製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 竹皮包+茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺+チェコ土の杯、鉄瓶+炭火
お茶の感想:
茶葉の保存にプラスチック製品を使わない。
木、竹、紙、陶器、金属など、昔ながらの素材にする。
5年前に熟成壺をオーダーしたときから目指して、少しずつすすめてきて、この夏やっと完成した。
試飲用に崩して小分けしてある茶葉は、まだジップロックやアルミ蒸着フィルムのクラフト紙の袋に入っているけれど、これらもクラフト紙だけの封筒に替えて、まとめてトタンの米びつに入れる。
米びつは蓋がゆるくて、少しの通気を許すようにつくられている。
最小単位でこんな感じ。
数十グラムとか、餅茶1枚ごととか、小分け売りするからプラスチック包装材が必要になるわけで、昔の人みたいに1年分から10年分ほどのまとめ買いを対象にすれば解決する。
人の都合には合わせない。
プーアール茶の生茶の散茶(晒青毛茶)の嵩が大きくて、茶葉と茶葉の隙間の空気の部分がありすぎて、これを茶箱に詰めてもちょっとしか入らない。
スペースを節約して、茶箱の数もむやみに増やさないようにするには、圧延したほうがよい。
そこで、蒸してちょっと柔らかくして手で軽く、いや、かなり強く圧してみた。
最終的にはこうなった。
蒸した後に、竹皮で包んでタコ糸で縛って固定して、いったん茶箱にぐっと圧し入れて形を整えて、そのまま瓦の上で天日干しを4時間くらい。途中ひっくり返したり角度を変えたりまんべんなく陽を当てた。
これだけ厚みがあると4時間では乾かない。雲が多かったせいもある。
その晩、室内で陰干ししているときに発熱しているのに気がついた。
天日干しのときに上がった温度がそのまま12時間経っても下がらない。
発熱しているのは竹皮に包んだ底の部分。つまり、いちばん水分が集まるところ。
やはり微生物発酵だろう。
ちょうど日本は梅雨時で、温度・湿度ともに微生物発酵しやすい条件がそろっている。
茶葉についていたのか、竹皮についていたのか、それとも空気中を漂っていたのか、菌がどこから来たのか知らないけれど、西双版納で試している熟茶づくり実験のときと同じような温度。香り。
次の日の朝には温度が下がっていた。
茶葉が乾いて菌類のつくった酵素の作用が弱くなったからだろう。
しっかり乾燥してから、茶箱に詰めて蓋を閉めて、長期保存をスタートさせた。
何年か前に丁家老寨の農家の老人に聞いた話。
「昔は、天日干しの茶葉がまだ乾ききらない柔らかいうちに、竹のかごに足で踏んで圧して詰めて、馬の背に乗せてラオスへ運んだ・・・・。」
このときも微生物発酵したに違いない。
昔の生茶のプーアール茶は微生物発酵している自説は正しいと思う。
ゆるく固まっている。
このお茶、どんな味なのかを試してみた。
+
【章朗古樹春天散茶2012年 その1.】
ときどき飲んでいるお茶なので、前後を比べる必要がないと思って加工前のを残していないが、甘味が増して、米っぽい香りが加わって、日本の番茶を連想させる。
上のリンクで紹介しているのは2015年2月の記事だから、それから4年経った現在はさすがに熟成していて、現在の味が熟成のためなのか微生物のためなのか特定することはできない。