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版納古樹熟餅2010年 その46.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 白磁の蓋碗・チェコ土の杯 鉄瓶+炭火
蓋碗

お茶の感想:
昨日、この茶葉は煮やしてはいけないと理屈をこねたので、煮やしにくい蓋碗を試す。
このお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
餅茶を一枚分ずつ崩して陶器の壺に入れている。
茶葉
1ヶ月でまろやかになる。
2ヶ月で透明感がでる。
3ヶ月でお香がかすかに薫る。
微生物発酵の熟茶は、もとの茶葉にはなかった成分を微生物がつくりだして、その成分が熟成変化するから、味の変化が早いというか、わかりやすい。
500円玉くらいの大きさに崩して壺に入れているが、さらに指で細かくして、サッと湯を通しただけで抽出さるようにする。500円玉のままでは成分が出てくるのに時間がかかり、煮やしてしまうから。
崩し
白磁の蓋碗は茶葉を裸にする。
よく見える。
香りが立つ。
味の輪郭がはっきりする。
味や香りの要素のつぶつぶの粒子が混ざらずに原色のまま光る。
昔のブラウン管テレビの画面を近くで見たときの三原色の粒みたいな感じ。
カラー
試しに蓋碗からそのまますすってみると、いろんな味や香りがバラバラのまま飛び込んでくる。
混ざらない。
まとまらない。
気持ちもどこか落ち着かない。
やはり茶杯の中で溶け合ってもらわないと。
注ぎ
溶け合って姿を消す。
液体のトロトロした感じや舌に甘い感じが、茶葉の栄養の豊富さを表しているが、無い味。
この矛盾の味。
茶葉を煮やさない蓋碗の効果なのか、無い味が強調された気がする。
隠れた姿を追いかけて2杯も飲むと、茶酔いが回ってきて地球が回る。
3煎でピークを超える。
湯呑み
新芽・若葉が多く、しかも茶葉の繊維がモロくなるほどしっかり微生物発酵しているこのお茶は、これでいいのだ。
お酒でいうと大吟醸中汲みみたいな位置づけだろうか。
3煎ですべてを出し切るスプリンターでよい。
3煎で終わる。その名残り惜しさで茶酔いを噛みしめる。
4煎めには落ちる。
もちろんまだ飲める。もったいないから、保温ボトルに茶葉を移して熱々の湯を注いでじっくり煮やして、水分補給のお茶にでもする。
葉底

ひとりごと:
茶酔いよければすべてよし。

版納古樹熟餅2010年 その45.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の秋水の茶壺・チェコ土の杯 鉄瓶+炭火

お茶の感想:
古物の鉄瓶をまたひとつ入手した。
思ったよりもいい感じ。
鉄瓶
ホンモノなら昔の釜師のつくったもの。
一見どうってことのないよくあるカタチだが、細部の作り込みがさり気なく徹底的である。
入手したてのときは、内側の表面がかなりサビていた。
擦って落として、茶葉で煮て、新しく黒鉄の皮膜をつくったら復活した。まだまだ現役でいられそう。たぶん自分のほうが先にくたばるだろう。
注ぎ口を覆うようにこびりついた湯垢を細いヤスリで丁寧に削っていたら、ボロっと割れて落ちて、中から元の姿のシャープな角度の注ぎ口が現れた。
水の落ち方が繊細で美しい。
湯を沸かしてみても違いが現れる。
例えば、湯気のユラユラに粘りがある。
水かけ
内側
意図的に作られたのかどうか知らないが、内側の表面がややボコボコと荒肌である。それが効果を生んでいると思われる。
ひとつ増えたから、ひとつ減らしてもよい。
良い道具を、わかる誰かに譲ってゆきたいが、それがあんがい難しい。
道具の個性とその価値を理解するのに時間がかかるから。
そこをカンタンに伝えようとして空回りして、下手をしたら意地悪な結果になる。
そんなことになるくらいなら、自分ひとりで楽しければいいや・・・と、閉じこもる。
このお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
茶壺
湯呑み
このごろ背の高い湯呑みを使う。
熱は上に向かうので、熱の通り道になる湯呑みの表面はカンカンに熱い。すぐには持てない。なかなか冷めない。
イライラするよな。
しかし、いろいろ試した結果、このお茶にはこれが一番にいたる。
湯の温度、味の出方、手の持ち味。
手に持ってやさしい熱になるまで待たなければならない。
待ち時間がこのお茶の絶妙な味をつくる。
湯呑みの中での待ち時間の分、茶壺での蒸らし時間を短めにできる。そこがポイント。茶葉を煮やさないで済むこと。
湯呑みで湯の温度がゆっくり下がりながら、茶葉の成分が水に溶けて化学反応がすすむ。
注ぎ
手
新芽・若葉で構成された熟茶は、煮やすとはじめの3煎めくらいまでの美味さを逃してしまう。煮やさないようサッと湯を切っても、杯の中で温度が急に下がると化学変化のすすむ時間が短かくなる。
背の高い湯呑みだからこその絶妙のバランス。
それがなぜか?という説明をしだすと長い長い理屈をこねて疲れるからやめる。
十年かかって学んだことだから。
結論、このお茶は背の高い湯呑みで飲むべし。
面倒だからそれだけ伝える。
誰かがそこだけ試してみて、湯呑みを持ったらアチっ!となる。
間違って茶壺で煮やしたのを注いで、よけいに煮える。
そんなに待てないシチュエーションでお茶を飲んでいるかもしれない、例えば、子供のいる家族とかには向かない。
他の熟茶でうまくゆくわけでもない。製法が違ったり茶葉の構成が違ったりすると結果は異なる。
背の高い湯呑みはちっとも良くない。
勘違いで誤解されて評価を下げる。
やっぱり、自分ひとりわかればいいや・・・と、なる。

ひとりごと:
自己評価よりも他人の評価が低いときの、その味わい。
いいよな。
ホッとするというか、どこか安心できる。

版納古樹熟餅2010年 その44.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
茶器

お茶の感想:
このお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
最近、濃いのを飲んでいる。
くすりのつもり。
濃い
3煎で出しきるくらいじっくり蒸らす。
湯を注いで、茶壺の表面がカンカンに熱くなってからゆっくり冷めてきて、指をあてても平気なくらいまで待つ。
発酵がしっかりしている熟茶は、濃くなっても味は淡くて透明。水質はとろんとしているのに清らかな舌触り。
熟成がすすむほどより清くなる。
10年熟成の清らかさ。
20年めが楽しみ。
薄い
4煎めには色が出なくなる。
そのくらい3煎めまでをじっくり蒸らしたということ。
お茶をくすりにしたいとき、お茶の毒を意識して摂取する。
毒がどのように身体に良いのかなんて知らない。
けれど、経験的に毒が必要なのはわかっている。
毒を嫌っちゃいけない。知識で白黒をつけたら利用できなくなる。バランスが崩れる。
どのくらいまで自分の身体はいけるのか。
飲んだ後の身体の変化に注意する。
例えば自分の場合、日本酒なら1合。ワインなら2杯くらい。ビールなら1本くらい。
そのくらいが酔い心地よく、気持ちよく眠れる量。
そんな感覚で、お茶の量にも見当をつけるべし。
日本酒

ひとりごと:
今日も山行くかな。

易武古樹青餅2010年 その41.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶+炭火

お茶の感想:
山歩き。
根
倒木
折れる
1年か2年前の台風で倒れた樹々。
今日はこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
濃くしすぎたのを飲む。
空
渋み
強烈なのに涼しい。
滝に打たれた感じ。
このお茶は水の気。水の炎。
冷たい水を浴びた後の身体になる。
空

ひとりごと:
お茶の効果にはタイムラグがある。
飲んだ後に、しばらくしてから身体が楽になったり気分がよくなったりしても、すでに時間が経っているからそれがお茶の効果であることを気付かない。
気付かないから利用できない。
ま、それでいいけどな。

易武古樹青餅2010年 その40.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶+炭火

お茶の感想:
今日はこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
蹴上
疎水
鳥居
社
灯籠
階段
道
道
椿
倒木
頂上
林を抜ける
光
茶
緑
火どこ
眺め
石
石垣
道
哲学
屋根
柱
門
水道
帰り
くぐる
美術館
鴨川
くもりのち晴れ

ひとりごと:
太陽がふんわり暖かかった。

巴達古樹紅餅2010年 その28.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶・炭火
日向
大文字

お茶の感想:
台湾人の茶友は赤いものと相性がよいらしい。
赤い肉、赤いワイン、野菜も果物も赤いもの。
中医からそうアドバイスされてから、なるべく赤いのを身体に取り入れるように心がけて、睡眠が良くなったり、その効果も実感しているとのこと。
なのでお茶は紅茶。
たしかに、体質と色の相性はあるような気がする。
今日はこのお茶。
+【巴達古樹紅餅2010年】
新型コロナウィルスで空気のこもったところでは集まれないから外に出た。
大文字山に登った。
春茶の季節なのに山に行けていない。
トレーニングになると考えて、半日くらいのちょっと長いコースを選んでみたが、ちょうどよい感じだった。
最年少の12歳の男の子がいちばん元気に歩いた。
大文字
保温ボトルでお茶をつくるコツ。
茶葉を少し入れて、熱湯を注いで、蓋を開けたまま10分くらい置く。
70度から80度の間くらいに冷めてから蓋をする。
こうすると保温ボトルにありがちな煮え味を防いで、爽やかさが保てる。
『巴達古樹紅餅2010年』は太陽に負けない。
明るいところで飲んでもじゅうぶんに開く。
茶
10年熟成の酸味とまろやかさと滋味深さと、ポッと火のつくような茶気と、チカラがみなぎる”陽”の茶酔いと、山歩きの疲れを癒やすのにピッタリのお茶。
このお茶以外に考えられない。
哲学の道
花びら

ひとりごと:
自分の食べものの色はたぶん白。
あまり意識していないが、例えばケーキビュッフェなんかで選ぶと、なぜか白いのに手が伸びる。
そういえば、かなり昔に色と身体の相性がわかる日本人にみてもらったことがあった。オーリングテストで白だった。
白は肺が弱い体質と言われた・・・。
危ない。

易武古樹青餅2010年 その39.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・杯 銅のヤカン+炭火
ヤカン
茶具
写真
朝日

お茶の感想:
タイのチェンコーンの川岸のいつもの宿でずっと待っている。
夜の空が白んできたら目が覚める。
お湯を沸かして、日の出を見ながらお茶を飲む。
この地域はあと1ヶ月したら夏だから、日が昇ると暑くて、メコン川で泳げる。流れが早くて、川上に向かって泳げば同じところに留まっていられる。
源流はチベットの雪解け水で、途中にダムが7つほどあって2週間くらいかかるのかな?それでも駆け下りてくる水はあんがい冷たい。熱帯地方とは思えない清らかな水。
ネットで現地と連絡をとりつつ中国へ入るチャンスを伺っているが、毎日状況が変わって、今回はちょっと無理そう。
ラオスの山へ直接行く手もあるが、そっちは中国人の茶友のほうが難しそう。
たとえラオスの高幹のお茶づくりができても、ラオスの村では完成できなくて、中国へ持ち込んで圧餅の二次加工をしなければならない。
その陸路の国境は封鎖されていて、中国人でもラオス人でもない外国人の自分は往来できない。
万事休すとはこのことか。
ま、若い茶友らがなんとかするだろ。すでに現地入りして春のお茶づくりの準備をしている。
自分は行けなくてもお茶はできる。
ところで、チェンコーンで炭炉を見つけた。
タイの北部とかラオスの北部で鍋料理があるのだが、それ用。
レストランのテーブルの上に置いて、小さな土鍋をグツグツ沸かしながら具を入れて食べるやつ。
ぜんぶセットで500円くらい。安!
ヤカン
炭火
七輪みたいに下から空気が通るから、けっこうな強火になって、ヤカンの吹き上げる熱い蒸気に怒りを感じる。
この強い気をお茶にする。
気の強いこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
たっぷり湯で茶器をじっくり温めて、茶壺の蒸気で茶葉をゆっくり蒸らして、ポンポンに沸いた湯を、ヤカンを持ち上げてちょっと手元で落ち着かせてから注ぐ。
茶葉
茶
アツアツは苦手だからちょっと冷まして口に入れるも、”火”のチカラが宿っていて、ひとくちしたら「プハーッ」となる。
何度か「プハーッ」としたら、底のほうからチカラがみなぎってくる。
風呂上がりのように火照ってくる。
朝焼け
葉底
川
川
船
子どもたち
冬の乾季が終わって夏の雨期がくる。
今はまだ乾季。気温は30度を越していても、雨がほとんど降らない。
この地域一帯はいまのうちに山も畑も枯れ草を焼くから、空が煙る。
漂う煙の粒子やら灰の粉やらを太陽の光がさらに焼くのだろうか。
肌にチリチリ熱いものを感じる。
この感じ。
いつもは春のお茶づくりの忙しさが迫ってくる予感になるが、今回はどうも違う予感が混ざっている。

ひとりごと:
+【チェンコーンのパパイヤビレッジの動画】 
友人のしている宿(自分の宿は別にあるけど、薬草サウナに来ている。)
パパイヤビレッジ
いつものようにメコン川で泳いでいたら、なんとなく心が騒いだ。
突然帰国を決めて、当日の飛行機のチケットを買った。
急いで荷物をまとめて宿を出て、ローカルバスでチェンラーイの空港へ。
深夜にバンコクの国際空港をトランジットしたが、東南アジアの入り口となっている空港はいつもより混雑していた。混雑というか混乱していた。
タイには欧州の人たちが多く長期滞在している。その人達がいっせいに帰国しようとしているのだろうか。慌てている様子だった。
次の日、欧州のいくつかの国が国境封鎖を発表した。
そういうことだったのか。
空

版納古樹熟餅2010年 その43.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
茶器
注ぎ

お茶の感想:
茶壺に湯を注いで、杯に注いで、それから杯の中でゆっくり冷めてゆく。
この冷めてゆく間に変化している。
熟茶はこのときまろやかになる。雑味が消える。
なので、ゆっくり冷めてほしいので、厚みがあって縦に長い湯呑みを選んだ。
また、そこそこ湯量のあるほうがゆっくり冷めるので、茶壺の大きさも選ぶ。
杯
寒い日は杯の暖かさが手にうれしい。
いくつかタイプの異なる茶器を持つと、その日の気分や体調に合わせたお茶を淹れられるからいいよな。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
茶器

ひとりごと:
茶器使いのノウハウを他人に聞くのは、ほどほどにしたほうがよい。
自分に聞くほうが大事だから。
自分の身体や感覚に聞く習慣を身につける。
そこにお茶の学びの価値がある。
上手か下手かなんて、どうでもいいことだから。

易武古樹青餅2010年 その38.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・杯・鉄瓶+炭火
餅面
茶葉の色
茶壺

お茶の感想:
熟茶づくりの実験が失敗に終わったので、「これからどうします?」とよく聞かれる。
+【熟茶づくり実験2019年 その8.】
失敗したけれど、当初の目的は果たした。
黒麹菌でスタートする微生物発酵を体験すること。
どんなときにどんな臭いがするとか、どんな温度になるとか、茶葉の色とか手触りとか、お茶の味とか。
わかってきたので他人の仕事が評価できるようになった。
つぎのステップは、渥堆発酵(微生物発酵)を代行する工房を探すこと。
原料となる晒青毛茶を自分で手配して、その工房で渥堆発酵してもらう。
水よし・空気よし・腕よしの三拍子そろったところを探す。
渥堆発酵は常に途切れなく発酵させている設備と環境がよい。アパートの一室を改造して発酵蔵をつくったとしても、年に一度するかしないかでは菌類のコンディションがよくないと考える。
ただ、熟茶づくりは急がない。もうちょっと勉強したい。
すぐにでも応用できるのは、生茶づくり。
これからの生茶づくりには微生物発酵を仕込むことにする。
生茶は、近年の製法においては微生物発酵していないのがほとんどと考えられるが、ゆっくりつくる昔ながらの製法では、わずかながら微生物発酵することがある。
例えばこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
殺青揉捻
製造工程をふりかえってみると、微生物発酵のチャンスは二度ある。
一度目は農家で。
殺青・揉捻してからひと晩かけて涼干(陰干)、それに続いて次の日の晒干(天日干し)、茶葉が湿っていて微生物発酵するのに十分な水分があるのは15時間くらい。
涼干
二度目は工房で。
お茶の紹介ページにこんなふうに書いている。
「工房に持ち込んだすべての毛茶は一日で圧延を終え、餅茶となって室内の棚に並べて涼干され、翌朝の太陽を待ちます。」
ここでも茶葉が少なくとも12時間は湿ったままである。
蒸すことの水分と予熱で微生物発酵がはじまるのは、この茶葉でも経験している。
+【章朗古樹春天散茶2012年 その2.】
このときは気温も湿度も高くてほんの数時間で発熱しはじめた。
圧餅
圧餅工房の部屋は暖かい。
薪火を焚く蒸し器(鉄製の大きな鍋)が、火を落としてからでも数時間は熱を放出して部屋をあたためる。鉄鍋に残る湯の蒸気が空気を湿らせる。
農家も工房の職人も微生物発酵の知識はない。
なので意図したものではない。だからムラがある。
試作品として1キロサイズの大きな餅茶をつくったが、これがいちばん微生物発酵のすすんだ状態で仕上がっている。茶葉が多くて乾くのに時間がかかるからだ。また、餅身が大きいほど微生物が増殖するときに出す熱がこもりやすい。このことも影響するだろう。
熟茶づくりで体験した、その味、その香り。黒麹菌が増殖するはじめの1日から2日めにかけて出てくるその風味が、今、このお茶に見つけることができる。
茶湯の色
もしも経験がなければ、ただちょっと甘めの生茶の味。微生物発酵の味が潜んでいることに気が付かないだろう。
葉底
葉底を指でつぶしたときの感じ。
茎の部分の繊維が柔らかくなっている感じ。この感じも、微生物発酵の初期に現れていた。
『易武古樹青餅2010年』はこの9年間でよい具合に変化してきた。熟成にも影響しているはず。
微生物のつくった酵素が茶葉に大量に残っている。
蓋
『章朗古樹春天散茶2012年』の茶箱を開けてみたら、蓋のトタン貼りの表面にうっすら白い粉がついている。
目で見えないくらい細かいけれど、指でスッとこする感触でわかる。
酵素?それとも胞子?いつかわかるときがくるだろ。

ひとりごと:
熟茶づくりの実験から得たものは、まだ言葉にならない情報がたくさんあって伝えるのが難しいけれど、口や鼻や目や耳や手がそれらを覚えている。文章に残さなくても大丈夫だし、他人に話ができなくても大丈夫。これから出品するお茶に何らかのカタチで現れる。飲む人に伝わる。

版納古樹熟餅2010年 その42.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 通気・密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
熟成壺
版納古樹熟餅2010年

お茶の感想:
台風が近づいている。
湿った暖かい空気が南の海を渡ってきて肌にまとわりつく。
夏の暑い日にはかわりなくても晴れの日とは身体の環境が異なっている。
気圧の変化も影響しているかもしれない。
自分の場合は、暑くても雨の日は朝から熟茶。
身体を暖める熟茶は夏には避けられがちだけれど、雨の日は別。
だるい身体をシャキッとさせる。
湿度が高いと汗が皮膚から蒸発しにくくなっている。身体に湿気が溜まる。
汗は尿の3倍の排毒作用があると聞いているが、そのせいかどうか熟茶を飲んでパッと汗をかいたらスッと身体が軽くなる。
今日のお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
鉄瓶
焜炉
茶器
甘味・旨味の強い熟茶は口に爽やかではない。
美味しくても暑い日はくどい味。
これもまた良薬口に苦し・・・ということだろ。
注ぎ
このお茶『版納古樹熟餅2010年』は、製造時の微生物発酵がやや過剰なくらいにすすんでいるから、甘味・旨味の成分さえも分解されて比較的あっさりした味で、口感もサラッとしている。けれど、それでも熟茶は熟茶。
一煎め
ところが、喉をとおると涼しい。
秋の旬の新芽・若葉が多い構成なので、メントールの冷たい刺激が口に残る。
身体の節々の緊張がとれて一瞬で景色が変わる。
ふぅーと息を吐く。
味の消えがよくて、さっきまで口にあった味が思い出せないほど。
ギャップがあっていいよな。
このギャップを楽しむには、ちょっと濃すぎるくらいに淹れるのがコツ。
三煎め
さっぱり感や味の消えは熟成するほどよくなっているので、この先もっと淡白な味になると思う。
都の味。

ひとりごと:
チェコのマルちゃんの片口は、実は酒器ではなくて茶器のつもりなのだ。
片口
こういうふうに使うと葉底を観察しつつ出がらしを飲める。
最後の最後まで茶葉を頂く。
お茶愛のカタチ。


茶想

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