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巴達曼邁熟茶2010年 その2.

采茶 : 2010年4月
加工 : 2016年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺
巴達純生青餅2011年7キロ
巴達純生青餅2011年泡茶
葉底

お茶の感想:
渥堆発酵にまた失敗。
7キロ分の茶葉を土にした。
原料は『巴達純生青餅2011年』(未出品)。
巴達山曼邁寨の古茶樹の2011年の春の采茶で、殺青の火入れを浅くして半生に仕上げた。長期熟成にどんな効果があるのかを確かめるのが目的だったが、5年めの熟成になってもパッとしないので、熟茶にしてみた。
失敗の原因は原料にあったのではない。加水が多すぎたのだと思う。
途中までうまくいっていたが、6日目になって、一般的によくある熟茶の土っぽい風味が出てきた。
発酵中の茶葉が少しずつ乾燥してゆくと同時に熱が下がってくる、水分が多く残ったまま冷たくなる部分に望ましくない変化が現れる。
あともう少し温度を高く保っていれば。
あともう少し茶葉が乾燥していれば。
ま、後からならなんとでも言える。
せっかく独自製法を試しているので、一般的によくある熟茶とはひと味もふた味も違うものにしたい。
渥堆発酵の倉庫
熟茶づくりの要の微生物発酵は「渥堆発酵」という名の通り、茶葉を堆積して行う。
一般的には1000キロ以上もの大量の茶葉を集めるが、近年は竹籠で囲う技術が普及して、数十キロの単位でもいける。
更にそれを改良して7キロという極少量を試みている。
7キロでなくても、2キロでも10キロでもよいのだが、いろいろ試したところ、手元の道具や設備では7キロが適量である。
少量の茶葉で大量の渥堆発酵と同じ状態にいかに近づけるかが課題。
大量の茶葉を堆積させて水を掛けると、もっとも水が集まりやすく、熱がこもる中心部から発熱してくる。48時間後には60度に達することもある。
この中心部の熱と、熱による蒸気の発生とを利用して、微生物発酵に適した環境を周囲の茶葉に与える。
このため、茶葉の量が多いほど長期間(数日間)にわたって熱と蒸気を維持できるというわけだ。28度くらいの比較的高温を好む黒麹菌の活動が持続しやすくなる。
中心部の発熱している茶葉は捨て駒というか、周囲の茶葉の犠牲になっていると考えられる。なぜなら黒麹菌は50度以上では生きて活動できないからだ。
数日ごとにかき混ぜることで選手交代する。外側と内側の茶葉が入れ替わる。これを何度か繰り返して、微生物発酵による成果を均一化させる。
同じく、黒茶(微生物発酵のお茶)の「広西六堡茶の」現在の製法には、熟茶の渥堆発酵を応用して生コンミキサー車のような大きなドラムをゆっくり回転せながら均一に発酵させる技術がある。水分も温度もムラができない。
しかし、この結果がたいして魅力のある美味しさにつながっていない。
市場の流通量からみても熟茶が圧勝ということは、発酵ムラとも言える中心部の熱や外側の乾燥したところなど、環境に多様性があってこそ魅力ある風味が醸し出されるということかもしれない。
これを前提にして極少量発酵の技術を探る。
7キロの茶葉でも中心部と外側の発酵ムラはできる。
しかし、大量発酵ほどは大きな差はない。そこが良いと思っている。
大量発酵では細部の管理が雑になる。水分の多すぎるところ。乾燥しすぎるところ。熱がありすぎるところ。冷たくなりすぎるところ。空気に触れにくいところ。触れすぎるところ。これら、ゆきすぎるところに雑味が発生する。
例えば茶頭。
茶頭
茶頭は、茶葉が粘着して石ころのような塊になってしまった部分である。水分が多く高温になる中心部にできやすい。数年前に流行ったが、実はこの塊の中は空気の好きな黒麹菌が活動しない。熟茶らしくない味が宿ることになる。実際に『版納古樹熟餅2010年』の茶頭は味が薄かった。
+【版納古樹熟餅2010年 その5】
では、なぜ茶頭が美味しいという話が広まったかというと、数年前までメーカーは売れない茶頭をたくさんかかえて保存していたからだ。メーカーの高温多湿の倉庫で比較的乾燥したところを好む金花(麹の一種)などによって後発酵(二次発酵)が起こって美味しくなったのだろう。老茶頭には確かに特別な風味があった。
+【醸香老茶頭散茶90年代】
さて、今日のお茶は『巴達曼邁熟茶2010年』(仮名)。この茶頭、ではなくて、餅茶を崩したときに硬すぎてどうしても崩せない真ん中の部分。
茶頭
500円玉くらいの大きさ。
いっしょに渥堆発酵している。7キロの中には約18枚分の18個はある。
茶頭崩したところ
茶針で2つに割ってみると、内側の茶葉に麹の胞子は現れていない。変色もしていない。水分を吸収してちょっと柔らかくなっている。空気の入る隙間がない。水分がこもって発熱していた。酵素によって澱粉質が糖化しているはずだ。茶頭に近い状態になっている。
茶頭の茶湯
湯を注いだときにちょっと酒粕のような香り。酵母が糖をアルコール発酵させたのかもしれない。安モノの熟茶にこの香りはよくある。
葉底の色ムラ
葉底の色にムラがある。外側と内側の色の違い。
渥堆発酵の散茶
散茶の泡茶
散茶のと比べると、茶湯の色からしても発酵の結果が異なるのがわかる。
酒粕臭はまったくない。
極少量発酵では、こまめに撹拌して茶葉の粘着を防ぐので、茶頭はできない。布でくるんでいるので局所的に冷たくなりすぎたり、乾燥しすぎることもない。
では、なぜ今回失敗したかというと、局所的なムラはなくても全体的に偏りやすいということ。
全体が水を含みすぎる。全体が熱くなりすぎる。冷たくなりすぎる。乾きすぎる・・・など。大量の茶葉を堆積した状態に比べると、変化の波が大きすぎる。
さて、そこで考えついたのが「連続発酵」という方法。
発酵スタートの時差のある布袋2つをピッタリくっつけて、熱交換や水分交換をさせる。これによって大量の茶葉を堆積したのと似たような環境がつくれる・・・はず。

ひとりごと:
この仕事は研究成果を美味しいお茶で証明するしかない。
それしかない。
望むところだ。
当店のお茶を飲まずにブログを見て知識を得る人は、研究成果を得ていないことに気がついていないのだ。

巴達曼邁熟茶2010年 その1.

采茶 : 2010年4月
加工 : 2016年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
西双版納の乾季の空
捨てた茶葉

お茶の感想:
熟茶づくりの渥堆発酵をスタートして14日め。
寝不足と筋肉痛に耐えながら、ひとりで黙々と作業している。
こういうの嫌いじゃない。
ひとりがよい。
他人の意見はまったく聞きたくない。
わからないことは、茶葉や微生物に直接聞いてやる。
お茶づくりは可能性の追求。
先人や教科書の言うことが間違っているかもしれないし、われわれの解釈に誤解があるかもしれない。
その時・その場所・そのモノの条件がひとつでも違えば、同じ結果にはならないかもしれないし、成功したようで実はそうじゃないかもしれないし、失敗したようで実はそうじゃないかもしれない。
他人を疑う。自分を疑う。
もうひとつの可能性を試してみる。
それで、やはり4回ほど失敗して合計28キロ分の茶葉をアパートの庭の土にした。
捨てた茶葉1
捨てた茶葉2
捨てた茶葉3
ミミズが喜んでいる。
失敗の原因は、茶葉に掛ける水の加減が分からないからだ。
春の茶葉、秋の茶葉、孟海県の茶葉、孟臘県の茶葉、散茶、圧延の餅茶を崩した散茶、それぞれの吸水性にあわせて適量の水をなじませるが、その加減がまだよくわからない。
渥堆発酵
渥堆発酵
茶葉に水を掛けてから黒麹菌が繁殖して活発になるまでのおよそ24時間。この時間がいちばん危ない。もしも黒麹菌が繁殖しなければ別の雑菌が繁殖するが、その前に、茶葉が酸化して酸っぱくなってダメになる。緑茶が紅茶みたいな色になる。
どうやら、黒麹菌は水に濡れた茶葉の酸化を止めるらしい。どういう仕組みで止めているかはまだよくわからない。
黒麹菌
手漉き紙についた黒麹菌。その名の通り黒い色素をもつ。
失敗と成功
失敗が左で、成功が右。わずかな色の違いがわかるかな。
幸いなことにこの結果に中間はない。
成功か失敗か、黒か白か。茶葉が緑を保ったまま甘くなるか、赤く変色して酸っぱくなるか。
はっきりしていてわかりやすいから、顕微鏡を覗いたり、検査局にサンプルを持ち込んだりする必要はない。見たり、嗅いだり、触ったりするだけでわかるから、どんどん試して分水嶺を見つければよいのだ。
版納古樹熟餅2010年
熟茶づくりの教科書は、自分にとっては『版納古樹熟餅2010年』がすべてである。種となる麹はこれを培養している。
6年の間、これより美味しい熟茶は見つからない。なので、なるべく近づけたらよいが、700キロもの晒青毛茶で行った渥堆発酵を、これからは7キロの少量で行う。
ここ数年の産地の変化、時代の変化により、上質な茶葉を大量に集められなくなった。
そのため、当店では2010年以降に美味しい熟茶が出品できていない。
7キロという少量での渥堆発酵が成功すれば問題は解決する。
日本人的に、もっと清潔に・もっと細かく・もっと動的に発酵の手伝いをしている。風邪で熱を出した子供を徹夜で看病する親のようなもので、油断ならない。不眠不休で活動する微生物に付き添って、自分が先に倒れないようにしないと。
西双版納の人にそういうキメ細かな気質はない。東南アジアらしい粘り弱さでいい加減な仕事している・・・ように見える。
しかし、これを軽く見てはいけない。
渥堆発酵で活躍する微生物たちにとっては、そのいい加減な仕事によってできる隙間が、むしろ好環境をつくりだしたり、その逆で厳しい環境を与えたりして、間接的な作用があって、結果的に美味しいお茶になっているのかもしれない。
あらゆる可能性を考えながら観察する。
巴達古樹熟散茶2010年
現在4種類の晒青毛茶を渥堆発酵しているが、今のところいちばん個性的な変化を見せているのはこれ。
『巴達曼邁熟茶2010年』(仮名)
曼邁はmanmai と読む。
2010年。そう、6年前につくった生茶のプーアール茶『巴達古樹青餅2010年』を崩して原料にしている。
巴達古樹青餅2010年
巴達古樹青餅2010年崩し
早春の新芽・若葉の棘味を黒麹菌は嫌うが、6年の熟成によってちょっと和らいでいる。この熟成に微生物発酵は関わっていない。成分変化のみだと思われる。
泡茶
渥堆発酵9日目。
加水2回めから24時間経過している。
まだ水分の多いときで熱を持っている。袋の中心あたりは50度を超えるが、1日に2回か3回はかき混ぜて熱を逃がしている。5日に1度ほどかき混ぜる以前のやり方とはかなり違う。
熱を持たないように、はじめから水を少なめにしたらよいのではないか・・・と思うかもしれないが、それは違う。わざと水を多くしているのだ。その理屈を話すと長いので別の機会にしたいが、ちょっといい感じの薬味が加わる効果を見つけている。
渥堆発酵の熟茶
渥堆発酵の熟茶
渥堆発酵中の茶湯は濁る。
味はスッキリ透明。お茶のお茶たる味は濃い。苦味は軽い。そして甘い。
『巴達古樹青餅2010年』の渋味は良いスパイスになって、ミントのような涼しさが口に残る。
まるでクラフトビールのような色だが、味もまたクラフトビールのよう。濃厚な味わいにして爽やか。原料の茶葉の持っていた陳皮のような香りも加わる。
葉底
この段階でも十分美味しいが、まだもっと深く発酵させる。加水4回めくらいが目標。
次回の勉強会は「お茶の微生物発酵」をテーマにしたい。
徹夜でやれるほど話すことがたくさんある。

ひとりごと:
ところで、『版納古樹熟餅2010年』を淹れるとき、
洗茶をしないでサッと湯をくぐらせるように抽出したとき、
版納古樹熟餅2010年
かすかな薄い色にもかかわらず、驚くほど甘くなっている。
湯が酵素の働きを促して甘味成分を瞬時に作り出しているからではないだろうか。
酵素は、例えば洗剤で知られているように、水分と温度を得ると瞬時に効力を発揮するものがある。
『版納古樹熟餅2010年』の茶葉の表面には、見えないけれど大量の酵素が残っている。

版納古樹熟餅2010年 その35.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗大・小
白磁の蓋碗大・小上から
白磁の蓋碗大・小底から
白磁の蓋碗大・小碗

お茶の感想:
手元の蓋碗の大小2種を比べる。
水を満タンにして小は90cc大は140cc。
蓋碗の碗だけの重量は小は63g大は79g。その差16gしかない。
蓋碗の大きさに対して「小」のほうはやや厚みがあり「大」のほうはやや薄づくりというバランスだが、大小にかかわらず同じ厚さでつくられてこうなったという見方が正しいと思う。手づくりだから個体差はある。
今日もこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
3.6g。
蓋腕小
蓋碗大
ほぼ同量の湯を注ぐことにする。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
淹れてみると、蓋碗大のほうは黒っぽい。
最初の煎から最後の煎(7煎くらい)までずっとこのような色の差がある。
蓋碗大の味は良い。口当たりがまろやかで、味に深みがある。甘味もある。
蓋碗小は口当たりがちょっとピリ辛い。味は軽くて深みがない。甘味も少ない。
香りの立ち方は似ているが、蓋碗大のほうが香りにも深みがある。
湯の温度に差があるのか?
ヤカンの湯は97度
沸き立ての湯。海抜600メートルくらいの西双版納では97度。
蓋碗に注ぐと90度くらいに下がる。
蓋碗大・小湯の温度
蓋碗大・小湯の温度
蓋碗に注ぐ湯の量は大・小ともに70ccくらいにそろえている。誤差はある。
結論から言うと、湯の温度の変化に蓋碗大・小の差はほとんどない。
注ぎたては同じ温度。
2分半ほど待っても、その差は1度ほどしかない。
保温力の差はほとんどないと言える。
北京の愛好家の蓋碗も測ってみた。
これは手元の蓋碗大と比べると少し保温力がある。
といっても、2分半蒸らしてからの温度差は1.5度ほど。
この微妙な温度差がお茶の味の差になっているとは思えない。
北京の愛好家の蓋碗
湯を注いですぐに茶湯の色の差が現れるのだから、茶葉の成分の抽出に、温度以外のなにかが大きく影響しているのだ。
「浸透圧」というのがある。例えば、シチューの具を煮込むときに塩を最後に加えるのは浸透圧を考慮しているから。最初に塩を加えて煮ると、肉は水分が抜けてワシワシになってしまう。塩分濃度の差が浸透圧を発生させるわけだが、こういうふうな目に見えない複雑なことが、茶葉と湯と茶器のあいだに起こっているのだろう。
感覚的に理解したいな。
形とか色とか手触りとか、指で弾いたときの音とか、手に取ったときのぬくもりとか、重さとか。
パッと直感でわかるようになりたい。

ひとりごと;
今日はこのお茶の整理。
『沈香黄片老茶磚80年代』(卸売部に出品)
沈香黄片老茶磚80年代
沈香黄片老茶磚80年代
いい顔しているよな。
そういえば、茶葉は感覚的にわかることがある。
茶器も経験を積めばわかるようになるだろ。

版納古樹熟餅2010年 その34.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗2種横
白磁の蓋碗2種上

お茶の感想:
白磁の蓋碗2種のつづき。
ひっくり返して底を見ると形の違いがはっきりする。
北京の愛好家の蓋碗(左)はまるい。手元の蓋碗(右)は角ばっている。
水の流れ、水の振動、湯の熱の響き方が違ってくるよな。
今日はこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年計量
3.6g
餅茶は崩し方を同じようにしないと、塊のままと崩れてバラバラの茶葉とで味の出方が違ってくる。
熟茶のような発酵のすすんだ茶葉は一般的に熱い湯でじっくり抽出するのがよいと思われているがそうでもない。
このお茶のように旬のタイミングで采茶されていたら、小さな新芽や柔らかい若葉が多く、それなりに熱に敏感である。
香りを立てるため、一煎めから味を充実させるため、必ず湧きたての熱い湯をつかうが、煮出して濁った味にならないように、注ぎや蒸らしを注意したほうがよい。
白磁の蓋碗2種1煎め
白磁の蓋碗2種1煎め茶杯
1煎め。
湯を注いで、ちょっと蒸らして、蓋碗の蓋をちょっとずらしたときに香りが立つ。
この香りにすでに違いがある。
手元の蓋碗は苺のような透明感のある爽やかさがあり、北京の愛好家の蓋碗は糠のようないわゆる発酵香が混ざって香りが鈍る。
茶湯の色はこの時点で北京の愛好家の蓋碗のほうが赤味が強く、熱のとおった色をしている。
ところが、これから後の煎ではずっと手元の蓋碗のほうがやや黒っぽい色になる。
白磁の蓋碗2種3煎め
白磁の蓋碗2種3煎め茶海
白磁の蓋碗2種3煎め茶杯
3煎め。
白磁の蓋碗2種5煎め
白磁の蓋碗2種5煎め茶杯
5煎め。
香りの印象がそのままお茶の味の印象をつくる。
前回の『章朗古樹紅餅2016年・青印』のときとほぼ同じような違いが現れる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.】
手元の蓋碗は清らかで軽く上にぬける。
サラッとしたドライな感じ。
口に溶けて自然に喉を滑り落ちる。
北京の愛好家の蓋碗はやや濁りがあり重く沈む。
とろみのあるウェットな感じ。
口に残り喉に押し込むような抵抗がある。
葉底
葉底は同じ。
飲み比べると明らかに手元の蓋碗のほうが美味しい。
これは好みの問題ではないと思う。
どうしても北京の愛好家の蓋碗を使うのなら、蒸らし時間を短めにするために、ちょっとだけ茶葉を多めにするとよいかもしれない。
注ぎ切ってから底にある茶葉が煮えないように、茶針でちょっと起こして蒸気を逃してもよいだろう。
そのくらい気を使って手間を掛けてでも、苺のような香りの出るときの美味しさには価値がある。
嬉しくなって、その日一日が輝く。
版納古樹熟餅2010年煮出して飲む
蓋碗では抽出しきれない茶葉や茎の内側の成分を銅の器で煮出す。
弱火で5分ほど。
甘くてとろみのある茶湯。
はじめの3煎めくらいまではこの甘味やとろみを出さないように意識したほうがよいな。

ひとりごと:
メコン川からラオスのお寺
ラオスのお寺
ラオスのお寺の壁の絵
チェンコーンから河を渡ってすぐのラオスのファイサーイにあるお寺の鐘。
大型トラックのホイールと、ベトナム戦争のときの弾頭と。
いい音する。
お寺の鐘に弾頭
お寺の鐘にホイール
力強い造形。アートだ。

版納古樹熟餅2010年 その33.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 軽い密封 紙包
茶水 : タイ・飲料水
茶器 : Klean Kanteenの保温ボトル
雲と鳥
雲と旗
チェンコーンへバスの窓の水滴
バスの窓から入道雲

お茶の感想:
バンコクからチェンマイの飛行機は早朝で、窓から下を見ると朝の白い太陽に水の反射がキラキラしている。蛇行する河とそこから網の目に広がる水路と、地平線まで延々とつづく水田と。それだけじゃない。陸の上であるはずの住宅地やその周りの空き地にもキラキラ反射する水面がある。水溜りや水瓶なのだろう。そういえばタイの人はよく水鉢に蓮などを生けているよな。
水鉢
この印象が今回の滞在中にずっとあって、頭のなかをグルグル巡っていた。
タイ水浸し。
雨季の続く9月後半。雨も毎日のように降る。空気中の水も多くてムッとしている。気温は高くて暑苦しくて、肌にはじっとり汗がにじんで乾かない。
逃げ場のない水。
水に身を浸しているような圧力。
2日間もいると骨にまで水が染みて芯から冷えてくる。
宿の部屋ではエアコンで空気を乾燥させるが、それでも関節が重い。寝汗をかいて深夜に起きる。
熱いシャワーで汗を流すとちょっと落ち着く。
身体の芯が冷えていることに気付いて、靴下を履いて寝るようにしたら寝汗はましになった。
タイの人や旅行者たちは氷の入った冷たい飲みものをガブガブ飲んでいるけれど、身体に水を貯めすぎて、しかも芯から冷やすことになる。唇の色にその兆候の現れている人が多い。
熱いお茶を飲むとたちまち汗が吹き出る。この汗は出したほうがよいのだ。
身体を芯から温めるお茶がよいな。
熟茶
生茶、紅茶、熟茶のどれが温まるかというと熟茶なのだけれど、そういう問題ではなくて、ひとくちかふたくちで背中のあたりに汗が出るようなお茶。
ちょっと濃いめに淹れた熱々の一杯。
はじめは苦くて後からスッキリ爽やか。

ひとりごと:
早朝の月
メコン川の空
メコン川
メコン川と小舟
チェンマイからバスに乗って6時間かけてチェンコーンに行って、パパイヤビレッジのハーブサウナを2回した。ヒリヒリするくらいのハーブの刺激が皮膚に染みて、おもいっきり汗をかいてスッキリした。
タイに住むなら家で毎日サウナできるようにしたい。
花
keep quiet
チェンコーンのタミラ
夜と月

南糯古樹青餅2010年 その6.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納ー京都
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紫砂の茶壺
南糯古樹青餅2010年
南糯古樹青餅2010年

お茶の感想:
今日は久しぶりにこのお茶。
+【南糯古樹青餅2010年】
お客様から、
「最近飲まれてない(茶想に登場しない)ということは、ダメなところでもあるのですか?」と聞かれたが、どこもダメではない。
理由のひとつは、個人の嗜好の問題で、苦底の強いのが苦手なこと。苦底の代表格である西双版納孟海県「老曼峨」の古茶樹は、どんなに上質でも嫌いである。
南糯山の古茶樹の苦底は老曼峨よりも穏やかながら、ちょっと長く舌に残る。
紫砂の茶壺
南糯山古樹青餅2010年
苦い・・・・・・・・でも爽やか。
のどの潤いも心地よい。
蒸し暑い今年の夏にはこの苦さが格別に感じられる。
葉底(煎じた後の茶葉)からは晩春の特徴が見られる。
現地でのお茶づくりをはじめたばかりの2010年のときは、まだ早春へのこだわりがなかったが、南糯山の晩春の采茶は苦底の後味を長引かせる結果となることが今はわかる。
晩春の茶葉
もうひとつの理由は、ひとつのお茶に集中することで、ようやく見えてくることがあるということ。いろんなお茶をまんべんなく試飲していてもわかりにくい。ひとつに集中することで細部が見え、気付きがあり、新しい疑問があり、超えたり、堂々巡りしたり、到達したりする。
そこまで行くと別のお茶もわかりやすくなる。
理解の秘密。
理解の仕組みにはいろんなワナがあり、試し試される。
この辺りの苦しみを楽しめると、趣味は実益を兼ねてくると思う。

ひとりごと:
茶学用の茶盤が納品された。
今回は4枚。
京都の若手の木工作家さんにお願いしている。
しばらく使って、使いこなしてから茶学器(茶学専用茶器)として販売したい。このブログで一枚ずつ紹介してゆくが、茶盤単品ではなく他の道具とセットにするつもり。
そのセットは、例えば「当店のある種の生茶を淹れるのに向いていて、一般的な烏龍茶には向いていない。」という具合に尖がらせたい。結果的に一般的な烏龍茶も美味しく淹れられるようになるかもしれないが、はじめからあれもこれもイケる道具はつまらない。
茶学器
茶学器
表と裏で表情が異なる。
茶学器
茶学器
茶学器は作者名を出さない。
当店のお茶と同じ。
つくり手みんなが下請け業者であるから、名前が表に出る必要はないのだ。

易武古樹青餅2010年 その33.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 京都陶器の茶壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺
梅干し壺でプーアール茶熟成
易武古樹青餅2010年の京都熟成
お茶の感想:

ひとりごと:
梅干し壺のようなのに餅茶を熟成させている。
このお茶を試飲。
+【易武古樹青餅2010年】
壺に入れてからは2年半ほどになる。
餅面は良い具合に焦げて赤黒くなっている。
易武古樹青餅2010年の京都熟成
ちょっと思いつきで、茶壺に湯を注いだ後から茶葉を投入してみる。
茶壺に湯を注いだ後から茶葉を投入
茶壺に湯を注いだ後から茶葉を投入
浮いた茶葉はそのままにして、自然に湯に馴染んで沈むのを待つ。
2煎め以降の茶葉はしっかり湯に浸かっている。
易武古樹青餅2010年の京都熟成
易武古樹青餅2010年の京都熟成
茶葉の色を見て違いに気付いただろうか。
餅面は赤黒く焦げていたのに、水を含んで開いた茶葉は緑色がよみがえる。もちろんつくりたての時の緑に比べると新鮮ではないが、煎じる前と後との違いは大きい。
ここに壺熟成の効果が現れている。
陶器の壺での熟成は、茶葉の表面のメイラード反応(常温の焦げ)を促進させるようなのだ。土の質や焼き方によるところもあるから、すべての壺が良いとは言えないが、手元で試している2種類の壺は2つともこの効果が現れている。
メイラード反応で焦げた表面の成分が、茶葉の内側の鮮度を守るのではないかと考えられる。
易武古樹青餅2010年の京都熟成
お茶の味の新鮮さにもそこが現れている。
将来的には、当店の餅茶はすべて壺熟成にする。

ひとりごと:
Klean Kanteenの保温ボトル。
蓋をギュッと閉めないと漏れるが、そこに慣れたらとても使いやすい。
Klean Kanteenの保温ボトル
Klean Kanteenの保温ボトル
蓋が大きい割にシリコンゴムが薄い。だから蓋を閉める圧力が要るのだろう。
もしも蓋の閉まりをもっと軽くしようとしたら、デザインが犠牲になるかもしれない。
作り手がそこをすごーく考えたうえで選択した結果だったら、いい仕事だと思う。
両方の良いところを取ろうとしてどっちもたいした魅力のない品は、なぜか日本製に多いよな。
八方美人はアカン。

版納古樹熟餅2010年 その31.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : タイ・チェンマイの飲料水陶器の瓶入
茶器 : マルちゃんの陶器の茶壺と茶杯
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年

お茶の感想:
水音の話を書きながら、ふと思いついてこのお茶を淹れる。
+【版納古樹熟餅2010年】
ごくたまに苺のような香りが立つことがあって、でもそれがどうしたら出るのか解らなくて、なかなか再現できなかったけれど、今日解った。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
水音だった。
+【茶学・水音を聞く】
高温の湯と水音。
しっかり器を温めて、水滴はドライな高音で杯の底を叩くように。
版納古樹熟餅茶2010年

ひとりごと:
チェンマイに滞在中は毎日SATIでお茶を淹れている。
+【Sati - the Art of Tea and Yoga】
Sati - the Art of Tea and Yoga
Sati - the Art of Tea and Yoga
ひとりで自主練することもあれば、ヨガのお客さんに淹れることもあれば、現地に住む日本人たちに淹れることもある。
いつでもどこでも誰とでも茶学をするから、同席した人はほぼ全員お茶を淹れさせられる。
夜はNOTHのJAZZで身体にリズムを注入。
チェンマイのJAZZ
チェンマイのNOTHのJAZZ
ビールはラオスの黒。

越境野生青餅2010年 その4.

製造 : 2010年4月
茶葉 : ミャンマーJing dong 野生古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 京都プラスチックバッグ密封
茶水 : タイ・チェンコーンの浄水器+大瓶
茶器 : 小さめの茶壺チェコのマルちゃん作
越境野生青餅2010年プーアル茶
越境野生青餅2010年プーアル茶
お茶の感想:
ひと月前の冬の日本でのこと。
チェコのマルちゃんが日本語で「ガツンと青プー」という言葉を覚えてきた。
どうやら滋賀の陶芸作家さんのところへ泊まりこんで作陶したときに、窯の熱に汗をかきながら徹夜の火の番をして、喉の渇きを癒やすために飲んだ生茶のプーアール茶『中茶牌65周年青磚03年』(当店卸売部に出品)が美味しくて、身体がリフレッシュされる感じが気持ちよくて、作家さんたちのあいだで男のお茶・労働のお茶という意味を込めた「ガツンと青プー」という言葉が流行って、それに感化されたらしい。
もっとガツンとしたのはないのか?みたいな話になって、みんなが宴会をするときにこのお茶を持って行った。
+『越境野生青餅2010年』
手元にあるお茶の中ではもっとも野性味がある。
ヘビー級のガツンとしたパンチを喰らわせてやる。
重い重い茶酔い。全身のチカラが抜けて風呂あがりの気分になれるのは、西双版納の西側のミャンマー寄りの古樹のお茶に多い体感だが、『越境野生青餅2010年』はもっと重い。引力が強くなって、座ってもいられなくて、地面に這いつくばりたくなるような感覚。けれど、強いわりには気持ちが高ぶるようなことはなく、低く穏やかなところに融点がある。
越境野生青餅2010年プーアル茶
越境野生青餅2010年
越境野生青餅2010年
越境野生青餅2010年
さっきまでの酒の酔いがリセットされて新鮮な気持ちでまた酒の宴がはじまる。
酒ーお茶ー酒ーお茶ー酒ーお茶、だいたいこのあたりで記憶が無い。
つぎの日の朝にあたたかい布団の中に寝かされていたことに気がついて、ふと隣を見たら、同じように記憶を失ったであろう滋賀の陶芸作家さんの顔が布団から出ていた。
あとで聞いたら、酒を飲まないマルちゃんと、酒に飲まれない若い印鑑彫師さんとが、自分を引きずって布団の中に入れてくれたという。ガツンとパンチを喰らったのは、自分と滋賀の陶芸作家さんの2人だった。
次の日、長浜の季の雲のマルちゃんの展覧会で、若い印鑑彫師さんの書のパフォーマンスがあった。
大きな紙に大きな筆で茶の樹が絵描かれて、その場で刃物で彫られた茶の花とつぼみの印が押されて、「命」という字が真ん中に書かれた。
昨晩の酒ーお茶ー酒ーお茶のリセットするチカラになにかを感じて、世の中で起こっているいろんなことと合わせて、「命」とう字が思い浮かんだと、若い印鑑彫師さんはこの作品をみんなに説明された。
まっすぐはカッコいいなあ。
チェンコーンのメコン川
チェンコーンのメコン川

ひとりごと:
今日、タイのチェンコーンのメコン川沿いのゲストハウスで、ひとりでこのお茶を飲んでいる。
そして思い出したのだった。
やはり重い茶酔いで、低く沈んでゆき、身体のチカラが抜けて眠くなる。キーボードを打つ指さえも重くなる。
そういえば、滋賀の陶芸作家さんとギャラリーのオーナーさんとが、後日このお茶をお求めくださったのだった。飲むたびに酔いが回って、あの日のことを思い出すだろうな・・・。
酒の記憶は忘れても、お茶の記憶は忘れない。

版納古樹熟餅2010年 その30.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗小とマルちゃんの湯飲み
西双版納の雨
西双版納の雨

お茶の感想:
2ヶ月前から香港の株価を追いかけている。
タイの株の口座も開設の手続きをすすめている。
ここ数年は茶よりも株が収入になるかもしれない。
自分の理想とする茶商になるには、もっとお金が要る。桁違いに要る。手元にストックしている熟成中の茶葉を全部売り切っても、ぜんぜん足りない。
これからも収益目標を掲げたお茶づくりはしない。
だから稼がなければならない。
茶商にとってのお金は武器弾薬である。ここぞというときにバン!バン!バーン!と集中砲火を浴びせないと、キラっと光る仕事にならない。
農家には山があり茶樹があり生産ができる。
茶商にはなにもない。
だからお金が要る。
農家はお金が欲しくて、茶商は良い茶葉が欲しい。
だから仲良くなれる。
お茶どころとして古いカタチの残る西双版納にも、近年は茶商が山を買ったり借りたりして生産者側になるケースがあり、もちろんそのカタチも検討してはいるが自分の理想ではない。農家と対立するよりも味方になる立場でいたい。個人と個人。老百姓と老百姓。老板と老板。そんな一対一の関係。組織は好きでない。組織的な仕事は自然の生態系との相性が良くないらしいことを、ここに来て学んだのだ。
茶商にとっての山は、むしろ都市にある。
都市生活をするお客様が畑である。現代的な生活をしているという意味なので、この記事を読んでいる人は誰もが畑になる。
通販を休業するということは、畑を耕すのを休むということなので、申し訳ないと思う。
昔の時代なら大富豪がひとりいて、その家のお抱え茶商としてふんだんに資金を得て、世界中を散策して、後世に残る面白い仕事ができただろう。現在は世界的に見ても大衆化の時代で、それなのに多数決を好まない茶商なのだから、独自に金儲けするしかない。そのかわりに自由だ。誰に言われるまでもなく好きにやってゆく。
この立場だからこそできる仕事ってなんだろう。
この時代、この環境、この生まれつき、この来た道、この出会い、与えられたすべてを追い風にするぞ。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
今日も雨だからこのお茶。
【版納古樹熟餅2010年】
雨の日の熟茶は甘い。
同じ雲南省の北のほう(麗江あたりかな)では早くも雪が降ったらしい。一度も雪の降ったことがない南の端の西双版納も、長袖の服を出すほど気温が下がってきた。それなのに長い雨。昨年よりもコンディションは悪いかもしれない。
ま、それでも晴れたら山に行く。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
熟茶は熱い湯で淹れるのが基本だが、抽出時間を長く煮出してしまうと、このお茶ならではの繊細な風味がなくなる。ちょっと茶葉を多めにして、生茶のように蓋碗でサッと湯を切る淹れ方をする。はじめの3煎めくらいまで特別な風味が得られるだろう。
このお茶の原料となった茶葉は巴達山の曼邁寨と章朗寨の古茶樹。2009年の秋は豊作だった。10月1日から11月1日まで雨の日は一日だけ。翌年の春のかんばつの予兆が現れていたのだった。乾季に入った清々しい空気と、山の上の強い紫外線を思い出す。
まだ経験の浅いその頃は、毎年そんなものだろうと考えていたが、それから6年経った今まで、好天に恵まれた秋は来ない。

ひとりごと:
お茶づくりのリスクと比べたら、株のリスクは技術的に回避できる分、たいしたことないなと思う。
ハイリスク・ハイリターン。
当店のやり方ではハイリスク・ローリターンではやってゆけないのだな。
良いとか悪いとかじゃない。そういう過程と結果に個性があるというだけだ。


茶想

試飲の記録です。

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