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寿眉2003年白茶 その2.

製造 : 2003年10月
茶葉 : 福建省福鼎市点頭鎮大毫茶 秋茶
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : ステンレス茶缶密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
白茶の味の表現は、
役者が静かに演じる小津安二郎の映画のようなもので、感情を抑えて抑えて観客の心にそっと問いかける。
たとえ味わいに空白があっても3杯4杯とすすむうちに幸せが満ちてくる。こういうのが白茶ならではの表現だと思う。空白が大事と思う。
はじめて白茶を飲んだのはたぶん香港の飲茶。点心を2つ3つ摘んだ後の口をサッパリさせる涼しいお茶。プーアール茶のようにじっくり味わうのではなく、むしろ軽い調子であってほしいお茶。
そうすると、製茶の目指すところとして、緑茶のように季節の喜びを表したり、紅茶のように妖艶な熟成香を見せてはいけないのだ。あくまでも淡々と、佗び草のように静かにたたずむべし。
(個人的にそう思う。個人的ないろんな理想があってよいのだ。理想を持たず、欲求に身を任せた味を追求するよりはずっと良い。
ただし、お茶をつくる側になると理想をひとつに絞って追いかけなければならない。)
那カ古樹月光白2014年
那カ古樹月光白2014年
那カ古樹月光白2014年
那カ古樹月光白2014年
『那カ古樹月光白2014年』(過去に卸売部で出品)
このお茶を飲んで、高山の淡麗・辛辣な茶気が白茶の表現には有効だと思った。
海抜が低い山ではどうしても日本の緑茶のようにアミノ酸系の旨味が出る傾向がある。しっとりした旨味が舌に残ると、軽快な印象を表現しにくい。
茶気の強さはアルコール度数の高い酒のようなもので、味というよりは刺激であり揮発性であり、サッとキレる後味の印象を表現しやすい。
雲南省の白茶「月光白」が市場で人気となり、西双版納でもあちこちの製茶工房で月光白を手がけるようになった。
月光白
月光白
月光白
しかし、そのほとんどが出来損ないの紅茶のようで、白茶独自の表現がない。価格を抑えるために旬を外した雨の季節の茶葉でつくられるケースが多い。
そんな独自性の無い月光白が美味しいと評価されている(?)のは、つくり手が白茶としての表現など考えず、飲む人もまたそんなことは意識したこともないからで、どっちもどっちなのだ。
そう考えると、白茶はやはり歴史ある福建省のをまず試したほうが無難だと思う。
福建省の白茶の産地は高山ではないが、白茶の表現をちゃんと意識したお茶があると思う。間違っても出来損ないの紅茶のようにはならない。
福建の政和の寿眉1990年代
「福建の政和の寿眉1990年代がある」と上海の店から連絡があった。添付された写真には10キロのダンボールが密封されている。いったん外に出て帰って来たのだろうか。
面白そうなので西双版納に少量のサンプルを送ってもらった。
手元には『寿眉老茶2003年』(卸売部に出品中)がある。
これと比べてみることにした。
寿眉の長期保存がプーアール茶の長期保存の参考になるのかどうかよくわからないが、ちょっと面白いと感じている。
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶1990年代
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶1990年代
寿眉老茶2003年と政和寿眉老茶1990年代
左: 寿眉老茶2003年
右: 政和寿眉老茶1990年代
この二つを比べると、『政和寿眉老茶1990年代』には「火共」と一文字で書く炙り味(香)が強くあった。
長期保存中に風味が傾いてくると炙ってシャンとさせる。これまでに何度炙られたのかわからないが、炙ると火味が加わる。ほんのりスパイスになることもあるが、このお茶は烏龍茶のような華やかさが生じていた。表現を抑えきれず、白茶らしさを失っていると思う。
その点で、『寿眉老茶2003年」はおそらく保存中には一度も炙ったことが無いと見えて、自然なままに朽ちている。長期熟成で「涼」の味はやや「温」に傾いているものの、香りには草餅のような素っ気なさと、それが熟したバニラのような甘さと、白茶ならではの静かなたたずまいを維持している。
老葉や茎の部分由来の甘味があるが、さっと消えてあくまでも軽い。
素晴らしいお茶だと思う。

ひとりごと:
基本的にお茶はフリーファイト。
美味しければ勝ち。
安ければ勝ち。
だから放っておけば、たいくつなお茶ばかりが市場にあふれる。


茶想

試飲の記録です。

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