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楊姐の老茶頭1990年代 その1.

製造 : 1990年代中頃
茶葉 : 雲南省大葉種晒青茶・産地不明
茶廠 : 不明
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 香港ー上海 茶缶密封
茶水 : 上海の水道水濾過器使用
茶器 : 景徳鎮大きめの白磁の蓋碗
楊姉の老茶頭1990年代プーアル茶

お茶の感想:
先月の話になるが、
上海の天山茶城(卸や小売が集まったお茶のデパートのようなところ)にある友人の店に何日か通って見学させてもらった。
茶葉がどんなふうに売れているのか?
友人の店には専門がなく、茶葉も茶器も、流行りの日本の古道具なども置いている。30代から40代くらいの客が多い。緑茶で育ったはずの上海の若い人たちが、いろんな茶葉を求める。この傾向は昨年よりも増していた。
上海の30代から40代には収入があり、消費に旺盛で、ちょっと高くても上質なお茶が欲しいと思っている。ところが、店が対応しきれていない。
なぜだろう?
西双版納に帰ってからずっと考えていた。
そして、今、自分自身の上海と西双版納との違いを見て、この理由が分かるような気がする。
上海は忙しいから、お茶に集中できないのだ。
店の人だけでなく、お客も含めてみんなが。
あんなお茶もこんなお茶も試したい需要に応えてあんなお茶もこんなお茶も仕入れる。右から左へ。一度売れたらおしまいで、すぐ次の新しいお茶に移る。昨年は白茶だったが、今年は台湾茶だろうか、日本茶もダージリンもアリだろうか。
店も客もいっしょに漂流しているから、上質なお茶が手元に回ってきても解釈する暇がない。お茶を解釈するとは、それを飲む自分を解釈することでもある。上質に出会うとは、自分の中に宿る上質と出会うことでもある。
慌ててできることではない。
さて、
その店の常連のちょっと年配の楊姐は、いろんなお茶を買うが、選び方に独自の作法がある。プーアール茶は熟茶が好きだと言うが、サンプルを無料提供しない当店のやり方に憤慨されて(友人の店で当店のお茶の試飲をしてもらう機会があった)、「自分が上海にいる間に試飲はいくらでも無料でさせるから」と言っても、「それでは自分の家で試せないから嫌だ」と言う。
押し問答の末、楊姐が折れて、『版納古樹熟餅2010年』を一枚お求めいただいた。
3日間飲んでみて感想を教えてくれることになったが、どうも気になる。
3日目を待たずに店の友人と楊姐の家に行くことになった。
行ってみると、上海の人なら誰もが知っている新天地の高級マンションの32階。300平米はある巨大なリビングの隅っこに小さな茶席がある。
「いつも飲んでいるプーアール茶はこれ!」
と紹介されたのが『老茶頭1990年代』。
1998年に深センの茶葉市場で十キロほど入手して、それからずっと飲み続けて、残り少しが紫砂壺の底にあるのみ。これを買う時もやはり3日間飲んで検討したらしい。
この先10年飲める熟茶を探しているということか・・・。
楊姐の老茶頭1990年代プーアル茶
楊姐の老茶頭1990年代プーアル茶
楊姐の老茶頭1990年代プーアル茶
楊姐の旦那さんは香港人で、香港にも家があり、プーアール茶の高級を知る機会はあるが、他人に何をどう言われようが、自分の茶器で自分の淹れ方で試して、良いと思ったお茶しか買わない方針。
「茶頭」と呼ぶ熟茶製法の副産物のような、言わば半端モノの茶葉(現在は製品としてつくられた茶頭もある)を選んでいるセンスからして、楊姐は銘茶を避けるようなところがある。実はこういうお茶ほど評茶は難しい。少なからず欠点もあり、それをどう解釈するかが問われる。他人には分かりにくいので、自己満足になりがちである。
しかし、
飲む前から分かっていた。
これはすばらしいお茶。
1998年から16年間もずっと大事に保管しながら飲まれてきたお茶。
お気に入りの茶器で一煎一煎をどういうふうに淹れたら一番美味しいか、欠点をどうカバーすると良いか、寒さの厳しい今日みたいな日はこのお茶のどんな味が沁みるか、すべてを知り尽くされている。
旅するときも小さな器にこの茶葉を携帯している。
保存はどんな器でどんな気温・湿度のほうがコンディションが良いかが分かっている。手元でさらに熟成して独自の展開もあっただろう。
もうこのお茶は他人のお茶ではない。楊姐の老茶頭1990年代。
誰に何を言われようが自分は自分。自己満足で上等なのだ。
メモ的に書いておくと、はじめの3煎ほどは90年代の老茶頭に特有の蝋のような油っぽい香りがあった。酸味もしっかりしていて、乳酸発酵っぽいヨーグレット味がやっぱりあった。消えの早い旨味・甘味・苦味。後口のサッパリ感からも素材の上質が分かる。
香港での保存時は金花の黄色い粉が見えていたが、上海に移してからは2年ほどかけて徐々に消えていったらしい。

ひとりごと:
茶葉との付き合いには時間がかかる。
当店のサイトでお茶を出品すると、出品してからしばらくは注文が続くが、時間が経つとピタッと止まる。売れなくなる。上海でも最近はこの傾向があるが、日本ではもっと前からそうだったのだ。
お店の経営を考えると、常に新しい出品が大事になる。短期間で売り切れる少量の仕入れのほうが効率良い。
新しいお茶を求めて漂流が始まる。
時間をかけてひとつのお茶とじっくり向き合うことを、お店もお客もしないのに、どうして上質と出会える?
時間がないから、自分で解釈しないで他人に解釈を任せておいて、どうして対等の付き合いができる?
いろいろ考えるところがある。


茶想

試飲の記録です。

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