プーアール茶.com

農薬について考える その1.

2017年の春茶はつくらないことにした。
3月中旬の、これから旬を迎えるというときに決めたけれど、決めてから間もなく2週間も雨が続いた。清明節の4月5日に青空が戻ったが、撥水節の4月12日からまた雨が6日間続いた。水気が多いと早春の香気・茶気が逃げる。当店の製茶は晒干(天日干し)に頼るので、空に雲が多いだけでもスッキリ仕上がらない。
2011年の春もたしかこんな天候のめぐりだった。雨の西双版納
雨の西双版納
だが、春茶をつくらないのは天候のせいではない。健康な茶葉の入手が難しいせいだ。ずっと心の中にこの問題がモヤモヤしていて、手を止める理由ができたらホッとした。
自分は心身ともに健康のつもり。いつでも森に入れるようトレーニングを続けているし、食べものにも気をつけているし、しっかり寝ているし、むしろ健康だから休むことができると思う。
農薬と土壌汚染の心配を無視できないところにきている。
これまでにも心配はあったが、隠していたわけではなくて、知れば知るほど根の深さを知って問題が難しく見えてきた。
慎重になって、しばらくブログの更新もできなかった。
なぜなら、この問題に触れるとみんなに嫌われるから。
ちょっと考えれば分かることだけれど、お茶だけの問題ではない。みんなが毎日食べてるものや飲んでいるものすべてに疑いがあり、みんなを気持ち悪るがらせることになる。
原子力発電所の放射能の問題と同じで、これに反対すると経済的に苦労しめられそうな不安もある。
除草剤の撒かれた地面
(草甘燐で焦げた黒い草)
今のところもっとも怖いのは中国名:草甘燐。アメリカのモンサント社の発明した除草剤グリホサート(日本名:ラウンドアップ)で、西双版納ではここ3年くらいで使用する農家は少なくなったが、それは表向きのことで、隠れたところでは今でも使っているし、これからはもっと需要が増すだろうと推測している。組織ぐるみの隠蔽もある。モンサント社の権利が2000年に終了しているので、現在は中国のメーカーのつくるコピー品が流通している。
雲南のお茶の産地にこれが普及したのは比較的最近のことで、2007年のプーアール茶バブルと呼ばれた年の前後と、2010年から価格が上昇した古茶樹ブームの前後である。茶葉の需要が急拡大して農地を新しく開拓するときに活躍するからだ。しかし、その後も年々上昇する人件費が草甘燐の使用を後押している。例えば、草刈りや土を起こす鍬入れはアルバイトを10人雇って1日2,000元かかる労働だが、除草剤なら100元。年に2回で4,000元のところ200元で済む。
お茶以外の農産物、果物や天然ゴムやサトウキビのプランテーションではもっとたくさん使用される。茶山の周囲にはこうした農地が急拡大しているので、完全に避けるのがますます難しい。
2014年から原生林の森のお茶に注力してきたのは、この問題を避ける手として有効だったが、森はどんどん小さくなっている。また、森のお茶ブームによってより多くの森のお茶を採るための山道や新しい農地開拓に草甘燐が使われるケースもある。森の中も聖地ではなくなりつつある。
草甘燐は数年間土に残る。
古茶樹の周りにも除草剤
古茶樹の周りにも除草剤
(古茶樹の周りにも除草剤)
茶友の中には敏感な人がいて、7年前に1度だけ使用された農地のお茶にも舌に痺れを感じて皮膚が痒くなる。自分はそこまで敏感ではないが、3年や4年くらい前までの草甘燐ならお茶の味に見つけることがある。
大げさに言っているのではない。例えば、化学調味料を避けた食事を毎日続けたら、スーパーやコンビニの加工食品やファーストフードが耐え難くなるだけでなく、大手メーカーの醤油や味噌にまで化学調味料の味を見つけられる。のどが渇いたり、眠れなくなったり、皮膚が痒くなったり、全身がだるくなったりする。心理的な問題ではなくて習慣の問題。健康な食生活をすると身体が敏感になるので、それに気付きやすくなる。ついでに言うと、自分は日本の市販の白米は体感が重たすぎる。
中国茶の高級には体感の良さが求められる。お茶は漢方の国に生まれた嗜好品である。
草甘燐の散布された地面は弾力を失って土が砂のようにサクサクになる。もうそれを見ただけで十分に気持ち悪い。
基準値がどうとか数年で土に分解されるとか、どんな数値を出したところでこの気持ち悪さを覆すことはできない。自分はあくまで感覚で判断するので、誰かに理解してもらう必要はない。
人間の身体が科学的に解明できている部分は8%だったかな?(どこかのお医者さんが言っていた)ということは92%がわかっていないというのに、どうやって草甘燐が人の身体に良いとか悪いとか科学的に判断することができる?
例えば、茶葉の成分を分析検査しても問題が見つからないケースもあるだろう。もしかしたら草甘燐がなくても森の健康は損なわれ、お茶に嫌な味や体感が宿るかもしれない。草甘燐は汚れた海に発生する赤潮のようなもので、不健康なシグナルのひとつにしか過ぎなくて、原因のすべてではないだろう。
土の生態系が不健康になって、茶樹がなんらかの反応をして、お茶の味や体感が悪くなる。この因果関係が自分の感覚で認められただけで十分である。
森を失った山
森を失った山
(森林を失った山)
自然環境と人の身体や心は同期している。茶山の健康と自分のお腹の中はつながっている。地球上の大規模な原生林の消滅と人間の健康はリンクしている。
こういう情報がある程度普及すると、これを利用して商売する業者もいる。
自分だけは自然栽培の健康なお茶を手がけているとアピールして、少しでも商売上の優位な立場に立ちたいわけだ。しかしここは中国。同じことをアピールする業者はすでに何百・何千といて、ホンモノを見つけるのに苦労する。市場では雲南のお茶というだけで有機栽培的なイメージが定着している。
周囲に人家や農地がなくて数時間も歩いて入る森の中であるとか、さらに山を超えて国境を超えた未開発のラオスやミャンマーの山であるとか、実際にまだあるにはあるのだが、いずれも中国の老板によってお金をかけて開拓されている。同じ資本によるおなじ市場に向けた商売なのだ。歩いて国境越えのできる地元の人たちから収集した話しでは、ラオスもミャンマーもすでに中国側の有名茶山と同じことになっている。隠れたところだからもっと大規模に森林が伐採されて農地開拓されて、人工的な栽培のお茶が増えている。
どういうわけか今年はホンモノの森のお茶にもホンモノの越境のお茶にも、すでに嫌な味や体感が現れてきている。草甘燐の無いはずの土地にもだ。
自分が間違っていたなら、それは良いことだから無視してくれたらよい。ひとりで悶々としているだけだから。
2009年に西双版納のお茶づくりをはじめたときには、こんなことになるとは予想もできなかった。
でも、こんなことになったからこそ自然環境とお茶の味の関係や人の生活の変化や、いろんな因果関係に気付くことができた。農家や茶商がどのようにして自分を騙して他人を騙すのか、自分の中にも潜んでいるワナについてもちょっと分かるようになった。
これからどうしたらよいのかわからないけれど、このまま観察を続けるつもりだ。
今は見るだけ。それしかできない。

追記:
当店のお客様で、すでに購入したお茶が大丈夫なの?という心配があれば遠慮なくメールをください。わかる限りのことををお伝えいたします。


茶想

試飲の記録です。

・キーワード検索

・カレンダー

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>

・表示されている記事

・お茶と年代のカテゴリー

・記録

お茶の歴史
お茶の歴史 (JUGEMレビュー »)
ヴィクター・H・メア,アーリン・ホー

・サイトリンク

・プロフィール

 

mobile

qrcode

powered

みんなのブログポータル JUGEM