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巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納ー上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗

お茶の感想:
昨年2015年の秋、巴達山の訪問にはもうひとつの目的があった。
2010年につくった紅茶を熱風乾燥してみること。
このお茶。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
知り合いの巴達山の製茶農家は昨年から紅茶ばかりつくっている。なので熱風乾燥の機械がある。
当店の紅茶は天日干しで仕上げていて、熱風乾燥はしていない。餅茶へ圧延加工するときの蒸気熱(海抜1200メートルで94度くらいかな)10秒から15秒の短時間が唯一、70度以上の熱による変化である。
70度というのは、茶葉が生まれながらに持つある種の酸化酵素の効力を無くしてしまう温度。
ここで、酵素について誤解が多いのでカンタンに説明する。
酵素は温度や湿度(水分)に反応して、まるで微生物のような働きをすることがあるが、生きものではない。タンパク質の一種で、いろんな種類があり、ミクロの世界で成分を結合させたり分解させたり、化学反応させる。
茶葉にはいろんな酵素がある。
70度を超える熱で効力を失うある種の酸化酵素というのは、茶葉を枯れ葉にしようとする働きがあるもの。茶葉が生まれながらに自分で持っていて、茶摘みした瞬間からこの酵素は働きだす。適度な水分と温度に反応するので、製茶の工程では、陰干したり、晒干したり、ゆすったり、揉んだり、袋に包んで保温したり、茹でたり、蒸したり、炒ったりして、その働きをコントロールして、無発酵や微発酵や軽発酵や全発酵という結果を得て、緑茶や白茶や青茶や紅茶などをつくり分けることができる。
機械乾燥
お茶づくりに活躍する酵素はこの他にもあって、例えば微生物発酵の黒茶のように外部からやって来た微生物がつくりだした酵素が働くのもある。お茶の成分構成を変化させて、茶気の毒性を弱めたり、栄養価値を変えたり、保存に強い抗酸化作用を得たりする。
その他にも、どれがどう作用しているのか、どういうふうに相互に関連しているのか、まだ解明できない働きもあるだろう。
地球上のありとあらゆる有機物質の変化には、いろんな酵素が活躍している。輪廻転生をつかさどる神かもしれない。
巴達山
巴達山
さて、話を戻す。
世界中の紅茶づくりは熱風乾燥があたりまえ。
熱い風によって酸化酵素の作用を制御し、発酵度を狙いの通りに調整し、保存時の味の変化が大きくならないようにする。
生産の都合からしても熱風乾燥は良い。天日干しだと雨の日にはつくれないし、空に雲がたくさんあったり、空気が湿っていたり、気温が上がったり下がったり、天気の不安定に仕上がりを左右されなくて済む。なので雨の季節でもお茶がつくれて、生産量が飛躍的に上がる。夏に雨季となる雲南省南部では、機械乾燥なしで廉価な紅茶はつくれない。つまり、一般に流通する紅茶は旬を外した茶葉が多いことになる。自然栽培の良さを追求するなら、茶摘みをしないで茶樹を休ませたほうがよい夏の雨季(4月中旬から9月末)に、どんどん摘んでどんどん紅茶をつくるのだから、茶樹は疲れて全体の品質は低下する。
西双版納では近年になって紅茶や月光白(白茶の1種)の生産量が増えてきている。そして、紅茶や白茶のために茶摘みされない茶樹を選んだ旬のお茶(多くは生茶の高級品となる)が高騰する。この背景には近年はじまった山の人々の生活の変化がある。経済社会の仲間入りをして、お金のかからない生活からお金のかかる生活へ、稼ぐためにはお茶が売れようが売れまいが無理矢理にでも生産し続けなければならなくなる経済のサイクル。
また話がそれたが、つまり、天日干しで仕上げた当店の紅茶は、圧延のために蒸したほんの10秒から15秒という短時間でしか熱が入っていないから、もしかしたら酵素の活性が死にきっていないのでは?という仮説。
それと、茶葉の持つ酵素はひとつじゃないから、もしかしたらこの熱は他の成分変化にも影響して、風味を左右しているかもしれないという仮説。
その差をみるなら今からでも遅くはない。
この餅茶をそのまま熱風乾燥してみて、その差を比べるとよいだろう。
機械乾燥
機械乾燥
機械乾燥
ということで、餅茶を包み紙のまま機械乾燥させた。それもほんの少し(データは公表しない)。少しの差がどこに現れるのかを見たい。乾燥後は風味が安定しないから、1ヶ月ほど待ってから飲み比べをはじめた。西双版納・上海・京都・東京でいろんな人がこの2つの違いを体験した。
機械乾燥しない「生」の紅茶には、涼しい口感、涼しい喉ごし、涼しい体感がある。ヒヤッとした水質が感じられる。香りもまた涼しいということがわかった。機械乾燥したものは、はじめのほうの煎の香りの立ち方はしっかりしているが、「燥」と中国の茶友はひとことで表現した焦燥したような口感がある。胸が焼ける。2つを同時に比べないとわからないほどのほんの少しの差である。
巴達古樹紅餅2010年
「生」と「火入れ」の違いは、この先の保存熟成の経年変化も追いかけてゆく。
実はそこにもっと知りたいことがある。

ひとりごと:
2016年1月16日 長浜 季の雲 マルちゃんの展覧会。
季の雲
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季の雲
季の雲
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茶想

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