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弯弓の黄片の餅茶2012年 その1.

製造 : 2012年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶+微生物発酵
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめ蓋碗
弯弓の黄片の餅茶2012年プーアル茶

先日の老茶の連続試飲8種ほどだったかな?であらためて気付いたのだけれど、発酵にはいろんなタイプがある。
微生物が沸くように増殖して茶葉を焦がすかと思うくらい発熱するような激しい発酵もあれば、空気中の水分を得てほんの一時だけ活動した微生物が残した酵素で何年も掛けて成分変化が進むような発酵もある。
発酵の定義というのはけっこう広範囲で面白い。
昨日お客様からこのお茶について、
【易昌號大漆樹圓茶04年プーアル茶】
「月ごとに味がかわってきているのが面白いです。」
と報告をいただいてハッとした。
そういえばこのお茶もはじめの3年か4年は易武山の個人宅に置いてあった。茶葉に無加水状態の微生物発酵があって、その酵素が大量に残っているのかもしれない。今これが西双版納の手元にないので確かめられないが、ふとこのお茶『弯弓の黄片の餅茶2012年』があるのを思い出した。
瑶族の農家がプレゼントしてくれたのだった。
2012年のお茶だから、1年間は漫撒山(旧易武山)の隙間風吹く農家に置いてあったのだ。紙包みしかない状態で、夏の雨季には十分湿気て、微生物のアタックを受けているはず。実際にもらったときに表面にすこしだけ白カビがあるのを見つけていた。
2013年12月25日にこれを飲んでいる。
【漫撒茶山黄金葉熟餅05年 その2.】
しかしこのときは無加水の微生物発酵による風味を見つけていなかった。
理屈ではおかしい。ちょっとでもあるはず。
と思って今日の試飲。
弯弓の黄片の餅茶2012年プーアル茶
弯弓の黄片の餅茶2012年プーアル茶
紙包みを開けてびっくり。
ほんの20日くらいの間にずいぶん変色している。黒くなりつつある茶葉の黒さが増している。そしてこの変色は餅茶を崩して内側のほうの茶葉にも見られる。
そういえば昨年の夏にお客様からこんな質問を頂いた。
「餅茶の内部のほうは空気が通らないから熟成が遅いのですか?」
「いやそんなことはありません。けっこう均一に熟成しますよ。」
そんな会話をしたと思う。
下関茶廠の「鉄餅」と呼ばれるお茶がカチカチに圧延してあって熟成が遅い。そこから来ている話だろう。
そんなことを書いていた。
【早期藍印鉄餅50年代】
しかしその後、どうやらそうではないらしいとわかってきた。
おそらく鉄餅の熟成が遅いのは、原料の茶葉の性質と、圧延の蒸気で蒸らす時間が長いのと、圧延のチカラが特別強く加わるときに揉捻にも似た効果が得られるのと、水分が逃げにくい性質から乾燥室の温度が高めに設定されるためだ。
つまり、はじめから変化し難い性質に仕上がっているのであって、空気を通しにくい物理的特性から熟成が遅くなるのではない。
わかるかな・・・。
餅茶の中心のおへその部分はカチカチになりやすくて、熟成が遅くなるが、これも鉄餅の理屈と同じ。圧延のチカラの入り具合で、はじめから変化し難いように仕上がっているのだ。
見えない世界の話だが、空気中に漂っている微生物が着地して増殖してゆくのなら、餅茶の外側から順に内部に進むはずだから、内部の熟成は遅いのでは?
これも考えたが、ミクロの世界に生きている微生物からしたら、茶葉の繊維の管はトンネルのように大きいかもしれない。気温や湿度の安定しないトンネルの外側よりも内側へどんどん入って行ったほうが暮らしやすいし繁殖しやすい。
これを確かめようと上海にいたときに顕微鏡で見たことがあった。しかし見つからなかった。長期熟成中のお茶は、安い顕微鏡でも見つけやすい麹などの微生物はすべて枯れて死んでいる。安い顕微鏡では見えないミクロな酵素しか残らないのかもしれない。麹の枯れた死骸があるのではないのか?と思ったけれど、よく分からなかった。おそらく自らつくった酵素で分解されてしまうからだと推測する。人間で例えて言えば、自分のつくった胃液が自分を溶かしてしまうのだ。
ま、これはやがて学者が証明してくれるだろう。
ともかく、圧延がカチカチであろうがユルユルであろうが、餅茶の内部も外部もほぼ均一に熟成が進む。
弯弓の黄片の餅茶2012年 
弯弓の黄片の餅茶2012年プーアル茶
弯弓の黄片の餅茶2012年プーアル茶
さて、飲んでみたところ、2煎めくらいから易武山の老茶にある独特の蜂蜜味がした。これもたぶん無加水の微生物発酵と言えるお茶だ。

ひとりごと:
発酵学といえば「小泉武夫」先生。
この先生の本は何冊か読んだけれど、ぜんぜん難しいことを書かないのだ。
それどころか、あの発酵食品の味わいはこうで・・・みたいな、グルメ本になっている。それなら小説家が書いたほうが面白いのだから、学者らしくもっと専門的な解説(そんな本もあるのだろうけれど)をしたらいいのにと思ったことがある。
今この先生のしていることがちょっとわかる。
発酵の成果をいかに活用するかが大事なのであって、発酵の仕組みをいくら解明したところで、その成果がみんなの生活に活かせないのならなにもならない。
美味しい発酵食品をみんなに「美味しいよ!」と伝える。
それを食べて味覚を覚えて、健康を維持できる人がひとりでも増える。
これ以上に大事な仕事ってないと思う。


茶想

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