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丁家老寨青餅2012年 その10.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶 (サンプル散茶)
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶

お茶の感想:
午前2時に眼が覚める。
二夜連続でお茶している。
季節の変わり目に身体のリズムが崩れたのだろう。
夜はどういうわけか、飲みたいお茶も違えば、昼との味わいも違う。
夜の光。夜の気配。夜の空気。夜のもの音。夜の身体。夜の思考。
プーアール茶は「陰」のお茶。
そんなに薫り立つわけでもないし、鮮やかな花に例えるほどの華やかさはない。青茶(烏龍茶)を「陽」とするなら、たしかに生茶は「陰」の味。
底からじわじわとくる滋味。外側からではなく内側から吐く息に薫る香り。しんとした夜にこそ、そのかすかな声に耳をかたむけられる。夜の静かな部屋には、一瞬で気を惹くような華やかなお茶はうるさすぎる。
夜に手が伸びるのはこのお茶。
【丁家老寨青餅2012年プーアル茶】
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
今回はこのお茶をつくった際に取っておいたサンプルの散茶2種を試した。
ひとつは、春の旬の終わりごろにやっと芽を出す大きな茶樹2本だけから採集したもの。これを「A」とする。
もうひとつは、茶樹はとくに選んでいないから、小さめのものが多くて、中には大きいのも混じる。これを「B」とする。
「A」に湯を注いだときに気付いたのだが、香りが立たない。香りがないのか?と思うほど茶の香りがしない。湯が熱くなかったかな?と疑ったが、そんなことはない。ちゃんと熱いし、茶器もしっかり温めた。
「B」に湯を注いだ時には香りが立った。
やはり、若い茶樹のほうが香りが立つのだろうか。
どちらにしても、この数日は個性的な香りのお茶を立て続けに飲んでいて、『丁家老寨青餅2012年』は久しぶりになるから、おとなしく感じる。
口が慣れていないのだろうと思って、しばらく「A」と「B」を交互に飲んでいた。やはり「B」のほうがわかりやすい。そう思っていたら突然に来た。「A」のほうに来た。
鮮やかな色彩が口の中に広がってゆく。とどまることなく無限に広がる。吐く息ごとに香りが増してゆく。
嘘だろう?
湯はすでに冷めてきている。
もういちど熱い湯を沸かして、次の煎を淹れて、確かめるようにして飲んでみる。
やはり香りが立たない。どんなにじっくり抽出しても同じ。しかし、ひと呼吸おいてから口に含むと、また広がる。薫る。こんどは石鹸のような、お茶とは違う香りが薫る。
プーアール茶は「隠」のお茶?
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
次の日、もういちど「A」を確かめてみる。
やはり香りが立たない。でも、もうわかっている。そっちの問題ではなくてこっちの問題。昼の明るい時でも、いろんな音がにぎやかでも、心が静まれば広がる。薫る。聞こえてくる。
ところで、
「A」と「B」の違いが、なぜか今ふとわかったような気がする。
製茶でもない。樹齢でもない。おそらく品種の違いだ。
古く大きな茶樹はずっと以前からこの山にあった在来品種。小さな茶樹に多いのは、おそらく清代になってから持ち込まれた新しい品種。およそ200年前のその時に、この辺りの山には大きな変化があった。200年後の今になってその違いがお茶の味に現れる。
お茶づくりは百年の計。

ひとりごと:
そういえば上海ではよく深夜にお茶していた。
上海は夜。
JAZZBARをはしごしたり、夜中に火鍋をつつきに行ったり。
深夜に帰ってもすぐには眠れないので、お茶をいっぷくする。
ひとりのときもあれば、友人といっしょのときもあった。
上海市内ならどんなに遠くてもタクシーに乗って数百円で帰れるのだから、みんな遠慮なくうちに来た。平日も休日もない。昼も夜もない。ノンストップで上海と付き合っていた。
上海の茶室
茶室はフランス租界の静かなエリアを下に眺める20階にあった。そのへんには感じのよいカフェがいくらでもあったけれど、うちの茶室が最高だった。
ぼんやりした灯りをつけて、格子戸の向こうの高層ビルの点滅や、遠くの幹線道路に流れる車のライトを見る。
湯を沸かして茶を淹れる。
チベット寺院のお香を焚くこともあった。
お茶は、そのときはまだ老茶しか扱っていなかった。
だいたいきまってこのお茶。
【沈香老散茶50年代】
友人と明け方まで語り合ったこともよくあった。けれど、何を話したのか覚えていない。
他愛のないこともあったし、人生の話もあったのだろう。
そんなことよりもたぶん、上海に静かな夜があるということが、僕らには特別に上等だった。
上海にいる人も、東京から来る人も、香港から来る人も、これをいっしょに味わった。


茶想

試飲の記録です。

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