プーアール茶.com

下関銷法沱茶90年代 その6.

製造 : 1998年頃
茶葉 : 雲南省臨滄茶区大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 下関茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 香港ー広州ー上海 紙包みのまま
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗
下関銷法沱茶90年代
下関銷法沱茶90年代

お茶の感想:
上海の老茶ファンはまだ老茶だけを追いかけていて、新しい当店のオリジナルのお茶には見向きもしない。
しかし、1995年あたりの値ごろな熟成20年そこそこの生茶に上質は無い。1990年代は産地が荒れた様子があり、現地の人々からもそう聞いている。生茶は原料の晒青毛茶の製茶技術が直接お茶の味に現れるから繊細なのだ。
その点、熟茶は微生物発酵というプロセスを経るので、農家における製茶技術はあまり問われない。むしろこの時代に国営メーカーの渥堆発酵技術が進歩して、安定した味を得たと思う。現在よりも原料が良く、時間を掛けて渥堆発酵させた良さがお茶の味に現れている。
熟茶の歴史を1970年代・1980年代・1990年代・2000年代・2010年代と区切ってみても、1990年代の熟茶に美味しいのが多いのは、銘柄の数も生産量も充実しながら、素材となる茶葉の質がバランスを保っていたからだろう。
だから老茶ファンはこの頃の熟茶に注目している。
1998年頃の国営時代の下関茶廠の定番。
+【下関銷法沱茶90年代】
下関銷法沱茶90年代
下関銷法沱茶90年代
下関銷法沱茶90年代
「銷法」(フランスに売り出す)は、産業発展夜明け前の時代の中国が外貨を稼ぐための上等なお茶として生産し始められたことを意味している。
下関銷法沱茶90年代

ひとりごと:
上質なお茶ができるのは、人が計算して行えること以外のなにかが大きく関係している。
そこに気付く眼。
受け入れる心。
自然を尊敬する態度。
土と火とマルちゃんと。
マルちゃんの器
マルちゃんの器
マルちゃんの器
マルちゃんの器
マルちゃんの器

楊姐の老茶頭1990年代 その1.

製造 : 1990年代中頃
茶葉 : 雲南省大葉種晒青茶・産地不明
茶廠 : 不明
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 香港ー上海 茶缶密封
茶水 : 上海の水道水濾過器使用
茶器 : 景徳鎮大きめの白磁の蓋碗
楊姉の老茶頭1990年代プーアル茶

お茶の感想:
先月の話になるが、
上海の天山茶城(卸や小売が集まったお茶のデパートのようなところ)にある友人の店に何日か通って見学させてもらった。
茶葉がどんなふうに売れているのか?
友人の店には専門がなく、茶葉も茶器も、流行りの日本の古道具なども置いている。30代から40代くらいの客が多い。緑茶で育ったはずの上海の若い人たちが、いろんな茶葉を求める。この傾向は昨年よりも増していた。
上海の30代から40代には収入があり、消費に旺盛で、ちょっと高くても上質なお茶が欲しいと思っている。ところが、店が対応しきれていない。
なぜだろう?
西双版納に帰ってからずっと考えていた。
そして、今、自分自身の上海と西双版納との違いを見て、この理由が分かるような気がする。
上海は忙しいから、お茶に集中できないのだ。
店の人だけでなく、お客も含めてみんなが。
あんなお茶もこんなお茶も試したい需要に応えてあんなお茶もこんなお茶も仕入れる。右から左へ。一度売れたらおしまいで、すぐ次の新しいお茶に移る。昨年は白茶だったが、今年は台湾茶だろうか、日本茶もダージリンもアリだろうか。
店も客もいっしょに漂流しているから、上質なお茶が手元に回ってきても解釈する暇がない。お茶を解釈するとは、それを飲む自分を解釈することでもある。上質に出会うとは、自分の中に宿る上質と出会うことでもある。
慌ててできることではない。
さて、
その店の常連のちょっと年配の楊姐は、いろんなお茶を買うが、選び方に独自の作法がある。プーアール茶は熟茶が好きだと言うが、サンプルを無料提供しない当店のやり方に憤慨されて(友人の店で当店のお茶の試飲をしてもらう機会があった)、「自分が上海にいる間に試飲はいくらでも無料でさせるから」と言っても、「それでは自分の家で試せないから嫌だ」と言う。
押し問答の末、楊姐が折れて、『版納古樹熟餅2010年』を一枚お求めいただいた。
3日間飲んでみて感想を教えてくれることになったが、どうも気になる。
3日目を待たずに店の友人と楊姐の家に行くことになった。
行ってみると、上海の人なら誰もが知っている新天地の高級マンションの32階。300平米はある巨大なリビングの隅っこに小さな茶席がある。
「いつも飲んでいるプーアール茶はこれ!」
と紹介されたのが『老茶頭1990年代』。
1998年に深センの茶葉市場で十キロほど入手して、それからずっと飲み続けて、残り少しが紫砂壺の底にあるのみ。これを買う時もやはり3日間飲んで検討したらしい。
この先10年飲める熟茶を探しているということか・・・。
楊姐の老茶頭1990年代プーアル茶
楊姐の老茶頭1990年代プーアル茶
楊姐の老茶頭1990年代プーアル茶
楊姐の旦那さんは香港人で、香港にも家があり、プーアール茶の高級を知る機会はあるが、他人に何をどう言われようが、自分の茶器で自分の淹れ方で試して、良いと思ったお茶しか買わない方針。
「茶頭」と呼ぶ熟茶製法の副産物のような、言わば半端モノの茶葉(現在は製品としてつくられた茶頭もある)を選んでいるセンスからして、楊姐は銘茶を避けるようなところがある。実はこういうお茶ほど評茶は難しい。少なからず欠点もあり、それをどう解釈するかが問われる。他人には分かりにくいので、自己満足になりがちである。
しかし、
飲む前から分かっていた。
これはすばらしいお茶。
1998年から16年間もずっと大事に保管しながら飲まれてきたお茶。
お気に入りの茶器で一煎一煎をどういうふうに淹れたら一番美味しいか、欠点をどうカバーすると良いか、寒さの厳しい今日みたいな日はこのお茶のどんな味が沁みるか、すべてを知り尽くされている。
旅するときも小さな器にこの茶葉を携帯している。
保存はどんな器でどんな気温・湿度のほうがコンディションが良いかが分かっている。手元でさらに熟成して独自の展開もあっただろう。
もうこのお茶は他人のお茶ではない。楊姐の老茶頭1990年代。
誰に何を言われようが自分は自分。自己満足で上等なのだ。
メモ的に書いておくと、はじめの3煎ほどは90年代の老茶頭に特有の蝋のような油っぽい香りがあった。酸味もしっかりしていて、乳酸発酵っぽいヨーグレット味がやっぱりあった。消えの早い旨味・甘味・苦味。後口のサッパリ感からも素材の上質が分かる。
香港での保存時は金花の黄色い粉が見えていたが、上海に移してからは2年ほどかけて徐々に消えていったらしい。

ひとりごと:
茶葉との付き合いには時間がかかる。
当店のサイトでお茶を出品すると、出品してからしばらくは注文が続くが、時間が経つとピタッと止まる。売れなくなる。上海でも最近はこの傾向があるが、日本ではもっと前からそうだったのだ。
お店の経営を考えると、常に新しい出品が大事になる。短期間で売り切れる少量の仕入れのほうが効率良い。
新しいお茶を求めて漂流が始まる。
時間をかけてひとつのお茶とじっくり向き合うことを、お店もお客もしないのに、どうして上質と出会える?
時間がないから、自分で解釈しないで他人に解釈を任せておいて、どうして対等の付き合いができる?
いろいろ考えるところがある。

銷台甲級沱茶90年代 その6.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種晒青茶(布朗山古茶樹)
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納ー昆明乾倉 紙包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋
銷台甲級沱茶90年代
銷台甲級沱茶90年代

今日はこのお茶
『銷台甲級沱茶90年代』(卸売部に出品中)
西双版納で保存熟成しているのを開けてみた。
通気をちょっとだけ許す素材で囲っている。
金花は沸いていなかった。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
湿度計は55度を指している。
今はまだ乾季で雨が降らないが、雨季になると湿度は65度から75度くらいで安定する。もしかしたらこの熟茶には金花が沸くのではないかと期待している。
室内は、冬に暖房をすることもなければ、夏にエアコンをすることも2週間ほどあるかないか。気温が安定しているということ。空気と茶葉との温度の乖離が少ないので、見えない水の動きも少なくて、思わぬ結果を招くこともない。
とにかく、長期保存のお茶の温度を安定させると、湿気対策にもなるのだ。
余談だが、
冬の間は、当店のお茶の郵便小包がお客様の手元に届いて、暖房のある室内ですぐに開封すると、結露することがある。冷たくなっている茶葉と温められた室内の空気との温度差が大きいので、空気中の見えない水が茶葉に吸着する。これに気付かないまま保存すると茶葉は劣化する。もっと悪いケースでは腐敗するだろう。
寒い時期は、室内で1日ほど荷物の温度を慣らしてから開封したほうがよい。
銷台甲級沱茶90年代
銷台甲級沱茶90年代
1990年代までの熟茶は、
熱湯をサッと通してあっさりめに淹れるのが美味しい。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
ここまで濃くすると爽やかさに欠ける。
あっさり淹れると番茶のようなやさしい味がする。
昔の熟茶の特徴は、
1.大きく育った茶葉や茎が混じる
2.原料の晒青茶がしっかり炒ってある
3.渥堆発酵の水の量が少なめで軽く仕上がっている
しっかり渥堆発酵した現在の熟茶製法に比べると、茶葉の性質が異なる。
そこをちょっと考えて淹れると個性が引き立つ。
熟茶の普洱茶

ひとりごと:
番茶の味と似ていて嬉しくなるのは、番茶の味で育ったからだろう。番茶の味に馴染んだのは、番茶が美味しく飲める、あるいは身体がそれを求める、気候風土があったからだろう。
その点で、西双版納はお茶の産地ではあっても消費地ではないのだな。
今の季節はまだ気温が低い(と言っても22度ある)から、熟茶はまだ美味しく飲めるけれど、もうちょっと暖かくなると暑苦しく感じるようになる。
上海の冬に熟茶はしみじみ美味しい。
美味しい熟茶を探すなら、上海のほうが見つけやすいかもしれないな・・・。

醸香老茶頭散茶90年代 その2.

製造 : 1995年頃
茶葉 : 雲南省景谷茶区大葉種潅木晒青茶
茶廠 : 昆明第一茶廠(推定)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 香港ー広州ー上海−日本 紙袋
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水
茶器 : チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶

お茶の感想:
熟茶づくりの渥堆発酵のときにできる石ころのような茶葉のカタマリを「茶頭」(cha tou)と呼ぶ。
現在の「茶頭」と1990年代の茶頭はちょっと違う。
1990年代は香港の茶商の倉庫なり広州の茶商の倉庫なりで「後発酵」という無加水状態での微生物発酵による仕事が加えられたお茶だった。このお茶を広州から入荷したての時は、麹系統のカビの白い綿や金色の粉がびっしり付いていた。
良性のカビによるこの風味が魅力だったと思う。
+【醸香老茶頭散茶90年代】
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶
この種のカビは乾燥状態では活動をやめて死んだように眠り、自らつくった分解酵素によりじわじわ分解されてゆくせいか、ゆっくりと色彩を失う。
2013年6月のこの記事。
+【醸香老茶頭散茶90年代】
この写真と比べてみても、現在の茶葉は表面の色彩が失われている。
色彩は失われても風味は健在。
甘い土の味。雨に濡れる岩の苔の香り。かすかにピリピリした辛味。そして、微生物のつくった酵素が多いせいか、濃厚な見かけの割にはサッパリと口の中を洗ってくれて、軽い飲み口となる。
なんとも言えない独特の風味がある。
近年は大手メーカーも中小のメーカーも茶頭を製品化して出品しているが、包装する前の段階でしっかり加熱して水分を飛ばし、勝手に後発酵しないようにしているので、昔ながらの味にはならない。
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶
現在の茶頭を出品したことがあった。茶頭をレンガ型に圧延した孟海茶廠の2010年と2012年の製品や、散茶のまま茶缶に詰めた中茶公司の2007年と2009年の製品。しかし、いずれも後発酵の風味は失われていた。
当店のオリジナルの熟茶『版納古樹熟餅2010年』をつくったときにも茶頭が少しできた。たしか10キロほどあったと思う。渥堆発酵の終盤に自然乾燥させる段階にも茶頭は水分を多く保つので、発酵がさらに進んで茶葉が真っ黒に焦げていた。正直なところ、つくり手としては茶頭の仕上がりをあまり好ましいと思っていなかったが、出品後すぐに売り切れたのは、もしかしたら上に紹介した1990年代の茶頭の印象があったからではないかと推測している。
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶

ひとりごと:
次回、茶頭ができたときには、西双版納で「生」のまま保存して、無加水での微生物発酵を許すつもりだ。

銷台甲級沱茶90年代 その5.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種晒青茶(布朗山古茶樹)
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納ー昆明乾倉 紙包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶

お茶の感想:
今日も雨が降ったので熟茶。
『銷台甲級沱茶90年代』 (卸売部に出品中)
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
微生物発酵でまろやかになり、20年になる熟成でさらに角がとれてまるくなってきたというのに、このお茶には旬の茶葉がもつ辛味が生きている。後口の舌にピリピリが残ってゆっくり消えてゆく。
辛味があるからキレが良くて、甘い熟茶でありながら透明感を保っている。しっかり発酵させたことによる密度の濃い茶湯にはとろみさえあるのに、水のように喉を流れてすっと落ちる。酵素成分が作用して、液体のサラサラ感を保つのだろうか。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
熟茶は一般的には茎や老葉(大きく育った茶葉)が多く混ざるが、このお茶は新芽・若葉の部分が多く使われている。篩いにかけて等級分けしたのではなくて、はじめから新芽・若葉を摘んだ茶葉であろうと思われ、ちょっと成長した葉もほどよく混じっている。生茶にもできる晒青毛茶を原料にしているのだろうか。
発酵の微生物は辛味の成分を嫌うから、渥堆発酵のときの水を多めにかけて、良性の微生物の活動を促さなければならない。微生物発酵がはじまらないまま水を含んだ状態でいると、望ましくない軽発酵がすすんだり、悪い菌で腐敗したりする。
1990年代中頃から発酵度の高い熟茶が普及したのは、旬の新芽・若葉を積極的につかうようになったからだと思うが、その背景には、おそらく生茶向けの新芽・若葉に需要が高まり、売れ残りの晒青毛茶が大量に流通し、利用しやすくなったからではないのかと想う。

ひとりごと:
茶壺を育てる「養壺」は、
じっくり手をかけて道具を育てているようでいて、実は道具をじっくり使いこなす過程から学ぶことが多く、逆に育てられているという相対的な関係にあると思う。
プーアール茶の長期熟成もそうだと思う。
だから1枚。じっくり手元で熟成して、ときどき飲んで風味の変化を見守りながら、お茶に学び、お茶に育てられるのはよいアイデアだと思う。
いろんなお茶を飲み比べるのは違いを見つけやすく、知ったつもりになりやすいが、知ったがゆえに進歩が難しくなることがある。時間を掛けてお茶の良さを見つけるプロセスは、お茶を育て、同時にお茶淹れの技術や、お茶の味の鑑賞眼(舌)を育てられているのだ。

竹殻熟茶磚90年代 その1.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明 竹皮包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
お茶の話をする前にちょっと寄り道をする。
「牛肉干巴」、ビーフジャーキー。黄牛を絞めた時だけ山の人が売りに来るから、いつもあるわけではない。
手に取って鼻に近づける。傷んでいないか確かめる。
牛肉干巴
囲炉裏で燻されヤニが付いてローソクの表面のようになっている。そもそも草だけで育った黄牛は脂肪が少ないから手にベタベタしない。カチカチに硬くて煙の香りの強いのが良い。柔らかくて煙の香りの弱いのは水分が多くて腐りやすいし、味がしまっていない。表面に白い粉が吹くのは塩分だから心配ない。涼しい季節しかつくれないから、そろそろシーズン終了だと思って買った。
水で表面を洗って8分間蒸して食べる。
牛肉干巴
日本に帰国していた時に、
「現地で変なものいろいろ食べてますね・・・。」
と誰かに言われたが、ほんとうは知らないうちに変なものが口に入っているのは皆さまのほうだと言いたい。
国とか業界団体とか企業とかに食べものの品質保証を任せる仕組みは、安心できて賢く見えるけれど、実はうまく機能しないと思う。みんなのためにやりながら、誰が悪いわけでもなく、誰の責任でもなく、みんなの望まない結果となる。人の社会の構造的な問題で変なことになる。
どんなに面倒でも、個人が自分で責任を持って食べものの良し悪しを見極める余地を残しておいたほうがよいと思う。そうすると、加工された食品よりも原料に近いものを毎日のように見て・触って・嗅いで確かめられる機会が要る。そういう食品市場のあるところに住みたい。また、漬物くらいは家でつくったほうが良い。
さて、これと同じように、
中国のお茶には品質の責任を個人が持つ感覚がある。
アタリ・ハズレの差が中国茶は大きい。「そんなことはない」と思うなら、それは日本向けに選ばれたのを買っているからだろう。
中国にある中国茶の専門店では、たとえ老舗でも平気で質の悪いの(悪くなったの)を置いていて、客の顔を見て勧めることがある。客はそれを試飲して買ってしまうことがある。飲んで納得したのだから自己責任。そんなことをしても、店は看板を汚すことにはならない。客のほうもそれでメゲたりはしない。
今回問屋さんから回ってきたこのサンプルのお茶がそうだった。
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
不味かった。
竹を煮たような風味がある。ちょっと酸っぱいような気もする。
竹皮に包まれていたから風味が移ったのではなくて、圧延加工の乾燥工程で熱を入れすぎたのだと思う。1990年代中頃から2009年頃までにつくられた熟茶に、この竹を煮た風味のが多くある。設備の整わないまま生産を急いだのかもしれない。
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)から生茶のブレンドが見つかった。
生茶をブレンドした熟茶がいくつも出てきたのは1990年代中頃からだと思うが、おそらくその頃、熟茶の発酵度が全体的に上がってスッキリ感を失い、茶廠の職人が苦しい選択で生茶をブレンドして調整したのだと思う。熟茶は1970年代・1980年代・1990年代・2000年代とだんだん発酵度を上げて風味の変化があったが、その変化についてゆけなくなったのだろう。現在は高い発酵度に人々の舌が馴れてきたせいか、生茶ブレンドの熟茶は少なくなっている。

ひとりごと:
口直しに今最も美味しいと思う熟茶を飲んだ。
『銷台甲級沱茶90年代』(卸売部に出品中)
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
実は、この最も美味しい熟茶を持っていた問屋さんこそが、今日の不味いお茶のサンプルを回してきた問屋さんなのだ。お爺ちゃんから三代続いている老舗である。もちろんこんなことで関係が悪くなったりしない。
「ハイ、次。」
それだけのことだ。
こういう人の習慣や社会の違いを知ることに、外の世界から参加する中国茶の面白さがあると思う。
美味しいところをいただいてしまって、皆さまには申し訳ないのだ。

下関美術字鉄餅90年代 その1.

製造 : 1990年代中期
茶葉 : 雲南省大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 雲南大理下関茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 広州乾倉
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
サントリー山崎蒸留所
サントリー山崎蒸留所
(サントリー山崎蒸留所)

お茶の感想:
スコッチ・ウイスキーに似た煙味がこのお茶の魅力。
『下関美術字鉄餅90年代』 (卸売部に出品)
プーアール茶の20年モノ。
老茶は酒に似たところがあると思う。
酒には「醸造酒」と「蒸留酒」がある。
醸造酒は「清酒」・「ワイン」・「ビール」・「紹興酒」・「マッコリ」など。
醸造酒的な味わいの老茶は、『老字号可以興茶磚80年代』。 (卸売部に出品)
蒸留酒は「焼酎」・「泡盛」・「ウィスキー」・「ブランデー」・「テキーラ」・「ラム」など。
蒸留酒的な味わいの老茶は、このお茶『下関美術字鉄餅90年代』。
醸造酒と蒸留酒は製法の違いだが、醸造酒を甘口とするなら蒸留酒は辛口となるだろう。アルコール度数の高い辛味に合わせたバランスになるので、強い味やクセのある香りへの許容範囲は蒸留酒のほうが広い。
ウィスキーの煙味や薬味は、アルコールの辛味とそれを支える甘味や旨味が絶妙にバランスをとる。これと同じように、「鉄餅」も煙味と呼ぶクセのある香りや重厚感のある苦味をしっかりした甘味が支えて、個性的ながらも美味しいお茶になる。
残念ながら、このバランスの良いのがめったにない。それが鉄餅の痛いところなのだ。
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶
ウィスキーなら原料の仕込みから樽の熟成、最後の瓶詰前に味の調整ができる。ところが、鉄餅は原料の晒青毛茶(農家で天日干しで仕上げた緑茶)を選んだ時点でほぼ決まっている。もちろん熟成する倉庫の温度・湿度などの環境の良さもあるけれど、味のバランスを整えられるほど調整はさせてくれない。
鉄餅は1950年頃に、当時ソビエトの依頼によって下関茶廠がつくったのが最初。
【早期藍印鉄餅50年代 (圓茶鉄餅プーアール茶)】
ところが、これが人気がなく、1990年頃まではあまりたくさんつくられていなかったと思う。当店には1983年のがひとつあったが、これは正規品ではなく台湾の茶商がオーダーしたもの。
【83鉄餅プーアル茶】
その頃から台湾ではプーアール茶ブームがあって、鉄餅の味の魅力に気付いたお茶ファンが増えたのだろう。1990年代から徐々に増えて、現在は毎年何種かの鉄餅がつくられている。
鉄餅は今でも老舗メーカーの「下関茶廠」がシェア98%くらいだと思うが、それでも美味しいのが少ないと思う。この味覚にしてウィスキーのように多くのファンを獲得できないのは、品質が安定しないからだろう。
ところが、少し前に出品したこのお茶。
『中茶牌3917沱茶93年』 (卸売部に出品)
これが鉄餅の美味しいのに似た味の魅力をもっていた。
「沱茶」というお碗型で形は違うが、カチカチに強く固められているところが鉄餅にそっくり。
中茶牌3917沱茶93年
圧延加工をここまで強く硬くするには、晒青毛茶の蒸し加減を深くして柔軟性と粘着力をしっかり持たせる。通常は15秒から20秒ほど蒸すところを、1分は蒸すことになるだろうか。(メーカーは現場を見せないからはっきりわからない。)この長めの「蒸し」が茶葉の成分に変化をあたえ、鉄餅的な風味につながる。そして後の保存熟成にも影響がおよぶ。
だから原料の質と熟成年数が近ければ、形は違えど風味は接近するのだろう。
今日はこの2つの飲み比べ。
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶と中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶と中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶と中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶と中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶と中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
下関美術字鉄餅90年代プーアル茶と中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
左; 下関美術字鉄餅90年代
右: 中茶牌3917沱茶93年
『下関美術字鉄餅90年代』は一煎めから味や香りが変幻して揺れる。ストレートに煙味がくることがあれば、鼻にツンとくる森の『樟香』が薫ることもある。二煎・三煎とすすめるごとに甘味・旨味がにじみ出てくる。
それに対して『中茶牌3917沱茶93年』の一煎・二煎くらいはやや単調。三煎くらいから味のコクがでてくると、後味の吐く息に仏教っぽいお香の薫りがかすかにある。
茶山が違うと思う。
おそらく両方とも古茶樹なのだが、茶山が異なると品種が微妙に異なり、風味の違いになる。『下関美術字鉄餅90年代』の品種はより古いタイプのものだと思われる。葉底(煎じた後の茶葉)を見てもその傾向がある。

ひとりごと:
偶然がつくった自然の恵みのような鉄餅の味。
これを人為的につくれるようになればよいかというとそうではないのだ。人為的な味に魅力がないのはペットボトルのお茶が証明している。
それでは、美味しい鉄餅が1割としたら、残り9割はどうなるのか?
それは心配ない。
そもそも鉄餅はロシアが下関茶廠に依頼してつくったお茶。
サモアールで煮出してジャムを混ぜて飲むには9割の鉄餅で十分美味しい。また、ロシアは自国だけでなく他国へも転売していたはず。おそらく今も一部では残っていると思うが、イスラム圏でチャイやハーブ入り茶になっているお茶にも、雲南省のカチカチに固めたプーアール茶は流通していたと思う。
そこはおそらくラクダの背に荷物を乗せたキャラバンがゆくような辺境の地だろう。もしもそんなところでカチカチのお茶を見つけたら教えてほしい。

中茶牌9016沱茶90年 その1.

製造 : 1990年
茶葉 : 雲南省大葉種晒青茶
茶廠 : 昆明茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 香港ー昆明乾倉 紙包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋
銷台甲級沱茶90年代と中茶牌9016沱茶90年
左: 銷台甲級沱茶90年代 (卸売部に出品)
右: 中茶牌9016沱茶90年 (このお茶)

お茶の感想:
20のサンプルのうちのひとつ。
検討の土俵に乗っていたお茶があった。
1990年の熟茶のプーアル茶、『中茶牌9016沱茶90年』。
国営時代の昆明茶廠のもので、香港の茶廠からのオーダー生産だったらしい。
250gサイズの沱茶一個がサンプルに回って来たときに包み紙の写真を撮り忘れたが、「9016」と印刷されていていた。さらに「H.K90」と「紅繊」と小さな文字が印刷されていて、それが第一批(一番最初に出荷されたもの)を証明するらしい。そのうえ昆明茶廠の工場長を務めた鄒家駒氏の著書『漫話プーアール茶』に、「このお茶は熟茶の基準となる」と評していて、ひさしぶりに鑑定価値のある老茶となった。
ところが、前回試飲した時には香港倉庫の悪い味がしたので、別の倉庫のサンプルを別の問屋さんから求めて、今日のこの試飲に至った。
中茶牌9016沱茶90年
銷台甲級沱茶90年代と中茶牌9016沱茶90年
銷台甲級沱茶90年代と中茶牌9016沱茶90年
左; 銷台甲級沱茶90年代 (卸売部に出品)
右; 中茶牌9016沱茶90年 (このお茶)

一日かけていろいろ試した。
結論から言うと、前回よりもずっと良かったが、不採用にした。
味の奥にくすぶる倉庫の匂いと、喉越しに一瞬だけ「イガッ」とくるものと、後味にほんの少しだけ舌にネタっとするものが残る。そこが気に入らなかった。
それも一煎・二煎ではわからない程度。ひとくちかふたくちめまではむしろ魅力的で、ナッツ類のような芳香、ヨモギ餅のようなほろ苦味、干し柿のような甘味。最近イチオシのこのお茶『銷台甲級沱茶90年代』よりも美味しいかもしれないと思ったくらいだ。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
マイナスな印象の風味は、おそらく香港の倉庫にあるときにできたものなので、市場に流通するすべての『中茶牌9016沱茶90年』に共通するものかもしれない。ここでいったんあきらめることにした。
お茶会などでみんなと面白いお茶を持ちよるシーンでは、ひとくちふたくち楽しむに十分耐えうる品質だと思う。あるいは、もしも当店が小売店で、お客様の顔を見ながら試飲をすすめられるなら大丈夫だ。
「そのようなものなら是非ひとつ手配してほしい」と思われる方はメールにてお問い合わせください。
【店長にメール】

ひとりごと:
別の試飲の老茶。
1980年代の生茶のプーアール茶。
1980年代生茶プーアル茶
1980年代生茶プーアル茶
1980年代生茶プーアル茶
良いお茶だ。
一日中飲んでいられる。スルスル入る。体が温まる。
これは出品できるだろう。

可以興青磚茶1990年代 その2.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山
茶廠 : 可以興茶庄(孟海茶廠?)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
可以興青磚茶1990年代プーアル茶

お茶の感想:
昨年の秋ごろから方向転換した卸売部が面白くなりつつある(自分なりに)。
品数は少なくても、味の世界は広がってきている。
味の世界というと、プーアール茶は老茶がだんぜん奥深い。
衛生的で(時代や地域のズレはさておき)、美味しくて、高額すぎないこと。
この条件で探すと数は限られるけれど、1990年代くらいの無名のお茶にはまだ眠っている美味しさがあると思う。
【過去に紹介したプーアル茶】
この中の老茶の有名銘柄には古美術品のように鑑定する面白さがあった。現在探しているのは無名や包装が無いために「鑑定」はできないが、「鑑賞」はできる。
老茶の味にはまだ注目されていない味の観点があると思う。
今回注目した「生活のお茶」の味わいは、過去の有名銘柄とは違う独自の趣きがある。これはつくられた目的が違うからだ。
高級茶になるほど「清淡」な風味が求められる。都市生活のお茶を飲むシーンには清淡が映える。しかし、生きることで精いっぱいの環境に暮らす人たちが、家族で毎日飲むお茶に清淡はちょっともの足りない。田舎料理がそうであるように、栄養・滋養のわかりやすく表現された濃さが要る。濃い味は雑味をともないやすいが、雑味を消すスパイスがあれば違ってくる。それが、「収斂味」と呼ぶ苦味や渋味や酸味の刺激の味だと思う。「辛い」とも言うが、辛味のバランスが良いと、お茶は気高い風味となる。
この観点から見て、『可以興青磚90年代』(出品を検討中)は、よくできている。
初めて飲んだ時に「易武山の紅茶か・・・」と思ったくらい軽発酵がすすんでいたが、その割には辛味しっかりで、紅茶とは一線を画している。(前回その1.において青茶と推測していたが、そうじゃないらしい。)
この軽発酵は「陳年茶葉」によるものだ。
圧延加工する前に、晒青毛茶のまま1年か2年寝かしてある。このときに異なる2つのタイプの発酵が同時に起こる。ひとつは茶葉が生まれながらに持つ酸化酵素(枯れ葉になろうとする成分)による変化。もうひとつは易武山の夏の温暖湿潤な環境で起こる微生物発酵による変化。
生活のお茶の味に必要な辛味を残しつつ、まろやかで甘い風味。このバランスは陳年茶葉でなければ難しいだろう。
「青磚」と呼ぶ、生茶をレンガ型に圧延した磚茶。
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
中茶牌65周年青磚03年
【中茶牌65周年青磚03年 その1.】
このタイプはもともと大衆向けのお茶だった。茶摘みは若葉が大きく成長するのを待って一芽三葉が摘み取られる。産量が稼げてお茶の価格を安くできるからだ。しかし、この一芽三葉には辛味の成分が多い。
例えば過去に出品したこのお茶。
【プーアル青磚茶90年代】
このページのお客様の感想を見ると、「意外とまろやか・・・」みたいな声が多いが、逆に言えば「辛い」のを覚悟していたということだろう。10年も経ったらバランスがよくなるが、出来立ての頃は飲みにくいほど辛い。
はじめからまろやかにつくられた青磚と、10年経ってまろやかになった青磚と。
可以興青磚茶1990年代プーアル茶と中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
左: 可以興青磚茶1990年代
右: 中茶牌65周年青磚03年
可以興青磚茶1990年代プーアル茶と中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
左: 中茶牌65周年青磚03年
右: 可以興青磚茶1990年代
どちらも辛味を残しつつ、美味しい。

ひとりごと;
西双版納で収斂味といえばこの「橄欖」。
橄欖・オリーブ
写真は漫撒山「弯弓」の野生モノ。
オリーブのことだけれど、オリーブ油になるのとは品種が違うのだろうか、やたら酸っぱい。酸っぱいを通り越してシワシワした刺激が舌や唇の内側や歯茎まで麻痺させるような味覚。
擦り傷・切り傷・打ち身が多い山の仕事で、体がこの味覚を欲しがるのだろうか、山ではたまらなく美味しいと思う。地元の人たちは唐辛子や塩をまぶして「シーシー」言いながら食べる。
西双版納の大葉種喬木の品種には収斂味が強い。とくに古い品種のにその傾向がある。「布朗山」・「南糯山」・「孟宋山」をはじめとして、孟海県のお茶は全般的に収斂味が強い。
「老班章」が近年になって高騰しているのも、地元の人々の嗜好が人気を後押ししていると思う。

大益銷台A磚90年代 その2.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南省西双版納大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包みのまま
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
大益銷台熟A磚90年代プーアル茶
大益銷台熟A磚90年代プーアル茶

お茶の感想:
当店に出品しているお茶で「味覚分布図」みたいなのをつくると、プーアール茶というくくりの中で、偏りなくいろんな味をそろえているのがわかるだろう。茶山の味、茶葉の摘み方の味、品種の味、製法の味、年代による技術の違いの味、保存熟成の倉庫の味、などなど。そんなことは相当マニアックな方か、当店の品を端から順にお求めになっている方しかわからないかもしれないが、そういうふうにキチンと揃えたいA型なのだ。
この場合、熟茶が困る。
熟茶製品は数あれど味覚のバラエティーは少ない。近年はとくにしっかり発酵させた濃くて甘い風味が主流となり、茶葉の等級・加工の形状・固形茶の形状・パッケージデザインなどの違いは様々にあっても、飲んでみると美味しいか不味いかくらいの差しかない。味の系統が同じなのだ。美味しいお茶だけ揃えてゆくとよく似た味になる。
そして熟茶は飽きる。
毎日ご飯を食べて飽きないのは、控えめな旨味だからであって、おかずのような濃い味付けのものを毎日は食べられない。濃い味になった熟茶は飽きやすいと思うのだ。
飽きてきたときに、お客様が違うのを試そうと期待して求めた別のお茶が、手元のお茶と同じ系統の味だったら面白くないだろう。
という深いというか深すぎる読みがあって、このお茶を再度試飲。
【大益銷台熟A磚90年代 その1.】
大益銷台熟A磚90年代プーアル茶
お客様からのリクエストでひとつ取り寄せることになったのだが(リクエストがあればメールください。)、そういえばこのお茶は生茶がブレンドしてあった。もしかしたらすでに2種ある1990年代の熟茶とは異なる風味のタイプとなり、品ぞろえに加えられるのではないか?
ということで手元のサンプルを単独で試飲した。
まず、一般的な熟茶よりも色の出方がゆっくり。透明感のある茶湯になる。そして甘さ控えめでサッパリした口当たり。これは発酵の軽い『7581荷香茶磚97年』と似ているが、このお茶『大益銷台熟茶磚90年代』の場合は生茶ブレンドの効果でサッパリしていると思われる。生茶の茶葉は圧延の時に茶葉同士で接着しやすいから、湯を注いでからもほぐれにくい。じっくり抽出すると色は濃く出る。
大益銷台熟A磚90年代プーアル茶
大益銷台熟A磚90年代プーアル茶
濃くなると生茶独特の酸味や「収斂味」と呼ぶシワシワくる渋味が出てくるが、甘い熟茶の風味と合わさるとバランスが良い。発酵した熟茶の部分も1990年代の軽めの発酵で、甘ったるい感じはしない。全体的にさっぱりした飲み口。熟茶の味に飽きて来た人にはちょうど良い感じだ。
大益銷台熟A磚90年代プーアル茶
今回の試飲したのは前回出品のと倉庫が違うが、「参香」と呼ぶ朝鮮人参っぽい香りがあった。今後はこちらの倉庫のを入荷したい。

ひとりごと:
総合的に良いと思ったけれど、サッパリ風味では『7581荷香茶磚97年』のほうが個性的という点で良いかと思う。個人的に。お店的にはどう思ったらよいのかゆっくり考えたいと思う。
【7581荷香茶磚97年 その1.】
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶


茶想

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