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蛮磚古樹青餅2020年 その1.

茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明蛮磚国有林古樹
茶廠 : 農家と茶友
采茶 : 4月29日
工程 : 生茶
形状 : 餅茶200gサイズ
数量 : 十数枚
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興土の茶壺(紫砂)・チェコ土の杯 鉄瓶・炭火
国有林
国有林
茶樹

お茶の感想:
刮風寨の茶王樹のと同じ茶友がつくったもうひとつのお茶。
孟臘県には刮風寨のある漫撒山と、もうひとつ象明の蛮磚に国有林のエリアがある。
どちらも2019年から周辺の村人しか入れないようになったが、そんなことしたら茶商は采茶の現場が見れなくて、農家の騙し放題になって、仕事にならない。
許可証を発行するなど、調整されると見ているが、外国人である自分は面倒なので、しばらく近づかないようにする。
蛮磚の国有林のお茶は、北京の茶友がこの数年つづけてつくっていて、ときどき飲ませてもらっていた。
+【蛮磚古樹青餅2018年 その1.】
昨年は景洪市で知り合いになった茶商もはじめて手掛けて、サンプルをもらった。
+【蛮磚古樹晒青茶2019年 その1.】
なので蛮磚国有林ならではの味を知っていて、なんとなく自分の好みではないので、あえて追いいかけはしないが、同じエリアのお茶を試飲する機会が重なると、上等がわかってきて楽しい。
2020年のこれは若い茶友の自己評価も高いので、ちょっと期待する。
包み紙を空けて餅面を見た瞬間、オッ!と思った。
なかなかいい感じ。
茶葉がやや小さめで柔軟性や茶漿の粘着力が見てとれる。
餅面表
餅面裏
茶王樹のと同じ工房で同じように圧餅しているのだから、餅面に現れる違いは茶葉の質や成分の違いである。
泡茶
葉底
采茶のタイミングはバッチリ。
早春の燃えるような生命感を捉えている。
早春の柔らかい茶葉の成分は、お茶の水質に現れる。
杯を口にもってきて、茶湯が唇や舌に触れるか触れないかの瞬間にすでに”甘い”と感じる。
お茶の味の甘さが感じられるより先に甘いのは錯覚の甘さなのだ。
煎がかなり続いても、水質のきめ細かさが落ちない。粗くならない。
いつまでも甘い水が抽出されるので、ずっと飲んでいられる。
蛮磚国有林のお茶の味はちょっと重い。
苦味がしっとりしていて甘味はまったりしていて、漫撒山のと比べると涼しさがない。香りが弱い。
しかし、味に反して茶酔いは軽い。
沈むような感じではなく、横に広がるような感じ。
身体との親和性が高いのかもしれない。
茶友が送ってきた揉捻のときの写真を確認したら、やはり良い感じが現れていた。
茶葉

ひとりごと:
国有林の奥地にある森の茶樹は、采茶のタイミングを計るのが難しい。
春茶で忙しいときに遠くまで毎日足を運ぶわけにもゆかないし。
例えば週一くらいにして様子を見て、「そろそろなので5日か6日後くらいに天気が良ければ人員を手配して森に入るかな・・・・」、と、アバウトに決める。なので農家が意図したよりも早いタイミングに当たることもある。
また、山によっても異なる。
西双版納の西側の孟海県の山は、采茶のタイミングが早くはじまる。
おそらく農家一軒あたりの産量が多くて、采茶のアルバイトが足りなくて、早めに采茶をはじめなければ間に合わなくて摘み残してしまうのだ。
星のめぐり天気のめぐりも合わせたら、コントロールできるものじゃない。
それでも、なんとかしたいわけだ。

刮風古樹青餅2020年 その2.

茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と茶友
采茶 : 5月2日・3日
工程 : 生茶
形状 : 餅茶200gサイズ
数量 : 10枚
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 白磁の蓋碗・白磁の茶杯・白磁の茶海・鉄瓶・炭火
量り
蓋碗

お茶の感想:
このお茶の評価のつづき。
+【刮風古樹青餅2020年 その1.】
プーアール茶の生茶はクスリ(ドラッグ)的嗜好の、茶酔いを追求する。
味や香りは邪魔にならない程度でよいので、際立ったものを求めはしない。
いつものようにつくればよいのだ。
味や香りには茶葉に含まれる成分が現れる。
なので、茶酔いの良し悪しを鑑定する手がかりになる。
その観点から、このお茶の揉捻不足の味は、手の仕事ではなく、茶葉の素質に原因があると見る。
いつものように揉捻しているのに不足したような結果になるのは、茶葉の繊維が硬く育っているのと、茶漿(茶葉のエキス)に粘着力が足りないためである。
「やっぱり采茶のタイミングが悪いだろ!」
と、若い茶友に言うと、
「刮風寨は今年の初摘みは遅くて、5月3日は古樹でいちばん早い采茶で・・・・」
と、あたりまえの答えが帰ってきた。
そう。だからダメなのだ。
農家に電話して「そろそろはじめられる?」なんて聞いているからダメなのだ。
農家は”量”を求めて、新芽・若葉が育ちきったタイミングで茶摘みを開始したい。
量を犠牲にして”質”を求めたりしない。
新芽・若葉がまだ小さく柔らかいうちに采茶したいわれわれと農家とは利害が一致しない。
「金で解決しろよ!」
「コストが高くなったら値段も高くなってお客が減る。」
「そんな客捨ててしまえよ!」
原価1.5倍から2倍になる計算。
現実は、理解している客などほとんどいないから、つまり「高すぎて売れないお茶をつくれ」とオーダーしたことになる。
売れないお茶をつくりたい人なんていない。
誰もしないから、このポジションは美味しい。
若い茶友はそんなこともわかってやっているはずだから、彼と自分は仕事のポジションが違うのだ。
話が合わない。
2018年の緑印と比べてみる。
+【刮風古樹青餅2018年・緑印】
餅面
餅面
崩し
左: 刮風古樹青餅2018年・緑印
右: 刮風古樹青餅2020年
この写真で分かる。
2018年のは新芽・若葉が柔らかく、茶漿に粘着力があるので、圧餅で表面がペタッとなり、茶葉と茶葉が密着して離れにくくなっている。2020年のは指でほぐすと茶葉と茶葉がパラパラと離れやすくなっている。
一泡
葉底
三泡
葉底
左: 刮風古樹青餅2018年・緑印
右: 刮風古樹青餅2020年
どちらが素材のチカラがあるか、生命力がみなぎっているか、茶葉の繊維の成長具合が物語っている。大きさの違いにも現れている。
茶湯の色の違いは熟成期間の2年のギャップだから、ここでは無視する。
お茶の味や茶酔いの違いは、飲んだ人にしかわからない。
ということにしたいが、一応言葉に記録しておく。
2018年のは、水質の密度が細かく、後味が力強く、舌の上に長いあいだ味が揺れて、喉が潤い、鼻から脳天にかけて香りが抜けて、眉間のあたりを心地よく揺らす酔いがまわる。クラクラくる。
2020年のは、水質の密度が粗く、後味がそっけなく、舌の上に薄く、喉にサッパリして、鼻に登る香りは最初の一瞬だけで、ゆったり心地よいが、クラクラくるほどの酔いではない。
煎は両者ともつづくが、8煎めくらいになっても上記の差が縮むことはない。
ま、このへんにしとくかな。

ひとりごと:
仕事や生活の態度、お財布の事情、人生観まで抽出されて裸にされるから、お茶づくりは怖いで〜。

刮風古樹青餅2020年 その1.

製造 : 2020年5月3日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と茶友
采茶 : 5月2日・3日
工程 : 生茶
形状 : 餅茶200gサイズ
数量 : 10枚
保存 : 茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火
餅面

お茶の感想:
旬に”この日”というタイミングがあると思っている。
1年365日のうちの1日。
茶葉の緑。
山の風。
春の匂い。
太陽の光線。
緑の炎が燃え上がるような”この日”。
この日は毎年異なる。
星のめぐり。
天気と水のめぐり。
新芽・若葉の育ち。
2018年の春は、そのタイミングを捉えた手応えと興奮と、お茶のページに書いた。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
2019年の春は、自分は山に行かなかったので茶友らの話しによると、干ばつのために”この日”がつかみにくく、曖昧な日が2週間も続いたらしい。
2020年の春は、星のめぐりのせいか新芽の出るのが遅くて、刮風寨茶王樹は5月の一週目となった。西双版納の暦ではすでに夏の雨季に入る。
昨年からつづく干ばつで雨が少なかったのは良かったが、気温が上昇しているので、茶葉の成長にも製茶の仕上がりにも影響するだろう。
茶友らのはっきり言わない(言いたくない)話から推測するに、早春の味というよりは晩春の味に傾いた感じ。
餅麺
内飛
潮州の若い茶友が茶王樹のお茶をつくってくれた。
内飛に5月3日と書かれているのは采茶の日付である。
もう一日分(5月2日か4日のどちらか)を合わせて3キロちょっとの晒青毛茶ができ、そのうち2キロ分を買い取って圧延してもらった。
刮風寨の農家に采茶を任せて、製茶は茶友が横で見ていただけなので、100%信用できるわけではないが、この数年ずっと追いかけてきたお茶だから飲めばわかるはず。
もちろん薪火殺青。手工揉捻。直晒太陽干一天。製茶の手抜きはないはず。
もっとも、2日で3キロちょっとの生産量に機械を使う余地はない。手のほうが効率よい。
ちょっと緊張する。
どんなことがあってもお金は戻らない。
悪いところがあったら、そのまま若い茶友に伝えないといけない。
茶友に騙すつもりはなくても、農家に騙されたことに気付いていないかもしれない。
でも、こうしたストレスが多いほど良いお茶に近づいていると考えたほうがよい。
餅面の感じはまあまあ。
茶葉の曲線に現れている繊維の柔らかさ。崩そうとした指に跳ね返ってくる弾力。餅面の色の具合とかすかな光沢。
晩春からスタートした采茶にしては上出来だと思う。
2018年4月末に采茶されたこのお茶に色の具合が似ている。
+【刮風古樹青餅2018年・晩春 その1.】
餅面
2018年4月11日・13日に采茶の、早春と言える黄印はこんな感じ。
餅面
2020年のは早春と晩春の中間くらいかな・・・。
崩し
圧延はゆるめ。餅形の厚みがある。
このほうが崩すときに茶葉のカタチを壊さない。透明感のある森のお茶にはこういう圧延具合がよいかもしれない。
ただ、早春のもっと柔らかい新芽・若葉だったら、もっと粘着力があるので、意図せずともしっかり圧延されて、崩すのがカンタンではないだろう。
さて、
一煎め。
一煎
刮風寨茶王樹の味に違いなく、古樹の滋味もしっかりしている。
ちゃんと大きな古樹が選ばれたと思う。
茶坪は大きな古樹しかないところだから間違いないが、茶王樹には若い小さな茶樹もたくさんあるので混采される危険がある。鮮葉のときは見分けられるが、晒青毛茶になると見分けるのは難しく、お茶の味で判断するしかない。
古樹味が確認できたので、ひと安心。
味はちょっと薄い。
漫撒山のお茶なのでもともと薄い(淡い)が、影の濃さ、水質の密度、姿の見えない気配から感じられる存在感が足りない。
晩春の采茶なので仕方がないのかもしれない。
二煎め。
二
やや渋味・辛味が出る。
喉に”燥”な辛い刺激が残る。
熱が通るほどに強く出てくるはずなので、三煎・四煎をすすめて熱を加えていったが、あまり強くならないので大丈夫。消えが早くて涼しくて、嫌味はない。
この辛味も晩春の味で、仕方がないのかもしれない。
煎はつづく。水質が落ちない。茶葉の栄養が充実しているのは確か。
美味しいお茶である。
本物にはちがいない。
でも、普通。
葉底
やや殺青の火入れが甘いのや、揉捻がゆるいのは、刮風寨の瑶族の特徴。やや草っぽい田舎風味になる。
揉捻をしっかりしたら、”燥”の辛味はまろやかに仕上がっただろう。甘味が出て、かすかな色気が漂って、文化の薫りをまとう味になっただろう。
若い茶友は、ふじもとの言う通りに仕事をしたのだ。
今年の春の難しいタイミングの中でちゃんと”この日”を選んだ。
今年の春に彼は茶王樹のお茶を全部で18キロ仕入れたということなので、その中では最高の2キロかもしれない。
「美味しいお茶をありがとう!」と、感謝するべきか。
経済発展してから育ったヤワイ世代なので、そう言うほうがもっとやる気が出るのかも。
いや、やっぱりちがうな。
「普通のお茶つくりやがって、眠い仕事してんじゃねーよ!」だな。
ほんまに。

ひとりごと:
もうひとつ。
若い茶友のつくった国有林のお茶がある。
同じく旧六大茶山であるが、漫撒山とは別の山々である象明の蛮磚国有林。
そっちは本人と農家とが協力して殺青と揉捻をしたらしい。ちゃんと手を動かしているお茶。
後日試飲する。

1

茶想

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