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茶教室・京都

章朗古樹紅餅2016年・青印 その10.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 中国宜興土の茶壺・白磁の茶海・チェコ土の茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
茶海を使ったお茶淹れを試す。
やや難しいこの紅茶。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
茶葉
茶海
おなじ時につくった生茶のほうは上出来で、お茶淹れも難しくない。
紅茶に加工したこのお茶は不安定で味が安定しない。
その要因は火入れの少ない製法にある。
熱によって変化しやすい成分と、そうでない成分と。
これが混じり合ってなじむように泡茶の湯加減と蒸らし時間を調整しなければならない。
高温+短時間と、低温+長時間。この中間に近づけるために茶海に注いでから1分ほど温めながら待って(ここ大事)、成分のなじむのを待つ。
泡茶1
泡茶2
泡茶3
とてもカンタンに美味しくなる。
まろやかで優しい味。
このお茶の場合、まろやかにすることで味をぼかして、底の方にある古樹ならではの力強さを感じさせる表現ができる。
泡茶3
表現は、飲む人に合わせる。
例えば、西双版納孟海県の古樹の紅茶を味比べする機会のある人には、少々荒々しくても直接的な表現のほうが喜ばれる。
そこに興味のない人には、茶海のまろやかな味のほうがウケるだろう。
茶海を使わずに茶壺から茶杯に直接注ぐやり方はとても集中力がいる。
頭の中で熱と茶葉の成分との関係をいろいろ考えて、細かな工夫をしなければ味が荒れやすく、まとまらない。
自動車の運転に例えるとオートマチック車とマニュアル車のようなもの。
お茶淹れの技術を向上させたい場合、湯と茶器と茶葉との関係が手に取るようにわかる直接注ぎのマニュアルトランスミッションが良い。茶海を使うとお茶の味が偶然なのか技術なのかが見えにくい。なんとなく淹れることに慣れてしまうだろう。
お茶淹れの難しさと楽しさは表裏一体。

巴達古樹紅餅2010年 その29.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壷・茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
昨日につづいて茶海(公道杯)を使った淹れ方を試す。
2010年の雲南紅茶。
【巴達古樹紅餅茶2010年】
茶葉
注ぎ
温め
注ぎ
茶湯
茶海に注いでから炭火の遠火で保温して1分ほど蒸らす。
ぬるめの湯で蒸らし時間をとりたいから。
茶壺には熱々の湯を注ぐ。そうしないと熟成13年めの茶葉は眠りから醒めない。そもそも雲南大葉種の繊維と成分はぬるい湯では味がまとまらない。
熱々を注いだ茶壺の中で蒸らし時間を長くすると煮えすぎる。80度くらいの温度をキープしながら待つのは茶壺では無理。茶海に注いでから保温して待つ。
いつもの直接茶杯に注ぐのも試した。
直注ぎ
茶湯
結論から言うと、茶海を使ったほうが良かった。
一煎めから四煎めくらいまで、すべて茶海で通したほうが良いだろう。
この茶葉にはそのほうが似合う。
ふたつの観点からそう思える。
ひとつは効果。
もうひとつは味の表現。
効果については上にも書いた通り。
熱々の湯を注ぎたいが、熱々のまま蒸らしたくない。茶海を中間にはさんでぬるめの湯をキープする時間がちょうど良い。
鈍感と敏感が共存する茶葉の成分。
熟成のすすんだ茶葉。しかしながら春先の柔らかい新芽・若葉。しかも製茶工程で高温を通したことのない”生”な仕上げ。
この2つの相反する熱への反応の中間を取るのに茶海を使うのは効果的。
もうひとつの表現について。
お茶づくりの価値観というか世界観の違いが根底にある。
山の環境や茶樹の健康をダイレクトに味わいたい生茶のプーアール茶なら、直接注ぎのほうが素質の良さを表現しやすい。茶海をとおしてちょうどよい濃さで美味しくなったとしても、どこか物足りなく感じる。
しかしこのお茶は紅茶。
もちろん山の環境も茶樹の健康も申し分ないが、茶葉が赤くなるまで軽発酵をすすめて成分を変化させ、ぼかした風味・優しい体感に加工している時点で求めているものが異なる。
そうなるとむしろ隠したいくらい。
隠しても隠しきれない山の力強さや茶樹の生命力。
一見、ぼんやりした紅茶の風味に、飲む人が得体のしれない異様なチカラを見てしまうほうが、表現としてはカッコいい。

巴達古樹紅餅2010年 その28.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壷・茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
晴れた日の朝に飲むのが美味しい。
『巴達古樹紅餅2010年』。
茶葉やや多め。
三煎までいつものとおり。
濃くもなく薄くもなく。閉じた風味を味わう。
熱が入って味のバランスが良くなった四煎めからは鉄瓶の上でじっくり蒸らして抽出。
餅身
表
裏
蒸らし
茶湯
葉底
春茶の舌にピリピリする刺激がゆっくり消えてゆく感じがよい。後味にメントールの涼しさ。
体感は上昇気流でいっきに昇りつめる。
熟成は、すすんではいるが大きな変化はなし。
(もちろん微生物発酵はしていない)
香りにお香っぽさが微かに出ている。

巴達古樹紅餅2010年 その27.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺紅泥・チェコ土の茶杯 鉄瓶・炭火
茶具
缶
鉄瓶
温壺

お茶の感想:
10年前にはじめてつくった紅茶。
+【巴達古樹紅餅2010年】
注ぎ
注ぎ
ひとことで言うと、プーアール茶っぽくなってきている。
まだそんなにはっきりしないけれど、手元に数枚置いて何年もかけてちょっとずつ飲んできたからわかる。
茶湯
茶葉にしっかり熱を伝えたい。
熱が伝わらないと”熟味”の良さが出ない。
はじめの3煎めくらいまでは、熱熱の湯を注いでさっと切って、香りを抽出する感じ。
茶葉に熱が入ってきた4煎めくらいからは、じっくり蒸らして、味を抽出する感じ。
香りに火や煙があり、味に海や地がある。
圧倒的な自然の迫力。
昨年の秋
(昨年2019年の秋の写真 農家の若者が撮影)
孟宗山の古樹。
一天一采で紅茶をつくる。
今朝、村の人10人ほどが采茶のために山に入った。
春の新芽
(現在2020年の早春の新芽の写真 農家の若者が撮影)
農家の若者がすべてやってくれる。
自分ができるのは、天気が崩れないことを祈るだけ。
道具

巴達古樹紅餅2010年 その26.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
紅茶2010年
380gサイズ

お茶の感想:
熟成の方針が固まってきた。
2016年までのお茶には、多かれ少なかれ保存環境を変えてきた熟成味がプリントされている。
わかりやすいのが2010年のこのお茶。
+【巴達古樹紅餅2010年】
カンタンに言うと、はじめの3年間ほどの保存環境は温度・湿度ともに高めだった。
紅茶はそのへん敏感。
2013年から後につくった紅茶は、産地の西双版納から半年以内に出して別の地域に置いている。
なので、手元のいくつかの紅茶の熟成味は大きく2つのタイプに分けられる。このお茶と2011年の『紫・むらさき秋天紅茶2011年』と、それ以降のお茶と。
+【紫・むらさき秋天紅茶2011年】
このお茶にプリントされた熟成味の特徴は、ドライフルーツのような熟れた甘い香り。酸化したやや酸っぱい味。
西双版納で保存されている生茶のプーアール茶にはよくあるタイプ。
この10年ほど、西双版納の現地で保存熟成したのが増えて、このタイプの風味に慣れてきたお茶ファンも増えて、市場ではそこそこ支持されている。
このタイプは茶気が穏やか。
ガブガブ飲むと身体が辛くなるお茶でも、熟成したら味も体感もまろやかになる。
このタイプを好む人を観察していると、おそらく味よりもこの体感のほうを好んでいるように見えるが、どうだろ。
とにかく、西双版納の環境は生茶と紅茶の熟成には向いていない・・・・と自分は推測した。判断した。これに掛けてみる。
なので生茶と紅茶は西双版納で熟成させないことにした。
炭団
洪乾
このお茶をゆるい弱い火で長時間炙って出す。
炭団に火が着いてから灰で厚く覆って手をかざしても熱くない程度にする。
6時間ほどかけて390gあった重量が375gにまで軽くなる。減った15gは水。さらに陰干しに一日かけて粗熱をとると5g増えて380gになる。5gの水が戻っている。(1枚毎に10g前後の差はある。)
鉄瓶
マルティンハヌシュ
2煎め
こうすると風味が軽くなる。
ドライフルーツの熟れた香りはほぼ消えてドライフラワーくらいになる。酸っぱい味も全体のバランスに溶け込んでまるく納まる。
3煎めくらいから薬草っぽいスモーキーな香りが出てくる。バニラっぽい甘い香りもある。この香りに奥行きがあって景色がひろがる。
景色のある味は上等。
葉底

巴達古樹紅餅2010年 その25.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
鉄瓶
炭火

お茶の感想:
茶葉の芯にひそむ水。
茶葉の繊維のミクロの水道管に残るわずかな水が保存熟成にとってマイナスである・・・とは言えない。
逆の可能性も考えてみる。
物理的には水を完全に抜くことは無理なはずだが、もしもそうなったら茶葉の繊維が傷むだろう。
繊維があるていど水を持っていたほうが、保存熟成にとって良い面があるかもしれない。
そう考えると思い当たるところもある。
巴達古樹紅餅2010年
巴達古樹紅餅2010年
この紅茶には2015年の秋に熱風乾燥を試したサンプルがあった。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.】
100度に近い熱風で焙煎したとも言える。
このときの文章を振り返ってみると、茶葉が生まれながらに持つ酸化酵素の変化に注目している。酸化酵素は70度で失活する。しかし、すでに乾燥している茶葉と水分を沢山持つ茶葉とは、熱の伝わり方が異なる。
おそらく熱風乾燥くらいでは酸化酵素を死活化させるほどの作用はない。
なにか別の要因。
「燥」と表現していたドライな風味になったのは茶葉の繊維の変化に原因があるのではないのか?
熱風乾燥してから2年経つ。
このサンプルは上海の友人の店に残してあって、興味のありそうなお茶マニアに飲んでもらっている。
その評価はというと熱風乾燥をしていない”生”のほうが圧勝。
”生”のどこがよいのか。
熱風乾燥
生
上: 熱風乾燥
下: 生
この2つを飲み比べると、味の違いはわずか。
熱風乾燥のほうがやや酸味が強い。味の輪郭がハッキリしている。”生”のほうは全体的にぼんやりしている。
それよりも口当たりに大きな違いを感じる。
”生”のほうは口に溶ける。喉をすべる。腹になじむ。
葉底
左: 熱風乾燥の葉底
右: 生の葉底
”生”のほうがより赤く変色がすすんでいる。同じ環境に保存していても茶葉の繊維の水を含む量が”生”のほうが多いとしたら、この色の差は当然である。
すごく微妙だけれど、指で触った感じが”生”のほうがフワフワ柔らかい。
保存熟成の茶葉の芯にわずかな水が保たれる効果が、ここにあるかもしれない。
この茶葉の水は、保存のときの通気を許すことによって少しずつ新しいものに入れ替わったほうが良いと推測している。
別のお茶を試す。
生茶・紅茶・熟茶を長期熟成させているが、熟茶の茶葉は芯の水が溜まりにくい。
微生物発酵の黒麹菌の菌糸が茶葉に潜り込んで、ミクロの水道管に穴をいっぱい開けるからだろう。多少湿度の高い環境に保存しても保湿力がないから乾燥を保った状態となる。
+【大益茶磚96年プーアル茶】
熟茶
今あらためて飲んでみると、おしるこ。
粉っぽいというか埃っぽいというか、小豆のようなきな粉のような風味がある。甘味・旨味は穀物レベルの豊かさを感じる。
常温の焦げと呼んでいるメイラード反応がさらにすすむとお香のような清らかさを得る。
保湿力がない熟茶と、熱風乾燥によって繊維が乾いた『巴達古樹紅餅2010年紅茶』とは、ちょっと似ているような気がする。

巴達古樹紅餅2010年 その24.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン・炭火
醒茶器

お茶の感想:
茶葉の水を抜く。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
熟成8年目になり、茶葉の繊維の結束がゆるんできて、ミクロの水道管が水を溜めにくい状態になっているのだろうか。先日水抜きをした2016年の茶葉よりも出てくる水の量が少ない。
+【章朗古樹紅餅2016年 その3.】
同じ環境に保存していても茶葉のコンディションによって水の量は異なる。
一般的に熟成期間の短いうちは茶葉の繊維が水を多く含みやすいから、吐き出す量もそれなりに多くなる。
醒茶器を鉄瓶の上
このお茶は熟成がうまくいっている。
最初の3年目くらいまでは生茶のプーアール茶と同じように通気を許して、4年目くらいから乾燥気味に保存するようになり、5年目の2015年の秋に上海の事務所を閉めて西双版納や日本へ搬出するために1枚毎に密封したのを機会に、現在もそのまま密封保存している。
意図せずとも茶葉は水分の少ない状態で密封されることになった。
このまま密封しておくのか、それとも再び通気を許してみるか。
密封すると水が入れ替われない。
水抜きして出てきた水の臭いは古い土壁みたいな感じで、あまり良い印象ではない。
水抜きした後のお茶の味は清らかさがある。
炭火
鉄瓶
チェコ土の茶壺
巴達古樹紅餅2010年
やはり通気を許して、水が入れ替わるようにして保存したい。
その前に水分をちょっと抜いておきたい。
しかし、高温で加熱してお茶の味を変えたくはない。
低温の熱の晒干(天日干し)という手がある。もしくは晒干と同じくらいの弱い熱を炭火の照射熱から得る手もある。
とりあえず1枚テストしてみる。
鉄瓶の工房
砂鉄
鉄瓶の工房を見学してきた。
ホンモノの砂鉄で鉄瓶をつくったら、どうしても1つ40万円以上はする。

巴達古樹紅餅2010年 その23.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン
川を見ている
川を見ている
川の社
川と舟
川と朝日
川を見ている
夕焼けの空
川の夕焼け
川の月
川の月

お茶の感想:
また川を見ている。
+【ずっと川を見ている】
前回の勉強会”煎じるお茶”に思いがけない成果があった。
火入れの火(熱)でお茶の味も変わるし体感も変わる。
製茶のときの火(熱)のように、お茶を淹れるときの熱もまたお茶の性質を左右する。
中国茶には様々なお茶があるが、そのつくり分けは薬効のタイプをつくり分けるところからはじまったと推測している。
昔はお茶がもっと医食同源に近いところにあったから。
茶葉を炙ったり煮出したりは薬草を煎じる感覚に近い。
西双版納の山の農家では今でも薬草を採ってきて家庭の常備薬をつくっている。村にひとりは詳しい老人がいる。例えば三七(田七人参)は、生のまま・天日干し・炙り・煮出し、などの加工によって効能が異なる。
お茶づくりの火入れもこのようであったと考える。
タイのチェンコーンに滞在中にこのお茶に気付きがあったので記録する。
+【巴達古樹紅餅2010年】
雨の川
雨
タイの北部のチェンマイやチェンコーンに行くときはいつも崩しかけの餅茶を持ってゆく。ジップロックに密封しているけれど、お茶を淹れるたびに開封して湿度の高い空気に晒す。パリパリに乾燥していた茶葉が一週間後には湿って、柔らかくなるのが指先の触感でわかる。一煎分ずつ小さな袋に小分けして密封しておくとよいが、面倒なのでしていない。
餅茶ごと晒干(天日干し)する。
餅茶を晒干
チェンコーンの太陽はとくべつ強く感じるが、おそらく広大なメコン川の水面や、空の真っ白な雲に反射した光のせい。
ちょっと思いついて、今回は晒干する前に崩した茶葉をちょっと残しおいて、晒干した後の茶葉と飲み比べてみた。
2時晒干した。晒干後は茶葉の粗熱がすぐには取れないので翌日に淹れた。
巴達古樹紅餅2010年泡茶
巴達古樹紅餅2010年泡茶
思った通り。
晒干のは火入れのとよく似た風味になっている。
体感も火入れのと似ている。
調子に乗ってこんなこともしてみた。
茶壺で茶葉を炙る
茶葉を火入れする
茶壺を銅のヤカンの口に据えて、お湯を沸かす湯気で茶壺ごと茶葉を温める。40分ほど。
より火入れのすすんだ茶葉になる。
火入れ後
茶壺の中は水が入っていないのでカラカラ。
かすかに焙煎香が出ている。もちろん烏龍茶とまではゆかないが、その雰囲気はある。
泡茶焙煎後
味は紅茶そのもの。メイラード反応に似たココアっぽい風味が出て、やや糖質の焦げた甘い香りがある。
透明感が増して、ひとことで言うとサッパリしている。生の辛味のピリピリ感はなくて、喉の通りがスッと落ち着いている。腹の収まりも良い。
もちろん失うものもある。色彩豊かな複雑な風味、一煎ごとの表情の変化。これらは生の特有の魅力だったことがわかる。
晒干の餅茶
生に仕上げた晒干の紅茶だからこそ、淹れるときにちょっと手を加える余地がある。
冷蔵庫もない時代の昔の家庭では、保存食の食材の蘇生方法がいろいろあっただろう。
そこに家庭の医学のような知恵も潜んでいたと思う。

上海の坊
8月中頃から上海の坊が京都に遊びに来てバタバタして、彼らが帰ってすぐの8月末にタイのチェンマイに移動して、やっとひとりになったのもつかの間、今度は西双版納の茶友がラオス経由でタイに来てチェンコーンで合流してチェンライまでいっしょに行って、またチェンコーンに戻ってやっと落ち着いたらもう9月中盤。
日本から飛行機を乗り継いでチェンマイの宿に着いて疲れて爆睡して目が覚めたときに、ほんの3秒くらいだと思うけれど、ココがどこかわからなくなっていた。もしかしたら一瞬自分が誰かもわからなかった。
けっこう慌てた。こんなことはじめて。今度寝て起きたらどうなるのだろ。
ランテン村
アンティークの布
チェンコーンからチェンライ伸ばす
パパイヤビレッジ
チェンコーンに遊びにきている韓国人のジョンさんにこの話をしたら、「僕もときどきなります」とのことなので、大丈夫かなと思う。ジョンさんはあちこち気ままに旅して移動が多いから、体と気持ちの在るところにタイムラグが生じるのだ。
この件はそういうことにしておく。

巴達古樹紅餅2010年 その22.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶+火入れ
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
チェコ土の茶壺
チェコ土
鉄瓶

お茶の感想:
台風が近付いているせいで湿った暖かい風が吹いている。
空気中の水が皮膚を圧迫してうまく汗が出ない。
こんな日は発酵度の高いお茶で身体の芯を温める。
いっきに汗がでるので着替えを用意してシャワーする。
毒抜き完了。
この目的では茶気の充実している早春の新芽・若葉のお茶がよい。アルコール度数の高い酒と似ていて、茶気の強いお茶は茶の成分を短時間で身体に巡らせるチカラがある。
茶葉
このお茶。
【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
”生”と”火入れ”の体感の違いを探る。
味や香りはすぐにわかるけれど、体感を確かめるのには時間がかかる。何度も飲んで身体が気付くのを待つしかない。その日の天候や体調も影響するから、夏から冬にかけて時々飲んで様子を見る。
昔の人が紅茶の製法を完成させた過程で、どのような薬効を求めていたのかを想像してみる。
白茶・黄茶・緑茶・青茶・黒茶にはない、紅茶ならではの薬効。
”生”と”火入れ”についても、どちらが紅茶の目的に合っているのかが考慮されただろう。
今日は鉄瓶の熱い湯でじっくり抽出してみた。
火入れ
まず火入れバージョン。
一煎めから透明感のある味わい。
ひとことで言うとまとまっている。
濃い目にするとやや酸っぱい。生よりも酸味が立つ。この酸味は長期保存した烏龍茶にもよくある。味はバランスで、バランスが良いと酸っぱさに気付かされないけれど、意識してみたらあんがいあるものなのだ。
味が澄んでいると喉からお腹への通りもよい。すっと入って収まる。
血が巡って上気して汗が出てくるが、茶酔いは軽い。新芽・若葉の強い茶気で頭がゆらっとくるが、シャキッと覚醒するほうが勝っている。朝の一杯にピッタリな感じ。
生バージョン
つぎに生のバージョン。
香りは生がよい。熱湯を注ぐと春の花の香りがぱっと蘇る。香りの中に涼しいメントールを感じる。
やや味が濁っている。渋味もある。良く言えばボリュームを感じるが、味が濁っていると喉から腹への収まりがスムーズではなくなり胸につかえる感じがする。濃い目に淹れると生の辛味のピリピリが喉を刺激して一瞬イガっとくるが、消散するのが早いので悪くはない。この刺激は後からメントールの涼しさとなる。
荒れた感じがするのは1煎めだけで、2煎・3煎とすすめると落ち着く。渋味は穏やかになる。味は透明感を増して収まりもよくなる。
茶酔いはやや強い。グルグルくる。生の酔いは揺れが大きい。身体にやや重く感じる。そして眠くなる。朝向けじゃないかも。
飲んだ順番もあるかと思うので、明日は逆の順番で飲んでみる。
汗をかく
生のほうは煎ごとの変化が大きくて、火入れのほうは小さい。
では、大きめの茶壺で一煎出し切りにしたらどうだろ。
これも次回に試そうと思う。
生バージョン

上海のお茶ファンに向けてのイベントをもっとやろうと思う。
お茶をよく飲むし、お金も使っているし、厳しい目をもっている人たち(悪く言えばスレている)に叩かれたほうが自分にも良い。
日本人は面と向かって批判的なことを言うのに慣れていないが、上海人は慣れている。
自分の意見を言い出して止まらない人に「今日はわたしが老師を担当します!」と制することが何度もあるが、面白い意見が出て思わぬ方向に転がってゆくこともある。年配の参加者からは昔の古き良き時代の経験談が聞き出せることもある。
前回は日本語と中国語と分けて行ったが、中国語の聞き取りができる日本人は中国語のほうの勉強会に参加する手もある。
そういうのも企画してみようかな。

巴達古樹紅餅2010年 その21.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶+火入れ
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン・白磁の茶杯
銅のヤカン
白磁の茶杯

お茶の感想:
上海での勉強会がよかった。
”体感を探る”がテーマ。
これだと茶葉の良し悪しよりも、自分の身体に合うかどうかで評価できる。
茶葉の良し悪しの評価は難しくて、参加者は間違うと恥ずかしいから遠慮しがちになる。
勉強会の茶葉は、良いものだけでなくやや問題があるのも出した。(もちろん健康を害する問題ではない。)
身体に合うかどうかを先に見て、その後から茶葉の品質についての答え合わせをする。
参加者は7月31日の中国語と8月1日の日本語と合わせて13人ほど。
参加者の中にはある種のお茶に身体が合わない人がいて敏感に反応してくれた。
新しく見つかった2つの問題。
早春に采茶したことによる成分に弱い人。
”生”な製茶の仕上げによる成分に弱い人。
どちらにも弱い人、どちらかに弱い人があった。
”生”な仕上げに弱い人は、たとえ冬片老葉のような季節外れの大葉でも酔い心地に気持ちよさがないということがわかった。
さらに1950年モノという長期熟成を経てもまだ”生”を感じるということだった。
こうなるともう生茶のプーアール茶は全部身体に合わないから、焙煎の効いた烏龍茶を飲んだほうがよい。
『巴達古樹紅餅2010年紅茶』。
この火入れバージョン。
火入れバージョン
上海に置きっぱなしにしていたのを持ち帰ってきた。
銅のヤカン。清代末期の景徳鎮の杯。そして火入れバージョンのこのお茶。
『巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.』(火入れの様子)
火入れバージョン
上の記事を読んでみると火入れバージョンの評価は低かった。
喉から胸にかけて”燥”な感じで、潤いがなかった。
乾燥機の熱がそのまま茶葉に記憶されたような感じ。
1年半ほど経った今は落ちついて、潤いを取り戻している。
火入れしない”生”のほうは涼しい口当たりが特徴。
火入れバージョンには、この口当たりの涼しさはないが、飲んだ後の余韻の涼しさはむしろ火入れのほうがよいかもしれない。
”生”なほうには、舌にピリピリした刺激がある。
おそらく苦手な人はこれがダメなのだろう。現地では”鮮味”と呼んでいる。
一長一短なので、どちらが良いか判断できないが、いろいろヒントをもらったのでこれから時間をかけて検証する。
火入れバージョン

鉄と銅。
鉄と銅
熱の伝わり方がぜんぜん違う。
銅のヤカンは表面がキンキンに熱くて、ちょっとでも手が触れたら痛いくらい熱い。
鉄瓶は表面が細かくボコボコザラザラと凹凸しているので、指が触れてもそれほど熱くない。
銅のヤカン
銅の肌と鉄の肌との違いは、お湯に伝わる熱の違いにもなるはず。


茶想

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