プーアール茶.com

茶教室・京都

刮風茶坪青餅2019年 その1.

製造 : 2019年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶200gサイズ
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火
泡茶

お茶の感想:
2019年の春に茶友がつくった刮風寨茶坪のお茶。
茶葉にツヤがある。
色が濃い。
細かい。
繊維が柔らかいので揉捻がしっかり効いている。
茶葉
昨日の『刮風古樹青餅2017年・雨天』と同じ茶地のお茶なのに雲泥の差がある。
茶坪のお茶はもともと苦い。
この苦いのが嬉しく感じる。
泡茶
茶湯
個人の嗜好を主張しているのではない。クスリとしての上質を評価している。その鑑定眼を鍛えるための品茶である。
葉底
茶葉が細長くならずに丸っこく育っている。ぽってりしている。
早春のゆっくり育つ茶葉の特徴が出ている。

老撾高幹龍珠2019年・秋天 その5.

製造 : 2019年10月20日から27日(采茶)
茶葉 : ラオス・ポンサーリー県・孟臘県漫撒山(旧易武山)天門山寄り
茶廠 : 瑶族の農家+義烏人
工程 : 生茶
形状 : 龍珠 約8.5g
保存 : 密封
茶水 : 京都の井戸水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶
龍珠

お茶の感想:
黄昏のお茶。
+【老撾高幹晒青茶2019年 その1.】
美味しさと気持ちよさでクラクラくる。
液体の身体へのなじみがよくて、いくらでも杯がすすんで煎がすすんで、お腹に消える。
鉄瓶の湯を足して、沸かして、淹れて、また足して、沸かして、淹れて。
窓の外が暗くなってゆくのに、部屋の中だけ時間がすすまない。
そんな感覚。
水かけ
茶葉
ライト
杯
赤錆を落とした鉄瓶。
鉄瓶
虹
内側の虹色がけっこう早く復活してきた。
全体的に艶が出てきた。

丁家老寨青餅2019年・秋天 その4.

采茶 : 2019年11月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・杯 鉄瓶・炭火

お茶の感想:
雨の日。
ひとりで山に行ってきた。
雨の山がどんな感じか気になった。
お茶の準備はなし。
帰ってからゆっくり飲むことにする。
はじめはパラパラで、やがてシトシト降り続いた。
防水服や傘はなしで濡れたまま歩いた。
靴は底が薄くてペタンとしたやつを試した。
ベアフット
足の裏に地面がじかに感じられる。
一歩一歩の衝撃が大きい。
衝撃をやわらげるために、足裏・足首・膝・腿・腰・背中をつかってふんわり着地しようとするので、あんがいよいかもしれない。
厚底の靴は安心して着地するので、足首や膝など局所にかかる衝撃が大きくて、かえって危ないときがある。
トレッキング
山道は木々が覆っていて、それほど濡れていなかった。
冷えるから、ペースを保ってハアハア荒い息のまま進んだ。
頬を伝うのが汗なのか雨なのかわからない。
シャツがしっとり重くなる。
靴のつま先が濡れて冷たくなる。
ちょっと不安な感じが背中を押して、いいリズムの足どりになる。
流れる景色の先の一点に視線を寄せる。
頭は冴えて歩くことだけに集中している。
休憩は1回だけ。お茶がなかったから休憩も短かった。
山を降りて平地になってから寒くなってきた。お腹がへった。
自転車で急いで帰って、お風呂に入って、ごはんを食べて、昼寝した。
鉄瓶
炭を熾す。
鉄瓶で湯を沸かす。
そうしているうちに日が暮れた。
このお茶。
+【丁家老寨青餅2019年・秋天 その1.】
雨の日は紅茶か熟茶。でも今日は生茶にした。
雨の日の山の空気。
生茶には空気の味わいがある。
茶葉
泡茶
茶湯
誰もが昔から知っているようなお茶。
しかし、4煎めくらいから苦底や渋味が出てキビシくなる。舌や唇にシワシワくる。ヒリヒリが残る。
この刺激。

丁家老寨青餅2019年・秋天 その3.

采茶 : 2019年11月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺(秋水)・チェコ土の杯 鉄瓶・炭火
湯気
茶器
湯そそぎ

お茶の感想:
このお茶
+【丁家老寨青餅2019年・秋天】
一煎めの湯を注いだ熱で香りが立つ。
松の葉のようなジントニックのようなキリッとした香りが混じる。焼き芋のやさしい甘味の香りも混じる。殺青(鉄鍋炒り)の焚き火の煙の香りも混じる。
秋から冬になる山の香り。
注ぎ
茶湯
香りを飲む。
身体に香りが染みてゆく。
炭火

老撾高幹龍珠2019年・秋天 その4.

製造 : 2019年10月20日から27日(采茶)
茶葉 : ラオス・ポンサーリー県・孟臘県漫撒山(旧易武山)天門山寄り
茶廠 : 瑶族の農家+義烏人
工程 : 生茶
形状 : 龍珠 約8.5g
保存 : 密封
茶水 : 京都の井戸水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火

お茶の感想:
ラオスの高幹の”龍珠”版を飲む。
餅茶に加工した”青餅”版と同じ原料の茶葉である。
関連記事としてひとつにしたいので、前回からつづく”その4."とした。
タイトルの”青餅”と”龍珠”だけが変わる。
龍珠
龍珠
8gと聞いていたが、測ってみたら8.8gもあった。
たぶん8.1gのもあれば9.0gのもあるだろう。
中国では龍珠は1個2個と数で買うのではない。例えば200g分とか重量で買うから問題なし。
義烏人は龍珠にする無視時間のことを想定して殺青の火入れを浅めに仕上げている。それがちょうど良い頃合い。
茶器
龍珠
茶机の道具の配置をちょっと変えた。
冬の寒い室内(暖房はオイルヒーターのかすかな暖かさのみ)で足が冷たいので、瓶掛を机の下の足元に置くことにした。足はポカポカ。
炭の火はやさしいので、50センチほど上にかぶさる机の板を焼いたりはしない。
寒い季節のお茶を美味しく飲むなら、室温が18度もあればよいと思う。
部屋の中で厚着をして、熱いお茶をフーフーして飲む。
宜興の急須
龍珠は、煎じる器が思案のしどころ。
8.8gも茶葉があって、煎をかさねると大葉種の極みのような葉がひらいてくる。
茶葉がギュッと飴玉くらいに圧し固められているのだから一煎・二煎では開かない。
2煎め
5煎めくらいで茶壺の口からあふれんばかりに茶葉が開いた。
こうなったら湯を足せる量が減ってくる。
葉底
途中で外出したり、仕事したり、しばらく放置しておいて、夕方になってからつづきを淹れた。
読書
もう15煎を超えているだろう。
まだ出る。
今夜は読書でもする。

老撾高幹青餅2019年・秋天 その3.

製造 : 2019年10月20日から27日(采茶)
茶葉 : ラオス・ポンサーリー県・孟臘県漫撒山(旧易武山)天門山寄り
茶廠 : 瑶族の農家+義烏人
工程 : 生茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 農夫山泉
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
泡茶
炭

お茶の感想:
肩が痛い。
しばらく安静にするしかないな。
シーズンオフでよかった。
2020年1月2日・3日・4日の上海の試飲会で、ひとつはっきり見えたことがある。
高幹のお茶を飲みだしたら、みんなもう他のお茶はいらなくなる。
子供
子供にもわかる。
味の問題じゃない。体感の問題。
高幹のお茶を飲んで気持ちよくなったら、もうそこから降りられない。
上海試飲会

丁家老寨青餅2019年・秋天 その2.

采茶 : 2019年11月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+チェコ土の茶杯+銅瓶+電熱
泡茶
茶湯

お茶の感想:
このお茶美味しい。
+【丁家老寨青餅2019年・秋天 その1.】
ホントかな?・・・と思って、昨日から続けて3度淹れて飲んだ。
でも美味しい。
前回の記事で「殺青には問題ない・・」と書いていたが、やや焦がしている。ややしっかり火が入っている。
葉底
葉底に比較的緑色がキレイに残っている。
焦げは気にならない程度。
丁家老寨やその隣の張家湾の農家の習慣で、けっこう粗い茶葉や長い茎を新芽・若葉といっしょに摘んでおいて、製茶してから後で選別する。
これが良い効果を生んでいるかもしれない。
もしも新芽・若葉だけで炒ったら、乾燥するのが早すぎて緑茶っぽくなる。
烏龍茶づくりでは茶葉が成長したときに采茶のタイミングがくるが、これは軽発酵をすすめるのに十分な水分を確保するためだろう。
餅面
生茶を”青餅”と呼ぶ”青”の意味は、烏龍茶(青茶)のような軽発酵度を示していると解釈している。そうすると、采茶は一芽三葉くらいに大雑把にして、製茶が終わって乾いてから新芽・若葉だけを摘出するほうがよい。
その新芽・若葉はちゃんと軽発酵がすすんでいる。
泡茶
この美味しさは、2012年の秋を思い出す。
ブログにもサイトにも登場しないが、2012年の秋に丁家老寨で生茶をつくって、これが美味しかった。
表
裏
色調がちょっと違うのはカメラが違うせいだが、それにしても”青餅”らしい色をしている。
2012年の秋の写真に、このお茶をつくった一部が残っている。
+【易武山丁家老寨 秋天】
さらに探してみたら、圧餅の写真にこのお茶を見つけた。
渥堆軽発酵
晒干
圧餅
晒干
晒干している真ん中あたりにある小さめの餅茶がそう。
両脇の大きめの餅茶はなんだったのだろう?思い出せない。
数年に一度しか当たり年が巡って来ないことを、このときはまだ知らなかった。
2013年の秋にも丁家老寨に行ってお茶をつくったけれど、2012年の美味しさには及ばなかった。
+【漫撒山秋の散茶2013年 その1.】
今年、2019年の秋は全体的にはそれほどでもないので、”当たり年”ではないかもしれないけれど、晩秋の最後のギリギリを狙った効果はあった。
秋の味わいが表現できたと思う。

老撾高幹青餅茶2019年・秋天 その2.

製造 : 2019年10月(采茶)
茶葉 : ラオス・ポンサーリー県・漫撒山(旧易武山)天門山に近い
茶廠 : 瑶族の農家+義烏人の茶商
工程 : 生茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火

お茶の感想:
このお茶のつづき。
+【老撾高幹晒青茶2019年 その1.】
圧餅した。
180gサイズ5枚
余った110gほどの1枚。
この小さめの1枚を試飲用にした。
高幹表
高幹裏
圧餅は、ちょっと長いめの10分間蒸した。
製茶のときの殺青の火(熱)が控えめにしてある分、圧餅の蒸しで調整したつもり。
餅形がわるい。
まるくならない。
繊維が違う。
5枚ではコツがつかめないので、餅形の整わないのは仕方がない。
高幹上
高幹下
この茶樹を見に行きたいが、体力がない。
トレーニングするところから。最短でも2ヶ月はかかるかな・・・。
片道5時間と聞いていたが、これはベトナム戦争の映画に出てくる密林を走るゲリラのスピードで走ってのこと。
そんなことできるのはトライアスロン選手の義烏人の茶友と地元の瑶族だけ。
慣れない自分なら8時間はかかる。
8時間では目的地に着かないことを考慮して泊まるらしい。
1日目:村から茶地に向かう途中でキャンプ。
2日目:キャンプ地から茶地に入る。茶地から帰路の途中でまたキャンプ。
3日目:キャンプ地から村へ戻る。
という計算。
采茶も日帰りではなかった。20日間かかって7キロしかつくれないわけだ。
こんなスケジュールになる。
采茶を午後2時には終わって、足の早い人が鮮葉を担いで走って、村に着く頃は日が暮れている。一晩萎凋させて、翌日の早朝から殺青と揉捻。正午までには晒干をはじめる。昼食後に、つぎの鮮葉を採りに出発する。行けるところまで行って一晩キャンプして、翌日の早朝に茶地に入って采茶する。采茶を午後2時には終わって・・・・。その繰り返しの20日間。
自分にはこの仕事は無理。
森の上
森の下
過去にもっとも山歩きしたのは一扇磨だった。
+【一扇磨 古茶樹 写真】
このとき一日8時間は歩いたと思うが、次の日は筋肉痛だった。
一扇磨への道は草刈りくらいはしてあったが、ラオスの山は道がない。
道なき道の密林を経験したのは、巴達山の茶王樹の裏山に入ったときだった。
+【巴達山 茶樹王の森】
熱帯雨林。びっしり緑で埋まった密林へは一歩も入れない。道のかわりに沢の流れをつたって入った。
たぶんラオスもこんな感じだろう。
義烏人は現在またラオスに入っていて、ときどきスマホから写真を送ってくる。
また新しく未開の茶地を発見したようで、10メートル超えの高幹の茶樹が100本は群生しているらしい。
そこも村から1日では行けない遠いところ。
「せめて村から4時間くらいで見物できる高幹はないの?」
これがアホな質問だと気が付いた。
一本すらっと上に伸びる高幹は、茶樹が生まれてからほとんど采茶されなかったことを示している。例えば樹齢が300年なら、もしかしたら300年間誰も采茶していないことになる。人間と出会ったことがない茶樹だから、村の近くにあるわけがない。
鮮葉
歴史では、西双版納からラオス・ミャンマーにかけての山岳地帯が、人間とお茶がはじめて出会った場所と推測されている。
人間がはじめて出会った、そのときの森、そのときの茶樹、そのときのお茶の味。
西双版納側の弯弓や刮風寨の国有林の中にも高幹は少し残っているが、これらはもう何年も前から采茶されていて、性質を変えて、味も変わってきている。
いずれ、ラオスのも何年か続けて采茶されて、性質を変えてゆくだろう。
今すぐ行かないと・・・。
泡茶
葉底
茶湯
来年3月には行くつもりだが、その後どうする?
もしかしたら製茶を手伝うことになるかもしれないし、ラオスに製茶設備の投資をするかもしれないし、いっそうのこと西双版納から引っ越すことにするかもしれないし。

丁家老寨青餅2019年・秋天 その1.

製造 : 2019年11月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+景徳鎮白磁の茶杯+銅瓶+電熱
晒青毛茶

お茶の感想:
丁家老寨に行ったら、できたての晒青毛茶があった。
といっても4キロちょっと。
一日に采茶した分量。
6日前だったらしい。
その日、11月12日の天気予報は雨だった。
なので自分は来なかった。
実際、景洪市は一日中雨が降った。
ところが、丁家老寨では雨が降らかなったらしい。
山に上がって采茶して、生茶の原料となる晒青毛茶に仕上げていた。
注文しなかったので、農家は半透明のボードごしの部屋で茶葉を乾燥させていた。
自分は直射日光でなければダメと考えているので、とりあえずこのまま太陽にあててみた。
晒干
試飲
それで試飲してみた。
まだよくわからない。
大きく育った粗い葉と茎があまりに多いので、とにかく選別してみた。
粗い葉
茶葉
選別
これにまる1日かかって、もう一度試飲してみたが、それでも判断つかず。
試飲
晩秋の古茶樹にはちがいないから原料はよいと思う。
とりあえず買って帰ることにした。少量なので、もしもダメなら誰かに転売してもよい。
ウチで試飲
香りはよいけれど、ちょっと渋い。ちょっと酸っぱい。
味はどこか軽薄な感じがする。
透明感というのではなくて、単に薄い感じ。
ほぼ同じ原料(采茶のタイミング7日間の差しかない)でつくった紅茶はすばらしい出来なのに、生茶はいまいちなのはなぜか。
製茶に問題があったのか?
殺青(鉄鍋炒り)は問題なさそう。
ということは揉捻か?
もしも揉捻不足なら、自分が圧餅したら補えるかも・・・。
そう考えて、圧餅してみた。
蒸し時間は9分。
蒸している間に香りが変化する。
7分めくらいでやっと火(熱)が入ったとわかる香りになる。
石型の上に乗ってユサユサして揉むように、1枚につき5分以上じっくりと圧し揉みした。
揉捻に似た効果を得る。
圧餅
24枚なので半日かかった。体力的にはこれが限界。
圧餅後はゆっくり乾燥させた。
天日干しもしっかりして、表面を太陽で焦がした。
11月末はもう完全に冬。毎日カラッと晴れている。
23枚
餅面
茶葉がいい色になった。
艶もある。
揉捻は軽発酵をうながす。生茶がちょっとだけ紅茶に近づくような変化がある。
圧餅の圧し揉みも、これに似た変化が得られる。
散茶の美味しさが消えて、餅茶の美味しさが出てくる。
近年のメーカーは成形だけが目的になっていて、圧餅による風味の変化を避けているが、これは間違っている。
もう一度試飲。
崩し
泡茶
渋味も酸味も落ち着いて、甘味が増して、ひとつにまとまった感じではあるが。
農家がボードの下で乾燥させたときに蒸れたのだろうか、そんな感じの味がまだ後を引いている。
しかし、透明感というか、スキッとした感じが冬の晴れた空のよう。これまでの丁家老寨にはなかった風味。
もしかしてこれが晩秋の持ち味なのか。
とりあえず、しばらく熟成させてみる。

老撾高幹晒青茶2019年 その1.

製造 : 2019年10月(采茶)
茶葉 : ラオス・ポンサーリー県・漫撒山(旧易武山)天門山に近い
茶廠 : 瑶族の農家+義烏人の茶商
工程 : 生茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
北京人の茶室

お茶の感想:
漫撒山からラオスにかけての、深い山の原生林の残る森の中の、瑶族のテリトリーにある、高幹のお茶。
茶葉
2019年の10月20日から10日間でつくられたのはぜんぶで7キロ。
義烏人の茶友はこの7キロのためだけに3ヶ月ほど山で過ごしている。
散茶のまま1キロを分けてくれて、あとの6キロは”龍珠”と呼ぶ8gの飴玉状に圧延加工したらしい。
龍珠
散茶は自分で圧餅する。
茶湯の色
たぶんこれに似た系統。
+【老撾高幹古樹2018年・秋天 その1.】
記事に出てくる高幹のお茶は「美味しくない」と書いているが、このお茶は美味しい。
聞いてみると、同じラオスの山でも場所がちょっと違うらしい。中国側の漫撒山から見たら北寄り、刮風寨よりは丁家老寨に近いらしい。
距離にしたら数キロしか離れていないが、お茶の味は違う。
高幹の茶葉
圧餅前に、散茶のままの味を記憶しておくことにする。
葉柄がとにかく粗い。長い。茎が太い。
高幹の茶葉
泡茶
泡茶
泡茶
義烏人の言うには、殺青を意図して浅いめに仕上げているらしい。
それが昔ながらの易武山の味というのもあるけれど、飴玉状の龍珠に加工するときに、どうしても蒸すときの熱が過剰になりやすい。そのバランスを考えているらしい。
歩いて5時間ほどかかる山奥。
村から5人の采茶のアルバイトを連れて入っても、采茶の時間がない。
帰りの5時間の道すがら袋に詰めた茶葉が蒸れて軽発酵のような変化が始まる。
山に製茶小屋をつくることも考えたらしいが、山道があまりに険しくて、大きく重い鉄鍋を持ち込めないらしい。
製茶のクオリティーを求めるお茶ではない。
茶湯
葉底
サッと抽出して薄めにしても、しっかり抽出して濃いめにしても、いずれにしても淡くあっさりしているのが高幹の特徴。
辛味・渋味がほとんどなくておっとりしているのも高幹の特徴。
半日かけて15煎くらいは飲んだけれど、煎ごとの変化があまり大きく感じられないのも高幹の特徴。
ゆったりした茶酔いで興奮しない。静かに沈んでゆくのも高幹の特徴。
殺青のときの薪の火の煙を吸ったかな?という煙味があるけれど、3煎もしたら消えるので問題ない。
煙味はラオスの農家の殺青の窯の造りがひと昔前のままで、排煙がうまくできていないからだ。
10月20日からの采茶は秋の旬の真ん中だけれど、雨季から乾季になる途中で、まだちょっと雨の降る日もあったはずだけれど、高幹の茶樹は根が深いせいだろうか、お茶の味はあまり天候に左右されない。
葉底
葉底は茎の部分が3分の1ほど占める。
茎は長くて太くて柔らかい。柔らかいから製茶できる。製茶できるから摘むのであって、故意に長い茎を摘んで重量を稼いでいるのではない。
1950年までの易武山の私人茶庄の”號級”の餅面の茶葉とそっくり。


茶想

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