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章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗裏

お茶の感想:
湯の熱の伝わりには響き方の違いがある。
お茶の味や香りの違いにつながる。
茶器の形や質によってその違いが生まれる。
「音」の高音や低音に似ているかもしれない。ボリュームの大・小のように数値化しやすいものではなくて、色や形のように感覚的に評価されるもの。
スピーカーをつくる技術者は、高音と低温の美しさについてじっくり考えている。感性を重視する音楽ファンは、どちらが優れているというよりも、どちらが美しい音色を出すかでメーカーやモデルを選んでいるはずだ。
茶器をつくる技術者はどうだろ。
現在はそれについてあまり多くを語られなていないような気がする。
素材の土の性質と水や茶との相性とか保温性とか、物理的にわかりやすそうな話はあるが、いまひとつ感性に訴える話は聞こえてこない。
もっとも、語られないから知らないとは言えない。
結果よりも過程。言葉よりも身体。東洋的な理解の仕方がある。
より多くの人にいち早く伝達したいがために言葉に頼りすぎると、脳ミソ先行的になって身体が伴わない。お茶についての西洋的理解のアプローチがいまひとつ芯を捉えないのは、そこに理由があると思う。
白磁の蓋碗
白磁の蓋碗に茶葉
北京の愛好家が景徳鎮にオーダーした蓋碗を持ってきた。
商品化するらしい。1000元というから蓋碗にしてはちょっと高級。
背の低い形状がパッと見た目にもわかる。
晒青毛茶(プーアール茶の原料と鳴る天日干し緑茶)を現地では試飲することが多いが、その大きな形状の茶葉を観察しやすいというのが一番めの理由。
湯を注いで茶葉が開くときにきゅうきゅう詰めにならずに気持ち良く伸びられる。そのほうが美味しくなるというのが二番めの理由。
口の大きく開いた形状のほうが香りが出やすい(広がりやすい)というのが三番めの理由。
しかし、それらはお茶の味の印象を決定づける要因としては弱いと思う。
それよりも、質量と形状がもたらす熱の響き方がお茶の味に強い個性をもたらすと考えている。
そこで、手元の蓋碗と比べてみることにした。
蓋碗2種上から
蓋碗2種ヨコから
若干色は違うが、どちらも景徳鎮の白磁。
北京の愛好家の蓋碗
手元の蓋碗
水を適量張ると、手元の蓋碗のほうが5ccから6ccほど多めに入るので、そこは注ぐときに調整したらよいだろう。
このお茶で比べる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
選んだ理由は、香りが出やすいことと、やや熱に敏感に反応すること。そして耐泡(煎がつづく)の古茶樹の茶葉であること。6煎めくらいの、茶湯の色も味も薄くなってくる頃になにか見つかるかもしれない。
章朗古樹紅餅2016年・青印3.6g
3.6g。
蓋碗2種一煎め
蓋碗2種一煎め注ぎ
1煎め。
この時点ですでにその差が現れた。
手元の蓋碗のお茶の味は軽い。香りが上のほうに抜ける。口の中に上昇気流が起こっている感じ。
北京の愛好家のお茶は重い。香りは上に抜けずに淀む。横に広がる感じではあるが、それにしても「抜け」が悪い。
蓋碗2種3煎め
蓋碗2種3煎め
3煎め。
味のボリュームという点では互角。
しかし印象は異なる。
やはり北京の愛好家の蓋碗のは重くて、手元の蓋碗のは軽い。
重いのが好印象であれば味の重厚感と言って褒められるが、そうではない。
湯の質感に粘りがあり、口あたりのキレが悪い。喉越しのスムーズさにも欠ける。このお茶の個性である涼しさを損なっている。
蓋碗2種5煎め
蓋碗2種5煎め注ぎ
5煎め。
煎を重ねて風味が薄くなってくると、大きく育った茶葉や茎の部分の旨味・甘味が出てくる。茶葉が煮えているのだ。熱々の湯を注いでいて5煎めにもなると、どちらにしても煮えた味になるが、煮え味の出方にも違いがある。北京の愛好家の蓋碗にはカンロ飴みたいな野暮ったさがある。手元の蓋碗にはそれがなくて、スキッとした涼しさを保っている。
蓋碗2種と7煎めの葉底
葉底上から
葉底ヨコから
7煎めの葉底。
葉底の色の違いに注目。
結果からもわかるように、北京の愛好家の蓋碗は熱がしっかり通って茶葉の酸化がすすんでいる。
そうなったほうが美味しいお茶もあるが、新芽・若葉の多いこのお茶の場合は手元の蓋碗のほうが圧倒的に美味しい。
白磁というガラス質を多く含む素材という点で、両者の化学的反応の差は少ない。
そうすると、厚みや形状による熱伝導の違いがお茶の味の差を生むと考えられる。
北京の愛好家の蓋碗
北京の愛好家の蓋碗蓋を開けたところ
手元の蓋碗
手元の蓋碗蓋を開けたところ
蓋をはずした碗だけの重量をみても124gと79g、45gもの差がある。
この45gが湯の熱の響き方の差になっている。
口径の大きくて背の低い形状の北京の愛好家の蓋碗のほうが熱が逃げやすいので、保温性の面では劣るはずだが、45g分の厚みが溜め込んだ熱がじわじわ茶葉を煮やすらしい。底にゆくほど厚みがあるようにつくられているが、茶を注いだ後の茶葉はその厚いところに残る。淹れる人が意図せず変化が続くことになる。蓋碗の中で茶葉が自由に広がりやすいというが、それがために底にベタッとへばりつく。手元の蓋碗は茶葉が窮屈に見えるが、広がりきらないで曲がったまま隙間をつくる。そこに熱の逃げ場ができる。
茶学でテーマにしている水の注ぎはどうだろう。
ヤカンから蓋碗に湯を注いだときの水の振動。水の音。
北京の愛好家のは背が低いので、落ちる水が水面を叩いてやや高い音が響く。
手元の蓋碗は背が高いので、水がちょっと溜まってくると深く潜って低い音が響く。
うまく説明できないが、手元の蓋碗の低い水音の響きは、お茶が美味しくなるサイン。
蓋碗の中での湯の流れと茶葉の動きにも違いが生じているが、これについてもまだ説明できるほど理解できていない。
ただ、このお茶の味の結果は蓋碗を手に持ったときからある程度予測できていた。
蓋と碗で185gある北京の愛好家のと126gの手元のと。約60gの差だけではない。手に持ち辛いほど口径が大きいために余計に重く感じて、湯を注ぐ手の動きも鈍くなる。重鈍な感じがそのままお茶の味に反映している。
低く横に広がった形状と高く背を伸ばした形状と、その形の感じがそのままお茶の味に反映している。
指で弾くとコン!と鳴るのとチン!と鳴るのと、その音の感じがそのままお茶の味に反映している。
直感は捉えている。
いつかどこかで経験した記憶が無意識のところで瞬間に繋がって、応用によって新しいものを理解するのだな。

ひとりごと:
チェンコーンからラオスに一日だけ足を伸ばした。
ラオスの焼酎「ラオカオ」は米とバナナ(たぶんバナナではなくて芭蕉だと思う。芭蕉の実ではなくて茎のような気がする。)で醸す。
ラオカオ1
ラオカオ2
ラオカオ3
ラオカオ4
昼間から赤ら顔の太っちょの親父が嬉しそうにつくる酒。
「これはいい酒だぞ」と直感は言ったが、以前に別の家のラオカオで頭が痛くなったことがあって、ちょっと警戒してしまった。
持ち帰って飲むほどに美味しくて、ちっとも悪酔いしない。芭蕉の効果なのか涼しくて、身体が熱く火照らない。もっと買っておけばよかったと後悔した。
直感に素直になろう。


茶想

試飲の記録です。

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