プーアール茶.com

茶教室・京都

版納古樹熟餅2010年 その53.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶・茶杯+鉄瓶・炭火
金花
金花

お茶の感想:
餅面にうっすら黄色っぽい粉が見える。
金花(麹菌の一種)。良性のカビ。
生きているうちは黄色のチョークの粉のような鮮やかな色をしている。
写真のはくすんだ色なので、すでに死んでいると思われる。
夏頃に増殖して、季節がかわって空気が乾燥してきたので枯れ死んだのだろう。
そのままにしておくと一年くらいで姿を消して見えなくなる。
いったん発生すると胞子がたくさん残されているので、また条件が揃えば出てくるだろう。
黒茶と分類される微生物発酵のお茶の多くが製造工程で金花が活躍する。湖南省の茯茶、広西省の六堡茶、四川省の藏茶、安徽省の六安など。
プーアール茶の熟茶は黒茶であるが、製造工程では目立たない。居るのか居ないのかわからない。おそらく渥堆発酵の主役の黒麹菌が金花に増殖するスキマを与えないからだ。
金花が見つかるのは保存熟成のとき。
金花
過去に西双版納の個人から入手した熟茶には餅茶の内側にビッシリ黄色い粉があった。
写真に残っている。
+【大益貢餅熟茶98年崩し】
金花が出るとお茶の風味が良くなる。
なので金花を増殖させたい。
温度や湿度を調整したり、他の黒茶から種麹を採取して撒いたり、過去にいろいろ試したがうまくゆかなかった。
京都での茶箱熟成は6年目くらい、金花が出たのは今回がはじめて。
もしかしたら過去にも出ていた可能性はあるが、気付くことはなかった。
金花は気難しいやつで、茶箱の中のすべての餅茶に出ているわけではないし、また一枚を崩してみても金花が出ているところと出ていないところのムラがある。
金花のたくさん出ているところの茶葉はユルユルで、手でカンタンに崩せる。
一方で、金花の出ていないところは相変わらずカチカチに固まっていて、目打ちを刺してほぐさなければ茶葉が剥がせない。
餅茶がカチカチに固まっているのはでん粉質や糖質などの粘着成分があるから。金花はそれを食べているのかもしれない。
茶湯
お茶の味は、より透明感が増して、サラッとした後味になって、お香のような香りに変化して、熟茶独特の野暮ったい味噌っぽい香りが抜けている。
高級感が出ていい感じ。
そのうち金花の出やすい環境づくりのコツをつかめると思う。
理想は、生茶に金花が発生すること。
製造工程で微生物発酵していない現代の生茶を後発酵させることができたら、正真正銘の黒茶のプーアール茶になる。
微生物発酵していない栄養環境を金花が好まないだろうからカンタンではない。

丁家老寨青餅2012年 その23.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 上海 紙包み 竹皮包み
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 琵琶湖湖底土の茶壷・チェコ土の茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
5年ほど使っているチェコのマルちゃんの茶壺だが、どうやらこれは市川孝さんのところで焼いた琵琶湖の湖底土のものだと判明した。
どこで間違えたのか信楽の土だと思っていた。
琵琶湖湖底土の茶壺
これも茶葉を選ぶ。
新芽・若葉の爽やかな新茶には向かない。
繊細な味や香りの輪郭が消えてしまうので、ひとくちめにパッと心をつかむような味の表現ができない。
中国茶は味や香りと酔い感。
上質な茶葉のチカラだけで十分に表現が成立する。
それだけで芸術になる。
お茶をつくる側としては、人の心をつかむ味や香りや酔い感のために血の滲む(実際に疲労のあまり血尿が出る)仕事をしているのだから、そこを引き立ててもらわないと報われない。
インスタ映えの影響なのか、お茶の味を考えた茶器の組み合わせがおろそかになっている。
中国でもその傾向がある。
茶葉
茶壺
『丁家老寨青餅2012年』は、この土質との相性はギリギリ。
おっとりした風味の漫撒山のお茶。
大葉種のなかでも大きめの葉のタイプ。熟成11年目。
旬の新芽・若葉ではあるが、熱に強いほう。
この茶壺もサイズが大きめで熱量があるから、じっくり蒸らして待つことができる。薄めにつくられているから、煮えすぎない。
いろんな味が混然一体となってひとつにまとまり、落ち着いた印象になる。
対して、例えば白磁の蓋椀のようにじっくり待つと湯が冷めてしまう茶器は、茶葉を多めにしてサッと湯を切るようなバランスでの泡茶になる。
泡茶
泡茶
味の濃さはちょうどにできても、バラバラでひとつにまとまらない。落ち着きのない味になる。
大きな葉による製茶のムラとか、11年の熟成で湿気たところとか、そういう雑味が目立って味が曇る。爽やかな青空にはなりにくい。
漫撒山の森は水気が多く、葉の茎のところが長めに育つ品種特性がある。この茎のところや葉の厚みのあるところの奥の方にある風味が、蓋椀なら4煎めくらいでようやく顔を出す。
高貴な風味が奥に隠れている。
1煎めから引き出せるチカラ(熱量)のあるのが、この茶壺の良さ。
奥の方の味が出てくると雑味が消えて透明な味わいになる。
この不思議には、ある種の酵素成分が作用していると推測する。
高温を保ってじっくり待つことができると、その作用が活きてくる。
茶壺
土質とお茶の味との関係には、土の成分による影響(イオンがどうのこうのなど)があって、それはもう如何ともし難いが、それ以前に見るべきポイントは茶葉と熱量のバランス。
その関係がわかってくると、茶壺をパッと見て手に取っただけで勘が働く。

版納古樹熟餅2010年 その52.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶・茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
上海時代の友人の酒徒さんが中華レシピ本を出された。
【あたらしい家中華 酒徒さん】
今の季節は里芋とネギの焦がし油の”葱油芋艿”がおすすめ。
材料は里芋とネギ。それだけ。
里芋とネギの焦がし油
レシピは素材そのものを味わえるようによく考えられている。
卵とトマトを炒める定番の”西红柿炒蛋”は、ほんとうに卵とトマトだけにしてある。さすが!とプロ(食べる方の)を唸らせるレシピ。
料理は引き算。足し算で味を濁してはいけない。
独自のアイデアで素材や調味料を足したりしないこと。
素材や調味料に上質なのを選べるのが家中華の利点であり、外食に負けないところである。良い素材を手に入れた時点で勝負はついている。
旬の素材を選ぶのはもちろんだが、とくに油は上質を選びたい。
西双版納で仲間と外食するときは、上質な油をレストランに持ち込んで、「これで調理するように」と頼んでいたくらい。(日本ではやりにくい。)
この本のレシピをひととおり試せばわかるはずだが、料理の素材は野菜が王者である。肉や魚ではない。
世界中のみんながそこを理解したら、農業や外食のレベルが上がってゆくと思う。そして環境破壊にもブレーキがかかる。
懐かしくなって上海時代のブログの管理ページを久しぶりに覗いてみたら、いまだにこのお茶ブログよりもアクセス数が多いことがわかった。
【上海のお昼ごはん】
2008年から更新していないのになぜ?
美味しさの感動の大きさで比べたら、料理よりもお茶のほうがはるか雲の上なのに。みんなわかっていない。
いや、ちがう。自分のほうがみんなのことをわかっていない。
わかるつもりはない。
ちなみに酒徒さんのインスタ(大人気なアカウント)では日々食べものの写真が出てくるが、自分はこれを見ると食欲が過剰に掻き立てられて、食生活が乱れて、その結果体調を壊してしまうことに気付いたので、ミュートにしてたまにしか見ないようにしている。
さて、独り茶。
熟茶の上質についておっさんは語る。
料理もそうだがお茶も足し算はダメ。
熟茶は花の香りをつけたりミルクを混ぜたりされがちだが、そうしたくなるのは選んでいる茶葉の質が悪いからである。
素材が良ければ茶葉だけで十分に豊かな味わいのあることに気付くはず。
また、味のバランスという点においても茶葉だけでカンペキ。
茶葉そのものの持ついろんな成分と微生物発酵がつくった成分が混然一体となったときには、すべての味は調和してむしろ透明になってゆく。清らかで穏やかで、人間の煩悩を洗い落としてくれるだろう。
熟茶
熟茶が上質かどうかは濃く淹れたらわかる。
写真のように真っ黒になるくらいに濃くする。
色の濃さに反して味は透明でツヤツヤ。甘濃いくて粘りがあるのにサラサラした液体。
みんながこの上質に気付いたら、大量生産の不健康な茶葉の流通が減って、環境破壊にブレーキがかかる。

易武古樹青餅2010年 その49.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 中国宜興土の茶壺・チェコ土の茶杯・白磁の茶海+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
『易武古樹青餅2010年』は水平鍋で殺青している。
熟成13年めの今になってこの効果が現れている。
殺青
ところで、最近自炊の炒飯に凝っている。
おっさんの独り飯は手間ひまかけて美味しいものをつくる。
ひっそりと徹底的にやる。
家庭用コンロで美味しい炒飯をつくるコツは2つある。
1.卵以外の具材を少なめにすること。
2.鍋を頻繁に振らないこと。
この2つとも熱量と水分の調整のため。
炒飯は炒め(火入れ具合)が美味しさの要。
家庭用のコンロではプロのように鍋を振ってパラパラさせると熱が逃げて、水分も逃げて、うまくゆかない。
あまり鍋を振らないで、お好み焼きみたいに米と具を中央に集めて蒸し焼き状態をつくる。水の熱伝導力を利用して火を入れる。
ちらし寿司をつくるときみたいにヘラで切るように混ぜて、たまにひっくり返す。
中火で十分。これであれば時間をかけても米が乾かないでふんわり仕上がる。弱い火力でもそれなりに美味しくできる。
具材を少なめにするのは、時間がかかるので野菜などから水分が出てベチャッとなりやすいから。
鉄鍋で茶葉を炒る殺青にも似たようなことがある。
殺青
農家へゆくと殺青自慢たちがいて(雲南の農家は若者が多い)、力任せに茶葉を頻繁にひっくり返している姿をよく見かける。動作が機敏で一見プロっぽく見えるが、こうして炒られた茶葉は長期熟成すると味が濁ってくる。
頻繁にひっくり返して早い段階で水蒸気を逃してしまうと、茶葉の芯までしっかり熱が通らないうちに表面だけが乾いて焦げやすくなる。焦がさないようにひっくり返しているつもりだろうが逆効果である。
茶葉の複雑な形状にできるだけまんべんなく熱を通すには、熱伝導の良い水蒸気をコントロールする必要がある。
水平鍋なら、あまり意識しなくとも高温の水蒸気が中央に集まって茶葉をうまい具合に蒸し焼きしてくれる。
大葉種の茶葉なので、熱が芯のところまで伝わるのに時間がかかる。
なので、ある程度時間をかけて熱を通す必要があるが、しかし乾いてはいけない。
生茶の特徴は、殺青の後も水分をたくさん含んだままで天日干しして、そのときに軽発酵がすすむこと。
このへんのバランスが大事。
晒茶
このお茶は熟成13年目めになって、はじめの3年くらいは西双版納のそこそこ湿度の高い環境に保存していたにも関わらず、お茶の味は濁りが少なく透明感を保っている。
生焼けになっている部分が少ないから。
他のサンプルにつくったわざと生焼け部分を多く残した茶葉があるが、これは熟成過程で味が濁ってくる。
濁ってくるのを”味が濃くなる”と、それが熟成味であると勘違いされていることが多いが、そんなことはない。熟成するほどむしろ透明感を増すのが上質。
独り茶はこの違いの解る男であるべき。
泡茶のときにも熱の入れ方に考慮する。
茶葉にいかに熱を伝えるのか、この伝え方によってお茶の味の出方が異る。
生茶のプーアール茶は3煎めか4煎めに美味しい・・・・という淹れ方をしている人が多いように思うが、1煎めから美味しくないのは、茶葉が悪いのか、淹れ方に問題があるのか、そのどちらか。
泡茶技術をちょっとだけ紹介する。
ここまで話してきた熱の伝え方に関わるところ。
1煎めから美味しくならないのは、熱量が足りていないから。
この場合の美味しいというのは、味がひとつにまとまっているということ。
初心者のときはお茶の味が濃いか薄いかを気にしがちだが、しかし味の濃い薄いは美味しさとはあまり関係がない。濃くても薄くても美味しいものは美味しい。
味がまとまっているかバラバラのままか。その観点が大事。
泡茶のコツはお茶の味をひとつにまとめること。
味をまとめるには茶葉に十分な熱量を与えること。
いろんな技があるが、今回はそのうちのひとつを紹介する。
茶葉2g
泡茶
茶葉2g(ひとりで飲むならこのくらいが上限)なら、1gずつ2回に分けて投入する。
例えば、1煎めは1gだけ。2煎めで残りの1gを投入し、3煎・4煎と続ける。
湯量=熱量。湯量は茶壺の中での茶葉と湯の割合によって決まる。
1煎めの茶葉を少なくすることで熱量が足りてまとまった味になる。
最初から2gあると熱量が足りなくて味がまとまらない。
ついでにもうひとつ、このお茶の場合は3煎めあたりの茶葉にしっかり熱が通ってからの煎では、蒸らすときに蓋をしないほうがよいことがある。
蓋しない
旬の新芽・若葉の純度が高いと、その成分構成によっては熱に弱い。煮えすぎると辛味・渋味が強くなる。
そうなりやすい3煎か4煎めを蓋をしないで、さらにそれを通り越した5煎か6煎になるとまた蓋をして蒸らしたほうがよかったりする。
茶器それぞれの保温力にもよるので、手持ちの茶器でどうかは各自が確かめるしかない。
茶湯
ひとりだからこだわる。
ひとりだから贅沢をする。
独り茶は、いずれ男前な女子が進出してくると予測している。
またひとつおっさんの居場所がなくなる。
そのときまでに先生になっておけるよう、今頑張ってポジションをつくっておく。

易武古樹青餅2010年 その48.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 中国宜興土の茶壺・チェコ土の茶杯・白磁の茶海+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
生茶を淹れるのに茶海(公道杯)を使ってみる。
いつも基準にしているこのお茶。
【易武古樹青餅2010年】
茶葉
台湾茶の淹れ方を見てヒントを得た。
茶海は戦後の台湾茶道で使うようになってから普及したらしいが、現在は中国茶の多くで茶海が使われていて、プーアール茶にも標準になっている。
たしかにこれを使う茶器の構成は歴史的には新しい。
自分はあえて茶海を使わないで茶壺から直接茶杯に注いでいるが、このほうが少数派。
茶海
中国茶はどのお茶も長い歴史のなかで断絶と復興を繰り返していて、ひとつづきではない。
断絶というと文化大革命を思い浮かべるかもしれないが、それどころじゃない。もっとずっと昔からいろんな地政学的な影響で何度も姿を変えている。そして復興するたびになにか新しくなっている。
プーアール茶も同じ。
生茶の歴史は長いが製法は1990年代で新しくなっている。建前では昔ながらを謳っているけれど、実際はそうじゃない。
現在2020年代だから、新しくなって30年しか経っていない。30年で成熟するわけがない。
現在のプーアール茶に茶海が標準的に使われているのは、主に利便性によるものであって、お茶の味にどのような作用をもたらすかを深く検討された結果ではないと思う。淹れ方の技術や茶器の構成はまだ進化の途中。
実際、自分が茶海を使わないのは、そのほうが美味しいから。
茶海を使うと、水の活き活きとした口感が損なわれたり、茶の味や香りの輪郭がぼやけたりする。
1990年代以降の新しいタイプの生茶は繊細で、ほんとうはお茶淹れ技術が味を大きく左右する。しかし市場の建前としては昔ながらのイメージを引き継ぎたいので、それついて語られることは少ない。
茶壺
茶杯
茶壺から直接茶杯に注ぐ。
これは美味しいけれど、ひとつ問題点がある。
一煎めがむちゃくちゃ難しくなること。
茶器の容量と茶葉の量、湯を注いでからの蒸らし時間。ちょっとでも湯の熱量と茶葉の量のバランスが悪いとお茶の味がいまいちになる。
甘味・苦味・渋味・香りそれぞれがバラバラに感じる。
こういうことがよくある。
一煎めがキマらなくても、二煎め三煎めは安定する。
湯の熱がしっかり入ってゆくと、茶葉の成分がひとつにまとまりやすくなるからだろう。
例えば、料理で味噌汁をつくるときに、具材をあるていどグツグツ煮たほうが味がまとまる。煮る時間が短いとまとまらない。これと同じ。
これを避ける泡茶技術として、プーアール茶は洗茶して一煎めの湯を捨てる方法が普及している。
しかし安い茶葉ならよいが、丁寧につくられた高級茶はもったいない。一煎めのサッと湯をとおした一番だしのような美味しさを捨てることになるから。
この、サッと湯をとおした味は、出来たての新しい生茶ほど美味しい。
熟成13年目の生茶。微生物発酵していないタイプの現代の生茶は熟成がすすむほどに味がまとまりにくくなる。
まとめるためには一煎めの蒸らし時間を長めにする必要がある。
ところが、ちょうど良い濃さで出すと蒸らしが足りないし、ちょうどよい蒸らし具合まで待つと味が濃すぎる。
中間をとるには、茶壺の容量と茶葉の量のバランス。蒸らし時間のジャストなタイミング。これに熟練しなければならない。難しすぎる。
このちょうどよい頃合いを調整するための道具として茶海を使ってみる。
茶海
一煎めに、ちょうど良い濃さで茶海にうつして、茶海の中で味がひとつにまとまるのを待つ。
炭火の遠火でおよそ1分間保温してみた。
茶海
こうするとたしかに味はまとまった。
ただ、やや眠い味になる。
一煎めにぼんやり優しい味をもってくるか、ガツンと目の覚めるような荒い味をもってくるか。
どっちもどっちで、好みの問題かもしれないが、自分はガツンにあまりにも慣れているので物足りない。
もうちょっと何度か試して、茶海の可能性を探ってみるつもり。
茶海

版納古樹熟餅2010年 その51.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶・茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
茶器でお茶の味の表情が変わる。
お茶は『版納古樹熟餅2010年』。
白磁の蓋碗で淹れたこのお茶はキリッと辛口だった。
景徳鎮の薄いつくり。白磁のガラス質。
指ではじくとチン!と鳴る。
白磁の蓋碗
白磁の蓋碗はお茶の味の輪郭線をクッキリさせる。
サッと湯を切って薄目に淹れたらちょうど良いバランス。
清らかな味。爽やかさと透明感が表現できる。
対象的に、チェコ土の宝瓶は輪郭線を消してボカシた味になる。
焼締めは石のように硬いが、粒粒の粗い土質と器の厚み。重み。そこに吸収される熱量。
指ではじくとカン!と鳴る。
宝瓶
茶湯
濃いめにするのが美味しい。
輪郭がボケてとらえどころのない味だから濃くしないと物足りない。
逆に、白磁の蓋碗で濃くすると辛味が強く出て騒がしくなる。
静かな濃い味だから見えてくる奥のほうの味わい。
とろんとした舌触りと甘味と苦味。
ゆっくり。
まったり。
ほっこり。

易武古樹青餅2010年 その47.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 中国宜興土の茶壺・チェコ土の茶杯+鉄瓶・炭火

お茶の感想:
熟成13年目の春。
崩し
餅面
熟成を追いかけるのがいちばん面白いお茶。
どこか魅力がある。
この山のお茶の個性だと思う。
同じ西双版納でも孟海県の山のお茶はそうでもない。孟臘県の旧六大茶山のほうが熟成の魅力がある。
これは個人的な見解ではなくて、現地のお茶マニアたちも同じ見方をしている。
現代製法の生茶なので、微生物発酵はしていない。
(このお茶に関しては、圧餅工程で微生物発酵があった?と疑わしいところがあるが、ごくわずかで、その特徴をお茶の味に見つけられるほどではない。)
なので熟成はゆっくり。
茶葉の陳化よりも人間の老化のほうが早い。
それでも、1ヶ月もしたら熟成の変化を見つけられる。
茶葉の繊維構造であったり、成分構成であったり、なにかが違う。
鉄瓶
泡
注ぎ
茶湯
葉底
餅茶一枚370gほど。
1ヶ月に一度のペースで飲むなら、一回3g(2人か3人で飲むのに良い量)としても123回分。10年は楽しめる。
”七子餅茶”と呼ぶように、昔は竹皮包みの一筒7枚が最低単位。
もっと昔は一筒×6筒で一件の42枚が最低単位。
孫の代まで残せるお茶。

版納古樹熟餅2010年 その50.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 信楽土の茶壺・チェコ土の杯+鉄瓶・炭火
雨
雨
鉄瓶

お茶の感想:
雨の日の朝。
雨の匂いと熟茶。
堆肥発酵に似た渥堆発酵で、土に近づいた茶葉。
+【版納古樹熟餅2010年】
微生物の残した酵素が13年経った今も茶葉を変化させつづける。
週に3度は飲んでいるのに、その変化がわかる気がする。
泡茶
茶ゆ
渥堆発酵に時間をかけた熟茶は濃く淹れるほど味が丸い。輪郭が隠れる。
隠れていても、水質に密度の濃いものを舌が見つけて充実感がある。甘い錯覚。
背丈のある信楽土の茶壷から半分だけ杯に注いで、半分残して、その上から湯を足す。二煎・三煎・四煎・・・と繰り返し。
茶葉を煮やさないで煎を重ねる工夫。
茶杯に注いだ湯はぬるくなっているが、熟茶はこのくらいが美味しい。
熱々のはさっぱり。ぬるくなるとボリュームが出てしっとり。
酵素のチカラで後味はサラサラ。
布
布
雨の日は布もしっとり。

易武古樹青餅2010年 その46.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・杯 鉄瓶+炭火
温

お茶の感想:
熟成具合を確かめる。
冬から春の変わり目にどんな変化があるのか気になる。
餅面
餅面
色艶がよい。
以前よりも黒さを増している気がするが、これは良いサイン。
茶湯
一煎目は「え?」というほど風味が隠れていて、透明で柔らかくヌルっとした甘い液体が舌や喉を潤す。
この感じが良いと思う。
熟成を急いで高温多湿な環境に保存すると変化が大きいが、味が濁る。
濁ると味のボリューム感が増して、それ単独で飲むと美味しいと感じる。
けれど、比べて飲むと、ゆっくり熟成して透明感を保っているお茶のほうが圧倒的に美味しい。
葉底

易武古樹青餅2010年 その45.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・杯 鉄瓶+電熱
除湿

お茶の感想:
除湿機が稼働する季節。
表
裏
泡茶
茶湯


茶想

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