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温州人第六批熟茶2018年 その2.

采茶 : 2018年9月
加工 : 2018年9月・10月
茶葉 : 雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
温州人6批熟茶

お茶の感想:
温州人の茶友の6批(第6作目)の熟茶。
前回の記事から1ヶ月経った。
+【温州人第六批熟茶2018年 その1.】
生産現場のミャンマーでは微生物発酵のための最後の加水を終えて、自然乾燥させて、熟茶のナマ(生)の散茶として完成している。そのサンプルが少し西双版納に送られてきた。
ナマというのはまだ火入れしていない状態で成分変化が不安定だから、圧餅加工の蒸気の熱で安定させた。蒸し時間は9分で自分基準の生茶と同じ。なので熟茶にしては短め。
晒干(天日干し)1日。涼干(陰干し)10日。
温州人6批熟茶
圧餅の成形には失敗しているが、味への悪影響はないだろう。
これで一応市販されている熟茶と同じ状態になった。
温州人は過去一番良い出来だと評価していたので、自分も期待したけれど、圧餅の蒸気で温まったときにアルコール由来の糠味が強くて、ダメかもしれないと予感した。
試飲
左: 熟茶のナマの散茶
右: 圧餅後
念のために散茶と圧餅のを飲み比べてみたが、大差はない。
これまで飲んだ中でもっとも甘い熟茶かもしれない。
味に悪いところはなく、口感には清潔感がある。
しかし、”麹味”もあれば”カラスミ味”もある。
温州人の熟茶の4批・5批と比べても、もっとも”麹味”と”カラスミ味”が強い。
市販されているメーカー産の熟茶にもこういうのはある。
飲んだことのある味だな・・・と記憶をたどってみた。
+【老茶頭プーアル茶磚06年】
+【醸香老茶頭散茶90年代】
いずれも茶頭の熟茶。
「醸香」は無名だったから仕入れたときに自分が名付けたのだけれど、名前のとおりで酒粕っぽさがあった。アルコール由来の”麹味”に似ている。
オレンジっぽい茶葉
オレンジっぽい色も『醸香老茶頭散茶90年代』に似ている。
一煎め
二煎め
茶壺で淹れてじっくり飲んでみた。
3煎めくらいまで濁る。
サラッと薄めに淹れると果物の梨みたいな感じ。
濃く淹れると”麹味”と”カラスミ味”が出てくる。
麹味は、どんな熟茶にも多かれ少なかれあるもの。
このお茶の麹味はどちらかというと好感が持てる。麹味にも良いのと悪いのがある。美人とブスがある。
温習人はアルコール由来のものは揮発するから、保存熟成の過程で消えると言っている。実際に1年間保存した4批には無くなっていたが、できたてのときは有ったらしい。無くなるのではなくて変化するというほうが正しいだろう。変化して美しい香りになるのなら、むしろ意識して麹味の出るようにつくったほうがよい。
葉底
葉底に緑色の発酵不十分なところが残っているのは、温州人の熟茶の4批・5批にもあった。
緑色のところは、長期保存のときにじわじわ酵素反応による熟成変化がすすむから、これでも良いのかな・・・。
この『温州人第六批熟茶2018年』はそこそこ美味しい熟茶にできている。
そう。問題はそこじゃないのだ。
問題は、茶頭と似たような味が出ているところ。
茶頭
『醸香老茶頭散茶90年代』の茶頭 2013年6月撮影
われわれが試みた新製法の渥堆発酵の茶葉は、大きな木箱の中に囲ったり、布や竹籠で包んだり、サーモスタットで温度・湿度を自動管理したり、こまめに加水を調整したり、茶葉を撹拌したり。メーカーの一般的な渥堆発酵よりもずっと人工的にコントロールしている・・・・はずだ。
茶頭は、大量の茶葉を渥堆発酵させたときにできる。
渥堆発酵
茶葉の山の底の方は水の逃げ場がなくて、茶葉が余計に水を含んで、茶葉と茶葉がくっついて塊になって、黒麹などの好気性細菌が息苦しい状態になって、息苦しいのが平気な酵母が水に溶け出した茶葉の成分を分解して、糖質をアルコールにして、その副産物として麹味につながる香りの成分ができる。
渥堆発酵の後半のゆっくり茶葉を自然乾燥させる段階で、茶頭の内部に残った水を求めて麹菌類がまた戻ってくるけれど、根っこみたいな菌糸が茶頭の表面から中心部まで掘りすすんで新たな発酵のサイクルが始まる前に乾燥してしまうから、息苦しい酸欠だったときにできた風味が残って定着する。だから茶頭は偏った風味になる。
製品にするときは、わざわざ篩にかけて散茶と茶頭を分けてから固形茶に加工する。なので茶頭は単独で製品化されることがほとんど。
渥堆発酵6批
『温州人第六批熟茶2018年』2018年10月温州人撮影
新製法は渥堆発酵をより人工的にコントロールして、茶頭をひとつもつくらないように工夫していながら、できた散茶が茶頭と同じ味の熟茶になったのはどういうこと?
ここが問題。
つまり、コントロールできていないということ。
4批・5批に比べて6批に”麹味”や”カラスミ味”、つまり茶頭の味がより濃く出た原因は、茶葉の量が多かったから。それまではせいぜい20キロ以内だったのが6批から急に100キロに増量している。
茶葉が多いほど活動する微生物の人口も多くて、その分大量に酸素が消費されて二酸化炭素が吐き出される。微生物発酵の小部屋や木箱の通気が悪くて酸欠になっていたのだろう。
加水した水の量が多すぎて酸欠になったのが茶頭で、通気が悪くて酸欠になっていたのが6批の熟茶ということ。
渥堆発酵の発熱
渥堆発酵6批
微生物の中には酵母や乳酸菌のように息苦しいのが平気なのがいて、そのときはそれなりの仕事をして結果を出すから、衛生的に問題さえなければ、これもお茶の味の個性と解釈できる。
偶然ではあるけれど、この6批はそこそこ美味しい。
このまま技術を高めて7批・8批・9批・・・と経験を重ねてゆくと、もっと意図した風味に持ってゆけるだろう。
では、なにが不満で「このやり方はダメ」と否定して根本からやり方を変えたくなったのか?
茶友たちからひとり離れてでも違うやり方を模索したくなったのか。
微生物発酵に対する自分の勘違いとはなにか。
つづきの話は別の記事にバトンタッチする。

ひとりごと:
他人がわかるように話すのはカンタンじゃないな。
自分が見たり経験したりして辿ってきた思考の過程を、それと同じ道を辿って話をするしかなさそう。
真理を追求するフリをして商売するのが目的なら、他人にわかりやすいように事実を曲げてしまうだろう。
広告というのはそのへん巧妙で、発信側が事実を曲げたのではなくて、視聴者側の無知を利用して誤解をうまく誘導している。
学生時代に広告の仕事がカッコよく見えて憧れたことがあったけれど、今は軽蔑している。


茶想

試飲の記録です。

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