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温州人の易武古樹熟茶 その1.

采茶 : 2015年10月
加工 : 2016年10月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山落水洞+老曼娥古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺
温州人の易武古樹熟茶

お茶の感想:
自分よりも一歩先に熟茶の小堆発酵に挑戦している温州人が、サンプルを持って西版版納に帰ってきた。
小堆発酵のミャンマーでの様子はこの記事で紹介した。
+【版納古樹熟餅2010年 その32.】
金の価格が高いので、ミヤンマーの金鉱は忙しいらしい。5日間ほど西双版納に滞在してからすぐにミャンマーに戻る。1月27日からの旧正月は、仕方がないので温州の家族全員をミャンマーに連れてゆくらしい。
古いタイプの仕事だけれど、生き方はベンチャーだよな。
金を掘るというと、チャップリンの映画『黄金狂時代』を思い浮かべる。
ツルハシひとつでアラスカの金鉱を掘り当てて大富豪になる話。でもそれは100年も昔のこと。現代の金掘りは、掘り出した土の中から金や希少金属をいかに分類して抽出するかに技術の要がある。
そこに微生物や酵素が活躍している。
ちょっと聞いただけでは理解できないけれど、土となって混在する様々な成分を分解したり結合したりして、目的の物質だけを取り出すのに有効な、ある種の微生物や酵素を特定できているということになる。
なので温州人は微生物に詳しい。
熟茶の渥堆発酵における仕組みをおおむね理解している。
はじめての小堆発酵で失敗しないのは、その知識が役立っている。
温州人の易武古樹熟茶茶葉アップ
黒く変色した茶葉の色からして、自分の小堆発酵とは異なる。
しかも、最後の加水を11日目に終了したというから、かなり短期間である。
黒くなりすぎたのは意図したものではない。
11日目の加水の量が多すぎて、茶葉が高温になりすぎて、このままでは腐らせてしまうので、茶葉を大きな板の上で薄く広げて温度を下げて、2週間ほどかけてゆっくり乾燥させたらしい。
この結果からいろいろ学ぶところがある。
温州人の易武古樹熟茶泡茶1
このお茶はとても美味しく仕上がっている。
黒い色は茶葉が酸化しすぎた色であるが、しかし、劣化につながる嫌な味を感じさせない。体感も穏やかで、お腹いっぱいになるまで飲んでも酔わない。
温州人の易武古樹熟茶泡茶2
専売公社時代の昆明第一茶廠のお茶に似たのがあった。
+【7581雷射磚茶プーアル茶88年】
このお茶の葉も黒い。
乾燥した茶葉に太陽に焦げた車のタイヤのような臭いがかすかにあるが、そこが似ている。
このタイプのはミルクティーにしたら悶絶するほど美味しい。
長期熟成すると7581のようなシナモンの香りのスパイスが出てくるかもしれないが、現在は淡々としてまっすぐな感じ。
泡茶3
自分の小堆発酵のを比べて飲むと、発酵がまだ足りないゆえに味が濃くて、土っぽい雑味にさえ感じるくらい、それほど温州人の熟茶には透明感がある。
種麹は同じ『版納古樹熟餅2010年』を培養したものだが、温州人の熟茶のほうがこのお茶に近い。
自分のはまだちょっと遠い感じだ。研究が足りないな。
なにが違うのか?
ミャンマーでの小堆発酵の様子を聞いてすぐにわかったのは、通気の違い。
通気が良いのだ。
いくつか原因がある。
まず、茶葉が違う。
秋の散茶を原料にしているので、茶葉の繊維がやや硬くて弾力があり、小堆塊の中に小さな空間をつくりやすい。
袋の素材が違う。
麻の荒く編んだ布で茶葉を囲っている。実はこの同じ麻の布袋を入手したが、石油臭くて、2度洗っても臭いが取れないので断念した。何度も洗わないといけないらしいが、その前にガーゼ生地の布袋を見つけて、そっちを使っている。ガーゼの通気はよいが、麻のようなゴワゴワした質感はない。ゴワゴワが小さな空間をつくっているのかもしれない。
囲い方が違う。
自分の小堆発酵は布袋にまとめて袋の口を封じている。温州人のは袋の口を閉じずに開けたまま。竹籠ごと木箱に囲っている。空気に触れやすい。
通気が良いと、水の許容量が多くなる。蒸発が早いので、結果的に水を多く掛けることになるが、茶葉の内部では新しい空気の入るチャンスも多くなる。
そして熱も逃げやすい。
加水後は65度の高温を記録したこともあったらしいが、平均的な温度はもしかしたら自分のよりも低いかもしれない。
自分のは加水の量は少なめだが、水が逃げにくいので発熱が持続しやすい。そのうえ電気カーペットで24時間加熱している。
温州人の小堆発酵は、温かい季節の10月に行われたので、室内は26度はあったらしいが、あくまで常温であるから、明け方の寒い時間帯や、太陽が出ない雨の日(10月はまだ雨季で雨の日が多い)などは、やはり肌寒いくらいに冷えていただろと思う。
この結果を参考にして、自分の小堆発酵ももっと通気を意識することにした。
そして低温ぎみに管理する。
低温といっても、水の多い中心部は50度に達することがあるだろうし、外側は26度よりも下がらないように調整する。
加水の量を減らすことになると思う。
餅茶を崩した茶葉は隙間が小さくて、弾力も弱いので、水が多いとその隙間を埋めてしまう。
この状態で酵母などが活発になると、二酸化炭素を吐き出して充満して窒息する。
好気性の良性の菌類が活動しないと、悪性の菌類がはびこる原因となる。
葉底
水を少なめにすると、変化に時間がかかるかもしれないが、1ヶ月かかるところが3ヶ月になろうが1年になろうが、美味しくなるならそのほうがよい。
もしも1年以上かかったら、生茶の老茶に近くなるかもしれない。

ひとりごと:
酸醤米綫。
西双版納のダイ族の名物。
米の麺、ビーフンが発酵させてある。普通の米綫よりも旨味がある。米にしては弾力があり、ツルッとした触感。
具沢山で9元。毎日食べたいくらい美味しい。
自転車で米綫
蒸した米を天日干し1
蒸した米を天日干しアップ1
蒸した米アップ2
酸醤米綫
路地裏の有名店
麹づくりのための蒸した米が外に干してあるが、これをどう使って米綫を発酵させるのかは知らない。
天日干ししているということは、太陽光線に強い種類の麹かもしれない。
(追記:酵母だったかな?)
微生物は太陽光線に弱いのがほとんどなので、天日干しによって特定の麹だけ選んで培養することに成功している。
蒸した米を外に干すだけでそれができるのだから、西双版納の空気中にはこの種の麹がいっぱい飛び散っていて、西双版納の気候はこの発酵に適しているということである。


茶想

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