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無名烏龍茶2013年 その1.

製造 : 2013年春
茶葉 : 茶山不明
茶廠 : 不明
工程 : 烏龍茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗
無名烏龍茶2013年

お茶の感想:
淹れたての熱いお茶は杯の中でかすかに振動する。
「振動」という言葉は正確な表現ではないかもしれないが、自分はそういうふうに感じる。この現象にはじめて気付いたのは、台湾茶道の教室に誘われて、茶壺で丁寧に淹れられたお茶を飲んだ時だった。一杯目の杯の茶湯に音にならない低音の「ブーン!」という振動があり、茶湯に触れた唇や舌に弾けるような気がした。炭酸水のシュワシュワ弾けるようなのを、もっともっときめ細かく滑らかにした感じにも似ているだろうか。杯を持つ手が震えた。
その後、自分の淹れたお茶にも耳を澄ませて、唇や舌触りに意識を集中して、茶湯の振動を観察するようになった。
振動に茶の質が現れる。
茶樹が健康に育っている振動。
苦しんでいる振動。
疲れている振動。
茶樹の健康は、山の健康や、そこでお茶をつくる人々の健康を映す鏡でもある。
音の振動に心地よい響きと悪い響きがあるように、茶湯の振動にも心地よいのと悪いのがある。
言葉にできる条件、例えば、無農薬・無肥料だとか、旬だとか、高山だとか、有名茶山だとか、樹齢数百年の古茶樹だとか、メーカー名だとか、それらの条件を満たしたお茶の中に、健康なお茶と不健康なお茶の高低差は大きい。それにもかかわらず、茶の価値は言葉にできる条件で判断さることが多い。だから、これからのホンモノは条件を語らないお茶が増えるだろう。飲む人の鑑定能力が問われるだろう。
無名烏龍茶2013年
さて、今日のお茶は、上海のお客様からのプレゼント。
「このお茶、フジモト店長のと同じ系統です。2013年です。」
説明はそれだけ。
無名烏龍茶2013年
開けてみたらプーアール茶ではなくて烏龍茶だった。
とりあえず「無名烏龍茶2013年」とした。
無名烏龍茶2013年
かすかに龍眼の香り。龍眼の炭で「火共(一文字)」したのだろうか。
とても落ち着いていて、「薫らせない」という職人の意図が伺える。
みんなに理解されたいがために、驕ったり、見栄を張ったり、自賛したり、誇張したり、子供のようにハシャギたい気持ちを自制する「耐心」の仕事。
製茶の単純なプーアール茶は素材の選択によりそこを表現するが、製茶の手数の多い烏龍茶は職人の技術で表現することになるから、より大人な仕事の感じがする。
透明度の高い味わい。スッと、喉の奥へ、腹の底へと消える。ふと一瞬だけやさしく鼻に触れる龍眼の香り。味を記憶することさえも許されない「消え」のスピードとその美しさは、製茶の「用心」の賜物。
もう一杯、もう一杯、記憶に留めたくて杯がすすむ。甘くもない、苦くもない、淡々とした心地よい茶湯が通り過ぎる。体にしみる、深くなってゆく、広がってゆく。
無名生態岩茶2013年
無名生態岩茶2013年
無名生態岩茶2013年
そう、たしかに『革登単樹秋天散茶2014年』の振動と同じ。
『革登単樹秋天散茶2014年』は自分は製茶に関わっていない。農家のお爺ちゃんがつくったのを選んだだけ。しかし、上海のお客様の言うには、茶商の選ぶお茶にも筋の通る傾向があるそうだ。

ひとりごと:
西双版納を離れる9日前に、広東人の茶飲み友達と口論になった。
自分はあるメーカー「○○堂」のこの数年の仕事を批判した。
○○堂はこの数年飛ぶ鳥を落とす勢いでお金儲けに成功している。有名茶山の古茶樹のプーアール茶をメインにして、広告宣伝でブランド力をつけて、たくさんの代理店を集めた。
茶業としてのいちばん難しい仕事は、最終消費者に売る仕事だと自分は認識している。だから、メーカーが代理店を新規に増やして、代理店に在庫を増やして(プーアール茶は長期熟成ができるから代理店に在庫をたくさん抱えるよう説得しやすい)、それで収益を伸ばしたところで、数年後にはしわ寄せがくる。代理店の多くはお茶を売る仕事の初心者。売れないお茶を抱えて困ったことになるだろう。なぜなら、実は、言葉にできる条件は整ったホンモノの古茶樹ではあっても、不健康な味のすることが鑑定能力のある人には分かるはずだから。
それは詐欺だというのが自分の意見。
広東人は全く反対の意見。彼らは成功したと言う。
なぜなら、すでに代理店からお金を回収しているから。無料で提供しているのではない。消費者に売れようが売れまいが関係なくすでにお金を得た。売れなくなったら数年後に会社を潰してしまえば良い。売り逃げだ。
そう。○○堂はもともと商売の成功を目標としている。彼らからして成功なら、他人からして成功かどうかは関係ない。
西双版納の現地で出会う業者のほとんどがこのタイプだが、これは西双版納だけではないだろう。中国のあらゆるお茶どころが同じような状況と想像する。
国全体の経済発展とともに、お茶づくりの現場での経済化もすすんで、その結果が現れてきている。
この先10年、中国茶は歴史上最大の危機を迎える。
「用心」と「耐心」の仕事で筋を通したいと思う。


茶想

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