プーアール茶.com

雅安の藏茶1970年代 その1.

製造 : 1970年代
茶葉 : 四川省雅安市
茶廠 : 四川省雅安市茶廠
工程 : 藏茶
形状 : 圧延貨幣型
保存 : 崑山市倉庫
茶水 : 京都地下水
茶器 : 鉄瓶・チェコ土の茶杯
藏茶1970年代

お茶の感想:
四川省雅安市の藏茶。
推定1970年代のもの。先日の上海の勉強会のときにスペースを借りた天山茶城のお店に売っていた。
いまどき藏茶の老茶も珍しいので経緯を聞くと、台湾人が上海近郊都市の崑山市に大きな倉庫を構えて大量の茶葉を保有していて、そこから出てきたらしい。たぶん老茶を小出しに売りはじめたのだろう。
崑山市は上海と蘇州の間に位置する。台湾系の大手企業が集まり工業団地をつくって、この20年くらいで急速に発展した。現在は地価が高騰しているが、昔なら倉庫にできる土地ならいくらでもあったはずだ。倉庫の土地と茶葉に投資してダブルで価格高騰するのを待つ。例えば20年待ったとして30倍に達しただろうか。今世紀中にはもう二度とないタイミングだったと思うが、珍しいことではない。長い歴史をみると物価や茶葉の価格変動を見込んで大量の茶葉を貯蔵してひと儲けした例はいくらでもある。
貨幣のカタチ
貨幣のカタチ
実際、このお茶は古代の貨幣のカタチをしている。
ある地域では茶葉がそのまま通貨として流通していたこともある。長い目で見たら、いつの時代も現金よりも茶葉を貯蓄しておいたほうが安定している。
この固まり390g。竹で編んだ直方体の籠に30キロ分で詰められ牛か羊の皮で包まれる。(上の写真)
藏茶は雅安市から西へ運ばれる。高原に住む遊牧民族やチベット仏教の坊さんのお茶。出荷する前に微生物発酵を促す工程があるので黒茶に分類される。
遊牧民族のバター茶はまさにこの茶葉でつくる。「煎じるお茶」の勉強会のテーマにピッタリ。勉強会での試飲にバターは用意しないが、塩は用意しておこうと思う。
煎じ方はカンタン。ヤカンに湯を沸かして茶葉を投入するだけ。
茶殻
ヤカンに茶葉
ここで注目するのは、煮出し時間によって味も体感も変わってゆくということ。
何分煮出すのがよいのだろう?
煮出し2分
煮出し2分め。
20分以内で十分とは思うが、それを飲んで確かめるのが今回の勉強会。
ちょうどよい煮出し時間は、茶葉の性質によっても、飲む人の体質によっても、その日のコンディションによっても異なる。自分で飲んで自分の身体に聞くのだ。
煮出し20分
煮出し20分茶湯
煮出し20分め。
茶葉に熱が通るほどに成分の変化がすすむ。鉄瓶なので鉄分との化合によるなにかもあるだろう。
煮出し2分と20分を飲み比べて体感の違いに気付く。20分のほうが身体へのアタリが柔らかくて涼しい。
茎も混ざる老葉を微生物発酵させたお茶には特有のピリピリ感があるが、煮出し時間を長くするとそれも和らぐ。
ここで疑問なのが、なぜあらかじめもっと火入れをしておかないのか?ということ。
メーカーから出荷する前に焙煎しておけば、もっと涼しくてピリピリもないので20分も煮出す必要はないだろう。
そう、このお茶もまた、火入れの余地を残した生な仕上げになっているのだ。生のまま長期熟成させることになにか意味があるのだろうか。後発酵の微生物との関係を考えてあるのだろうか。
謎がまた増えてしまった。
一生かかって、お茶のことがもっとわからなくなって終わりそう。
葉底
葉底の色からしたら1970年代っぽくない。プーアール茶だったらこの緑が残っていたらおかしいけれど、たしか藏茶づくりの乳酸発酵を経た茶葉は、長年熟成しても緑色が残りやすいのだよな。

ひとりごと:
業務連絡。
青島に住んでいたE本くん。
久しぶりにメールくれたけれど、そちらの携帯電話のメールがパソコンメールを受信拒否にしているせいなのか、こちらからのメールが不達になる。
設定解除してもういちどメールされたし。
業務連絡以上。

白牡丹生態茶2014年 その5.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 福建省福鼎市磻溪大白茶種
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
鉄瓶

お茶の感想:
鉄瓶の湯の熱には粘りがある。
保温力というか持続力というかすぐに冷めにくい感じ。
鉄瓶から注いだ茶壺にも、茶壺から注いだ茶杯にも、熱の粘りはつづいている。
これを高温という言葉で表現すると、熱にデリケートな茶葉を煮やしてしまいそうだが、そうはなりにくい。
高温ながらやさしく熱が伝わる感じ。
熱にデリケートな茶葉で試してみたくなって、白茶のこれ。
『白牡丹生態茶2014年』(卸売部)
本当は、プーアール茶の生茶も熟茶も紅茶も熱にはデリケートなのだ。
プーアール茶というと基本は高温で煮出すと教えられることが多いから、なにも考えずに淹れていたら多彩な風味に出会えない。
ところが、高温を否定すると、ちょっと温度を下げてみるか・・・となりがち。
そうじゃない。熱の伝わり方が問題。
茶壺
この白茶は2014年ですでに3年経っていて、熟成による香りの変化が現れている。かすかに漢方のようなスパイスの薫るいい感じだと思う。
ところが、この香りはちょっと温度を下げた80度くらいでは眠たくてピンとしない。しかし、沸き立ての湯を注いで90度以上で蒸らすと、とくに茶壺のように保温力のある茶器では酸っぱくなりやすい。渋味も出て甘味が少ない。これを煮え味と呼んでいる。
香りをとるか味をとるかになってしまうのは、温度の問題と考えるからだろう。
例えば92度の湯を注ぐとか、ピッタリな温度設定があるのかもしれないが、気温や茶器のコンディションは毎日変化しているので、別の日は94度でないとダメという具合に変動する。なのでピッタリな温度や時間の設定は、正確なようで正確ではないのだ。
そこで、鉄瓶の湯の熱の粘りに期待してみる。
例えば、熱い湯の風呂にザブーンと入ったら火傷するけれど、かけ湯して皮膚を慣らしながらそっと入ったら大丈夫。
同じ温度でも熱の伝わり方が違うと、熱による変化の結果も異なってくる。
鉄瓶から注ぐ湯の落ち方。
茶壺の中での湯の熱のまわり方。
茶葉にやさしく熱が伝わるカタチをイメージする。もちろん沸きたての熱い湯で淹れる。
チェコマルちゃんの急須
チェコマルちゃんの急須
チェコ土の茶壺は底が広く浅く口がつぼんだ急須タイプを選んだ。
湯の熱は上に上がる。茶壺がタテに長いのは湯の温度が直接的に茶葉に伝わりやすい。底が広く浅いのは湯の熱が反射したり逃げたりして間接的になる。
また、底が広いと茶葉がゆったり広がる。茶葉に伝わる熱が均質になりやすい。
湯を注いでしっかり温めてから湯を捨てて、もういちど熱い湯を注いで半分くらい。妥協のない熱い湯である。
白茶を淹れる茶葉を浮かべる
その上から茶葉を入れて浮かべる。茶葉は自身の重さでじわじわ沈むのを待つ。浮いているのはそのままで無理に押し込まない。蓋をして蒸らすと乾いた茶葉が湯に馴染みながらゆっくり沈む。
風呂の熱い湯に片足ずつそっと入るのと同じように茶葉を熱に慣らす。
3煎め
3煎めくらいまで浮かんだままの茶葉があるが、それでも放っておく。
浮いている茶葉が蒸気で蒸らされる空間を残すように湯の量を調整する。この空間を湯で占めてしまうと熱のまわりが直接的になりやすい。
湯を注ぐところを開ける
湯を注ぐところを空けて、茶葉に直接熱い湯を落とさないようにする。
やはりこれで煮えることなく酸味は出ない。香りは生き生きとしている。
3煎・4煎とすすめても甘味・旨味はひかえめで新鮮味がある。4煎めくらいでちょっと渋味が出たが、こんなものだろう。
白牡丹生態茶2014年
白茶
白茶は前菜のサラダのようなお茶。じっくり味わうメインディッシュなお茶ではない。サラッとした味の印象のまま、ちょっともの足りないくらいで終えるのがカッコイイと思う。
逆に、鉄瓶の湯の熱の粘りをじっくり茶葉の芯に伝えて、甘味や旨味を引き出したいときは、湯を茶壺の口元いっぱいまで注ぐか、縦長の茶壺を使うとよいかもしれない。別の機会に試してみる。

ひとりごと:
ふと思いついて、紅茶を淹れてみた。
このお茶。
+【漫撒一水紅餅2016年】
漫撒一水紅餅2016年
漫撒一水紅餅2016年注ぎ
漫撒一水紅餅2016年
茶壺の口もといっぱいまで湯を注いでじっくり抽出したら、やはり煮えて酸味が強くなった。

広西六堡茶90年代 その2.

製造 : 1990年代
茶葉 : 広西壮族自治区梧州
茶廠 : 農家
工程 : 黒茶
形状 : 散茶
保存 : 広西壮族自治区梧州梧州市ー西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代 
広西六堡茶90年代

お茶の感想:
昨日のつづきで、広西六堡茶のサンプルの試飲。
本日4種。昨日の8種と合わせて12種。
そのうち、気持よく飲めたのはこのお茶『広西六堡茶90年代』のみ。
ま、こんなものだろうと思う。
熟成された「老味」を求めたらこうなる。
ダメだったサンプル茶葉の内容に注目すると、無加水状態での後発酵に積極的だからゆえの失敗も見られる。チャレンジ精神は評価したいが、お腹を壊さないかと心配になるような不味いお茶を流通させるのはやはり問題がある。
近代的な設備の大手メーカーによる渥堆発酵の、安定した品質の新しい六堡茶が市場を席巻するのも無理ない話だ。
同じ黒茶の熟茶のプーアール茶と比べると、原料の茶葉の素質が全般的にちょっと低めだった。古茶樹とか無農薬・無肥料を謳っていても、西双版納では無名茶山の安モノのレベルに値する。やはり茶葉の素質という点では雲南省に優位性がある。
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
素質が低いという言い方は、ちょっと理解が足りないかもしれない。
なぜなら、伝統的な六堡茶の茶摘みは、一芽五葉くらいに大きく育った老叶子。黒茶に後発酵させるのはこういうタイプであり、旬の新芽・若葉は緑茶としてそのまま流通していたのではないかと思う。
プーアール茶の熟茶は、旬の季節の新芽・若葉の微生物発酵をいち早く成功させた。渥堆発酵の水の使用。旬の新芽・若葉の強い茶気のガードは微生物の繁殖をなかなか許さない。水をかけることでガードが下がりやすくなる性質を利用したのである。茶気・香気の立つシャキッとした輪郭の味は、それまでの眠たい味の黒茶に比べたら、目の覚めるようだった。
過去に紹介したこのお茶がそんな感じだった。
+【下関茶磚80年代】
そして、六堡茶にもこの技術が試されるようになる。
今回の六堡茶にも、1980年代とされるサンプルのひとつに(本物かどうかの鑑定は難しい)、渥堆発酵の特徴があった。旬の新芽・若葉が使われていてた。しかし、この方向で勝負するならプーアール茶の熟茶には勝てないだろう。
六堡茶もまた、新しい市場における自らのポジションをつくるために、道を探っているところなのだ。
広西六堡茶90年代
今回のこのお茶『広西六堡茶90年代』は、その点で昔ながらと言える。
一芽五葉くらい。茎もしっかり混ざっている。眠たい味の黒茶ながら、口当たり喉越しともに清潔感がある。
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
葉底の色がいろいろなのは、もしかしたらブレンドしたのかもしれないが、よく見ると、新芽・若葉の色が比較的新鮮を保ち、老葉と茎がより黒く変色している。無加水の微生物発酵においてはこのようになりやすい。渥堆発酵があった茶葉なのかどうかは今となってはわからないが、加水されていたとしても少なめだったと考えられる。

ひとりごと:
広西壮族自治区梧州、見学に行こうかと思ったが、後回しだな。

広西六堡茶90年代 その1.

製造 : 1990年代
茶葉 : 広西壮族自治区梧州
茶廠 : 農家
工程 : 黒茶
形状 : 散茶
保存 : 広西壮族自治区梧州梧州市ー西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
広西六堡90年代
広西六堡90年代

お茶の感想:
広西壮族自治区の黒茶(微生物発酵のお茶)六堡茶をいくつか試した。
残念なことに、六堡茶もまた伝統の製法ではなくなっている。
1990年頃からだと思うが、メーカーの設備で「渥堆」(加水による微生物発酵)製法が取り入れられ、熟茶のプーアール茶と似たつくり方となった。味も似ているだろう。
広西六堡90年代
広西六堡90年代
広西六堡90年代
昔は生茶のプーアール茶と同じく、晒青緑茶(天日干しの緑茶)を農家がつくって、竹籠に詰めたのを出荷していた。後発酵(この場合は無加水での微生物発酵)は、農家に保管されているうちにも少なからずあったはずだが、その多くは中流通の茶商や貿易会社の倉庫で行われたと聞いている。このタイプの黒茶は「越陳越香」。長年じっくり保存熟成させることで、ますます魅力的な味になってゆく。
当店で過去に扱った1970年代の六堡茶。
+【広西六堡茶】
前回の上海でも老茶の愛好家に1980年代のを飲ませてもらったところだが、あるところにはある。しかし、仕入れて売るとなると値段が飛ぶから難しい。
プーアール茶の老茶が高騰した前例があるから、ちょっと未来を予測できた茶商がすでに買い漁って、世界各地の老茶ファンの手元にしっかり収まっていて、現在も流通に残る六堡茶に老味は期待できないだろう。
それでも六堡茶を試すのには理由がある。
近代的な製法であろうが、なかろうが、六堡茶の茶商たちは麹の類である「金花」の無加水発酵に積極的である。倉庫で囲って独自の味を醸している。
もしかしたら、ちょっと特別な風味が見つかるかもしれない。
広西六堡90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年代
広西六堡茶90年
結論から言うと、ひとつ見つかった。
本日紹介のお茶『広西六堡茶90年代』。
8つのサンプルを試して、たったの1つ。7つは残念な感じだった・・・。
サンプルの中には、1970年代・80年代・90年代・2000年代といろいろ記してあったが、1970年代と1980年代のは明らかに偽物。渥堆発酵の味がする。
1990年代のはいくつかあったが、そのうちのひとつにちょっと生茶の老茶に似た風味を見つけた。茶商に確認すると、これもやはり熟茶製法ということだが、水の散布の少ない味。プーアール茶の熟茶であれば1980年代までの技術による味。
良いと思う。
茶葉の素質はベストではない。秋茶葉だと思われ、春茶のような茶気・香気は立たない。淡々と穏やかな表現。水質に密度はないがキレイな質感。喉越しは柔らかい。
何煎でも気持ちよく飲める。
気持ちよく飲めること。いくらでも飲めること。これこそ黒茶の良さ。
広西六堡茶90年代

ひとりごと:
良いお茶を見つけても仕入れられるとは限らない。本当の仕事はここから先。

政和寿眉老茶90年代 その1.

製造 : 1990年代
茶葉 : 福建省政和県 春茶
茶廠 : 政和の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : ステンレス茶缶密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶90年代

お茶の感想:
上海からメッセージが入った。
『政和寿眉老茶90年代』が美味しいけれど・・・。
過去の試飲の結果に異議あり!ということ。
昨年10月にこのお茶を試していた。
もしかしたらと思うところあり、手元に残るサンプルを探して、もう一度『寿眉老茶2003年』と飲み比べてみた。
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶90年代
左: 寿眉老茶2003年
右: 政和寿眉老茶90年代
同じ白茶の老茶。
製造年がちょっと違うが、それ以外にも大きな違いがある。
『寿眉老茶2003年』は、福建省福鼎市の秋茶。
『政和寿眉老茶90年代』は、福建省政和県の春茶。
前回の飲み比べ、
+【寿眉2003年白茶 その2.】
こんなことを書いていた。
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この二つを比べると、『政和寿眉老茶1990年代』には「火共」と一文字で書く炙り味(香)が強くあった。
長期保存中に風味が傾いてくると炙ってシャンとさせる。これまでに何度炙られたのかわからないが、炙ると火味が加わる。ほんのりスパイスになることもあるが、このお茶は烏龍茶のような華やかさが生じていた。表現を抑えきれず、白茶らしさを失っていると思う。
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寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶90年代
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶90年代
今日飲んでみると、炙りの味は落ち着いて、白茶らしさを戻していた。
味は互角。
しかし、そもそも福鼎市と政和県では、白茶づくりの思想が違うのではないか?
秋茶と春茶という原料の違いや、炙るという製茶工程の違いもまた、思想の違いであって、モノの良し悪しの判断基準にはならないのではないか?
さらに、原料の選定や製茶工程には、それぞれ狙いとする薬効の違いもあったはず。現在お茶づくりをする人々は、歴史の断絶により、その意味はもう忘れているだけだろけれど、受け継がれた技術になにかが残っているかもしれない。
もしも2つを比べることに意味があるとしたら、どっちが美味しいか、どっちがそれらしいかということよりも、背後に隠れた知恵を読み取るべきだったのではないか?
根底が揺らいでくる。
頭がクラクラする。
ま、一歩一歩やってゆく。
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶90年代

ひとりごと:
酒飲んで寝る。

孫義順六安70年代 その1.

製造 : 70年代
茶葉 : 安徽省六安県・金寨県・霍山県
茶廠 : 孫義順茶荘
工程 : 黒茶
形状 : 散茶竹カゴ約450g入り
保存 : 香港ー上海 白磁の茶壺
茶水 : 上海のミネラルウォーター農夫山泉
茶器 : 紫砂茶壺
孫義順六安70年代

お茶の感想:
先日の上海滞在中に、
老茶のコレクターでもある美術品修復師の岑(cen)老師の家で飲ませてもらった『孫義順六安70年代』が忘れられない。
過去に当店でも出品したことがある。
+【六安茶70年代後期】
岑老師のはもっと上等の孫義順六安だった。
老茶のコレクターにもいろいろあるが、號級のプーアール茶はほとんど所有していたレベルで、一部はまだ香港の家にあるそうだ。
『孫義順六安70年代』は両手に納まる大きさの陶器の茶壺に保管されていたが、それが最後らしい。
均等に黒くくすんだ細く尖ったカサカサの茶葉だった。
香港から持ってきた1年前はまだ黄色い粉をふいたような金花カビが見えていたそうだが、上海で乾燥したみたいで、今はもう見えない。
岑老師は茶壺を使って多めの茶葉をじっくり抽出する。なのでけっこうカライ。
さらに酸味も強い。コヒーのような酸味に、お茶の爽やかさと辛味がある。なのに水質はまろやかに舌になじんで喉を滑るので、いくらでも飲める。未知の味に舌が驚きながらも、体がOKサインを出しているのがわかる。
孫義順六安
腹の底が温まり、全身の毛細血管に温かい血がめぐり、首から肩にかけて、肩から肩甲骨にかけて、筋肉がゆるむ。
ジメジメした上海の冬は体感温度が低い。その日はとくに底冷えしたから、体を芯から温める老茶がどんなに嬉しいことか、西双版納にいてはわからないと思った。
岑老師が濃く淹れるものだから、本来は10煎以上美味しく飲めるのに、4煎めには下り坂になる。そこで次のお茶に移る。
下ると言っても味が薄れるだけで、茶気と香気は落ちない。色が出なくなっても香気と茶気は延々とつづく。残しておいた茶葉を後からやかんで煮出して飲み続けるらしいが、お客には次のお茶をすすめる。
上質な老茶ならいくら飲んでも大丈夫。
お手洗いが近くなるだけで、体は温まったままぐっすり眠れる。翌日も調子よく感じる。
別の日に、また岑老師の老茶を飲む機会があった。
孫義順六安70年代
『広西六堡70年代』。
これも当店で過去に出品したことがある。
+【広西六堡茶】
岑老師のは広西六堡らしい薬味のしっかり効いたお茶だった。
微生物発酵の黒茶。
黒茶はやはり年代モノにしかない薬効があると思う。
まだ解明されていないけれど、その薬効を身体で知る人だけでちゃんと市場が成り立っていて、ホンモノにはそれ相当の価値がついている。みんなに知ってもらったり、謎が解明される必要はないのだ。そのほうが食文化を守りやすいから。
この日、その次に飲んだのが、別の人の所有する『六安茶80年代』。
岑老師の「孫義順六安」は70年代だったから、80年代のはちょっと格が落ちる。
熟成期間の差もあるが、この手の黒茶は1970年代・1980年代・1990年代と、製法がちょっとずつ変わっている。とくに後発酵のための土壁の古い倉庫が近代化したとか、発酵食品づくりには致命的な変化があちこちにあったのだ。微生物の性質がちゃんと知られていなかったからだろう。
さて、その『六安茶80年代』を飲むと、味はそこそこだったが体感の変わるのがわかった。さきほどまで『広西六堡70年代』でゆるゆるになった肩のチカラが、ふたたび硬直してゆくのが、同席していた数人に共通して感じられたのだ。
味は良いのだけれど・・・。
六安茶80年代
最後に葉底を確認すると、若干色の違う2種の茶葉がブレンドされているのがわかった。
香港の茶荘で手に入れたらしい。
1990年代まで香港では盛んだったブレンド技術だが、味はつくれても、薬効をつくることはできないのだな。

ひとりごと:
微生物発酵+長期熟成。
黒茶の秘密はこの組み合わせにある。
微生物のつくる酵素と、茶葉の呼吸にそのカギがある。

老鉄観音1988年 その1.

製造 : 1988年頃
茶葉 : 福建省安渓県感徳鎮
茶廠 : 王爺
工程 : 烏龍茶
形状 : 散茶
保存 : 10gアルミパック密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗
老鉄観音1988年

お茶の感想:
プーアール茶の老茶の1950年代・1970年代・1980年代の一部の高級品は、専売公社制の時代に海外に輸出され、外貨を稼いでいた。なのでかなり精密なお茶づくりが行われていた。民営と違って国営はコスト意識に低いから、上質を求めるのにも原材料費や人件費が惜しみなく注がれたことだろう。今、老茶の茶葉を観察しても、難しい仕事を見つけることがある。
老プーアール茶
老プーアール茶
1980年代までは人民元が安く、まして西双版納のような辺境地は物価も人件費も安かったから、どんなに高い価格をつけても海外に持って出たとたんに、「安い高級茶」というポジションを得た。
この質と価格の差がどんどん詰まっていって、ほぼ隙間のない、つまり、安くない高級茶となったのは2007年以降ではないかと思う。しかし、2007年以降も価格は上がって、先日の上海(2015年2月)で聞いた価格は、『紅印圓茶1950年代』は1枚350gで70万元(現在のレートで約1330万円)になったという。
高い株ほどよく上がる。
たしかこんな言葉が株式投資にあったと思うが、まだ1枚100万円で買えた2005年頃にすべてを投げ打って『紅印圓茶1950年代』だけを買っておけばよかった。ま、それができないから今がある。
さて、このプーアール茶の老茶の価値が上がったのは、上のような特殊な条件がそろったことと、熟成するほどに美味しさと心地よさ(おそらくそれは薬効でもある)が増してゆく越境・越香の性質があるからであって、他のお茶にも共通して老茶が上質になるということはないと思う。
今日のこの『老鉄観音1988年』もそのひとつ。
老鉄観音1988年
昨日の『水仙烏龍古樹茶餅2014年』の安渓鉄観音の茶農家出身の老板が紹介してくれたお茶。
老板のお父さんは1980年代までの国営時代(鉄観音にも専売公社制の時代があったらしい)に検査員として働いていた。現在は民営化されているが、元国営メーカーの倉庫にたくさん売れ残りの茶葉が眠っているので、もしかしたらプーアール茶みたいに価値が付くのでは?ということから老鉄観音づくりがはじまる。
プーアール茶はもともと高級茶としてつくられたもの。鉄観音は売れ残りの茶葉。スタート時点ですでに差がある。
倉庫の木箱に密封保管されているらしいが、木箱のコンディションも様々。あきらかに傷んでいるのもある。比較的マシなのを選んで火入れされる。
この火入れするというところも鉄観音らしい考え方。
プーアール茶の老茶を火入したら、その味の価値を落としてしまうだろう。
老鉄観音1988年
早い話が、それほど美味しいと思えないが、このブログは試飲の記録。
なぜ美味しいと思えないのか、ちょっと考えてみることにする。
まず、甘い。
甘いという言葉は比較的肯定的に捉えられるが、甘味や旨味の消えが悪いのは茶葉の育ちの質がそれほど良くない証拠。人工的な栽培になるほどこの甘味や旨味は強く出る傾向がある。肥料などで茶葉を肥やすとてきめんである。茶葉だけでなく、穀物も野菜も果物も同じような傾向があり、それに慣れてしまっている人々の舌には、甘味・旨味の残るほうが濃くて美味しいと感じる。市場はより人工的な味を求めている。
香りの逃げる方向が定まらない。
口に含んでから鼻に逃げる香り。ひとつの方向へ向かってスッと逃げてゆくのが上等。あっちへ向かったりこっちへ向かったりどっちへ行きたいのかわからないのはダメ。この『老鉄観音1988年』はまさにそうで、2つの別々のほうへ向かう香りがある。
これはもしかしたら2種類の茶葉が混じっているせいかもしれない。
老鉄観音1988年
鉄観音は、茶農家がある一日につくった単天のお茶を特別注文しないかぎりは、多くはブレンドされる。つくった日の違うもの。製茶の仕上がりの違うもの。茶山の違うもの。ブレンドしてから焙煎でひとつにまとめる。その技術がすごいのだけれど、この『老鉄観音1988年』のブレンドはあまりに違いすぎる茶葉がブレンドされているのではないかと思う。倉庫から出てきてから焙煎されるが、その技術でまとめられる限界を超えているのではないだろうか。
喉の滑りが悪い。
喉にイガイガするほど悪いものではないが、スッと一本の筋が落ちて、腹の底に届くのが感じられる清らかさはない。これも素材となる茶葉の育ちの質に由来していて、人工的な栽培ほど喉ごしの滑りは悪くなる。腹に届くのが遅い。また、旬を外した茶葉も水質がザラザラして喉にひっっかかりやすい傾向がある。
体感がそれほど良くない。
上質な老茶はなんといっても体感。毛細血管が開いて血が隅々まで巡り、風呂上がりのような心地よさ。背中や肩の筋肉の緩むのを感じて、そこにチカラの入っていたことを知る。胸が開いて自ずと姿勢が良くなる。腹の底から温まる。そして持続する。
それほど上質でもない老茶は、はじめは体が温まるが、まもなく冷める。筋肉の緊張が解けない。なんとなく身体を動かしたくなって、貧乏揺すりする人がでてくる。
どちらかというとこの『老鉄観音1988年』は後者のほう。

ひとりごと:
鉄観音のお茶ファンだったら、こんなに低い評価にはならないだろう。もっと技術に注目するからだ。
技術はすばらしい。
ほぼ逝っていたと思われる茶葉を火入れで蘇らせる技術。
バラバラな組み合わせでもひとつにまとめ上げる技術。
清らかな香りとまろやかな味わいをつくる技術。
やはり自分はプーアール茶ドットコムの店長なのだな。
現代プーアール茶が高級でもない大衆でもない市場ウケする中途半端なお茶をつくるのに抵抗があるのも、老茶から入門したからなのだな。
この特殊性において選ぶお茶に、お客様がどんな価値を付けるか・・・ということになる。

水仙烏龍古樹茶餅2014年 その1.

製造 : 2014年春
茶葉 : 福建省[氵章]平双洋鎮中村
茶廠 : 童懐記
工程 : 烏龍茶・水仙茶餅
形状 : 方茶 約11g
保存 : 紙包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙茶餅
水仙茶餅

お茶の感想:
お茶の味に自然を求める。
上質を求めてゆくとそうなる。
そのときに「自然」をどう解釈するかという問いがでてくる。
例えば、
栽培に人の手の加わることを自然とするのか?
それとも、
人間の存在がそもそも不自然とするのか?
お茶の味について、
人間の感覚(錯覚も含む)を優先するのか?
それとも、
茶樹の自然な育ち(その事実)を優先するのか?
人と茶樹のお互いの関係について、いろんな解釈があり、いろんな試みがあり、いろんなカタチのお茶となって現れていると思う。
昔の茶農家や職人のほとんどは文盲だったけれど、深い考察をしていたことだろう。他人と意見が別れたり、自分ひとりの中でもあっちへ傾いたりこっちへ傾いたりして試行錯誤があっただろう。
「経済」が過剰に追求されるようになる前の時代にカタチになったお茶は、人と自然との関わりについてなんらかの答えを出そうとしているように思う。
自然のままを表現していながら積極的に人の手を加えた日本の庭のように、お茶の栽培や製茶工程にも積極的に人の手を加えた自然の表現がある。
プーアール茶から入門した自分には、烏龍茶にそれを強く感じる。
正直言って、
なぜそこまで茶からかけ離れた香りを引き出そうとするのか?
なぜそこまで火の味を付けなきゃならないのか?
なぜそこまで時間をかけて加工しなければならないのか?
わざとらしい。
そう思ってしまうのだ。
烏龍茶から入門したファンには申し訳ないけれど、人と自然の関係に対する解釈がそれほど異なるというところを冷静に見てほしい。
さて本日紹介するこのお茶。
『水仙烏龍古樹茶餅2014年』
通称「水仙茶餅」。
水仙烏龍古樹茶餅2014年
いろいろある烏龍茶の中で、プーアール茶から入門した者にとっては親しみやすいお茶。
圧延した見た目の類似もさることながら、それによる茶葉の性質についても、やや似ているところがある。また原料となる素材の育ちに求めるところも似ている。
プーアール茶が流行した近年は、岩茶の「大紅袍」まで圧延加工したようなのが出ているが、こんなのはコマーシャル商品。
大紅袍の圧延茶
作り手に思想など無く経済を追求したお茶。飲んでみたら美味しかったけれど、岩茶の思想からは外れる矛盾した味が混在しているような気がする。一時期の面白さで買われることはあっても、ずっと付き合うお茶にはならない。
このお茶『水仙茶餅』はやさしい。
味はゆるいと感じるくらい。
濃く煎じてもエッジが利かない。
火入れが強くない「清香」にしては、味も体感もおっとりしている。
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
このように圧延加工をゆるめにするには、茶葉の粘着力を残す必要があり、軽発酵は軽く仕上げて、焙煎はしっかりできない。
製茶工程では、圧延して紙に包んでから焙煎されるが、その焙煎はあくまで乾燥のための弱い火であり、火の味が付くほどではない。
おそらく、そこを狙ってあると思う。
昔ながらの濃香の烏龍茶好きには物足りないかもしれないが、このお茶には主張を持たせないという思想があるような気がする。
このお茶を紹介してくれたのは、安渓鉄観音の茶農家出身で、上海で茶業を営む老板。
上海で交流した時に、故郷の自慢の鉄観音以外に、そこから50キロほど離れたこの[氵章]平双洋鎮中村の古茶樹でつくる水仙茶餅を飲ませてくれたのは、プーアール茶のことを意識したのかもしれないと思う。
雲南省の古茶樹の話をしたときに(当然その話になる)、山の生態環境の素晴らしい樹齢100年の茶樹が故郷にもあると、スマートフォンの写真で見せてくれた。その茶樹のお茶がコレと紹介してくれた。
烏龍茶では樹齢100年で古茶樹とされる。
茶樹の大きさや仕立ては、易武山の麻黒地区の剪定された古茶樹に似ている。畝作りではなくて一本一本が独立している。幹はもうちょっと細い。
もちろん無農薬・無肥料。
プーアール茶の茶葉の生まれ育ちを重視する観点から見ても、ほんとうに健康なお茶の味がする。喉越しのやわらかさ。透明感。清香の烏龍茶ならではの甘い香りにも清潔感がある。
これらは素材の言葉。製茶でどうこうできることではない。
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
よく育った老葉と硬い茎のある茶葉ならではの耐泡。延々と煎が続いて一日中飲めるのもまたプーアール茶っぽい。
このお茶を仕入れて出品しようと思う。(春節明けになる予定)
福建省の農地見学はすぐにはできないが、2年くらいのうちには訪問したい。

ひとりごと:
上海で交流したお茶ファンの2人からこんなことを言われた。
「ふじもとの持ってくる生茶のプーアール茶は、柔らかい味だからついゴクゴク飲むけれど、茶気がどうにも強くて、冬の身体には厳しい。」
そうなのだ実際に。
素材の良さを追求してゆくと、味はだんだん姿を見せなくなる。山深い森林の中のお茶ほど、原生の品種に近いほど、旬を追求するほどそうなってゆく。茶気の強さはそれに反比例するかのように強くなる。茶酔いの感覚は酒と同じで、上質な酔いというのがあるが、それでも新しいお茶特有の強い酔いは避けられない。数年しか熟成させていない生茶は、夏の身体には心地よい涼しさがあっても、冬にはちょっと寒い。
医食同源がお茶に求められていた昔は、やはりプーアール茶は長期熟成があってこそのお茶なのだろう。
その観点からすると、この「水仙茶餅」は茶気の強さを、茶摘みのタイミングや製茶によって、ある程度抑えてある。火を使った味の表現を控えめにしてある。古茶樹の育ちの良さで口当たりだけでなく身体にもやさしい。なにか特別なところを誇るようなところはなく、いろいろ良く考えられたバランスで、落ち着いた大人のお茶なのだ。
存在自体がこなれたお茶。
これも自然への解釈の答えのひとつになっていると思う。

無名烏龍茶2013年 その3.

製造 : 2013年春
茶葉 : 茶山不明
茶廠 : 不明
工程 : 烏龍茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺
雨の日

お茶の感想:
「良いお茶とはどんなお茶?」
と聞かれたら、
「知恵の詰まったお茶です。」
と答えたい。
知恵をどうやって相続するかが難問だから、物質化して茶になったのだ。
いろんな知恵があるから、いくつものお茶に分かれたのだ。
理解するのに時間がかかるから、喫茶が習慣となり、道を得たのだ。
今日は上海人のお茶ファンから説明もなく頂いた烏龍茶。
無名烏龍茶2013年
残り最後のひとつまみ。
+『無名烏龍茶2013年 その1.』
広東省の鳳凰単叢に似ている。
「無い味」と表現したい内気なお茶。
無名烏龍茶2013年
無名烏龍茶2013年
プーアール茶の観点と烏龍茶の観点は違う。
自然に対する人間の立ち位置が違う。
茶葉に求める性質が違う。
製茶における「火」との付き合い方が違う。
烏龍茶で「無い味」を表現するのは、しっかりした意思があると思われる。
ちょっと前までこうした作為のあるお茶は、わざとらしいと否定的に捉えたが、今は違う。
それぞれのお茶の持って生まれた境遇というか、宿命というか、その立ち位置を理解しようとしている。
隠れた知恵を発掘したいと思う。
無名烏龍茶2013年

ひとりごと:
マルちゃんの茶壺を「好日居」に預けた。
マルちゃんの茶壺
マルちゃんの茶壺
プーアール茶ドットコムのお茶を淹れるという条件で使えるようにした。
中国へは持ってゆかない。
ちょっと寂しいけれど、そうしないと仕事の気分になれないような気がした。

白牡丹生態茶2014年 その4.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 福建省福鼎市磻溪大白茶種
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺
白牡丹生態茶2014年

お茶の感想:
白茶づくりは、
お茶の味にもっとも影響力のある「殺青」と「揉捻」の工程が無い。
「殺青」と「揉捻」の仕事をどう解釈するか?
この仕事を人工的と捉えると、白茶というのはもっとも自然な、素朴で原始的なつくり方のお茶ということになる。
もっと深く考えると、人工的な要素を省くことによって自然を人為的に模倣した、わざとらしいお茶ということになる。
さらに深く考えると、わざとらしさを承知で、自然というものに憧れ、尊重したいという人の姿勢を表したお茶ということになる。
もう一歩踏み込んで考えると、人の生み出した技術である「殺青」と「揉捻」の理性や合理性は、自然に調和するのか?そもそも人間は自然に調和した生き方ができるのか?という疑問が前提にあったからこそ、「殺青」と「揉捻」を省くことができたということになる。
白茶という製法を完成させる過程で、このことがじっくり検討されたことだろう。
お茶をつくる職人は世界をどういうふうに見ていたのか。
今日はこのお茶。
『白牡丹生態茶2014年』(卸売部に出品中)
白牡丹生態茶2014年
白牡丹生態茶2014年
製茶職人を意図を汲んで、熱を下げたぬるめの湯で淹れる。
その白茶のひたすらやさしい味は、これぞお茶という感じでもないし、お茶を超越した華やかさもないし、とても自然に寄り添った味と感じられる。自然か不自然かという論議の余地はここにはもう必要ない。
もしかしたら、白茶の味はこのテーマへの回答なのかもしれない。
白牡丹生態茶2014年
『白牡丹生態茶2014年』は白茶の独自性を大事にしてある。
美味しい白茶ならいくらでもあるが、緑茶や紅茶に傾いたような、つまり「殺青」や「揉捻」の味が混じっているのが多いと思う。「殺青」や「揉捻」の工程を省くだけでは不十分。そこを十分に考えてつくられた白茶は少ないと思う。
よく考えられたお茶。
考えるのに時間を割くのは、お茶への愛情。仕事への愛情。人の生き様への愛情。
白牡丹生態茶2014年
白牡丹生態茶2014年

ひとりごと:
チェコの陶芸作家マルちゃん(マルティン・ハヌシュさん)の茶器で白茶を淹れるなら、
先に湯を注いで、
湯の温度がなじんでから、その上から茶葉を入れる。
白茶の茶葉は軽くて水面に浮かぶけれど、下の方からじわじわ浸かってゆく。
3煎めくらいでやっと全部湯に浸かる。
はじめのほうに浸かる茶葉と、後のほうに浸かる茶葉と、抽出される味は均一ではないけれど、これはこれでよいと思う。


茶想

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