プーアール茶.com

易武古樹青餅2010年 その32.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 上海 紫砂陶器の茶缶
茶水 : ミネラルウォーター農夫山泉
茶器 : 大きめの蓋碗
易武古樹青餅2010年
易武古樹青餅2010年

お茶の感想:
上海の茶芸教室に呼ばれて行ってきた。
生徒さんは30代から40代の上海人の奥様たち。
日本ではありえない行儀の悪さで、雑談、スマートフォン、お構いなし。
先生は黙って知らぬふりをしている。
そう。知っているのだ。
人の態度がお茶に現れることを知っている。けれど言わない。授業を妨害するレベルに達したらひとこと注意するくらい。
先生と生徒のこの距離感は、幼稚園から大学まで同じような感じだと思う。
先生はそれで良いと悟っているのかもしれない。
奥様たちがストレス発散したり、お茶を習っているという文化的な衣をまとうために、お茶の教室はある。
お茶の教室がなければ、生徒さんたちは自分の姿を鏡に見る機会はないだろう。新しい生徒さんたちがグループに入ってきて、その態度を見て、古い生徒さんたちがはじめて自分の姿に気がつく。もちろん、それでも気がつかない生徒さんたちもいる。気付かないフリをする人もいるだろう。
他人がどうあって欲しいと願うよりも、自分がどうあるべきかを強く持って生きる社会。
他人に左右されずに、なりたい自分になろう。
昨日の教室で出したお茶。
【易武古樹青餅2010年】
易武古樹青餅2010年
易武古樹青餅2010年
左: 易武古樹青餅2010年 本作品
右: 易武古樹青餅2010年 試作品
「同じ年の春の、同じ農地の、ほぼ同じつくり方のお茶です。どこが違うか当ててみてください。」
ワイワイガヤガヤの喧騒の中で、静かにお茶を飲んだ先生はすぐに当てた。
「茶摘みのタイミングが違う。」
すごいレベル高さに、ちょっと鳥肌が立った。

ひとりごと:
お茶の教室では『版納古樹熟餅2010年』が人気。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
+【版納古樹熟餅2010年】
キレのよい甘味が茶樹の育ちの健康を表わす。

版納古樹熟餅2010年 その26.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター 
茶器 : グラスポット350cc
版納古樹熟餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
前回上海を訪ねたときに、
このお茶を友人の小売店で紹介させてもらった。
+【版納古樹熟餅2010年】
何人かのお客様にお求めいただいて、後日友人に問い合わせがあった。
「店で飲んだのと味が違う」
こういう話だった。
「お茶好きの集まる茶会で高級な熟茶を出したくて、店で飲んだ時に梅子香があったこのお茶が珍しいので求めたが、茶会で淹れたら味がゆるくて不評だった。」
詳細を友人に聞いてもらうと、紫砂の大きめの茶壺を使ったらしい。もちろん水も異なる。
ちなみに店で淹れたときは白磁の蓋碗だった。
茶器も水も異なればもちろん茶の味は異なる。
しかし、今回の場合は茶葉の性質を理解できていなかったところに原因があるとみた。小売店の友人もそこに気付いていなかった。長年茶を売る仕事をしていながら気付かないワケがないと考えた自分のほうが間違いだった。
熟茶はじっくり抽出したほうが美味しくなる。
それは一般的な熟茶の製法によるもので、常識となっていて、経験を重ねるほどますます自身のやり方として定着する。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
このブログでもグラスポットで煮出すような淹れ方をよくしているが、実はこのお茶『版納古樹熟餅2010年』について言えば、このお茶ならではの個性を引き出しにくい淹れ方である。それでもグラスポットを使うなら、湯を減らして、一煎一煎を茶杯に注ぎ切るようにすると良い。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
高級になる生茶をつくるに値する新芽・若葉。産地違いや季節違いのブレンドもしていない純料の茶葉。この場合、まずは茶気・香気・水質に注目してその質を味わったほうが価値があるだろう。それを知ってから、煮出すなりなんなり自分の好きなやり方で楽しめばよいのだ。
そう思って、店で紹介した時は蓋碗でサッと湯を切る淹れ方をしていた。
蓋碗にしても茶壺にしても、茶気・香気・水質に注目するなら、高温の湯はもちろんだが、抽出時間を短めにするのがコツ。煮出さないこと。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
新芽・若葉の熟茶は色の出るのが早く、とくに2煎め3煎めに気をつけないとブワッ―といっぺんに濃く出てしまう。それでも美味しく飲めるが、もったいないことになる。
例えば、1煎め20秒・2煎め3秒・3煎め5秒・4煎10秒・5煎め15秒・・・という感じだろうか。
湯の色は透明感を保ち、ちょっと薄いかなというくらいで十分、その中に茶気・香気・水質を感じ取れるだろう。味が薄くても存在感たっぷり。つまりそれが味の透明感になる。
渥堆発酵がしっかりしていながらスッキリした味で、こんなふうに飲める熟茶は実は少ない。
一般的にはこの熟茶『7581荷香茶磚97年』のように、老叶子と呼ぶ大きく育った葉や茎、ブレンドによって新芽・若葉が見えていても、実はかなりの歩合で老叶子を含む。(近年はこれも一般的ではなくなりつつあり、熟茶づくりも漂流し始めているが、それはさておく。)
7581荷香茶磚97年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
老叶子のタイプは質が良ければ淡く淹れても香気が楽しめるが、茶気は弱く、水質の粒子は荒い。写真のは極端に濃いかもしれないが、じわっと濃いめに抽出したほうがバランスが良く、独特な風味も楽しめるだろう。また老叶子は色の出るのが遅い。おのずと抽出時間はちょっと長めになるので、蓋碗や小さめの茶壺よりも、湯量があって熱量をじっくり茶葉と交換できる大きめのポットに分がある。
しかし、ここで紹介した淹れ方がすべてではない。探究心があれば、ひとつお茶にいくつかの美味しいパターンを見つけられるだろう。
いろいろ試されたし。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
7581荷香茶磚97年プーアル茶
上: 版納古樹熟餅2010年
下: 7581荷香茶磚97年
『7581荷香茶磚97年』は渥堆発酵の浅い仕上がり。
発酵期間は長くかかっているが、使われた水の量が少ない。1980年代の技術であり、ちょっと特別。一般的な熟茶として紹介するには向いていなかったかもしれない・・・。

ひとりごと:
お茶の良し悪しを知るのも大事だけれど、人がそれがどう理解するのかを知るのはもっと大事だ。
今年は上海を中心にこのあたりを研究してみようと思う。

巴達古樹青餅2010年 その26.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 生茶・紫砂陶器の茶壺 紅茶・プラスチック袋密封 
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
新版 漢方の歴史

お茶の感想:
漢方の本にこんなことが書いてあった。
七情はニ味の薬物を組み合わせるといかなる複合作用が発現するかを分類規定した配合原則である。単行(たんこう)・相須(そうしゅ)・相使(そうし)・相反(そうはん)・相悪(そうお)・相殺(そうさつ)・相畏(そうい)の七つのパターンが設定され、増強・相乗作用、反発作用、毒性相殺作用、一方が他方に不可逆的に働く作用など、種々の薬効変化が示されている。そして相須(互いに協力)・相使(一方的に協力)・相殺(互いに毒性を消す)・相畏(一方的に毒性を消す)の組み合わせがよく、相反(互いに有効性を消す)・相悪(一方的に有効性を消す)の組み合わせは禁忌だというのである。
「新版 漢方の歴史」小曽戸洋著 
第三章 神農伝説と『神農本草経』より
これだ。
一枚の茶葉の中にもいろんな成分があり、単行・相須・相使・相反・相悪・相殺・相畏は、製茶方法を変えることによって導き出せる。
巴達山の春の古茶樹の茶葉
だから、生茶と紅茶は体感が異なる。
先日から話題にしている「茶気」のアタリは、紅茶のほうが穏やかなのだ。
もしかしたら、中国茶の製茶分類はこの薬効変化がベースとなっているのではないか?
ひょっとして、これはあたり前の知識で、自分が中国茶のいろはを一から学ばなかったから、今になってやっと分かったのだろうか?
それとも、基本的な知識ではあるが、現在に生きるみんなは事の重大さに気付かずに、軽く聞き流しているだけなのだろうか?
あるいは、歴史の断絶を何度か経験した中国茶なので、こんなにバラエティーのある製茶方法が生まれた起源を忘れてしまったのか?
誰か知っている人がいたら「この本に専門的に書いてある」と教えて欲しい。さもなければ、経験を頼りにやってゆく自分は、これから膨大な時間を費やすことになる・・・。
今日はこのお茶。
巴達山の同じ季節の茶葉でつくった2つのお茶。
+【巴達古樹青餅2010年】
+【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
巴達古樹青餅2010年と巴達古樹紅餅2010年紅茶
巴達古樹青餅2010年と巴達古樹紅餅2010年紅茶
巴達古樹青餅2010年と巴達古樹紅餅2010年紅茶
巴達古樹青餅2010年と巴達古樹紅餅2010年紅茶
巴達古樹青餅2010年と巴達古樹紅餅2010年紅茶
巴達古樹青餅2010年と巴達古樹紅餅2010年紅茶
左: 巴達古樹青餅2010年
右: 巴達古樹紅餅2010年紅茶
生茶と紅茶を同時に飲むと、生茶の茶気のアタリがやや穏やかになる。
熟茶を同時に飲むと、もっとはっきりと茶気のアタリがやわらぐのがわかる。

ひとりごと:
「自分の身体で確かめるべし」
そう言ったのは自分だけれどな。

版納古樹熟餅2010年 その25.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶を崩したもの
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 京都市の水道水+BRITA浄水器
茶器 : チェコの陶芸作家マルちゃんの茶碗
太秦の先輩
庭でお茶
どんぐり
シダ
シダの根
苔の盆栽
苔
水盆

お茶の感想:
京都の太秦(うずまさ)というところに、古くて小さなアパートを改良して文化的な生活をする先輩夫婦と仲間たちを訪ねてきた。
行ったらすぐにどんぐりの種植えをすることになって、発泡スチロールの箱の底に小さな穴をいくつも開けて、腐葉土を敷いて、32時間前から水に漬けてあったどんぐりを蒔いた。どんぐりは近くの神社などで拾ってきたものらしい。ひとつひとつ図鑑で名前が調べてあって、意外なほど多くの種類があるのだと知った。
庭は無くても、庭の宇宙は表現できる。
魚や肉は無くても、体と心にしみるご馳走はできる。
茶器はなくても、美味しいお茶は飲める。
時間はあるから、お金で時間を買う必要はない。
こうなったら、外食より家食が上等。
揚げ豆腐の炙り
大根の汁
おにぎり
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
酒は飽きる。
歳のせいか、この頃どんなに良い酒でも長い時間は付き合えない。
酒の酔いを茶の酔いで霞ませる。
チェコの陶芸作家マルちゃんの茶碗にこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
いつのまにか売り切れて無くなったと思った茶碗が、こんなところにあって、また出会えてちょっと嬉しい。
茶葉を崩して入れて、湯を注ぐだけ。
温かい茶碗を両手ですくい上げる。
飲むうちにちょっと濃くなってくるから、また湯を足して薄めて、また濃くなってきて、また湯を足して薄めて・・・・・。体の芯が温まって、手足の先が温まって、風呂上がりのような酔い心地がしばらく続く。
このお茶よりも上質な酔い心地になれる酒は見つからない。
茶碗だけの飲み方にハマって、自宅でも再現した。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
茶碗の底に茶葉が沈んでいるので、すすっているうちに茶葉が唇に触れる。口先をすぼめて茶葉を避けつつもうちょっとすする。その清らかな甘さといったら・・・。
しばらくこの飲み方でいろんなお茶を楽しみたい。
両手で持つ大きさの茶碗が欲しい。

ひとりごと:
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
先輩もこの茶碗だけのお茶の飲み方をしていると、つぎの日に写真が送られてきた。

巴達古樹青餅2010年 その25.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納ー上海ー京都 壷入り
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
巴達古樹青餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
今日もこのお茶。
【巴達古樹青餅2010年】
甘味は一瞬で消えて、
旨味の少ない口当たりはやや硬く、
やさしく淹れないと荒れて痺れる辛味が残り、
お寺の線香を思わせる香りは微かに甘いだけで華やがず、
煎を重ねても変化の少ない単調な展開で、
なぜか熱い茶湯に涼しさを感じさせる。
易武山の揺れる甘いお茶に慣れた舌にはちょっとキビシイ。
軽発酵のすすんだ紅茶や微生物発酵(重発酵)の熟茶に加工すると、巴達山の古茶樹のキリッとした印象は効果的だけれど、生茶はキビシイ。
長期熟成の変化もまた単調で、前回2013年6月を最後に熟成レポートが書けていない。新しい展開がないから報告するネタがないのだ。
茶葉には一点の曇りもない。
早春の最高のタイミングでの采茶(茶摘み)。製茶のときの空気は冷たく澄んでいて、殺青の火力は強く、揉捻は昔ながらの念入りな手作業、晒干の太陽は高山の強い紫外線で焦げるようだった。
生茶の素材としては高級の教科書通りの優等生。
これでダメなら巴達山の古茶樹は生茶に向かないと判断したい。というか、そう判断して、巴達山の生茶には消極的になっている。
しかし、
本当にこの見方で良いのだろうか?
甘味の淡白なのはなぜ魅力的でないのか?
やさしく淹れないと難しいお茶はダメだろうか?
荒れて強い辛味を出すのは欠点と言えるのか?
単調な展開はほんとうに面白くないのか?
香りに華やかさを求める必要があるのか?
山の自然物のお茶が、なぜ僕に美味しく在らないといけないのか?
だんだん基板が揺らいでくる。
チベットのお坊さんの評価がそのキッカケとなった。
上海人のお茶好きが巴達山の古茶樹の生茶(2012年につくって卸売部に出品していた散茶)をチベットのお坊さんにお供えしたら、「これほどよいお茶は過去に知らない」と評価されたらしい。
そのことを昨年2014年の12月に教えてもらった。
上海人のお茶好きはなぜ巴達山の古茶樹のお茶を選んだのか?
チベットのお坊さんはこのお茶の味のどこをどう評価したのか?
脳がグルグル。
この1ヶ月ほど、何度飲んでも答えが見つからない。
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
そして昨日、チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺でこのお茶を淹れた時に、なにかが見えた気がした。
今日はやさしく淡く淹れたこのお茶に、青い炎と、祈るような静寂を感じた。
たぶんチベットのお坊さんとマルちゃんはちょっと似ているのだ。

ひとりごと:
このお茶を考えるもうひとつのキッカケがこのお茶。
+【祈享易武青餅2014年 】
味がしない薫らないお茶。
このお茶もまたやさしく淹れないと荒れる。
前回の当店のお茶会のそろそろ終わるという頃に、お客様のひとりが試すように淹れたこのお茶に、なにかが見えた。
飲んだ人の心がシンとするのが見えた。
お茶の美味しさとはなにか?
知らない味がまだある。
いや、お茶の味から見る別の世界があり、自分は今その入り口に立った。

巴達古樹青餅2010年 その24.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 崩しをステンレス茶缶
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : チェコの陶芸作家マルちゃんの茶壺
巴達古樹青餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
お茶の味には美徳がある。
仏教とも密接だったお茶には、どういう味を良いとするかについて、それを感じる人間の性について、冷静で深い考察があったと思う。
味を探りその上等を知るのは、味のわかる人となって自尊心を高めるためだけではない。まして現在のように、堕落的欲望を追求したりはしない。
一部の中国茶には、その美徳がまだしっかり生きていると思う。
お茶の味は、清潔で美味しいという最低ラインを超えると、そこから先は、上等をどう見て良いのか?美味しさの迷宮に入って迷子になるケースが少なくない。
高級茶をたくさん知っていると自負する人にも、選ぶお茶の迷走を見ることはよくある。お茶の味から美徳を学ぶ機会は、誰にでも訪れるわけではないのだ。
出会い方はいろいろある。なにがキッカケになるかは人それぞれ。授業料を払えば得られるという経済はない。
出会わなくてもよいし、出会ってもよいし。
今日はこのお茶。
+【巴達古樹青餅2010年】
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
巴達古樹青餅2010年プーアル茶
茶は縁。
ある種の美徳の味が辛味となってはっきりと現れているこのお茶を飲んでも、すべての人が出会えるわけではないだろう。
もしも出会えたら、それが必要な時が来たから。
もしも出会えなかったら、それが必要のない時だから。
自分は今日、5年間も飲んできたこのお茶の味に、はじめての出会いがあったと思う。まだはっきりしないけれど、深い考察をはじめる。
巴達古樹青餅2010年プーアル茶

ひとりごと:
このところ、日本に帰るたびに、自分の考えていることと同じようなことを考えていて、通じ合える人たちとの出会いがある。
だいたいそういう人とは、2・3の事柄を話し合うだけで、もう言いたいことは分かったような気になる。それ以上の会話は無駄な気がして、ま、いっしょにお茶でもということになる。
下手な話をするよりも、お茶のほうがよほど伝わる。
お茶の縁
お茶の縁
お茶の縁
お茶の縁
お茶に会えてよかった。

易武古樹青餅2010年 その31.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 京都 陶器の壷
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗
壷で熟成中のプーアル茶

お茶の感想:
今いちばん美味しく熟成しているこのお茶。
【易武古樹青餅2010年】
西双版納孟臘県易武山の有名寨子(村)「麻黒」の春の茶葉は、独自のスパイスに気高さがある。甘くて柔らかな易武山のお茶の味をキリッと引き締める。
2010年の春はかんばつで、スパイスがより強く溌溂として、苦味がしっかりノッて、易武山のわりに辛口だったが、熟成4年目にしてようやく女性的な語り口になってきた。
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年プーアル茶
こうなると、お茶淹れにあまり気を使う必要もない。
出来たての新しい生茶は、湯の温度をちょっと下げるなどして、やさしく淹れないとエグ味が出たりするが、茶葉が熟成して朽ちてゆくと、お茶淹れにほんのちょっと蒸らし時間を要するようになり、また、熱湯で抽出するほうが良くなり、あまり気を使わずに淹れてもバランス良くまとまりやすい。
むしろちょっと濃いめに、お茶のお茶たる苦味・渋味のエッジを効かせたほうが個性が光る。
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年
「麻黒」や「落水洞」の有名寨子は、1970年代から1980年代に国の指導により、数メートルにも伸びる背の高い茶樹を台刈りし、その後は年に一度の剪定で、人の背丈よりも伸びないように管理されるようになった。
この仕立て方は、北の「岩茶」や「鉄観音」の栽培法を取り入れたカタチであるが、世界のお茶全体を見渡すと、剪定しないで「熟した枝」をつくる古来の栽培法のほうが希少であるから、有名寨子のお茶はこの数年でじわじわ評価を下げてきている。(価格は上がっているけれど、上昇率が低い。)
易武古樹青餅2010年プーアル茶
「枝」と「根」は一対一。
ある枝を切ると、その枝と一対になった根を失う。おそらく土の中で根の先端のほうが死んでその機能を失う。切った枝は分岐してまた伸びるから、根の先端部分もまた更新される。そうして更新された根が吸収する栄養分と、古いままの根が吸収する栄養分とは微妙に異なるので、お茶の味を変える。
ひとことで言うと、剪定されている茶樹のお茶は旨味や甘味がノリやすく、濃い味に感じる。もともと内気だった香りは陽気に発散するようになる。
初心者にはわかりやすい味なのだ。
茶の栽培の歴史は、人々の嗜好の変化を追いかけてきた歴史でもある。お茶どころとしての歴史が浅いほどに、近代的な栽培方法になるほどに、今の人にわかりやすい味のお茶ができるとも言える。
易武古樹青餅2010年プーアル茶
ところが、この数年は摘みすぎ。
剪定のお茶は摘みやすい。
「摘めば摘むほど葉を出す」と言われるが、これは、茶葉を摘んだ跡に枝の分岐があり、1本が2本、2本が4本、4本が8本と枝の先端が分かれて茶葉の数が増えるためである。茶葉の数が増えた分、自らが光合成によって増やせない栄養分、つまり、根から吸収される栄養分を分けることになるから、味を構成するなんらかを薄める結果となる。また、無農薬・無肥料の栽培のために、茶葉は数が増えるほどに小さく育って、結果的に収穫量は増えないことになる。
易武古樹青餅2010年プーアル茶
だからこそ、この仕立て方においては剪定が必要となる。
年に一度、枝の分岐の少ないところからバサッと切って間引いて、新芽・若葉の数を制限するのだ。
この数年の価格高騰で、欲張った農家が剪定を行わずに、茶葉の収穫を増やそうとしたのだろう。当然の結果、味は薄まる。
おそらくこのために、有名寨子の剪定のお茶が評価を下げたのであって、剪定のお茶が美味しくないという解釈は間違っている。
わかるかな・・・。
実は、「麻黒」や「落水洞」にも、まだ剪定しない栽培方法の茶樹が山頂の森の周辺に残っている。
古茶樹のプーアル茶
このお茶を求めて麻黒の農家を何軒か訪ねてサンプルを入手し、何度か飲み比べてみたが、それほど個性がないように感じた。易武山から山つづきの漫撒山の「熟した枝」の栽培法と同じような味のお茶になる。
そうすると、1980年代以降の「麻黒」や「落水洞」のお茶は、むしろ剪定の栽培による味に個性があるのかもしれない。1980年代の「小葉青餅」と呼ばれる銘茶『7532』や『7542』の溌溂とした風味は、この個性に頼っている可能性がある。
7532雪印青餅プーアル茶
(7532雪印青餅1980年代)
+【雪印青餅7532】参考ページ
ま、このようなうんちく話は、このお茶『易武古樹青餅2010年』が美味しくて、なおかつ個性に魅力があるから成立するのであって、一般的に参考になるものではないのだ。

ひとりごと:
最近のお気に入り、
ジョージア地方(グルジア)のワイン。
古い品種。
無農薬・無肥料。
葡萄の木の熟した枝づくり。
大きな瓶で醸す昔ながらの醸造方法。
グルジアのワイン
(酒陶 柳野にて)
ささやくような美しい語り口。
旨味成分の少ない透明な味。
消えの早い渋味・苦味・酸味・甘味。
スッと落ちるキレイな水質の喉越し。
姿を見せない馥郁たる余韻。
そして、日によって味が大きく揺れる。
古茶樹のお茶と同じ。
最近はヨーロッパで流行しだして、ニセモノづくりも盛んになりつつあるらしい。
これも同じ。

版納古樹熟餅2010年 その24.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶を崩したもの
保存 : クラフト紙封筒
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
版納古樹熟餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
新茶のサンプルの試飲が続いて体調不良。
睡眠が浅くなって、妙に気が高ぶって、体が重い。
ふと、過去に熟茶が効いたことを思いだして、今日はこれでいっぷく。
+【版納古樹熟餅2010年】
新茶の強い作用をやわらげる。
飲み過ぎたらかえって悪化するかもしれないので加減が必要だが、美味しいのでつい一日かけて飲み尽くした。
今のところ快調。
やはり熟茶は少しずつでも毎日飲もうと思う。
お客様のご要望もあって、このクオリティーの熟茶をもう一度つくりたいが、再現できる目処が立たない。ほんの4年間でいろんなことが変化して、同じ仕事が難しい。
中国の骨董品のように技術が失われたものは値上がりが早い。それに似た理由でこのお茶も値上げさせて頂いているが、2年か3年後には市場環境が変わって、もう一度つくるチャンスが巡ってくると思う。
万が一、再現できなかったときのことをどう考えるかは、お客様にお任せしたい。
人の努力でなんとかなる問題と、なんともならない問題がある。とくに自然環境については、悲観的に見たほうがよいのか、楽観的に見たほうがよいのか、自分にもわからない。
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
洗茶は不要。
蓋碗を使って熱い湯でサッと淹れると、はじめの3煎めくらいまでほんのり苺のような香りが立つ。

ひとりごと:
例えばの話だけれど、自然環境の変化でお茶の味が変わってしまって、それを嫌ったファンが当店からお茶を買わなくなって、面白くないから店を閉じたとしよう。一見悪いことが起こったように見えるが、大きく見たらたいした問題ではないのだな。
個人的にたいした問題ではないようにするために備えておきたい。

南糯古樹青餅2010年 その5.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : グラスポット350cc
南糯古樹青餅2010年プーアル茶と南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶と南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶

お茶の感想:
老班章の味が舌に残っているうちに南糯山のお茶二種。
『南糯古樹青餅2010年』
『南糯蜜蘭青餅2013年』
やはり苦い。
老班章が「先苦後甜」なら、南糯山は「先甜後苦」。苦味が舌に残るから、甘いほど苦い・・・。
出来たての時はそれほど強くなかったが、熟成するほどに苦味が増しているようなのだ。だから古い『南糯古樹青餅2010年』のほうが苦く感じる。
軽発酵度を高めたら苦味がやわらぐかもしれないと思って、『南糯蜜蘭青餅2013年』はそれを試して、桃のような甘い香りが得られたものの、甘い香りは先に口から消えて苦味が舌に残るから、その効果は限定的。
どちらも茶気が強く、滋味もしっかり、味や香りの織りなす層の厚みは老班章よりもずっと豊かで、これが好きな人もあるのだけれど、やはり銘茶は美人。
老班章のほうが美人なのだな。
そのひとことに尽きる。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
途中から『南糯古樹青餅2010年』をグラスポットに切り替えて飲むと、苦味がやわらいで美味しく飲める。こうして飲むと、熟成するほどに甘味が増しているように感じる。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
左: グラスポット
右: 蓋碗
蓋碗で淹れたのは濃く出すぎている。蓋碗で淹れるなら茶葉の量を少なくしたほうがよい。

ひとりごと:
南糯山のお茶をなぜオリジナルに選んだのかを思い出してみると、ものすごい美味しいのを一度だけ飲んだことがあるからだった。2002年くらいのもので、やはり苦いのだけれど、水墨画のような景色のあるお茶で、なんとも言えない魅力を感じた。墨汁のような香りもあったような気がする。個人所有のお茶で今はもう無い。
その後、美味しい南糯山のお茶に出会わない。
10年に一度すごい美人が現れるだけで、有名茶山の市場は支えられている。

南糯古樹青餅2010年 その4.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : グラスポット350cc
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
南糯山の古茶樹は「苦底(ku di)」と呼ぶ後味の苦味が重い。
重すぎてバランスを崩す。
このため美味しく淹れるのが難しい。
ちょっと茶葉が多かったり、ちょっと濃くなったりすると後味が嫌な感じになる。タイミング良くサッと湯を切る技術があったとしても、バランスよく淹れるのは難しいだろう。
紅茶になった南糯山の苦底がそれほど嫌な感じがしないのは、発酵度の高い茶葉から生じる甘い香りがスパイスとなるからだろう。しかし、発酵度の低い生茶はどうしても苦底が目立つ。当店オリジナルの南糯山の生茶は3種あり、それぞれ発酵度を変えたりして苦底に抵抗してみた。それでも苦いお茶になった。
+【南糯蜜蘭青餅2013年】
+【南糯山神青餅2011年】
+【南糯古樹青餅2010年】
原生の品種ほど、旬を狙うほど、山の高いところほどその特徴が際立つ。南糯山と共通した古い品種の多い布朗山もまた苦底の重いお茶が多い。
苦底も人の好みで、とくにヘビースモーカーには好まれる傾向がある。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
苦いお茶と甘い煙。
易武山のお茶のように熟成するほど甘くなる(錯覚かもしれないがそう感じるのは事実)なら良いが、南糯山のお茶は熟成するほどより苦くなるような気さえする。
4年経った2010年の『南糯古樹青餅2010年』を改めて飲んでそう思う。
ところが、このお茶を甘いお茶にして飲む技術がある。
コーヒー用のグラスポットに茶葉を少し。たっぷり熱湯を注ぐだけ。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
3分以上待って、茶葉が黄金色に変色したら出来上がり。
このときあくまでも淡く透明な湯の色を保つよう、茶葉の量と湯の量とのバランスを知るのがコツ。
たっぷりの湯で少ない茶葉にしっかり熱を通したら、今まで抽出されなかった成分が出てくる。
お茶の味は甘味が主役で、苦味はスパイスとなって逆転する。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
お茶を淹れる技術は高度な調理技術でもある。
料理が趣味のレベルなら、この苦いお茶を美味しくしようとミルクを混ぜたり香り付けしたりするだろう。料理で飯を食う達人のレベルなら、熱の伝わり方や時間の経過と茶葉という素材の成分変化を考えて、まずは混ぜもの無しで勝負するだろう。

ひとりごと:
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
苦いは甘い。
甘いは苦い。


茶想

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