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南糯山神青餅2011年 その5.

製造 : 2011年12月
茶葉 : 雲南省西双版納南糯山老Y口寨古樹2010年秋茶2011年春茶
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶

お茶の感想:
西双版納の古い品種の茶樹は温かいところが好き。
山の斜面の風あたりの弱いところや大きな木々に囲まれたところに群れる傾向がある。
温かいところは虫が多い。
虫だけでなく細菌類も多い。
茶樹は「葉」・「茎」・「幹」・「根」のあらゆるところに病害虫の攻撃を受ける。
だから免疫力のガードが上がる。
虫や細菌の嫌う成分や、細菌類の働きが機能しなくなるような酵素(抗生物質ともいう)をつくり、その一部はお茶の風味となって現れる。
また、長い目で見ると世代交代をくりかえすうちに病害虫に抵抗力の強い性質のものだけが生き残り、品種の特性となってゆく。
だから古い品種の茶樹に薬効あり。と、考えてみる。
また、病害虫のプレッシャーは夏に多く冬に少ない。
ということは、春よりも秋の茶葉のほうが免疫成分が多いことになる。
4月末から9月末まで雨季であり夏である西双版納の茶樹は、半年の間ずっと病害虫の攻撃を受けっぱなしになる。だから秋の旬の10月の茶葉には薬効の成分がある。
この仮説の検証は、できるだけ自分の味覚や体感を頼りにしたいと思う。
「○○○○の成分が秋には多くて春には少ない。○○○○の成分は抗がん作用が認められる物質で・・・」
というような理解はしたくない。もっともそのような研究設備もないので出来ないわけだが、こうした西洋医学的なアプローチでは見逃してしまうことがある。
それは「消化」という身体の中のもうひとつの大自然との関係。
「消化」という現象はひとりひとりにそれぞれ異なる。昨日の自分と今日の自分も異なる。
これを無視できないと思う。
だから、
「自分は自分で探るから、あなたはあなたで探ってください。」
ということになるが、こればかりは他人任せにしてはいられない。自分の味覚、自分の体感で理解してゆくしかない。
例えば、ビタミンCがレモン30個分のサプリを飲んでも、消化されないのなら1個分の価値もない。ビタミンCを持っているオレンジはオレンジ自身がこの成分を利用するためのなんらかの成分をセットに持っているはずだから、それをそのまま身体に取り入れるほうが合理的。また、消化がその成分のセットを必要とする時、すなわちオレンジが食べたいと思う時に食べるのが賢明。毎日決まって2粒を飲むサプリのような摂り方は不自然だと思う。
ビタミンという言葉やその効能を知っている都市の人々よりも、その言葉を知らない山の人々のほうがはるかに豊富なビタミンを摂取して生きている。
この事実を見逃したくない。
今日はこのお茶。
【南糯古樹青餅2010年プーアル茶】
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
滋味あり。
薬味あり。
柑橘系のふんわり甘い香りあり。
春の茶葉と秋の茶葉のブレンド。
古い茶山の古い品種の茶樹から採集した茶葉のお茶。

ひとりごと:
西双版納に帰ってきた。
今回はここで年越しする。
西双版納
愛尼族(アイニ族)の正月は1月1日だから、彼らのいる「南糯山」や「巴達山」へ行って美味しいもの三昧で過ごして身体を肥やすつもりだ。
物価が上がって、地方都市ではとくに食べものの価格の上昇が激しいけれど、山へ行けばなんでもある。食べられもしない紙幣を「お年玉」としてふるまいさえすれば、健康を維持して命をつなぐ食べものが食べられる。
ここでは日本酒が飲めない悩みがあったが、よく考えてみたら「酒税法」みたいなヘンな法律は及ばない。無農薬・無肥料の米や穀物、果物や極上の蜂蜜を醸して、酒造りをしてみようと思う。
家庭での酒造り文化を守りたい人は日本から出たらよいのだ。たぶんこれがもっとも早い解決方法であり、食文化を守るひとつの手である。文化は「国」という外来種が守るものではなくて在来種の「個人」が守るものだ。
西双版納のお茶づくりの歴史からそれを学んだ。

易武春風青餅2011年 その4.

製造 : 2011年12月(采茶3月)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武春風青餅2011年プーアル茶

お茶の感想:
長い雨。
一週間は続いていると思う。
太陽が真上にくる昼間だけ青い空が見えた日もあった。
けれどまたすぐに厚い雲が覆いつくして、アパートの窓のすぐそこまで伸びた椰子の葉を雨が叩く。パラパラ、サワサワ、ザーザー、シトシトといろんな音を出す。
秋茶の旬なのに山にゆけない。ぬかるんだ山道を滑ったりコケたりしながら無理に行っても、茶葉が濡れていては製茶ができない。
一日中部屋にこもって、食事のときだけ近所の食堂へゆくか市場に買い出しにゆく。
はじめの3日間くらいはなるべく有意義に過ごそうとしてみた。部屋の掃除をしたり、倉庫の整理をしたり。ところが4日目になると有意義なこともなくなる。時間が空く。雨が浸みてくる。
熱帯雨林の秋の雨。
なぜか空気はサラサラしていて、湿度計は73度以上にならない。気温24度くらいで寒くもなく暑くもない。こんなに気持ちのよい雨はめったにないと思うと嬉しくなってくる。
雨の日を味わうこのお茶。
+【易武春風青餅2011年】
易武春風青餅2011年プーアル茶
易武春風青餅2011年プーアル茶
美味しいとか美味しくないというのは誰にでもわかる。
日頃から使っている能力で十分わかる。
しかし、それを越えたところの感覚があると思う。お茶の味にはそれがあるのだ。
例えば、
ある種の風味に水墨画のような景色を見てしまったり、
なにもない空白に実際よりも鮮やかな色彩を見てしまったり、
どこか懐かしい芳香に自分の中のまだ知らない自分の存在を感じたり、
お茶の山に吹く風と同じ風がその土地を知らないで飲む人にも感じられたり。
うまく言えないけれど、いつもは使わない潜在的な能力が働いている。過去の自分の経験を思い出しているのではなく、もっと遠い先祖の記憶にアクセスしている。
雨の日のお茶の味わいにざわめく感覚には、なにか意味があるのだろうか。

ひとりごと:
易武山のお茶の歴史には何カ所かの空白がある。
最近そのところが見えてきたような気がする。
易武山昔の餅茶
易武山昔の餅茶

南糯山神青餅2011年 その4.

製造 : 2011年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹2011年春茶
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
元陽の棚田
元陽の棚田

山の上から下まで5000段を数えるという棚田を目の前にして震えた。
写真やテレビでは見たことがあったけれど、そんなどころじゃなかった。
そんなどころじゃないんだ。
なにがすごいと感じるのかを考えてみた。
例えばの話、
一軒の農家のもつ棚田の石垣の石が、一日10個ほど自然に崩れるとしよう。
そうすると、一日11個は積み上げないと、田んぼは増えないことになる。一日休むと次の日は20個を積み上げないと田んぼを減らすことになる。
棚田で米をつくる哈尼族(ハニ族)は、この土地で安定した時代が長く続いたからこれを作り上げたのではないと思う。
今に至るまでに、米作りができなくなるかと心配するような洪水やかんばつを幾度も経験したことだろう。これで世界も終わりかと思えるような戦争・災害・疫病・そして国の交代もあったことだろう。
元陽の棚田
「たとえ明日世界が終わりになろうとも、私は今日リンゴの樹を植える。」
マルティン・ルターの言葉のように、世界がどのように変わろうが、今日の歩みの石をひとつ上に積み上げる。この連続。この成果。それが5000段の棚田となったのであって、はじめから大きなものを作るつもりはなかったはずだ。まだ1段しかなかった初代の人々は、5000段になることを知らなかった。それでも石を積み上げて1段を2段にして、2段を3段にしてきた。
元陽の棚田
同じ人工の巨大な建造物でも、都市の高層ビル・地下鉄・高速道路・空港。それらはあらかじめ設計図があり、予算があり、スケジュールがあり、絵に書いた餅を実現する仕事であって、想像を超えたりはしない。
おそらくそこの違いだ。
広大な棚田に見るのは人の歩み。
その連続が想像を超えて偉大な成果となる。
経済恐慌や戦争や放射能や異常気象や自然破壊など、世界ではとんでもない変化がこれからもあるのだろう。それでも石をひとつ余分に積み上げる今日の歩みが大切。元陽の棚田はそのことをわかりやすく教えてくれる。
世界遺産になってよかった。
元陽新街鎮のハニ族
棚田を見学した後、
地元の新街鎮に哈尼族(ハニ族)の家族経営する旅館を見つけた。そこの子供たちに誘われて家族と晩御飯をいっしょに食べた。
西双版納でお茶づくりをする愛尼族(アイニ族)は哈尼族の分家で、少なくとも800年以上も前にこの土地から南へ移動したらしい。この話をすると、ここの山の上にも幹周りがひとかかえもある大きな茶樹がたくさんあるという。そしてお茶もつくっているという。
西双版納では、もともと居た布朗族(ブーラン族)の農地を愛尼族が受け継いだという話が一般的だが、もしかしたら紅河州の山々で、愛尼族は独自に野生茶に手を付けてお茶づくりをはじめていたのかもしれない。
これについては別の機会に調べてみたいと思う。
今日は西双版納の愛尼族のこのお茶。
+『南糯山神青餅2011年プーアル茶』
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶

ひとりごと:
楊武の市場でピーナッツクッキーを焼く哈尼族のおばちゃん。
もちろん素材からすべて手づくり。朝だけクッキーを売って、昼から畑仕事をする。
ピーナッツ煎餅
元陽の帰りは南沙からバスで、ものすごい峠越えをして建水へ。
建水で豆腐を食べてから、西へ向かって石屏へ。
石屏からさらに西の玉渓市へ入って、楊武で一泊。
ちょっと北の新平県へ足を延ばして、昆明から西双版納への高速道で南に向かって帰路につく。
墨江で高速を降りて、一休みしてから西双版納へ戻った。
建水から西双版納までは距離にして500キロほど。2000メートル級の峠を3つほど越えるこの路線も古い道のあるところで、お茶を運んだ足跡がまだ残っているかもしれない。
再度じっくり訪問してみたい。

易武春風青餅2011年 その3.

製造 : 2011年12月(采茶3月)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武春風青餅2011年プーアル茶

お茶の感想:
『易武春風青餅2011年』
『南糯山神青餅2011年』
『紫・むらさき秋天紅茶2011年』
この3つはネーミングの失敗。
例えば、「春風」を表現するのに、、
わざわざ「春風でござい」と言うことはなかった。
表現する側の自分が冷静さを欠いて観客になってしまっている。
いや、違う。
そもそも素材売りの立場で、なにかを表現する必要もないのだ。
「風」を隠して「春尖」にしておく手があった。
『易武春尖青餅2011年』。
「春尖」は、早春の尖ったように繊細な新芽・若葉をふんだんに使っていますという素材を意味する普通名詞。
カタイ表現だと思うだろうか。
単純すぎて同じ名前のお茶があるにちがいない。
けれど、それでいいのだ。
「春尖」で十分、人が勝手になにかを想像してくれるだろう。
春の霞んだ空気に映えるまぶしい新緑。鼻先をくすぐる緑の香り。風は流れて青空に吸い込まれてゆく。
言葉の無いところに想像の生まれる余地がある。自由がある。
想像はひとりひとり異なるけれど、ひとりひとりにいちばんの印象が蘇るのなら、自分の春風を他人に見せる必要はない。
意識しようが意識しまいが、お茶の味はいろんな記憶を引き出してくれる。
どうぞ勝手にお楽しみください。
お茶が自由に語りだしたその瞬間に、泥臭い茶商の仕事が報われる。
易武春風青餅2011年プーアル茶
今日はそのお茶。
+【易武春風青餅2011年】
熱い湯で連続して熱を通す淹れ方をした。
易武春風青餅2011年プーアル茶
易武春風青餅2011年プーアル茶
春尖の強い茶気を伴う成分が抽出され、口だけには留まらず、喉元まで刺激する。
しゅわしゅわ蒸発しながらスースーしてくると、
息をするたびに喉から鼻へ鼻から喉へと風が吹く。
ひと息ごとに力が抜ける。
ひと息ごとに温かくなる。
ひと息ごとに眠くなる。
眠くなる・・・。
眠くなる。
・・。
・。

ひとりごと:
タイ族の籐で編んだ丸い小さなテーブルをベッドに置いて、
秋の夜長の読書とお茶
秋の夜長の読書とお茶
秋の夜長の読書とお茶。
半発酵でお腹に優しいめのこのお茶。
【漫撒古樹青餅2013年・青印】

南糯山神青餅2011年 その3.

南糯山神青餅2011年プーアル茶
製造 : 2011年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹2011年春茶
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
雨が降って、なんとなくこのお茶。
【南糯山神青餅2011年プーアル茶】
日本の地下水で飲んだ過去の記事を読むと、
「煙草のヤニっぽい味が出てきて舌にへばりつく」
と書いているが、
ここ西双版納の水で飲むとそんなことはない。
煙草っぽいところはあるけれど、舌には軽快で、喉ごしが甘い。舌の両脇の唾液が出てくるあたりが甘い。
煙草のような香りに雰囲気がある。
さきほどの『弯弓の野生茶2012年』の「遠くの景色の香り」ではなくて、もっと身近なところのそれ。「幼い頃のおじいちゃんのパイプの香り」と、以前に書いたことがあった。
南糯山神青餅2011年プーアル茶
お茶の味に刺激された脳が、この場所・この時間とはちがうところの記憶を引き出してくる。
おじいちゃんのパイプの香り。
ポマードの香り。
市電の手すり。
夜行列車の寝台の窓から眺める街の灯り。
夜の港を出るフェリーの汽笛。
月が照らして銀色に光る潮の流れの道。
五右衛門風呂の湯気と薪の煙りの匂い。
連鎖的にそんなシーンが思い出された。
自分以外の人も同じように、このお茶の味から幼い頃の断片を見るだろうか。
それともまったくそんなことはないのだろうか。
お茶の味はシェアできても、そこから沸く印象まではシェアできないのだろうか。

ひとりごと:
『ローマ』 フェデリコ・フェリーニ監督 1972年 イタリア映画 
『鏡』 アンドレイ・タルコフスキー監督 1975年 ソビエト映画
このふたつの映画はDVDで何度も観ている。
なぜ何度も観るのか自分でもわからなかったけれど、今ちょっと分かったような気がする。
映画は二つとも明確なストーリーがなくて、主人公の記憶の断片が流れる。たぶんそれに脳が刺激されて、実は自分の過去の断片を観ている。飽きずに何度も観てしまうのは、夢の中と同じだから。
タルコフスキー
夢の中にアクセスできる映画は、凝ったストーリーやすごい特撮なんていらない。
ただ、記憶の奥のほうに感覚でつながる「光」や「動き」や「声」が要る。
お茶の煙草っぽい「香り」も、ちょっとだけその可能性を持っているかもしれない。

大益五子登科小餅11年 その1.

大益五子登科小餅11年プーアル茶大益五子登科小餅11年プーアル茶
製造 : 2011年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 小餅茶
保存 : 昆明ー上海 紙包み
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
茶器 : 大きめの蓋碗

お茶の感想:
卸売部で紹介したお茶。
このサイズでこの価格は高いな・・・と思ったけれど、
包み紙を開けてたら納得。「宮廷プーアール茶」に使われるクラスの新芽・若葉が選ばれている。
大益五子登科小餅11年プーアル茶
器を湯で温めて、
湯を捨てて空にした蓋碗の中で茶葉を蒸らして、
ぬるめの湯で洗茶して、
「プツプツ」の音が減ったら、
熱湯を注ぐ。
このやり方では、茶葉に水分がしっかり浸透しているので、1煎め・2煎め・3煎めくらいまでの抽出時間がいつもより短くなる。このお茶はさらに細かな新芽・若葉のお茶なので、ドッといっきに濃く出やすいので、そこを気を付ける。
大益五子登科小餅11年プーアル茶大益五子登科小餅11年プーアル茶
新芽・若葉のどくとくの濁り。
とろんとした液体の質感。
透明で姿を現さないけれど、上昇力を感じさせる「茶気」。
口に含んで漂う香りに、『版納古樹熟餅2010年』をつくったときの発酵の倉庫と同じものがあった。
このお茶も「完全発酵」に近付くような仕上がりで、お茶のお茶足る輪郭が失われて、別モノが存在している。

ひとりごと:
さあ、戻ろう。
あんまりキレイごと言えないリアルな世界へ。
今回の滞在はめずらしくいろんな人と交流があって、みなさんからキレイな見方をしていただいて、恥ずかしくなってしまって、いろんなところで突然背を向けたりした。
例えば、ある茶教室の席で、
そこの生徒さんから、
「良いお茶を入手する決め手はなんですか?」
と聞かれて、
「現金です。」
と答えて、どん引きされてみたりとか・・・。
しかし、そんなことはどうでもよかった。
泡茶(お茶淹れ)では周辺情報がどうであれ、この1煎にすべてがかかっている。
お茶の味の語ることがすべてであり、隠しようのない真実であり、人の心にとどくのはそれしかない。
潔い世界なのだ。

南糯山神青餅2011年 その2.

南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
製造 : 2011年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹2011年春茶
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水
茶器 : 大きめの蓋碗

お茶の感想:
「大きめの蓋碗」+「熱い湯」+「少ない茶葉」で可能性を探る。
【南糯山神青餅2011年プーアル茶】
うすうす気付いているが、この茶葉は熱い湯に火傷する。
しかし、一気に熱が通る泡茶はどうだろう?
熱で変化するなんらかの成分があるところを通り越して、今まで見なかった表情を見せるかもしれない。
高温の蒸気と火の味による「見えない炎」の出たお茶のように、いろんな味を包みこんでしまうような反応があるかもしれない。
しっかり茶器を温めて、湯を捨てた蓋碗の中で茶葉をじっくり蒸して、茶海に冷ましたぬるめの湯で洗茶する。洗茶後にさらに蓋をして少し間をおいて、沸きたての熱い湯を注ぐ。
南糯山神青餅2011年プーアル茶
熱くてめらめらの透明で甘い液体。
漢方薬のような薬味が少し効いている。
煙草味は軽く、隠し味的なスパイスとなっている。
ぬるめの湯で淹れた時のようなスイカの甘い香りはない。
3煎めになるとより甘く、ちょっと奥行きのある易武山に似た香りがでてくる。
後口にはスカッとミントがあるが、全体的には精彩に欠ける。
南糯山神青餅2011年プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)は焼けて赤味を増している。
こうなることは予想できたけれど、さあ、次はどうしようか。

ひとりごと:
製茶での、
殺青の火入れを浅くするのなら、軽発酵を深くする。
殺青の火入れを深くするのなら、軽発酵を浅くする。
というようなバランスが、プーアール茶の生茶にはあるのかもしれない。
このお茶『南糯山神青餅2011年』は、火入れが浅いわりに、軽発酵の深さが足りないのかもしれない。

南糯山神青餅2011年 その1.

南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
製造 : 2011年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹2011年春茶
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
泡茶の一問一答。
どういうわけか、お茶は、求めている人が求めていたような答えしか出さない。
いや、ちがう。
お茶はいろんな答えを出しているけれど、人は求めている答えしか拾えない。
というのが近いだろうか。
お茶を飲む側の人は、ありのままを楽しむ。
お茶をつくったり売ったりする側の人は、自分の求めていないところの可能性を探る。
そんなことが出来ていなかったと思う。
ま、これからだ。
このお茶の可能性を探る。
【南糯山神青餅2011年プーアル茶】
はじめの1〜2煎めのエグ味をどうするか?
終わりの5〜6煎めの蜜の甘味をどうするか?
ときどき見え隠れしていた、霧の煙る山で香る花をどうするか?
大きな古茶樹の滋味は、ほんとうに抽出できているか?
過去にいちばん美味しく淹れられたのは、大きめのポットだった。ということは、紅茶のようにしっかり熱が通るほうがよいということだろうか?
それなら殺青(鉄鍋炒り)の火入れをもっとしっかりしておくべきだったのではないだろうか?
南糯山のお茶に長期熟成の美味しいお茶と出会ったことがないのは、泡茶の観点が間違っていたのではないか?
この流れでゆくと、
「大きめの蓋碗」+「熱い湯」+「少なめの茶葉」で試したいところだが、
その前に、「小さめの蓋碗」+「ぬるい湯」+「適度な茶葉」で探りを入れてみる。
お茶の味、葉底(煎じた後の茶葉)、なにかわかることがあるかもしれない。
茶商の泡茶らしくなってきた。
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
はじめの1〜2煎めのエグ味は少ない。スッキリ甘くてサラサラの透明なお茶。
微かであるが、煙草のヤニっぽい味が舌にへばりつく。これは南糯山や布朗山に多い古茶樹の味で、地元のファンはこれゆえに南糯山や布朗山のを選ぶくらいだから、嗜好として悪くはない。3煎めくらいからは少なくなる。
湯を沸かすポットは一煎めから再沸騰させずに使うので、85度、80度、75度という具合に下がっていると思う。
3・4煎めは、なぜか易武山のお茶に似たスイカの甘い香り。
葉底(煎じた後の茶葉)を見ると、あきらかに緑を保っている。こころなしか、熱湯で淹れた時よりも弾力がある。スイカの甘い香りは葉底にもある。
ここで、再沸騰させた熱い湯で淹れてみる。
5煎め。
香りに霞がかかって山水画っぽくなる。
もういちど煙草のヤニっぽい味が出てきて舌にへばりつく。飲み干した後から、舌に甘味、苦味、という具合に戻る味がある。
もう一度再沸騰させて6煎め。
底から沸いてくるような鈍い苦味、甘味、煙草味。スイカの甘い香りが和らげて、全体を調和させる。
南糯山神青餅2011年
葉底の色が、あきらかに黄味を帯びている。
熱い湯で焼けたのだ。

ひとりごと:
とりあえずここまで。
今はまだ結論を出したり、まとめたりしない。

易武春風青餅2011年 その2.

易武春風青餅2011年プーアル茶
製造 : 2011年12月(采茶3月)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納ー上海 紙包+竹皮包 密封
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水

お茶の感想:
10煎は飲んだだろうか、
色が出なくなって、味もあるかないかあやしくなって、
なぜかそれでも湯を注いでは飲み続けたい誇り高き白湯。
易武春風青餅2011年プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)。
これに注目すると、ぽってりした特徴的な形のが出て来た。
このページの写真にそっくりのがある。
【易武山 品種のオアシス】
易武春風青餅2011年プーアル茶
「採辧春尖」・「加重萌芽」。
お酒でいうところの精米歩合の高い大吟醸みたいなもので、コストが高くつくから価格も高くなる。美味しさに優劣はないが、「採辧春尖」・「加重萌芽」ならではの透明な味わいがある。
本日このお茶の第一回めの値上げをした。
このつくり方は農家が本気で嫌がるので、しばらくは当店にも出来ない。それと、保存熟成のすすみ具合に良い兆しが見えてきている。茶摘みからずっとつきっきりなので、あのことこのことの関連が気になる。定期試飲の観察を続けてその因果関係を見つけたい。

ひとりごと:
夜の錦市場。
夜の錦市場
子供の頃の夏休み、四国の山のおじいちゃんが自家菜園でトマトをつくっていた。そのトマトは青臭くて、渋くて苦くて甘くて酸っぱくて、皮は硬くて口に残った。
「青臭い嫌な味があるから美味しいんだよ。そこにクスリや滋養があるんだ。」と教わって、湧水で冷やしたのを毎日まるかじりにしていた。その味が記憶に刻まれているから、この頃のハウス栽培される品種改良で甘くて水っぽい量産のトマトは美味しいと思えない。青臭い味に宿っていた薬効が証明されなくても、僕は身体でそれを知っている。
いまどきの言葉でいうと食育だが、もしも食育がなかったら僕も甘くて水っぽいトマトが食べやすいと感じる大人になっただろう。
プーアール茶の高価なのは、もちろんそれなりに誰が飲んでも美味しいが、みんなにとって価値のある味かというとそうではない。知識や経験がないことにはありがたみのわからない味覚がある。知識や経験は「結果」ではなく「道」だから、お金・学歴・権力・年齢・性別にかかわらずひとりひとりが同じ距離を歩むことになる。

易武春風青餅2011年 その1.

易武春風青餅2011年プーアル茶易武春風青餅2011年プーアル茶易武春風青餅2011年プーアル茶
製造 : 2011年12月(采茶3月)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納ー上海 紙包+竹皮包 密封
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水

お茶の感想:
当店オリジナルのお茶「春風」(はるかぜ)。
【易武春風青餅2011年プーアル茶】
2011年の早春の6日間だけの茶葉。
キレイにつくってあるから洗茶なしに湯を注いで一煎めを飲む。
早春の新芽・若葉のまだ成長しきっていないときの茶葉は、形や大きさが小さめにそろうので殺青(鉄鍋炒り)の精度が高くなった。結果的に澄んだ味わいに仕上がっている。
まだ小さい若葉には味覚にうったえてくるような濃い味はないが、茶気が強いので透明ななにものかがゆらゆら沸き上がる。
あるかなしか。
透明な味は人によって見え方が異なる。
同じ人でも時によって見え方が異なる。
易武春風青餅2011年プーアル茶
『易武古樹青餅2010年』を甘いフレッシュジュースと例えたが、そうするとこれは苦めのフレッシュジュースといったところか。野菜ジュースの密度ではなく、やはり果物の汁の密度なのだ。この密度をともないながらも澄んでいる苦味がとてもよいと思う。
易武山の早春の小さな新芽・若葉だけでつくられた生茶を「小葉青餅」と呼ぶ。
1970年代の名作に『七子紅帯青餅』がある。
【七子紅帯青餅プーアル茶】
1990年代は『92紅帯青餅』がある。
【92紅帯青餅プーアル茶】
このお茶『易武春風青餅2011年』は、そこまで徹底した小さな茶葉を集めたわけではないが「小葉青餅」の系統になるだろう。
「小葉青餅」は、茶葉の成分や形状の物理的な要因から、2煎・3煎めあたりがどっと濃く抽出されやすくなるので、煎じるごとの味のバランスを整えるためには蒸らし時間を上手に調整する必要がある。

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水琴窟
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茶想

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