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丁家老寨青餅2012年 その16.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
今日はこのお茶の飲み比べ。
+【丁家老寨青餅2012年】
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
ステンレス茶缶のと、ダイ族の陶器の茶壺のと。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
ステンレス茶缶のと、商品用の保存のと。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
ダイゾクの陶器の茶壺のと、商品用の保存のと。
品茶は、一度飲んですぐにわかることと、何度も繰り返し飲んでやっとわかることと、いろんな観点があると思う。
じっくりやるしかない。
さて、前回に問題(臭いが移る)が発覚したダイ族の茶壺だが、この機会にもうひとつ別の問題を考えてみる。
湿気の問題。
見えない空気中の水が茶葉の熟成変化に影響する。
見えない水は茶葉の成分変化を促す。
「保存における最適な湿度は何%」と専門家は言うが、あまり頼りにならない。なぜなら、茶葉の水分量は空気中の湿度だけでは計りきれないから。空気中の見えない水の移動は、一日の気温の変化、保存の部屋の方角や位置、茶葉との温度差などに左右される。また、茶葉の物理的なところの、品種による繊維の性質、茶摘みのタイミング、製茶時の殺青・揉捻・軽発酵の具合、圧餅の緊密具合、などもまた茶葉の水分量とそれの及ぼす影響を左右する。なので空気中の湿度の数字はひとつの目安でしかない。
単純に茶葉の含む水分量を見るのなら、1枚(餅茶の標準で357g)の変動を0.0g単位で毎日記録するのがよいが、計量のたびに保存容器から出し入れするだけで正確なものではなくなる。
お茶の熟成の良し悪しは、結局は飲む人の感覚に頼る。
ひとつひとつのお茶についても異なる判定がある。
茶商は現物で証明するしかないから、手元のひとつひとつの茶葉と保存環境の特性に注目するのみ。したがって、共有できる知識は限られていると思う。
『丁家老寨青餅2012年』に限れば、当店の他のお茶に比べるとやや湿気に敏感だということがわかってきた。茶葉が水分を吸収しやすく吐き出しやすい。色の変化が早い。
思いがけない変化を避けるなら、なるべく乾燥状態を保ったほうが無難だと言える。
しかし、ほんとうにそうだろうか。
手元の保存で乾燥を保つことができる順は、
1.ステンレス茶缶 2.ダイ族の茶壺 3.商品用の保存
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
味の差は微妙だが、飲み比べるとよく分かる。
湿気を吸ったお茶は「香気」が弱る。ほんの微かに酸味が増す。
なので、いちばん香気の立つ1煎・2煎めの杯においてはステンレス茶缶のお茶が美味しい。
ところが、3煎・4煎になると香気の差はほとんどなくなる。お茶の美味しさを構成する主役が香気ではなくなるからだろう。5煎・6煎になると美味しさは逆転する。酸味の差もなくなる。
気のせいかと思って3度は飲み比べたが、同じ結果になる。
5煎めくらいから、ステンレス茶缶のはどことなく味が軽く上滑りして、喉越しはやや胸につかえるように感じる。ダイ族の茶壺や商品用の保存のお茶は味に厚みがあり、舌に馴染んで、喉の奥へスッと沈む。
この違いは「茶気」だろうと思う。
茶気の強いお茶はアルコール度数の高いお酒のように、ある種の強い辛味を持つ。ビールはゴクゴク飲めるけれどウオッカはゴクゴク飲めない。10年・20年熟成されたお茶は茶気が穏やかになって、味がまろやかで、喉越しがやわらかで、茶酔いのアタリもやさしい。
茶気の違いは製茶工程にも見つけることができる。
茶葉の持つ成分と水分を利用した軽発酵(酸化)を進めると、茶気は穏やかになる。同じ茶葉からつくった生茶よりも紅茶のほうが比較的身体へのアタリが穏やかなのはそのせいだと思う。酸味もまた生茶より紅茶のほうが強いのだが、旨味や甘味と渾然一体となっているのでそこから酸味だけを聞き分けるのは難しい。
湿度の高めの保存熟成においては、軽発酵のすすんだのと似たような結果が得られているのかもしれない。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
「香気」にしても「茶気」にしても、ひとつやふたつの成分やその状態を特定して証明できるものではない。あくまで飲む人の感覚に頼った曖昧なものだが、曖昧なようでいて、実は厳密にいろんなパターンの無限の組み合わせがあるのだと思う。
やはり、お茶ごと保存環境ごとの個別の観察が必要となる。
『丁家老寨青餅2012年』に限って言えば、乾燥した保存状態ほど茶気は強く残る。もしも茶気を下げることを急ぐなら、ほどよく湿度のあるほうがよいだろう。しかし、湿気によって香気を弱らせても困る。
「茶気」と「香気」はどちらかを取ればどちらかを失う綱引きの関係にある。
さて、そこでちょっと考えてみる。
過去の老茶はどうだったのか?
+【早期紅印春尖散茶】
早期紅印春尖散茶
早期紅印春尖散茶
早期紅印春尖散茶
生茶のプーアール茶で、後発酵(倉庫での微生物発酵)のある老茶は、香気をすり替えることでこの問題を解決しているのではないだろうか。新茶の爽やかな香りとは全く異なる次元の「陳香」の魅力。比べようのない異質なもの。
その点で、後発酵(倉庫での微生物発酵)の無い老茶は、手元で熟成変化を追いかけてゆくと、どうしても出来たての新鮮な香りと比べてしまうので、たとえ果実や漢方薬を想わせる変化があったとしても、次元の違う異質なものとは捉えられず、劣化してゆく印象を拭えない。
烏龍茶の老茶は、保存期間中に焙煎という手を使うことがある。これはもしかしたら香りの質的変換を図って、劣化の印象を避ける効果があるのかもしれない。
新茶にしても老茶にしても、4煎めくらいから香気が下がる。
そこから先は別の味の魅力が美味しさをけん引する。このとき、老茶のほうがなぜ美味しいと感じるのか?
何煎も何煎もずっと飲んでいたくなるのは老茶(上質に限るが)。新茶にその魅力が薄いのはなぜか?
茶気だけのせいではないだろう。
これからじっくり探ってゆきたい。

ひとりごと:
茶商が熟成の味をどう解釈するかによってお茶の味は違う道を歩んでゆく。
まずは「香気」をどう解釈するか。
1.自然に逆らってでも、できるだけ新鮮を保つようにするか。
2.自然のままに落ちてゆく、その落ち方に美しさがあるかどうかを探るか。
3.それとも、もう一つの自然と言える微生物発酵で、次元の違うところへもってゆくか。
「火」をつかって香気を変えるという道は、プーアール茶の個性を潰すような気がするから、それはない。また、新鮮な風味を尊重するなら、1年か2年でお客様が飲み切る分だけ出品したほうがよいだろう。
残る二つの道を探る。
早期紅印春尖散茶
紅印は神がかりな美味しさ。


茶想

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