プーアール茶.com

巴達古樹紅餅2010年 その28.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶380gサイズ
保存 : お菓子の缶 密封 
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶・炭火
日向
大文字

お茶の感想:
台湾人の茶友は赤いものと相性がよいらしい。
赤い肉、赤いワイン、野菜も果物も赤いもの。
中医からそうアドバイスされてから、なるべく赤いのを身体に取り入れるように心がけて、睡眠が良くなったり、その効果も実感しているとのこと。
なのでお茶は紅茶。
たしかに、体質と色の相性はあるような気がする。
今日はこのお茶。
+【巴達古樹紅餅2010年】
新型コロナウィルスで空気のこもったところでは集まれないから外に出た。
大文字山に登った。
春茶の季節なのに山に行けていない。
トレーニングになると考えて、半日くらいのちょっと長いコースを選んでみたが、ちょうどよい感じだった。
最年少の12歳の男の子がいちばん元気に歩いた。
大文字
保温ボトルでお茶をつくるコツ。
茶葉を少し入れて、熱湯を注いで、蓋を開けたまま10分くらい置く。
70度から80度の間くらいに冷めてから蓋をする。
こうすると保温ボトルにありがちな煮え味を防いで、爽やかさが保てる。
『巴達古樹紅餅2010年』は太陽に負けない。
明るいところで飲んでもじゅうぶんに開く。
茶
10年熟成の酸味とまろやかさと滋味深さと、ポッと火のつくような茶気と、チカラがみなぎる”陽”の茶酔いと、山歩きの疲れを癒やすのにピッタリのお茶。
このお茶以外に考えられない。
哲学の道
花びら

ひとりごと:
自分の食べものの色はたぶん白。
あまり意識していないが、例えばケーキビュッフェなんかで選ぶと、なぜか白いのに手が伸びる。
そういえば、かなり昔に色と身体の相性がわかる日本人にみてもらったことがあった。オーリングテストで白だった。
白は肺が弱い体質と言われた・・・。
危ない。

易武古樹青餅2010年 その39.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・杯 銅のヤカン+炭火
ヤカン
茶具
写真
朝日

お茶の感想:
タイのチェンコーンの川岸のいつもの宿でずっと待っている。
夜の空が白んできたら目が覚める。
お湯を沸かして、日の出を見ながらお茶を飲む。
この地域はあと1ヶ月したら夏だから、日が昇ると暑くて、メコン川で泳げる。流れが早くて、川上に向かって泳げば同じところに留まっていられる。
源流はチベットの雪解け水で、途中にダムが7つほどあって2週間くらいかかるのかな?それでも駆け下りてくる水はあんがい冷たい。熱帯地方とは思えない清らかな水。
ネットで現地と連絡をとりつつ中国へ入るチャンスを伺っているが、毎日状況が変わって、今回はちょっと無理そう。
ラオスの山へ直接行く手もあるが、そっちは中国人の茶友のほうが難しそう。
たとえラオスの高幹のお茶づくりができても、ラオスの村では完成できなくて、中国へ持ち込んで圧餅の二次加工をしなければならない。
その陸路の国境は封鎖されていて、中国人でもラオス人でもない外国人の自分は往来できない。
万事休すとはこのことか。
ま、若い茶友らがなんとかするだろ。すでに現地入りして春のお茶づくりの準備をしている。
自分は行けなくてもお茶はできる。
ところで、チェンコーンで炭炉を見つけた。
タイの北部とかラオスの北部で鍋料理があるのだが、それ用。
レストランのテーブルの上に置いて、小さな土鍋をグツグツ沸かしながら具を入れて食べるやつ。
ぜんぶセットで500円くらい。安!
ヤカン
炭火
七輪みたいに下から空気が通るから、けっこうな強火になって、ヤカンの吹き上げる熱い蒸気に怒りを感じる。
この強い気をお茶にする。
気の強いこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
たっぷり湯で茶器をじっくり温めて、茶壺の蒸気で茶葉をゆっくり蒸らして、ポンポンに沸いた湯を、ヤカンを持ち上げてちょっと手元で落ち着かせてから注ぐ。
茶葉
茶
アツアツは苦手だからちょっと冷まして口に入れるも、”火”のチカラが宿っていて、ひとくちしたら「プハーッ」となる。
何度か「プハーッ」としたら、底のほうからチカラがみなぎってくる。
風呂上がりのように火照ってくる。
朝焼け
葉底
川
川
船
子どもたち
冬の乾季が終わって夏の雨期がくる。
今はまだ乾季。気温は30度を越していても、雨がほとんど降らない。
この地域一帯はいまのうちに山も畑も枯れ草を焼くから、空が煙る。
漂う煙の粒子やら灰の粉やらを太陽の光がさらに焼くのだろうか。
肌にチリチリ熱いものを感じる。
この感じ。
いつもは春のお茶づくりの忙しさが迫ってくる予感になるが、今回はどうも違う予感が混ざっている。

ひとりごと:
+【チェンコーンのパパイヤビレッジの動画】 
友人のしている宿(自分の宿は別にあるけど、薬草サウナに来ている。)
パパイヤビレッジ
いつものようにメコン川で泳いでいたら、なんとなく心が騒いだ。
突然帰国を決めて、当日の飛行機のチケットを買った。
急いで荷物をまとめて宿を出て、ローカルバスでチェンラーイの空港へ。
深夜にバンコクの国際空港をトランジットしたが、東南アジアの入り口となっている空港はいつもより混雑していた。混雑というか混乱していた。
タイには欧州の人たちが多く長期滞在している。その人達がいっせいに帰国しようとしているのだろうか。慌てている様子だった。
次の日、欧州のいくつかの国が国境封鎖を発表した。
そういうことだったのか。
空

版納古樹熟餅2010年 その43.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
茶器
注ぎ

お茶の感想:
茶壺に湯を注いで、杯に注いで、それから杯の中でゆっくり冷めてゆく。
この冷めてゆく間に変化している。
熟茶はこのときまろやかになる。雑味が消える。
なので、ゆっくり冷めてほしいので、厚みがあって縦に長い湯呑みを選んだ。
また、そこそこ湯量のあるほうがゆっくり冷めるので、茶壺の大きさも選ぶ。
杯
寒い日は杯の暖かさが手にうれしい。
いくつかタイプの異なる茶器を持つと、その日の気分や体調に合わせたお茶を淹れられるからいいよな。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
茶器

ひとりごと:
茶器使いのノウハウを他人に聞くのは、ほどほどにしたほうがよい。
自分に聞くほうが大事だから。
自分の身体や感覚に聞く習慣を身につける。
そこにお茶の学びの価値がある。
上手か下手かなんて、どうでもいいことだから。

易武古樹青餅2010年 その38.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・杯・鉄瓶+炭火
餅面
茶葉の色
茶壺

お茶の感想:
熟茶づくりの実験が失敗に終わったので、「これからどうします?」とよく聞かれる。
+【熟茶づくり実験2019年 その8.】
失敗したけれど、当初の目的は果たした。
黒麹菌でスタートする微生物発酵を体験すること。
どんなときにどんな臭いがするとか、どんな温度になるとか、茶葉の色とか手触りとか、お茶の味とか。
わかってきたので他人の仕事が評価できるようになった。
つぎのステップは、渥堆発酵(微生物発酵)を代行する工房を探すこと。
原料となる晒青毛茶を自分で手配して、その工房で渥堆発酵してもらう。
水よし・空気よし・腕よしの三拍子そろったところを探す。
渥堆発酵は常に途切れなく発酵させている設備と環境がよい。アパートの一室を改造して発酵蔵をつくったとしても、年に一度するかしないかでは菌類のコンディションがよくないと考える。
ただ、熟茶づくりは急がない。もうちょっと勉強したい。
すぐにでも応用できるのは、生茶づくり。
これからの生茶づくりには微生物発酵を仕込むことにする。
生茶は、近年の製法においては微生物発酵していないのがほとんどと考えられるが、ゆっくりつくる昔ながらの製法では、わずかながら微生物発酵することがある。
例えばこのお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
殺青揉捻
製造工程をふりかえってみると、微生物発酵のチャンスは二度ある。
一度目は農家で。
殺青・揉捻してからひと晩かけて涼干(陰干)、それに続いて次の日の晒干(天日干し)、茶葉が湿っていて微生物発酵するのに十分な水分があるのは15時間くらい。
涼干
二度目は工房で。
お茶の紹介ページにこんなふうに書いている。
「工房に持ち込んだすべての毛茶は一日で圧延を終え、餅茶となって室内の棚に並べて涼干され、翌朝の太陽を待ちます。」
ここでも茶葉が少なくとも12時間は湿ったままである。
蒸すことの水分と予熱で微生物発酵がはじまるのは、この茶葉でも経験している。
+【章朗古樹春天散茶2012年 その2.】
このときは気温も湿度も高くてほんの数時間で発熱しはじめた。
圧餅
圧餅工房の部屋は暖かい。
薪火を焚く蒸し器(鉄製の大きな鍋)が、火を落としてからでも数時間は熱を放出して部屋をあたためる。鉄鍋に残る湯の蒸気が空気を湿らせる。
農家も工房の職人も微生物発酵の知識はない。
なので意図したものではない。だからムラがある。
試作品として1キロサイズの大きな餅茶をつくったが、これがいちばん微生物発酵のすすんだ状態で仕上がっている。茶葉が多くて乾くのに時間がかかるからだ。また、餅身が大きいほど微生物が増殖するときに出す熱がこもりやすい。このことも影響するだろう。
熟茶づくりで体験した、その味、その香り。黒麹菌が増殖するはじめの1日から2日めにかけて出てくるその風味が、今、このお茶に見つけることができる。
茶湯の色
もしも経験がなければ、ただちょっと甘めの生茶の味。微生物発酵の味が潜んでいることに気が付かないだろう。
葉底
葉底を指でつぶしたときの感じ。
茎の部分の繊維が柔らかくなっている感じ。この感じも、微生物発酵の初期に現れていた。
『易武古樹青餅2010年』はこの9年間でよい具合に変化してきた。熟成にも影響しているはず。
微生物のつくった酵素が茶葉に大量に残っている。
蓋
『章朗古樹春天散茶2012年』の茶箱を開けてみたら、蓋のトタン貼りの表面にうっすら白い粉がついている。
目で見えないくらい細かいけれど、指でスッとこする感触でわかる。
酵素?それとも胞子?いつかわかるときがくるだろ。

ひとりごと:
熟茶づくりの実験から得たものは、まだ言葉にならない情報がたくさんあって伝えるのが難しいけれど、口や鼻や目や耳や手がそれらを覚えている。文章に残さなくても大丈夫だし、他人に話ができなくても大丈夫。これから出品するお茶に何らかのカタチで現れる。飲む人に伝わる。

版納古樹熟餅2010年 その42.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 通気・密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
熟成壺
版納古樹熟餅2010年

お茶の感想:
台風が近づいている。
湿った暖かい空気が南の海を渡ってきて肌にまとわりつく。
夏の暑い日にはかわりなくても晴れの日とは身体の環境が異なっている。
気圧の変化も影響しているかもしれない。
自分の場合は、暑くても雨の日は朝から熟茶。
身体を暖める熟茶は夏には避けられがちだけれど、雨の日は別。
だるい身体をシャキッとさせる。
湿度が高いと汗が皮膚から蒸発しにくくなっている。身体に湿気が溜まる。
汗は尿の3倍の排毒作用があると聞いているが、そのせいかどうか熟茶を飲んでパッと汗をかいたらスッと身体が軽くなる。
今日のお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
鉄瓶
焜炉
茶器
甘味・旨味の強い熟茶は口に爽やかではない。
美味しくても暑い日はくどい味。
これもまた良薬口に苦し・・・ということだろ。
注ぎ
このお茶『版納古樹熟餅2010年』は、製造時の微生物発酵がやや過剰なくらいにすすんでいるから、甘味・旨味の成分さえも分解されて比較的あっさりした味で、口感もサラッとしている。けれど、それでも熟茶は熟茶。
一煎め
ところが、喉をとおると涼しい。
秋の旬の新芽・若葉が多い構成なので、メントールの冷たい刺激が口に残る。
身体の節々の緊張がとれて一瞬で景色が変わる。
ふぅーと息を吐く。
味の消えがよくて、さっきまで口にあった味が思い出せないほど。
ギャップがあっていいよな。
このギャップを楽しむには、ちょっと濃すぎるくらいに淹れるのがコツ。
三煎め
さっぱり感や味の消えは熟成するほどよくなっているので、この先もっと淡白な味になると思う。
都の味。

ひとりごと:
チェコのマルちゃんの片口は、実は酒器ではなくて茶器のつもりなのだ。
片口
こういうふうに使うと葉底を観察しつつ出がらしを飲める。
最後の最後まで茶葉を頂く。
お茶愛のカタチ。

版納古樹熟餅2010年 その41.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 通気・密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
炭火と鉄瓶と茶壺
 西双版納熟成
京都熟成
京都熟成

お茶の感想:
西双版納から持ち帰ったこのお茶。
日本で3年以上保存していたこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
もう何度も飲み比べてみたが、ほぼ同じ結果となった。
西双版納のほうはジューシー。
日本のほうは淡くてサラサラ。
注ぎ
茶湯の色
まるで炭のような味。実際に炭化がすすんでいるのだろうか。
甘濃いーベルギービールのような味を熟茶に求めると肩透かしをくらう。
どんなに濃くしても濁らない。澄んだ味がつづく。
ひとくちずつ飲む
茶壺からひとくちずつ杯に注いでは飲んでまた注いでは飲んで、いっぺんに杯に注ぎ切らないのが美味しい飲み方。
なぜかというと、この熟茶はどちらかというと”生”に仕上がっているから。
ひとくちごとの変化を感じる。一煎ごとに熱が入ってゆく変化も大きい。
茶葉が煮えると”生”の繊細な風味が失われるから、抽出時間や温度を考えたほうがよい。
”生”な仕上がり具合は圧餅後の熱風乾燥の温度が低かったのが原因だが、今になってその違いがどのくらいなのか実感としてわかってきた。
注ぎ
茶湯の色
もうちょっとしっかり火(熱)の入った熟茶、例えば『宮廷プーアル熟散茶03年』(卸売部)の熟成変化はこれほど大きくはない。焙煎とは言えないまでも比較的高温で熱風乾燥されているから、ある種の酵素は活性を失っているのだろう。
葉底
葉底
葉底の茶葉の繊維の質感の変化も大きい。

ひとりごと:
保存熟成の目指す方向がはっきりしてきたから、あとは待つだけ。

版納古樹熟餅2010年 その40.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 通気・密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗・グラス杯・鉄瓶+炭火
版納古樹熟餅2010年

お茶の感想:
前回のつづき。
+【版納古樹熟餅2010年 その39.】
チャックのあるプラスチックバッグに移してから18日間経った。
途中一回だけ袋の口を開けて試飲した。そのときに空気が少し入れ替わった。
袋の中は空気をたっぷり充満している状態。
”通気”とは、
2010年からずっと通気のある竹皮包やダンボール箱で保存していたこのお茶。
”密封”とは、
ほんの18日前まで、2年間ほど真空パックで密封して保存していたこのお茶。
2010年のお茶だから、8年間熟成のうち2年間だけの、通気の条件だけに差がある。
この飲み比べ。
通気と密封
通気と密封
通気と密封
左: 通気
右: 密封
どちらがどちらかわからない。
味も香りもかなり接近したと思う。
ん、・・・まてよ、もしかしてボケて同じ袋から2回茶葉を取り出したりしていないよな・・・。
と、心配になったのでやり直し。
注意して別々の袋から取り出して、3.0グラムずつ茶葉を量って、淹れなおし。
通気と密封
通気と密封
通気と密封
通気と密封
左: 通気
右: 密封
やはり同じ。
2回とも通気のほうがやや茶湯の色が濃く出る。
葉底の香りもやや強いような気がする。
お茶の味にその差は感じられない。
18日前の試飲では密封のは酸っぱかったり苦かったりしたけれど、今はもう同じ。
しかしここまで僅差だと、通気を許したままの保存の2年間のアドバンテージはごくわずかであるということか。
それとも真空パックの真空は、たいした真空でもないということか。
いずれにしても、適度な通気のあったほうが熟茶の場合は良い。
わずかな通気を与えると、たった18日間で熟成味が回復する。
という結論。

ひとりごと:
こんなこと言うと悪いけれど、このところ茶友らのオリジナル熟茶を飲み続けて、ふとこのお茶を飲んだら、まるで搾りたての果汁のように清らかで爽やかに感じる・・・。

版納古樹熟餅2010年 その39.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 通気・密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗・グラス杯・鉄瓶+炭火
竹皮の籠
内側布袋
宮廷プーアル熟散茶03年

お茶の感想:
熟茶は微生物発酵でつくられた大量の酵素による成分変化がすすむから、長期保存の味の変化は生茶よりも大きく現れるはず。
その変化は保存の環境に影響されるから、同じ茶葉でも2箇所の異なる環境に置けば2つの味になる。
もちろん常温保存だから、日本でも上海でも西双版納でも季節や天気の変化の影響は多少なりとも受ける。それぞれの環境でそれぞれの味になれば良いと思うので、そこは気にしない。
それよりも、今回注目するのは保存の入れ物をどうするか、通気をどのくらいに制限するかという問題。
遮光して保温性があって(温度をなるべく安定させて)乾燥を保つのは基本中の基本だが、ある程度の通気があったほうが良いのを経験していて、さらに、熟茶はしっとりした感じの空気が良いという例もいくつか見ている。というか味わっている。
”ある程度”の通気とはどの程度なのか?
曖昧だよな。
曖昧でも大丈夫。むしろ曖昧な解釈をしたほうが面白いというのが今日の話題。
上の写真の竹で編んだ籠に入っているのは、『宮廷プーアル熟散茶03年』(卸売部)の西双版納熟成。
最近密封保存をやめて通気の良いカタチにした。
密封保存は、食品用の大きなプラスチックバッグに7キロの散茶を入れてダンボール箱に入れて封をしていた。年に一度ほど開けて少しだけ茶葉を取って試飲しているので、完全な密封とは言えない。
そもそも、茶葉なんてミクロの繊維の毛細血管に空気も水分も持っているのだから、完全密封なんてできっこない。それを前提に話をする。
例えば、お菓子の缶に保存したのを紹介したことがあるが、年に一度でも開封したときに空気が入れ替わるだけで十分な通気を与えると考えている。酵素反応による茶葉の成分変化にとっては。
竹皮包
紙包+竹皮包+ダンボール箱、あるいは、紙包+麻布袋包+ダンボール箱、これがこのお茶の西双版納熟成。
+【版納古樹熟餅2010年】
茶葉倉庫にしているアパートの一室は窓を締めて遮光して、ドアの隙間を専用のテープで埋めて、湿度50%から65%くらいに保つようにしている。ダンボール箱ごと部屋という入れ物に入っている状態。
中国でプーアール茶を売る店にゆくと、店の棚に紙包みのままの餅茶や磚茶や沱茶が並べてあるけれど、これは通気がありすぎてダメ。外の匂いを吸ってしまうし、温度や湿度の大きな変化に晒される。間接的にも日光や照明が当たって表面を焦がしている。買うときは倉庫のダンボール箱の中にあるのを出してもらうとよいだろう。
真空パック
3日前に倉庫を整理していたら、食品用真空パック機でパックしたのが一枚見つかった。
茶葉の隙間や繊維の管の空気があるので真空とは言えないが、袋の内側の空気が少ないと空輸のときの温度や気圧の変化の影響を受けにくいから良いと考えている。到着してからなるべく早めにパックを開封して通気のある入れ物に移すのだが、この一枚はパックしたまま郵送するのを忘れて放置していた。たぶん1年から1年半ほど。はっきり覚えていない・・・。
版納古樹熟餅2010年
開封して、外の空気を吸わせて今日が3日目。
紙包+麻布袋包+ダンボール箱で通気を許していたのと比べる。
実は、開封した初日に飲み比べたときは味の差がはっきりしていたが、3日目の今日はそれほどでもなくなったので、慌てて記録する。
この違いが、”ある程度”の通気を”どの程度”と考えるかの参考になると思う。
同じ茶葉、同じ水、同じ茶器、同じ保存場所。なので通気の条件の違いが浮き彫りになるはず。茶葉の重量はきっちり計って4.2グラムずつ。餅茶の崩す部分もほぼ同じところ(円盤型の外側や内側で茶葉のコンディションがやや違うから)にした。
一煎め
二煎め
4煎め
6煎め
左: 通気
右: 密封
左: 葉底から立つ香りが強い。
右: 葉底から立つ香りが弱い。
左: ビールのキメ細かい泡のような軽やかな舌触り。
右: 泡のないビールのようなちょっと重たい舌触り。
左: 香りが麹っぽい(ビオフェルミンっぽい)。
右: 香りが花っぽい。後にお香っぽく変化。
カンタンに言えば通気のお茶は甘くてとろんとしていて、密封のお茶は甘くない分やや酸っぱくてサラッとしている。
煎を重ねるほどにこの差がなくなっていって、5煎めにもなるとかなり集中して味見しないとわからなくなった。
密封を解いた茶葉がたった3日間で微生物が増殖するような温度・湿気の高いところに置いていないから、やはりこの2つの差が縮んだのは酵素反応だろうなと思う。
密封を解いた茶葉が外の新しい空気に触れて、なんらかの反応をすすめたのだ。
葉底
左: 通気
右: 密封
葉底に差は無い。
よくある勘違いで、茶葉に微生物が生きていると解釈していて、それなら密封して放置すると窒息して、一方は生きた微生物が茶葉の分解・消化吸収をすすめて、この2つの差は1年の間にもっと大きくなるはずだ。

ひとりごと:
ただ、そうとも言い切れない結果がある。
重量の違い
西双版納の通気を許した熟成の一枚。
2010年に圧餅後1ヶ月ほどして計ったときには396g。
2018年の本日計ったら372.5g。
24gほど減っている。
熟成の変化で繊維質が変わって水分を含むチカラがなくなって軽くなるのだが、24gの差は大きすぎるだろ。
やっぱり喰われているのかな・・・。

易武古樹青餅2010年 その37.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・スペイン土の茶碗・鉄瓶+炭火
茶壺
パック熟成

お茶の感想:
大きめの茶壺で3煎くらいで出し切る淹れ方を生茶で試す。
+【易武古樹青餅2010年】
手軽な密封パックで熟成させているこのお茶。
室温の安定した棚にしまっているが、パックに保温力はないので布袋に入れている。ま、気持ち、おまじない。
試作バージョンで1キロサイズの餅にしていたやつ。
餅茶を崩して
茶葉3グラム
3gあるかないか。
10年熟成モノの生茶となると、蓋碗でサッと湯を切る淹れ方では1煎めのパンチ力に欠ける。4煎から伸びない。茶壺を使うのが良いが、普段は小さめの茶壺で煎を繰り返している。8煎くらいはいく。その煎ごとの変化も面白いけれど、今回は3煎で出し切る。
1煎めは茶壺に注ぐ湯の量を半分くらいにしてサッと出す。蒸らし時間20秒くらい。一番だしの感じ。
乾いた茶葉にいきなり熱い湯を浴びせると繊維が壊れて味が濁るから、湯を注いで茶壺を温めて、いったん湯を切ってから茶葉を入れて、蒸気で1分ほど蒸らしておくのが基本。
スペイン土の茶碗
南部鉄瓶と
後ろに見えるのは南部鉄瓶。1.5リットルほど入るのでガス火にかけて湯沸かしに使っている。一煎めはこの南部鉄瓶から直接湯を注いだ。
黒い茶碗はスペイン土の素材でチェコのマルちゃん作。
2煎めの湯は南部鉄瓶から小さな鉄瓶にバトンタッチして、炭火でじっくり熱を伝えた。
1煎めで茶葉がほぐれて、熱にも慣れているので、熱々のを茶壺いっぱいに注いでも大丈夫。
茶壺
注ぎ
蒸らし時間は計っていないが4分くらいだろう。
この2煎めでやっと気付いたのだけれど、スペイン土の茶碗は味の輪郭を奪ってしまう。
たしか以前に試したことがあったのだが、いつもはごはん茶碗として使っているので忘れていた。
ぼんやりした味の良さもあるけれど、このお茶の持ち味はシャキッと感。
白いチェコ土の茶杯
白いチェコ土の茶杯に移して飲んでみたら、香りがキリッとして味が引き締まって層が深くなった。飲んだ後の息に香りが立つ。ぜんぜん違う。
3煎めはもっとじっくり茶葉の成分を抽出する。
炭を消し壺にしまって、わずかな残り火に灰をかけて柔らかい熱にして、網の上で茶壺を保温する。
茶壺を残り火にかける
10分は待ったと思う。
ぜったいにグツグツ沸騰させないこと。湯が騒がない静かな状態の温度。煮えると生命感みたいなものが消えてなくなる。
3煎めの茶湯
これまででいちばん薫り高い『易武古樹青餅2010年』になったのではないかな。
湯の熱の性質。茶壺の土のチカラ。茶杯の土のチカラ。土と土の相性。土と鉄との相性。水の性質など、いろんなことがお茶の味をつくるから、これが!という絶対法則はわからない。
けれど、いろいろ試しているうちになんとなく勘が働くようになる。たぶん無意識が茶葉や土や水や鉄の言葉を聞いている。
葉底

ひとりごと:
生茶と熟茶を淹れる茶壺は分けたほうがよいという考え方がある。
そう思っている人には分けたほうが良い結果が得られるし、そう思わない人には分けなくても良い結果が得られる。そういうものだからどっちでもよいけれど、大事なのは、どっちが良いといったん決めたらその方向へまっすぐすすむこと。その過程に集中すること。
どっちが良いとか気になってネットを検索したり他人と議論する時点で暇すぎる。集中力が切れて、本当に見るべき対象に意識が向いていないから、たいした結果は得られないだろう。
趣味を追求するにしても、集中力のあるかないかは成果に違いが現れると思う。

版納古樹熟餅2010年 その38.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
熟成壺
熟成壺
版納古樹熟餅2010年

お茶の感想:
強い台風が去って空気が落ち着かないので熟茶。
こういうときの生茶はどんなに美味しいやつでも美味しくならない。
チェコ土の壺熟成1年目のもの。
入れている熟茶は10年モノ。
+【版納古樹熟餅2010年】
餅茶一枚を崩して壺にいっぱいに入れていたが、ちょくちょく飲むので減った。
新しい一枚を崩して足すかどうするか・・・。基本、器の中の茶葉が多いほど茶葉同士で水分などを調整しやすいはずだから。
台風の残した爪痕のせいで忙しくて手間がかけられないので、今日はサクッと2煎で出し切る。手数が少なくて短い時間で、それでもあんがい美味しくなる淹れ方。
道具がいつもとはちょっと違う。
大きめの茶壺と茶杯
茶壺
背が高くて腹のふくらんだ茶壺300cc。
茶壺の重さはこの大きさで169gとけっこう薄造りで軽い。
コツはたっぷりの湯で茶壺も杯も温めること。
湯で温める
温めるときにいっきに湯を注ぐと割れる可能性があるので、ちょっとずつ湯を注ぐ。
湯を捨てるのはもったいないので鉄瓶に戻して沸かしなおす。茶壺も茶杯もキレイに洗っているからいいだろ。
湯を注いで3分
茶葉を入れて湯を注いで4分。じっとがまん。
注ぐ1
注ぐ2
注ぐ3
最後の一滴まで注ぎ切る。
湯量が多いとなかなか冷めなくて熱くて飲めないので、先に次の煎の湯を注いで蒸らしておく。2煎めの蒸らし時間は7分くらい。
2煎め
この長時間蒸らしのうちに冷めるようではダメだから、湯量が多くて熱量の多い茶壺を使う。湯量の少ない小さな茶壺では7分間も待てば冷めてしまう。手元に大きめの茶壺が無いのならグラスのコーヒーサーバーで十分。
2煎めを蒸らしているうちに1煎めをゆっくり飲む。
注ぎ3
注ぎ4
茶湯の色
2煎め。こんなに黒い色になっても味は淡くて透明。
茶葉の健康と、製茶や微生物発酵を丁寧にした成果と、壺熟成の効果と、ひとつの方向を目指して歩いている感じ。
葉底
出し切った葉底。
指で潰しても色がつかないくらい成分は湯に出尽くしている。

ひとりごと:
この茶壺はバランスが悪いくらい口の位置が高いところにあるように見えたけれど、その設計の効果で注ぎの水を上手に制して静かに注げるから、お茶の味も大人しく丸くまとまる。
茶壺


茶想

試飲の記録です。

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