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天門山古樹青餅2019年 その1.

製造 : 2019年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山天門山
茶廠 : 易武山の茶商
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶200gサイズ
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗・白磁の杯・ステンレス電熱ポット
西双版納の茶店

お茶の感想:
今年の春のお茶はつくらなかったし、晒青毛茶を仕入れることもなかったし、浅い評価しかできないけれど、メモを残しておこうと思う。
50日間ほどかかりきりになった熟茶づくりの実験を終えてから、ほんの3日間だけ地元のお茶屋さんを巡ったり茶友を訪ねたりして、今年の春のお茶をいくつか飲んでみた。
あまり期待していなかった。
昨年の春が数年ぶりに良かったので、星の巡りからしてハズレるような気がしていたのと、3月のはじめに西双版納に到着して飛行場に迎えに来た茶友がひと言めに「冬に雨降りが続いた」と異常気象を嘆いていたから。
本来は、この地域の冬は乾季なので、雨は1ヶ月に1度か2度かほんのちょっと降るくらいが正常。毎日降るのはおかしい。
植物は地面を境に上と下とで交互に成長する。
地面の上の葉の成長が止まる期間に根が育つ。冬に雨が降って葉が育って、根が水を上げるのに忙しく働いたら根の育つ期間がない。
はたして、このことが影響したのかどうか、関連性があるのかないのか証明はできないが、結果から見たら今年の春のお茶は香りが弱い。
味は充実している。水質はきめ細かくて飲みごたえがある。
なのに香りが弱い。
このパターンははじめて出会う。
春の茶摘みがはじまってからの天気のコンディションは良かった。
毎日晴れて空気が乾燥していて製茶の天日干しがうまくいった。この数年はむしろ雨の日が多くて製茶に苦労したから、カラッと晴れた日がつづいたのはうらやましい。
製茶はスッキリ仕上がっているはずなのに香りは弱い。
旬に入った3月中頃から4月末頃まで、一滴も雨の降らない日が続いた。自分が数えただけでも33日間雨が降らなかった。空気は異常なほど乾燥した。34日目にほんのちょっと雨が降ったけれど地面はすぐにもとのカラカラに戻った。まとまった雨が降るようになったのは5月末から。春はもう終わっていた。
気温は異常に上がって連日40度を超えた。こんなこともはじめて。昨年まで35度を超えた日などなかったと思う。
農家が言うには、今年の春の茶葉の生産量は例年の半分だった。
雨が降らないので、そもそも新芽の数が少ないのと、若葉に育つまでに乾いて硬くなってお茶に加工できないのと。
乾いて硬くなる前に茶摘みをするから、新芽・若葉は小さく柔らかいうちに采茶される。茶商の立場からすると上質な茶葉が同じ価格で入手できて有利になった。農家の立場からすると小さい茶葉では重量が稼げないので不利になった。
茶摘みのタイミングも良いはずなのに香りが弱い。
お茶を売る人の立場からすると毎年「今年の春は良い」と言いたい。香りが弱いのはたいした問題ではないと言いたい。
けれど、何年か経ってから「あの年のお茶は良かった」という声が聞こえてくる。新茶の評価は甘くて、年月の経ったお茶の評価は辛い。当たり年は数年に一度しかないことが後になってからわかる。
長年熟成させた味をウリにしたい立場からは、数年に一度のお茶だけ扱うのも良いかと思っている。
さて、その観点からすると、香りの弱いのはお茶の個性の表現も弱い。
天門山古樹青餅2019年
このお茶『天門山古樹青餅2019年』は西双版納の易武山地区を専門にする茶商にサンプルとして分けてもらった。
自分は”天門山”という茶地の名前を知らなかった。
よく通っていた漫撒山の丁家老寨から山続きにある茶地なのに、無名だったから名前が聞こえてこなかった。
しかし、価格は3年ほど前から天門山のほうがずっと高いらしい。
それもそのはずで、古茶樹のお茶の生産量は20世帯くらいの村全部を合わせても200キロくらい。一本の茶樹から2キロできると計算して100本しかないわけで、それを茶商がひとりで買い占めるのだから、需要と供給のバランスで価格が上がる。商売商売。
近年の丁家老寨の古茶樹は収穫しすぎで、味が薄くなっているのに比べると天門山のほうはまだ味が濃い。2014年から摘み始めたそうなので、まだ摘み過ぎの悪影響が少ないのかもしれない。
飲んで気がついたのだが個性がない。
漫撒山は南北に18キロほどの峰の周辺に、張家湾・丁家老寨・一扇磨・香椿林・多依樹・薄荷塘・弯弓・・・・・白茶園・冷水河・白沙河・茶王樹・茶坪。と、大小さまざまな茶地があって、それぞれの味があって、だいたい飲んだら当てられる。漫撒山のお茶の味の中にそれぞれに個性がある。
その個性は香りがキーになっているらしい。
香りが弱いので、天門山のお茶の個性が現れていないのか、もともとこんなものなのか?
と疑問に思ったまま他の茶店で刮風寨の茶王樹と茶坪の今年の春のお茶を飲んだ。
茶王樹
茶王樹
瑶族の農家の知り合いのものなのでモノに間違いはない。刮風寨の中でも上質を競うお茶。価格もトップクラス。
ところが、これも昨年のに比べて香りが弱い。
味も口感も充実しているのに、香りだけが欠けている。
天門山のお茶の個性は来年以降に見つけることにする。

ひとりごと:
北京から西双版納に遊びに来ている中医学の先生と交流した。
内モンゴルに牧場を持って牛をある試みで育ててみたり、趣味の範囲が広すぎて、ふだんはどこで何をしているのかよくわからない人だった。
久しぶりにブッ飛んでいる中医学の不思議な話を聞いた。
山東省のある種の天然の樹木から切り出した棍棒で、関節痛の人の骨をゴリゴリして治す。その棍棒は一回きりで焼いて捨てなければならない。つまり、棍棒のほうに悪い”気”が乗り移るという仕組みらしい。そのある種の天然の樹木でないとダメとか、樹齢とか伐採のタイミングとか、細かなルールがあるらしい。
長年苦しんできた関節痛が一発で治る。
西双版納の茶友が半信半疑で北京に行って足を診てもらったら、ほんとうに一発で治って帰ってきた。
中医学の先生は高学歴の人で、スタンフォード大学で科学的なアプローチから解明を試みたらしいが、無理だったらしい。
積み重ねでたどり着けるところじゃない。雲の上を飛ぶような解決策で結果が出ている事実。こういうことに中国ではたまに出会うから面白い。
古代文明の優れた欠片が残っている。
人の文明は、すでに何度も滅びているのだろうな。
お茶づくりの文明も、実はもう滅びている。


茶想

試飲の記録です。

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