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刮風秋水紅餅2018年 その2.

製造 : 2018年10月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と店長
工程 : 紅茶
圧餅 : 2018年10月25日
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 紫砂の茶壺・グラス杯・鉄瓶・炭火
圧餅の蒸し
成形後の蒸し
石型
餅形の厚み
晒干

お茶の感想:
圧餅した後の試飲。
10月25日にしたから、もう2週間経っている。
この数日は朝の11時頃まで曇り空で、それから太陽が雲を蒸発させて昼には快晴。毎日同じ展開。完全に冬の天気になった。
西双版納冬の朝
西双版納冬の昼
あれは雲じゃなくて霧なのだな。地域全体を朝霧が覆っている。
圧餅は12枚のうち2枚失敗。
2枚はゆるゆるでお客様の手元にゆくまで餅形を留めることができそうにないので、崩して40g1袋で出品しようかと思う。10枚はまあなんとか形を留めている。
圧餅
秋茶の繊維の弾力と粘着力のなさと、わかりきっていたことだけど勝てなかった。
春の紅茶に比べて餅形に厚みがあるので、石型の底の窪みのサイズが合わなくて、圧したときのチカラがちゃんと伝わらないのが原因。次回のためにサイズの異なる石型を探しておきたい。
蒸し時間を長くしたらもっとカチッと締まるけれど、茶葉をあまり変化させたくなかったのだ。晒干した後の散茶の仕上がりが思ったよりも熟していたから。
餅面表
餅面裏
鮮葉からこの茶葉はいい予感があった。
2日続けて采茶できて倍の量をつくれたらもっとよかったけれど、摘み時になったタイミングの新芽・若葉がもう無いのだから仕方がない。有ったとしても晒干の最終日は午後から雨になったから、やはりうまくできなかった。
天気が回復した10月末から別の茶山の農家に電話してチャンスを伺ったけれど、すでに新芽・若葉が硬くなっているらしい。柔らかいのを探して選んで摘んでも一日の収穫が5キロに満たないから、製茶がうまくゆかない。
秋のお茶はこれで終わり。
必要以上に魚を獲らないほうが将来の資源が増えるのと同じで、茶葉をむやみに摘まないほうがいい。ま、みんながそうしたら効果があるのだけれど・・・。
鉄瓶と炭火
さて、試飲。
圧餅したてのこの時点では味が出ない。香りも弱い。実力発揮するには少なくとも半年から一年はかかる。
熟成壺に一年間寝かせてから出品することにした。
いや、理想をいうと10年寝かせてから出品するべきなのだ。
熟成してこそ真の味わいが出てくるというのもあるけれど、お茶をちゃんと評価するのには時間がかかるというのもある。一年やそこいらでわかる良し悪しはほんの一部だから。
品評会なんかで高得点のお茶は、その場で評価できるわかりやすい良さを主張するようにつくっているのであって、一年ほど飲み続けてじわじわわかる良さなんて無視されている。評価されないし商品のウリにはならないし経済的じゃない。
ただ、10年となるとお茶の変化よりも人間の変化のほうが大きいよな・・・。
例えば、はじめは良いと思っていたお茶が、しばらく飲み続けていると欠点が見えてきて、またしばらく飲み続けると欠点が欠点ではなくて飲む側の経験不足による誤解だというのがわかってきて・・・という展開が一年のうちにある。そのたびに価格を変えるわけにもゆかないから、一年くらいかけて評価のこなれるのを待つのは妥当だと思う。
一煎め
二煎め
三煎め
茶湯の色
5煎め
ほんわりした感じ。
吸う息・吐く息ごとに薄荷の涼しい風が吹く。
3煎め以降くらいの甘さがなんとも良い。4煎・5煎・6煎・7煎・8煎・9煎・・と甘さが落ちない。ずーーっと飲んでいたい感じ。平日の仕事の終わりに1時間だけお茶するくらいじゃ味わえない。
圧餅前にも話していたけれど、2011年の秋の紅茶そっくり。
+【紫・むらさき秋天紅茶2011年】
古茶樹のお茶は茶山ごとの品種特性がウリだけれど、山の違いを超えてけっこう似ている。製法が同じというのが前提だけれど、雨の多かった年の秋の茶葉の持つ体質が共通しているのだろう。
葉底
これだけ太く長い茎の茶葉を手もみで紅茶に仕上げるなんて、なかなかのものだ。

ひとりごと:
一年のうちに気が変わって、出品しないという展開もありうる。
いや、出品数を減らすという手もある。
やりたい放題だよな。

刮風秋水紅餅2018年 その1.

製造 : 2018年10月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と店長
工程 : 紅茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗・グラス杯・鉄瓶・炭火
刮風寨遠景
刮風寨近景
原生林
車の窓
車

お茶の感想:
刮風寨に行ってきた。
今年の秋も雨が多いからダメかと思いながら行った。
これほど雨水の多いのは2011年の秋以来。その秋は川下のタイで大洪水となった。
一般的には雨水が多いと茶の味は薄くなるが、2011年の秋のお茶は甘くてふくよか。もう売り切れたが、手元に残ったサンプルは年を経るほどに魅力を増している。
+【紫・むらさき秋天紅茶2011年】
今年2018年も春・夏・秋とずっと雨がつづいて、2011年と似た状況。
刮風寨の古茶樹の森はとくに山が深くて、雨の日は山に入れない。茶葉が収穫できる日が少ないから、第二波と呼ぶ春の二番摘みからして収穫量が少ない。茶葉は大きく育って枝・幹・根を養う。
瑶族の農家は10月になって山道や茶地の草刈りをして、古茶樹の森に入れるようにして秋の旬を待った。
ところが連日の雨続き。茶葉の成長具合を日々報告してもらっていたが、新芽・若葉は少なくて、しかもやや硬くなりはじめていると聞いた。この状況も2011年の秋の巴達山に似ている。
「つくれなくてもいいから見に行こう。」東莞人の茶友の判断が良かった。
大木
山
森
革
森
ススキ
見に行ったその日の午後から晴れ。
森の緑の反射する光が眩しすぎて、夢の世界にいるみたい。
2日目、刮風寨の村から古茶樹の森”茶坪”へ車で40分+歩いて3時間。今回はバイクに乗らずに歩いて行った。帰りも歩いた。久々の長時間の山歩きなので足はガクガクになったが、森の涼しい空気が気持ちよくて疲れを感じなかった。
煮茶
山小屋
茶樹
春の茶摘みを手伝ってくれた苗族のメンバーが前日から山小屋に泊まって10月18日の早朝から采茶してくれた。といっても、収穫するにちょうど良いタイミングの新芽・若葉のある茶樹は3本だけ。茶摘み人員は4人だけ。収穫量は15キロあるかないか。
茶葉
茶葉
村に戻ると、もうひとつの古茶樹の森”茶王樹”に入っていた苗族の2人が、収穫した鮮葉を運んできたところだった。これもたった2本の茶樹から采茶されて10キロあるかないか。
茶王樹の森のお茶はまだつくったことがないので、自分はこちらを選んで紅茶をつくることにした。
萎凋
太陽萎凋
茎の長い秋の茶葉
秋の茶葉は茎の部分が長く育っている。刮風寨の原生種に近いやつはとくに長いから、これを柔らかくなるまで水分を抜いて萎凋させるのに次の日の昼までかかった。最後の1時間は太陽萎凋させた。
十年
揉捻前
揉捻後
萎凋後の茶葉1.2キロほどに分けて揉捻。1回20分×8回分。途中休憩もして3時間かかる。腕立て伏せを3時間続けるようなもの。ヘトヘト。
渥堆軽発酵
布袋に詰めて渥堆軽発酵がはじまったのが午後4時。この日はこれで終わり。
軽発酵の速度は茶葉の水分や気温や、布袋やプラスチック袋で調整する酸素の供給量などで変わる。次の日の朝の太陽での晒干を待つのにちょうど良い時間を計ったつもりだったが、深夜の1時に軽発酵十分と判断して竹ザルに茶葉を広げた。
晒茶
晒茶
瑶族の布
絶好の晒茶日和。気持ちよく一日で乾燥しきった。
瑶族の藍染も天日干し。
太陽の熱を下げるための陰干しをひと晩して、次の日に山を降りた。
山を降りてからまた雨が続いている。
景洪市の雨
刮風秋水紅餅2018年
刮風秋水紅餅2018年
刮風秋水紅餅2018年
葉底
今はまだ散茶だが、天気が良くなってから圧餅する。
ひと足先に『刮風秋水紅餅2018年』と名付けた。
圧餅の蒸気の熱と水分でもうちょっと軽発酵がすすむ。それも計算している。
今のところカンペキ。
今年の秋の水は甘い。

ひとりごと:
ダイ族のお祭りに呼ばれた。
殺鶏・殺猪・殺牛。
すべて村でつくられた健康な食材と健康な酒。化学調味料も入れないように茶友がオーダーしている。
美味しいに決まっている。
「ドゴー・シュイ・シュイ・シューイ・シュイ。」
乾杯の掛け声が村のあちこちで響いた。
ダイ族の村
ダイ族のごちそう
現地の不動産王の茶友の奥さんがこの村出身のダイ族。
親戚を何軒か訪ねてごちそうとお酒を頂くのだが3軒めでダウン。
各家庭が申し合わせたように異なる料理をつくって待っているので30種以上料理を食べたと思う。
雨もまたよし。

刮風生態紅餅2018年 その1.

製造 : 2018年4月7日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶
鉄瓶内側

お茶の感想:
この頃よく使っている鉄瓶は古物で、名が入っていなくて素性がはっきりしないが、どうやら量産の型モノではなく一点モノらしい。昔の釜師がつくったものかもしれない。
手に持った瞬間にわかる軽さ。薄いつくりである。鋳造のもので薄いのは技術的に難しいらしい。
軽いだけでなく水の調子も良い。
鉄瓶は新しいのと古いのと鉄の成分が異なるらしいが、現代の一点モノをつくる釜師の職人さんでさえ鉄の違いは謎だと言っている。
水の調子が良いのは鉄の成分だけが原因とは限らない。湯を沸かすことの科学には、形状や厚みの違いだけでなく、鋳物をつくる技術からなるミクロの組織構造も関係しているだろう。ミクロの世界に手の仕事が形状記憶されている。
鉄瓶のような古い時代のものはたいがい、現代の人は知らないことを昔の人は知っている。
お茶もまた古い時代のもので、昔の人のほうが知っているにちがいない。
刮風生態紅餅2018年
今年のオリジナルのお茶は自分ひとりで圧餅するようになった。
これは言わば一点モノのお茶づくり・・・のつもりである。
茶葉を摘むところから圧餅が仕上がるまでの変化を、つじつまの合うように調整する。手や目や耳や鼻の感覚に従う。
自然が偉大すぎてコントロールしきれないのが西双版納のお茶で、ぜったい自分の思うようにはゆかないけれど、調整しようという意思があるかないかの違いは大きい。茶葉のミクロの組織構造にその意思が形状記憶されるはずだから。
鉄瓶の優れたものの良さはすぐに分かるものではない。使い込んでいるうちにジワジワ発見が増えてゆくだろう。今まさにそれをしている。
お茶もそうで、出来てから何年か試飲を重ねて隠れたところを発見してゆく。
刮風生態紅餅2018年
+【刮風生態紅餅2018年】
今年2018年の刮風寨小樹のお茶は生茶も紅茶も辛い。
このことはすでに何人かのお客様も指摘していて、この辛さについての解釈を試みているところ。
痺れるような辛さが漫撒山の森の古茶樹には少なからずあるのだが、今回の辛さは痺れる”麻”というよりはピリピリする唐辛子の”辣”に近い。30分ほど経つうちに”麻”に変化して舌に痺れの余韻が残る。
なぜかわからないが、これが良い具合に現れるときとそうでないときがある。
先日の9月2日の勉強会ではこの”辣”が喉の奥までも刺激して、気持ちよく飲めないくらいだった。
上海の勉強会のために残していたサンプルの一枚を、友人がハンドキャリーで届けてくれて、飛行機で着いて2日後の試飲だったので、荒れていたのだと思う。輸送の振動や気圧の変化や磁場の変化や、いろんなことが茶葉をイライラさせる。
何度もこんなことを経験しているのでぜんぜん慌てないが、勉強会の参加者はドキドキしたかもしれない。
茶壺
茶湯の色
熟成壺で5日間寝かせた今日はいい感じ。
”辣”は舌だけに留まってそれほど喉を刺激しない。
辛さが落ち着くと、お茶の味の透明度に吸い込まれる。
これまでのオリジナルの紅茶との違いは、茶葉一枚一枚の軽発酵度がより均一に仕上げられたこと。
漫撒山の原生の大葉種の血の濃い茶葉は、カタチや大きさの複雑さゆえに軽発酵のムラができやすい。それがかえって魅力を醸し出しているのかもしれないが、もっと均一な軽発酵度に仕上がったのがどんなのかを知りたかった。
今回は製茶時の天候不順も手伝ってくれて、予想を遥かに上回る均一な仕上がり。
自分で圧餅したことでさらに均一になって、これまでの紅茶とは明らかに異なる。
茶湯の色
葉底
紅茶の味はする。それ以外のものはなにも無い。
ひとことで言うと味がない。いや、無い味である。
舌に痺れる辛味が、もっといろんな味が存在していたことを想像させる。

ひとりごと:
宜興の茶壺
茶壺
ちょっと小さめの古い時代の宜興の茶壺。
土は良くて水を甘くするけれど、蓋がユルユルで困った。

孟海旧家紅餅2018年 その1.

製造 : 2018年3月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県孟宋山小茶樹
茶廠 : 愛尼族の農家
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・銅のヤカン+炭火
銅のヤカン
チェコ土の茶壺

お茶の感想:
先日紹介した緑茶のような生茶と同じ原料でつくられた紅茶。
+【孟宋新緑散茶2018年 その1.】
生茶は采茶のタイミングが早すぎると評価していたが、紅茶はどうだろ。
当店の紅茶を甘い紅茶と苦い紅茶に分けると、このお茶は苦い紅茶。
早春の苦味といい、ツンと尖った香りといい、涼しさは満点。
生茶のプーアール茶は、7煎でも8煎でもダラダラ続けてじっくり味わいたいファンが多くて、その期待があるので摘み時が早い新芽・若葉はちょっと物足りない。そういう見方で評価されてしまう。
しかし紅茶ならこれはアリと思う。
緑茶のようにパッと気分を変えるつもりのお茶。
1・2煎めの鮮烈な印象が勝負どころ。
もちろん、4煎でも5煎でも続けて飲めるし、だんだん甘くなってくるけれど、このお茶ならではの個性はなくなる。
餅面
農家の若者が当店の紅茶の製法を参考にして自己流で軽発酵させている。
プーアール茶のように圧餅する当店の紅茶は、圧餅工程での変化を計算して、晒干で散茶が仕上がる時点では軽発酵がちょっと足りないくらいに仕上げるが、農家の若者はその加減がわからない。散茶になった段階ですでにしっかり軽発酵がすすんでいるので、茶醤と呼ぶエキスに粘着力が無くなって、圧餅がうまくゆかなかった。
圧餅失敗したのが3枚ほどあるので、崩して出品することにした。
(餅茶の崩し売りを嫌っている当店としては珍しく崩しを出品。)
孟海旧家紅餅2018年
これぞ春の紅茶!という風味で、完成度は高いと思う。
すでに当店の圧餅の紅茶ファンになっている方からしたら、プーアール茶らしさがちっとも無いから満足できないかもしれないが、紅茶の味に正しさを求めるならこっちだろう。
晒干(天日干し)だけで仕上げた紅茶にしては、メイラード反応のチョコレート風味のコクもしっかりしている。
対象的に、甘い紅茶はこれ。
+【刮風生態紅餅2018年】
茶葉が大きくて、茎の部分が長くて、そこから成分を抽出するのに1・2煎では足りない。3煎・4煎と深くなってゆくプーアール茶っぽい紅茶。
気分に合わせてチョイスするために、両方あったほうが良いけれど・・・。
葉底
ところで、『孟海旧家紅餅2018年』の「旧家」は、昔の村の意味。
山奥の村でなにしているのかわからない人たちがいるのは政府としては管理しにくいから、政策で国道に近いところに新しい村をつくって引っ越してもらって、数年前から新しい村で生活している。
茶摘みのときだけ山奥の古い村の近くの茶地に通う。
その古い村のことを「旧家」と彼らは呼んでいる。
また、孟宋山なのに孟海としたのは、西双版納には孟宋という地名のところが3つあって、そのうちの孟海県の孟宋山を表すため。

ひとりごと:
春の終わりに孟海県の孟宋山の村へ行った。
鳥居
鶏
囲炉裏
農家の若者が鶏料理を御馳走してくれた。

1

茶想

試飲の記録です。

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