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アルケミスト

『アルケミスト』 パウロ・コエーリョ著 1988年

羊飼いの少年がある夜に見た夢をきっかけに宝探しの旅に出る。
この本はそれだけのかんたんな冒険小説。
けれど、少年が旅でいろいろ学んでゆくように、読んでいるほうもまた人生の旅で様々な学びがあることに気付かされる。
不思議なのは、なんど読んでも新しい発見があること。たぶん時が経つにつれ自分のいる世界が変わり、少年の旅の物語から見えてくることも変わってゆくからだと思う。

この本をはじめて読んでから10年ほどになるが、3年ほど前にようやく少年の旅のあるエピソードについて理解できた。おそらく、すぐに理解できる人にはなんてこともないのだけれど、すぐにできない人にはあんがい難しくなりそうで、自分がそのひとりだったからそう思うのかもしれないけれど、同じように迷う人に道しるべとして書いてみたくなった。
間違っているかもしれないけれど、それならそれで問題はないだろう。
アルケミスト
以下その部分のあらすじ
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少年はアルケミストのつきそいで砂漠をわたっていた。
ところが砂漠ではじまった戦争にまきこまれてしまい、二人は砂漠最強の軍隊に捕えられる。すぐに処刑されそうになったが、アルケミストは少年の全財産を砂漠の首領にささげ、3日間だけの約束で命乞いをする。
「この少年は3日以内に巨大な風を吹かせて軍の野営地を吹き飛ばして見せる」
と、アルケミストは言う。
「どのみちお前たちの命はわれわれにあるのだから」
と、砂漠の首領は3日間をゆるす。
「風を起こすことなどできない」
と、少年は取り乱す。
「できなければ3日後に殺されるから、今から砂漠や風と交信する努力をせよ」
と、アルケミストは言う。
少年はしかたなく砂漠に座り、砂や風と交信しようとする。
そして3日間、少年はずっと砂漠を見つづけている。
軍の全員が見守るなかで、風が吹きはじめる。
その風はこの地方で「トマム」と呼ばれる季節の突風だが、トマムは何十年に一度の猛威をふるって軍の野営地を吹き飛ばしてしまう。
砂漠の首領は少年に神の栄光を見て二人を釈放する。
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風は少年が起こしたように思える。
少年は砂漠と風と交信し、さらに太陽や宇宙の神とも言葉を交わした。本にはその会話の一部始終が書かれている。
少年の旅の物語は、ここにくるまでになんども奇跡を起こしてきた。しかし、その奇跡はわれわれの身の周りにも起こりうることで、砂漠や風と会話したり、まして風を起こすような超自然的なものではなかった。だから、ここにきてやはりこの物語はファンタジーであると、少し距離をおく見方になってしまう。

さて、この解釈だが、
風を起こしたのは少年ではない。
トマムはこの日に、何十年に一度の猛威をふるうことがはじめからきまっていた。
世界中のあらゆるところで起っている災害と同じ。
トマムが来ることを知っていたのはアルケミストだけだった。
だからアルケミストは3日間の命乞いをした。
しかし、ここが重要なところだが、少年が自らの命を救えるかどうかは、砂漠の風と交信できるかどうかにかかっていた。もしも超自然的な風の力に少年が怯えたりしたら、砂漠の首領は二人とも処刑しただろう。なぜなら、それは少年の起こした風には見えないからだ。
少年は3日間、砂漠と風に語りかけた。そしてかすかな予兆が現れた時に、風と交信できると確信した。砂漠最強をほこる軍隊が、少年の起こす(起こしたように見える)巨大な風に恐れている時にも、少年はひとり静かに風や太陽と交信し続けられた。
アルケミストは200歳だった。
鉛を金にすることができる。この人物はあきらかにファンタジーである。しかしそれがこの物語の奇跡を信じられなくすることはない。なぜなら、少年の旅に起こったいろいろな奇跡の裏で、かならず少年はそこで起っていることをよく観察し、運命を受け入れ、かんたんにあきらめない態度で取り組んだ。そのことにかわりはないのだ。
風のエピソードをファンタジーとするか、自分にも起こりうることとするか、もういちど考えてみる価値がある。
3年ほど前にそう思ったわけだ。

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