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刮風寨古樹青餅2016年 その1.

製造 : 2016年4月23日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 生茶
形状 : 餅茶200gサイズ
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺+鉄瓶
チェコ土の茶壺
鉄瓶

お茶の感想:
ヨガを習い始めて3年経つ。
いまだに初心者だが、最近ようやく呼吸を利用して身体の変化を味わえるようになってきた。
頭でわかっていても身体ではわかっていない。口で言うのはカンタンでもやれるのとは違う。だから時間がかかる。
それでもまだ慣れていないせいか、かなり集中力がいる。油断するとただのストレッチ体操になる。
上海での「体感を探る」がテーマの勉強会は、ヨガと同じように身体の変化に注目する。お茶を飲むごとに身体のどこかに起こっている変化を見つけなければならない。
お茶のほうになにかを見つけるのではなくて、自分の身体のほうになにかを見つける。
そこが医食同源を理解するのに大事なところ。
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試飲する茶葉の一部
刮風寨古樹晒青茶 2017年4月 生茶 春 新葉
刮風寨古樹青餅 2016年4月 生茶 春 新葉
刮風寨単樹小餅 2016年4月 生茶 春 新葉
刮風寨冬片老葉茶 2016年12月 生茶 冬 老葉
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刮風寨は「茶王樹」と「茶坪」が古樹の二大群生地であるが、上の4つのサンプルはすべて茶坪のもの。茶坪の同じ斜面の半径20メートルくらいにある古茶樹から採取している茶葉。
条件が絞られていてサンプルとして優れていると思う。
以前に読んだなにかの本で、どこかの大学が緑茶とプーアール茶のミネラル分の違いを検査していたけれど、どうやら緑茶とプーアール茶のサンプルは違う産地の茶葉なのだ。同じ茶地の同じタイミングで摘んだ茶葉で緑茶とプーアール茶をつくりわけて検査しなければ意味がない。製法によるミネラル分の差は見つからないはずだが・・・。
どこかの大学が小遣いをもらって太鼓持ちしたのだろう。専門家にもニセモノはいる。
サンプルB
『刮風寨古樹青餅2016年』
今日はサンプル2番めのお茶を試す。
広東の茶友が刮風寨に泊まり込んでつくったもの。そのとき自分は現場にいなかったが、毎日のように茶友から報告を受けていたので手に取るようにわかっている。その後の圧餅の加工は参加している。
2016年4月23日采茶。春の旬をちょっと外した遅めのタイミング。それでも2016年の初摘みである。森の中の古茶樹は新芽の出る時期がやや遅いのが多い。
季節は雨季に入ったところ。雨を避けて晴れの3日間続く(続きそうな)タイミングを見計らって茶摘みを依頼して鮮葉を仕入れる。茶友はもちろん茶坪の森に入って茶樹の下で監視している。
天気が思わぬ方向に変化したら天日干しの製茶がうまくゆかないけれど、この日はうまくいった。
葉の色が薄い
新芽が大きく育って、黒く変色した若葉の色が薄い。
茶葉の水分量が多いため殺青の鉄鍋炒りで焦がすことも少ない。揉捻がしっかりかからないので茶葉がより大きく立派に見える。
サンプルB
サンプルB
早春の、ひとくちでパッと燃え上がるような茶気はないが、春っぽい陽気はまだある。
早春に比べると茶酔いのアタリは穏やかで飲みやすい。
呼吸。鼻の通り。息の温度。心臓の鼓動。舌や口の中の力のかかっているところ。喉から胸の通り。ゲップ。おなら。腹への収まり。耳鳴り。眼の光の感じ方。頭の血の巡り。手足の血の巡り。手足の筋肉。首の筋肉。肩の筋肉。背筋の筋肉。汗のかき方。眠気。覚醒。などなど気付くところはいろいろあるはず。
これを訓練してゆくと、ふだんの食べものや飲みものの良し悪しは、自分の身体が見つけてくれるようになる。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)は、茶葉の質を見ることもできるが、お茶淹れの良し悪しを見ることもできる。

ひとりごと;
酒は3日欠かせてもヨガは3日欠かせない。
いつのまにかヨガのほうが酒よりも気持ちのよいものになっている。
個人の体質だが、自分は上火しやすい。上火とは身体に熱がこもること。
上火するとまず眠りが浅くなる。全身がだるくなる。ものを食べるときに舌や唇の内側を噛んでしまったり、口内炎ができたりする。鼻水が出る。喉が乾いてガラガラ声になる。風邪の初期症状と勘違いしてカロリーの高いものを食べて体力をつけようとすると火に油を注いで長期化する。こうなるとお茶もダメで、どんなに身体に涼しいタイプのを選んでも症状が治まらない。
西瓜(スイカ)を食べるのが熱を取るのに早いが、ハウス栽培したものや肥料をやりすぎているものは「涼」の効果が薄れているので効かないこともある。
最近発見したのだが、ヨガは上火を鎮火させるのにも効果的である。
1時間半ほどかけてゆっくり基本動作を味わうようにする。呼吸をお腹に送り込むの動作が効くのだが、どういう仕組みで熱がとれるのかわからない。なにかに解放されるようにスーッと気持ち良くなる。その日の夜はぐっすり眠れる。
頭で知るより先に身体を動かすことからはじまるヨガは、頭が先になりがちなお茶よりも医食同源を知るのにも有効かもしれないな。

益木堂那カ古樹純料茶2010年 その5.

製造 : 2010年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県孟宗山那カ寨古茶樹小葉種
茶廠 : 農家+益木堂
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 上海密封
茶水 : 京都の地下水 
茶器 : チェコ土の茶壺+鉄瓶
益木堂那カ古樹純料茶10年
那カ古樹純料茶10年
益木堂那カ古樹純料茶10年

お茶の感想:
上海の友人の店からもどってきたサンプルのひとつ。
以前にも紹介している。
+【益木堂那カ古樹純料茶2010年 その1.】
古茶樹小葉種。
小葉種の茶葉は長期保存してもあまり美味しくならない。
最近仲間うちでそんな意見が出ているが、どうだろ。
このお茶は2010年の出来たてのときは評価が高くて、毛茶(原料の茶葉)を仕入れたメーカーの担当者は会うたびそれを自慢していたけれど・・・。
泡茶
泡茶2
実際にそうかもしれない。それほど美味しいと思えない。
苦味が粘着質でスッキリしない。老班章を飲んだ後だから余計に比べてしまう。
まだ熟成3年めの2013年くらいまではよかったと思うが・・・。
飲んでひとくちでパッと花開く陽気な表現が小葉種のよいところだが、熟成でそれが落ち着くとつまらなくなってしまう。神童も二十歳過ぎればただの人って感じ。
この感じ、当店のオリジナルのお茶にもひとつある。
+【巴達古樹青餅2010年】
巴達山曼邁寨の古茶樹は中葉種。小葉種よりもちょっと大きく育つ茶葉だが、味の表現といい熟成のすすみ方といい、よく似ている。
葉底1
葉底2
茶葉が小さいのでじっくり蒸らすのはよくない。
白磁の蓋碗でサッと湯を切る淹れ方のほうが繊細な風味が引き出せたかもしれないが、それにしても小葉種は新しいうちが良いし、餅茶にしないで散茶のままのほうが良い。
体感はというと、やはり熟成させたほうが穏やかになっている。小葉種の茶酔いはパッとまわってサッと引く。軽やかで朝に飲みたいお茶。

ひとりごと:
蒸し暑い日がつづくせいか、冬の寒い寒いチェコのマルちゃんの工房で深夜に毎日見ていたお茶の番組シリーズ『一条 叶放訪茶』を思い出した。
見ていたら、そこから『茶有喝过才能说』につながった。
なかなかいい。
老茶の店の「03」「07」「12」「17」「20」がいい。薬膳の「13」もいい。かつて台湾にあった磚茶100モノを飲む「15」もなかなか。有機栽培のお茶を比べる「21」は希望の光。茯磚茶の「24」「25」はシブい。
山の中に竹の茶室をつくった「02」のだるまさんみたいな主人は一度お会いしたことがあって、そのときの印象そのまま。
それ以外のはちょっと苦手なのがあった。
なにが苦手なのか?と考えてみたら、「私キレイでしょ」を見せ合う女子趣味なお茶が苦手。女子が集まって「その服いいね!」をほめ合う必要性が、男子には理解できないのだ。女子趣味に意見はないが、男子までもが茶人服で襟巻きしているのはキモい。女性のチカラが強くなっている時代の現れとして歓迎するべきなのかな。
その点、老茶専門店の時代遅れな豹柄のシャツで我が道をゆくおっさん店主はカッコイイ。ますます希少で、もはやその人自身が老茶である。
うちは男子のお茶の店でありたいから、自分も老茶になるぞ。

老班章古樹純料茶10年 その2.

製造 : 2010年5月
茶葉 : 雲南省西双版納孟海県老班章古茶樹 老班章茶農協会認定
茶廠 : 孟海鴻福茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 上海 密封
茶水 : 京都の地下水 
茶器 : チェコ土の茶壺+鉄瓶
チェコ土の茶壺

お茶の感想:
上海の友人の店に預けていたサンプルの餅茶が数枚戻ってきた。
3種ほどあって、しばらく飲んでいないお茶ばかりなので確かめておく。
まずは老班章の2010年。
『老班章古樹純料茶10年』
老班章純料2010年
西双版納にいると試飲する機会の多い老班章のお茶。
この茶山の原料の茶葉価格が年々高騰してゆくのが春のニュースになって、中国全土にブランドが浸透している。
自分は好みではないから老班章の山には2008年から行っていないが、現地の茶友らはちょくちょく行っては「これはどうだろ?」と意見を求めてサンプルを持ってくる。1ヶ月に1つは老班章を試飲する機会がある。
ニセモノもホンモノも含めて美味しいと思えるのは1年に1つ出会えばよいほう。高騰した価格に見合う美味しさに出会うことはめったとない。
老班章にはひとつ気がかりなことがある。
茶葉の価格が高騰したため新老班章と称する茶地の開拓が周囲に広がった。2008年にはすでに周囲の山の広大な森林の開拓がはじまっていた。自然環境のバランスが変化しているはずだ。
老班章純料2010年
久しぶりにこれを飲んでみると、あんがい上質だった。
過去の記事には「舌にへばりつく苦味」と書いているが、今思うと適切じゃない。「余韻の長い苦味」と言うべきだろう。
とにかく苦味が美しい。枯れて清い感じがする。
透明感に深みがある。
余韻の広がりに風景が見える。
なんだか抽象的だが、美味しさが上にゆくほど抽象的な表現になるものなのだ。逆に、具体的な表現をさせるお茶はたいしたことなかったりする・・・かも。
体感はというと、暑い日に涼しい。
豊富なミネラルのせいなのか足の指に血がめぐる。毛細血管が開いて軽く汗をかくがのぼせるほどの上気はない。穏やかな茶酔いが眠りを誘ってウトウトする。
7年目になる熟成の風味はというと、密封して乾燥状態を保つように保存していたので大きな変化は無いが、無駄なところが落ちてより質素になった気がする。微かに蜜のような甘い香りが加わっている。煎がすすむと吐く息・吸う息にお香の煙のような香りが漂う。この地域の原種の品種特性が現れている。
様々なジャンルの音楽に様々な味わいがあるように、お茶にもそういう違いがある。もしかしたら、老班章の苦味の余韻はこれ独自のジャンルであって、他に代わりが見つからないのかもしれない。
もう一度味わってみたい苦味となって記憶に刻まれる。
老班章純料2010年
ひとつメモしておくと、この茶葉は5月の2番摘み。例年なら春の旬を外しているが、しかし2010年は80年ぶりの干ばつで雨が少なかったので、4月中旬の1番摘みの終わりくらいのコンディション。小さな新芽・若葉にそれが現れている。
茶樹の背が高いほど発芽の時期が遅くなりがちなので、もしかしたら大きな茶樹の1番摘みが混ざっているのかもしれない。
やや遅い春の茶葉は茶気が穏やかで、甘味が控えめになってちょっと痩せたような風味になるけれど、それが清潔感につながって好印象である。老班章だからといってフルパワーのチカラ比べが良いとも限らない。高いお茶だからチカラ自慢したくなるけれど。
早春の水分の少ない茶葉に比べたら水分を多く含む晩春の茶葉は殺青の鉄鍋炒りで焦がす失敗が少なくうまい具合に仕上がっている。熱伝導率のよい水が茶葉に均質な熱を伝えるからだ。このことが風味の透明感につながっている。
製茶の仕上がりを追求するなら、早春の茶葉を求めるのはリスクがあるなと思った。
葉底
葉底。雨の季節に入ったせいで茶葉の繊維がやや硬くなっている。

ひとりごと:
茶葉にはいろんなことが記録されている。
2010年5月の老班章の自然環境も茶樹の健康も。
お茶を淹れるとそのときその場所の環境がパッと蘇る。
この茶葉を手元に資料として残しておくと、これから出会う老班章のと比べられる。その違いから、自然環境と茶樹の健康についてもわかることがあると思う。

刮風寨冬片老葉2016年 その2.

製造 : 2016年12月(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 晒干緑茶
形状 : 散茶50gパック
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶+鉄瓶
冬片老葉

お茶の感想:
最近このお茶をいろんな人にすすめているがウケない。
+『刮風寨冬片老葉2016年 その1.』
あまり反応がないというか、手応えがない。
たぶん、見るべきところが伝わっていない。
お茶の体感からしたらかなり上質。新茶のものではなく20年モノや30年モノの老茶と同じレベルだと思う。
成長した大葉は身体へのアタリが優しい。冬茶の厚い葉や茎はでんぷん質を多く含むからお腹への収まりがよい。
ひとことで言うと、飲み疲れしないお茶。
毎日飲んでやっとその良さがわかる。ちょっと飲んだくらいではわからない。
冬片老葉
冬片老葉
こんなお茶、いまどき少ない。
その希少性もいまひとつ伝わらない。
毎日同じお茶を飲む生活スタイルの人なんていないから、そういう観点で評価されない。
中国茶全体を見ても、売れ筋の多くは飲み疲れするようなアピールの強いものばかり。お茶を買いに行った店で試飲するとアピールの強いのにどうしても惹かれてしまう。
SNSの口コミも最近はチカラをもっていて、口コミしたい人が口コミしやすいお茶がウケル。ちょっと飲んだくらいではわからないお茶なんてウケないのだ。
プーアル方茶80年代
写真は碁石茶。
4年前にこのブログで紹介している
お茶の産地にあるのは銘茶だけではない。
ある茶山にしかない。ある村にしかない。ある家の人しかつくっていない。そんなお茶がいくらでもあった。名前も分類も定義もないお茶。特定の消費者だけに求められていたお茶。碁石茶もそんなお茶のひとつ。現地を巡ってそんなお茶に出会うのは旅する茶商の楽しみだった。
でも、最近はこういうお茶になかなか出会わない。
農家もSNSを活用して売れ筋を把握したり消費者に直接アピールしたり、マーケティングしている。生産者としては不特定多数に求められるお茶をつくったほうが儲かるし安全だし。労力が同じなら儲かる仕事をしたいのは当然。
名前も分類も定義もないお茶は居所がなくなったのだ。
冬片老葉
冬片老葉
今年の春にチェコの若い茶商が西双版納に訪ねてきて、この『刮風寨冬片老葉2016年』をたくさん持って帰った。
どういうふうに紹介するのかと聞くと、毎月のお試しセットでいろんなお茶と一緒に箱に詰めて200人の会員に配るらしい。15gに小分けするそうだ。
「そんなのでこのお茶の良さはわからないよ!」
と言ってみたものの、
「それしか茶葉を売る術はない。」
と賢そうな顔をして返されて、なにも言えなくなった。
くやしい。こんなヤツに紹介しなきゃよかった。
冬片老葉
と思ったけれど、結局自分も毎日飲むお茶として利用するお客様を見つけられず。同じことだった。

ひとりごと:
すでに人々の生活に毎日のお茶の居所がなくなっているというのに、それを知りながら毎日のお茶を礼賛するのはわざとらしいかなあ。どうだろ。

プーアル方茶80年代 その1.

製造 : 1980年代後期
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海茶区
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 未入倉
茶水 : 京都地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
プーアル方茶80年代
プーアル方茶80年代

お茶の感想:
資料として保存しているサンプル茶葉を整理していたらこんなのが出てきた。
+【プーアル方茶80年代】
美味しいかというと、1980年代のお茶の中ではそれほどでもない。
でも個性が立っている。
8月1日に予定している上海での勉強会の「体感を探る」にピッタリなお茶だろ。ということで試飲してみる。
久々なので、熟成がすすんでいるはず。
チェコ土の茶壺
個性のある茶葉にはチェコ土のマルちゃんの茶壺。
茶壺
かけ湯
めったにしないこんなこともしてみる。効果のほどは定かでない。
惑星の表面っぽいザラザラ肌が湯を吸って吐く。それを見たいだけ。
チェコ土の茶壺
熱があるので蒸発してすぐ乾く。
プーアル方茶80年代
プーアル方茶80年代
ちょっと思い切って濃くしてみた。
苦い甘い。薬っぽい。仁丹みたい。
新芽・若葉の摘み時がよかったのだろう、水質がキメ細かく舌触りに潤いを与える。口に苦くてもスルッと入る。
30年くらい熟成したことで身体へのアタリは穏やかだけれど、孟海茶区独特の苦味による涼しさは健在。方茶ならではのスッキリ感がある。アミノ酸的な旨味の少ない健康な茶葉だ。
微かにチョコレート風味が感じられるようになった。熟成による味の変化。崩して保存しているので茶葉が空気に晒されたことによる効果だと思う。方茶は圧延が強く内側に空気が入りにくいので、固まったままだとこうはならない。
2007年に出品したときに比べると甘味が増してずっと美味しくなっている。
葉底
1980年代のお茶だが、香港倉庫に入らなかった未入倉のものなので、茶葉にまだ緑っぽいところが残っている。

ひとりごと:
勉強会のテーマ「体感を探る」は、これから日本でもやってゆく。
お茶の味を自分の身体に聞いてみる。これがあんがいできていないのだ。
なぜできないかというと、自分の身体にどう聞いたらよいのかわからないからだ。
体感のタイプの違うお茶を飲むことで、身体のどこにどういう変化が現れるのかを経験したらわかるようになる・・・はず。
この経験はお茶だけでなくふだんの食事にも応用できる。
ほんとうに知るべきは、お茶の上質よりもふだんの食事にある。

勉強会・上海 体感を探る 8月1日

勉強会
終了しましたが、資料として残しておきます。

日本語の講義です。
中国語の講義は7月31日に行います。

テーマ:
体感を探る。
薬としての利用からはじまったお茶。
体感の異なるプーアール茶を飲み比べ、医食同源の観点を考察します。

場所:
上海 天山茶城 1階のお店
中山西路520号天山茶城1252 云元谷 
玉屏南路の天山茶城正門から入ってまっすぐ35メートルほど。

日時:
8月1日 火曜 午前10時から 3時間半ほど

茶単:
刮風寨古樹晒青茶 2017年4月 生茶 春 新葉 西双版納勐臘 4ヶ月
刮風寨古樹青餅茶 2016年4月 生茶 春 新葉 西双版納勐臘 1年
刮風寨単樹小餅  2016年4月 生茶 春 新葉 西双版納勐臘 1年
刮風寨冬片老葉茶 2016年12月 生茶 冬 老葉 西双版納勐臘 8ヶ月
銷台甲級沱茶90年代 1996年 熟茶 春 新葉 西双版納勐海 20年
7581荷香茶磚97年 1997年 熟茶 秋 老葉 景谷 20年
沈香老散茶50年代 1950年代 生茶 秋 老葉 西双版納勐臘 60年
(飲むお茶は当日まで変更することがあります。)

お茶を飲むとお腹が減ります。
事前にお腹を満たしておいてください。
お昼の時間をまたぐので、お菓子や軽食などをご持参いただいてもよいです。当方ではご用意しません。

白牡丹生態茶2014年 その5.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 福建省福鼎市磻溪大白茶種
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
鉄瓶

お茶の感想:
鉄瓶の湯の熱には粘りがある。
保温力というか持続力というかすぐに冷めにくい感じ。
鉄瓶から注いだ茶壺にも、茶壺から注いだ茶杯にも、熱の粘りはつづいている。
これを高温という言葉で表現すると、熱にデリケートな茶葉を煮やしてしまいそうだが、そうはなりにくい。
高温ながらやさしく熱が伝わる感じ。
熱にデリケートな茶葉で試してみたくなって、白茶のこれ。
『白牡丹生態茶2014年』(卸売部)
本当は、プーアール茶の生茶も熟茶も紅茶も熱にはデリケートなのだ。
プーアール茶というと基本は高温で煮出すと教えられることが多いから、なにも考えずに淹れていたら多彩な風味に出会えない。
ところが、高温を否定すると、ちょっと温度を下げてみるか・・・となりがち。
そうじゃない。熱の伝わり方が問題。
茶壺
この白茶は2014年ですでに3年経っていて、熟成による香りの変化が現れている。かすかに漢方のようなスパイスの薫るいい感じだと思う。
ところが、この香りはちょっと温度を下げた80度くらいでは眠たくてピンとしない。しかし、沸き立ての湯を注いで90度以上で蒸らすと、とくに茶壺のように保温力のある茶器では酸っぱくなりやすい。渋味も出て甘味が少ない。これを煮え味と呼んでいる。
香りをとるか味をとるかになってしまうのは、温度の問題と考えるからだろう。
例えば92度の湯を注ぐとか、ピッタリな温度設定があるのかもしれないが、気温や茶器のコンディションは毎日変化しているので、別の日は94度でないとダメという具合に変動する。なのでピッタリな温度や時間の設定は、正確なようで正確ではないのだ。
そこで、鉄瓶の湯の熱の粘りに期待してみる。
例えば、熱い湯の風呂にザブーンと入ったら火傷するけれど、かけ湯して皮膚を慣らしながらそっと入ったら大丈夫。
同じ温度でも熱の伝わり方が違うと、熱による変化の結果も異なってくる。
鉄瓶から注ぐ湯の落ち方。
茶壺の中での湯の熱のまわり方。
茶葉にやさしく熱が伝わるカタチをイメージする。もちろん沸きたての熱い湯で淹れる。
チェコマルちゃんの急須
チェコマルちゃんの急須
チェコ土の茶壺は底が広く浅く口がつぼんだ急須タイプを選んだ。
湯の熱は上に上がる。茶壺がタテに長いのは湯の温度が直接的に茶葉に伝わりやすい。底が広く浅いのは湯の熱が反射したり逃げたりして間接的になる。
また、底が広いと茶葉がゆったり広がる。茶葉に伝わる熱が均質になりやすい。
湯を注いでしっかり温めてから湯を捨てて、もういちど熱い湯を注いで半分くらい。妥協のない熱い湯である。
白茶を淹れる茶葉を浮かべる
その上から茶葉を入れて浮かべる。茶葉は自身の重さでじわじわ沈むのを待つ。浮いているのはそのままで無理に押し込まない。蓋をして蒸らすと乾いた茶葉が湯に馴染みながらゆっくり沈む。
風呂の熱い湯に片足ずつそっと入るのと同じように茶葉を熱に慣らす。
3煎め
3煎めくらいまで浮かんだままの茶葉があるが、それでも放っておく。
浮いている茶葉が蒸気で蒸らされる空間を残すように湯の量を調整する。この空間を湯で占めてしまうと熱のまわりが直接的になりやすい。
湯を注ぐところを開ける
湯を注ぐところを空けて、茶葉に直接熱い湯を落とさないようにする。
やはりこれで煮えることなく酸味は出ない。香りは生き生きとしている。
3煎・4煎とすすめても甘味・旨味はひかえめで新鮮味がある。4煎めくらいでちょっと渋味が出たが、こんなものだろう。
白牡丹生態茶2014年
白茶
白茶は前菜のサラダのようなお茶。じっくり味わうメインディッシュなお茶ではない。サラッとした味の印象のまま、ちょっともの足りないくらいで終えるのがカッコイイと思う。
逆に、鉄瓶の湯の熱の粘りをじっくり茶葉の芯に伝えて、甘味や旨味を引き出したいときは、湯を茶壺の口元いっぱいまで注ぐか、縦長の茶壺を使うとよいかもしれない。別の機会に試してみる。

ひとりごと:
ふと思いついて、紅茶を淹れてみた。
このお茶。
+【漫撒一水紅餅2016年】
漫撒一水紅餅2016年
漫撒一水紅餅2016年注ぎ
漫撒一水紅餅2016年
茶壺の口もといっぱいまで湯を注いでじっくり抽出したら、やはり煮えて酸味が強くなった。

7581荷香茶磚97年 その8.

製造 : 1997年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶景谷茶区
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 西双版納 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶

お茶の感想:
もしかしたら鉄瓶と白磁の蓋碗の相性がいまいちかもしれない。
昨日淹れて思ったのだけれど、質感が違いすぎる。
白磁の蓋碗
音が響くように熱が響く。
厚くて重い鉄に響く音と、薄いガラス質の白磁に響く音と、その違いはなんとなく想像できるだろう。
熱もそのように響き方が異なり、茶葉への浸透のしかたが異なり、出てくるお茶の味が異なる。
鉄瓶
鉄瓶肌
この写真を見てもなんとなくそう思うだろ。
白磁と鉄瓶はあまりに異質だ。
鉄瓶の響きはゆったりしていて、チェコ土のマルちゃんの茶壺の波長と似ている。
高温で焼き締められた石のように硬い石器。
チェコ土の茶壺
チェコ土の茶壺
こういう感覚って大事。
うまく説明できなくてもよい。お茶の味という現物でもって自分の感覚をそのまま人に伝えることができる。
今日は熟茶で試すから熱量をしっかり茶葉に伝えたい。保温力のあるチェコ土の茶壺にした。
見かけは異なるが土質はほぼいっしょ。内側の釉薬はなし。
この土質はお茶との相性がよいのか、釉薬なしのほうが素直な味になる。
チェコ土の茶壺2つ
チェコ土の茶壺
公道杯は使わず、チェコ土の茶杯にそのまま注ぐ。
鉄瓶とステンレス電気ポット。
このお茶。
『7581荷香茶磚97年』(卸売部)
7581荷香茶磚97年
1980年代の製法を再現した、ちょっと実験的な作品。
新芽・若葉を避けて成長するのを待ってから采茶したような繊維の硬くなった茶葉の様子がある。揉捻で捻れないから開いたまま。茎の部分も多い。でんぷん質の多い秋茶ではないかと思うが、茶葉は季節や成長度によって成分構成が違うので、微生物発酵の工程にも影響してそれぞれの味になる。
1990年代からの熟茶は、味が濃く体感の熱いのが多い中、このお茶はサッパリしていて体感も涼しい。お腹の底から温まるが、夏に飲んでも暑苦しくはならない。
こういう茶葉のタイプは、遊牧民らがヤカンに煮出してバター茶などにしていたものなので、サッと湯を切るような淹れ方では成分が抽出しきれない。
茶壺で高温を長く維持したい。一煎ごとに湯を切ると茶葉が冷めやすいので、茶杯に注いで残った湯はそのままにして、上から熱い湯を足すようにする。
一煎め
左: ステンレス電気ポット
右: 鉄瓶
3煎めくらいまで、なぜかステンレス電気ポットのほうが茶湯の色が赤い。しかし味のボリュームの差はない。
口に含むと、やはり鉄瓶のほうの湯が熱い。3分以上蒸らし時間があっても鉄瓶は高温を維持している。
味の印象は異なる。ステンレス電気ポットは味や香りがバラバラでまとまっていない感じ。鉄瓶のはまとまっている。
いくつもの茶葉から上質を選ぶための試飲をするとき、口の中に広がる味や香りの方向を見る。方向がはっきりしているのは上等。例えば、上に抜けるとか下に沈むとか左右に広がるとか、どこか決まった方向のあるのがよい。バラバラで方向の定まらないのは上質ではない。そのように評価する。
今回は同じ茶葉なのにこの差が出る。
7煎くらいまで進めたが、茶湯の色の濃さや味のボリュームには差がない。どちらが特別に甘いとか苦いとかいうこともない。鉄瓶のほうが耐泡(煎がつづく)が良いというわけでもない。
ただ、味の印象が異なる。はっきり言えば、終始鉄瓶のお茶のほうが美味しかった。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)は同じ。

ひとりごと:
思っていたよりも鉄瓶は個性を主張しない。
湯が熱いからといって、お茶が濃く出たり特別に香りが立つというわけでもない。なにかを隠すこともない。そのへんあっさりしている。素直に出る。
これなら試飲用のヤカンも鉄瓶にしてよいかもしれない。
ガスで沸かしてアルコールランプで保温というフォーメーションもなかなか良い。
ステンレス電気ポットはもう使わなくなるな。
鉄瓶

章朗古樹春餅2016年・黄印 その2.

製造 : 2016年4月7日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 店長ふじもと
工程 : 生茶のプーアル茶
保存 : 密封
茶水 : 京都地下水
茶器 : 白磁の蓋碗・鉄瓶・ステンレス電気ポット
八角鉄瓶

お茶の感想:
今回入手した鉄瓶はすべて新品。
古びた感じに見えるが中古ではない。
専門店に教えてもらって、なるべく昔ながらの製法のを選んだ。
内側に漆が塗ってあり、漆と鉄が化合してできた黒錆(黒鉄)の膜をつくっている。これによって鉄を劣化させる赤錆の発生が防げる。
茶葉のタンニンと鉄の化合によっても黒錆はできるので、ときどき茶葉を煮て内側の膜を補強するとよい。
それにしても鉄瓶はデリケート。
湯を沸かした後にしっかり乾かさないで濡れたままにすると、次の日にはもう赤錆の小さなスポットが現れる。
茶葉を煮たらすぐにリカバリーできるが、鉄という素材は敏感というか不安定というか、見かけによらないところがある。
鉄瓶の錆
詳しい人の話では、鉄瓶で沸かした湯には鉄イオンが溶け出すらしい。ということは、やはり濃いめのお茶に個性が現れるはず。時間をかけて小さな火で水からゆっくり沸かしたり、茶葉の成分をじっくり抽出するのは有効なのだ。
鉄瓶で湯を沸かすだけでお茶淹れのいろんなバランスが変化する。鉄や水や火や空気の微かなサインを読み取らなければならない。
幼いころは水遊びや砂遊びに夢中になれて、万物と自分とのつながりを確かめていたけれど、大人になってからは水や火や土みたいな元素なやつに興味が薄れてしまうのだな。なぜだろ?あまり賢そうじゃないし、オシャレでもないしかな。
自然観察が楽しめたらお茶淹れは面白い。鉄瓶ならではのデリケートさも味わえるだろう。
そこが味わえないと、お茶淹れがただの作業になってしまう。
作業になると、正しさを求めたり合理的にやろうとしたり、つまらないものにしてしまう。
鉄瓶が機能的かどうか、プーアール茶を美味しく淹れられるかどうか、実はそんなことはどうだってよいのだ。お茶淹れそのものの味わいが味わえるかどうか。鉄瓶ならではの味わいを見つけられるかどうか。味わいの達人になれるかどうか。
章朗古樹青餅・黄印2016年
さて、今日はこのお茶。
【章朗古樹青餅2016年・黄印】
西双版納の孟海茶区から西へ、ミャンマーにかけて分布する古茶樹には共通した苦味がある。
苦くて、その反動で甘い。
この苦味が鉄瓶の湯にどう反応するのかが見どころ。
今回はステンレスの電気ポットと比べてみる。
ステンレス電気ポットと鉄瓶
久しぶりに白磁の蓋碗。
茶葉の重量もちゃんと計ってテイスティングっぽくなった。
鉄瓶は湯が沸くのに25分。
ステンレス電気ポットは3分20秒。
湧いてから、鉄瓶はアルコールランプの小さな火で沸騰状態を保つ。ステンレスの電気ポットは一煎ごとにスイッチを入れて再沸騰させる。
もちろん、鉄瓶の湯に鉄の味がするなんてことはない。念のため。
章朗古樹青餅・黄印2016年
左:ステンレス電気ポット
右:鉄瓶
茶湯の色はまったく同じ。
香りのボリュームにはほとんど差がなかった。
鉄瓶の湯は熱い。
杯を持つ指の感じでは5度くらいの差がある。
2煎め
3煎め
葉底(煎じた後の茶葉)の開き方が1煎めから違っている。写真は2煎めと3煎め。
水質が違う。
鉄瓶のは、口当たりまろやかで喉ごしに潤いがある。
ステンレスの電気ポットのは、”燥”。ドライでカラッとしている。
味わいは、金属の質感のもつイメージ通りで、鉄瓶のは重低音。ステンレスのは高音。音のような響きの違いがある。
ステンレス電気ポットと鉄瓶
苦味は鉄瓶のほうがよい。強いのに優しい。
ステンレスの電気ポットは若い味。鉄瓶は1年ほど保存熟成したような味に落ち着きがある。
なるほど、このような味の出方ならハツラツとしすぎた新しい生茶を飲むなら鉄瓶が適している。
耐泡(煎がつづく)は意外と同じ。
7煎くらい進めても、茶湯の色も味のボリューム感もほぼ同じである。
鉄瓶の煎が前倒しになって続かないというのは、錯覚だったのだろう。
次回は熟茶で試してみる。

ひとりごと:
多くの人がお茶淹れをあまり楽しめていないのではないかとうすうす感じていて、なぜそうなのかと考えてみて、こんな話になった。
機能性や合理性を求めるあまり、お茶入れが作業になる。
作業はつまらないから、いずれロボットにお茶を淹れてもらうようになる。コーヒーマシンがすでにそうか・・・。
なんでもロボットになってゆくと、作業にひそんでいた味わいが減るよな。味わいながら無意識に楽しんだり学んだりしているのに、もったいない。
ロボットメーカーの立場からは、日常に潜む味わいを無駄なこととして、まずは人々の意識から価値を無くしていって、もっとたくさんロボットを売ろうとするだろ。
機能性や合理性や正しさを主張している人は、実はみんなロボットメーカーの回し者で、味わい泥棒なのだ。

版納古樹熟餅2010年 その36.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 鉄瓶+チェコ土の茶壺
鉄瓶あられ

お茶の感想:
鉄瓶を探る。
濃く淹れても透明感のある味わい。
高温抽出でありがちなドライな刺激をしっとりと包み込む水質。
いろんなお茶を濃い目に淹れてみよう。
ということで、今日はこのお茶。
【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
思い切って真っ黒に出してみる。
いつもは7煎くらいまで続けるところを、前倒しにして3煎めで切るつもり。
鉄瓶なら1煎めからフルパワー。3煎で出し切る配分は無理なくできるはず。
鉄瓶独特の熱の響きをつくるには時間を掛けてじっくり湯を沸かしたほうがよい・・・と信じている。
まずガスコンロの弱火で25分ほどかけて水から湯を沸かす。途中からシューン!という音が鳴り出して、底から小さな気泡が湧いて上下に対流する。気泡がだんだん大きくなって蓋のそでから噴く蒸気にチカラがみなぎる。
ガス火
ガス火の熱はまっすぐ上がり鉄瓶の底を突き抜ける。
上への直進力が強すぎる。水に強い刺激を与えるから、写真のように小さくトロトロした火で鉄瓶まで1センチ以上の隙間を空けたほうがよい。コンロの高さ調整ができるよう薄い五徳を敷く手もある。
沸騰するまでの時間、水は鉄から伝わる熱の響きを聞いている。水の粒子がそれを記憶する。
アルコールランプ
アルコールランプの火も親指の先くらい小さめ。
鉄瓶から茶壺に湯を注いでからも水の記憶はすぐに消えない。茶葉にその熱が伝わり抽出される成分にもなにかが響いている。
たぶんそういうことじゃないかなというようなお茶の味。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
味のように体感にも違いがでてくる。
これだけ真っ黒く抽出してもサッパリしている。熟茶にありがちな暑苦しさはなく、むしろ涼しい。手前味噌ながら茶葉が良いというのもある。
茶酔いはゆったりと長い波で寄せてくる。
静かで落ちついた体感。
お腹の底を温める熱がいつもより力強い。
水が記憶する熱の響きは、おそらく体内にもなんらかのカタチで伝わる。
鉄瓶を傷めたくないので試さないが、強火で短時間で沸騰させたらお茶の体感も変わってくるだろう。いつも使っているステンレスの電気ポットは3分で沸騰するが、その湯でこのお茶を濃く淹れたらもっと辛くて暑い味になるし、体感はもっと衝撃が突然くる感じ。そうすると、昔みたいに炭火で湯を沸かすともっとやさしくなるだろう。
この熱の響きはお茶の成分を身体に”伝えるカタチ”をもっているのではないかと思うが、冷たいお茶では酔えなくなるので、水の記憶と熱とはセットで響いているのだ。
お茶は熱いうちに飲むほうがよい。
冷たいお茶を飲む日本人の習慣は、茶酔いを評価していないことがわかる。飲みものが身体にどう響くかに関心がないのだな。
鉄瓶

ひとりごと:
もしかしたら酒でさえ酔い心地を評価していないかもしれない。
舌先・鼻先の味や香りだけで評価していたら、大事なところを見落としてしまう。
つくっている人が大事なところを見てほしいと思っているお酒が飲みたい。


茶想

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