製造 : 2016年4月1日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)香椿林
茶廠 : 農家
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯+鉄瓶・炭火
お茶の感想:
茶教室のメニュー『飲み比べ象明と易武』で選んだお茶。
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【飲み比べ象明と易武(リクエスト)京都】
実は直前に茶葉を変更した。
易武茶区のお茶を『弯弓古樹青餅2014年』のから『香椿林青餅2016年』に替えた。
香椿林は弯弓区にあり、同類である。
変更の理由は、香椿林のほうがより熱帯雨林の風味が現れているから。
孟臘県漫撒山(旧易武山)には国有林に指定されている広域な森があり、その一部はいかにもな熱帯雨林。映画なら恐竜が出てくるジャングル。
この熱帯雨林が地域一帯に湿った柔らかな空気を提供して独特の気候になる。熱帯雨林は年々減少して乾燥した空気が一帯を支配しつつあるから、このタイプのお茶の味はいずれなくなる。
餅面に現れる熱帯雨林の感じ。2017年に撮影した写真を再度掲載。
山を歩くといろいろな場所があることに気づく。
高低差や複雑な地形で環境が異なり、そこに生息する植物たちにも違いがある。その場の雰囲気が違う空気も違う。
そこの空気を吸っていた茶葉は、そこの雰囲気そのものを味に宿している。
いろいろな茶山を歩いてきたが、お茶の味はその場所の空気そのもの。
茶樹は山のやや高いところに生息するから熱帯雨林の植物たちに紛れてはいないが、香椿林の茶樹はやや低いところに生息帯があって、すぐ下に迫る緑の悪魔的なモワンと湿った空気を思い出す。
このタイプのお茶は香りが弱い。味には輪郭がない。苦味はあるが甘味のほうが強い。ひとことで言うとぼんやりしている。
初心者の頃は、他人の欲しがりそうな味のお茶を求めていた。
その場の個性を客観視できなかったので、このタイプのお茶の魅力に気付いていなかった。
もしも気付いていたら、他のお茶は要らない。このタイプだけ集めている。
辛味・渋味の刺激が少なくて静かな味わい。
一煎めだけ煮やさないように気をつけて、二煎・三煎としっかり熱を入れてゆく。だんだん苦味と甘味が交代してゆく。十煎になると甘いだけの水になるが、なぜか飽きずに飲み続ける。
飲み比べに選んだもうひとつの『倚邦古樹青餅2014年』は対象的。
倚邦は清代の貢茶ブランドをアピールする産地で”王子山”と名付けられたりして、コマーシャル的な役割があった。お茶の味はいかにもウケの良い味。
面白い飲み比べになると思う。