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刮風寨冬片老葉2016年 その3.

製造 : 2016年12月(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 晒干緑茶
形状 : 散茶50gパック
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 銅のヤカン+炭火
炭火

お茶の感想:
プーアール茶は沸き立ての熱い湯で淹れるのが基本とされている。
蓋碗なり茶壺なりに熱湯を注いでサッと湯を切る短時間の抽出により、茶葉を煮やさないようにして、お茶の新鮮な香りや涼しい味わいを求める。熱い湯で煮やしてしまうと重くなって涼しさを損なう。また、90度以下に温度を下げると煮える問題はないが、香りも味もぼやけて涼しさを欠く。新しい(熟成数年くらいの)生茶は生っぽさが鼻につく。
熱湯で淹れるプーアール茶
蓋碗なり茶壺なりに湯の熱が吸収される分も考えて、やはり熱湯がふさわしい。
西双版納で淹れていたお茶を上海に持ってきて淹れると、上海のほうが美味しくなる。
海抜600メートルくらいの西双版納の沸点は97度くらい。海抜0メートルくらいの上海の沸点は100度くらい。たった3度の差がお茶の味に影響する。
温度が低くても、持続させて熱量でカバーしてはどうだろ?
茶馬古道のチベットやネパールなどの山岳地帯の遊牧民がヤカンで煮たお茶にバターを混ぜて飲むのをテレビ番組などで見るが、海抜3000メートルを超えるところでグツグツ沸かしても90度に達しないはずだから、もしかしたら煮え味の問題はないかもしれない。
そこで、炭火の出番。
炭火
銅のヤカン
炭火の湯を観察していると、90度から80度くらいの”静かな温度”が長く続くことに気付く。
これは他の熱源の電気やガスでは難しい。
電熱ポットには温度調整できるものがあり、80度に設定すればよいと思うかもしれないが、その構造上センサーが80度から外れた温度を感知すると電熱のオン・オフを頻繁に繰り返し、ポットの中の湯は熱源に近いところは熱くて遠いところは冷たくて、暖流と寒流が混ざり合い湯は荒れている。こんなところに茶葉を放り込んだら味も荒れるだろう。
炭火の照射熱がヤカンを下からふんわり包み込んで生まれる”静かな温度”の湯。
温度計は見なくてもよい。
鉄瓶なり銅のヤカンなりで湯を沸かすのに慣れてくると、沸騰するまでのサインをいくつか見つける。湯気の出方とか、湯の動きとか、鉄や銅の微かな音鳴りとか。沸騰する前後の湯を飲んで、口の感覚で違いを覚える手もある。
そうすると、だいたい80度から90度くらいをキープする炭火の加減がわかるようになる。
まずこのお茶を試す。
『刮風寨冬片老葉2016年』(卸売部)
刮風寨冬片老葉2016年
刮風寨冬片老葉2016年
湯気
茶湯の色
30分ほど湯に浸かってこの透明な茶湯の色。
味も透明感ありながら生っぽさはない。もともと火入れの甘い製茶なので、白茶の寿眉に似た草っぽい生さがあったが、香りは新鮮味を残しつつ味わいはしっかり晒青緑茶。いわゆる生茶のプーアール茶。大きく育った茶葉なので、渋味・苦味がほとんど無く、ぼんやり輪郭の見えない味。
このくらいが飲み頃だと思うが、試しにさらに1時間浸してみた。
炭は燃え尽きるのを待つだけだが、途中隙間が空いて空気の通りが良くなると火力が上るので、たまに見て火箸で炭のポジションを調整する。
銅のヤカンの中
茶湯1時間後
香りは、草というより茶葉に近づき、漢方っぽいスパイスもある。
味は、柔らかい苦味とちょっとの渋味が加わりキリッとしてきた。
煮えたときに出てくる濁りや、舌にねっとりした感じは無い。爽やかさを保っている。
茶葉の性質上、このお茶はこの淹れ方が最も適しているだろう。
次回はこの淹れ方が適してなさそうな茶葉で試そうと思う。

ひとりごと:
炭火には、茶壺や蓋碗のように手の延長になってくるような感覚がある。
火箸で炭と炭の隙間を調整したり、角度を変えてみたり。灰匙で灰を寄せてみたり、灰を避けてみたり。
まだ思うようにはゆかないけれど、自転車に乗ってバランスをとるような身体の感覚。
電熱のダイヤルやガスのつまみを調整するのとは違うよな。
炭火使用後
炭火


茶想

試飲の記録です。

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