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刮風古樹青餅2018年・晩春 その1.

製造 : 2018年4月末(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶200gサイズ
保存 : 西双版納
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・ステンレスポット
チェンライバス
チェンライバスの扇風機
チェンコーン
メコン川
晩春

お茶の感想:
今年のメインのお茶のページができた。
タイのチェンコーンに滞在して1ヶ月。布を求めてラオスに1日行った以外は、毎日文章とにらめっこした。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】 
+【刮風古樹青餅2018年・緑印】 
ここに書いていない続きの話がある。
自分が景洪のアパートで圧餅をしているときに、茶友はまた刮風寨に行った。
第一波(初摘み)の最後の”晩春”のお茶をつくるため。
すでに何度も雨が降っているから、茶葉の繊維は硬くなっているし、早春の茶気は逃げているし、しかし、噂によると早春よりも香りは強いらしい。価格も安いから普段飲みのお茶になるかも。
それで、5月15日頃だったか、茶友が山から降りてきてサンプルをくれた。
刮風寨の工房で圧餅も済ませてある。
采茶は4月末頃。黄印や緑印のおよそ2週間後。
晩春の餅面
晩春の餅面裏
西双版納は雨季の入り口で雨の降る日が多くなっているから、次の日の晒干(天日干し)を含めて2日間晴れが続く日を選ぶと、結局2日分しかつくれなかったらしい。少量すぎて売る分はない。
一般的には雨が降ってもつくる。農家は毎日つくっている。半透明のプラスチックボードの下で干すからだが、われわれは直射日光にこだわるからつくれない。
古茶樹は新芽の出てくるタイミングが一本一本違う。
例えば今年の茶坪の場合、契約する農家の山の斜面の200本ほどのうち4月11日・12日・13日の3日間に采茶した黄印や緑印になった51本と、単樹の2本と、合わせて53本が理想のタイミングで采茶できたが、それ以外の147本は理想からはズレたタイミングで新芽が出る。
さらに、一本の茶樹の大きな枝ごとにもちょっとずつ差がある。
理想のタイミングの53本も、あと2週間ほど待つと別の枝の新芽・若葉が成長していて収穫できる。
したがって、理想のタイミングの収穫量は200本分の53本ではない。400本分の53本に相当するだろう。
理想と理想でないのは1:8の割合ということになる。第一波(初摘み)のお茶にもいろいろなレベルがあるのだ。
茶友が試した理想ではないほう。最後の初摘みの晩春のお茶。
晩春
『刮風古樹青餅2018年・晩春』と名付けた。
見るからに違うが、内容もまったく違うお茶になっている。
茶葉が開いているのは、繊維が硬くて揉捻で捩れないせい。
新芽が少ないのは、育って若葉になっているせい。
茎が短いのは、大きく育って柔らかい葉のところだけを摘むせい。茎はさらに長く太く育って硬いから摘めない。
葉の色がとりどりなのは軽発酵のムラがあるせい。
茶壺で淹れる
茶湯の色
湯を注いですぐに香りが立つ・・・というほどではない。刮風寨の大きく垂れるタイプの茶葉なので、香りは内に薫る。
おそらく香りの成分と共通であろう渋味・苦味・辛味が強い。甘い香りなので苦味や渋味とのバランスは良い。茶気は弱いのでサラッとしていていくらでも飲める。水質は粗くて舌の上にザラつくが、のど越しはきれいに滑るから悪くはない。飲んだ後の口や喉にメントールの涼しさがある。
茶坪のお茶は刮風寨の中では香りが弱いと思っていたが、刮風寨どころか漫撒山一帯のお茶と比べても香りが際立つ。
香りはどこから来たのか。
雨が降って成長して開いた茶葉が太陽光を受けて光合成が活発になったことの成分・・・もあるけれど、それだけではない。
茶友の話では、殺青(鉄鍋炒り)がほんの5分で済むらしい。もっとしっかり炒ろうとしたら焦げてしまう。
茶葉に水分が少ないのだ。雨が降って成長した茶葉なのに。
殺青は茶葉の形状や質に合わせて、火の熾し方や撹拌する手の動きを調整しなければならないし、生茶づくりで最も難関だから、そこを中心に製茶を組み立てることになる。
茶葉の形状や質。
茶葉は、尖った新芽、開いた若葉、円柱形の茎、と形がバラバラで、さらに繊維の質や成分や水分も異なるから、殺青の鉄鍋炒りでいかに熱を均一に通すかが問題。
円柱形の茎がいちばん水分が多く、いちばん熱が通りにくいから、黄印や緑印はこの難問に全力で立ち向かって、最高の結果を出したつもりだったが、晩春のはあっけなくその苦労を回避している。茎がほとんど無いから。
泡茶
葉底
しかし、そのせいで蒸し焼き状態にならない。茎の水分が無い。
蒸しの効果がなければ焦げやすい。
高温の鉄鍋の表面と接触することで茶葉に熱を伝えるしかなく、手返しを早くしないと焦げる。
結果的に短時間にしておかないと焦げの割合が多くなる。
イメージとしてはチャーハンの米粒をパラパラに仕上げる炒め方。きつね色を通り越して黒くなったら、香ばしいを通り越して焦げ臭くなる。
米なら、蒸すなり炊くなりしてから炒めるからよいが、茶葉は熱が伝導しきらない”生”のままの部分が残って、晒干のときにそこが軽発酵のムラとなり、色とりどりになる。
香りは、海苔を火でさっと炙ったみたいな状態。鉄鍋の高温に接触して焦げる一歩手前に焼けたところが薫る。
たしかに海苔みたいに炙ることができたら、炒るよりはよいかもしれない。
焦げないように低温で長時間炒るという手もあるが、生茶ではなく緑茶になってしまう。
生と焼けがミックス状態になっている。
これぞプーアール茶と言えるのかどうか、何年かかけて吟味するつもり。
ラオス糸を紡ぐ
綿花から糸になる

ひとりごと:
サイトのお茶の紹介ページは、お茶をつくるのと同じくらいの時間をかけている。
ブログの記事なら2日で書くが、サイトのページは3週間はかかる。
なのに、ほとんどの読者にとって役に立たない。
事実を記録して伝える文章のはずが、文章にはいくらでもウソが入るから、ウソを見極めることのできる人だけにしか真価を発揮しない。
”こだわり”のラーメンみたいな感じ。多くの人にこだわりのウソを見抜けない。
古茶樹も自然栽培も、どの業者もそう言うから、文章からはホンモノとニセモノの区別がつかない。
ま、文章なんてその程度のものだ。
みんなに真実が伝わるなんて期待しない。
いつか、来年の春なのかもっと先なのかわからないが、同じところに立った人が現場で難しい問題に直面して、別の可能性を探ることになる。
そのときはじめてこの文章は役に立つ。
そのひとり(自分自身かもしれないけれど)のためだけにインターネットで公開しておく価値がある。
日本語で書いているが、ほんとうに必要な人は中国語にも韓国語にも訳すだろう。


茶想

試飲の記録です。

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