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下関銷法沱茶90年代 その7.

製造 : 1998年頃
茶葉 : 雲南省臨滄茶区大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 下関茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 沱茶 240g
保存 : 香港ー広州ー上海 紙包みのまま
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 信楽土の茶壺・グラス杯・鉄瓶・炭火
鉄瓶
西双版納の茶机
信楽土の茶壺

お茶の感想:
このお茶の微生物発酵の具合が今はっきりとわかる。
+【下関銷法沱茶90年代】
下関銷法沱茶90年代
熟茶は、昔と現在とでは見た目の製法は同じようだが中身が違っている。
現在の製法のこのお茶と飲み比べた。
+【版納古樹熟餅2010年】
熟茶
左: 下関銷法沱茶90年代
右: 版納古樹熟餅2010年
おそらくメーカーの技術者たちはこの微生物発酵の違いに気付いていない。
同じようにしているし、美味しく飲めるようにできているし、よく売れているから。考えもしない。
しかし、プーアール茶の魅力の一つである20年・30年と熟成させることを前提とするなら、昔の製法が良い。
味の問題ではない。だから個人の趣味の問題ではない。
長期熟成で変化する成分の量と質の問題。栄養価値と言ってもいいし、薬効価値と言っていいし、ちゃんと計れるカタチで違いを証明できるはずの問題。
熟茶2種飲み比べ
6煎め
左: 下関銷法沱茶90年代
右: 版納古樹熟餅2010年
茶湯の色だけを見たらほとんど同じ。
1煎めから6煎めくらいまですすめても色の差はほとんどない。
しかし、『下関銷法沱茶90年代』は約20年の熟成を経てこの色にたどり着いたのであって、1998年頃のできたての時はもっと黄色かったはずで、味も熟茶になりきらない生茶のような要素が残っていたはず。
それでいて発酵度は十分であった。
20年後のお茶の味がそれを証明している。
微生物発酵の”発酵”は、微生物が生きて活動している間だけのものではない。微生物が活動を止めても、すでに大量の酵素を作り出して茶葉の表面や内部に残している。この酵素による成分変化が続く限り、”発酵”という現象は終わっていない。
製品が出荷されて乾燥を保った倉庫の中では微生物は活動しない。
それでも、空気中のほんのわずかな水分や気温や気圧の変化によって酵素は化学反応して発酵のつづきをしている。
酵素は生物ではないので、栄養を消費しない。排泄しない。
とても都合の良いカタチで茶葉の成分を変化させてくれる。
現代の製法は酵母の活動を過剰にさせてほんの3週間ほどで20年の結果に到達する。
しかし、酵母は生物なので消費する。排泄する。熟茶の渥堆発酵にかかわる主要な微生物の中で、とくに酵母はものすごい勢いで活動してカロリーを燃焼させる。それによって味には現れない栄養分を大量に失っている。これが、後の熟成に影響する。
この2つのお茶を飲み比べたら、味にその違いがはっきりと現れている。
葉底2種
左: 下関銷法沱茶90年代
右: 版納古樹熟餅2010年
『下関銷法沱茶90年代』の葉底には、成長して硬い繊維の茶葉が多く混ざっていて、そこは酵母が活動しにくい場であるせいか、あまり黒っぽく変色していない。生茶のような明るい色を残している。
葉底下関
また、指で葉底をつまんだときの感触に違いがある。
葉底下関
葉底くっつき
上: 下関銷法沱茶90年代
下: 版納古樹熟餅2010年
『下関銷法沱茶90年代』は圧延でカチカチになってはいるが、煎じた後の葉底を指でつまむとハラハラポロポロと散らばりやすい。それに対して『版納古樹熟餅2010年』は粘着しているところが多く散らばりにくい。老茶頭にはなっていなくても、そうなる要素が十分にあって、つまり酵母発酵過剰になりやすい状態である。
ワインとか日本酒の醸造で「完全発酵」という言葉を聞く。
自分はお酒に詳しくないが、比較的近年の言葉だと思う。
完全発酵を意識してつくられたワインや日本酒を飲んでみて、実は、あまり魅力的がないと感じていた。
酵母で糖からアルコールをつくるのがお酒なので、不完全発酵のものは残糖の味であったり濁った味であったりで、透明感に欠ける。しかし、なにか物足りなさを感じる。味が濃いとか薄いとかじゃなくて、生命感が無いというか、イキイキノビノビしていない感じ。
もしかしたらこれもそうで、微生物が生きて活動している期間だけがお酒づくりで言うところの発酵という考え方でつくられていて、微生物が死んでからの熟成期間の変化を計算に入れていないのかもしれないな。
「完全発酵」・・・聞こえがいい言葉だから、知識の罠にハマりやすい。

ひとりごと:
信楽土だがチェコのマルちゃん作。
マルティン・ハヌシュ
素朴に見えるが細部にまで計算がゆきとどいている。
熱の反射が良い。
薄造りで軽い。
水の流れが美しい。
土の性質を活かして、これにしかない良さが生まれている。


茶想

試飲の記録です。

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