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温州人第六批熟茶2018年 その1.

采茶 : 2018年9月
加工 : 2018年9月・10月
茶葉 : 雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
西双版納
メコン川
西双版納
西双版納

お茶の感想:
西双版納の空港に着くなり茶友が「見せたいものがある」と言って、市内のとある高層マンションに連れてゆかれた。
300平米に4部屋くらいある高級住宅だが、住人はすでに引っ越して住んでおらず、据え付けの木製家具だけが残っている。
そのうちの一室に木工職人が銭湯の風呂くらいある木箱を2つ組み立てていた。
本格的に熟茶づくりをするための設備である。
西双版納に近いミャンマーで鉱山開発をしている温州人の茶友が先頭を切って独自の熟茶づくりをはじめたのが2016年の秋。
この記事に書いている。
+【版納古樹熟餅2010年 その32.】 
+【温州人の易武古樹熟茶 その1.】
それから2年。
温州人の熟茶はすでに第六批の微生物発酵がはじまっている。6回目の熟茶づくりになる。
ミャンマーの紛争地域なので現場に入れないが、ちょくちょく持ってくるサンプル茶葉は回を重ねるたびに良くなっている。温州人の創意工と、微生物の世代交代がすすんで発酵に熟練してきたことと、いい具合に成熟してきた。
ミャンマーの発酵
ミャンマーの発酵
毎回数十キロ以内の少渥発酵。
メーカーでは一般的に何トンもの茶葉を発酵させるので、数十キロで安定した結果を得ることができるのはちょっと特殊。原料の茶葉は少量ほど質の良いものになるので、これまでにはない質の熟茶ができる。はず。
この技術をそのまま西双版納に移植するプロジェクト。
昨年の秋に広東人の茶友が西双版納のマンションの一室で試みたが、狭い部屋では温度や湿度の管理が難しいということがわかった。茶友たちと議論を重ねた結果、大きな部屋と大きな木箱が要ることになった。
そこで地元の不動産王の茶友に相談したら、広い空き部屋を提供してくれることになった。乾燥した毛茶にして150キロまでなら余裕で醸すことができる。
中国の田舎の不動産は空き部屋だらけである。なのに不動産価格は高騰してどんどん新しい建物ができる泡末経済。遠慮なくタダで借りることにする。
さて、原料の茶葉をどうするか。
ミャンマーの茶葉、ラオスの茶葉、タイの茶葉、雲南省臨滄市の茶葉、いくつか候補が上がっている。いずれも古樹の茶葉が安く入手できる。地元の西双版納に候補がないのは価格が高すぎるから。熟茶づくりの茶葉はもともと西双版納よりもその周辺地域のほうが多いので、問題ないだろう。伝統に培われてきた知恵を見落とすことにはならないはずだ。
今日のお茶は温州人の第六批。
『温州人第六批熟茶2018年』仮名とする。
原料の茶葉はミャンマーの鉱山から雲南省に入って最も近い茶山が臨滄市鎮康県の”果敢交界”というところらしい。古茶樹がある。
中国語のサイトに紹介があった。
+【来自中国镇康县与缅甸果敢交界的古树普洱茶】
茶具
晒青毛茶
温州人が何度か通って機械を使わない手工の殺青(鉄鍋炒り)を農家に教えて、今年の9月中頃につくった晒青毛茶を90キロほど調達した。もともと茶葉の価格の安い茶山なので一般的には機械で殺生・揉捻をしているらしい。たくさんつくってたくさん売らないと農家は生活費も稼げない。手工でつくる非生産的な分は追加料金を払って補うが、それでも西双版納の有名でない茶山に比べて3分の1の価格。
もちろん直射日光による晒干で仕上げるようオーダーしてある。
雨季がまだ終わっていないので秋の旬とは言えないが、試作には十分。いい感じの熟茶ができることがわかったら春の旬を待てばよいのだ。
微生物発酵させる前の段階の晒青毛茶(生茶)のサンプルもくれたので、まずはそれを試してみる。
泡茶
葉底
煙草っぽいスモーキーな香りがあり苦底があり、アッサムっぽい雲南大葉種の田舎臭さが出ているが、だが栄養は充実している様子。
製茶は、焦げや生焼けがほとんどなく均一な火が通っていて、熟茶づくりに適していると思う。
微生物発酵途中の茶葉。まだ発酵前期である。
第六批熟茶
散水第一回目から2週間目。
もうあと1回の散水を最後にして30日くらいかけてゆっくり乾燥させる。
なので早熟であるし、圧延の蒸気も通っていないから菌類の生きている”生”の状態だし、いつも飲んでいる熟茶とはずいぶん異なる味であるが、生の試飲も回を重ねて慣れてきたから、ある程度良し悪しがわかる。
第六批熟茶一煎め
第六批熟茶三煎め
上: 1煎め
下: 3煎め
熟茶は一煎めの茶湯の色が赤味があって煎を重ねるほどに黄色っぽく明るくなるのが普通だが、これは逆で生茶のように煎を重ねると赤味が増す。まだつくられていない酵素類がたくさんあるのだろう。
微生物発酵の水分の多いときに発熱して高温になるのを防ぐ工夫が新しくて、比較的低温を保ちながらゆっくり発酵させてある。その効果が現れていて透明で潤いある水質に仕上がっている。
茶湯の色は生茶のように黄色いが、味は微生物発酵のもの。といっても熟茶にはぜんぜんなっていなくて酸っぱいヨーグルトな感じ。
微生物発酵は前期と後期で異なる微生物が異なる仕事をする。前期の主役の黒麹によってつくられたクエン酸がまだ多く残っているから酸っぱいのだ。後期の主役の枯草菌類がこの酸を分解するのだろうか。
第六批葉底
葉底には緑色が残っているが、この先の30日間のうちに一日一日熟れてゆき、仕上がりはもっと赤い黒い茶葉になると予測している。
圧餅したらどうなるのか、蒸気の熱とその後の乾燥の影響がどうなのか、保存のときの変化はどうなのか、この続きを見たいから、次回は圧餅テストをしてみる。

ひとりごと:
現代の鉱山開発は土から金だのプラチナだのいろんな金属を分別しながら採集するので、土の成分分析をする技術がある。これで茶葉の成分分析をしているから、熟茶の微生物発酵がつくりだす良い成分と悪い成分を見分けることができる。健全な発酵ができているかどうかを人の感覚だけでなく科学的な観点で確かめられるのは安心できる。
温州人が試しにわれわれの今年の春の刮風寨の小茶樹と古茶樹の成分分析をしてみたら、古茶樹の茶葉には味にかかわるある成分がやや多いことがわかった。やや多いの”やや”のために価格差が5倍以上もする。そう思うとバカらしくなる。
もっともこれは味にかかわると認識できている成分にフォーカスした科学的な理解の仕方である。まだ認識できていない、それを説明する言葉すら定義されていない何らかの、人の感覚の森羅万象についてはいったん無視している。というか、無視できるのが人の脳の理解の仕方なのかもしれない。
ある成分が何だったのかは言わないことにしておく。

易昌號大漆樹圓茶04年 その10.

製造 : 2004年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭
サーモスのお茶

お茶の感想:
先日、それほどでもないと評価したこのお茶。
+【易昌號大漆樹圓茶04年 その9.】
サーモスの保温ポットに茶葉を入れて熱湯を注いで飲むと意外に良かった。
高温の湯でじっくり抽出すると、かすかに沈香が薫る。
吐く息の中にふわっと薫るお香のような高貴な香り。上等な老茶に共通するサインである。
メイラード反応(常温の焦げ)によるカカオ風味もちょっとある。
熱湯の熱がしっかり通ると、味や香りがひとつにまとまってむしろ透明感が増す。
前回、一煎めに”梅香”があったと書いているが、梅香はまさに熱が通っていない風味。一煎めにぬるい湯が茶葉に入り込むと、二煎めの熱い湯が茶葉に入り込む余地がない。三煎つづけても味はぬるい感じになってしまう。
茶葉を乾かす
茶葉を乾かす
水滴
淹れ方にちょっと問題があった。
過去にも同じ評価ミスをしている。
新茶ばかり続けて淹れているところに突然熟成した茶葉のを淹れると、抽出のタイミングが早めになって熟成の枯れた茶葉の成分がうまく出せない。意識して、煮えるのじゃないかと心配になるくらいじっくり抽出するべきだった。
濃くなりすぎて苦味やエグ味が強くならないように茶葉を少なめにしておく。
2煎で出し切る。
茶葉少なめ
このへんのコツは毎日老茶を飲んでいたら自然に身についているから問題にならないけれど、新茶・老茶が混ざると調整が難しい。
熟成50年モノくらいになると、なにも考えずにどう淹れても美味しくなる安定した状態であるが、20年モノくらいはまだ若い。このお茶は14年モノだから難しい年頃だった。
あらかじめ茶葉を熱して熱い湯で淹れた。茶壺も温めた。
茶壺を温める
注ぎ
茶湯の色
前回よりも茶湯の色が赤い。しっかり熱が通った色。
それでもやはり采茶のタイミングが遅いための渋味があるし、製茶の雑な仕事による粗い水質もある。
そういう欠点が欠点に見えなくなるような、脱皮して羽化するみたいな成長というか変化が、熟成のある時点で起こるのだろうか?
観察を続けてみる。
葉底

ひとりごと:
脱皮して羽化するみたいな・・・。
自分のことを振り返ると、上海に移住して2年めや雲南に移住して3年めはそんな大きな変化があったように思う。
移住で環境が変わって生き方も変えないと生きてゆけないから脱皮するしかなくなる。
そろそろ移住なのかな。

勉強会・上海 神韻 10月2日・3日

単樹1号

選ばれた山。
選ばれた茶樹。
選ばれた采茶日。
選ばれた技術。
恵まれた運。
お茶の聖地で理想を叶えた単樹1号と2号の神韻を味わいます。

単樹2号

日時:
上海 10月3日 午後2時から4時頃まで 終了
上海 10月3日 午前10時から12時まで 終了
上海 10月2日 午後2時から4時頃まで 終了
京都 8月25日土曜 午後5時から8時頃まで 終了
京都 8月18日土曜 午後5時半から8時半頃まで 終了

場所:
上海 天山茶城 1階のお店
中山西路520号天山茶城1252 云元谷 
玉屏南路側の天山茶城正門から入ってまっすぐ35メートルほど進んだ右側の店。

茶単:
刮風寨単樹1号2018年
刮風寨単樹2号2018年

注意:
お茶をたくさん飲むので空腹はお腹に負担がかかります。なにかお腹に入れておいてください。

大益沱茶05年 その1.

製造 : 2005年9月
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶孟海茶区ブレンド
茶廠 : 孟海茶廠民営化後
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 沱茶100g
保存 : お菓子の缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶+炭火
お菓子の缶で熟成した茶葉
生産日付
大益沱茶05年プーアル茶

お茶の感想:
前回につづいてお菓子の缶に8年間眠っていたお茶。
+【大益沱茶05年プーアル茶】
生茶のプーアール茶。
ひとことで言うと安モノのお茶だけれど、美味しければよいだろ。
国営の孟海茶廠が民営化されるときに準備されたのが”大益”ブランドで、これまでは開放されていなかった中国大陸の市場に向けて大衆化した製品を供給することになったから、当然それまでの産地では足りないので新興産地の茶葉が使われている。
茶湯の色
正直に言って不味い。
雑味やアク味が邪魔するためにゴクッと強制的に飲み込まないと口から消えない。舌にはシワシワ渋味が残って消えない。
8年間も忘れたまま熟成していて、もうちょっとなんとかなっているかと思ったけれど・・・。
葉底
原料の茶葉の質は悪くない。
製茶が悪い。圧延加工が悪い。
製茶は焦がしているし、圧延の蒸しすぎた煮え味もある。
しかし、2005年ならこれでも標準的な大手メーカーの品質。
製茶はダメでも茶葉の質が良いから煎はつづく。
5煎めくらいから甘味と蜂蜜のような香りが出てくる。焦げの煙たさがスパイスになって、煙草吸う人がこの味を好む傾向がある。
西双版納の南糯山とか布朗山とか巴達山とかそのあたりのお茶に似ている。
ふと思いついてこのお茶。
+【南糯古樹青餅2010年】
原料の茶葉は似ているはず。
南糯山古樹青餅2010年
南糯山古樹青餅2010年
残念ながらこれも不味い。
製法の問題はそれほど見つからない。でも同じような不味さがある。やはり品種特性が生茶に向いていないのだろう。
西双版納の実生(花が咲いて実が成るところから苗が育つ)の古茶樹は、人間の兄弟がそれぞれ異なる外見や性格になるようにバラエティー豊かになって、クローン栽培のような単一化はできないが、茶山を選ぶことでざっくりと同じグループを選べる。
生茶に向いている茶山。向かない茶山。
2013年くらいにそのことに気付いて、軽発酵をすすめた製法を『南糯蜜蘭青餅2013年』で試したけれど、結局それが最後のあがきだった。

ひとりごと:
南糯山が生茶をつくりだしたのは1980年代のこと。それ以前の数十年は緑茶と紅茶。もっと昔は微生物発酵させる黒茶の原料を提供していたはずだ。
大陸での需要に求められて、現在は生茶づくりの歴史がない茶山の茶葉で大量に生茶がつくられているけれど、いずれ淘汰される。はず。
南糯山の茶葉は紅茶や熟茶にしたほうがだんぜん美味しいから。

7592七子餅茶1999年 その1.

製造 : 1999年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶孟海茶区ブレンド9級
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : お菓子の缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興白泥の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
お菓子の缶の熟成茶
お菓子の缶

お茶の感想:
お菓子の缶に入れたまま押入れに仕舞って忘れていたお茶。
上海から西双版納に引っ越すときに売り切れたはずだが、おそらく円盤型が崩れて売ることができないようなアウトレットを手元に残したのだ。ということは、8年間は忘れていたことになる。
4種あるが、このお茶から飲んでみる。
+【7592七子餅茶1999年】
7592七子餅茶
7592七子餅茶
1999年の熟茶で、9級をメインに構成した粗茶葉が使われている。
微生物は粗い茶葉や茎のでんぷん質を好むので、この手の茶葉は散水してからの発酵の立ち上がりが早くて、茶葉が水を含むことで余計な変化の起こる期間が短くて、雑菌が入って腐敗するリスクも少なくて、それがサラッとした味わいになって現れるが、その一方で微生物が活発になりやすく高温になりすぎて、茶葉が焼けるというか煮える。
まさにそういうふうに仕上がっている。
泡茶
喉にイガっとくる刺激があるのは、茶葉の質や製茶や発酵工程の仕事荒さが影響している。
1999年あたりは産地のお茶づくりが荒れていた時期なので、こんなものだろうと思う。刺激はやがてスースーとクールミントに変わるので、悪いこともない。
熟成による変化で気品が備わって、バラの花やお香のような香りがチラチラと薫る。これにはちょっと期待。このまま純化してゆくと上等になるだろう。
体感は穏やかでゆったり。
粗茶葉の栄養で手足の先の指先の毛細血管までもが開いて血が巡って身体のチカラが抜けてゆったりするが、旬の茶葉ではないため茶気が弱く、脳を揺らすような茶酔いの快楽はない。
茶湯の色
いい具合にチカラの抜けたお茶。
普段飲みにして疲れないお茶。
ちなみに、中国のネットショップを検索すると、同じ1999年の7592は一枚1980元(現在レート32500円くらい)で出品されていた。
ま、そんなものか。
お菓子の缶はしっかり密封できるので、茶葉が湿っていないかぎり乾燥気味に保存できる。失敗はまずない。入手しやすいので長期保存の容器としておすすめ。気温の変化の影響を受けやすいので、安定したところに置けばよい。押し入れは良いが、建物によっては陽の当たる側の壁だったり、湿気の溜まりやすい位置だったりすることもあるので、その点は考慮しなければならない。
熟成のコツは、忘れてしまうこと。

ひとりごと:
味を忘れないうちにこの熟茶を飲んだ。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
泡茶
これだけを飲むと熟成を経た透明感が際立つが、『7592七子餅茶』の後に飲むとそれほどでもないと感じる。10年の差がある。
茶葉の素質の良さや茶気の充実ぶりは圧勝かもしれないが、濃いし、辛いし、ピチピチしていて若いというかまだ青いのだな。
枯れの味わいは年月にしか出せないということか。

刮風古樹青餅2018年・黄印 その3.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家と店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火
薪ストーブ
お茶淹れ

お茶の感想:
2017年1月のこと。
チェコの冬の薪ストーブで沸かした湯で、マルちゃんとお茶淹れ比べをしたとき、ヤカンの湯がグツグツ沸騰するちょっと手前の湯でお茶を淹れたら締まりのない味になった。
その時のお茶は紅茶の『巴達生態紅餅2016年』。
雲南紅茶
マルちゃんは、グツグツ沸騰してからの湯を使うべきだと主張する。
もしも少しぬるめの湯にしたいならグツグツ沸騰させてから茶海に移すなり、ヤカンのまま冷ますなりしたらよい。
例えば、沸騰していない湯の温度が97度で沸騰したのが98度で、そのほんの1度の温度差がもたらす差ではない。もっと大きな差がお茶の味に現れる。
沸騰した湯にしかない熱の振動があるらしい。
そう解釈している。
その振動があるかないかが問題。
刮風古樹青餅2018年・黄印
茶器と茶葉
2018年の黄印の圧餅の工程の”蒸し”をテストした茶葉。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
蒸して涼干・晒干して、蒸し時間をどのくらいにするのかの参考にした。
餅茶180gサイズなので、1枚分に満たない端数の100gほどが散茶で余って、それを蒸した。
同じ蒸し器の熱量で180gと100gとでは、単純に考えると1.8:1.0の蒸し時間で熱の通りは等しいはず。
3分半蒸して×1.8倍したら6.3分。6分18秒が180gサイズの餅茶の場合に等しい蒸し時間となる。
最終的には6分40秒蒸すことにした。
けっこう近い数値に勘が働いたのは、その前に小樹の茶葉でもっとたくさん蒸しテストをしていたから。餅茶の180gで4分くらいのもあれば9分くらいのもある。
鉄瓶と炭
沸騰する湯
泡茶
葉底
蒸しによる”蒸し味”が目立つのはほんの1ヶ月間ほどで、5ヶ月経った今となってはどのくらい蒸したのかをお茶の味から推測することが難しくなった。さすがに4分と9分には差があるが、5分と6分の差はわからない。
いや、違う。
こういうのは例えば7分13秒で茶葉の温度があるところに達して、そこで急速な変化が起こるというようなものだろうから、5分と6分の差はどうでもよいのかもしれない。
そうすると微調整なんてのはたいした効果を得ない。急速な変化が起こる温度なり時間なりのポイントを知って、そこを超えるか超えないかの判断が大事になる。
もしも急速な変化の起こるのがほんの数秒間のことなら、その中間で止めることはまず無理だろう。
グツグツ沸騰した湯なのかそうでないのかの差と似ている。
ということを最近になって気付いたので、今後の参考のために記事にしておく。

ひとりごと:
殺青の鉄鍋炒りの時間もそうかもしれないな。

倚邦古樹青餅2014年・秋天 その4.

製造 : 2014年10月28日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 木製の茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶+炭火
倚邦古樹青餅2014年・秋天
倚邦古樹青餅2014年・秋天
倚邦古樹青餅2014年・秋天

お茶の感想:
この茶葉、思っていたよりも良いかもしれない。
できた当初に気になっていた渋味が落ち着いてまろやかになっている。
『倚邦古樹青餅2014年・秋天』(卸売部)
温める
注ぎ
注ぎ
茶湯の色
透明感があり、後を引く苦味が軽快で心地よい。
シンプルな味で、熟成4年目の安定した今となっては何度飲んでも新しい発見は少ないだろう。あまり膨らんだり開いたりしない味わいに華は無いかもしれないが、飽きが来ない。倚邦の村から離れた国有林の茶樹に品種のバラエティーが少ないことによると推測する。
このお茶の茶地は村から1時間半も歩く森の中にある。
倚邦山のような歴史のある茶山は、村の周辺ほど品種のバラエティーが多い。茶樹を選ばないで混采すると、いろんな個性の茶樹のいろんな味が混ざることになる。
易武山の麻黒や落水洞周辺、漫撒山の丁家老寨や張家湾周辺もそういう傾向がある。
かつて明代から清代にかけての貢茶づくりにおいて、品種の栽培実験が村の周囲で行われたせいかもしれない。
村から離れたところは、原生種が群生しているか、それとも清朝の貢茶の需要があった時代に新しい茶地として開拓され茶果(種)が持ち込まれて栽培されたので、そのとき母樹となった品種が選ばれていたら村の周辺よりも混生状態にはなりにくい。ミツバチが花粉を運んでくるにしても、遠く離れているため他所の血が混ざりにくいわけだ。
茶湯
葉底
昇りもしない沈みもしない、宙に浮く感じの秋の茶葉の体感。
生茶のわりに身体が温まる。
小葉種なりのやや強いアタックがあり、どっと汗が出てきた後に涼しくなって長袖を着たが、早春のお茶ほど寒くはならない。
ところで、このお茶は木の茶箱(内側トタン板貼り)に入れて熟成させることにした。
茶箱熟成
茶箱
生茶の餅茶数種をギッシリ詰めて18キロはある。
茶葉がたくさん集まると、お互いに湿気を調整したりして良い影響を与える。
陶器の壺熟成とはまた違う変化があるかもしれない。

ひとりごと:
苦味が甘味を誘う。
チェコ土の徳利
香取90
酒湯
寺田本家の香取90。9月9日の蔵出しのを入手した。
利き酒のような味の上等は知らない。
体感の良さと素朴な味わいでこの酒を選んでいる。熱燗ならではの大きな波に揺られて眠くなる。

刮風生態青餅2018年 その2.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
茶壺
底敷き
茶針
道具
鉄瓶

お茶の感想:
道具には生命感が大事。
そこにあるというよりか、そこにいるという感じ。
茶葉にも生命感。
+【刮風生態青餅2018年】
茶葉餅面
お茶の味にも生命感。
茶湯
葉底

ひとりごと:
たぶん、生命と生命が交信して命の話をしている。
瑶族のアクセサリー
ラオスのバスケット
タイの布

易昌號大漆樹圓茶04年 その9.

製造 : 2004年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭
易昌號大漆樹圓茶04年

お茶の感想:
お茶の在庫整理していたら3枚出てきた。
+【易昌號大漆樹圓茶04年】
本部で再出品した。
(この記事をアップする前に売り切れ。9月8日)
易昌號大漆樹圓茶04年
2004年頃のお茶は農家も工房もメーカーも仕事が荒れていたから、現在オリジナルのお茶はこのお茶のクオリティーをはるかに超えている。
それを思うと、現在高級茶をつくる仕事はずいぶん改善された。
このお茶を仕入れたのは2008年だったと思うが、その当時の自分の基準では、これで十分なクオリティーだと思っていた。
お茶づくりに関わり始めた2009年から2018年のあいだに、自分も成長した。
嬉しいような寂しいような。
大きめの茶壺
崩した茶葉
昨日につづいて大きめの茶壺。
崩してあったサンプル茶葉が手元にあったのでこれを淹れてみるが、おそらく餅茶のほうが保存状態が良いので、参考まで。
洗茶
洗茶の湯で茶壺も温める。
洗茶はしてもよいし、しなくてもよいし。
現在のお茶はキレイにつくっているので洗茶しなくてよいが、2004年頃のは・・・。
このお茶は一軒の農家の晒青毛茶からつくって、ブレンドをしていないので、素性のはっきりした原料だからそれほど無茶苦茶なことにはなっていないけれど。
自分は洗茶なしで飲む。
1煎めの味は梅子香。これまでになかった香りが宿っている。
茶湯
2煎めはじっくり抽出。
飲んでみて、ま、こんなものかなと思った。
今になってわかるけれど、たぶん2004年の春の星のめぐりはそれほど良くなかった。旬の茶気の炎は上がらない。茶摘のタイミングが遅い。水質のキメ細かさが感じられずザラザラしている。
でも、どこかホッとする味。
茶壺
煎をすすめると蜂蜜のような香りと甘さが出てくる。しっとりした苦味とのバランスも良い。
葉底
手元のオリジナルの生茶の熟成は、このようにはさせない。
もうすでに違う方向を歩みはじめている。だいぶん距離が空いてきている。
いつかまた思い出したように2004年頃の生茶を飲んで、もっと距離が空いたことを知ると思う。
学べることは無いから、「これからはひとりで行け」と言われた感じ。

ひとりごと:
そのつもり。

易武古樹青餅2010年 その37.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・スペイン土の茶碗・鉄瓶+炭火
茶壺
パック熟成

お茶の感想:
大きめの茶壺で3煎くらいで出し切る淹れ方を生茶で試す。
+【易武古樹青餅2010年】
手軽な密封パックで熟成させているこのお茶。
室温の安定した棚にしまっているが、パックに保温力はないので布袋に入れている。ま、気持ち、おまじない。
試作バージョンで1キロサイズの餅にしていたやつ。
餅茶を崩して
茶葉3グラム
3gあるかないか。
10年熟成モノの生茶となると、蓋碗でサッと湯を切る淹れ方では1煎めのパンチ力に欠ける。4煎から伸びない。茶壺を使うのが良いが、普段は小さめの茶壺で煎を繰り返している。8煎くらいはいく。その煎ごとの変化も面白いけれど、今回は3煎で出し切る。
1煎めは茶壺に注ぐ湯の量を半分くらいにしてサッと出す。蒸らし時間20秒くらい。一番だしの感じ。
乾いた茶葉にいきなり熱い湯を浴びせると繊維が壊れて味が濁るから、湯を注いで茶壺を温めて、いったん湯を切ってから茶葉を入れて、蒸気で1分ほど蒸らしておくのが基本。
スペイン土の茶碗
南部鉄瓶と
後ろに見えるのは南部鉄瓶。1.5リットルほど入るのでガス火にかけて湯沸かしに使っている。一煎めはこの南部鉄瓶から直接湯を注いだ。
黒い茶碗はスペイン土の素材でチェコのマルちゃん作。
2煎めの湯は南部鉄瓶から小さな鉄瓶にバトンタッチして、炭火でじっくり熱を伝えた。
1煎めで茶葉がほぐれて、熱にも慣れているので、熱々のを茶壺いっぱいに注いでも大丈夫。
茶壺
注ぎ
蒸らし時間は計っていないが4分くらいだろう。
この2煎めでやっと気付いたのだけれど、スペイン土の茶碗は味の輪郭を奪ってしまう。
たしか以前に試したことがあったのだが、いつもはごはん茶碗として使っているので忘れていた。
ぼんやりした味の良さもあるけれど、このお茶の持ち味はシャキッと感。
白いチェコ土の茶杯
白いチェコ土の茶杯に移して飲んでみたら、香りがキリッとして味が引き締まって層が深くなった。飲んだ後の息に香りが立つ。ぜんぜん違う。
3煎めはもっとじっくり茶葉の成分を抽出する。
炭を消し壺にしまって、わずかな残り火に灰をかけて柔らかい熱にして、網の上で茶壺を保温する。
茶壺を残り火にかける
10分は待ったと思う。
ぜったいにグツグツ沸騰させないこと。湯が騒がない静かな状態の温度。煮えると生命感みたいなものが消えてなくなる。
3煎めの茶湯
これまででいちばん薫り高い『易武古樹青餅2010年』になったのではないかな。
湯の熱の性質。茶壺の土のチカラ。茶杯の土のチカラ。土と土の相性。土と鉄との相性。水の性質など、いろんなことがお茶の味をつくるから、これが!という絶対法則はわからない。
けれど、いろいろ試しているうちになんとなく勘が働くようになる。たぶん無意識が茶葉や土や水や鉄の言葉を聞いている。
葉底

ひとりごと:
生茶と熟茶を淹れる茶壺は分けたほうがよいという考え方がある。
そう思っている人には分けたほうが良い結果が得られるし、そう思わない人には分けなくても良い結果が得られる。そういうものだからどっちでもよいけれど、大事なのは、どっちが良いといったん決めたらその方向へまっすぐすすむこと。その過程に集中すること。
どっちが良いとか気になってネットを検索したり他人と議論する時点で暇すぎる。集中力が切れて、本当に見るべき対象に意識が向いていないから、たいした結果は得られないだろう。
趣味を追求するにしても、集中力のあるかないかは成果に違いが現れると思う。


茶想

試飲の記録です。

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