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那力山ラフ族の春茶2014年 その1.

製造 : 2014年03月27日から3月29日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県那カ山古茶樹
茶廠 : 製茶農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年
那力山ラフ族の春茶2014年

お茶の感想:
那力山へ行ってきた。
西双版納孟海県の北に位置し、メコン川に沿った深い山にあるラフ族の茶山。なぜか古い栽培型の茶樹が多いにもかかわらず、数年前に発掘されたところで、西双版納の茶山としては最後の秘境のひとつである。
昨年秋にもアタックした。
途中から山を削っただけの道で、ゴロゴロ落ちた石をを避けながら峠を2つ超えて50キロつづく悪路は、友人の車では無理だった。
春一番のお茶ができた今、このタイミングを狙って再度アタックした。
那力(naka)は、の「カ」は、中国漢字で「上・下」を上と下に組み合わせたもの。もともと現地のラフ族の音を漢字の音に充てているだけなので、意味は無い。ラフ族の言葉の意味はなにか?と尋ねたが、わからないとのこと。ラフ族には文字がない。文字がないと名前に意味を付ける意味がないのかもしれない。
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
素晴らしいお茶だ。
びっくりした。
いろんな常識をくつがえして、2014年に西双版納に高級茶の歴史がはじまるだろう。歴史をふまえて言うなら「民間の高級茶づくりが60年ぶりに復活する」ことになる。
価格は一昨年の3倍。昨年の2倍に達していたが、内容が伴っていると思う。これなら価値のわかる人はどこかにいる。日本がダメなら世界があるさ。
ラフ族にお茶づくりの歴史はない。
家庭用にお茶を利用していた歴史はあっても、お茶をつくって外に売ったのはこの30年ほど。プーアール茶の原料となる晒青毛茶をつくり始めたのはほんの数年前から。
では、なぜ樹齢数百年にもなる栽培型の茶樹が山に群生しているのか?
また、那力の古茶樹は小葉種が多い。西双版納にもともとあったのは大葉種。誰がいつこの山にどこから種を持ってきたのか?
さらに、お茶を知らなかったラフ族に誰がお茶を教えたのか?
本にも書いていないし、ラフ族にも記録や言い伝えはないのだけれど、茶樹を見てわかった。
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
布朗族の茶山の茶樹
これは布朗族のつくった茶山だ。
西双版納の孟海県で布朗族がつくった古い茶山とまったく同じ枝ぶりだ。同じく古い茶山をつくった孟臘県の瑶族の茶山の枝ぶりとは異なる。
誰も知らない遠い昔、布朗族がここに移り住んで、茶樹を育てた。おそらくメコン川の川べりに住むダイ族と茶と米を交換して生きていた。(老人に聞くところによると炙った茶を売っていたらしい。)
その布朗族がどこから移住して来たのかはわからないが、おそらく北のほうの、例えば四川省からだろう。山から山へと移り住みながら茶の種が運ばれた。茶樹は世代交代しながらちょっとずつ西双版納の気候・土質・自然環境に適応して、小葉種でありながら喬木であるという進化を果たした。と、推測する。
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年プーアル茶
那力山ラフ族の春茶2014年
このお茶をつくったのはラフ族の村の製茶専業の若い夫婦。
焼き畑農業で移住生活をしてきたラフ族は、仕事に熱心になれない民族なので、各家庭で茶をつくって売るという文明的な生活はできない。村で傑出した若者が一生懸命勉強して、外の世界を知って、現代社会に適応した仕事をして村を支える。
製茶の技術については言うことなし。
こちらの質問にすべてスラスラ答えて、すべてに満足のゆく回答を得て、お茶のつくり方や扱い方について特別な要求をする必要のまったくない晒青毛茶を、その場で買うことができた。火入れの具合でいくつか作り分けしてあって、当店の好みにピッタリ合うのがひとつだけあった。
こんなことはじめてだ。
山奥で狐や狸につままれたのではないかと、ふと心配になったくらいだ。
「なぜあなただけまじめに仕事をするの?」
と、不躾な質問をしたら、
「お茶が高くなったでしょ。それに見合った仕事をしないと・・・。」
那力山ラフ族の春茶2014年
那力山ラフ族の春茶2014年
「去年のと今年のとどっちが薫り高い?」
と聞いたら、
「去年のほうが個人的には良かったと思う。」
と、正直な感じの感想。
このお茶を、
当店は正当な価格で評価して出品する(圧延の餅茶にしたいと思う)が、もしも売れ行きが悪いのなら、それは当店のチカラ不足であり、お茶の実力ではない。
来年もこの山のこの農家のお茶を扱ってみたいので、今年は少量にした。茶葉の性質をじっくり理解して、茶摘みや製茶に特別な注文ができるようになりたい。

ひとりごと:
春のお茶対決。
西双版納のメコン川を境に、西の『那力山』、東の『漫撒山』。
【丁家老寨春一采茶2014年】
那力ラフ族の春の散茶2014年と丁家老寨春一采茶2014年
那力ラフ族の春の散茶2014年と丁家老寨春一采茶2014年
沁みる「那力山」、薫る「漫撒山」。
布朗族の茶山、瑶族の茶山。
今回の軍配は「那力山」。

倚邦古樹春の散茶2014年 その1.

製造 : 2014年03月18日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
半年ぶりに曼撒山の工房を訪ねた。
まずは「弯弓」や「一扇磨」と有名どころの一番摘みのサンプルを求めようとしたら、老板夫婦は「とにかくこれを!」とすすめる『倚邦古樹春の散茶2014年』。
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
「小葉種」である。
この地域に古来からある雲南大葉種とは異なり、文字通りに小さい葉をつける。葉は小さくとも放っておくと6メートルを超える高さに育つので、「喬木」に分類されるだろう。

小葉種の古茶樹
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
(小葉種の代表的な茶山「孟宗山那カ寨」への道中で見つけた茶樹)
小葉種は、茶葉だけを見たら茶畑のお茶と見分けがつきにくいから、古茶樹のお茶の中ではマイナーな存在だと思う。
細かい説明は別の機会にするとして、このお茶『倚邦古樹春の散茶2014年』は過去に自分が飲んだ小葉種の古茶樹でいちばん美味しいと思った。「いちばん」とはっきり言えるほど格の違いを感じた。素材も製茶もすばらしい。
「倚邦」には農家が居るので、開拓された農地の古茶樹もあるが、このお茶は自然に戻った深い森の中で野生化したもの。茶山として栄えた明代の生き残りの茶樹だと思われる。
【西双版納の江北の茶山について】参考ページ
一応、「倚邦」ということにしたが、隣の山の「蛮磚」にも近いらしいので、地理が詳しくわかれば将来名前を変えるかもしれない。そう考えると、辺境茶に産地名は重要ではない。
製茶の設備が近くにない山深いところにある辺境茶は、摘み取った鮮葉を遠くまで持ち帰ることになる。一度にたくさん持ち帰ろうとよくばって袋にキュウキュウに詰めたら、中で蒸れて望ましくない発酵が起こる。鮮葉はカサがあるから、蒸れないよう入れ物を工夫をして4駆の車に詰められるだけ詰めて帰っても、製茶して乾くと3.5キロにしかならない。小さな工房の夫婦とおじいちゃんの3人が1日かかって摘んだ茶が3.5キロ。春の旬の1日をこの3.5キロに費やすのは採算が合わないから予約制となる。今回は広東からの予約が2キロあって、残り1.5キロのうち1キロをタイミングよく分けてもらえた。
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
改めて飲んでも「上には上がある」と思う。
透明感が素晴らしい。フワッと上がる香味、回甘・喉韻・余韻。すべてが調和しているが、そんな言葉が軽々しく聞こえる。舌触りに一瞬だけ「粉っ」と感じるミネラル味があり、それがシュワシュワ消えてゆくのが惜しい気がする。
予約してつくるかどうか検討したいが、現時点であきらかに高価になり、お店として採算に合わないし、お客様も手が出にくいだろう。試飲を重ねながらゆっくり検討しようと思う。40gくらいの小分けで販売してもよいし、餅茶に加工してもよいし、場合によっては自分だけが所有するお茶として自慢してもよい(ちょっと趣味悪いかな・・・)。

ひとりごと:
高級茶にもいろんなタイプがあるけれど、個人の立場で言うと、このお茶はホンモノの高級茶だと思う。
作為が無い。
品評会や有名茶師で飾られる地位とか名誉もなければ、今年の価格がどうこうと野次馬の対象にもならないし、「コストパフォーマンスが・・・」と業者がお客に良心をほのめかす嫌らしさもない。
ひっそりと好きな人だけが愉しむお茶。
野に咲く花を愛でるようなものなのだ。どんな評価をしようが個人の趣味なのだ。
お茶の季節によく見る花
お茶の季節によく見る花
お茶の季節によく見る花
(丁家老寨のあぜ道に咲く花)

丁家老寨春一采茶2014年 その1.

製造 : 2014年03月13日から3月17日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨小茶樹および古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶

お茶の感想:
漫撒山で春のお茶づくりをしてきた。
太陽に焼かれ土埃にまみれての重労働で、体は泥のように重くなる。6日間も離れたパソコンにいきなり向かっても、疲れてボーっとした頭ではどう使ってよいのかわからない。夢から覚めるのに半日かかった。
丁家老寨2014年
2014年の春はかんばつで、かれこれ春節の1月末から雨らしい雨が降っていなかったが、昨日ようやくまとまった雨が降って、雷もゴロゴロ鳴って、雲の多い日が2日間ほど続きそうなので、お茶づくりはひと休みとなった。正直ホッとした。あちこち傷んだ重い体のまま山へ入って重労働がつづくと、そろそろ引退する方法はないか、茶を買うより株を買ったほうがよいのではないかと、いらないことを考えてしまう。
丁家老寨2014年
今年のテーマは「製茶」。
製茶はとにかく手を動かすこと足をつかうこと。
采茶(茶摘み)から製茶が始まる。今日は山のどの斜面がよいか、どの品種や樹齢の新芽・若葉が摘み頃か。漫撒山の丁家老寨は農家一軒あたりの農地が広く、しかも山のあちこちに拡散しているので、バイクで移動しながらひととおり見て回るだけでも半日かかる。
丁家老寨2014年
経験を重視した。だから当店で仕入れないお茶でも構わずに農家の手伝いをして、自分が手を加えていないお茶でも良いと思うものは仕入れてみた。山も農地も茶樹も製茶もすべて把握している茶葉には違いないから、これで良いと思う。
今回の収穫は、丁家老寨でつくったり入手した晒青毛茶2種と、漫撒山の辺境茶を専門にする工房から入手した晒青毛茶2種。これらを圧延加工するか散茶のまま出品するかじっくり吟味するとして、とりあえず春にふさわしい風味のこのお茶『丁家老寨春一采茶2014年』を、旬のうちに届けれられるよう卸売部に出品した。
山の農家では品茶がまともにできない。道具も水も勝手がちがうし、そもそもそんな時間もチカラも余っていない。家に持って帰って、すぐに試したかったのは湯の温度によるお茶の味の違いを見ること。
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
予想した通りで、このお茶はぬるめの湯で淹れるのが美味しい。緑茶的な性質があるのだ。
煮水器で沸かした湯をいったん茶海に移して、それを蓋碗に注ぐ。だいたい85度〜90度くらいに下がっている。直接注ぐと98度はある熱湯で、これで淹れると茶葉が煮えてアク味や雑味が出やすい。タイミングよくサッと一瞬で湯を切る技術が要る。しかし、85度くらいになると茶葉の成分がゆっくり反応するので、ゆっくり丁寧に淹れることができる。
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
(奥が熱湯。手前がぬるめの湯。)
この晒青毛茶は、当店がオーダーしたものではなく農家が勝手につくったもの。近年の製茶の流行で、しっかり火入れされている。このことにより、天日干しでゆっくり乾燥してゆく間に起こる軽発酵の変化が少なくなり、より緑茶っぽく仕上がる。当店のオリジナルの丁家老寨のお茶は、軽発酵をしっかさせて青茶っぽいのが多いから、タイプがやや異なる。
圧延加工して長期熟成するのなら軽発酵をしっかりさせたほうが魅力的な風味になると思っていたが、入手しているサンプルの中にしっかり火入れした丁家老寨の餅茶がひとつあって、それが2年経った今、予想もしていなかった薫り高いお茶へと変化している。なので、いちどこの火入れしっかりの茶葉を一から観察してみたいのだ。
たぶん、重要なのは発酵度ではなく、しっかり直射日光で晒干されたこと。山の涼しい風に吹かれて乾いたこと。発酵度の違いは2つの風味をつくるだけであって、どちらが良いと優劣のつくものではない。しかし、晒干における環境はお茶の美味しさ、良し悪しにかかわると思う。近年の製茶はあんがいこのことが軽視されている。

ひとりごと:
丁家老寨でつくった紅茶
丁家老寨でつくった紅茶
丁家老寨で「紅茶」をつくった。
火を入れない紅茶の製茶。軽発酵の変化と乾燥との関係をずっと見て学んだ。やはり知っているというのと、できるというのはずいぶん違うな・・・。
この紅茶のつくり方では圧延加工の火入れと乾燥でやっと完成するが、晒青毛茶のこの時点ですごく香りが気高い。よいお茶になりそう。


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