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水仙烏龍古樹茶餅2014年 その1.

製造 : 2014年春
茶葉 : 福建省[氵章]平双洋鎮中村
茶廠 : 童懐記
工程 : 烏龍茶・水仙茶餅
形状 : 方茶 約11g
保存 : 紙包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙茶餅
水仙茶餅

お茶の感想:
お茶の味に自然を求める。
上質を求めてゆくとそうなる。
そのときに「自然」をどう解釈するかという問いがでてくる。
例えば、
栽培に人の手の加わることを自然とするのか?
それとも、
人間の存在がそもそも不自然とするのか?
お茶の味について、
人間の感覚(錯覚も含む)を優先するのか?
それとも、
茶樹の自然な育ち(その事実)を優先するのか?
人と茶樹のお互いの関係について、いろんな解釈があり、いろんな試みがあり、いろんなカタチのお茶となって現れていると思う。
昔の茶農家や職人のほとんどは文盲だったけれど、深い考察をしていたことだろう。他人と意見が別れたり、自分ひとりの中でもあっちへ傾いたりこっちへ傾いたりして試行錯誤があっただろう。
「経済」が過剰に追求されるようになる前の時代にカタチになったお茶は、人と自然との関わりについてなんらかの答えを出そうとしているように思う。
自然のままを表現していながら積極的に人の手を加えた日本の庭のように、お茶の栽培や製茶工程にも積極的に人の手を加えた自然の表現がある。
プーアール茶から入門した自分には、烏龍茶にそれを強く感じる。
正直言って、
なぜそこまで茶からかけ離れた香りを引き出そうとするのか?
なぜそこまで火の味を付けなきゃならないのか?
なぜそこまで時間をかけて加工しなければならないのか?
わざとらしい。
そう思ってしまうのだ。
烏龍茶から入門したファンには申し訳ないけれど、人と自然の関係に対する解釈がそれほど異なるというところを冷静に見てほしい。
さて本日紹介するこのお茶。
『水仙烏龍古樹茶餅2014年』
通称「水仙茶餅」。
水仙烏龍古樹茶餅2014年
いろいろある烏龍茶の中で、プーアール茶から入門した者にとっては親しみやすいお茶。
圧延した見た目の類似もさることながら、それによる茶葉の性質についても、やや似ているところがある。また原料となる素材の育ちに求めるところも似ている。
プーアール茶が流行した近年は、岩茶の「大紅袍」まで圧延加工したようなのが出ているが、こんなのはコマーシャル商品。
大紅袍の圧延茶
作り手に思想など無く経済を追求したお茶。飲んでみたら美味しかったけれど、岩茶の思想からは外れる矛盾した味が混在しているような気がする。一時期の面白さで買われることはあっても、ずっと付き合うお茶にはならない。
このお茶『水仙茶餅』はやさしい。
味はゆるいと感じるくらい。
濃く煎じてもエッジが利かない。
火入れが強くない「清香」にしては、味も体感もおっとりしている。
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
このように圧延加工をゆるめにするには、茶葉の粘着力を残す必要があり、軽発酵は軽く仕上げて、焙煎はしっかりできない。
製茶工程では、圧延して紙に包んでから焙煎されるが、その焙煎はあくまで乾燥のための弱い火であり、火の味が付くほどではない。
おそらく、そこを狙ってあると思う。
昔ながらの濃香の烏龍茶好きには物足りないかもしれないが、このお茶には主張を持たせないという思想があるような気がする。
このお茶を紹介してくれたのは、安渓鉄観音の茶農家出身で、上海で茶業を営む老板。
上海で交流した時に、故郷の自慢の鉄観音以外に、そこから50キロほど離れたこの[氵章]平双洋鎮中村の古茶樹でつくる水仙茶餅を飲ませてくれたのは、プーアール茶のことを意識したのかもしれないと思う。
雲南省の古茶樹の話をしたときに(当然その話になる)、山の生態環境の素晴らしい樹齢100年の茶樹が故郷にもあると、スマートフォンの写真で見せてくれた。その茶樹のお茶がコレと紹介してくれた。
烏龍茶では樹齢100年で古茶樹とされる。
茶樹の大きさや仕立ては、易武山の麻黒地区の剪定された古茶樹に似ている。畝作りではなくて一本一本が独立している。幹はもうちょっと細い。
もちろん無農薬・無肥料。
プーアール茶の茶葉の生まれ育ちを重視する観点から見ても、ほんとうに健康なお茶の味がする。喉越しのやわらかさ。透明感。清香の烏龍茶ならではの甘い香りにも清潔感がある。
これらは素材の言葉。製茶でどうこうできることではない。
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
水仙烏龍古樹茶餅2014年
よく育った老葉と硬い茎のある茶葉ならではの耐泡。延々と煎が続いて一日中飲めるのもまたプーアール茶っぽい。
このお茶を仕入れて出品しようと思う。(春節明けになる予定)
福建省の農地見学はすぐにはできないが、2年くらいのうちには訪問したい。

ひとりごと:
上海で交流したお茶ファンの2人からこんなことを言われた。
「ふじもとの持ってくる生茶のプーアール茶は、柔らかい味だからついゴクゴク飲むけれど、茶気がどうにも強くて、冬の身体には厳しい。」
そうなのだ実際に。
素材の良さを追求してゆくと、味はだんだん姿を見せなくなる。山深い森林の中のお茶ほど、原生の品種に近いほど、旬を追求するほどそうなってゆく。茶気の強さはそれに反比例するかのように強くなる。茶酔いの感覚は酒と同じで、上質な酔いというのがあるが、それでも新しいお茶特有の強い酔いは避けられない。数年しか熟成させていない生茶は、夏の身体には心地よい涼しさがあっても、冬にはちょっと寒い。
医食同源がお茶に求められていた昔は、やはりプーアール茶は長期熟成があってこそのお茶なのだろう。
その観点からすると、この「水仙茶餅」は茶気の強さを、茶摘みのタイミングや製茶によって、ある程度抑えてある。火を使った味の表現を控えめにしてある。古茶樹の育ちの良さで口当たりだけでなく身体にもやさしい。なにか特別なところを誇るようなところはなく、いろいろ良く考えられたバランスで、落ち着いた大人のお茶なのだ。
存在自体がこなれたお茶。
これも自然への解釈の答えのひとつになっていると思う。


茶想

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