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刮風八棵青餅2018年 その1.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 北京の茶友と瑶族の農家
工程 : 生茶
形状 : 餅茶192gサイズ
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶・炭火
8枚
餅面

お茶の感想:
もしかしたらこの数年のうちで最高評価をつけることになるかもしれないお茶。
2018年の春、刮風寨の茶王樹の8本の茶樹から採取した茶葉。
内飛
内飛(圧延茶に埋め込む小さな紙)に「八棵樹」と書いてある。8本の茶樹という意味。
まだ名前がないので『刮風八棵青餅2018年』としてみた。
北京の茶友が瑶族の農家にオーダーして、仕入れた晒青毛茶を孟海県の工房で圧延している。
2018年5月のできたてのときに飲んだことがあり、ブログの記事に登場している。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印 その1.】
このときはまだ気がついていなかった。
それから1年経ったこの夏に、分けてもらっていたサンプルをなんどか飲む機会があって、やっとすごさに気がついた。
8月の前回の勉強会でも出してみた。
+【勉強会 朝のお茶・晩のお茶 8月17日】
晩のお茶として出したら、2種飲む予定のところ、このお茶ひとつだけを飲みつづけたいとお客様からリクエストいただいた。10煎以上飲んでもまだ飲み続けたくて、終わるのが惜しいと感じた。他のお茶を飲んで余韻を途切れさせたくない。このお茶だけで満足。
こんなのに出会うのは久しぶりのこと。
仕事で毎日いろんなお茶を飲んでいても、ホンモノの森のお茶にターゲットを絞って追いかけていても、めったに出会わない深い森の振動(響き)をもっている。
高評価をつけて間違いないだろ。
早速、北京の茶友に連絡して残っていた8枚をぜんぶ仕入れた。もともと15枚しかない。
北京の茶友もまだ気がついていなかった様子で、ほんとうは9枚あったが1枚だけ残したいと希望されて8枚になった。
1枚192gくらい(もとは200gサイズだがすでにちょっと軽くなっている)。
餅面裏
この茶樹の品種特性で茶葉が細長く茎も長く育っているので、餅面にもその繊細な曲線が現れている。
鮮葉の色がちょっとだけ紫色したやつで、加工後の餅面にはその混ざった色が鈍い黄色となって現れている。
茶葉
茶器
しかし、希少な品種特性に価値がついているのではない。
なにに価値があるかというと、心をスッと整える作用。
茶湯
飲んでみても、とくべつな味や香りがあるわけではない。
ちょっと濃く淹れてみても、淡々とした薄口のお茶にしかならない。
水質は抜群に良いが、味や香りで表現できる特徴はない。
むしろ味や香りに特徴がないのが特徴といえる。
そんなお茶に出会ったときに、「もしかして・・・」と、専門家なら勘が働くべきだけれど、あまりに久しぶりのことだったので何度かスルーしたのだった。
味や香りでお茶の良し悪しを決めるのならすぐにわかる。
口感やのどごしに現れる水質で決めるのもすぐわかる。
同時に飲み比べをしたらわかることだから。
しかし、身体や心への作用に気がつくにはちょっと時間がかかる。
せめて半日はそのお茶ひとつだけを飲んで、自分の身体や心におこる変化を観察しなければならない。
今回はたまたま勉強会やらでいっしょに飲む機会のあった人たちにも「もしかして・・・」と気づく人がいて、早いめに確信できたのだった。
こういうことは、いろんなところで同時多発的に起こる。
北京や西双版納のお茶好きたちも、このお茶のすごさに気づきはじめていたかもしれない。
今回は自分に運があった。縁があったというべきか。
茶湯
お茶を飲みだすと黙りたくなってしまう陰の快感。
しばらく目を閉じて、静かに深呼吸だけして、茶酔いを味わう。
心が静かになるから世界も静かになる。
1年か2年は出品しないで熟成させるので、勉強会だけで飲めるようにしたい。
ただし、ひとつかふたつのお茶をじっくり飲むような勉強会。
葉底

ひとりごと:
中国喫茶詩話
この本、すばらしい。
読書感想文を書きたくなる。

刮風生態青餅2018年 その6.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
餅面
鉄瓶と茶葉

ひとりごと:
「朝のお茶・晩のお茶」。
この勉強会のお茶選びには時間をかけた。
良いお茶=他人の評価の高いお茶
ではない。
良いお茶=今の自分の身体に良いお茶
であるべき。
どんなに高価で上質でも、今の自分の身体に合っていなければ価値はない。
その観点から、やはりお茶はくすり。
くすりの要素があるから、まずは自分の身体を知ることが大事。
なので、ほんとうは自分で学んだほうがよいけれど、キッカケがない。
毎日お茶を飲むなかで気付きがあって、身体と茶葉とのあいだに自然の法則を見つけて、・・・という具合に道をたどるから時間がかかる。
本を読んだりネットで調べたり外側にある情報ではなく、身体の内側からのサインに注目する。みんなでわいわいするのではなく、ひとりで静かにお茶飲む以外になにもしない。
苦手だよな、みんな。お茶飲みながらもなにかするだろ。
その観点からしたら、ほんとうに良いお茶を飲んでいる人は少ない。
茶葉
朝と夜の身体は違う。
自分の場合、夏の朝は一日のうちで内臓の調子がもっとも良いとき。猛暑なので、昼から夜にかけては胃腸がバテて食欲がなくなる。お茶も茶気の強いのは疲れる。
朝だけが旬の新芽・若葉の茶気の強い生茶や紅茶を飲むチャンス。
熱いお茶を飲んでしっかり汗をかく。
汗をかくので、カフェインなどの茶毒が抜けやすくて後をひかない。
”寒”の性質が身体を涼しくしてくれる。
わずかに舌に痺れる渋味・辛味の刺激が爽やか。
朝ごはんの前に胃腸がシャキッと目覚めて食欲がわいてくる。
自然栽培ならではのミネラル分が熱中症予防になって頭がくらくらしにくくなる。
これほど条件がそろうのは猛暑の晴れた日の朝だけ。
起きたらすぐに湯を沸かすべし。
茶葉は、熟成5年以内の新茶で、春の旬の新芽・若葉のやつ。
ここまで絞り込んだら迷わない。
今日の朝はこのお茶。
+【刮風生態青餅2018年】
茶湯
茶湯
むちゃくちゃ美味しいと感じる。
というよりも気持ちいいと感じる。
ひとつのお茶を飲み続けていると、気持ちいいときとそうでもないときと、ムラがあるのに気がつく。
季節や天気の変化やそのときの身体の調子などで感じ方が変わる。
「このお茶気持ちいい!」と感じるときは茶葉と身体とがピタッと合っているとき。
当たったらうれしい。
ひとつのお茶を飲み続けて、季節と天気と体調をマメに記録したら、どんなときにどんな茶葉が気持ちいいのか早くわかるようになる。自分は記録なんてしないから時間がかかったけれど。
『刮風生態青餅2018年』は、朝は輝くけれど、昼になるとそうでもなくなる。夜になるとむしろ飲んではいけないお茶になる。
春の旬の新芽・若葉のギラギラした茶気が身体に必要なのは朝だけ。
夜はその逆に、穏やかで胃腸にもやさしく眠りを誘うようなお茶がよくなる。癒やしの気持ちよさのあるお茶。
葉底
ちょっと茶葉多め。ガツンといってやった。

ひとりごと:
オカルト小説好きの自転車屋さんが自転車を修理してからこんな話をした。
その小説は、死んだ人の一部を使って記念品をつくる闇の仕事人の話。
例えば、遺族が故人の片身に骨のアクセサリーを欲しがるケースとか。
自転車
闇の仕事人が一日の仕事を終えて、コレクションしている茶葉からひとつを選んで飲むのを愉しんでいて、小説の中にこのシーンが登場するらしい。
自転車屋さんはふと、プーアール茶屋さんのことを思い出したというわけだ。
今この身体にどのお茶を合わせるかということを小説家は知っているのかもしれないな。

刮風生態青餅2018年 その5.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・景徳鎮白磁の茶杯・鉄瓶+炭火
国有林の立入禁止

お茶の感想:
今年から、漫撒山の国有林の入り口で北京から来ている森林公安が検問することになった。
一扇磨・弯弓・刮風寨の森の入口3箇所に朝の8時から15時頃まで見張りを立てている。
農家以外の外地人は森への立入禁止。
地元の茶商でさえ許されない。
農家の話では、まだ見張りの立っていない朝の8時前に入ればよいらしくて、茶友らの一部は今年もそうして森に入って采茶現場を見ているが、違法になる。外国人の自分はこんなところで引っかかりたくない。麻薬地帯に近いから意地悪されると命にかかわる。
ちょっと様子見したい。
森に入らなくても村へは行ける。
村で農家の摘んできた鮮葉を待って自分で製茶するのもよいし、農家が晒青毛茶に仕上げたのを仕入れることもできる。
何度も通った漫撒山だから、鮮葉の質はわかる。
けれど、昨年のように采茶から圧餅までのすべての工程を見るお茶づくりはもうできないかもしれない。
残念ながら、ホンモノの森は国有林の中にしか残っていない。
その森のお茶の魅力にイカれちゃったので、もうそれ以外は考えたくないのだ。
鮮葉
今年の春、北京の茶友が刮風寨で茶葉の等級を分ける手法を試みた。
一日かけて采茶した鮮葉を、その日の夜にアルバイト3人が大きく育った葉や茎の部分を取り除いて、柔らかい小さな新芽・若葉だけにする。次の日の早朝に萎凋を終えて殺生する。
鮮葉のうちに小さな新芽・若葉だけを揃えてから萎凋・殺青するのがミソで、なぜかというとカタチや大きさが揃うほど茶葉の含水量が均一にできて、殺青の火の通り具合も、揉捻のよじれ具合も、均一にできるから。均一といっても大きく育った葉や長い茎が多いものと比べたらまだましという程度で、茶畑の茶葉のようには揃わない。
それでも、殺青のムラとなる焦げや生焼けを減らしたり、揉捻で葉に傷をつける原因になる硬くて捩れにくい葉や茎を減らしたり、製茶がキレイに仕上がる効果は容易に想像できる。
一度は試してみたかった手法で、自分はまだできていない。その効果に興味がある。
この実験の費用的な負担を少なくするために、樹齢の若い生態茶を使用している。よいアイデアだと思う。
昨年の秋に見学したところで、刮風寨の村から近いこの森のお茶。
生態茶と森
ほんとうは古茶樹でそれをしたいところだが、高価になるし、もし上手にできてもさらに高価になるのを追いかける消費者はほとんどいないし、需要はないだろう。つくり手のエゴや夢の空回りでできるお茶かもしれない。
刮風寨の生態茶の多くは、茶王樹や茶坪の古茶樹の種を採取しているので、漫撒山の大葉種の古い品種が維持できている。なので茶葉の大きさやカタチは似ているし、効果を確かめるには十分。
試飲したところ、味も口感も充実していた。透明感があって、生態環境の良さが素直に現れている。写真を撮り忘れた。
やや香りが弱い気がした。しかし、これは今年の春のお茶の特徴なので仕方がない。
昨年の刮風寨の生態茶を飲んでみた。
+【刮風生態青餅2018年】
餅面
今年の春の味を覚えているうちにすぐに飲み比べたかったけれど、西双版納にサンプルを残していなかった。
移動に日数がかかって10日間くらい空いてしまった。
けれど、飲んですぐにわかった。
昨年のほうがお茶の味は薄く口感は軽い。
今年のほうがお茶の味が濃く口感が重い。
もしも西双版納で飲み比べたら、今年の春のほうに軍配を上げたかもしれない。
茶壺
しかし、ここでちょっと考えた。
どこか心にひっかかるものがあった。
もしかしたら、この見方はあくまでも産地の価値観であって、遠く離れた消費地の価値観ではないような気がしたから。
お茶づくりは、産地が半分、消費地が半分。
自分自身が身を置く場所によって別人になっている。
味が薄くて口感が軽いことがマイナスポイントにはならない。独特の味わいが生じている。舌や鼻の味わいではなくて、心を動かす印象の味わい。春の陽気とちょっと冷たいような風を表現するなら昨年のお茶だろう。
味が濃くて口感が重いと、味そのものに気を取られて印象は薄れる。
こういう見方が現地ではできない。その審美眼はない。
都市生活に身を置いていろんな文化に触れているうちに、ちょっとずつ勘が戻ってきて、見え方が変わってきて、やっと気付く味わい。
茶湯
産地の農家や地元の茶商にわかるわけがない。お茶は飯のタネでしかない彼らが評価するのは味も口感も香気もすべてにおいてボリュームのある実質的に分かりやすい品質であり、印象の味わいについて語ることなどない。
おかしなことに、情報技術が進化した現在は都市も産地も同じ価値観が普及している。SNSなどで情報がリアルタイムで拾えて、現場のナマな情報がチカラを持って、みんなが田舎者の立場になってお茶を評価する。
ものごとを見たり考えたりするのに影響を与える社会環境は、産地と都市とでは大きく異なる。心理的な立ち位置は違うはずなのに、見る角度がそれぞれ違うはずなのに、同じものを見て同じ評価をしているかのように錯覚する。
産地と消費地が距離的にも心理的にも離れたギャップから生じたファンタジーは、もう過去の遺産。

ひとりごと:
中二(中学二年生)の甥っ子に、中二病だと診断された。
難しい理屈をこねたり、違いがわかると背伸びした自己主張をしてみたり、無駄なエネルギーを消費している。
たしかに症状が一致している。
みんなが中二病になったら面白いのにな。

祈享易武青餅2018年 その2.

製造 : 2018年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨
茶廠 : 上海廚華杯壷香貿易有限公司監製
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 上海密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
炭火
茶器

お茶の感想:
前回の記事の『刮風生態青餅2018年』と比べたくて、このお茶を飲んだ。
サンプル最後の1回分。
+【祈享易武青餅2018年 その1.】
茶葉
1・2煎めは旬のきめ細かな水質、味は透き通っていながら密度の濃い充実感があるが、3煎めからの水質が粗くなる。舌にザラッとして渋味を感じる。4煎めからは茎や育った葉の厚いところに隠れていた甘味やとろみが出てきてまろやかになるので、粗っぽさは緩和されるけれど・・・。
1煎め
2煎め
このお茶の感じに似ている。
+【刮風古樹青餅2018年・晩春 その1.】
そう。
采茶のタイミングがちょっと遅めなのだ。
その観点で注意して見たら、茶葉の色やカタチの様子もちょっと似ている。
采茶のタイミングを遅くすると茶葉は成長する。生産量を増やすためにそうしているのか、なんらかの考え方があるのか、わからないけれど、このお茶のポジションとしてはどうかな。
3煎め
葉そこ
葉底の繊維も早春にしてはちょっと硬い。
収穫を減らして生産量を減らして価格を上げて、水質をキメ細かく舌触り良くしたところで、このお茶を買う人にその意向が伝わるだろうか?
伝わらないから質をそこそこにしてやさしい価格にして喜んでもらう。
伝わらなくても正当な価格と質の上等を主張する。
質を上げるために生産量を3分の1に減らして価格を3倍にしてバランスをとったとしたら、その結果は、買う人が少ない上に買ってその質を知ることのできる人も少ない・・・ということになる。
仕事にコストパフォーマンスとか社会的な存在価値とかを求めたらできなくなる。
そんなこと気にしない。社会性なんて屁とも思わないひとりぼっち向きの仕事だよな。

ひとりごと:
ぼっちで良かった・・・。

刮風生態青餅2018年 その4.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶
茶器

お茶の感想:
試作のお茶。
この2つと同じ原料の茶葉。
+【刮風生態青餅2018年】
+【刮風生態紅餅2018年】
包装紙
この一枚は、炒不熟(浅い炒り具合)・渥一晩(渥軽発酵一晩)・2天晒(天日干し2日間)・加蒸5分(圧餅加工の蒸し+5分)などと書いてある。
「黄印」という分類になるから、「黄」の印が押してある。
餅面
茶葉
揉捻はしっかりしてあるが、揉捻後に茶葉を叩き伸ばして縮みを防ぐ仕事をしていないから縮んだままになっている。ま、風味への影響は少ないだろうから試作品として問題はないだろ。
もう少しで1年熟成となるこの茶葉。
黄色い
出来たてのときは圧餅の蒸し味が強く残っていた。蒸し味は香りを曇らせて、味はペタンと平面的でややカタイ酸味とピリピリした刺激があった。体感は穏やかな気がするが単独で飲んで違いがわかるほどでもない。
ほぼ1年熟成になる今飲んでみると、蒸し味が気にならない。
茶湯の色
香りは甘くて、味は透明度が高くて酸味も総合的なバランスに吸収されて、ピリピリは少なくなっていて、体感はあきらかに穏やか。
蒸し時間5分増しの効果でしっとりした熱が入っているせいか、1煎ごとに注ぐ湯の熱による変化が少なくて安定している。濃くなると苦くて薄くなると甘いバランスがシビアなのは3煎めまで。その先はひたすらじっくり抽出するのみ。雑味なく透明度の高いことで見えてくる深い味わいがある。
熱い湯で長時間蒸らしても野暮ったい煮え味が出ないのが「黄印」の良いところ。
圧餅の蒸し時間の長いほうが味の透明度が増すが、長期熟成の濁りも減らすことになるかもしれない。そんな気がする。
これ、もしかしたら本作品として出品したほうがよかったのかもしれないな。
いずれ勉強会をしてこのお茶のいくつかのパターンを飲み比べてもよい。
葉底

ひとりごと:
菩提酛のどぶろく
このお酒が飲んでもしんどくならないのは米の健康が理由かと思う。つくりのどうこうとは別だろ。
でも、原料の良さがつくりに良い影響をもたらす。
お茶もそうだし。

孟宋新緑散茶2018年 その2.

製造 : 2018年3月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県孟宋山小茶樹
茶廠 : 愛尼族の農家
工程 : 生茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
茶器
茶葉

お茶の感想:
2018年の春のお茶。
早春の緑の爽やかさをそのまま表したような生茶というよりは緑茶っぽいお茶。
昨年の春だからもうすこしで1年経つが、晒干で仕上げたお茶は少なくとも1年くらい熟成したほうが味がしっとりしてくる。
+【孟宋新緑散茶2018年 その1.】
一煎め
煮やさないようにサッと湯を切る。
サッと淹れても薄くならない程度に茶葉はちょっとだけ多めにする。
2煎めくらいまでは水質にとろみがあって、味がふくよかに感じる。ふんわり緑の甘い香り。
3煎めに、試しにじっくり時間をかけて抽出してみると、水質のとろみは失われて角が出て、苦味や酸味が際立って、茶湯の色は黄色っぽくなり、香りには果実っぽさが出てくる。
煮やしてはいけない茶葉。
3煎め
葉底
葉底の色にも緑が鮮やかに保たれている。
黄色や紅茶色の軽発酵した部分が少ない。
揉捻が弱く、圧餅もしていない散茶のままなので、3煎くらいで捻じれが解けて茶葉が開く。
現在はこういうつくりの生茶のほうが多いかもな。
茶葉を煮やさないように気を使って淹れてもらえたら高い評価を得られると思う。

ひとりごと:
製茶の具合に応じたお茶淹れ技術をテーマにした勉強会をしたい。

刮風生態青餅2018年 その3.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
餅面表
餅面裏
一煎め

お茶の感想:
ひとりで淹れて飲むのには、楽しめるお茶になったと思う。
+【刮風生態青餅2018年】
毎回新しい味に出会う。
チェコ土の茶杯
茶湯の色
「あとちょっと甘味があったほうが良いよな。」
なんて味の良し悪しはたいした問題じゃなくなっている。
どういうふうに淹れてもそこそこ美味しいから、雑味を出さないように淹れる技術を誇れるわけでもない。
ちょっとの違いに味の美が宿る。
茶湯
歌を歌うのが天才的な人の歌声に似た、ちょっとの響きの違いが大きな違いになるような、お茶の味の出方。
そういう瞬間に出会えるお茶。
葉底
葉底

ひとりごと:
お客様の好みやお茶淹れ技術を知った上でお客様の要望を無視する。
「あなたはこのお茶を買いなさい。」
みたいに、押し売りができたらいいよな。

刮風古樹青餅2018年・黄印 その4.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家と店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火
炭団
鉄瓶

お茶の感想:
熟成具合を確かめるのと、
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
先日の『祈享易武青餅2018年』と比べるのと。
+【祈享易武青餅2018年 その1.】
美味しさを比べるのには無理がある。
黄印は一天一采の1日だけの采茶に対して、祈享は3週間で21日分の茶葉が混ぜてある。原料の質に差があるから、そこは今回考えないでおく。
熟成壺
餅面表
餅面裏
注目するのは、製茶の違い。
黄印の製茶は、揉捻をしっかりしている。一晩渥堆発酵させている。水分を多く含んだまま晒干している。圧餅の蒸し時間が長い。石型で圧す時間が長い。
祈享の製茶はその逆をゆく。
一見、軽発酵度の調整に違いがあるように見えるが、祈享もあんがいしっかり軽発酵させてあるから、たぶんそこが狙いじゃないのだな。
祈享の茶葉は軽い。
黄印の茶葉は重い。
茶葉の形状や繊維の状態の差が体積の差となって、指でつまんだときの重さの感覚に現れる。
そこにおのおのの理想がありそう。
あくまで推測だが、祈享は白茶づくりに良いイメージを持っている。
揉捻なしの萎凋だけで仕上げる白茶づくりには、人の手が加わる工程が少ないほうが良いというある種の美学が伺える。
祈享の老板がそう話していたわけではないけれど、いろんな話をする中でなんとなくそういう価値観を感じる。
人の手を加えないということ。その観点からしたら、黄印は揉捻や圧餅に手が加わり過ぎているように見えるかもしれない。
ところで、白茶は淹れる技術に風味が大きく揺れるお茶。
白茶の葉底
写真:白牡丹生態茶2014年
あんがい淹れるのが難しい。
【白牡丹生態茶2014年 その5.】
祈享の生茶を老板が淹れると、かなり多めの茶葉(体積が大きいので多く見えるが重量はそれほどでもないかもしれない)をちょっと大きめな茶壺か蓋碗に入れて、熱湯を注ぐけれどサッと湯を切るように淹れる。
黄印は、少なめの(少なめに見える)茶葉をやや小さめの茶壺でじっくり蒸らすように淹れる。
黄色印
黄印のこの淹れ方で祈享を淹れると難しい。
ちょうどよい濃さにしようとしたら、抽出時間のタイミングは秒単位で変わる。
ピタッと決まったな!と満足できる煎は、5煎に1煎あったら良いほう。つまり5煎か6煎の一回の泡茶で、「うぁー美味しい!」と思えるのは1煎だけである。あとの煎は苦かったり酸っぱかったり薄かったりでバランスが悪い。バランスが良いとスカッと抜けが良くて爽やかだけれど、バランスが悪いとトゲトゲしかったり濁ったり物足りなかったりする。
泡茶に夢中になっている腕自慢の人は楽しいけれど・・・。
ところが、茶葉を多くして湯をサッと切る淹れ方にしたら何煎も安定した美味しさになる。ただし10煎以上飲める濃さが続くので、そのくらいガブガブ飲む覚悟というか、そのくらい何煎も飲むシチュエーション向きだということになる。
黄印は味の出方がおっとりしていて、その点でおひとり様向けに、ひとり静かに少量を飲んで満足できるようにできている。
どちらも、漫撒山のお茶の魅力の「無い味」を求めているとしたら、味の隠し方に美意識の違いがある。
黄印
祈享はキリッとした味なので、口に含んでから喉に流し込む時間が短い。
キラッと光る一瞬に幻を見たような見なかったような気になる。
黄印はぼんやりした味なので、口に含んでから舌にゆらゆらさせたい時間が長い。
あるのかないのかわからない味を探しているうちに寝むってしまって夢が続きを見ている感じ。
葉底
お茶をつくっているときにここまで意識しているわけではない。
例えば、揉捻をするときになってなんとなくの直感が”適度”を決めているのだが、そのなんとなくの直感の背後では、無意識が自分の奥深くに潜んだ美意識を引っ張り出してくる作業があるのだろうと思う。
祈享の老板と会話をしても、こうした内容は一切出てこない。
自分のことが自分でもよくわからないままつくっているから。お互いに。
そして、つくったモノに知られざる自分が見えるカタチになって現れる。
モノづくりは面白いなあ。

ひとりごと:
わからないままつくるべし。

祈享易武青餅2018年 その1.

製造 : 2018年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨
茶廠 : 上海廚華杯壷香貿易有限公司監製
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 上海密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶と炭火
鉄瓶

お茶の感想:
このお茶の2018年の春の新作。
+【祈享易武青餅2014年 その1.】
上海に立ち寄って老板にサンプルをちょっとだけもらってきた。
その場でも飲んだけれど、すばらしく良い出来だと思った。
農家から土地の権利を借り上げて、生産量を控えて茶葉の質を上げる。
ひと山まるごとの規模である。
森の木を切らない。茶樹の枝を剪定しない。土に鍬を入れない。冬に老葉の一部を落とす。春と秋の旬だけ采茶する。その場で製茶する。
漫撒山の国有林の森の中でこの理想を実現しているのはこのお茶だけ。
5年目となる2018年は森と茶樹をいたわる効果が明らかになっているはず。
茶葉
茶葉
写真ではその色の調子がわからないが、同じ漫撒山の刮風寨の標準と比べると白っぽい。
刮風寨の単樹2号に似た品種が多いということか。
+【刮風寨単樹2号2018年 その2.】
茶葉の色が色とりどりなのは萎凋が良いから。
これ以上萎凋したら乾燥しすぎて殺青が難しくなるというギリギリを攻めていて、茶葉に殺青の熱が入ってほんの数十秒間の40度から70度の温度帯で軽発酵の変化が起こったその色。
大きめの鉄鍋に6キロの鮮葉を一度に殺青するらしいが、萎凋で水分の少なくなった茶葉を焦がさずに炒るためには、この量でなければならないバランスだろう。
国有林の森の中にキャンプして製茶しているから、采茶してすぐ萎凋台で涼干される。殺青は萎凋の仕上がり次第、深夜であっても行われる。
お茶づくりの夢を叶えている。
しかし、国有林の中で製茶を今後も続けられるかどうか・・・、規制が年々厳しくなっているので森の中で火を起こしたり寝泊まりするのが許されなくなるかもしれない。鮮葉を村まで持ち帰ることになれば、その道のりは徒歩とバイクで1時間以上かかるので、刮風寨でわれわれがしているのと同じになる。
この萎凋の微妙な仕上がり具合を再現するのは難しい。
茶湯の色
お茶の味はこれにちょっと似ている。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
刮風寨茶坪の中では珍しい小さめの茶葉の品種を選んだのと、殺青後の渥堆軽発酵が『祈享易武青餅2018年』の萎凋に似た効果を得ているのだろう。
似ていないところは、香りに気品のある感じと軽快な風味。
一扇磨の特徴である。
あと、揉捻をそれほどしっかりしていないところが似ていない。
揉捻をしっかりすると香りに甘味が加わるが悶々としてヌケが悪くなる。スカーっと晴れた空に吹くそよ風ではなくなる。
もともと一扇磨のお茶は漫撒山の中では甘さ控えめで軽快な苦味が持ち味なので、その個性を活かした製茶なのかもしれない。
茶湯の色4煎め
試しに4煎めに5分ほど抽出したら茶湯の色に赤味が出た。
この色の変化から見て殺青の火入れは浅めに仕上げてある。”生”が残っている。
圧餅の蒸しの火入れも控えめ。
祈享の圧餅は易武山のそこそこ大きな工房に依頼して行われているが、ゆるい圧延に仕上げるよう注文してあるから蒸し時間は短い。
この点で、自分の家の厨房で圧餅している『刮風古樹青餅2018年・黄印』との違いがある。
しかし、ここまで濃く抽出すると苦すぎてバランスが悪い。一扇磨のお茶だからこれでいい。
葉底
葉底を見てわかるように刮風寨のと比べて茎の部分が細い短い。
理屈からしても茎の部分にある糖質が少ないだろうから、味のバランスはやや苦いほうに傾くはず。
活かすも殺すもお茶を淹れる技術とセンスの問題。茶葉の個性の見極めが大事。
2017年から、易武山に倉庫を構えて長期熟成させているらしい。
温かい気候のほうが熟成に良いという考え方だが、自分はそれには否定的で、上海や日本のほうが良いと見ている。証明するために1筒7枚単位のこのお茶を買うのは高くつきすぎるから黙っておいた。
春の生産量は300キロほど。
単純計算して1日約20キロのペースでつくったらしい。この品質でこの生産量を実現しているのは、このお茶だけ。

ひとりごと:
宝物は水の流れで姿を現して水の流れで姿を消すのだ。
入手しておいたら良かったと後悔するかもしれないな。

刮風秋水紅餅2018年 その3.

製造 : 2018年10月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と店長
工程 : 紅茶
圧餅 : 2018年10月25日
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 少し通気
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶・炭火
炭火
秋水
刮風秋水紅餅2018年

お茶の感想:
手で揉捻することの価値を考える。
昨年の秋から引きずっていた疑問だが、産地から遠く離れた環境でようやく答えが出る。
+【刮風秋水紅餅2018年】
紅泥壺とお茶
注ぎ
機械揉捻した茶友は手の仕事は合理的でないと見ている。
味比べをすると、機械揉捻のほうが味が濃く出て美味しいと感じやすい。手の揉捻は味が出なくて薄い。
そこ。
味を隠さなければならないから。
だから手の揉捻のほうが良いのだ。
あからさまに美味しさがわかるのは上等ではない。
お茶の味だけではなくて、あらゆる”美”に共通することだろう。
こんなカンタンなことが産地に居るときはわからない。社会環境が異なるから仕方がないけれど。
茶湯の色
葉底
もうひとつ。
手で揉捻したやつは体感に”陰”の性質が宿る・・・はず。
このお茶はまだはっきりと現れていないが、そういう心の作用があるのではないかと推測している。
このお茶みたいに。
+【漫撒一水紅餅2016年 その4.】
機械揉捻のやつはあきらかに陽の性質で、みんなといっしょに飲むとおしゃべりが弾む。
その目的ならテーバッグの量産の紅茶で十分。

ひとりごと:
お茶は産地から遠く離れるほど美味しくなる。


茶想

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