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熟茶づくり実験2019年 その5.

製造 : 2019年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県孟宋山小茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 微生物発酵途中
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜孝の茶壺・グラスの杯・鉄瓶+炭火
床置

お茶の感想:
第二回目の散水。
茶葉をしっかり撹拌して温度を下げて、散水後に扇風機の風を当てて24.5度にまで下げた。
1時間もしないうちに26.6度にまで上がった。室温が29.3度あるので発酵熱がなくても黒麹が活動しだす28度くらいまで数時間で上がる。
常温
いったいどのくらいの時間をかけて、30度から35度くらいまで、黒麹の活発な温度帯になるまで、待てばよいのか?、そこがわからないが、あまり急ぐと良くない気がする。茶葉の温度の上がるのが先で、黒麹菌が活発になるのよりも早いと、アンモニア臭とかカラスミ味の問題がまた出てくるだろう。
第一回目の散水のときは、発酵熱が上がってきて、室温よりも茶葉のほうが高い温度になるのに24時間はかかっていた。おそらくこのくらいで良いのではないかと考えた。
そして順調に、ゆっくり温度が上がって24時間後には33度にまでなった。
暑い日がつづいていて、加温する必要なしと考えて、上の写真のように床に置いている。蒸籠のいちばん底に厚紙をはさんで、蒸れないように通気させている。
栗のような黒糖のような甘い香りが戻ってきて、茶葉の色も黒くて、黒麹が育っている様子。
しかし、散水の量が少なすぎたせいか48時間経つまでに茶葉が乾燥した。重量を量ると、散水前に戻ってしまった。そうなるとやはり香りが弱くなって、色もまた黄色っぽくなって、黒麹が弱ってくる。
散水の量は第一回目の半分だった。少なすぎた。
そこで、もう一度散水をやり直した。
茶葉を撹拌して、散水して扇風機の風を当てて、温度を下げてからまたじわじわ24時間かけて33度くらいまで戻るのを待った。散水の量は多めに、第一回目と同じ量にした。
水が多いと、乳酸発酵っぽい酸っぱいような匂いが出るが、調子は良い。ただ、水の多いまま34度を超えると納豆菌っぽいのが現れるので、そこまで上がらないように温度管理に気をつけている。
3時間か4時間に一度は温度をチェックしている。
温度が高いときは、撹拌して冷ましたり、布袋ごと上下をひっくり返す天地返しをしたり。温度が低いと茶葉を寄せ集めて熱がこもりやすいようにしたり、それでもダメなら電気ポットの湯気で温めたり。
試飲してみた。
茶葉
温める
茶湯の色
葉底
潰す
香りや味には問題なし。
問題はないけれど、あまり変化していない。発酵がすすんでいない。
葉底の色も質感もあまり変わらない。潰してもヘンな匂いはしない。
散水から茶葉を観察して気付いたことがある。
茶葉の先のほうや根本のほう、茎の部分、それぞれに発酵度がかなり異なる。
それはそうで、茶葉の部位によって水を含む量とか茶葉の繊維の通気の良し悪しとか成分の構成とか、条件が大きく異なる。小さな微生物にとっては一枚の茶葉の中に異なるいくつかの生態環境があることになる。
微生物の活動は、つくりだす酵素の作用に頼るところが大きいので、水が不足すると発酵がすすまないし、かといって多すぎると住めないし。
茶葉一枚に乾燥しているところもあれば水浸しのところもある。ムラがある。
極端なケースでは、水が足りなくて発酵しなかったり、水が多すぎて雑菌が繁殖したり。
良性の黒麹やその他のいくつかの菌種だけに良い環境を提供したいけれど、それすら難しいほどのムラがあるかもしれない。
これは揉捻するべきだろ。
茶葉一枚の中の水をまんべんなくゆきわたらせる。
揉捻
布袋ごと茶葉を押して揉んだ。
はじめは手で圧して揉んでいたが、あまりに重労働なので、新しい靴下を履いて足で踏んで揉んだ。まるで圧餅の加工のときみたい。
揉んだ後は撹拌して、茶葉同士がくっつかないようにする。
散水から24時間経つと茶葉の表面が乾いているので、くっつきにくくなっている。茶葉の中心に水が溜まっていて柔らかいので、茶葉の繊維が千切れてバラバラになることはない。
そのくらいの水分量が、黒麹の繁殖にちょうど良い感じ。
そういえば『版納古樹熟餅2010年』をつくったときに、孟海の老師が言ってたような気がする。
「昔は手で揉んだ。」
孟海の茶廠
渥堆発酵の終盤になると茶葉同士がくっつきやすくて塊ができやすい。それを細かくほぐすとなると機械ではできないから手でやるしかない。
この作業は、水分をまんべんなくする目的もあったのではないだろうか。
今度会ったら聞いてみる。
さて、第二回目の散水がうまくゆくことがわかったら、一袋2.5キロの実験では足りない。
もっとつくりたい。
別の茶山、できたら孟臘県の旧六大茶山の茶葉でやりたい。
あくまで推測だが、旧六大茶山の茶葉は天然の黒麹や酵母をたくさん持っている。発酵したがっている。
なぜならこの地域の山に水気が多くて、茶葉の組織が水をたくさん含むように育っているから。昔のやり方なら製茶工程のあらゆるところで自然乾燥に時間がかかって、生茶もちょっと微生物発酵していた。・・・という仮設を立てている。
実は、これまでつくってきた生茶や紅茶の茶葉の質や味や香りにもそれっぽい特徴が現れている。
微生物発酵させてみたら、なにか見つかるかもしれない。
はい。今日の授業はここまで。

ひとりごと:
微生物発酵の管理のために毎日規則正しい生活。
夕方に大黒狗にビールを飲みにゆくのが唯一の娯楽。
大黒狗は北京の人が自家製醸造のビールをつくっている。
大黒狗にビール
大黒狗にビール
大麦でつくるビールと小麦でつくるビールとは酵母の菌種が違う。
なぜかというと、大麦はでんぷん質が少なめで小麦はでんぷん質が多め。成分構成が違うから。
ほんとうは、熟茶も菌種や茶葉の成分構成の違いが語られてもよいはずだが、まだそこまで研究がすすんでいないのかもしれないな。
昔の人は当然知っていたはずだが、みんなに共有できる情報にはしなかったらしい。


茶想

試飲の記録です。

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