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一扇磨単樹A春の散茶2015年 その4.

製造 : 2015年03月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)一扇磨
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 紙包+陶器の茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
一扇磨
一扇磨
バイクで山を登る
一扇磨の道

お茶の感想:
一扇磨へ行ってきた。
2回めの訪問。
前回のは写真ページがある。
【一扇磨 古茶樹 写真】
一扇磨は漫撒山の一部にある。
西双版納旧六大茶山の中心的な存在であった漫撒山は、南北に距離にして30キロほど山脈が縦断する。北から丁家老寨・一扇磨・弯弓・ちょっと離れの刮風寨に茶地があり、そして易武山の老街につながる。
一扇磨の森の下
一扇磨の森の下
老街で貢茶づくりが盛んだった時代(100年以上も昔のこと)は、漫撒山に石畳の古い道が敷かれて、馬やロバが茶葉を集めていた。高級茶の産地として栄えた時代もあったが、その後に茶業の廃れた時代が長く続いて、山から人が去って、古道は緑に埋もれ、ほとんどの茶地が自然の森に還っている。
一扇磨は半径3キロくらいの地域に3つほどの山と谷が複雑な地形をつくる。今回は、まだ行ったことのない別の方向の山を登った。
急な坂道をほとんど登りっぱなしで1時間半歩いたが、オフロードバイクで1時間上ってからの徒歩1時間半なので、前回のはじめから徒歩3時間半よりはましだった。
足元の悪い山道を長時間歩くと膝がガクガクしてきて帰り道が心配になる。草が深くて見えない石や切り株に足をぶつけて怪我の心配もある。海抜が高くなってゆくにつれ息が上がってくる。もっと山歩きの回数を増やして身体を慣らしたほうがよいけれど、春と秋に集中して山へゆくのでオフシーズンに鈍ってしまう。
一扇磨の小茶樹の農地
一扇磨の小茶樹の農地
一扇磨の小茶樹の農地
一扇磨の沢水
一扇磨の水源地
お昼ごはん
山頂を超えて少し下がると、急に開けた明るい農地に出た。
人の背の高さくらいの樹齢50年以下の小茶樹が植わっている。下草が刈られて、雑木も切られて、太陽光がサンサンと照る。サッカーグランドくらいの農地がぽつんとある。ここだけ私有地として残っていて、周囲は国有林の深い森が迫っている。国有林は新しく茶樹を植えて農地にすることはできない。雑木を切ることもできない。茶を摘むことと、その足場を確保するための最低限の草刈りだけが許されている。
一扇磨の農地
一扇磨の農地
単樹のお茶はこの農地の周囲の国有林の森に生きている。
今年の春に2本の単樹のお茶を出品していた。
『一扇磨単樹A春の散茶2015年』
『一扇磨単樹B春の散茶2015年』
一扇磨単樹
一扇磨単樹
『漫撒陰涼紅餅2015年』を丁家老寨でつくっていた日程と重なって茶摘みに立ち会えなかったので、今回は茶樹を見たかったのだが、行ってみると似たような大きな茶樹が何本もあって、どれがAでどれがBか分からなくなっていた。農家もはっきり覚えていなかった。
一扇磨単樹
一扇磨単樹
森のお茶は野生茶ではない。
野生茶は常緑広葉樹林の森の影に隠れて育つので、日当たりが悪く、ヒョロヒョロと徒長して、成長が遅く、年に一度だけ春の終わりに新芽を出す。一本につき一握りも採れないほどなので、実際にはお茶に加工できない。ひとにぎりだけ趣味でつくるなら別だが、商品にはならない。ちなみに、生茶のプーアール茶にするための殺生(鉄鍋で炒る)には、最低でも鮮葉にして2キロはないと安定した仕上がりにならない。
野生茶
野生茶
野生茶
野生茶
(森の影にヒョロヒョロと育つ野生茶樹)
周囲の生態環境も含めて「野生」にこだわるなら、ほんとうは野生茶というお茶は存在しないことになる。歴史的に見てもそうだ。
では、森のお茶とはなにか?
山岳少数民族の移動生活と焼き畑農法が減った現代は、人間が山に入って道をつくったり、農地を開拓したりすることで、その周囲に少しだけ陽当りのよいところができる。半日陰と呼ぶ状態になる。太陽光を受けた茶樹が新芽を増やしてゆく。采茶(茶摘み)されるようになると枝の分岐が増えて、新芽はさらに増える。茶樹はゆっくり眠りから覚めるように新陳代謝を活発にしてゆく。
その過程にあるのが森のお茶。
しかし、人間がさらなる生産性を求めて、採光を増やしたり、栽培的な手入れをしたりすると、森のお茶ならではの清潔で爽やかな風味は失われる。それは西双版納では一般的な自然栽培のお茶というカテゴリーになる。
この関係、この距離感に注目したい。
人間から遠く離れすぎた茶樹は、お茶にできない。
人間に近付きすぎた茶樹は、お茶の質を落とす。
遠からず近からず。
人間と茶樹との原点は、そのへんの微妙な距離にある。
「茶樹の故郷」とされる西双版納に来たからには、野生と栽培との狭間、薬草とお茶との狭間、茶樹と人間との関係のはじまりを探りたくなるのだ。
一扇磨の単樹のお茶
一扇磨の単樹のお茶
一扇磨の単樹のお茶
一扇磨
一扇磨の単樹は、まさに人間と自然の関わりの原点を見ているように思う。
『一扇磨単樹A春の散茶2015年』の最後の粉々になった茶葉。
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
粉々でも味は濁らない。抜群の美味しさ。清潔で爽やか。
茶気の強い当たりは、単樹のお茶には少ない。穏やかな酔い心地が長時間続く。たくさん飲んでも夜は気持よく眠れる。
山の宝物のようなこのお茶が通販というカタチで消費者に平等に出品されたのは奇跡的な出来事なのに、なぜみんな飛びついて買わないの?と思ったが、目の前の宝物に気付かないことは自分にもよくある。

ひとりごと:
昨年から「山頭茶」という言葉が流行っている。
山それぞれのお茶の個性を楽しむということだが、山の地形・地質・気候・生態環境・茶の品種などを考慮したお茶づくりはされていない。その山で採取した古茶樹の茶葉であるという事実をつくるだけで精一杯。内容の伴わないマーケティングに終わっている。
でも、その狙い、向かう方向は良いはずだ。
一扇磨の山
森のお茶へのアプローチを追求してゆけば、山頭茶が目指した本来の目的地へ行けると思う。
一扇磨・弯弓・刮風寨を縦断して易武老街につながる漫撒山の古道は、深い森の緑に覆われて今や消える寸前にある。崩れた石畳の石は建築資材として地域の人々に利用されて消失している。
かつての山に詳しい老人だけが古道を道案内できるというから、その人達がまだ元気なうちに1週間ほどかけて徒歩で漫撒山を縦断しようかと茶友らと相談している。雨が降らなくて、毒蛇や山蛭のいない1月から2月に実行したい。


茶想

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