プーアール茶.com

茶教室・京都

南糯山秋天散茶2013年 その4.

製造 : 2013年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山Y口老寨
茶廠 : 農家
工程 : 生茶プーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋椀・白磁の杯 鉄瓶・炭火

お茶の感想:
通信講座#001の教材の茶葉。
【生茶はなぜ黒茶だったのか】
偶然に半日だけ微生物発酵したもの。
微生物発酵していない通常の生茶よりも茶葉が黒く変色している。
熟成期間が長くなるほどこの差は大きくなる。
茶葉
茶葉
左: 南糯山神青餅2011年(餅茶)
右: 南糯山秋天散茶2013年(このお茶)
南糯山の同じ茶樹から採取している茶葉なので品種特性の違いは無いから、微生物のつくった酵素による成分変化での色の差になっていると考えられる。
微生物は生きていなくても変化はすすむ。
茶湯
お茶の味の違いは少しだけ。
発酵期間が短がすぎるため。
昔の微生物発酵していた生茶のプーアール茶は産地で晒青毛茶の状態で保存されていたときに微生物発酵するが、少なくとも2ヶ月くらい、途中で色のムラをなくすために何度か撹拌されていた。
山積みに堆積された晒青毛茶は、山の中心部だけが微生物発酵して外側は発酵しない。撹拌することで色のムラをなくす。
固形茶になってからは残された酵素による変化が主になる。微生物は生きていない。
しかし、先日紹介したような金花(麹カビの一種)が後から発生することもある。
うちの茶箱で、熟茶の茶葉では金花が発生することが確認できたから、生茶も発生してほしいが、栄養環境の違いから生茶は難しい。でも、このちょっとだけ微生物発酵の茶葉ならイケるかもしれない。

ところで、昔のプーアール茶の本に、カチカチに固まった沱茶や磚茶タイプの生茶を蒸してほぐして天日で乾かすという手法が紹介されていたが、なぜかそのことを思い出した。
その当時の生茶は微生物発酵していたタイプが多かったから、これを蒸したらどんな味の変化があるのだろう?
ちょっと気になって早速試してみた。
蒸し
試飲
左: 蒸す前
右: 蒸して乾かした後
これがとてもいい感じ。
熟成が数年分すすんだような感じ。
味がまろやかになって、香りは奥ゆかしくなって、お茶としての完成度が高くなっている。
昔のタイプの烏龍茶を連想させるようなところもある。
田舎くさいお茶が都会のお茶になる。
蒸すことの水分や温度が、茶葉と酵素の化学反応を誘発させるのだろうか。
蒸し時間を変えてもうちょっと試してみようと思う。

南糯蜜蘭青餅2013年 その10.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 中国宜興土の茶壺・チェコ土の茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
+【南糯蜜蘭青餅2013年】
鉄瓶
餅面
昨年秋に湿気させた茶箱の中の一枚。
一煎めは流した。
湿気たところを洗い流した。
二煎めから。
泡茶
美味しい。
まったく問題なく甘いお茶になった。
三煎めはじっくり待って苦さを強調してみた。
泡茶
それでも苦くならない。
南糯山のお茶は一般的には苦いが、この”蜜蘭”は苦くない。
”苦茶”と呼ぶ苦いだけの品種特性の茶樹を避けたこと。
軽発酵をすすめたこと。
お茶づくりの2つの効果。
易武山の甘いお茶と間違ってもおかしくない。
と思ったが、ちょっと時間が経ってからの後味に苦味が残る。そこが南糯山らしさ。
ガツンとくる体感。
血行が良くなってじわじわと頭や手足の先が痺れてくる。
身体の芯を感じさせる。
お腹が減って美味しいものを食べたくなる。
葉底
元気になる陽のお茶。南糯山そのもの。
山の個性がお茶の個性。

南糯山秋天散茶2013年 その3.

製造 : 2013年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山Y口老寨
茶廠 : 農家
工程 : 生茶プーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯 鉄瓶・炭火
茶葉
拡大
鉄瓶

お茶の感想:
現代の生茶なのに少しだけ微生物発酵したお茶。
詳しくは通信講座#001。
+【通信講座#001 生茶はなぜ黒茶だったのか】
一煎目が妙に甘い。
麹菌がでんぷん質を糖化させる。
泡茶
葉底
門、桜、月。
門
夜
月

中茶牌臻品黄印熟餅13年 その2.

製造 : 2013年
茶葉 : 雲南省西双版納孟海県古茶樹春茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯+鉄瓶・炭火
餅面
茶葉

お茶の感想:
泡茶の会をした。
【泡茶のコツを学ぶ会(リクエスト)京都】
このお茶を選んだ。
【中茶牌臻品黄印熟餅13年】
同じ茶葉、同じ茶器、同じ水でひとり4煎まで淹れる。
4煎とも同じような味ではつまらない。
一煎一煎の味に個性を持たせて、4煎でひとつのストーリーをつくる・・・・ようにしたい。
3人で行ったので、4煎×3人=12煎。全部で12杯のお茶。12とおりの味。
今日はひとりで復習。感想戦といったところ。
泡茶
泡茶
やっぱり思ったとおりで、まだ経験していない味が出てきた。
生酒
生酒の味は鮮で豊で厚で香で充実感があるけれど、酔い感が重い。(写真の銘柄とは関係がない)

南糯山秋天散茶2013年 その2.

製造 : 2013年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山Y口老寨
茶廠 : 農家
工程 : 生茶プーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・台湾の土瓶・アルコールランプ
好日居
茶壺

お茶の感想:
チェコのマルちゃんのお茶会in京都。
6月17日から19日まで好日居。
6月24日から26日まで栖賢寺。
マル
同じ茶器・同じ水・同じお茶葉でも、まるで別のお茶になる。
茶葉
『南糯山秋天散茶2013年』。
このお茶がよかった。
泡茶
お茶会
このお茶はしっかり熱の通った後のほうの煎の味に魅力がある。
これ買った。
茶杯

漫撒古樹青餅2013年・黄印 その11.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興土の紫砂の茶壺・景徳鎮の白磁の杯 鉄瓶・炭火
紫砂
餅面

お茶の感想:
2つのお茶の飲み比べ。
茶湯
左: 漫撒古樹青餅2013年・黄印 
右: 老瑶古樹青餅2013年 
2つとも2013年の春の茶葉。
”有名茶山”と”無名茶山”の違い。
葉底
美味しさの観点では無名茶山のほうが上。
甘みが強いし、透明感があるし、”古樹味”と呼んでいる成分構成の観点でも無名茶山のほうが良かった。おそらく茶樹はもっと大きい。
ところが、”水質の甘さ”に注目するとかなり差がある。肩のゆるみ具合が違う。景色の広さが違う。流れの柔らかさは羽毛が落ちて地面に着地するときのよう。

南糯蜜蘭青餅2013年 その9.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶・炭火
茶器
鉄瓶
雨
おうちゃ

お茶の感想:
朝から雨。
雨音を聴きながら紅茶。
山は明日かな・・・と思っていたら、だんだん明るくなってきた。
雨に濡れた山道。石。苔。気になる。
保温ボトルにお茶を淹れる。
保温ボトル
今日はこのお茶。
+【南糯蜜蘭青餅2013年】
南糯山の煙味が霞む山に重なる。
蹴上
蹴上
木々
花
お水
竹
水
森
シダ
林
水
霧
霧山
街
茶
街
階段
火床
苔
門
門
夕焼け
南禅寺
夕暮れ
山は静かかと思っていたら、小鳥たちがにぎやかだった。

巴達曼邁熟茶2013年 その3.

采茶 : 2013年4月
加工 : 2016年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺
巴達曼邁熟茶2013年

お茶の感想:
渥堆発酵の管理は、時計や温度計などの数値に頼らないで、なるべく身体で覚えるようにしている。
例えば、7キロの茶葉に対して初回の加水は1.75リットル。4分の1ほどが一般的だとしよう。しかしそのつもりで水をかけてみると、ある種の茶葉はぜんぜん水が足りない様子だし、ある種の茶葉は水が多すぎる。茶葉によって吸水性や撥水性や、ちょっと時間が経つと蒸発する水の量など、いちいち差がある。そのときの気温や湿度も関係する。
だから固定された数値に頼るわけにはゆかない。
大量渥堆発酵のときは4分の1から3分の1の水が掛けられるが、茶葉からこぼれ落ちて床を濡らしていたりする。大手メーカーの職人からしたらそれは計算のうちに入っているが、7キロの少量渥堆発酵では水はすべて茶葉に吸収される。それは計算に入っていない。
だから先生の言うことを信用するわけにはゆかない。
メーカーの渥堆発酵
では、なにを基準にして水が多いとか少ないとかを自分で決めているのか?
無意識だったけれど、改めて考えてみると、やはり経験が頼りになっている。
まず、茶葉の水分量をみるのは、製茶で水を抜くことにさんざん苦労してきたから、言うまでもなく手でわかる。
発酵の良し悪しについては、過去に食べた発酵食品の記憶とか、自分でつくってみた発酵食品の記憶とか、ある種の香りを鼻で嗅ぎ分けていたり、手触りの質感や温度に発酵状態がどんな段階にあるのかわかったりする。
具体的に思い出せないこともあるが、なんとなく嫌な感じとか、なんとなく良い感じとか、直観が働いている。
発酵食品
こういうの大事だ。
家庭の生活に発酵食品づくりがもっと根付くべきだ。
小さな実践で学べることにホンモノの文化があると思う。
ぬか漬けだけでなく味噌も醤油も酒も、そして黒茶も家庭でつくるようになったらよいのだ。
国の人が労働者の上前を撥ねるために規制などして、醸造に規制してはいけない。
資本主義なメーカーが設備や技術を難しくして専門家ぶってはいけない。
そんなのは芝居文化だ。
日本酒はとっくに芝居文化になって、業者らが演技の巧さを競ったりしている。
発酵食品づくりは家庭にあるべき。
酒造りは、家にあるか、居酒屋にあるべき。
黒茶づくりも家でやればよいのだ。
そういうわけで7キロの極少量渥堆発酵は、家庭でもできるレベルの技術に落とし込みたい。
7キロくらいは(完成後は5キロくらいになるが)、半年で消費するよう各家庭がガブガブ飲むべき。そんなにたくさん飲まないというのなら、生活がすでに芝居になっている可能性がある。
さて、今日のお茶は2013年の春につくった晒青毛茶が原料。
上海の友人のお店の倉庫に保存されていたのを西双版納に送り返した。
保存状態は良い。3年間の熟成によって(これには微生物は関与していない。成分の変化のみ。)春の棘味がいくぶんか穏やかになっているから、発酵のスタートはスムーズにゆくだろう。
最初の加水から7日目。
2回めの加水から48時経ったところ。
巴達曼邁熟茶2013年をチェコ土の茶則
巴達曼邁熟茶2013年をチェコ土の茶則のアップ
巴達曼邁熟茶2013年一煎め
巴達曼邁熟茶2013年一煎めアップ
3煎め。じっくり待つと茶湯は赤く変色する。
巴達曼邁熟茶2013年三煎め
この茶葉はまだ圧餅していない散茶であるから、繊維に弾力があり、茶葉と茶葉の隙間が大きい。ミクロの世界では茶葉の中の水道管が潰れていないところが多い。すなわち水の吸収が早い。どうしても水を多めにかけてしまいがちになるが、蒸発も早いので失敗しにくい。
茶葉は乾燥した状態でちょっと多めの8キロほどあったが、これがたっぷり水を含んで微生物発酵しはじめて24時間ほど経つと、中心部の発熱がすごいことになる。素手で触れるとアチッ!となる。
中心部をそのままにしておくと、最初はちょっと薬品っぽい香りが出てくる。麹発酵のゆきすぎに「セメダイン臭」と呼ぶのがあるそうだが、それに似ている。
さらにそのままにしておくと水分が蒸発して熱は下がってくるが、セメダインを通り越してアンモニア臭が出てくることがある。ひき割り納豆のちょっと古くなったのと似ている。(納豆菌の仕業)
こうなるといけないので、セメダイン臭が出てきたらすぐに撹拌する。撹拌後も、茶葉に水分の多いうちは数時間も経たないうちに過剰に発熱するので、またすぐに撹拌して冷まさなければならない。
ゆっくり眠れなくなる。かわいいやつめ。
ただ、中心部の発熱が高温のうちは周囲の茶葉のコンディションは良い。乳酸飲料のような甘くてほんのり酸っぱい香りがしてくる。
黒麹菌はクエン酸をつくるそうだが、もしかしたら雑菌を殺すだけでなく、嫌な臭いの消臭にも効果があるのかもしれない。撹拌するとセメダイン臭がすぐに消える。
葉底
葉底にはまだ緑が残っている。
微生物発酵がうまくゆかないまま水分を多く持って時間が経つと、茎の部分から黒っぽく変色してくるが、これは全体的に均一な色を保っている。

南糯山秋天散茶2013年 その1.

製造 : 2013年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山Y口老寨
茶廠 : 農家
工程 : 生茶プーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : マルちゃんの片口と湯飲み
南糯山
苦果
スネークヘッド
南糯山白酒蒸留
南糯山白酒蒸留

茶の感想:
「秋のお茶を淹れるのが難しい」とコメントをいただいた。
新しい生茶のプーアール茶のこと。
おそらくそれは、淹れ方の問題ではなく、つくり方の問題だと思う。
問題は産地にある。
秋の茶葉の独自の魅力を無視したお茶をつくっていると思う。
生茶は春が上等。
秋は春ほど薫らない・水質がキメ細かくない・味が華やかでない・茶気が爽やかでない・・・などなど。
春と比べるからそうなる。
昨年の秋に出品した4種。
『倚邦古樹青餅2014年・秋天』
『易武荒野青餅2014年・秋天』
『漫撒三家青餅2014年・秋天』
『易武単樹青餅2014年・秋天』
”易武単樹”以外は、易武山の工房に農家が売りに来た毛茶(原料となる天日干し緑茶)から良いのを選んで圧餅加工した。この方法は、山を巡って農地を見て茶樹を選んで目の前で茶摘みをしてもらうよりも、何十軒もの農家の毛茶を比較して選べるので、良い素材に出会う確率が高いだろう・・・と考えたのだったがハズレた。
どんぐりの背くらべの中からましなのを選んだだけで、春のお茶に引けを取らない秋のお茶は無かった。
根本的になにかが間違っている。
今日のお茶。
『南糯山秋天散茶2013年』。
南糯山秋天散茶2013年
こう推測してみた。
春の魅力は新芽・若葉に宿る。
秋の魅力は大きく成長した成葉・茎に宿る。
茶葉の成長度によって宿る内容成分は異なる。
秋ならではの魅力を求めるには、しっかり茶葉が成長するのを待ってから茶摘みをしたほうがよい。
茎は長いし太いし、繊維は硬いし。揉捻しても捩れずに開いたままの姿になる。見た目が悪くて売り物にならない。
春と比べるからそうなる。
新芽・若葉を摘み取らずに1週間ほど待つよう農家にお願いしても、うまくゆかない。
他人と異なることをして損をしたくないから、農家はみんなと同じ仕事しかしたがらない。

大きく成長した成葉・茎を重視したお茶づくりは、他の地域では行われている。
新しいことではない。近年の西双版納ではしていないだけで、昔はそういう茶葉のお茶もあった。生活の黒茶がそうだったし、漬物の茶(食べる茶葉)もそうだった。
秋の茶葉の魅力を発掘する仕事はこれから。

ダイ族バナナ包み焼き
春肉
豚脳バナナの葉包み焼き
バナナの花バナナの葉包み焼き
涼片
もち米
上海からグルメの友人が来て4日間美味いものを食べた。
9月のはじめ。
このタイミングしかないもの。
山の幸、田んぼの幸、村の幸。
ダイ族料理
ダイ族料理
ダイ族料理
猪顔
ダイ族料理
9月になったとたん西双版納の天気が崩れた。秋のはじまりの長い雨。ザーッと降ってサッと止んでカラッと青空になる8月とは違う空気。雲が空に低く広がる。冷たいく細い雨が夜に降る。
このためキノコ類がいっきに減った。豆やイモ類は甘味が増した。瓜や青菜は苦味が増した。田んぼの用水路で捕れる小魚類が増えた。
季節の食材は今の季節を生きるために自らの身体の成分を調整している。
自分の身体もまた、秋の身体をつくるために季節のものを求めている。
秋の魅力をお茶に求めるのは、自分自身が秋の身体、秋の心になってゆくということ。
棘の草
ダイ族料理

漫撒古樹青餅2013年・緑印 その13.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山瑶洞古茶樹春茶
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : マルちゃんの片口・茶碗
緑印プーアル茶

お茶の感想:
森のお茶を飲むとその景色が想像できる。
行ったことも見たこともないのに、なんとなく分かる気がする。
身体という自分にある野生が、原始の森を知っている。
想像しようと頑張らなくても、身体が勝手に思い出してくれる。
風の道の茶葉に風が記録されていたように、森の茶葉には森が記録されている。
茶葉のミクロの繊維が風や森を物理的に記録している。
我々の身体もミクロの組織のどこかに物理的になにかを記録しているだろう。
先祖の経験した森を知らないわけがない。
今日はこのお茶。
+【漫撒古樹青餅2013年・緑印】
久しぶりに注文があり、手元のサンプルを飲んでみる。
緑印プーアル茶
緑印プーアール茶
しみじみ美味しい。
ずーっとこのまま飲んでいたくなる。
手足の指先が暖かくなってジンジンして、ゆったり湯上がりのような酔い心地が身体をめぐる。
何かに例えたくなる香りがあるわけでもなく、わかりやすい濃い味があるわけでもない。
自分の中のなにかが揺れて、すべて流れてゆく。消えてゆく。見えないチカラに圧倒される。
典型的な西双版納の森のお茶。
西双版納に居て、中国の全国各地から来る小売店や卸売の人の茶葉の買い付けを傍らで見ているが、こういうお茶は難しい。多くの人がわかりやすさを求める。お客様にもわかりやすいから売りやすい。
何度飲んでも飲み飽きしないお茶はわかりにくい。言いようのない魅力。
緑印プーアール茶
体感の心地よさ、その上質を短時間のティスティングで見分けるのは難しい。
このお茶を試飲して、それに気付かない人もたくさん見てきた。
出会わない人は出会わない。
出会わない時には出会わない。

竹皮には抗菌作用があると言われるが、それは無菌状態だからではない。殺菌効果のある毒素があるからでもない。
竹皮の大好きな乳酸菌が、まだ水分のある一時期に住み着いて繁殖したときに酵素(天然の抗生物質)がつくられている。それが竹皮の表面に残っているので、他の雑菌を寄せ付けない。
竹皮
(白い粉を吹いたようなのが乳酸菌のつくった成分)
竹皮に包まれた餅茶は、不測の事態でもしも水が掛かるようなことがあっても、水分を得た竹皮に乳酸菌が再度繁殖して、さらなる抗菌効果を発揮して、雑菌から守られるだろう。
ある大手メーカーが、「竹皮は細菌だらけで不衛生」と宣伝して、クラフト紙包みにした自社製品をアピールしたことがあった。
さすがに大手メーカーのヘンな理屈は通らなかった。
消費者の知らないことを利用して、経済性や合理性を専門家を雇って説得して、自分に有利な商売をしようとしたが、お茶ファンには通用しなかった。


茶想

試飲の記録です。
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