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巴達古樹紅餅2010年 その25.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶・炭火
鉄瓶
炭火

お茶の感想:
茶葉の芯にひそむ水。
茶葉の繊維のミクロの水道管に残るわずかな水が保存熟成にとってマイナスである・・・とは言えない。
逆の可能性も考えてみる。
物理的には無理なはずだが、水を完全に抜くと茶葉の繊維が傷むだろう。繊維の緊密な状態を保つ水のあるほうが、保存熟成にとって有利な面があるかもしれない。そう考えると思い当たるところもある。
巴達古樹紅餅2010年
巴達古樹紅餅2010年
この紅茶には2015年の秋に熱風乾燥を試したサンプルがあった。
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.】
100度に近い熱風を与えているので焙煎とも言える。
このときの文章を振り返ってみると、茶葉が生まれながらに持つ酸化酵素の変化に注目している。70度で失活する酵素なので、熱風乾燥後はこれによる変化は少ないだろう。しかし、熱による茶葉の繊維の劣化については触れていない。
乾燥の「燥」と表現していたドライな風味は、酵素だけでなく茶葉の繊維の変化にも原因があるのではないのか?
それから2年経つ。
実はこのサンプルは上海の友人の店に残してあって、興味のありそうなお茶マニアに飲んでもらっている。
その評価はというと熱風乾燥をしていない”生”のほうが圧勝。
”生”のどこがよいのか。
熱風乾燥
生
上: 熱風乾燥
下: 生
この2つを飲み比べると、味の違いはわずか。
熱風乾燥のほうがやや酸味が強い。味の輪郭がハッキリしている。”生”のほうは全体的にぼんやりしている。
それよりも口当たりに大きな違いを感じる。
”生”のほうは口に溶ける。喉をすべる。腹になじむ。
「美味しいですか?」と誰かに聞いたら、その人は舌先や鼻先に意識を集中して、どちらも美味しいし個人の好みの問題ということになるだろう。
しかし、中国茶の上等は舌先や鼻先の味にはそれほど大きな価値はつかない。
口感。体感。これは味の好みほど個人差が現れない。
口感や体感を左右するものがどこから来るのかを知るのは、お茶づくりの大事なところ。
ところで、熟成のパターンはひとつではない。
生茶・紅茶・熟茶を長期熟成させているが、熟茶の茶葉は芯の水が溜まりにくくなっている。
微生物発酵の黒麹菌の菌糸が茶葉に潜り込んで、ミクロの水道管に穴をいっぱい開けるからだろう。多少湿度の高い環境に保存しても茶葉が水を吸収できないから、結果的に乾燥を保った状態となる。
20年めのこのお茶。
+【大益茶磚96年プーアル茶】
熟茶
今あらためて飲んでみると、おしるこ。
粉っぽいというか埃っぽいというか、小豆のようなきな粉のような風味がある。甘味・旨味は穀物レベルの豊かさを感じる。
常温の焦げと呼んでいるメイラード反応がさらにすすむと、豆っぽい風味はお香のような清らかさを得る。
2010年のオリジナルの熟茶『版納古樹熟餅2010年』はまだそこまで粉っぽくないが、この7年間の変化をふりかえると”常温の焦げ”はすすんでいる。このまま20年経つと同じように豆っぽくなり、さらに熟成がすすむとお香っぽくなるだろう。なってほしい。
熟茶は微生物発酵の時点で”生”な要素を失っている。
熟茶の熟成変化と、熱風乾燥の『巴達古樹紅餅2010年紅茶』のこの2年間の変化と、ちょっと似ているような気がするのだ。
葉底
左: 熱風乾燥の葉底
右: 生の葉底
”生”のほうがより赤く変色がすすんでいる。同じ環境に保存していても茶葉の繊維の水を含む量が”生”のほうが多いとしたら、この色の差は当然である。
すごく微妙だけれど、指で触った感じが”生”のほうがフワフワ柔らかい。
生茶のようにつくったこの紅茶もまた、涼しさと潤いとが求められる"陰”のお茶。
もっと熟成がすすんで、甘くしっとりした味わいになっても、身体を温める効果が強く出てきても、涼しさと潤いとを失ってはいけない。
保存熟成の茶葉の芯にわずかな水が保たれる効果が、ここにあるかもしれない。

ひとりごと:
そしてこの茶葉の水は、保存のときの通気を許すことによって少しずつ新しいものに入れ替わったほうが良いかもしれないと推測している。
なぜかというと、水は一箇所に溜まろうとするから。
完全に密封してまったく空気が動かないようでは、餅茶全体の茶葉にまんべんなく水がめぐるのは難しいだろう。それとも気圧の変化やわずかな温度の変化が水を動かしてくれるだろうか。
家庭で1枚ずつ密封保存している餅茶は、たまに崩すときに密封の袋の口を開けたり閉めたりしているだろう。それで十分だと思うけれど。


茶想

試飲の記録です。

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