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巴達古樹紅餅2010年 その20.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺
巴達古樹紅餅2010年

お茶の感想:
熟成のお茶をつくりたい。
20年モノ30年モノの老茶にはそれ独自の味があり体感がある。
長年熟成することによって茶葉は性質を変える。
生茶のプーアール茶は、とくに春の茶葉は”寒”が強いと言われるように身体の芯を冷やすが、30年も熟成させた老茶は”温”の性質に変わる。味わい深くなり、茶酔い心地も上質になる。味覚と快楽と薬効がひとつにつながる感じ。漢方にも共通する知恵がある。
熟成させるためのお茶づくりは、新しいうちに飲むためのお茶づくりとは異なるはず。
ところが、そのへんが曖昧なのだ。
プーアール茶には歴史の途切れた期間があって、教科書もなければ先生もいない。わからないことは自分なりに探るしかない。
そこで仮説を立ててみる。例えば、オリジナルのお茶では直射日光による晒干にこだわっているが、近年は半透明のビニールシートやプラスチックボード越しの日光で晒干するのが一般的になっている。雨を避けて製茶できて生産効率がよいからだ。なぜ直射日光かというと、太陽光線で茶葉の表面を焦がすため。その焦げが抗酸化作用をもって長期熟成に耐える・・・というのが仮説。
この仮説が正しいかどうかわかるのは20年後。2010年のオリジナルのお茶は今年で熟成7年目なのであと13年待つことになるが、できたらそれまでにちょっとでも確かなことを見つけたい。つぎの新しいお茶づくりに反映させたい。
ということで、熟成の観点でみてみる。
巴達古樹紅餅2010年
今日はこのお茶。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
紅茶であるが一般的な紅茶ではない。生茶のプーアール茶から殺青の工程を省いただけの製法。なので”生”な要素が多く残っている。ある意味で生茶よりももっと生。一般的な紅茶は機械乾燥の工程でしっかり熱をとおす。茶葉の成分変化を止めるために酸化酵素を熱で失活させる。このお茶は圧延加工の蒸気以外に酸化酵素を失活させるほどの高熱(70度以上)がとおっていない。蒸気はコンプレッサーで圧力がかかって100度を超えているものの、ほんの15秒から20秒しか蒸らさないので、茶葉の芯まで熱がとおるはずがない。圧餅後は乾燥室で乾燥させたが60度以下で12時間ほど。12時間のうち8時間くらいは常温に近いはず。内側に”生”が宿っている。
教科書的なお茶づくりからしたら邪道である。お茶として不安定すぎて完成していない。しかし、”生”な要素が長期熟成に有効だと仮定して、その”生”の意味が酸化酵素の活性を残すということであれば、この茶葉はサンプルとして面白い。いや、実際のところイケると考えて、2011年・2013年・2014年・2015年・2016年と同じ製法の紅茶をつくっている。
餅面の色はやや黒味が増したくらいでそんなに変化ないが、香りはかなり変わった。
鮮花のラベンダーのようなツンツンした香りから、ドライフラワーのローズを経て、ドライフルーツの杏っぽい香りになった。
巴達古樹紅餅2010年
お茶淹れはこだわると難しい。当然ながら熱に敏感だから。
できたてから2年目くらいまでは高温で淹れると辛味が立つ。
昨年の同じ製法の紅茶は、蓋碗に湯を注いでから茶葉を投入するという淹れ方を紹介しているが、茶葉が煮えてしまうほど敏感なのである。
+【章朗古樹紅餅2016年】
茶葉を煮やすと美味しさは半減する。
7年目の現在は、低温では味がバラバラでまとまらない。酸味が際立つこともある。高温でじっくり抽出するとまとまる。豊かにふくらむ。茶器は保温性の高い茶壺がよい。茶壺の中で熱がとおって味がまとまるのだが、この変化の大きさをみても熱に敏感に反応していることがわかる。しっかり熱がとおると香りに新鮮さが戻ってドライフラワーのローズくらいになる。
ピリピリ感はまだ健在だが潤いが増してまろやかに感じる。苦味・渋味の余韻が涼しく鮮味を感じるので、何も言わずに飲まされても7年目の茶葉とは思わないだろう。
チェコ土の茶壺でお茶淹れ
おもいきって濃くすると苦味・渋味が強いが、かすかにチョコレート風味の出てきているのが見つかる。
これはメイラード反応(常温の焦げ)によるタンパク質の一種が焦げた風味。老茶には必ずある。烏龍茶のように柔らかい炭火で焙煎した紅茶が福建省にあるが、それも同じようなチョコレート風味を持つ。炭火は高温なので数時間でメイラード反応を得ている。
体感は”温”を増してお腹がポカポカ温かい。背中の筋肉がゆるむ。茶酔いはゆったり穏やかになってきている。
このバランス。このセンス。7年熟成モノの中ではいちばん老茶に近い雰囲気があると思う。
もっとチョコレート風味が明らかになって味に深みが出ないと、老茶ファンを満足はさせられないけれど。
葉底

ひとりごと:
2015年の冬にこのお茶を機械乾燥して餅茶のまま焙煎を試したことがあった。
しかしこれは失敗。サンプルとして不十分。
火入れは丁寧にやさしく行わないと荒れる。荒れてサンプルにならない。
ただ、風味に涼しさを失ったのは確かだった。上手に焙煎された福建省の紅茶でも涼しさの点ではこのお茶に劣る。
プーアール茶の60年モノにも保たれている涼しさが、もしも酸化酵素を残すという意味での”生”であれば、生茶づくりの殺青をあまりきっちりやってはいけないかもしれない。最近みんなはこれをきっちりやりたがっているが、どうなのかな。


茶想

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