プーアール茶.com

7581荷香茶磚97年 その8.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 西双版納 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶

お茶の感想:
もしかしたら鉄瓶と白磁の蓋碗の相性がいまいちかもしれない。
昨日淹れて思ったのだけれど、質感が違いすぎる。
白磁の蓋碗
音が響くように熱が響く。
厚くて重い鉄に響く音と、薄いガラス質の白磁に響く音と、その違いはなんとなく想像できるだろう。
熱もそのように響き方が異なり、茶葉への浸透のしかたが異なり、出てくるお茶の味が異なる。
鉄瓶
鉄瓶肌
この写真を見てもなんとなくそう思うだろ。
白磁と鉄瓶はあまりに異質だ。
鉄瓶の響きはゆったりしていて、チェコ土のマルちゃんの茶壺の波長と似ている。
高温で焼き締められた石のように硬い石器。
チェコ土の茶壺
チェコ土の茶壺
こういう感覚って大事。
うまく説明できなくてもよい。お茶の味という現物でもって自分の感覚をそのまま人に伝えることができる。
今日は熟茶で試すから熱量をしっかり茶葉に伝えたい。保温力のあるチェコ土の茶壺にした。
見かけは異なるが土質はほぼいっしょ。内側の釉薬はなし。
この土質はお茶との相性がよいのか、釉薬なしのほうが素直な味になる。
チェコ土の茶壺2つ
チェコ土の茶壺
公道杯は使わず、チェコ土の茶杯にそのまま注ぐ。
鉄瓶とステンレス電気ポット。
このお茶。
『7581荷香茶磚97年』(卸売部)
7581荷香茶磚97年
1980年代の製法を再現した、ちょっと実験的な作品。
新芽・若葉を避けて成長するのを待ってから采茶したような繊維の硬くなった茶葉の様子がある。揉捻で捻れないから開いたまま。茎の部分も多い。でんぷん質の多い秋茶ではないかと思うが、茶葉は季節や成長度によって成分構成が違うので、微生物発酵の工程にも影響してそれぞれの味になる。
1990年代からの熟茶は、味が濃く体感の熱いのが多い中、このお茶はサッパリしていて体感も涼しい。お腹の底から温まるが、夏に飲んでも暑苦しくはならない。
こういう茶葉のタイプは、遊牧民らがヤカンに煮出してバター茶などにしていたものなので、サッと湯を切るような淹れ方では成分が抽出しきれない。
茶壺で高温を長く維持したい。一煎ごとに湯を切ると茶葉が冷めやすいので、茶杯に注いで残った湯はそのままにして、上から熱い湯を足すようにする。
一煎め
左: ステンレス電気ポット
右: 鉄瓶
3煎めくらいまで、なぜかステンレス電気ポットのほうが茶湯の色が赤い。しかし味のボリュームの差はない。
口に含むと、やはり鉄瓶のほうの湯が熱い。3分以上蒸らし時間があっても鉄瓶は高温を維持している。
味の印象は異なる。ステンレス電気ポットは味や香りがバラバラでまとまっていない感じ。鉄瓶のはまとまっている。
いくつもの茶葉から上質を選ぶための試飲をするとき、口の中に広がる味や香りの方向を見る。方向がはっきりしているのは上等。例えば、上に抜けるとか下に沈むとか左右に広がるとか、どこか決まった方向のあるのがよい。バラバラで方向の定まらないのは上質ではない。そのように評価する。
今回は同じ茶葉なのにこの差が出る。
7煎くらいまで進めたが、茶湯の色の濃さや味のボリュームには差がない。どちらが特別に甘いとか苦いとかいうこともない。鉄瓶のほうが耐泡(煎がつづく)が良いというわけでもない。
ただ、味の印象が異なる。はっきり言えば、終始鉄瓶のお茶のほうが美味しかった。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)は同じ。

ひとりごと:
思っていたよりも鉄瓶は個性を主張しない。
湯が熱いからといって、お茶が濃く出たり特別に香りが立つというわけでもない。なにかを隠すこともない。そのへんあっさりしている。素直に出る。
これなら試飲用のヤカンも鉄瓶にしてよいかもしれない。
ガスで沸かしてアルコールランプで保温というフォーメーションもなかなか良い。
ステンレス電気ポットはもう使わなくなるな。
鉄瓶

7581荷香茶磚97年 その7.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 西双版納 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : マルちゃんの茶壺・湯飲み
7581荷香茶磚97年

お茶の感想:
夏でも涼しく飲める熟茶。
7581荷香茶磚97年
茶則代わりのマルちゃんの器
注ぎ
茶湯
葉底
濃い目に淹れると、石を噛んだみたいな味。
味の輪郭を出すというか、エッヂを利かすというか、切れ味を良くした爽やかさを求めるなら、抽出時間をゆっくりして煮出してはダメ。ちょっと茶葉を多めにしてサラッと淹れる。

ひとりごと:
茶学は、家飲み茶を追求する学問。
他人に見せるための技術ではなく、自分が最高に美味しいお茶を飲むために学ぶもの。
そっちに向かって、他人に飲ませるにはもったいないほどの良い茶葉を選んで、茶器との組み合わせにおける可能性を探って、人を魅了する(自分を酔わせる)術を習得する。
このあたりもっと力説したいので、また近々茶学をやるかな。
紫砂壺とプーアール茶
紫砂壺とプーアール茶
写真は6月の上海での茶学。
大きな紫砂壺で淹れる生茶は『丁家老寨青餅2012年』。
一煎で出し切る。
こんなの美味しいに決まっている。

7581荷香茶磚97年 その6.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 上海密封
茶水 : ミネラルウォーター農夫山泉
茶器 : マルちゃんの片口と湯のみ
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
マルちゃんの片口
7581荷香茶磚97年

お茶の感想:
昨日と同じように、マルちゃんの片口でこのお茶。
『7581荷香茶磚97年』。
しかし、うまくゆかない。
いつもの赤い茶湯の色が出ない。
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
熱量を意識して、はじめに器を温めて、ちょっと多めに熱い湯を注いだが、それでも味がぼやけてしまう。
成長した茶葉のお茶を淹れるにはもっと熱量が必要ということか。
このお茶づくりには1980年代の技術が採用されているということだが、茶葉の色やお茶の味から推測するに、微生物発酵初期の段階で、空気をあまり与えないようにしていると思われる。
「陰」の性質。
それゆえにか、体の温まる感じが『版納古樹熟餅2010年』ほど強くない。(急速ではないというほうが近いかもしれない。)
茶葉の成長度と微生物発酵と空気(呼吸)の関係が、味だけでなく効能にも個性を持たせる。山の自然、茶樹の健康状態、摘み取りの時期、殺青の火力・・・・まだまだたくさんの因果関係があるだろう。
お茶づくりの工程のあらゆる場面で、なんらかの判断をするときに、商品としてのお茶の目的がはっきりしていることが大事と思う。どんな人達がどんな場面でそのお茶を飲んで、どういう機能や効果を発揮するべきなのか。
1980年代は、多くの熟茶にまだ生活のお茶としての機能性が優先されていて、その色が濃く残っていると思う。とくに「昆明茶廠」の熟茶はそうだった。
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
今、市場に求められているのは、なるべく多くの人に売りやすいお茶、買いやすいお茶、わかりやすいお茶、採算の取れるお茶。
目的のはっきりしないお茶が大量につくられて、流通に在庫となっている。

ひとりごと:
わかりやすい説明を求められる。
けれど、わかりやすい説明は良いことばかりではない。むしろその裏に企みがあると疑ったほうが良いかもしれない。情報の出処と経済との因果関係を考えてみる必要がある。
わかりやすい説明でスッキリした気分になれるのは、自分で感じて考えて解釈するという面倒なプロセスを省略して、ひとつやふたつの言葉に固定できるからだろう。
言葉に固めた知識。
固めたまま他人にも伝えやすい知識。
自分で試したり感じたり疑ってみたりということをしなくても済む知識。
別の可能性や例外について探る必要のない知識。
楽なのだ。
しかし、ほんとうに理解するチャンスを失うことがある。
ほんとうに理解するチャンスを他人から奪うこともある。
感じたり考えたり疑ってみたりをしない人が増えてくれたほうが、都合の良い立場の個人や組織や社会もある。そして、そんな商品やサービスがたくさん生まれる。
大事なお茶を、そうはさせないつもりだ。
自分選んだこの仕事を、安売りはしないつもりだ。
具体的にどうしたら良いのかわからないけれど、そういうふうに意識してみる。
結果を急いだら人間を安モンにしてしまう。
上海のパン
上海のパン
上海のBAKER&SPICEの『全酸麦面包』をオリーブ油と黒酢で食べる。

7581荷香茶磚97年 その5.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 上海密封
茶水 : ミネラルウォーター農夫山泉
茶器 : 小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年

お茶の感想:
7月末からの休業を前にして一部のお茶をさらに値上げした。
お客様は引いてしまって、7月末に閉鎖する上海の事務所に在庫がたくさん残るかもしれない。そうなったらぜんぶ西双版納に送り返すことにする。
値上げすると、値上げ前にお求めになっていたお客様はほとんど二度と買わなくなる。店から離れることもあるだろう。
これは上海でも同じこと。
当店のお茶の販売を手伝っている小売店にお願いして販売にブレーキをかけるよう、「上海の在庫分はもう売り切れたから値上がりする」と伝えてもらうようお願いした。
極端な話、2年くらい売れなくなってもよい覚悟だ。
現在のお茶の売り方というか、売れ方にちょっと引っかかるところがある。
お客様によっては、いろいろ説明しなくても自主的に十分に楽しめるから、余計なお世話かもしれないけれど、むしろまだあまり楽しめていない多数派に、同じお金を出すにしてもお茶はもっと楽しめることを伝えたい。
教材になるお茶は価格が上がる。
自然環境とか、茶葉の育ちとか、つくり手の知恵とか葛藤とか、ある時代の社会環境とか、売り手がこのお茶を選んだ理由とか、保存方法の工夫とか、人の間違いやすい解釈やその顛末とか・・・。話せばキリがないけれど、その一部だけでも知るキッカケになれば、お茶はもっと価値がある。そんじょそこらの嗜好品とは違う。歴史の長さが違う。失敗の経験や知恵の積み重なった山の高さが違う。
上海には愛好家が日本の100倍は居て、自分が説明するまでもなく一回試飲したらもう分かって、「残り全部売って欲しい」ということになって、数の少ないお茶は多くの人に伝えるチャンスを失う。実際には愛好家が家族や友人らにそのお茶の魅力を伝えて楽しむだろうから、同じことかもしれないけれど、心配なのだな。自分がうまく伝えているかどうかを棚に上げての話だけれど・・・。上海の小売店に対しても売れ方のモヤモヤが積もっている。小売店の主人は自分でお茶を勉強して解釈したり説明するのが面倒だから、「ふじもと店長が良いと言ってました」と紹介して、右から左へ転売するケースもある。(上海のお客様はこのブログもサイトも見ていない。)
中国は転売して小遣い稼ぎを企む人もいる。転売されたらなおさらお茶の面白さが末端に伝わりにくい。そういう買い方を避けるために市場価格から離れた価格を改めないといけない。中国の小売と日本向けの通販と、公平になるように同じ価格にしたから、今は日本向けの価格が大きく変動する。
店の運営設計に誤りがあるので、やはりいったん休業して出直すしかないと思う。
このお茶『7581荷香茶磚97年』(卸売部に出品中)は、そのようなわけで、今年に入ってから4度目の値上げとなった。
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
若葉がしっかり大きく成長するまで待ってからの摘み方は、現在行われていないから再現が難しい。製茶は殺青(鉄鍋炒り)で焦げているけれど、焦げからお香のような気品が生じるのは、微生物がそこを好むからかもしれない。
5度目の値上げもあるだろうけれど、それでもこのお茶の価格が安く感じていただけるよう、もっと上手にお茶の面白さを伝えることができるようになって出直したい。
そしてこのお茶のコピーをつくりたい。

ひとりごと:
気楽に美味しく飲める大衆茶が欲しい!
この頃このご要望が多いけれど、大衆茶ほど上質なお茶をつくるのが難しいものはない。売るのも難しい。
実力の範囲で精一杯やって、一歩一歩近づくしかないのだな。
昔につくられた大衆茶が現在に再現できないから大衆茶だったはずの『7581荷香茶磚97年』が大衆価格を離れてゆく。技術的な問題もさることながら、大衆茶にかける志の高さが違う。時代が違って自然環境も社会環境も経済環境も違う。人口が多過ぎてあまりに問題が大きくて、ひとりではなにもできないように見えるあきらめムードが、さらに『7581荷香茶磚97年』の価値を上げる。
なんとかする。

7581荷香茶磚97年 その4.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
日本酒づくりにおいて「完全発酵」という言葉が近年意識されるようになって、酵母が糖をアルコール分解し尽くす(そういう意味で完全発酵)技術がいろいろ試された。そしてたしかにスッキリした味の酒が多くなった。
しかし、それが美味しいかどうかは別。スッキリ感じる風味は完全醗酵によるものだけではない。
そのように考えた杜氏さんたちが、管理しすぎない酒造りを試みて、そういう酒を日本でちょっと飲む機会があったが、たしかにスッキリが自然な感じでとても美味しいと思った。
プーアール茶の熟茶づくりは1973年に出品の『73厚磚』から確立された渥堆発酵(微生物発酵)の比較的新しい技術であるが、その元となる黒茶づくりの技術は、記録では1000年以上前から、推測では5000年以上も前からある。渥堆発酵がそれらをベースにして発案されたのは言うまでもない。
そして、今振り返ってみると、渥堆発酵創成期の1970年代の初期のから1980年代くらいまでの熟茶には、まだ今日のような黒々となるまで深く発酵させたものはなく、生茶の年代モノのようにあっさり発酵で仕上げられていた。
現在でも意見が分かれるが、1975年の孟海茶廠の『7562磚茶プーアール茶』は、文献上では生茶に分類されるが、当店は熟茶の可能性が高いと見ている。いや、ズバリ言うとこれは加水発酵を試みた熟茶だった。そのくらいあっさりした発酵だったのだ。新芽・若葉だけが選り分けられたことで余計に微生物発酵の特徴が薄くなって分かりにくいのだろう。
日本酒造りと同じように、熟茶の微生物発酵を追求してゆくと、「完全発酵」させたい欲にかられるが、しかしそれはつくり手のひとりヨガりだったり、味のわかりやすさを狙ってお客に媚びた嫌らしさがあるかもしれない。
恥ずかしながら、当店のオリジナルの熟茶『版納古樹熟餅2010年』もまた、完全醗酵の理想を追求したようなところがある。
そこのところをぐっと我慢して、自然な感じで軽く発酵を仕上げる仕事は、たいへん大人だと思う。
そんな大人の仕事の熟茶。
『7581荷香茶磚97年』(卸売部に出品中)
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
(注意:写真撮影のために茶葉はかなり多め。この半分が適量)
葉底(煎じた後の茶葉)を見ても、こういうふうに大きく育つまで待ってから摘むということが、経済優先の現在の農家にはできない仕事。味もさることながら薬効も違ってくると思われる。
年代モノのプーアール茶(ホンモノに限る)には優れた仕事を見つけることがある。現在では再現の難しい仕事。骨董茶と呼ばれる所以がここにもある。

ひとりごと:
お茶づくりがわかるようになると、お茶を見るだけで他人の仕事がわかることがある。大人な精神でつくられたお茶もあれば、まだ子供の仕事のお茶もある。
感覚的には、子供の仕事はすぐ手の届くところにあるが、尊敬する大人の仕事はまだ手の届かないところにある。
まだまだ・・・。
焦らずじわじわ手を伸ばしてゆくぞ。

7581荷香茶磚97年 その3.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
西双版納は雨の季節になった。
これから毎日のように30分から1時間くらい夕立みたいな雨が降るだろう。
出かけるときは遠くの雲や風の肌触りを確かめて、傘やレインコートを用意することになる。
明日からまた漫撒山へ行ってみたいと考えていてぼちぼち準備をしていたら、午後から突然雷が鳴って雨が降ったので「熟茶」を飲んだ。
熟茶はなぜか雨のときに甘い。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
1990年代老茶といえる熟茶としては、このお茶ともうひとつ『銷台甲級沱茶90年代』の2つがとびきり美味しくて、お客様のリピートも少しずつ増えてきた。このタイプのお茶は、いちど気に入ったら他のお茶が要らなくなる嗜好がある。過去に売り切れたこれらの熟茶と似ている。
+【7581雷射磚茶プーアル茶88年】
+【下関銷法沱茶90年代】
+【大益甲級沱茶98年】
ずっとリピートしていただいていたお客様は、売り切れるとすぐに他のお茶に切り替えてくだされば店としてはありがたいが、たいがいしばらくお求めにならなくなる。もしかしたら永遠に・・・。
「あのお茶がなかったらもういらないわ・・・」
という感じなのだ。プーアール茶ドットコムの熟茶ならどれでも良いという嗜好ではないのだな。
だから今回は在庫をたっぷり確保した。5年くらいかけて売切れるのが理想。値上げをしても2倍までが理想。
ところで、この2つのお茶のどちらが良いのか?
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
初心者の方には『銷台甲級沱茶90年代』をすすめるが、老茶の経験あるお客様にはこのお茶『7581荷香茶磚97年』をすすめることにしている。
何がどう違うのか説明が難しいのだけれど、経験からくる直感では、このお茶は変化の面白さがあると思う。もうちょっと違った香りや味が、熟成が進むことで姿を表しそうな予感。

ひとりごと:
このお茶には予感があるのだ。
そんな説明ではダメかな。

7581荷香茶磚97年 その2.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗・小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
『7581荷香茶磚97年』 (卸売部に出品)
10年か20年前くらいの香港の飲茶でプーアール茶を覚えた方は、カビ臭いような熟茶の味を知っていると思う。飲茶レストランによってもその味は異なっていて、ひどいのもあったけれど、中には上品な甘味を伴うお香のような香りのお茶もあった。干し草っぽい感じもあるし、よもぎ餅っぽい苦味も、小石を舐めたような味もあっただろうか。
香港で二次加工された風味もあれば、もともとそんなふうにできたお茶もあったと思う。
1980年代の熟茶にはもともとそんなふうなお茶があった。
熟茶づくりを経験してからわかってきたのだが、これは発酵のタイプが異なる。具体的には加水する水の量やタイミングが異なる。
熟茶は1970年代・1980年代・1990年代・2000年代と発酵のタイプが少しずつ変わってきている。近年になるほど濃くて甘い風味になったと思うけれど、それと引き換えに失った風味もある。
このお茶『7581荷香茶磚97年』は、1997年制でありながら1980年代の風味があり、その失った風味について考える機会となった。誤解のないよう補足すると、このお茶は飲茶のお茶ほどクセはないが、奥底のほうにその系統の風味が漂っている。
失った風味は嗜好性が高い。
いつもの店のいつものお茶を飲む人にはよくても、初めて飲む人たちには嫌われる可能性もある。「ダイエットにいいらしい!」と期待して飲む人には初めが肝心。新しい客層を得るために濃くて甘い「まったくカビ臭くなくて美味しい!」と言われる風味が主流になっていったのは、自然な流れなのだ。
昔の味は慣れた人にはかえって魅力的だった。
どちらかというと「陰」の風味で、現在の濃い甘い熟茶は「陽」の風味。そう言えるくらいに印象が異なったと思う。味だけではなく体感や薬効にも違いがあるはず。なぜなら発酵のタイプが異なるということは、活動する菌類の構成や、そこでつくられる成果物も異なってくるからだ。
老茶の熟茶探しをつづけるにあたって、このお茶『581荷香茶磚97年』を基準にしようと考えた。
2000年熟茶プーアル茶
2001年熟茶プーアル茶
2002年熟茶プーアル茶
98年熟茶プーアル茶
1999年の熟茶プーアル茶
熟茶選びは、発酵のタイプがどうあれキレイな風味が絶対条件。
発酵時の不具合は毒になる物質をつくる可能性がある。風味にその影が少しでも現れているのを選ばないことが大事。そこをクリアーしているという前提で、嗜好の異なる風味のをいくつかそろえようとすると、実はこれがあんがい難しいのだ。
新芽・若葉を篩分けした「宮廷」にしても、固まりになった「老茶頭」にしても、発酵のタイプが同じだと同じ系統の風味になる。茶葉の産地が異なるとか、メーカーが異なって職人が異なるとか、水が異なるとか、それぞれに違いはあれど、発酵のタイプが同じなのはどうにも避けがたい同じ味がある。
2001年の熟茶プーアル茶
2001年の熟茶プーアル茶
2002年の熟茶プーアル茶
1998年熟茶プーアル茶
1999年の熟茶プーアル茶
1998年モノから2003年モノまで、発酵のタイプの違う熟茶を探していくつか試飲したが、ひとつも見つからなかった。熟茶の老茶は、生茶ほどハズレがないけれど、似たものばかりになるから試飲が楽しくないな・・・。

ひとりごと:
たぶん見つからないな・・・。
早めにあきらめて安くて美味しいのを探すほうがよさそう。

7581荷香茶磚97年 その1.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
『7581荷香茶磚97年』。
「7581」の「75」は1975年に開発された製法ということ。
「8」は8級茶葉のこと。
「1」は昆明茶廠(元昆明第一茶廠)のことを意味する。
2000年に自由化される以前の、専売公社制のときにあった製造番号。
昆明茶廠は1995年に解散したので、1997年につくられたこのお茶は「7581」のレプリカ品ということになるが、国営の販社であった「雲南茶叶進出口公司」が昆明茶廠の製造部門を受け継いでメーカーへと転身しているので、昆明茶廠の銘柄の製造はそのままつづいている。
そして、白文祥氏の監製のお茶ということらしい。
この人は近代のプーアール茶業における著名な技術師で、雲南茶叶進出口公司の研究員を経て、1998年〜2003年まで中国土産畜産雲南茶叶進出口公司のプーアール茶加工部経理(社長)を務めている。つまり新しい昆明茶廠の工場長である。
その後、白文祥氏は2003年に独立して「雲南宜良祥龍茶廠」の創業者となっている。
実はこの人のことを知らなかった。
個人的には、人の名前のついてくるお茶は奇をてらうのが多くてダメと思っている。しかし、昆明茶廠の名作「7581」はもともと大衆のお茶。生活のためのお茶。さらに伝統的な軽発酵を再現したという話なので、ちょっと面白そうだと思った。
ここで言う「軽発酵」とは、熟茶の創成期の『73厚磚』『7581文革磚』などに用いられた技術で、渥堆(茶葉を堆積して加水する)による微生物発酵の発酵度が「軽い」ということになる。「半発酵」や「半生熟茶」とも呼ばれる。そして、これは年代によっても発酵度が変わってきた経緯がある。
例えば、1973年の初の量産の熟茶。
【義安棗香73特厚磚茶プーアル茶】
これは「生茶」の長期熟成したものか、それとも渥堆発酵の「熟茶」か、風味で見当をつけるのが難しいくらいだった。最近紹介した易武山の無水発酵の生茶の黒茶にちょっと似ている。
そして、1980年代になると発酵度が上がってゆく。
【7581後期文革磚80年代】
このお茶は飲んですぐに熟茶と判別できるほどの発酵度だったが、口当たりは軽く、生茶のような透明感があった。
さらに後の1988年のこのお茶は、ほぼ現在の熟茶に近い風味となる。
【7581雷射磚茶プーアル茶88年】
茶湯の色の赤味が増しているのが写真からもわかるだろう。
さて、今回のお茶『7581荷香茶磚90年代』は、どのくらいの発酵度なのだろうか?上のような経緯から現在は発酵度の軽い熟茶が少ないため、老茶ファンとしては期待が膨らむ。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
崩したときの感触に、1970年代の磚茶のフワッと軽い感じがあった。大きく育った8級茶葉や黄片の形状と、それが発酵したことによって脆く崩れる質感。この感触でわかることもあるから、ぜひとも自分の手で崩して確かめないといけない。
崩した感触の予感の通り、飲み口も実にまっとうな伝統の味が再現されていた。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
上の説明でいうところの1980年代の発酵度の感じになる。
正直ここまでど真ん中の「7581」が1990年代のお茶にあるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりした。
しかし、2日間続けて飲んで思ったのだけれど、この風味はおそらく時代にそぐわなくなったのだ。現代の発酵度の高い熟茶の強い旨味・甘味に慣れた口には、このお茶『7581荷香茶磚97年』はあっさりしすぎてもの足りない気がする。透明感や風味のふくよかさはすばらしいが、同じ透明感をもつ生茶の年代ものほど華やかさはなく、もっと落ち着いた雰囲気。もの静かな佇まい。今の市場ではこんなにおとなしい風味ではアピールに欠けるのではないだろうか。
老茶ファンは是非飲んで確かめてほしい。古いファンならこの味が懐かしいと感じるだろう。
ちなみに、手元で長期熟成させるならこのお茶は最適。微生物発酵によって酵素がたっぷりつくられているから、常温保存のもとでじわじわ変化が続いて、茶葉はよりモロモロと崩れやすくなり、葉底はより黒々となり、お香のような香りが出てくると思う。

ひとりごと:
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
煎を重ねるほど濃く出やすくなる。それぞれの濃さにそれぞれの風味がある。静かな心で味わったら、おとなしい風味の中に無限の色彩を見る。

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