プーアール茶.com

章朗古樹紅餅2016年 その3.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 不完全な密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
ガスバーナーと炭火
ガスバーナーと炭火

お茶の感想:
炭火の点火は今のところガスバーナーがいちばん良い手だと思う。
湯を沸かすのは従来の電気やガスのコンロに任せて、静かな沸騰をキープする弱めの火を炭に任せるならば、炭全体が白くなるまでしっかり熾す必要はない。端のほうが赤くなって、その小さな火がゆっくり全体にまわってゆく過程の火力で十分。
炭はひとつでは燃えることができない。
炭同士が互いに熱を照射し合って火力を強めてゆくので、最低でも3つのフォーメーションになる。
切り炭の火
切り炭を立てて3つ並べると2時間は沸騰状態を保つことができる。火力を上げたければ炭の数を増やせばよいし、長時間キープしたければもっと太い炭を使ってもよいし、火力の微調整は炭と炭の隙間の空気の通り具合を火箸で調整したらよい。コツを掴めばそう難しいものでもない。
火遊びは楽しい。
ただ、自分はたまたま子供の頃に田舎で火遊びを経験している。竈や七輪や五右衛門風呂の火を毎日焚く生活があり、ちょっとの火傷で済む学習もしている。しかし、そういう経験のない人がいきなり部屋の中で炭火を焚くのは危ない。だから、みんなにおすすめできるものではない。
茶葉を温めて乾燥させる
さて、醒茶器を使いだしてから、茶葉の持つ水分が気になって仕方がない。
醒茶器のサイズに合わせて新しい鉄瓶も用意した。1.4リットルの湯を沸かせるサイズ。デカい重い。
いろんな茶葉を試してみる。
カラカラに乾燥していても茶葉の芯のところにはごくわずかながらも水分が残っていて、この水を完全に抜くことは物理的にできないだろうが、もうちょっと少なくしたほうが長期熟成には良いのじゃないかと考えが変わってきた。
プーアール茶の保存はあまり湿気に気を使わないのが一般的で、ちょっと湿気たくらいのほうが熟成に良いという意見もあるくらいだから、それに比べたら当店はかなり乾燥ぎみにしてきたが、いや、もっと乾燥させてもよいかもしれないと思う。
微生物発酵の関与する保存熟成でない場合は、茶葉の持つわずかな水を残しておく利点は少ないだろう。
烏龍茶や緑茶に比べるとかなり火入れが浅く、揉捻(茶葉を揉む工程)もそこそこなプーアール茶の生茶。それゆえに茶葉のミクロの繊維の水道管がしっかりしていて水を保持しやすい。
以前、老茶を専門に扱っていたときの30年モノの生茶の茶葉を思い出してみると、もっとカラカラに乾燥した質感だった。茶葉の繊維のミクロの水道管が壊れて、保持できる水分量が少ない様子。
保存環境にある空気中の水分、つまり湿度が高かろうが低かろうが、茶葉の保有できる水分量の違いで熟成変化は異なってくる。湿度計を基準にしてはこのことが見えない。
章朗古樹紅餅2016年
今日は水分量の気になるこのお茶。
+【章朗古樹紅餅2016年】
これを醒茶器で1時間ほど温めてしっかり乾燥させてみた。
以前に、同じ製法のこの紅茶の記事に書いている。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印 その5.】
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2016年のオリジナルの紅茶に共通してあるトマト味。缶詰トマトのような煮え味。
白磁の蓋碗でサッと淹れると見つけにくいが、茶壺など保温性の高い茶器で高温の湯でじっくり抽出すると出てくる。
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原因は、圧餅後の乾燥の工程にあるのではないかと推測していたが、そうじゃなくて、もしかしたら茶葉のミクロの水道管が持つ水分が影響しているのではないのか?と推測してみる。
水分がわかりやすいようにたっぷり30gほど醒茶器に入れた。
茶葉から出る水分
やっぱり出てくる。
ま、この量は一般的な餅茶なら生茶でも熟茶でもあるレベルで、異常ではない。ただ、晒干で仕上げる紅茶においてはもっと乾燥するのが理想かもしれない。
淹れてみると、やはり缶詰トマト味はほとんど無くなった。
2煎めにぐっと濃くしても出てこない。トマト味は茶葉が煮えた味ではなかったのだ。圧餅後の乾燥の問題でもなかったのかもしれない。
章朗古樹紅餅2016年の茶湯
ラベンダーのような鮮花の香りが蘇る。この香りは製茶のときの軽発酵で出てくる香りと同じ。すでに1年ちょっと経つが、まだ新鮮な成分が保たれている。
もともと醒茶をしなくても3煎めにはトマト味は消えていた。なので、醒茶で茶葉の芯の水を抜くと、1煎めから3煎めと同じようなことが起こっていると見ることができる。
この結果を得て、茶葉を二次加工したり保存熟成の方針を変えたり、ということはしないのだな。
この先何年もかけてじわじわ茶葉の芯の水が自然に抜けてくれるのを待つつもり。
保存は「密封」と記しているが、実のところ完全な密封にはなっていない。(「不完全な密封」と書くことにする。)あえて言うなら、もうちょっと水分が逃げやすく工夫したほうが良いのかもしれない。
アイデアを練ってみる。
2煎めに濃く淹れる

ひとりごと:
こだわりのカフェはそこらじゅうにあって、職人がコーヒーを淹れてくれるが、お茶にそういうところは少ない。
時代劇に出てくる峠の茶屋が近所にあったらなーと思う。
こんなことを言い出すのは、きっと炭火で湯を沸かすのが面倒になってきたからだ。
チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶・炭炉・炭・それに醒茶器まで、ますます重装備になって、この一式をスーツケースに入れて旅することを考えると足が重い。炭を熾して湯を沸かして飲むまでに50分もかかると気持ちも重い。
3段重ね
白磁の蓋碗と茶杯に銅のヤカンと電気ポット。軽くてコンパクトでいつでもパッとお茶が飲めるのも良いよな。
ま、いつでも戻れるから大丈夫だろ。

巴達生態紅餅2016年 その1.

製造 : 2016年3月28日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨小茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の茶壺とチェコ土の茶壺
倚邦の雲海上
倚邦の雲海中
倚邦の雲海下

お茶の感想:
今年の秋茶は不作。
西双版納のどこの茶山でも新芽・若葉が少ない。
春から夏にかけてずっと雨が多かったし、気温もそこそこ高かったし、育ちがよくなる条件が揃っていたように見えたけれど、星のめぐりのような見えないチカラのほうが大きかった。
茶葉の育ちが悪いと、香りも味も良い。
ヘンな話だがそういうものなのだ。
育ちの良いたくさんの茶葉で栄養を分けてしまうと一枚の分は薄まる。
何年ぶりかで味の乗った秋茶をつくるチャンスだったが、天気がそれを許さなかった。
例年なら乾季となる11月なっても雲が多い。3日に一度は雨が降っている。晴れても雲が多いので、天日干しのお茶はダメになる。
天日干し
夏からなんとなく予感していて、
「秋はどうするのですか?」
と聞かれても、
「ま、様子見ですね。」
みたいなことを言っていたと思う。
なぜ予感していたのか自分でもよくわからない。
星のめぐりが作用しているのだろうか。
お茶をつくらないとなると一箇所に留まる必要がないので、あちこちの茶山を歩くチャンスとなった。10日間ほどいくつかの茶山を訪ねて、つぎの春に備えた。
漫撒山のなじみの農家がつくっていた晒青毛茶を4キロほど仕入れたので、これは後に餅茶にして出品する。180gサイズの小餅茶で20枚。
景洪の雨
景洪の虹
この3日間雨が降り続いている。
北京の愛好家が持ってきた景徳鎮の作家につくってもらった茶壺を試すことにした。
こう書くといかにも暇を持て余しているように見えるが、実はこの秋から熟茶の渥堆発酵にふたたび挑戦していて、寝る間を惜しんで働いている。というか、微生物に働かされている。奴らは寝ないのだな。
お茶の仕事は重労働。
熱をもった筋肉が腫れた腕。寝不足でボーっとした頭。
お茶の味の囁きを聞くなんてことのできる状態じゃないが、これがリアルなお茶屋さんの仕事である。美味しいお茶をつくるのは知識や感性よりも根性や体力である。
さて、茶器によってお茶の味は変わるという話。
湯の熱の伝わり方に音の響きのような違いがあり、それがお茶の味を変える。
景徳鎮の青磁の茶壺とチェコ土の茶壺
指で弾くとチン!と鳴る青磁の薄くてカタイ質感は見ただけでわかる。
チェコ土の陶器の茶壺と比べる。
青磁の茶壺
チェコ土の茶壺
青磁の茶壺のほうがちょっとだけ重いが、容量は150ccで、チェコ土の茶壺は100cc。1.5倍の差があるので青磁のほうが薄造りである。手に持ったときに軽く感じる。
お茶は『巴達生態紅餅2016年』(卸売部)
巴達生態紅餅2016年
3.5gずつ。
早春の新芽・若葉でつくられたこのお茶は熱に敏感で、茶器を試すのにちょうどよい。とくに香りの立ち方にいろんな表情を見せてくれる。
青磁の茶壺
青磁の茶壺一煎め
チェコ土の茶壺一煎め
1煎めから茶湯の色に違いがある。
5煎くらいまで飲んでみたが、1煎めの違いが最後まで続いた。
青磁の茶壺は保温力はないかもしれないが、熱を反射する瞬発力みたいなものがあるのだな。
香りの立つスピードの早さと、摘みたての野の花のような新鮮で涼しい刺激のある感じが、この紅茶の性質をストレートに表している。
チェコ土のは、マルちゃん作の茶壺の中では薄造りなほうだが、柔らかい土の温かい感じは熱の伝わり方にも現れている。
1煎めは湯を注いでから10秒以内という短時間で抽出しているが、それでもこの違いが現れるのは、やはり保温力というよりも熱の反射の違いが大きいような気がする。
新芽・若葉にゆっくり熱を伝えると煮えてしまう。このお茶の場合は苦味や酸味が出る。
チェコ土の茶壺はもっと抽出時間を短くするべきなのかもしれないが、そうすると香りが立たない。たった10秒の抽出でも香りには熟れた甘味があって、これはこれで良いかもしれないが、青磁に比べるとおっとりしすぎている。
葉底青磁とチェコ土
葉底(煎じた後の茶葉)。
チェコ土のほうがしっかり茶葉が広がっていて、変色していて、触ると柔らかい。熱のしっかり通った結果が出ている。煮えているとも言える。
熱をしっかり通すほどに滋味深い味が出てくるという、古茶樹のような性質の茶葉ではない。熱の瞬発力で美味しいところだけサッと流し取るような感じが良いと思う。

ひとりごと:
空の光
秋の収穫
すすき
秋の収穫
農家はお茶が忙しくなくても、米とかトウモロコシとか、生活のための収穫に忙しい。
今年は自家製白酒の良い原料ができそうだな。

章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗裏

お茶の感想:
湯の熱の伝わりには響き方の違いがある。
お茶の味や香りの違いにつながる。
茶器の形や質によってその違いが生まれる。
「音」の高音や低音に似ているかもしれない。ボリュームの大・小のように数値化しやすいものではなくて、色や形のように感覚的に評価されるもの。
スピーカーをつくる技術者は、高音と低温の美しさについてじっくり考えている。感性を重視する音楽ファンは、どちらが優れているというよりも、どちらが美しい音色を出すかでメーカーやモデルを選んでいるはずだ。
茶器をつくる技術者はどうだろ。
現在はそれについてあまり多くを語られなていないような気がする。
素材の土の性質と水や茶との相性とか保温性とか、物理的にわかりやすそうな話はあるが、いまひとつ感性に訴える話は聞こえてこない。
もっとも、語られないから知らないとは言えない。
結果よりも過程。言葉よりも身体。東洋的な理解の仕方がある。
より多くの人にいち早く伝達したいがために言葉に頼りすぎると、脳ミソ先行的になって身体が伴わない。お茶についての西洋的理解のアプローチがいまひとつ芯を捉えないのは、そこに理由があると思う。
白磁の蓋碗
白磁の蓋碗に茶葉
北京の愛好家が景徳鎮にオーダーした蓋碗を持ってきた。
商品化するらしい。1000元というから蓋碗にしてはちょっと高級。
背の低い形状がパッと見た目にもわかる。
晒青毛茶(プーアール茶の原料と鳴る天日干し緑茶)を現地では試飲することが多いが、その大きな形状の茶葉を観察しやすいというのが一番めの理由。
湯を注いで茶葉が開くときにきゅうきゅう詰めにならずに気持ち良く伸びられる。そのほうが美味しくなるというのが二番めの理由。
口の大きく開いた形状のほうが香りが出やすい(広がりやすい)というのが三番めの理由。
しかし、それらはお茶の味の印象を決定づける要因としては弱いと思う。
それよりも、質量と形状がもたらす熱の響き方がお茶の味に強い個性をもたらすと考えている。
そこで、手元の蓋碗と比べてみることにした。
蓋碗2種上から
蓋碗2種ヨコから
若干色は違うが、どちらも景徳鎮の白磁。
北京の愛好家の蓋碗
手元の蓋碗
水を適量張ると、手元の蓋碗のほうが5ccから6ccほど多めに入るので、そこは注ぐときに調整したらよいだろう。
このお茶で比べる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
選んだ理由は、香りが出やすいことと、やや熱に敏感に反応すること。そして耐泡(煎がつづく)の古茶樹の茶葉であること。6煎めくらいの、茶湯の色も味も薄くなってくる頃になにか見つかるかもしれない。
章朗古樹紅餅2016年・青印3.6g
3.6g。
蓋碗2種一煎め
蓋碗2種一煎め注ぎ
1煎め。
この時点ですでにその差が現れた。
手元の蓋碗のお茶の味は軽い。香りが上のほうに抜ける。口の中に上昇気流が起こっている感じ。
北京の愛好家のお茶は重い。香りは上に抜けずに淀む。横に広がる感じではあるが、それにしても「抜け」が悪い。
蓋碗2種3煎め
蓋碗2種3煎め
3煎め。
味のボリュームという点では互角。
しかし印象は異なる。
やはり北京の愛好家の蓋碗のは重くて、手元の蓋碗のは軽い。
重いのが好印象であれば味の重厚感と言って褒められるが、そうではない。
湯の質感に粘りがあり、口あたりのキレが悪い。喉越しのスムーズさにも欠ける。このお茶の個性である涼しさを損なっている。
蓋碗2種5煎め
蓋碗2種5煎め注ぎ
5煎め。
煎を重ねて風味が薄くなってくると、大きく育った茶葉や茎の部分の旨味・甘味が出てくる。茶葉が煮えているのだ。熱々の湯を注いでいて5煎めにもなると、どちらにしても煮えた味になるが、煮え味の出方にも違いがある。北京の愛好家の蓋碗にはカンロ飴みたいな野暮ったさがある。手元の蓋碗にはそれがなくて、スキッとした涼しさを保っている。
蓋碗2種と7煎めの葉底
葉底上から
葉底ヨコから
7煎めの葉底。
葉底の色の違いに注目。
結果からもわかるように、北京の愛好家の蓋碗は熱がしっかり通って茶葉の酸化がすすんでいる。
そうなったほうが美味しいお茶もあるが、新芽・若葉の多いこのお茶の場合は手元の蓋碗のほうが圧倒的に美味しい。
白磁というガラス質を多く含む素材という点で、両者の化学的反応の差は少ない。
そうすると、厚みや形状による熱伝導の違いがお茶の味の差を生むと考えられる。
北京の愛好家の蓋碗
北京の愛好家の蓋碗蓋を開けたところ
手元の蓋碗
手元の蓋碗蓋を開けたところ
蓋をはずした碗だけの重量をみても124gと79g、45gもの差がある。
この45gが湯の熱の響き方の差になっている。
口径の大きくて背の低い形状の北京の愛好家の蓋碗のほうが熱が逃げやすいので、保温性の面では劣るはずだが、45g分の厚みが溜め込んだ熱がじわじわ茶葉を煮やすらしい。底にゆくほど厚みがあるようにつくられているが、茶を注いだ後の茶葉はその厚いところに残る。淹れる人が意図せず変化が続くことになる。蓋碗の中で茶葉が自由に広がりやすいというが、それがために底にベタッとへばりつく。手元の蓋碗は茶葉が窮屈に見えるが、広がりきらないで曲がったまま隙間をつくる。そこに熱の逃げ場ができる。
茶学でテーマにしている水の注ぎはどうだろう。
ヤカンから蓋碗に湯を注いだときの水の振動。水の音。
北京の愛好家のは背が低いので、落ちる水が水面を叩いてやや高い音が響く。
手元の蓋碗は背が高いので、水がちょっと溜まってくると深く潜って低い音が響く。
うまく説明できないが、手元の蓋碗の低い水音の響きは、お茶が美味しくなるサイン。
蓋碗の中での湯の流れと茶葉の動きにも違いが生じているが、これについてもまだ説明できるほど理解できていない。
ただ、このお茶の味の結果は蓋碗を手に持ったときからある程度予測できていた。
蓋と碗で185gある北京の愛好家のと126gの手元のと。約60gの差だけではない。手に持ち辛いほど口径が大きいために余計に重く感じて、湯を注ぐ手の動きも鈍くなる。重鈍な感じがそのままお茶の味に反映している。
低く横に広がった形状と高く背を伸ばした形状と、その形の感じがそのままお茶の味に反映している。
指で弾くとコン!と鳴るのとチン!と鳴るのと、その音の感じがそのままお茶の味に反映している。
直感は捉えている。
いつかどこかで経験した記憶が無意識のところで瞬間に繋がって、応用によって新しいものを理解するのだな。

ひとりごと:
チェンコーンからラオスに一日だけ足を伸ばした。
ラオスの焼酎「ラオカオ」は米とバナナ(たぶんバナナではなくて芭蕉だと思う。芭蕉の実ではなくて茎のような気がする。)で醸す。
ラオカオ1
ラオカオ2
ラオカオ3
ラオカオ4
昼間から赤ら顔の太っちょの親父が嬉しそうにつくる酒。
「これはいい酒だぞ」と直感は言ったが、以前に別の家のラオカオで頭が痛くなったことがあって、ちょっと警戒してしまった。
持ち帰って飲むほどに美味しくて、ちっとも悪酔いしない。芭蕉の効果なのか涼しくて、身体が熱く火照らない。もっと買っておけばよかったと後悔した。
直感に素直になろう。

章朗古樹紅餅2016年・青印 その2.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : チェコ土の茶壺
チェコ土の茶壺

お茶の感想:
お茶は淹れ方しだいで、体感が変わる。効能が変わる。
湯の温度や湯の注ぎ方(水の落とし方)や抽出時間が違って、お茶の味が苦くなった時、辛くなった時、甘くなった時、爽やかになった時、鈍くなった時、重くなった時、軽くなった時、それぞれの体感があり、効能があり、薬効がある。
こんな話をすると、
「お茶はそんなに繊細なところを求めるのですか?」
お酒の趣味のある人からそう聞かれた。
たしかに、現代のお茶は味にばかり注目していて、体感について話すことは少ない。
しかし、昔のお茶は違ったはず。
理由ははっきりしている。
医食同源。お茶はクスリだったから。
クスリといっても現在のクスリではない。
なにかを治したり、どこかを良くしたりというレベルの低い下薬ではない。
普段から食べたり飲んだりしていると無事でなにごともないのが上等という上薬。
そう。お茶は上薬。
病院や医者や薬局がまだ営利を追求していなかった時代には、食べるものや飲むものがどう身体に影響するのかを、日々注意深く観察しながら人々は生きていた。自分をいちばん知っている医者は自分。
味や香り、そして、今の自分がそれをどう感じるか。
味わうことは、ある種の効能を見つけたり、身体のコンディションを知る手がかりとなったりする。
なので、お茶の淹れ方によって微妙に異なる味についても吟味したのだ。
現在のグルメは、人間が食欲の豚と化したグルメであり、生きてゆくための知恵を学ぶことはしていない。
今日はこのお茶。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
これをチェコ土のマルちゃんの小さめの茶壺で淹れる。
注ぎ口が細くつくられていて、水の流れが細くなる。
これによるお茶の味の出方、効能、薬効を確かめる。
細い線で注ぐ
章朗古樹紅餅2016年・青印
注ぎ方で味が変わる薬効が変わる
優しいお茶の味は身体にもやさしい
やさしい味は、身体にもやさしい。
わかりやすい答えだった。

ひとりごと:
LEDの白い光は、寒気を感じる。背すじに嫌な電気が走る。
強い光を半時間も浴びると身体の調子が悪くなる。
自分にはもうこれで十分に証明されている。悪いものだと判断できる。
大学の先生による発表を待たなくてもよい。
省エネがどうとか、経済がどうとか、そんなパワハラに屈して自分の身体を犠牲にはしない。

漫撒春眠紅餅2016年 その1.

製造 : 2016年03月21日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)香椿林
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 散茶
保存 : 日本
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶碗
漫撒春眠紅餅2016年
漫撒春眠紅餅2016年

お茶の感想:
一天一采でつくったお茶はどれも個性が強いというか、輪郭が見えやすいというか、血が濃いというか、そういう点でわかりやすい・・・はずだがそうでもない。
人と一緒でいろんな面をもっているし、変化もしているし。
茶摘みから圧餅までずっとつきっきりの自分でさえまだわからないことが多い。
ましてお茶を淹れるとなると、水や道具や技術という変数が加わる。すべてを試すなんて無理なのだ。
でもやる。
今日はこのお茶。
上海から2枚届いた。
『漫撒春眠紅餅2016年』
漫撒春眠紅餅2016年
今年の春のオリジナルの14種のうちのひとつ。
ちょっと思うところあって、湯と茶杯だけで淹れてみる。
先に湯を張ってから茶葉を落とす。湯は沸き立ての熱々。
茶葉に触らないで自然に沈むのを待つこと。
茶碗に湯を張る
茶葉を落とす
茶葉が沈むのを待つ
・・・と、思ったがなかなか沈まないので茶針でツンツンしてみる。
茶針で茶葉をつつく
ちなみにこの茶針はヤマアラシの棘。
西双版納の山にはヤマアラシがたくさんいて、猟師がときどき撃ってくる。ぶつ切りにしてスープにするとなかなか美味しい肉なのだ。
棘は先が尖っているので、昔は刺繍の針に使われていたが、現在は使われていない。
いずれ茶針として販売する予定。
漫撒春眠紅餅2016年
ハーブティーみたいな香り。鮮味が強い。
高原の花を想わすような線の細い可憐な味わい。
美味しいけれど、でも問題がある。
早春の茶葉で月光白という白茶をつくるとこういう感じになる。しかし、実際のところ旬の茶葉でつられる月光白など無いに等しい。雨の季節になった春の終わりから夏にかけての安い原料でつくられるからだ。
過去にほんとうの早春につくられた月光白を紹介している。
+【那カ古樹月光白2014年 その3.】
この記事を読み返すと絶賛しているが、その後は月光白には見向きもしなくなる。
理由が二つある。
ひとつはお茶として完成していないこと。製茶の技術が成熟していない。(最近つくりはじめられたお茶であるから考えが足りない。)
もうひとつの理由。
体感に問題がある。
茶酔いの感じが良くない。特にぬるめの湯で淹れた時の感じ。
初めて経験する人は気持ち良いと感じるかもしれないが、この酔い方はよくない。どんな酔い方かというと、血糖値が一気に下がって貧血になるような感じ。
身体が嫌だと言っている。論理的に説明できなくてもよいだろう。経験的にそうなのだから。
山の人たちもこの鮮味をともなう茶酔いが嫌いで、それゆえにしっかり火を通したお茶しか飲まない。
そう。あるていど熱を通すと、嫌な茶酔いの原因となるなんらかの成分の働きを止めることができる。
そこで、保温ボトルに茶葉を入れて熱湯を注いで蓋をして、しばらく待ってから飲んでみた。
保温ボトルで煮出す
保温ボトルで煮出す
保温ボトルで煮出す
30分くらい待った。
こうすると鮮味も茶酔いも落ち着いて当たりの柔らかいお茶になる。
晒干で仕上げた軽発酵の浅い紅茶は、月光白と似た鮮味が残っている。
この『漫撒春眠紅餅2016年』がまさにそれ。
当店の紅茶の場合、圧餅のときの蒸気の熱でこれを殺青しているつもりなのだが、短時間なので完全ではない。
ただ、この鮮味の残る状態のほうが、もしかしたら長期熟成は面白いかもしれない。
これから何年かかけて追跡調査してゆく。そのために1枚は手元に残して壺熟成するつもり。

ひとりごと:
昨晩は寝る前に熟茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
夜が涼しくなってきたら熟茶が美味しくなる。
酔い心地は最高。
ぐっすり眠れる。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
発酵の微生物もまた鮮味を伴う茶酔いのある茶葉が嫌い。
だからそこを気をつけて原料となる晒干毛茶をつくらなければならない。

章朗古樹紅餅2016年・青印 その1.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : 宜興紫砂の茶壺→白磁の蓋碗
章朗古樹紅餅2016年・青印
餅面
紫砂の茶壺

お茶の感想:
熱中症予防に今日はこのお茶。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
身体のだるいこんなときはガツンと濃いめで目を覚ましたいと思って、宜興紫砂の茶壺で高温淹れしたら失敗した。
茶葉を火傷させて辛味・苦味が嫌味になる。
章朗古樹紅餅2016年・青印
章朗古樹紅餅2016年・青印
無印の『章朗古樹紅餅2016年』ならこの淹れ方で美味しく飲めたが、「青印」はダメなのだ。
『章朗古樹紅餅2016年』とは采茶日が1日違い。
おなじ斜面の古茶樹から採取して、天候の変化もほとんどなかった。
原料の茶葉の差はないと言えるのだが、お茶の仕上がりは大きく違う。
製茶時のコンディションの違いが影響している。そして、お茶淹れの技術にまで影響する。
軽発酵が浅く仕上がったことで熱に敏感な青印の茶葉にいきなり熱湯を注ぐと火傷させる。火傷による嫌な味が混ざってしまう。
そうかといって、ぬるい湯では味の輪郭や香りがぼやける。熱い湯でいかにやさしく茶葉に熱を伝えるかが課題。
そこで極端な淹れ方を試すために蓋碗を利用した。
白磁の蓋碗
蓋碗に先に湯を注いでおく
湯を注いでから茶葉を投入
湯を注いでから茶葉を投入
先に蓋碗に湯を張ってから茶葉を投入する。
蓋碗は直前に捨て湯をして温めてある。もちろん湯は沸き立ての熱々である。
蓋をしてしばらく
茶葉はまだ浮いている
茶葉が浮いているのをそのままに蓋をして蒸らして杯に注ぐ。
杯に注ぐ
濃い目に入った
一煎めから濃い目になったが美味しい。
嫌味のない辛味・苦味は甘味を引き立てるスパイスとなり、ヨダレの出るほど甘く感じられるお茶になった。夏草のような香り(軽発酵が浅めに仕上がった特徴)もしっかり薫って、上品な雰囲気を纏う。
茶葉が一煎めの湯の温度に慣れてくると、二煎めからはそれほど気を使わなくて済む。
湯の道を開ける
それでも慎重にしたいのなら、湯の落ちる真ん中の茶葉を避けて、そこを狙って熱い湯を注ぐ。
真ん中に注ぐ
二煎め
章朗古樹紅餅2016年青印
そして三煎め。
三煎め
ここまでくると熱々の湯が勢い良く茶葉にかかっても大丈夫。

ひとりごと:
ヨガの先生の言葉が印象に残っている。
「否定的な言葉を怖れない心の状態をつくりましょう。」
ヨガを学ぶ心構えについての話。
先生が生徒に指導するときに、改善点を伝えなければならない。しかし、上手に言わないと生徒は萎縮して逆効果になる。日本人相手は特にそうだろう。
しかし、そんなのでは前に進めない。
否定的な言葉を怖れる人は、学ぶことへの集中力が足りないのだ。
集中していたら、どんな言葉からでもなにかを得る。
同じことから学べる人と学べない人とがいる。
それだけのことだ。

香椿林紅餅2016年 その1.

製造 : 2016年3月22日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)香椿林
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紫砂の茶壺
香椿林の茶樹
香椿林の茶樹

お茶の感想:
2016年春の香椿林の森のお茶は紅茶3種と生茶1種。
紅茶 『漫撒春眠紅餅2016年』 3月21日采茶  茶地A
紅茶 『香椿林紅餅2016年』  3月22日采茶  茶地B
生茶 『香椿林青餅2016年』  4月1日采茶  茶地B
紅茶 『漫撒一水紅餅2016年』 4月3日采茶  茶地A
森は広いので茶地AとBとの生態環境はちょっと異なる。Bのほうがやや乾燥したところにある。
土質が同じなのか、ベースとなる風味は共通している。
香椿林の森のお茶は漫撒山一帯の中でいちばん甘いかもしれない。
辛味や苦味が少ないのが余計に甘く感じさせる。
スッキリした甘さ。
香椿林紅餅2016年
香椿林紅餅2016年
香椿林紅餅2016年
葉底
山つづきで隣の森の「一扇磨」の苦味や、その隣の森の「弯弓」の辛味、そういうスパイスが味の輪郭になるが、苦味や辛味のほとんど無い香椿林はとらえどころなくぼんやりしている。
芯がないわけではない。深いところにちゃんとある。しかしその深みは底が見えない。光の届かない海の深いところのよう。
はじめからそういうものとわかっていたら、自分で淹れるにしても他人が淹れるにしても、こんなにリラックスして飲めるお茶はないだろう。
お茶淹れの技術でなにか表現めいたものを表現できるわけでもないし、なんらかの味わいに集中する必要もない。
昨日の『章朗古樹紅餅2016年』とはまったく対象的な表現。
心地よく眠いお茶。
香椿林の森
香椿林の森

ひとりごと:
先日の勉強会「熟成」では7種のお茶を飲んだ。
しかし、参加者全員が後からそう思っただろうけれど、もっとも古い老茶2種をじっくり味わうのでも十分な価値があった。いや、むしろ2種くらいを3時間かけてじっくり味わったほうが贅沢だった。7種も味わうことで一つ一つの味わいは薄れる。もったいないことをしている。
そう。それが勉強会の目的だから。
逆に言えば、味わうということに目的はない。目的などあってはいけない。
目的なく2種をじっくり味わうという内容なら、お客様は勉強会に集まらなかっただろう。

章朗古樹紅餅2016年 その2.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : 宜興紫砂の茶壺
章朗古樹紅餅2016年
章朗古樹紅餅2016年

お茶の感想:
朝の紅茶。
飲んでからジョギングする。
夏の太陽に負けないこのお茶。
+【章朗古樹紅餅2016年】
ガツンと高温淹れしてみる。
紫砂の茶壺をしっかり熱湯で温めておいて、茶葉を投入して蓋をして蒸気で1分ほど蒸らして、熱湯を注いで蓋をする。この手続きを丁寧にするとお茶は清らかになる。
湯の量と熱量は比例するので、湯量多めに8分目まで注いだ。
そろそろかな・・・という頃合いに蓋に指を当てて、熱の伝わり具合から茶壺の中の見えない茶葉の開き具合を想像してみるのだが、むちゃくちゃ熱い。
茶壺のカタチの効果が大きい。タテ長はいいな。
チェコ土の杯
一般的な紅茶はこのように高温淹れすると、カンロ飴っぽい甘味と香りが出やすい。やさしい味ではあるが輪郭や芯がボケるので、パッと気分を変えたい時や目を覚ましたい時には役不足。
カンロ飴味は大きく育った新芽のたくさんある紅茶に多いが、実際にその成分に由来すると思われる。
新芽が大きく育っているということは旬をハズした晩春から夏の雨の季節の茶葉。見た目が美しいから売れやすいし、なにしろ産量が多いから市場占有率が高い。みんなに手に入りやすい。これを美味しく淹れるには、新芽が煮えないようにサッと湯を切って抽出したほうがよいが、そうすると高温でしっかり抽出する深い味わいは得られない。
春の旬の新芽は乾いた状態では爪の先ほどの大きさしかない。
旬の紅茶の餅面
若葉は製茶で赤黒く変色するから、餅面は真っ黒に見えるが、これぞちゃんとした旬の色である。
生茶の原料の晒干緑茶にしたときと同様に、黒ければ黒いほど旬の成分が濃い。
高温でしっかり抽出してもカンロ飴味が少なくて、スッキリ爽やか。スパイシーながら舌に残らず消えが早い。喉ごしは滑らかで潤いがある。
葉底
はそこ
茶気の強いのはアルコール度数の強い酒と同じ。
2016年の春の紅茶は8種あるが、最も茶気度数の高い紅茶はこの『章朗古樹紅餅2016年』と1日前に采茶した『章朗古樹紅餅2016年・青印』。
濃いのを一杯飲んだらバッチリ眼が覚めて、走るぞ!という気分になる。
古茶樹のミネラルで強い日差しにも負けない気分。
章朗古樹紅餅2016年
今日一日の分を保温ボトルに溜めておく。

ひとりごと:
先日の勉強会のテーマ「熟成」で興奮したお客様が、年代モノのラム酒にも同じ深さがあると紹介してくださった。
1939年の老ラム酒。ラベルはフランス語で「RHUM」と書いてある。
美しい。
香りだけでノックアウトする。
銘酒は美人。
年代モノのラム酒
ラム酒はカリブ海の島や大陸のサトウキビからつくる蒸留酒であるが、その起源は西洋による植民地化時代に遡る。お茶やコーヒーが世界中に売れ出した時代に砂糖の需要が爆発して、ものすごい勢いで南米やアフリカにサトウキビ畑が開拓されて(そのために奴隷も流通して)、砂糖を精製するときの黒糖シロップを二次利用しての酒づくりがはじまる。
ラム酒といえば労働者向けの安い酒のイメージがあるが、これをウィスキーやブランデーのように樽で長年熟成させたのが一部のマニアに支持されていたらしい。つまり、はじめから長期熟成を狙ってつくる高級嗜好品なのだ。知る人だけが嗜んでいた酒。
長期熟成は樽で寝かせたり瓶で寝かせたり、いろんなパターンがあるが、いずれにしてもじっくり時間と手間を掛けたもののほうが良い。その間、お金をふんだんかつ継続的に投下されるほど熟成は上質に仕上がる。当然だ。
当初は東インド会社が手掛けていたと思われるが、スペイン、イギリス、フランスあたりが老ラム酒づくりに熱を上げていて、最後はイギリスかフランスの老ラム酒が高く評価されるようになる。スペインが脱落したのは、先に経済力が落ちたから。熟成に金をかけないセコイ手法になってゆく。
老プーアール茶戦争を征するのも、50年以上継続する経済力になる。
美人はお金が好き。

漫撒一水紅餅2016年 その2.

製造 : 2016年4月3日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)香椿林
茶廠 : 農家
工程 : 晒干紅茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 白磁の蓋碗小90ccサイズ
漫撒一水紅餅2016年の餅面
漫撒一水紅餅2016年
漫撒一水紅餅2016年の茶湯

お茶の感想:
今年2016年の春は一天一采(ある一日の茶葉でひとつのお茶をつくる)で、紅茶は8種もできたから、その仕上がりが比べやすくなった。
とくに軽発酵度の違いはわかりやすい。
軽発酵度レベル5(最高)と評価したこのお茶。
+【漫撒一水紅餅2016年】
紅茶の紅茶たる赤黒い茶葉の色。ルビー色の茶湯。芳醇な香り。軽快な苦味。艶やかな甘味。
みんなが紅茶にもっている印象に近いと思う。
晒茶も圧餅も天日干しで仕上げているこの紅茶はとくに、ちょっと油断してぬるい湯で淹れたり、茶器をあらかじめ温めないなどして高温をキープできなかった場合、おっとりし過ぎて眠い味になりやすい。
ちょっとシャープに、カドや輪郭を立てるようにしたいところ。
そこで、今日は白磁の蓋碗にしてみた。
白磁の蓋碗
漫撒一水紅餅2016年
最近のブログの記事では茶壺をよく使っているが、実は試飲には今も蓋碗を使い続けている。
蓋碗は白磁の薄手の素材といい、口の大きく空いた形といい、保温力が弱い性質なので、高温淹れで抽出したいお茶に向かないように思えるが、そうでもない。
淹れ方(というか飲み方)の技術である程度カバーできる。
また、白磁のお茶の味を直線的に表現するところが、このお茶の輪郭や芯を表現するのにピッタリである。
紅茶を蓋碗で
蓋碗の高温抽出技術
蓋碗で高温を維持する技術。
といってもカンタンで、上の写真に答えが写っている。
1杯目を飲んでいるうちに、次の2杯めの抽出が始まっている。
それだけ。
茶を杯に注いでからまたすぐに蓋碗に熱い湯を注げば、蓋碗も茶葉も冷める間がない。高温をキーブしやすい。煎を重ねるほどに茶葉にどんどん熱が入り込んで、内側の成分が抽出される。
抽出時間は30秒から3分といったところか。
茶葉の量や蓋碗のサイズによっても、1煎め、2煎め、3煎め、4煎めによっても、抽出時間はそれぞれ異なるので、こればかりは自分の手元での頃合いを見つけるしかない。
飲むほうは、次の煎の抽出が濃くなり過ぎないうちに手元の杯を飲み干さないといけないから、忙しそうだが、やってみるとあんがいゆっくりなテンポである。
ひとつのお茶を飲むのに時間をかけていられない我々の仕事の試飲だけでなく、家飲みで一日の終りのつかの間を安らぐのに良いくらいの時間の流れ。
蓋碗と紅茶
白磁の蓋碗ならではのお茶の輪郭や芯が表現できるかどうかは、試した人だけがわかるということにしておく。

ひとりごと:
西双版納で乗る自転車、これが欲しいな。
SANTACRUZ
ちょっと流行にノリすぎかな・・・。
自転車は市場が大きくて、用途が多様化していて、メーカーによっては趣味性の強いかなりニッチな市場に向けた自転車を出品している。もっと尖ったのが欲しい人もそこそこ居て、カスタマイズを手伝う仕事も成り立っている。
ニッチ市場でヒットしている自転車は、メーカーが意図した方向での機能性やデザインがそのままユーザーに支持されるのではなくて、それをちょっと違った方向にユーザーが応用したときのカッコよさにツボがあると思う。
茶葉や茶器もそういうのがカッコ良いと思うから、自分はもっと明確な方向性が見える茶葉をつくって、茶器を選ばせるようにしたい。
例えば、『漫撒一水紅餅2016年』だけを最高に美味しく抽出するためにつくられた茶壺とか、あっても良いな。あまり売れないほうがカッコ良いくらいのやつ。

章朗古樹紅餅2016年 その1.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納ー上海 密封
茶水 : 上海のミネラルウォーター
茶器 : マルちゃんの茶壺
プラタナス
復興西路
復興西路

お茶の感想:
西双版納から上海に移動してやっとブログを更新できた。1ヶ月半も更新を休んだ。辺境の多民族なところは北京のネット規制がキビシイのかもしれない。
ま、文章を書かない時間は、言葉にするよりも先に手足を動かす。そのほうが良いこともある。
この間、春のお茶づくりを終えて、すべてを圧延加工して、荷造り発送して、倉庫を整理して、しばらく離れるので部屋をキレイにして、産地での仕事を一段落させることに注力していた。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
これからあと半分の仕事がはじまる。
今年の春のお茶を上海の友人の小売店や茶室で紹介し始めている。
早速、お客様からこんな質問があった。
「西双版納の古茶樹は生茶か熟茶をつくる品種であるはず。なぜ紅茶をつくるのか?雲南紅茶は滇紅(雲南省の紅茶)の品種でつくるべきではないのか?」
上海ではややこしい質問をしたがる人がけっこういる。テレビ・雑誌・ネット・展覧会・専門店、お茶にまつわる情報量が多いのと、文化の失われた時代からの回復を焦るあまり、知識が先行しやすいのだろう。
「なにも考えていません。」
と、かわすこともあるが、この質問はまともに答えてみたい。なぜなら、古茶樹のお茶はまさにそこが違うからだ。
章朗古樹紅餅2016年
章朗古樹紅餅2016年
現在は世界中にお茶の産地がある。
そのほとんどは、お茶の個性を品種に依存している。
古茶樹は違う。お茶の個性を山に依存している。
かんたんに言えばそういうことになる。
かんたんに言い過ぎかな。
例えば武夷岩茶。
「大紅袍」 ・「肉桂」・ 「水金亀」 ・「鉄羅漢」・・・これらは品種に名前が付いている。接ぎ木によってクローンが栽培される。どこの山で栽培するかというのは、元祖の風味に近づく点では大事だが、例えば福建省の「大紅袍」を貴州やタイの北部やインドでつくるというのは可能なのだ。気候や地質の条件が揃えば、味も香りもよく似たお茶ができるだろう。そうはさせないように地域認証などの対策があるのは、コピーできることの裏返しでもある。
武夷岩茶は風味の個性を品種に依存しているからだ。
クローン栽培による品種の味を追求すると、茶樹は若いうちのほうが濃い血を保つ。樹齢100年・200年・300年と古茶樹になるほど育った環境に適応した性質を得て、親から受け継ぐ品種特性が徐々に薄まる。400年・500年・600年と樹齢を重ねるほどに山に育まれた血が濃くなる。
古茶樹の個性は山に育つ。
この個性もまた品種特性と言えるが、クローンでは増やせない。歳月をかけることでしか得られない。
山ごとにお茶の味があり、山ごとにお茶の名前がつく。
「巴達山」・「易武山」・「布朗山」・・・。
さらに細かく地域を分けて、近くの村や地名がつく。
「章朗寨」・「一扇磨」・「弯弓」・「刮風寨」・「老班章」・・・。
山それぞれの風格みたいなものがそのままお茶に現れる。
雲南紅茶
巴達山章朗寨に通う回数を重ねるほどに、お茶の個性もだんだん浮き彫りになってくる。
あるお客様はこの『章朗古樹紅餅2016年』は「寒」や「烈」が強いと言うが、それは紅茶だけではない。生茶もそうだし、熟茶は微生物発酵で温の性質を強めているが、それでも他の茶山の熟茶に比べると涼しい口感がある。そして茶気は火に油を注ぐようにパッと起こる。
巴達山は西双版納ではもっとも寒い気候の茶山。海抜が高く、もっと山の高いミャンマーのほうから吹く風は直線的で厳しい。山が高くて紫外線の強い太陽の光が眩しい。
さて、巴達山の古茶樹が紅茶としてふさわしいのかどうか。
この判断は難しい。味や香りだけでなく、体感や薬効の観点でも深く考えるところがあり、時間がかかる。
お茶を飲む人の利用の仕方にもよる。現在の人と昔の人では生活が違う。体質が違う。お茶の飲み方が違う。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。

ひとりごと:
上海の宿泊はAirbnbという民泊紹介サイトをつかってドイツ人の写真家のNickの家に泊まっている。「一部屋使っていないから使ってもいいよ」という感じで友達の家に泊まりにゆくのと同じだが、Nickはこういうのに慣れているのか、むちゃくちゃお構いなし。部屋は大学生の下宿なみに雑然としている。
ところが、なぜか居心地がよいのだな。
必要な物はすべてそのへんに散らかっていて自由に使える。自分の家みたい。
ニックの家
復興西路
自分も上海に住んでいた頃のこの地域は、かつてフランス租界だったところで、今も住宅区で宿泊施設が少ない。復興西路から路地を入って階段を上がる老房子。窓から上海図書館を望む。大きく育ったプラタナスの街路樹や庭園の緑がいっぱい。
自分にとっての上海の味わいはまさにこの感じ。


茶想

試飲の記録です。

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