プーアール茶.com

祈享易武青餅2018年 その2.

製造 : 2018年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨
茶廠 : 上海廚華杯壷香貿易有限公司監製
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 上海密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
炭火
茶器

お茶の感想:
前回の記事の『刮風生態青餅2018年』と比べたくて、このお茶を飲んだ。
サンプル最後の1回分。
+【祈享易武青餅2018年 その1.】
茶葉
1・2煎めは旬のきめ細かな水質、味は透き通っていながら密度の濃い充実感があるが、3煎めからの水質が粗くなる。舌にザラッとして渋味を感じる。4煎めからは茎や育った葉の厚いところに隠れていた甘味やとろみが出てきてまろやかになるので、粗っぽさは緩和されるけれど・・・。
1煎め
2煎め
このお茶の感じに似ている。
+【刮風古樹青餅2018年・晩春 その1.】
そう。
采茶のタイミングがちょっと遅めなのだ。
その観点で注意して見たら、茶葉の色やカタチの様子もちょっと似ている。
采茶のタイミングを遅くすると茶葉は成長する。生産量を増やすためにそうしているのか、なんらかの考え方があるのか、わからないけれど、このお茶のポジションとしてはどうかな。
3煎め
葉そこ
葉底の繊維も早春にしてはちょっと硬い。
収穫を減らして生産量を減らして価格を上げて、水質をキメ細かく舌触り良くしたところで、このお茶を買う人にその意向が伝わるだろうか?
伝わらないから質をそこそこにしてやさしい価格にして喜んでもらう。
伝わらなくても正当な価格と質の上等を主張する。
質を上げるために生産量を3分の1に減らして価格を3倍にしてバランスをとったとしたら、その結果は、買う人が少ない上に買ってその質を知ることのできる人も少ない・・・ということになる。
仕事にコストパフォーマンスとか社会的な存在価値とかを求めたらできなくなる。
そんなこと気にしない。社会性なんて屁とも思わないひとりぼっち向きの仕事だよな。

ひとりごと:
ぼっちで良かった・・・。

刮風生態青餅2018年 その4.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶
茶器

お茶の感想:
試作のお茶。
この2つと同じ原料の茶葉。
+【刮風生態青餅2018年】
+【刮風生態紅餅2018年】
包装紙
この一枚は、炒不熟(浅い炒り具合)・渥一晩(渥軽発酵一晩)・2天晒(天日干し2日間)・加蒸5分(圧餅加工の蒸し+5分)などと書いてある。
「黄印」という分類になるから、「黄」の印が押してある。
餅面
茶葉
揉捻はしっかりしてあるが、揉捻後に茶葉を叩き伸ばして縮みを防ぐ仕事をしていないから縮んだままになっている。ま、風味への影響は少ないだろうから試作品として問題はないだろ。
もう少しで1年熟成となるこの茶葉。
黄色い
出来たてのときは圧餅の蒸し味が強く残っていた。蒸し味は香りを曇らせて、味はペタンと平面的でややカタイ酸味とピリピリした刺激があった。体感は穏やかな気がするが単独で飲んで違いがわかるほどでもない。
ほぼ1年熟成になる今飲んでみると、蒸し味が気にならない。
茶湯の色
香りは甘くて、味は透明度が高くて酸味も総合的なバランスに吸収されて、ピリピリは少なくなっていて、体感はあきらかに穏やか。
蒸し時間5分増しの効果でしっとりした熱が入っているせいか、1煎ごとに注ぐ湯の熱による変化が少なくて安定している。濃くなると苦くて薄くなると甘いバランスがシビアなのは3煎めまで。その先はひたすらじっくり抽出するのみ。雑味なく透明度の高いことで見えてくる深い味わいがある。
熱い湯で長時間蒸らしても野暮ったい煮え味が出ないのが「黄印」の良いところ。
圧餅の蒸し時間の長いほうが味の透明度が増すが、長期熟成の濁りも減らすことになるかもしれない。そんな気がする。
これ、もしかしたら本作品として出品したほうがよかったのかもしれないな。
いずれ勉強会をしてこのお茶のいくつかのパターンを飲み比べてもよい。
葉底

ひとりごと:
菩提酛のどぶろく
このお酒が飲んでもしんどくならないのは米の健康が理由かと思う。つくりのどうこうとは別だろ。
でも、原料の良さがつくりに良い影響をもたらす。
お茶もそうだし。

孟宋新緑散茶2018年 その2.

製造 : 2018年3月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県孟宋山小茶樹
茶廠 : 愛尼族の農家
工程 : 生茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
茶器
茶葉

お茶の感想:
2018年の春のお茶。
早春の緑の爽やかさをそのまま表したような生茶というよりは緑茶っぽいお茶。
昨年の春だからもうすこしで1年経つが、晒干で仕上げたお茶は少なくとも1年くらい熟成したほうが味がしっとりしてくる。
+【孟宋新緑散茶2018年 その1.】
一煎め
煮やさないようにサッと湯を切る。
サッと淹れても薄くならない程度に茶葉はちょっとだけ多めにする。
2煎めくらいまでは水質にとろみがあって、味がふくよかに感じる。ふんわり緑の甘い香り。
3煎めに、試しにじっくり時間をかけて抽出してみると、水質のとろみは失われて角が出て、苦味や酸味が際立って、茶湯の色は黄色っぽくなり、香りには果実っぽさが出てくる。
煮やしてはいけない茶葉。
3煎め
葉底
葉底の色にも緑が鮮やかに保たれている。
黄色や紅茶色の軽発酵した部分が少ない。
揉捻が弱く、圧餅もしていない散茶のままなので、3煎くらいで捻じれが解けて茶葉が開く。
現在はこういうつくりの生茶のほうが多いかもな。
茶葉を煮やさないように気を使って淹れてもらえたら高い評価を得られると思う。

ひとりごと:
製茶の具合に応じたお茶淹れ技術をテーマにした勉強会をしたい。

刮風生態青餅2018年 その3.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
餅面表
餅面裏
一煎め

お茶の感想:
ひとりで淹れて飲むのには、楽しめるお茶になったと思う。
+【刮風生態青餅2018年】
毎回新しい味に出会う。
チェコ土の茶杯
茶湯の色
「あとちょっと甘味があったほうが良いよな。」
なんて味の良し悪しはたいした問題じゃなくなっている。
どういうふうに淹れてもそこそこ美味しいから、雑味を出さないように淹れる技術を誇れるわけでもない。
ちょっとの違いに味の美が宿る。
茶湯
歌を歌うのが天才的な人の歌声に似た、ちょっとの響きの違いが大きな違いになるような、お茶の味の出方。
そういう瞬間に出会えるお茶。
葉底
葉底

ひとりごと:
お客様の好みやお茶淹れ技術を知った上でお客様の要望を無視する。
「あなたはこのお茶を買いなさい。」
みたいに、押し売りができたらいいよな。

刮風古樹青餅2018年・黄印 その4.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家と店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火
炭団
鉄瓶

お茶の感想:
熟成具合を確かめるのと、
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
先日の『祈享易武青餅2018年』と比べるのと。
+【祈享易武青餅2018年 その1.】
美味しさを比べるのには無理がある。
黄印は一天一采の1日だけの采茶に対して、祈享は3週間で21日分の茶葉が混ぜてある。原料の質に差があるから、そこは今回考えないでおく。
熟成壺
餅面表
餅面裏
注目するのは、製茶の違い。
黄印の製茶は、揉捻をしっかりしている。一晩渥堆発酵させている。水分を多く含んだまま晒干している。圧餅の蒸し時間が長い。石型で圧す時間が長い。
祈享の製茶はその逆をゆく。
一見、軽発酵度の調整に違いがあるように見えるが、祈享もあんがいしっかり軽発酵させてあるから、たぶんそこが狙いじゃないのだな。
祈享の茶葉は軽い。
黄印の茶葉は重い。
茶葉の形状や繊維の状態の差が体積の差となって、指でつまんだときの重さの感覚に現れる。
そこにおのおのの理想がありそう。
あくまで推測だが、祈享は白茶づくりに良いイメージを持っている。
揉捻なしの萎凋だけで仕上げる白茶づくりには、人の手が加わる工程が少ないほうが良いというある種の美学が伺える。
祈享の老板がそう話していたわけではないけれど、いろんな話をする中でなんとなくそういう価値観を感じる。
人の手を加えないということ。その観点からしたら、黄印は揉捻や圧餅に手が加わり過ぎているように見えるかもしれない。
ところで、白茶は淹れる技術に風味が大きく揺れるお茶。
白茶の葉底
写真:白牡丹生態茶2014年
あんがい淹れるのが難しい。
【白牡丹生態茶2014年 その5.】
祈享の生茶を老板が淹れると、かなり多めの茶葉(体積が大きいので多く見えるが重量はそれほどでもないかもしれない)をちょっと大きめな茶壺か蓋碗に入れて、熱湯を注ぐけれどサッと湯を切るように淹れる。
黄印は、少なめの(少なめに見える)茶葉をやや小さめの茶壺でじっくり蒸らすように淹れる。
黄色印
黄印のこの淹れ方で祈享を淹れると難しい。
ちょうどよい濃さにしようとしたら、抽出時間のタイミングは秒単位で変わる。
ピタッと決まったな!と満足できる煎は、5煎に1煎あったら良いほう。つまり5煎か6煎の一回の泡茶で、「うぁー美味しい!」と思えるのは1煎だけである。あとの煎は苦かったり酸っぱかったり薄かったりでバランスが悪い。バランスが良いとスカッと抜けが良くて爽やかだけれど、バランスが悪いとトゲトゲしかったり濁ったり物足りなかったりする。
泡茶に夢中になっている腕自慢の人は楽しいけれど・・・。
ところが、茶葉を多くして湯をサッと切る淹れ方にしたら何煎も安定した美味しさになる。ただし10煎以上飲める濃さが続くので、そのくらいガブガブ飲む覚悟というか、そのくらい何煎も飲むシチュエーション向きだということになる。
黄印は味の出方がおっとりしていて、その点でおひとり様向けに、ひとり静かに少量を飲んで満足できるようにできている。
どちらも、漫撒山のお茶の魅力の「無い味」を求めているとしたら、味の隠し方に美意識の違いがある。
黄印
祈享はキリッとした味なので、口に含んでから喉に流し込む時間が短い。
キラッと光る一瞬に幻を見たような見なかったような気になる。
黄印はぼんやりした味なので、口に含んでから舌にゆらゆらさせたい時間が長い。
あるのかないのかわからない味を探しているうちに寝むってしまって夢が続きを見ている感じ。
葉底
お茶をつくっているときにここまで意識しているわけではない。
例えば、揉捻をするときになってなんとなくの直感が”適度”を決めているのだが、そのなんとなくの直感の背後では、無意識が自分の奥深くに潜んだ美意識を引っ張り出してくる作業があるのだろうと思う。
祈享の老板と会話をしても、こうした内容は一切出てこない。
自分のことが自分でもよくわからないままつくっているから。お互いに。
そして、つくったモノに知られざる自分が見えるカタチになって現れる。
モノづくりは面白いなあ。

ひとりごと:
わからないままつくるべし。

祈享易武青餅2018年 その1.

製造 : 2018年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨
茶廠 : 上海廚華杯壷香貿易有限公司監製
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 上海密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶と炭火
鉄瓶

お茶の感想:
このお茶の2018年の春の新作。
+【祈享易武青餅2014年 その1.】
上海に立ち寄って老板にサンプルをちょっとだけもらってきた。
その場でも飲んだけれど、すばらしく良い出来だと思った。
農家から土地の権利を借り上げて、生産量を控えて茶葉の質を上げる。
ひと山まるごとの規模である。
森の木を切らない。茶樹の枝を剪定しない。土に鍬を入れない。冬に老葉の一部を落とす。春と秋の旬だけ采茶する。その場で製茶する。
漫撒山の国有林の森の中でこの理想を実現しているのはこのお茶だけ。
5年目となる2018年は森と茶樹をいたわる効果が明らかになっているはず。
茶葉
茶葉
写真ではその色の調子がわからないが、同じ漫撒山の刮風寨の標準と比べると白っぽい。
刮風寨の単樹2号に似た品種が多いということか。
+【刮風寨単樹2号2018年 その2.】
茶葉の色が色とりどりなのは萎凋が良いから。
これ以上萎凋したら乾燥しすぎて殺青が難しくなるというギリギリを攻めていて、茶葉に殺青の熱が入ってほんの数十秒間の40度から70度の温度帯で軽発酵の変化が起こったその色。
大きめの鉄鍋に6キロの鮮葉を一度に殺青するらしいが、萎凋で水分の少なくなった茶葉を焦がさずに炒るためには、この量でなければならないバランスだろう。
国有林の森の中にキャンプして製茶しているから、采茶してすぐ萎凋台で涼干される。殺青は萎凋の仕上がり次第、深夜であっても行われる。
お茶づくりの夢を叶えている。
しかし、国有林の中で製茶を今後も続けられるかどうか・・・、規制が年々厳しくなっているので森の中で火を起こしたり寝泊まりするのが許されなくなるかもしれない。鮮葉を村まで持ち帰ることになれば、その道のりは徒歩とバイクで1時間以上かかるので、刮風寨でわれわれがしているのと同じになる。
この萎凋の微妙な仕上がり具合を再現するのは難しい。
茶湯の色
お茶の味はこれにちょっと似ている。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
刮風寨茶坪の中では珍しい小さめの茶葉の品種を選んだのと、殺青後の渥堆軽発酵が『祈享易武青餅2018年』の萎凋に似た効果を得ているのだろう。
似ていないところは、香りに気品のある感じと軽快な風味。
一扇磨の特徴である。
あと、揉捻をそれほどしっかりしていないところが似ていない。
揉捻をしっかりすると香りに甘味が加わるが悶々としてヌケが悪くなる。スカーっと晴れた空に吹くそよ風ではなくなる。
もともと一扇磨のお茶は漫撒山の中では甘さ控えめで軽快な苦味が持ち味なので、その個性を活かした製茶なのかもしれない。
茶湯の色4煎め
試しに4煎めに5分ほど抽出したら茶湯の色に赤味が出た。
この色の変化から見て殺青の火入れは浅めに仕上げてある。”生”が残っている。
圧餅の蒸しの火入れも控えめ。
祈享の圧餅は易武山のそこそこ大きな工房に依頼して行われているが、ゆるい圧延に仕上げるよう注文してあるから蒸し時間は短い。
この点で、自分の家の厨房で圧餅している『刮風古樹青餅2018年・黄印』との違いがある。
しかし、ここまで濃く抽出すると苦すぎてバランスが悪い。一扇磨のお茶だからこれでいい。
葉底
葉底を見てわかるように刮風寨のと比べて茎の部分が細い短い。
理屈からしても茎の部分にある糖質が少ないだろうから、味のバランスはやや苦いほうに傾くはず。
活かすも殺すもお茶を淹れる技術とセンスの問題。茶葉の個性の見極めが大事。
2017年から、易武山に倉庫を構えて長期熟成させているらしい。
温かい気候のほうが熟成に良いという考え方だが、自分はそれには否定的で、上海や日本のほうが良いと見ている。証明するために1筒7枚単位のこのお茶を買うのは高くつきすぎるから黙っておいた。
春の生産量は300キロほど。
単純計算して1日約20キロのペースでつくったらしい。この品質でこの生産量を実現しているのは、このお茶だけ。

ひとりごと:
宝物は水の流れで姿を現して水の流れで姿を消すのだ。
入手しておいたら良かったと後悔するかもしれないな。

刮風秋水紅餅2018年 その3.

製造 : 2018年10月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と店長
工程 : 紅茶
圧餅 : 2018年10月25日
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 少し通気
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 紅泥の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶・炭火
炭火
秋水
刮風秋水紅餅2018年

お茶の感想:
手で揉捻することの価値を考える。
昨年の秋から引きずっていた疑問だが、産地から遠く離れた環境でようやく答えが出る。
+【刮風秋水紅餅2018年】
紅泥壺とお茶
注ぎ
機械揉捻した茶友は手の仕事は合理的でないと見ている。
味比べをすると、機械揉捻のほうが味が濃く出て美味しいと感じやすい。手の揉捻は味が出なくて薄い。
そこ。
味を隠さなければならないから。
だから手の揉捻のほうが良いのだ。
あからさまに美味しさがわかるのは上等ではない。
お茶の味だけではなくて、あらゆる”美”に共通することだろう。
こんなカンタンなことが産地に居るときはわからない。社会環境が異なるから仕方がないけれど。
茶湯の色
葉底
もうひとつ。
手で揉捻したやつは体感に”陰”の性質が宿る・・・はず。
このお茶はまだはっきりと現れていないが、そういう心の作用があるのではないかと推測している。
このお茶みたいに。
+【漫撒一水紅餅2016年 その4.】
機械揉捻のやつはあきらかに陽の性質で、みんなといっしょに飲むとおしゃべりが弾む。
その目的ならテーバッグの量産の紅茶で十分。

ひとりごと:
お茶は産地から遠く離れるほど美味しくなる。

温州人第七批熟茶2018年 その1.

采茶 : 2018年10月
加工 : 2018年10月・11月
茶葉 : 雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜興の茶壺・グラスの茶杯・鉄瓶+炭火
7批熟茶

お茶の感想:
温州人の7批の熟茶。
6批と違うところは最後の乾燥に日数をかけなかったこと。
なぜそうなったかというと、「茶葉を移動させちゃダメだろ」と自分が言い出したからだろう。
たとえ同じ部屋の中の移動であっても、微生物にとっては環境が激変する。発酵のサイクルが途切れる。
涼干
理想は、同じポジションでゆっくり乾燥させること。人が触らないこと。
しかし、もうひとつ言い出した「通気が足りない」という問題もあって、箱の中の布で内張りをした竹籠の中に茶葉を置いておくことができなくなった。
出したからには変化を止めなければならない。すぐに乾燥させるしかない。
熱風乾燥の設備もなく、その勉強もまだ足りないので適正温度がわからない。なので晒干(天日干し)することになった。太陽光の低温ならあまり味に影響しないだろうという考え。
天気は良くてキレイに乾燥した・・・はずだったが、届いた茶葉はちょっと湿っていた。
自分の手元で続きの晒干をして、しっかり乾燥させた。この時点でちょっと黴臭いのを感じていた。
晒干の前に一応飲んでみた。
茶湯は明るいめ
葉底
いつものように茶壺で茶葉を温めるとアンモニア臭が出てきた。これまでの中で一番強い。
飲んでみると、茶湯にアンモニア臭は無いが生臭い感じがある。糠味は強いがカラスミ味は少ない。
あんがいスッキリしているのは、発酵がやや浅めに仕上がって生茶のような部分が残っているからだろう。
煎を重ねて湯の熱が通るほどに味は安定していった。
煎じた後の葉底にはやはり黴臭いところがある。
炙った効果を見るのにちょうど良いサンプルになりそう。
6批よりもしっかり熱を通してみる。
複雑な形状の茶葉に、しかもほぼ乾燥した状態で熱を通すことを考えて、今回はステンレスの鍋を使うことにした。金属の熱の伝わり方を利用して、下から周囲から取り囲むように熱が伝えられると考えた。
底にはアルミの皿を裏返しに敷いて二重にして、一番熱いところを茶葉から遠ざけた。上にはアルミの皿で落とし蓋をした。
ステンレスの鍋
茶葉を炙る
蓋をして保温
はじめは手漉き紙で茶葉を包んでいたが、裏返したり軽く混ぜたりしやすいように途中から薄手の布袋に変えた。布袋に入れるとコンパクトになって熱の伝わりが良い。
それを考えると、圧餅してから水分がまだあるうちに熱を伝えたほうがもっと効率が良いよな。一般的にメーカーはそうしている。
今後の課題とする。
布袋
布袋の底に当たるアルミの皿の表面は熱いときで100度弱くらい。非接触温度計を日本に置いてきたので茶葉そのものの温度がわからないが80度になるだろうか。
2時間炙った時点で布袋を裏返したときにアンモニア臭が強く出ていた。さらに2時間後もそれがあった。
アンモニア臭は茶葉が乾燥状態で熱が入ったときに出やすくて、蓋碗や茶壺に湯を注いだときは出にくい。
過去の熟茶に対してこの点を確かめていないので、良いのか悪いのかはっきりできない。
もしかしたら、”生”の状態の熟茶にはどれにも多少のアンモニア臭が隠れているかもしれない。
前回の6批をしっかり炙った後にはアンモニア臭は見つけられなくなったので、すでに製品となって流通している熟茶から見つけるのは難しいだろう。
それにしても、7批のアンモニア臭はしぶとい。
緑黴っぽい、いわゆる黴臭い匂いもある。
冬になって涼しくなってきたから、乾燥のときの気温が下がって、黒麹菌の活動が鈍って抗菌のガードが下がって、他の雑菌が侵食しやすくなる。実際に緑黴が発生した後なのかもしれない。
そういえば、緑黴が出たときにこの匂いがしていた。アンモニア臭も発生していた覚えがある。
+【見えない水の流れ 上海のお昼ご飯 208年2月10日】
6時間炙った後、8時間かけてゆっくり熱を下げたら、アンモニア臭も緑黴臭もなくなった。
いつものように茶壺で茶葉を温めた。
茶葉を温める
葉底
このときの香りは良い。焼いたパンのような甘い香りが出てきた。黴臭くはない。
茶湯の色は明るい。発酵度がやや浅い様子。
一煎め
気が進まないが飲んでみるとあんがいいける。
焼いたパンの甘い香りが口に入れた瞬間にフワッと広がる。
アンモニア臭は無い。緑黴臭はほんの少し。事前に知らなければ気が付かないかもしれない程度。
煮出す
いつものように濃く煮出してみた。
甘い美味しい味に隠れて砂を噛んだような味がする。緑黴味と自分が呼んでいるそのもの。
ここでギブアップした。
もう飲みたくない。
でも、この判断はあくまで個人の判断。
カビ味のする熟茶はけっこういろんなメーカーが平気で売っている。健康上の問題はないのかもしれない。
葉底
熟茶が美味しいかどうかの判定は個人の感性に任される。
熟茶が安全かどうかの判定は、実はこれも多くの部分が個人の感性に任される。
成分検査でわかるのはほんの一部。
明らかに毒とされる農薬や重金属が規定量を超えていないかどうか。
微生物発酵の失敗による特定の成分が異常に増ていないかどうか。
そのくらい。
異常値は検出されないのに、不味いだけでなく、お腹を壊す熟茶があるかもしれない。たぶんある。
何度も話しているが、例えばカフェインの含有量は生茶と熟茶と変わらないはずなのに、熟茶にはカフェインの効果が少ない。別の成分がカフェインに蓋をしているから。
その逆に、ある成分とある成分がつながって毒を成すケースもあるかもしれない。
毒とわかっている成分が単独で作用するとは限らない。
毒が毒になるとは限らない。クスリとして作用することもある。
検出した成分だけから熟茶の質の良し悪しは判定できない。まだ知られていないことが多すぎる。
乳酸菌らしき
得体の知れないきのこ
微生物発酵が複雑な生態環境の森であるように、人のお腹の中にも森がある。
経験を積むしかない。
子供の頃に、藁に包まれた納豆があったのを覚えている。開けると大豆の表面に白いツブツブやらアンモニア臭やら危険そうなサインがあるが、これは安全だと学んでいた。美味しく食べていた。むしろアンモニア臭を出さないようにメーカーがヘンな防腐剤を入れているほうが怖い。
納豆と熟茶は違う。
熟茶は熟茶での経験を積むしかない。

ひとりごと:
煙
炎
炭に悪いのが混じっていて煙が出た。
炭のフリした薪が混ざっている。炎が出ている。
部屋中に煙を充満させてやる。
煙の嫌いなカビたちはあっちへ行け!

温州人第六批熟茶2018年 その5.

采茶 : 2018年9月
加工 : 2018年9月・10月
茶葉 : 雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗・グラスの茶杯・鉄瓶+炭火
炙りと生の散茶
左: 圧餅+炙り
右: 生の散茶

お茶の感想:
念のため昨日のつづき。
炙ったのがほんとうに美味しくなっているのか飲み比べて確かめる。
アンモニア臭は完全に消えている。やはり炙った熱のあるうちだけ見つかるもの。
茶湯の色
左: 圧餅+炙り
右: 生の散茶
湯を注いだときに生の散茶は糠味が薫る。こうして比べると生臭く感じる。炙りにそれは無い。パンを焼いたような甘い香り。
炙りと生の散茶
問題にしていたカラスミ味が炙りのほうはかなり少ない。意識しないと見つけられないくらい。
口に入れた瞬間の甘さはむしろ炙りのほうに強く感じる。
苦味とのバランスもよく消えが早いので爽やか。ただ、昨日書いていた”菊花茶”を連想させる香りやミントの爽やかさはそれほどでもない。
こうして比べると生の散茶は、生臭くて、甘いけれどヘンな苦味もあって、キレの悪い後味で、美味しくない。
炙りのほうはかなり美味しいレベルの熟茶になっていると思う。
手前味噌だが、炙りの腕が良いのだな。
いや、熟茶の味を最後に決めるのは熱風乾燥、つまり焙煎の技術だということになる。
葉底
生の散茶にはアンモニア臭が無かった。
もしかしたら圧餅のせいかもしれない。
やはり熟茶の”生”の状態は敏感なのだ。圧餅の蒸気で湿った茶葉を自然乾燥で何日もかけてゆっくり乾かしていてはいけない。熱風乾燥で1日で乾かして2日目にゆっくり熱を下げて3日めに仕上がる。炙りの時間配分といっしょ。

ひとりごと:
そうこうしているうちに7批のサンプルが到着。
7批熟茶
ちゃんと乾燥できていないのでとりあえず晒干。
乾燥のための焙煎が熟茶の美味しさを左右するのだから、そこに差をつけるような仕事をしたほうがよいかもしれないな。

温州人第六批熟茶2018年 その4.

采茶 : 2018年9月
加工 : 2018年9月・10月
茶葉 : 雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜孝の茶壺・グラスの茶杯・鉄瓶+炭火
炭火
灰
餅茶のかけら
焙煎

お茶の感想:
渥堆発酵を終えたばかりの熟茶はまだたくさん水分を含んでいて、温州人の茶友は涼干(陰干し)だけで乾燥させているので、まだ熱を通していない”生”の状態。微生物のつくったいろんな酵素成分が生きていて、空気中のちょっとした水分や温度に反応して思わぬ変化がすすみやすい。なので、圧餅の蒸気の熱を通して安定させたのがこのサンプルの状態。”半生”と言えるかな。
これを炭火に灰をかぶせた柔らかい熱で炙った。
炙った時間は5時間。包んだ手漉き紙が変色しないくらいの低めの温度。その後の常温での涼干はまる一日かけた。
烏龍茶の焙煎のような香ばしい香りは出ない。むしろ香りが弱くなるような変化で、一応狙いの通りに炙ることができたと思う。
微生物発酵でできたある種のアミノ酸は焦げると臭いから、焦げない程度にしなければならない。
炙った後
茶葉は変色していない。もうちょっと黒くなると思ったが・・・。
メーカーで大量生産される熟茶は一般的に熱風乾燥させてある。
圧餅の前と、圧餅の後と。
熱風乾燥
圧餅前は、渥堆発酵後の茶葉を乾燥させるため。しっかり乾燥させないと圧餅する一枚ごとの計量が正確にできない。というのもあるが、近年のメーカーは生産効率を追求しているので2週間も3週間も待てない。2日で済ませるには熱を入れるしかない。
圧餅後は、これもまた生産効率を追求して乾燥室で熱風乾燥させている。もしも何トンもの茶葉を晒干(天日干し)するとしたら、サッカーグランドくらいのスペースと、何人もの作業員と、コストも労力もかかることになる。
熱風乾燥では70度ほどの温度で熱を通している。それがメーカーの熟茶の味を形成している。
今回の”炙り”はそれに近づけてみたつもりである。
もしかしたら、問題にしていたカラスミ味が消えるかもしれない。糠味は変化して爽やかになるかもしれない。
しかし、炙りは理想ではない。半生が理想。半生でちょうどの完成度にもってゆきたいのだが、それは今後の課題とする。
一煎め
葉底の香り
味は、ちょっと落ち着いて透明感が出てきたくらいで、そんなに変わっていない。
香りは弱くなったので糠味が気になることはない。一般的な熟茶に近づいた。
口感はとろみが減って舌触りも喉越しもドライになった。このほうが清潔感がある。
カラスミ味は、1煎めくらいから葉底にも茶湯にもある。嫌な感じはしないがあるにはある。減ってはいない。
孟海老師のこのお茶にだいぶん似てきた。
+【孟海老師3号熟茶2018年 その1.】
やはり孟海老師のは熱風乾燥しているのだろうな。
しかし、黒糖香はない。糖質の焦げからくるものと仮定して、もうちょっとしっかり熱を通してみるかな・・・。
ということで、再度炙ることにした。
今回はもうちょっとしっかり熱が入るように、アルミの皿を合わせて密封。
アルミの皿で熟茶を炙る
アルミの皿で炙る
2時間。途中で2度ほど裏返した。
もうそろそろかと蓋を開けてみたら、ほんのりパンの焼けたような匂い。
茶葉からアンモニア臭
ところが、茶葉に鼻を近づけるとアンモニア臭がある。ほんの微かだがツンとした刺激も感じ取れる。5分ほどして温度が下がるとアンモニア臭は消えたけれど、うーん、やっぱりダメかな・・・。
アンモニア臭=ダメ。と結論付けるのは慌て者すぎるけれど、上質な熟茶にコレはないだろ・・・。
涼干が待ちきれなくて淹れてみた。
葉底
一煎め
濃い茶湯
飲んでみたら意外と良い。
茶湯にはアンモニア臭はない。
糠味はもう完全に無い。カラスミ味だけ残っている。
甘味が減って酸味や苦味が増えて、でもこのバランスは良くて清潔感があってスッと喉を通る。
菊花茶のような香りとスースーするミントな爽快感が加わって、口の中での味の消えも良くなって、暑苦しい味が一転して涼しい味になりつつある。
『7581荷香茶磚97年』に似ている。
あいにく西双版納にサンプルを置いていないので飲み比べが出来ないが、ま、差不多だろう。
もうちょっと炙りを続けてみる。
再度炙り
アンモニア臭を飛ばすことができたら現地では飲めるお茶になるだろう。
販売はできないが、仲間内で飲むのなら問題ない。
ホッとした。
おそらくカラスミ味は炙っても消えないから、今後の9批以降の渥堆発酵に期待する。温州人は粘り強いからヤルだろ。
もう冬が来て微生物発酵の微生物からしたらちょっと寒いだろうから、次は来年の夏かな。

ひとりごと:
生茶の保存熟成に問題がある。
西双版納のお店のほとんどのお茶が湿気ている。
ものすごい量のお茶が西双版納の倉庫やマンションの一室で湿気てゴミになりつつある。
なんて問題視しているのは自分と一部の茶友だけで、実は湿気た味が熟成の味だとみんなは主張していて、相手にされない。
好みの違いだ!と片付けられる。
熟茶のカラスミ味やアンモニア臭も同じことかもしれない。
自分はアウトで彼らはセーフだろう。
だから自分はココに来て仕事をするポジションがある。
この構図がわかってきてからあまりうるさく言わなくなった。意地悪じゃないけれど、親切でもないかもな。


茶想

試飲の記録です。

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