プーアール茶.com

中茶牌3917沱茶93年 その12.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮密封
茶水 : チェコの水道水・浄水器
茶器 : チェコ土の宝瓶
マルちゃんとお茶
マルちゃんとお茶

お茶の感想:
マルちゃんのお気に入り。
クリコフの工房で、移動の汽車で、プラハの民泊のアパートで。
どこでもこのお茶。
【中茶牌3917沱茶93年 その11.】
濃く淹れると、強いのにまろやか。
お茶の苦い刺激にやや中毒症状の人にはたまらない。ドブリー!
製茶の下手な焦げ味も、23年間熟成した今となってはスモーキーなスパイスで、プーアール茶ならでは野趣となる。
しかし、自分が美味しいと思うお茶が、みんなにも美味しいとは限らない。
現に、マルちゃんのお茶仲間の多くは、このお茶をそれほど良いと思っていないらしい。
そのほうが都合がよいのじゃないの?
欲しがる人が少ないと、すぐには売り切れないし、価格も上がりにくい。
マルちゃんとお茶
美味しさをシェアしたい。
自分の美味しいが他人の美味しいであってほしい。
それゆえに、美味しさを自分で判断せずに他人に判断してもらいたくなる。
ま、お店としては、そういうお茶を売りたいけれど・・・。
結果、みんなに美味しいというファンタジーがつくられ、そこにワラワラ人が集まる。
プラハでプーアール茶勉強会
プラハの勉強会で2つのお茶を飲み比べた。
答えを言わずにブラインド試飲。
『章朗古樹紅餅2016年』と『巴達生態紅餅2016年』。
同じ巴達山の同じ春の「古茶樹」と「小茶樹」の紅茶。
価格は3倍以上の差がある。
「どっちが美味しい?」
と聞いたら、ほぼみんなが小茶樹の紅茶を選んだ。
実は、自分もこの日は小茶樹の紅茶のほうが美味しいと感じた。チェコの冬、チェコの空気、チェコの水、チェコの食べ物を1ヶ月間食べている身体。価格は安くても美味しい。こんなことはよくある。
飲み比べで2種のお茶を飲むと、体感がどちらのお茶由来のものかわからなくなるので、その点で古茶樹のお茶は不利であるが・・・。
このとき受講者に不安の色が見えた。
業者の人もいる。間違ったら恥ずかしい。安い方を選んだら舌に経験が無いと思われるかもしれない。他人の顔を見て、他人の意見を求めて、どちらにしようか考える。
チェコのプーアール茶勉強会
業者の人は他人の好むお茶を選ぶのが仕事だから仕方がない。
(だから、業者の選ぶお茶は美味しくても平凡でつまらないのが多いのかもしれない。)
自問自答してみる。
『中茶牌3917沱茶93年』のような強い個性のを、自分がオリジナルのお茶でつくれるのか?
つくれないな・・・。
製茶で焦がしたとか意図しないところが、そこが魅力であるなんて、主張できない。
多数の人の批判にガマンできない。少数の人の絶賛のことは考えもしない。
お茶は、安全第一なので表現の幅は狭いかもしれないが、安全を機能に置き換えたら茶器も同じ。
マルちゃんの茶壺
今まで、日本に渡ってきた作品しか見たことがなかったので、クリコフの工房に残された”選ばれなかった”品々を見ると、なんとなくわかる。焼き上がって思いもしなかった形や色に変化したものの中から、出品する品を選ぶのに、マルちゃんがいかに慎重に自問自答してきたか。
チェコには現在15人ほどの陶芸作家がいて、そのうち中国茶の茶器をつくるのは5人か6人といったところだろうか。プラハのお茶の店の棚に、チェコの作家さんたちの作品が並ぶ。その中にあると、マルちゃんの作品の異様がわかる。歪んだカタチに鈍い色。また同時に、他の作品に「オレオレ」的な主張が現れているのが見える。ただ、カタチが整っていたり、色が美しいだけなのに。
この中から欲しい作品を10秒で選べ!と言われたら、たぶんオレオレのアピールに負ける。多くの人が「オレオレ」のほうを選ぶだろう。
「よい器ですね」と他人から褒められることのほうが、自分が好きかどうかよりも大事だから、歪んでいるのは避けたい。機能面で優れているほうが他人にわかりやすい価値だから、好きなカタチや色は後回しで考えたい。
でも、その選択方法で買った器は、それから先はどうなるのだろ?
毎日付き合ってゆけるかな?
しばらくしたら使わなくなって、お客が来たときだけの出番にならないだろうか。
他人に媚びてしまう。みんなと同じ美意識というファンタジーの仲間に入れてほしい。
マルちゃんの茶杯
マルちゃんの茶則
モノをつくる側の人が「オレオレ」の意識を削ぐには、ちょっと修行が要ると思う。
売れにくいモノをつくるという経済的な抵抗の他に、ひとりになる不安への忍耐が要る。
そういえば、チェコのクリコフの工房に着いた初日に、マルちゃんからこんな質問を受けた。
「美味しさに影響はないみたいだし、不良品というわけではないと思うけれど、この前買った『中茶牌3917沱茶93年』の表面にカビのような白い粉がちょっとだけあるのだけれど、これ大丈夫?」
言いにくいことで、タイミングを選んだのだろう。
プーアール茶の白露
「あ、それ、良い方の麹カビのつくった酵素成分だと思うから大丈夫。昔の香港倉庫の老茶にはよくあったよ。」
そう答えたらマルちゃんは安心して嬉しそうだった。
やはり不安になるのだ。
たとえ、自分の味覚と体感を信じていても、プラハのお茶仲間たちはこのお茶を評価していない。
みんなが正しくて、自分は間違っているのではないか?と心配になる。
自分の好きなものを選ぶには勇気がいる。忍耐がいる。
そんなにしんどい思いをするくらいなら、他人に選んでもらった「自分の好きなモノ」のほうが楽だよな。

ひとりごと:
マルちゃんの工房にずっと売れ残っていた白いお椀。
高台が三角の白い茶碗
高台の三角がカッコよくて気に入ったのだった。
その他の魅力はあまりない。むしろ平凡な感じがする。
でも、買うことにした。
誰かに「変なの選ぶな。見る目がないな。」と言われても平気。
友達いないから。

中茶牌3917沱茶93年 その11.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
冬の京都で交流したチェコの陶芸家マルちゃん(マルティン・ハヌシュさん)と、茶器と茶葉を交換した。そのひとつ。
『中茶牌3917沱茶93年』(卸売部に出品中)
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
製茶に問題がある。
カタチも残らないくらい粉砕された茶葉。
「殺青」(鉄鍋炒り)の焦げた風味。
20年ほど熟成されて、ウィスキーの樽のような香りが今となっては魅力だけれど、出来たての時は飲めたものじゃなかっただろう。
だから今もこうしてこの価格で残っている。
年代モノのプーアール茶は、高級茶と大衆茶とがはっきり分かれていて、大衆茶が今も残っているとしたら、どこかしらドラブルがあるに違いない。
それを承知で出品している。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
しみじみ美味しいお茶だと思う。
しかし、ちょっと扱いを間違えると、嫌な焦げ味が強くなる。
お茶淹れの技術というほどでもないが、公道杯(茶海)の底に溜まる粉々が浮き立たないよう、そーっと上澄みだけを注ぐこと。
それだけでずいぶん柔らかい味になる。焦げの苦味が舌に残りにくくなる。
このことをマルちゃんに、お茶を淹れて見せて伝えた。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
「茶葉とのリレーションシップのつくり方を学んだ。」
と、マルちゃんは言った。
器にもそんなのところがあることを話をしてくれた。使い勝手のよい機能的な器だけが、好きになれるとは限らない。
マルちゃんの器を手にするときに感じる味わいは、もしかしたら、ちょっとだけバランスが悪かったり、ちょっとだけ持ちにくかったり、そんなところから来ているのかもしれないな。
お茶もまた、優等生だけが好かれるわけではない。
欠点を個性と見て、その良いほうの味わいを意識して淹れる。
それができたら無敵。もうこのお茶はなにかと比べる必要のない、世界にひとつの私のお茶。私の味わい。

ひとりごと:
京都でインスピレーションをいっぱい受けて、はやくチェコに帰って仕事したそうだったマルちゃんは、今頃チェコで土まみれになっているのだろうな。
チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺

中茶牌3917沱茶93年 その10.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
『越境野生青餅2010年』
『中茶牌65周年青磚03年』
ときて、
煙味と苦味に馴れてきたところでこのお茶。
『中茶牌3917沱茶93年』(卸売部に出品中)
1杯、2杯、3杯と飲んだら、
仰向けに寝て足を肩幅に開き、腕は体から少し離して手の平を上へ。瞼を軽く閉じて全身の力を抜く。ヨガのポーズ「シャヴァアサナ」。長い呼吸を体の内側へ送る。鼻からゆっくり吸って鼻からゆっくり吐く。吐く息ともにいろんな考えが出てゆき、頭は空っぽになる。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
瞑想のお茶。
豊かな時間。
このお茶の苦味には製茶時に茶葉を焦がした味が混ざっている。出来たての時はさぞかし厳しい味だったことだろう。長い年月をかけて茶葉が深い呼吸をして、なにかをゆっくり吐き出しながら熟成してゆく。
今このお茶に残るのは浄化の苦味。
浄化されて、騒いでいた心がピタッと静まる。
しばらく舌に残るの余韻を味わううちに、苦いのか甘いのかわからなくなっている。

ひとりごと:
こういうお茶がもうつくれないのだ。
ちゃんと味わえる人も少ないのだ。
経済的なこと。
農家の生活や仕事の変化。
お茶を飲む人たちの生活の変化。
社会の変化、世界の変化、地球環境の変化。
原因はいろいろある。
考えすぎると気持ちばかり焦るから、とりあえずお茶を飲むところから。

中茶牌3917沱茶93年 その9.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
新しい生茶を同時にいくつか試飲した。
熟成期間がまだ数年のお茶は、同時にいくつも試飲するのが有効だ。
ところで、
新しい生茶を試飲していて、突然、現在卸売部に出品するような廉価な20年モノの生茶に戻ると、「ひどいお茶だな」と思えてしまうことがある。念を押すが、熟茶ではなく生茶だ。しかも廉価な品についてだ。
今と昔では観点がまるで違うからだ。
近年の生茶は減点評価である。
まず悪いところを探す。悪いところのないものだけが官能評価の段階にすすむが、雲南のお茶づくりにおいて技術的な不足の無いお茶などありえないから、たいがい減点評価をするだけで優劣が決まる。
老茶は違う。
もしも老茶を減点評価すると、ひとつも楽しめないことになる。ひとつひとつの個性が強くて、減点評価では対応しきれないだろう。
例えばこのお茶、『中茶牌3917沱茶93年』(卸売部に出品中)
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
これを現代の生茶の後に飲んだら、焦げ臭いと感じる。
原料の晒青毛茶が焦げているからだ。
(煙味と書いていたが、どちらかというと焦げ味だと今日は思った。)
焦げているからダメだろうか?
焦げにも魅力があるのではないか?
ここから老茶探訪の一歩がはじまる。
当店はこのお茶の焦げ味に魅力があると評価した。他にゴマンとある焦げ味の老茶とは、ひと味ちがうと感じた。
もしもこの味の魅力を、製茶技術の向上した現在に再現しようとしたら、たいへん難しいことになるだろう。それはプロゴルファーに思いがけない方向へ玉を打ってもらうようなものだからだ。
焦げ味は偶然の産物で、二度とつくれない。希少価値があると考えている。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

ひとりごと:
なぜ現在の生茶は減点評価なのか?
おそらく、お茶をつくる人たちも、買って飲む人たちも、みんなが減点評価をする機会に恵まれた時代に生きているからだろう。
新しい生茶の試飲は、まさに「正否」を問うような味の見方をしている。その方向なりの蓄積があり、向上があり、成熟があるから、当店もそれなりに研究してゆきたい。
業界全体に大きな成果が現れだしたのは2012年頃からだと思うが、まず、過去のようなひどい出来のお茶が激減した。
しかし、出来の良いお茶については、どのメーカーも差不多。みんな同じような顔をした風味になった。
玉石混交、百花絢爛の時代には、もう戻らないのだろう。
新しい生茶のプーアル茶
新しい生茶はキレイで当たり前。

中茶牌3917沱茶93年 その8.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター 上海浄水器の水、京都御所付近の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗 小さめの茶壺
西双版納
上海
上海
京都お茶会

お茶の感想:
「西双版納」ー「上海」ー「京都」。
短期間に移動してこのひとつのお茶をそれぞれの茶器、それぞれの水、それぞれの空気、それぞれの人たちと味わった。
自分は仕事のためになるべくお茶の味だけを見ようとしているけれど、そんな器用な事、ほんとうは出来ないと思った。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
とくに上海にはお茶に味わいがあった。
たぶんここでいちばん老茶をたくさん飲んできたからだと思う。生活が沁みている。
上海の冬の寒さや夜のしっとりした空気が、お茶とともに薫った。

ひとりごと:
黄茶
熱い湯に反応する黄茶の香りもよいな。

中茶牌3917沱茶93年 その7.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
20のサンプル茶葉のうち、やっと1つが検討の土俵に上がって、何日かかけて試飲を繰り返して、採用になるのもあれば不採用になるのもある。
けれど、選ばなかったお茶は、ほんとうは自分の鑑賞力が無いから美味しさを見つけられなかったのではないのか?
採用して売ることになったこのひとつのお茶にしても、過去に茶商やお茶好きたちの鑑賞力が無いから、こうして倉庫に眠ったままになっていたのではないのか?
老茶を試飲しているとふとそんなことを思うのだ。
今日はこのお茶『中茶牌3917沱茶93年』 (卸売部に出品)

中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
検討の土俵に上がっている『下関美術字鉄餅1995年』と飲み比べ。
下関美術字鉄餅1995年プーアル茶
下関美術字鉄餅1995年プーアル茶
下関美術字鉄餅1995年プーアル茶
下関美術字鉄餅1995年プーアル茶
左: 中茶牌3917沱茶93年
右: 下関美術字鉄餅1995年

ひとりごと:
他人のお金を大切にしない人は、
自分のお金も大切にできません。
金儲けの神様「邱永漢」さんの言葉だ。
これをお茶に置きかえて、
他人のお茶を大切にしない人は、
自分のお茶も大切にできません。
他人のお茶を美味しくできない人は、
自分のお茶も美味しくできません。
と言ってみる。

中茶牌3917沱茶93年 その6.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
プーアール茶の老茶の味わいには、
中国茶や台湾茶というのとはちょっと違う世界観があると思う。自分は中国茶や台湾茶からプーアール茶に入ったのではなくて、いきなり発酵や貯蔵のお茶の味覚と効果・効能というところから入ったので、その違いというか、その初心を大切にしたいと思う。
中国茶や台湾茶やイギリス紅茶をぜんぜん知らなくても、お茶の味は面白い。
このことをジャンルを超えた味覚マニアたちにアピールしたい。
卸売部は、昨年の夏頃まで中国茶・台湾茶から来る方や、パケ買い(パッケージを気に入って買う)の方までも意識して迷走しかけていたから、いま老茶に注目しなおして、軌道修正しているところである。
老茶の味の世界を楽しめる人たちは、おそらく日本酒の古酒やワインやウィスキーの嗜好を楽しめる人でもある。
1990年代(約20年モノ)の生茶をこの数日に続けて飲んで、突然2010年の生茶を飲むと、まるでジュースのように甘く新鮮に感じる。「酒になっていないじゃないか!」と言いたいくらいだから、やはり酒の嗜好に近いものがあると思う。
手元で蜂蜜酒を醸したときに、その過程でちょくちょく味見してゆくと、アルコール度が増すだけではなく、酒独特の味がでてくるのがわかった。蜂蜜ジュースにアルコールを足すのとは全く違う。酒には醸すという過程で生まれる独自の趣きがある。
老茶には「陰」の風味があって、それが他には無い趣きとなって、なんらかの印象をつくる。例えば音楽は、雨の日や悲しみなどマイナスな感情も心地よく味わえるように、お茶の味にも一見マイナスなところに深い印象ができて、鑑賞のポイントとなることがある。もちろん腐ったり傷んだりしたマイナスな味ではない。清潔を保ちながら経年変化によって醸しだされる「陰」の心地よい味わい。
味覚は食欲と直結しているから、「陰」の味わいを楽しむにはあるていど食欲が衰えたほうがよいと思う。例えば、「焼肉食べたい!」よりも「蕎麦をあてに一杯やりたい!」みたいな感じだろう。だから老茶は一般的に30代後半からだと思う。
「そうそう、自分は○○○でそんな味を見つけている」と思った人は、老茶も楽しめるから、是非このお茶を買って、入り口に立ってほしい。
【中茶牌3917沱茶93年】
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
専用茶器も作法も要らない。
1000円くらいで売っているコーヒーポットがひとつあれば十分。
【プーアール茶の淹れ方】
お茶を崩すのは千枚通し。100円ショップでも売っているだろう。
老茶は道具を選ばない。微妙な風味の違いが印象までも変えたりはしない。どんな茶器で淹れてもたいがい大丈夫。ただし水は、せめて浄水器を通したのを使ってほしい。
はじめてのときは茶葉の量を思い切って少なめにするのがコツ。

ひとりごと:
お茶を売るというひとつの行為にも、「この味!」と主張するのを売るのと、他人が欲しがるだろうなと思うのを売るのと、ぜんぜん違う感覚がある。「この味!」が売れた時は、お客様といっしょにお茶を飲んでいる気分になれる。居酒屋やBARのカウンターにいっしょに並んでいるような感じ。勝手に想像しているだけだが、それが楽しい。自分は良いと思ってもお客様は「ギリギリアウトです」というケースもあるだろうが、個人による感じ方の違いがまた面白いから、ぜんぜん構わないのだ。
とはいえ、他人の欲しがるお茶のほうが明らかに需要があるから、それはそれで誰かを雇って店をやらせたほうがよいのだけれど・・・・・・・・。

中茶牌3917沱茶93年 その5.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
このお茶、『中茶牌3917沱茶93年』 (卸売部に出品)
香港倉経由で昆明倉熟成と思っていたが、そうじゃなかった。
昆明倉だけで20年らしい。
【中茶牌3917沱茶93年 その1.】
ここでの話は間違い。訂正させていただく。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
白露はほんの少しあるけれど、(無いのもある。)昆明の倉で醸しだされたもの。
問屋さんの話をはじめから詳しく聞いておけばよかったのだけれど、まったく聞かずに自分で推測するからこういうことになる。しかし、それでよいのだ。老茶は自分で判断する。これからもいろいろ間違いが見つかるだろう。そのたびに訂正する。老茶は二転三転するから面白いのだ。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
煎がすすむと、煙草香と苦味に霞む奥のほうからユラっと蜜の甘味が顔を出す。いったんその甘味が出たらしばらく舌の上から離れなくなる。唾液が止まらなくなる。

ひとりごと:
老茶がつづくと甘いものも止まらなくなる。
この数日毎日ケーキ食べている。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

中茶牌3917沱茶93年 その4.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
もうひとつ老茶に共通してあるもの。
「煙味」。
これも近年のお茶づくりでは避けられるようになった。
しかし、本当に避けてよかったのか?
このお茶『中茶牌3917沱茶93年』や『中茶牌65周年青磚03年』 (卸売部に出品)
の煙味はとても魅力的。
1990年代最後の高級茶、このお茶にも絶妙なバランスで煙味が薫る。
【92紅帯青餅プーアル茶】
味だけではなく、保存熟成にもなんらかの因果関係があるかもしれない。薬効もあるかもしれない。
煙味のできる原因は3つ。
1つめは、ある茶樹の品種が自ら持っている煙草味。
2つめは、殺青の薪の火の煙がまわったもの。
3つめは、農家の居間にある囲炉裏の煙がうつったもの。
2.と3.は茶葉の外から来る煙。こうした場合、煙の物質の直接的作用が見られがちであるが、勘でモノを言うとそれよりも間接的・複合的作用のほうが大きな成果をもたらしている。
農家は煙味を意識してつくっているのではない。
昔ながらの山の生活によって出来てしまうものなのだ。殺青の道具を整え、仕事場や倉庫をキレイにつくり直したら、煙味を排除することができる。
お茶づくりを経験すると、もっとキレイにつくりたいという気持ちにかられる。この流れから、いかにもポジティブに煙味を避ける対策がとられる。
そして実際に煙味のあるお茶とないお茶とを飲み比べたら、無いほうが美味しいと思える。
この流れがダメだ。
飲み比べがどうだっていうのだ。飲み比べには錯覚もある。
キレイな味はつくり手のエゴ。わかりやすい味はお客様に媚びへつらう行為であり尊敬が無い。思慮が浅い。
煙味のプーアル茶
煙味のお茶
なぜ煙味をありのままに捉えようとしないのか?
その美しさをまっすぐ鑑賞しようとしないのか?その機能の可能性について考えないのか?2000年以上も煙味のお茶がつくられてきたのになぜその実績をサラッと無視できるのか?世界的に煙味のあるお茶がつくれるところは雲南省南部や隣接するラオス・ミャンマーくらいしか残っていないのになぜその価値を無視するのか?
理由はカンタン。
煙味が偶然にできたものであり、農家がそれを意図していないからだ。
意図しないものは賢くない。頭が悪い。だから排除するべき。
これは脳ミソの暴走だ。
脳ミソが世界征服のために仕組んだ罠だ。
ほんとうに良いお茶を選ぶには、脳ミソの勝手な暴走をゆるしてはいけない。
味を感じる。体で覚える。心を信じる。
お茶を味わいを知るということが、脳ミソから世界を救う。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
煙味のお茶は初めの1煎・2煎を流して3煎めから飲むとよいと多くの茶荘は紹介しているが、さっと湯を切りあっさり淹れると1煎めからすばらしい霞のかかった朝の景色がひろがる。

ひとりごと:
脳ミソはいろんな罠を仕掛けてくる。
ときには国の政治家になったり、大学の教授になったり、新聞の記事となったり、ソーシャル・ネットワーキング・サービスとなって、あたかも賢いようなふるまいをする。
しかし、そこが脳ミソの弱点だ。
自分を賢いと過信している。自然界で偶然に起こっていることを過小評価している。自らもまた自然界の偶然の積み重ねで生まれてきた臓器のひとつだということを忘れている。そして自殺や戦争や自然環境破壊という大失敗を繰り返している。

中茶牌3917沱茶93年 その3.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 昆明 紙包+竹皮密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶

お茶の感想:
茶葉には磁力がある。
お金の集まるところにもっとお金が集まるように、
茶葉の集まるところにもっと茶葉が集まる。
なぜそうなのかは知らない。
知っていたらとっくの昔に大金持ちになってプールサイドに美女をはべらせている。
プーアール茶のサンプル
そのようなわけで、今いろいろサンプルが集まりだしている。
問屋さんはサンプルの出し惜しみをする。
これはおそらくこちらの嗜好に合うかどうかわからないのを出したくないからだろう。
老茶には嗜好がある。この人にはすすめてもよいけれど、初めての人にはやめておこうというのがある。毎日はゴメンだけれど、お茶仲間が集まって試すなら楽しいというのもある。それぞれなのだ。
さて、今回は生茶。
最近ヒットの生茶の老茶、『中茶牌3917沱茶93年』 (卸売部で出品)。
このお茶を案内役にしていくつかを飲み比べすることにした。
このお茶は、じわじわわかる美味しさ、飽きない味、毎日のお茶にできる安定感がある。
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
(茶葉の表面に白露が出ている。良い熟成のしるし。)
生茶のプーアル茶飲み比べ
(これが『中茶牌3917沱茶93年』。)
生茶のプーアル茶飲み比べ
(こんな具合に飲み比べ。手前が『中茶牌3917沱茶93年』。)
生茶のプーアル茶飲み比べ
生茶のプーアル茶飲み比べ
生茶のプーアル茶飲み比べ
結論から言うと『中茶牌3917沱茶93年』が美味しかった。バランスが良いと思う。
ただ、気になるのが2つほどあったから、1枚モノを改めて入手したい。
生茶のプーアル茶飲み比べ
いずれも何らかの形で微生物発酵が関わっていそうな老茶だが、発酵もいろいろ。
微生物が増殖してみるみる変化したような風味もあれば、一時期だけ発生した微生物が酵素を残して何年もかけて変化したような風味もある。水分が多いために乳酸発酵が感じられる風味もあれば、酵母が沸いて熱をもった感じの穀物っぽい風味もある。
これをひとくくりに「生茶」です「熟茶」です。あるいは「これが正しい発酵です」とは言えないと思う。
難しい話ではない。
美味しいか美味しくないかそれだけのこと。
不味いのは毒になる成分が発生している可能性がある。誰しも大きくなるまでに幾度となく食あたりを経験して、味覚や臭覚のセンサーが働くように育っている。そして、まともな老茶は(まともじゃないのは別として)、すでに多くの人が自らのセンサーと体感を頼りに試飲してきた実績がある。いわば人体実験に合格したようなものなのだ。
しかし、それと美味しさの魅力を見つけられるかどうかは別。
そこが生活のお茶では大問題。一家だんらんのひとときがかかっている。
生活のお茶でありながら深い味覚の世界を家庭にもたらした老茶。
老茶には知恵がある。いやちがう。老茶を育んだ生活に知恵がある。

ひとりごと:
このお茶竹皮4個包みだった。しっか密封の良い感じ。
勘でモノを言うと、
生茶の熟成初期の段階で竹皮が有効だと思われる。
竹皮もまた微生物と仲が良い。とくに乳酸菌。竹皮には抗菌作用があると言われるけれど、もしかしたらこれは竹皮に相性のよい乳酸菌や酵素がカンケイしているのではないのか?
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
中茶牌3917沱茶93年プーアル茶
白く粉をふいたようなところ。これがよくある。竹皮にまだ水分のあるうちに乳酸菌がつくった消化酵素のようなものが竹皮の成分を溶かして結晶化しているのだと思う。乾燥していたらなにも機能しない白い粉だが、水分を得ると胃液のようにいろんなものを溶かす。殺菌する。バイキンと呼ばれる細菌は生き物だから体内に水分を持っているから、この白い粉に触れると殺される。
湿度の高いところにあるうちは竹皮に守られた茶葉がよいと思う。


茶想

試飲の記録です。

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