらか。二煎・三煎とすすめると春尖の辛味がでてくるが、煮えた嫌味はほとんど出ない。
ただ、後の煎が前倒しになる分、煎はつづかなくなる。四煎めで落ちてきた。
茶酔いはゆったりしている。
いきなりパーンと響くようなことなくじわじわ効いてくる。覚醒と眠くなるのとがバランスよく綱引きして、ボーっと窓の外の緑を見た。
7月の緑

ひとりごと:
鉄瓶は重い。
上の写真のは1750g+1000mlの水を入れると2750g。軽めのダンベルになって筋トレできる。
たぶん重さが理由で使わなくなる人が多いだろう。
ひとまわり小さいのも買ってみた。1450g+700mlの水で、それでも2キロはある。
ストイックにならないと快楽の上質は得られないのだ。
鉄瓶小
鉄瓶小

農薬について考える その6.

肌がベタつく蒸し暑い日は冷たいものを飲みたくなる。
冷やした水やお茶をゴクゴク飲んでみる。ところが、思ったようにダルさは消えない。夜はなかなか眠れない。
こんなときは意外と身体の芯が冷えていることがある。
水分補給は冷たいものよりも温かいもの。お茶は身体を冷やす生茶よりも温める熟茶がよい。
たぶんこういうことだと思う。肌がベタつく蒸し暑い日は空気中の水分が多く、皮膚から汗が蒸発しにくい。汗の排毒機能が落ちるせいか内臓が疲れてくる。エアコンで冷やして汗を抑えるよりも、いったん汗を流してシャワーを浴びたほうがよい。発汗を促す温の性質で、内蔵にもやさしい微生物発酵の熟茶が良い。
そこまで頭で考えなくても身体はわかっている。
どんなに暑い日でも身体が冷えているときは熟茶の甘味・旨味が心地よくスッと喉を通る。腹の底が温まってホッコリする。
逆に、暑い日は身体を冷やす生茶という決まった知識を押し付けても、いつもは甘いお茶を苦く感じたり、腹の収まりが悪かったりする。
熟茶
半分は外側。半分は自分の内側。
外側と内側の関係に注意することが、お茶を理解するということ。
医薬と農業を司る神の「神農」は、あらゆる植物を試して食中毒になりながらひとつひとつを理解したということだけれど、この話は、みんなが同じアプローチで勉強することを奨励しているのではないかと思う。
毎日食べるものや飲むものが自分にどう作用しているのか、ひとりひとりが一生かかって学んでゆく。
外側と内側は相対的なものだから、どちらかの関心が薄れると両方とも小さくなってゆく。どちらかの関心が高まると両方とも充実してゆく。
農薬について考える。
農薬について考えたくない人のほうが多いと思うが、それは自分の内側に関心を持てない人が多いということ。
農薬について考えなくてもよいから、まずは自分の内側に関心を持ってほしい。
自分の内側に関心を持つ人が増えると、産地では自然環境の健康回復に関心を持つ人が増える。
お茶だけの話ではない。すべての食べもの飲みものについて。

貢朝号三合社青餅07年 その1.

製造 : 2007年5月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山三合社古樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 陶器の壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺
壺熟成
貢朝号三合社青餅2007年
餅面裏

お茶の感想:
雨の季節はしっとりしたお茶が美味しくなる。
茶葉のコンディションが変わる。人のコンディションも変わる。
ふと思い出して、壺の中に保存していたサンプルを試してみる。
『貢朝号三合社青餅07年』(未出品)
製造年が2006年だったか2007年だったか覚えていない。
易武山の町役場の職員が手元で熟成させていたお茶。
餅茶7枚モノ竹皮包み1筒×6筒=42枚/一件で竹籠に入って、部屋の隅に他の数件のお茶といっしょに積まれていた。
竹籠は埃をかぶって蜘蛛の巣だらけだったが、よくあること。品質に関わる問題ではない。
その部屋は閉め切ってあってもスキマだらけで乾燥は保てない。易武山は湿度が高いから、夏の雨季には湿度80%を越す日が多いはず。さらに、家庭の豆鼓(豆味噌)づくりをするのに、蒸した大豆をザルに広げて麹カビがびっしり生えるようなのを同じ部屋で見たこともあった。
豆鼓
豆味噌
(写真は乾燥し始めていて綿状のカビは消えている。)
微生物が活動しやすい温度と湿度があるということ。
味噌の麹カビはもちろん良性のものだが、黒茶の発酵の麹カビと同じとは思えない。
しかし、茶葉の赤黒く変色した様は微生物発酵をうかがわせる。
餅面表
餅面に光沢があるのは熟成の良いサイン。
もしかしたら易武山でも熟成がうまくゆくのでは?と思って、その後も易武山で個人所有の茶葉を何度も試してみたが、二度と出会えなかった。
同じような体験を同業者からも聞いたことがある。ひとりやふたりではないが、彼らもやはり二度と出会えていないから、なにか偶然が重なったときにだけうまくゆくのだろう。
その条件がよくわからない。
貢朝号三合社青餅07年
味はどうかというと、それほどでもない。
1970年代から1980年代の香港倉で熟成された孟海茶廠の青餅の足元にも及ばない。ただ、風味の中にところどころ共通したところが見つかる。共通したところの風味に経験を積む。保存環境や茶葉のコンディションとの関係をひとつひとつ見つけてゆく。たぶんそれしか方法がない。
葉底
葉底の新芽・若葉・茎の色がなるべく均一なほうがよいが、これは比較的良いほう。悪いサインの茎の黒焦げた色は見つからない。
プーアール茶の熟成の本場は広東省の沿岸部だが、2000年前後に香港倉が消滅してからは、これといった成功例が出ていないと思う。
最近テレビによく取材されている東莞市の熟成専門業者の茶葉のサンプルを入手したので、昨年の勉強会「その3 熟成」にて数人で試飲してみたが、たいしたことなかった。この『貢朝号三合社青餅07年』のほうがましなくらい。
台湾には今も正しい味の熟成茶があるはずだが、1990年代に一度は香港倉で熟成されたものを台湾倉に移動したのが多い。それは台湾倉の成功ではない。マレーシアやシンガポールも同じ。新しいお茶から熟成をスタートしなければ倉の良さが証明できない。
チェコの壺熟成
チェコのマルちゃんの工房で壺熟成中のオリジナルのお茶。
京都壺
西双版納・チェンマイ・京都・上海・広東・・・・じわじわといろんなところに壺熟成を拡散してゆく。
壺熟成は、壺の中の条件は同じでも壺の外の環境はそれぞれ。どこに壺を置くかでお茶の味が違ってくるから、そこが面白い。自分だけの熟成味をつくれる。
いつか熟成自慢のお茶会をしたいな。
熟成は現物をもって証明するしかない。例えば、自転車に乗れるのと自転車に乗れる物理学を説明できるのとは違う。説明できても一銭にもならないのだ。

ひとりごと:
どこかの小さなお茶屋さんが熟成を成功しても、その話は聞こえてこないだろう。少量の成功は常連客だけでシェして終わり。成功しましたよ!と世に知らせる必要などないから。
また、成功しても秘密にしたがるかもしれない。すぐにみんなが模倣するから。
でも、熟成は模倣が難しい。中国はコピー天国だけれど、もしもカンタンに模倣できるなら、かつての香港倉庫の黄金時代の味がとっくに再現できているはず。


茶想

試飲の記録です。

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