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茶教室・京都

7581荷香茶磚97年 その9.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯 鉄瓶・炭火
注ぎ

お茶の感想:
雨の日は土のお茶。
『7581荷香茶磚97年』
心が黙ると、味わいが味わえる。
茶湯
茶碗
中国茶は味わいの勉強。

7581荷香茶磚97年 その8.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 西双版納 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶

お茶の感想:
鉄瓶と白磁の蓋碗の相性を疑ってみる。
質感が違いすぎるからだろうか。
白磁の蓋碗
音が響くように熱も響く。
厚くて重い鉄に響く音と、薄いガラス質の白磁に響く音と、その違いと同じように熱の質も異なる。
茶葉への湯の浸透が異なり、お茶の味が異なる。
鉄瓶
鉄瓶肌
この写真を見てもなんとなくそう思う。
白磁と鉄瓶はあまりに異質。
鉄瓶の響きはゆったりしていて、チェコ土のマルちゃんの茶壺の波長と似ている。
チェコ土の茶壺
チェコ土の茶壺
こういう感覚は大事。
うまく説明できなくてもよい。
お茶の味に現れる。
その現物証拠で自分の感覚をそのまま他人に伝えることができる。
今日は熟茶で試すから熱量をしっかり茶葉に伝えたい。保温力のあるチェコ土の茶壺にした。
見かけは異なるが土質はほぼいっしょ。内側の釉薬はなし。
釉薬なしのほうが素直な味になる。
チェコ土の茶壺2つ
チェコ土の茶壺
公道杯は使わず、チェコ土の茶杯にそのまま注ぐ。
鉄瓶とステンレス電気ポット。
このお茶。
『7581荷香茶磚97年』。
7581荷香茶磚97年
1980年代の製法を再現した、ちょっと実験的な作品。
新芽・若葉を避けて成長するのを待ってから采茶した、繊維の硬くなった茶葉。揉捻で捻れないから開いたまま。茎の部分も多い。でんぷん質の多い秋茶ではないかと思う。
茶葉は季節や成長度によって成分構成が違うので、微生物発酵にも影響する。
1990年代からの熟茶は、味が濃く体感の熱いのが多い。その中でこのお茶はサッパリして体感は涼しい。
お腹の底から温まるが、夏に飲んでも暑苦しく感じない。
このタイプは、遊牧民らがヤカンに煮出してバター茶などにしていたもの。新芽・若葉のお茶のようにサッと湯を切るような淹れ方では成分が抽出しきれない。
茶壺で高温を長く維持したい。一煎ごとに湯を切ると茶葉が冷めやすいので、茶杯に注いで残った湯はそのままにして、上から熱い湯を足すようにする。
一煎め
左: ステンレス電気ポット
右: 鉄瓶
3煎めくらいまで、なぜかステンレス電気ポットのほうが茶湯の色が赤い。しかし味のボリュームの差はない。
口に含むと、やはり鉄瓶のほうが熱い。3分以上蒸らし時間があっても鉄瓶は高温を維持している。
味の印象は異なる。ステンレス電気ポットは味や香りがまとまっていない感じ。鉄瓶のはまとまっている。
いくつもの茶葉を試飲をするとき、口の中に広がる味や香りの方向を見る。方向がはっきりしているのは上等。例えば、上に抜けるとか下に沈むとか左右に広がるとか、どこか決まった方向のあるのがよい。バラバラで方向の定まらないのは上質ではない。
同じ茶葉でも、電気ポットと鉄瓶にはそんな差が出る。
7煎くらいまで進めたが、茶湯の色の濃さや味のボリュームには差がない。鉄瓶のほうが耐泡(煎がつづく)が良いというわけでもない。
ただ、味の印象が異なる。はっきり言えば鉄瓶のお茶のほうが美味しい。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)は同じ。
思っていたよりも鉄瓶は個性を主張しない。
湯が熱いからといって、お茶が濃く出たり特別に香りが立つというわけでもない。なにかを際立たせることも隠すこともない。素直に出る。
これから鉄瓶にする。
鉄瓶

7581荷香茶磚97年 その7.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 西双版納 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : マルちゃんの茶壺・湯飲み
7581荷香茶磚97年

お茶の感想:
夏でも涼しく飲める熟茶。
7581荷香茶磚97年
茶則代わりのマルちゃんの器
注ぎ
茶湯
葉底
濃い目に淹れると石を舐めたみたいな味。
お茶の味は、淹れ方によっていろんな表情になる。
このお茶の場合、茶葉多めで、サッと湯を切るように淹れると、味に輪郭が出て爽やかになる。
茶葉少なめで、ゆっくり煮出すと、味がぼやけてまったり落ち着く。
お茶の個性を活かして、そのとき味わいたい気分が表現できる。
紫砂壺とプーアール茶
紫砂壺とプーアール茶
6月の上海での茶学。
大きな紫砂壺で淹れる生茶は『丁家老寨青餅2012年』。
たっぷりの湯に、少ない茶葉。
一煎で出し切る淹れ方。
美味しいに決まっている。

7581荷香茶磚97年 その6.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 上海密封
茶水 : ミネラルウォーター農夫山泉
茶器 : チェコ土の片口と湯のみ
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年

お茶の感想:
昨日と同じように、チェコ土の片口でこのお茶。
『7581荷香茶磚97年』。
湯の温度が高く保てないので、いつもの赤い茶湯の色が出ない。
7581荷香茶磚97年
はじめに器を温めて、ちょっと多めに熱い湯を注いだが、それでも味がぼやけてしまう。
成長した大きな茶葉はこれでは無理。
1980年代の熟茶にはまだ生活のお茶としての機能性が残っていて、ヤカンで煮出すような飲み方が標準になっている。
大きな茶葉でつくられるお茶、”昆明茶廠”の製品にはそういうのが多かった。
7581荷香茶磚97年
現在は、新芽・若葉のお茶が主流になっている。
明代の頃から流行しだした”泡茶”は、新芽・若葉を煮やさないようにエキスを抽出するのに適した道具。小さな茶壺や蓋碗がそれ。
この道具が普及している現在は、熟茶も新芽・若葉の構成が主流になっている。

お茶を売る現場では、わかりやすい説明を求められる。
けれど、わかりやすい説明はむしろその裏に企みがあると疑ったほうが良いかもしれない。
情報の出処と経済との因果関係を考えてみる必要がある。
わかりやすい説明でスッキリした気分になれるのは、自分で感じて考えて解釈するという面倒なプロセスを省略できるからだろう。
わかりやすい言葉に固めた知識。
固めたまま他人にも伝えやすい知識。
自分で試したり感じたり疑ってみたりということをしなくても済む知識。
別の可能性や例外について探る必要のない知識。
楽なのだ。
しかし、失うものも大きい。
ほんとうに理解するチャンスを逃す。
感じたり考えたり疑ってみたりをしないほうが都合の良い人々。
人類の退化がつづいている。
上海のパン
上海のパン
上海のBAKER&SPICEの『全酸麦面包』をオリーブ油と黒酢で食べる。

7581荷香茶磚97年 その5.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 上海密封
茶水 : ミネラルウォーター農夫山泉
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
『7581荷香茶磚97年』。
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
7581荷香茶磚97年
大きく育った茶葉の熟茶。
若葉がしっかり成長するまで待ってからの摘み方は現在行われていない。
このタイプの熟茶は再現が難しい。
製茶は殺青(鉄鍋炒り)で多少焦げているけれど、繊維の硬い大きな葉は炒るのが難しいので、仕方がないと思う。
熟成年数が経つと焦げがお香のようになる。
もともと大きな茶葉は大衆茶としてつくられたもの。
しかし、現在は希少価値がついて高級茶になった。

7581荷香茶磚97年 その3.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
西双版納は雨の季節になった。
これから毎日のように1時間くらい夕立みたいな雨が降る。
出かけるときは遠くの雲や風の肌触りを確かめて、傘やレインコートを用意する。
明日からまた漫撒山へ行ってみたいと考えていてぼちぼち準備をしていたら、午後から突然雷が鳴って雨が降ってきた。
熟茶を飲んでどうするか考える。
熟茶はなぜか雨の日に甘い。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
1990年代の熟茶としては、このお茶ともうひとつ『銷台甲級沱茶90年代』の2つが美味しかった。他のお茶が要らなくなる。
熟茶にはこういう嗜好がある。
慣れた味が大事。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶

7581荷香茶磚97年 その2.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗・小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
『7581荷香茶磚97年』 。
20年前くらいの香港の飲茶でプーアール茶を覚えた方は、カビ臭いような熟茶を知っていると思う。
飲茶レストランによってもその味は異なっていて、ひどいのもあったけれど、中には上品なのもあった。
干し草っぽい感じもあるし、よもぎ餅っぽい苦味も、小石を舐めたような味もあっただろうか。
香港で二次加工された風味もあれば、もともとそんなふうにできたお茶もあったと思う。
1980年代の熟茶にはもともとそんなふうなお茶があった。
熟茶づくりを経験してからわかってきたのだが、これは発酵のタイプが異なる。
渥堆発酵の管理方法が異なる。
熟茶は1970年代・1980年代・1990年代・2000年代と発酵のタイプが少しずつ変わってきている。近年になるほど濃くて甘い風味になった。
けれど、それと引き換えに失った風味もある。
このお茶『7581荷香茶磚97年』は、1997年制でありながら1980年代の風味がある。
飲茶のお茶ほどクセはないが、奥底のほうにその系統の風味が漂っている。
失った風味は嗜好性が高い。
いつもの店のいつものお茶を飲む人にはよくても、初めて飲む人たちには嫌われる可能性もある。
昔の味は慣れた人には魅力的だった。
どちらかというと”陰”の風味で、現在のは濃い甘い”陽”の風味。
味だけではなく体感や薬効にも違いがあるはず。
発酵のタイプが異なるということは、活動する菌類や、そこでつくられる成果物も異なるから。
老茶の熟茶を探すなら、このお茶『581荷香茶磚97年』を基準にしようと考えた。
2000年熟茶プーアル茶
2001年熟茶プーアル茶
2002年熟茶プーアル茶
98年熟茶プーアル茶
1999年の熟茶プーアル茶
いろいろ飲んでみたが、どれも似たりよったり。現代の濃い甘い風味。
1999年の熟茶プーアル茶
発酵のタイプの違う熟茶はひとつも見つからなかった。
年代を偽っているお茶も多い。

7581荷香茶磚97年 その1.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
7581荷香茶磚97年プーアル茶

お茶の感想:
『7581荷香茶磚97年』。
"7581"の"75"は1975年に開発された製法ということ。
"8"は8級茶葉のこと。
"1"は昆明茶廠(元昆明第一茶廠)のことを意味する。
2000年に茶業が自由化される前の専売公社制の製造番号。
昆明茶廠は1995年に解散したので、1997年につくられたこのお茶は”7581”のレプリカ品ということになるが、国営の販社であった”雲南茶叶進出口公司”が昆明茶廠の製造部門を受け継いでメーカーへと転身して製造を継いでいる。
そして、白文祥氏の監製のお茶ということらしい。
この人は近代のプーアール茶業における著名な技術師で、雲南茶叶進出口公司の研究員を経て、1998年〜2003年まで中国土産畜産雲南茶叶進出口公司のプーアール茶加工部経理(社長)を務めている。つまり新しい昆明茶廠の工場長である。
その後、白文祥氏は2003年に独立して「雲南宜良祥龍茶廠」の創業者となっている。
この人のことは知らなかった。
銘柄に個人の名前のついているお茶はだいたいダメ。
しかし、昆明茶廠の名作”7581”の”軽発酵”再現したという話なので、ちょっと面白そうだと思った。
ここで言う”軽発酵”とは微生物発酵のこと。
熟茶創成期の『73厚磚』『7581文革磚』などに用いられた技術で、渥堆(茶葉を堆積して加水する)による微生物発酵の発酵度が”軽い”ということになる。”半発酵”や”半生熟茶”とも呼ばれる。
年代によって発酵度が変わってきた経緯がある。
例えば、1973年の初の量産の熟茶。
【義安棗香73特厚磚茶プーアル茶】
これは”生茶”の長期熟成したものか、それとも渥堆発酵の”熟茶”か、味で判断するのは難しい。
1980年代になると発酵度が上がってゆく。
【7581後期文革磚80年代】
このお茶は飲んですぐに熟茶と判別できる発酵度だったが、口当たりは軽く、生茶のような透明感があった。
さらに後の1988年のこのお茶は、ほぼ現在の熟茶に近い風味となる。
【7581雷射磚茶プーアル茶88年】
茶湯の色の赤味が増しているのが写真からもわかるだろう。
さて、今回のお茶『7581荷香茶磚90年代』は、どのくらいの発酵度なのだろうか?上のような経緯から現在は発酵度の軽い熟茶が少ないため、老茶ファンとしては期待が膨らむ。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
崩したときの感触に、1970年代の磚茶のフワッと軽い感じがあった。大きく育った8級茶葉や黄片の形状と、それが発酵したことによって脆く崩れる質感。この感触でわかることもあるから、自分の手で崩して確かめないといけない。
予感の通り、飲み口も実にまっとうな伝統の味が再現されていた。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
上の説明でいうところの1980年代の発酵度の感じになる。
正直ここまでど真ん中の”7581”が1990年代のお茶にあるとは思っていなかった。
2日間続けて飲んで思ったのだけれど、この風味はおそらく時代にそぐわなくなったのだ。
現代の発酵度の高い熟茶の強い旨味・甘味に慣れた口には、このお茶『7581荷香茶磚97年』はあっさりしすぎてもの足りない。
透明感や風味のふくよかさはすばらしいが、今の市場ではこんなにおとなしい風味ではアピールに欠ける。
老茶ファンは是非飲んで確かめてほしい。古いファンならこの味が懐かしいと感じるだろう。
ちなみに、手元で長期熟成させるならこのお茶は最適。微生物発酵によって酵素がたっぷりつくられているから、常温保存のもとでじわじわ変化が続いて、茶葉はよりモロモロと崩れやすくなり、葉底はより黒々となり、お香のような香りが出てくると思う。
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
煎を重ねるほど濃く出やすくなる。それぞれの濃さにそれぞれの風味がある。静かな心で味わったら、おとなしい風味の中に無限の色彩を見る。

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茶想

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