プーアール茶.com

茶教室・京都

紅絲帯プーアル青餅96年 その2.

製造 : 1996年
茶葉 : 雲南省西双版納孟臘県易武山
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 香港 広州乾倉 日本茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶・炭火

お茶の感想:
1996年は微生物発酵の生茶が残っているかどうか微妙な時期。
このお茶は微生物発酵していた茶葉で圧延されている。
紅帯
餅面
包紙
茶湯
一煎めから甘いこと。
バニラの甘い香りのあること。
微生物の残した酵素によって熟成変化したことのサインが見つかる。
葉底
茶葉は粉砕されて形の崩れたのが多く混ざる。
産地で晒青毛茶がつくられて、餅茶に加工するまでに一時的に保存する。倉庫に茶葉を山にして堆積させているときに、空気中の水分を吸って、山の中心あたりの茶葉が微生物発酵をはじめて発熱する。なので、定期的に撹拌しなければならない。撹拌するときに茶葉が粉砕されてカタチを崩す。

紅絲帯プーアル青餅96年 その1.

製造 : 1996年
茶葉 : 雲南省西双版納孟臘県易武山
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 香港 広州乾倉 日本室内紙箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
南部鉄瓶
銅の瓶掛

お茶の感想:
古い友だちが東京から会いに来てくれた。
遠方より友来る。
美味しいご飯とお酒とお茶と、いい時間が流れた。
歳をとるほどこういう時間が輝きを増してくるよな。
忘れていた記憶が芋づる式に掘り起こされる。時が経てばこんなふうになにもかもが美しく宝物になるなら、今の我慢ならないことは熟成味のスパイスみたいなものだ。
ところで、上海でお茶の仕事を始めたばかりの2004年の頃に、友達が景気付けにたくさん買ってくれたお茶があった。
+【紅絲帯プーアル青餅96年】
ほとんどプレゼントにしたそうだが、手元に2枚残っているらしい。
・・・ん?
今なんて言った?
紅絲帯プーアル青餅96年
内票と餅茶
紅絲帯プーアル青餅96年
紅絲帯プーアル青餅96年
出たーーーーーーっ!。
うおーーーーーーーーーーー!。
生きていたらいいこともある。
14年前の売値は1枚19,000円だったと思うが、現在値をつけるなら1枚18万円かな。上海なら25万円はいけるだろ。
1996年のお茶だから22年熟成・・・という単純な価値ではない。原料の茶葉の産地や製法が微妙に違うのだが、その違いが再現できない。
もしもこのお茶をホンモノのプーアール茶とするなら、現在のプーアール茶はどんなに高価であっても似て非なるレプリカモノ。写真よりも明らかな事実であるお茶の味がそれを証明する。
友人にそのことを伝えると、価値の分からない者が飲んでも仕方ないと言い出して、それなら自分のオリジナルのお茶4万円相当と交換しようと提案した。なかなか悪くない条件だろ・・・お互いに。
たぶんお互いにそう思っているのだけれど、友人は美味しいものにツキがある。そういう星のめぐりなのだ。
餅面の茶葉
紅帯と内飛
内飛
14年前これを手放したときはもっと青かった。
紹介文章を振り返ってみると、蓋碗でサッと湯を切ってあっさり淹れたほうがよいと書いているけれど、今は違う。土モノの茶壺でじっくり淹れたほうがよい。
チェコのマルちゃんの出番。こういうお茶はお茶ファンのつくった茶器でないと許されない。
プーアール茶
緑茶っぽい新鮮味はほとんど残っていない。常温の焦げによるココアのような芳ばしい香り。渋味・苦味を丸め込んでしまう透明感のある甘味。柑橘系の酸味。
この味から考えて、文章の間違いを訂正した。この茶葉は易武山のもので孟海茶区のものではない。
さらに、広州の倉から出たところのを仕入れたが、その前に香港の倉に入っていたにちがいない。そういう味。身元がはっきりしている味。
プーアール茶
最近話題にしている保存熟成の茶葉の芯の水に注目してみる。
見て触ってすぐにわかるが、この茶葉のミクロの繊維の水道管はもう水をたっぷり含むことができなくなっている。茶葉は軽くてカサカサで弾力も失っている。
友人は14年間押入れの中に餅茶専用の紙箱ごと保存していたらしい。”常温の焦げ”メイラード反応がすすんで茶葉の繊維を劣化させるのだろうか?いや、やはりそれだけじゃない。微生物がなんらかの仕事をしているだろう。それが初期の段階だけなので発見しにくいというか、証明しにくいのだ。
内票
内票。
この説明にちゃんと”適度発酵”と書いてあるけど・・・。
酸化発酵のことなのか微生物発酵のことなのかもわからない。
ま、わかっていても再現できない。
葉底
葉底はあまり変色がすすんでいない。茶湯の色ほど赤くなっていない。
長期保存の茶葉が水分をたくさん含んで酸化がすすむと、葉底も赤く変色がすすむ。
乾燥状態が保たれると、わずかな酵素反応とメイラード反応で熟成してゆき、それは葉底の変色を急速にすすめたりはしない。
お茶の味は熟成がすすんでも、葉底の色は味ほどに変化しない。
ということかな。
およそ20年モノのプーアール茶は数あれど、たいがい、お茶の味の熟成のほとんどすすんでいないものか、葉底が赤く変色して湿気た味のするものか、どちらかである。「そんなのみんなニセモノだ!」と言ってしまったら僕らの商売は難しくなる・・・。

ひごりごと:籾殻
籾殻もちゃんとある。
茶農家は専業化しちゃダメ。
籾殻の麹菌が農家の家のそこらじゅうに着いていないと。
米もつくって半自給自足をしないと、山の生態バランスが崩れてしまう。山の環境とお茶の味と、僕らの身体のコンディションと、すべてに因果関係がある。
地球はひとつ。
銅のヤカン
煮出して飲む
葉底を銅のヤカンに移して煮出して飲む。
今日は一日中このお茶で過ごす幸せ。

大益茶磚96年 その1.

製造 : 1996年
茶葉 : 雲南省西双版納孟海茶区
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 香港乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
大益茶磚96年プーアル茶
大益茶磚96年プーアル茶

お茶の感想:
広東と温州の茶友がうちに来てこのお茶を飲んだ。
+【大益茶磚96年プーアル茶】
上海にずっと残してあったひと欠片。
美味しい熟茶だったと記憶していたが、飲んでみたら「もうこれ以上はない!」と断言したくなるほど美味しい。
みんなも同感で、このお茶を飲む前に飲んでいた4種ほどはなんだったのか?というくらいレベルの差がある。
香港の高温多湿での倉庫熟成は抜群の醸し味をつくる。海風も関係しているかもしれない。
大益茶磚96年プーアル茶
大益茶磚96年
お茶の味は美術作品の美のレベルの違いほど大きく振れ幅がある。
中国茶にハマっていろいろ茶葉を買うことを経験すると、たくさんの茶葉が手元に残ってくるが、自然に手が伸びて飲むのはせいぜい3つか4つになってゆく。他の多くはいつか飲むつもりで保存してある。
健康のためとかなんとか理由をつけて、いつか飲む。
美味しいお茶だけ欲しいけれど、それは難しい。

大益銷台A熟茶磚96年 その2.

製造 : 1996年代
茶葉 : 雲南省西双版納大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包みのまま
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶

お茶の感想:
同じ系統のお茶と飲み比べたい。
「焼味」に特徴あるもの・・・・と考えたら、3つ思い当りがある。
【鳳凰金毫沱茶05年】
【老茶頭プーアル茶磚06年】
【中茶牌7581雷射磚02年】 
年代やメーカーは異なるが、焼味の雰囲気はちょっと似ていると思う。
手元には『中茶牌7581雷射磚02年』しかないので、これと比べてみる。
焼味は、発酵が終わった茶葉を機械乾燥したときに生じる焦げ。
微生物発酵により澱粉が糖化されて甘味が増えるが、この糖分がカラメルのように焦げる。
芳ばしい香りとなればよいが、嫌な香りになることもある。
量産される熟茶は機械乾燥を利用するケースが多い。
大益銷台A熟茶磚96年と中茶牌7581雷射磚02
大益銷台A熟茶磚96年と中茶牌7581雷射磚02
左: 大益銷台A熟茶磚96年
右: 中茶牌7581雷射磚02
茶湯の色は違うが、焼味は似ている。
『大益銷台A熟茶磚96年』のほうがまろやかで甘味も強く透明感があり上等な味がする。やはり価格もそれなりにちがう。
価格帯の同じ『7581荷香茶磚97年』と比べてみる。
【7581荷香茶磚97年 その1.】
7581荷香茶磚97年プーアル茶
大益銷台A熟茶磚96年と中茶牌7581雷射磚02年
大益銷台A熟茶磚96年と7581荷香茶磚97年
大益銷台A熟茶磚96年と7581荷香茶磚97年
左: 大益銷台A熟茶磚96年
右: 7581荷香茶磚97年
『7581荷香茶磚97年』が圧倒的に美味しい。
この時点で『大益銷台A熟茶磚96年』は不採用と決定。
『大益銷台A熟茶磚96年』は雑味が多い。
熟茶は食欲に訴えかける味覚の甘味・旨味が強くなるが、味が濃くなるほど気品が損なわれる。
その点で『7581荷香茶磚97年』は優れている。透明感があり、爽やかな風味に仕上がっている。
生茶のようにあっさり淹れるのが美味しい。
熟茶の味をみる舌が出来上がっているぞ!
と思って続けてサンプルの試飲2種。
2007年の磚茶プーアル茶
2007年の磚茶プーアル茶
2007年の磚茶プーアル茶
2007年の磚茶。
『孟庫戎氏宮廷小熟餅05年』と同じメーカーだったので期待したがダメだった。
微生物発酵の温度が上がり過ぎた(60度にも達する)と思われる風味がある。納豆菌などが増殖するせいで後味に舌がネトっとする。
1991年の磚茶プーアル茶
1991年の磚茶プーアル茶
91年の磚茶。
このお茶は良い。
ふわっと花の香り。搾りたて果汁のすっきりした酸味。
とても爽やかだと思ったら・・・・生茶だった。
熟茶の良いのは生茶の老茶と共通する美味しさがある。
職人が生茶と同じ味を目指して熟茶をつくっていた時代があったと思う。

大益銷台A熟茶磚96年 その1.

製造 : 1996年代
茶葉 : 雲南省西双版納大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包みのまま
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶

お茶の感想:
『大益銷台A磚90年代』。
これについては過去に試飲の記録がある。
【大益銷台熟茶磚90年代 その1.】
この記録を読んでみると「よくわからないお茶だ」と締めくくっている。
いろいろな情報があってほんとうによくわからないのだけれど、総合するとこうだ。
1994年・1996年・1998年と何度かつくられていて、そのたびに包装を2枚組にしたり4枚組にしたり、茶葉のブレンドの配合が変わったりしている。2枚組は1998年のもので、4枚組は1996年のもの。1998年のはチベットの支援に充てられたという説まである。
前回の『大益銷台A磚90年代』は、1998年のものであると思われる。(2枚組)
今回の『大益銷台A熟茶磚96年』は、1996年のものであると思われる。(4枚組)
今日の試飲は1996年のほう。
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶
大益銷台A熟茶磚96年プーアル茶
いろんな濃さで淹れてみた。
美味しいことや問題のないことはわかったけれど、魅力的ではない。
個人的に好みでないお茶。
この年代の熟茶にいくつかある煙味というよりは焼味。焦げの味。焼き芋の皮。桂皮っぽいスパイスも出かけている。
生茶とのブレンドと思うが、おそらくそこは重要な見どころではない気がする。
白磁の茶海
新しく入手したこの茶海(公道杯)がなかなか良い。
持ち味がよい。
手の味わい。
これも大事。
それでいうと、この蓋碗は優れている。湯を一杯に張っても指に熱くなりにくい。
白磁の蓋碗
これ以上に手にしっくりくる蓋碗はまずないだろう。
毎日使えば分かる。

7572熟茶磚96年 その1.

製造 : 1996年
茶葉 : 雲南省西双版納州大葉種喬木晒青茶(布朗山班章)
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明乾倉 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
7572熟茶磚96年プーアル茶
7572熟茶磚96年プーアル茶
7572熟茶磚96年プーアル茶

お茶の感想:
記念品としてつくられたお茶らしい。
偽物くさい。おそらく現在つくられた1966年のお茶。
”7572”の配方(ブレンド圧延)が成功してから20周年と書いてある。
班章の古樹、つまり"老班章"の茶葉が使われていることになるが、まずそこがおかしい。
老班章の人気が出たのは2005年頃からのことで、ブランド価値などなかった1996年にわざわざ老班章を謳うわけがない。
そもそも熟茶は量産のためにいくつかの茶山の茶葉がブレンドされるのが一般的。
国営の1996年はまだ消費者を意識した売り方をしなかったはずだから、有名茶山の名前が記されているのは不自然。
”7572”の”75”は1975年のことだが、それから20年後は1995年になるが、春節が1月末か2月になって、旧暦上では20年1996年に記念品という設定なのかもしれない。
”7572”の3番目の”7”は7級の茶葉が中心にブレンドされるということ。最後の”2”は孟海茶廠のこと。
専売公社制で国の定める製品番号。
ちなみに”7572”の初代は生茶だったが、その後のはすべて熟茶となっている。
【早期7572青餅70年代プーアール茶】
7級の大きく育った茶葉は澱粉質や糖質をたくさん持っているから、旨味・甘味が強いほうだろう。
発酵の微生物の活動もエネルギーを得て活発になりすぎるせいか、やや焦げている。
7572熟茶磚96年プーアル茶
ひと口飲んで「甘い!」と感じる。「甘ったるい!」とさえ感じる。
茶湯にとろみまである。10年以上熟成されているので雑味は少ない。身体の温まる感じも良くて悪くはない。
念のため『銷台甲級沱茶90年代』と比べてみた。
同じ孟海茶廠の1990年代。
【銷台甲級沱茶90年代 その1.】
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
左: 銷台甲級沱茶90年代
右: 7572熟茶磚96年
比べたら『7572熟茶磚96年』はぜんぜんダメだった。
焦げ臭が気になり、甘さが舌に残ってしつこい。
渥堆発酵が悪い。
微生物発酵が良いと口感がサラッとしているはず。
孟海茶廠の熟茶は全般的に旨味・甘味が強くてそれに誤魔化されるので、単独で飲むとたいがいどれも美味しい。飲み比べをしたほうがよいと思った。
偽物づくりに情熱を燃やす人たちが多いので、その障害を乗り越えて本物を求める障害物競走と思って、楽しむべし。
新疆羊肉串
熟茶を飲むと肉を食べたくなる。

1

茶想

試飲の記録です。
プーアール茶.com

・キーワード検索

通信講座

開催中
+【通信講座】

・カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

・表示されている記事

・お茶と年代のカテゴリー

・記録

Instagram

お茶の歴史
お茶の歴史 (JUGEMレビュー »)
ヴィクター・H・メア,アーリン・ホー

・サイトリンク

・プロフィール

 

mobile

qrcode

powered

みんなのブログポータル JUGEM