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中茶牌3917沱茶93年 その12.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮密封
茶水 : チェコの水道水・浄水器
茶器 : チェコ土の宝瓶
マルちゃんとお茶
マルちゃんとお茶

お茶の感想:
マルちゃんのお気に入り。
クリコフの工房で、移動の汽車で、プラハの民泊のアパートで。
どこでもこのお茶。
【中茶牌3917沱茶93年 その11.】
濃く淹れると、強いのにまろやか。
お茶の苦い刺激にやや中毒症状の人にはたまらない。ドブリー!
製茶の下手な焦げ味も、23年間熟成した今となってはスモーキーなスパイスで、プーアール茶ならでは野趣となる。
しかし、自分が美味しいと思うお茶が、みんなにも美味しいとは限らない。
現に、マルちゃんのお茶仲間の多くは、このお茶をそれほど良いと思っていないらしい。
そのほうが都合がよいのじゃないの?
欲しがる人が少ないと、すぐには売り切れないし、価格も上がりにくい。
マルちゃんとお茶
美味しさをシェアしたい。
自分の美味しいが他人の美味しいであってほしい。
それゆえに、美味しさを自分で判断せずに他人に判断してもらいたくなる。
ま、お店としては、そういうお茶を売りたいけれど・・・。
結果、みんなに美味しいというファンタジーがつくられ、そこにワラワラ人が集まる。
プラハでプーアール茶勉強会
プラハの勉強会で2つのお茶を飲み比べた。
答えを言わずにブラインド試飲。
『章朗古樹紅餅2016年』と『巴達生態紅餅2016年』。
同じ巴達山の同じ春の「古茶樹」と「小茶樹」の紅茶。
価格は3倍以上の差がある。
「どっちが美味しい?」
と聞いたら、ほぼみんなが小茶樹の紅茶を選んだ。
実は、自分もこの日は小茶樹の紅茶のほうが美味しいと感じた。チェコの冬、チェコの空気、チェコの水、チェコの食べ物を1ヶ月間食べている身体。価格は安くても美味しい。こんなことはよくある。
飲み比べで2種のお茶を飲むと、体感がどちらのお茶由来のものかわからなくなるので、その点で古茶樹のお茶は不利であるが・・・。
このとき受講者に不安の色が見えた。
業者の人もいる。間違ったら恥ずかしい。安い方を選んだら舌に経験が無いと思われるかもしれない。他人の顔を見て、他人の意見を求めて、どちらにしようか考える。
チェコのプーアール茶勉強会
業者の人は他人の好むお茶を選ぶのが仕事だから仕方がない。
(だから、業者の選ぶお茶は美味しくても平凡でつまらないのが多いのかもしれない。)
自問自答してみる。
『中茶牌3917沱茶93年』のような強い個性のを、自分がオリジナルのお茶でつくれるのか?
つくれないな・・・。
製茶で焦がしたとか意図しないところが、そこが魅力であるなんて、主張できない。
多数の人の批判にガマンできない。少数の人の絶賛のことは考えもしない。
お茶は、安全第一なので表現の幅は狭いかもしれないが、安全を機能に置き換えたら茶器も同じ。
マルちゃんの茶壺
今まで、日本に渡ってきた作品しか見たことがなかったので、クリコフの工房に残された”選ばれなかった”品々を見ると、なんとなくわかる。焼き上がって思いもしなかった形や色に変化したものの中から、出品する品を選ぶのに、マルちゃんがいかに慎重に自問自答してきたか。
チェコには現在15人ほどの陶芸作家がいて、そのうち中国茶の茶器をつくるのは5人か6人といったところだろうか。プラハのお茶の店の棚に、チェコの作家さんたちの作品が並ぶ。その中にあると、マルちゃんの作品の異様がわかる。歪んだカタチに鈍い色。また同時に、他の作品に「オレオレ」的な主張が現れているのが見える。ただ、カタチが整っていたり、色が美しいだけなのに。
この中から欲しい作品を10秒で選べ!と言われたら、たぶんオレオレのアピールに負ける。多くの人が「オレオレ」のほうを選ぶだろう。
「よい器ですね」と他人から褒められることのほうが、自分が好きかどうかよりも大事だから、歪んでいるのは避けたい。機能面で優れているほうが他人にわかりやすい価値だから、好きなカタチや色は後回しで考えたい。
でも、その選択方法で買った器は、それから先はどうなるのだろ?
毎日付き合ってゆけるかな?
しばらくしたら使わなくなって、お客が来たときだけの出番にならないだろうか。
他人に媚びてしまう。みんなと同じ美意識というファンタジーの仲間に入れてほしい。
マルちゃんの茶杯
マルちゃんの茶則
モノをつくる側の人が「オレオレ」の意識を削ぐには、ちょっと修行が要ると思う。
売れにくいモノをつくるという経済的な抵抗の他に、ひとりになる不安への忍耐が要る。
そういえば、チェコのクリコフの工房に着いた初日に、マルちゃんからこんな質問を受けた。
「美味しさに影響はないみたいだし、不良品というわけではないと思うけれど、この前買った『中茶牌3917沱茶93年』の表面にカビのような白い粉がちょっとだけあるのだけれど、これ大丈夫?」
言いにくいことで、タイミングを選んだのだろう。
プーアール茶の白露
「あ、それ、良い方の麹カビのつくった酵素成分だと思うから大丈夫。昔の香港倉庫の老茶にはよくあったよ。」
そう答えたらマルちゃんは安心して嬉しそうだった。
やはり不安になるのだ。
たとえ、自分の味覚と体感を信じていても、プラハのお茶仲間たちはこのお茶を評価していない。
みんなが正しくて、自分は間違っているのではないか?と心配になる。
自分の好きなものを選ぶには勇気がいる。忍耐がいる。
そんなにしんどい思いをするくらいなら、他人に選んでもらった「自分の好きなモノ」のほうが楽だよな。

ひとりごと:
マルちゃんの工房にずっと売れ残っていた白いお椀。
高台が三角の白い茶碗
高台の三角がカッコよくて気に入ったのだった。
その他の魅力はあまりない。むしろ平凡な感じがする。
でも、買うことにした。
誰かに「変なの選ぶな。見る目がないな。」と言われても平気。
友達いないから。


茶想

試飲の記録です。

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