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丁家老寨春の散茶2015年 その1.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
丁家老寨春の散茶2015年
丁家老寨春の散茶2015年

お茶の感想:
今年の春は、丁家老寨でお茶をつくって過ごしたけれど、雨のせいで短い春となった。
その様子はこの記事に書いた。
+【漫撒山風の道の散茶2015年 その1.】
雨が3回降ってからは、丁家老寨のどの農家のお茶も香気が下がった。
そのため、ほんとうはもっと自分でつくりたかったけれど、雨の降る前の日の晒青毛茶を農家に求めた。
雨の前に茶摘みできたのは3日間くらい。
古茶樹の新芽・若葉が出てくるのはちょっと遅いので、あっちに一本こっちに一本と、若葉の成長した早生の茶樹を探しながら採取する。それでも若葉はまだ小さい。仕上がった晒青毛茶を見ると、雨の前と雨の後の大きさや形状が明らかに異なる。
以前に『丁家老寨青餅2012年 』をつくった農家は心得ていて、はじめの2日分の晒青毛茶を分けて保管していた。3キロ半ほどある。
これを求めることにした。
180gサイズの小餅にして卸売部に出品しようと思う。
丁家老寨春の散茶2015年
このお茶の農地は鍬入れをする。
丁家老寨では、鍬入れをするところと鍬入れをしないところと、2つのタイプの農地がある。鍬入れをしないところは地中に石が多くて硬いから、という以外に明確な理由が見つからないが、山の水脈とも関係しているような気がする。
丁家老寨春の散茶2015年
鍬入れをすると春の新芽・若葉が数日早く出てくる。
今年の春はそれが良くて、雨の前の茶葉を増やす結果となった。
鍬入れをするのは人工的に見えて、プーアール茶的思想による自然栽培に反するせいか、最近は鍬入れをしない農地の茶葉を求める茶商もでてきた。
しかし、今年の春のお茶で、同日の茶摘みで、鍬入れをした農地としない農地との茶葉を比べると、鍬入れした農地のお茶のほうが甘く薫る。味が濃い。土質の差もあろうが、すでに2箇所以上でこのことを確認している。栽培に人の手が加わるほど、人に美味しく感じられるお茶になりやすい。鍬入れもその方向なのだろうか。
次回は、同じ農地で、半分鍬入れして半分鍬入れしないのを、いちど試してみたい。
丁家老寨春の散茶2015年
丁家老寨春の散茶2015年
農家のつくった『丁家老寨春の散茶2015年』は、自分のつくった『漫撒山風の道の散茶2015年 』よりも美味しいかもしれない。
自分でもそう思う。
お茶の美味しさをどこに求めるか。
という問題。
今年のお茶づくりで試みた「陰涼」や「風道」は、お茶の味で表現する「詩」である。茶葉に宿る成分と人の嗜好の相性とに注目して、どちらが美味しいか、どちらが欲求を掻き立てるかを競うためにつくったお茶ではない。「陰涼」や「風道」は、自然の情景を味わうお茶。
味わいの世界をもっと広げたい。
丁家老寨

ひとりごと:
お茶の味に詩を感じてもらうのに通販は向かないと思う。
あまりにデジタルすぎる。
もっとアナログに、お客様ひとりひとりに自分でお茶を淹れて出す全国行脚をしたいくらいだ。(あんまりしゃべり過ぎないように気をつけて・・・。)
それができないならどんな方法があるのか、今考えているところだ。

瑶洞古樹散茶2015年 その1.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山瑶洞古茶樹春茶
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
瑶洞古樹散茶2015年

お茶の感想:
プーアール茶の古茶樹ブームは、自然栽培の魅力が背景にある。
しかし、自然栽培にもいろいろなタイプがある。
無農薬・無肥料だったらとか、剪定や鍬入れをしなかったらとか、明確な定義は無いはずだ。
栽培に人の手が加わるほどに際立ってくるお茶の味や香りは、むしろ多くの人にとってわかりやすい美味しさになる。濃厚な味、華やかな香り。
これを自然栽培の賜物として肯定的に捉えるのは、烏龍茶の思想だと思う。
烏龍茶づくりにおける品種管理の重要性は、その思想を明確に表している。品種管理は人工的な行為なのに、自然栽培なのだ。
だったら逆に、人の手をもっと否定的に捉えるプーアール茶の思想があっても良いじゃないかと思う。
例えば、実生で育った品種でしか自然栽培と認めないとか、あるいは、周囲3キロメートルに人家や農地のまったく無い森林の中のお茶だけが自然栽培とか。そこまで極端な自然のあり方をお茶の味で表現できるのは、プーアール茶ならではだろう。
この観点からすると、近年の古茶樹の生茶のプーアール茶に求められているのは、烏龍茶的な美味しさであり、実際に、現場でじわじわとすすむ改善は、まさに烏龍茶が過去に辿ったような道なのだ。
自然栽培の条件を都合良くつくれるかどうか、人の口に合うかどうか、コストパフォーマンスは良いかどうか。市場は経済ばかり求めて、自然栽培についての思想はない。
その流れから外れたい。
人と自然の在り方について考える機会をつくれるお茶。そういうお茶を発掘して、世に問いたい。
ただ、やはり全体の流れから外れるのは難しい。現場の人々の抵抗を感じる。妥協もしながら、のらりくらりと、いつのまにか自分の思想を反映させてゆくように、ソフトにやってゆこうと思う。
『瑶洞古樹散茶2015年』(圧餅して『瑶洞古樹青餅茶』として出品予定)
瑶洞古樹散茶2015年
2013年に『漫撒古樹青餅2013年』の「緑印」として出品したお茶と同じ。
農家の趣味的で、森林の中の30本ほどの古茶樹を、ほとんど手を加えない状態で放置している。冬に草刈りをするだけ。春に一度しか摘まない。というか摘めない。山道が悪くて、地面の乾く乾季にしか入れない。隣の農地が遠くて、道は自分の農地のためだけにあるから、自分で整備しない限り草が育って道を塞ぐ。さらに、雨の季節は毒蛇とか山蛭とか面倒なのだ。
今年2015年の春の収穫は、晒青緑茶に加工して6.5キロのみ。
まだこの茶樹を自分の眼で見れいていない。(この時期は別の山に行くから。)
けれど、茶葉の様子からだいたい想像できる。
土壌に水気が多いらしく、よく育っている。
茶地として一等地ではない。二等地といったところか。
自然栽培の割に早い時期に新芽を出すのはそのせい。また、農家が収穫量を増やすために、ちょっと成長し過ぎのタイミングで采茶される。そのため、渋味や辛味の刺激が強い。
瑶洞古樹散茶2015年
瑶洞古樹散茶2015年
今年のはちょっとカライいか・・・。
この刺激のあるのは空腹時に飲むと胃を削る。
せっかく滋味の奥行きがあるのに、味に透明感を出せないのは惜しいと思うが、農家に采茶を任せるので仕方がない。次回はもっと若い新芽・若葉で摘むようにお願いしたい。
農地や周囲の樹木の伐採を控えているはずだが、今年のはちょっと日当たりの良いところの味がする。甘味や苦味に涼しさが足りない。早春の後半に雨が降って採取できず、雨の降る前の、日当たりの良い所に先に出てくる新芽・若葉しか採取できていないから、これも仕方がない。
そのかわり、今年はちょっと香りが強い。もともと草っぽくて素朴な香りだが、蓋碗の蓋や杯の底にひそかに甘い桃が薫る。
この囁きが美しい。ありのままが美しい。
漫撒古樹青餅2013年
漫撒古樹青餅2013年
『漫撒古樹青餅2013年・緑印』
2013年は製茶がやや荒いが、素質は良い。熟成具合も良い。
香りはちょっと内気すぎて、わかる人にしかわからない感じ。

ひとりごと:
ダイ族の年越し「撥水節」がはじまった。
山里からダイ族の美人たちが景洪の町に降りてくる。
ダイ族の若い女性は小顔で骨の細いなよなよした感じ。おばちゃんは太ってちょんまげをするから相撲取りみたいになるけれど・・・。
さ、見に行こ。

一扇磨陰涼散茶2015年 その1.

製造 : 2015年3月16日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨野生茶
茶廠 : 漫撒山製茶工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶 (晒青毛茶)
保存 : クラフト紙パック密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
一扇磨陰涼散茶2015年

お茶の感想:
2014年・2015年と続けて、当店オリジナルのお茶は不作。
品数を揃えるのがやっとで、熟成させながら10年間売り続けられる定番商品は出ない。
原因は、市況の乱れや天候不順もあるけれど、人の行動を読めなかった自分の未熟さもある。
お茶を知るのも大事だけれど、人を知るのはもっと大事だ。
古茶樹ブームで茶葉が過去に例のない高値をつけたときに、農家がどんなことになるのか、流通業者はどんな行動に出るのか、ケタ違いの大きな市場が動けばどんな流れができるのか、ヨミが甘かったと思う。
辺境地の農家の歴史や彼らの経済。この地域で過去にヒットしたお茶以外の農作物の顛末。一歩先をゆく他の地域の茶業の現在。これらを勉強しておけば、西双版納の今日が少しは予測できただろう。
「愚か者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」こんな言葉があったな・・・。
予測した業者もいる。
例えばこのお茶の老板。
+【祈享易武青餅2014年 その1.】
老板は海南島の出身で、公務員として辺境地も行った人だから、田舎の人の行動が読めたのかもしれない。
価格が上がれば、それに見合って品質も上がるのが常識。ところが、価格が上がるほど品質が下がってゆくというヘンなことになる。とにかく産量を増やして稼ごうとする農家。将来を考えない森林の乱開発。収穫を焦ってまるでゴミのように扱われる高級茶の茶葉。
ありえない。
と思うのは、教育がみんなに行き届いた国で育ったからだろう。教育が行き届かないことがどういうことか、理解していなかったのだ。
結果的に、お茶づくりから農家を排除した業者が成功した。
成功というか、価格に見合う仕事がなんとか維持できていると思う。
農地を借り上げて、製茶設備を山につくり、農家に一切茶葉を触らせない。従業員は他の地域から招集して、地元の人を使わない。
こんなやり方を自分は考えもしなかった。農家といっしょに仕事をして、茶葉の品質・製茶技術ともにクオリティーが下がるのを止められず、お茶をつくらない・売らないという選択をするしかなかった。
ベンチャー企業がそうであるように、新しい試みは経験が邪魔をするせいか、彼らの経歴は茶業にあまり深くないことが多い。けれど、お茶づくりのすべてをイチからはじめて、自分の手ですべてを行うことになるのだから、経験の蓄積スピードがものすごく早い。
この2年ほどの彼らの進歩を見ると、ヤバイ負けるぞ!と、内心焦った。
自ずと、彼らには出来ない仕事を模索するようになる。
昨年から、森林の陰のお茶を探したり、単樹の個性を求めたり、そうしたことが背景にあると思う。
今日はこのお茶。
『一扇磨陰涼散茶2015年』(4月末頃出品予定)
一扇磨陰涼散茶2015年
一扇磨陰涼散茶2015年
一扇磨陰涼散茶2015年
一扇磨陰涼散茶2015年
一扇磨陰涼散茶2015年
一扇磨陰涼散茶2015年
深い森の陰のお茶。
自分がこれまで出会った茶葉の中で最高のクオリティーだと思う。
宝石のようなお茶。

ひとりごと:
2001年の秋に投資視察ツアーに参加して、はじめて上海を訪ねた。そして、これから上海で起こることをこの眼で見たいと思った。
それだけで十分だった。東京の会社をすぐに辞めて引っ越した。
2010年の上海万博の直前に西双版納に引っ越すまで、上海の激動はやはり見応えがあった。世界中のどこよりも上海に居れてよかったと思う。
今、西双版納で起こっていること、そしてこれからの展開。参加者という立場だけではなく、観客としても楽しめるだろう。自然との共存という人類の最前線は、自動車産業ではなく農業にあると思う。
別になにかを得るとかそいうことはなくても、僕は世界の大きな流れをこの眼で見たいのだ。

漫撒山風の道の散茶2015年 その2.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : プーアール茶ドットコム
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年

お茶の感想:
丁家老寨の山をずいぶん歩いた。
山の上のほうは茶以外の作物がなく、森林以外の農地は茶だけ。
他の作物に使われる農薬や肥料の影響が無いので好ましい環境である。茶が高値を維持する有名茶山は、他の作物の割り込む余地が少ないのが良いところ。
苗を植えてまだ数年も経たない新茶園も、樹齢数百年の古茶樹だけの茶園もあるが、いずれにしても畝作りや剪定はなく、いわゆる茶畑には見えない。現地ではこれを「茶地」と呼ぶ。
自然の森の合間に茶地が点在する。
近年の需要拡大と価格高騰のために、森の木々を伐採して新しく開拓された茶地が増えて、まるでゴルフ場開発のような痛々しい斜面もあるが、それでもまだ森は深い。
他の有名茶山に比べても、丁家老寨の自然林の面積は大きい。
茶地
細い山道を歩き、森を抜けて、茶地を抜けて、また森を抜ける。1日や2日で回りきれないほど山は広い。起伏に富む地形で、山頂があり、尾根があり、谷があり、沢があり、日の当たる斜面があり、暗い森の影がある。そして、それぞれの環境を好む植物が山にいろんな表情をつくる。
茶地が、同じくらいの海抜にあり、同じ土の色で、茶樹は、同じくらいの樹齢で、同じような品種で、同じような手入れの仕方であっても、なぜか風味の違うお茶ができる。
農家はそういう違いをちゃんと分けてつくらないから、茶葉の価格差に現れないが、たしかにお茶の味に違いがあるのだ。
その原因のひとつが「風」にあると考えた。
植物は葉で呼吸をする。
山の道
ところが、葉は人間の肺や魚のエラのような呼吸器官を持たない。風まかせ。
丁家老寨の山の斜面には風の道がいくつかある。このことを山を歩いているうちに気付いていた。
そして、聞いた話では、隣山の張家弯よりも丁家老寨は風の道が多い。
風の道に森があると、雨の降らない乾季でも、森の植物の葉が夜露を捕まえ、枝や幹を伝わせて地面に送り込む。だから丁家老寨には水源地となる沢が多く、張家弯にはそれが少ない。当然、水の流れが違えば、山の生態系も少し変わってくる。お茶の味も違うかもしれない。
風はどこを吹くのか。
この辺りでは「刮風」と呼ぶ強い風が海抜1800メートルの山頂付近をかすめるように吹く。刮風の風は海流で言うところの本流だろう。風の表にある樹木は育ちが悪くて背が低い。いわゆる灌木。一部は草しか生きられない斜面もある。
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
茶樹のある森や茶地は、本流の当たらない風裏にある。言わば支流の風が吹くところ。背の高い樹木が育ち、日陰をつくる。森には水分がたっぷりあり、そこを通ってくる風は涼しくて、しっとりしている。
茶地
茶樹はもともとそんなところが好きな植物なのだろう。
沢の水音の聞こえる谷から尾根にかけて吹き上がる風が、樹木の葉をいつもパラパラと揺らしている。葉に反射する光が眩しい。
付き合いのある農家にそんな茶地を見つけた。
その茶地に古茶樹が6本ある。
茎や枝が短く育ち、全体の姿がギュッと詰まった感じに見える。枝は伸び放題でも、剪定をしたかのように見える。
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
古茶樹は新芽・若葉の出るタイミングが一本ごとに異なるので、同じ日に摘めるのはせいぜい3本。それでは少なすぎるので、もう一箇所の風の道の茶地を探して、そこの3本と合わせて6本の茶樹から鮮葉を採取した。6本で約8キロ弱の鮮葉は、晒青緑茶となって完全に乾燥すると2キロになる。
これを2回つくれば、4キロほどのお茶となる。
『漫撒山風の道の散茶2015年』(未出品)
漫撒山風の道の散茶2015年

ひとりごと:
話しはちょっと変わるが、中学・高校生の頃、琵琶湖にブラックバス釣りによく出かけた。手漕ぎの貸しボートを借りて、岸に添って流しながら移動して釣る。
ブラックバスという魚は小魚や小動物を食べるが、泳ぎがそんなに得意ではないせいか、獲物を追いかけるよりも、待ち伏せることが多い。
小魚の多いところ。待ち伏せしやすいところ。
だいたいそういうところは水通しが良くて、地形の変化に富む。
見えない水の中のポイントを探すのに、頼りにしたのは陸の地形。
陸の地形の続きが水の中にもあると考える。
奥琵琶湖は湖に山がかぶさっていて、岸からいきなり深かった。山と山の谷間の小川が湖に注いでいた。その谷のところはとくに木々が大きく育って緑が濃かった。小川の流れ込みの先の水底はゆるい丘のような起伏がある。
ちょっと涼しかった。暑い夏だったからよく覚えている。
今から思うと、風の道だった。
ボートを止めてしばらくすると、大きなオニヤンマが風に乗って飛んできた。オニヤンマは単独行動で、同じルートを行ったり来たりする習性がある。湖と山を行き来して獲物を探していた。オニヤンマがボートの側を通った3回めだったと思う。竿に強烈なアタリ。
湖の底へ引っ張る魚のチカラが強くて、弓なりに曲がった竿がボートのヘリに当ってゴンゴンと音がした。フッと糸がゆるんで、猛スピードで水面を割った魚の大きな口から、釣り針が弾き飛ばされた。
丁家老寨の風の道で、ふとこのことを思い出したのだった。

漫撒山風道の散茶2015年 その1.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : プーアール茶ドットコム
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
漫撒山風の道の散茶2015年

お茶の感想:
西双版納の古茶樹の春は、若い茶樹に比べてやや遅れてやってくる。
2015年の春は例年よりもさらに遅くて約2週間遅れの3月20日頃からとなった。
それがちょっと災いした。
熱帯雨林の森林が大規模に開拓されて、バナナ園やゴム園や新茶園となって、山岳地帯が水を失い、春のかんばつは異常気象ではなくなっている。
5年前の2010年の春に、1ヶ月間も雨が降らないのを80年ぶりとか言って騒いだのに、たった5年で地域の気候を変えて、かんばつが普通になってしまうのだから人間は危ない。(いっそのこと全員あっちへ行け!)
人工降雨のロケット砲3発。
州政府がこのタイミングで手を打った。
今年2015年の春はそれで散ってしまった。
予想外に雨が多く降って、お茶の香気が逃げた。
海抜の高い山の上のほうでは、雨は日中に降らずに夜に降る。二日に一度ほど、たったの30分ほど。しかし、それがじわじわと効いてくる。
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
日中は雲も散って太陽がサンサンと照るので、お茶づくりはできる。
だから生産に支障はない。
むしろ産量は多くなるだろう。
香気のない冴えない新芽と若葉が日に日に増える。
農家は人手を増やしてどんどん摘む。製茶工房はどんどんつくる。
自分はというと、今年の春は丁家老寨に腰を下ろした。あっちの山こっちの山とウロウロしないで、朝から晩までお茶づくりに集中した。茶摘みした茶葉が翌日の晩に晒青緑茶となって完成するまで、目を離さない手を離さない。
手元で鮮葉がお茶になるのだからよくわかる。
昨日よりも今日の茶葉の香気が、確実に薄くなってゆくのがわかる。
しっかり萎凋しようが、しっかり炒ろうが、しっかり揉捻しようが、香りが立たない。
どういうわけか、水を吸った茶葉はほんの数時間で性質を変えるのだ。毎日毎日同じ茶樹の同じ茶葉を見ているからわかるけれど、大きさや形や色はそれほど変わらない。なのに中身は変わる。
昨日より今日のほうが良い仕上がりになることを期待しているのに、昨日より今日のほうが不味いお茶になる。日に日に確実に不味くなる。
茶葉は自然に従っているだけ。
人の技術で解決できることなど少ないのだ。
ま、それを身に沁みて分かったのが今年の春の収穫だった。
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
今日はこのお茶。
『漫撒山風の道の散茶2015年』(未出品)
3月23日の茶摘み。
ひと雨後の茶葉。現地では「一水」と呼ぶ。
このタイミングでやっと新芽が出てきたのだから仕方がない。
漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年漫撒山風の道の散茶2015年
漫撒山風の道の散茶2015年
涼しい風の通る北向きの斜面の数本の古茶樹から採取した。
山の地形は変化に富み、それがお茶の味に特徴をもたせると見ている。
水が風を呼び、風が水を運ぶ。
歩いて歩いて、肌でなにかを感じる場所を探した。
朝摘みのみ。時間をとってじっくり萎凋させてみた。
殺青も揉捻も全部ひとりでやってみた。
まだよくわからないけれど、これからじわじわわかってくると思う。

ひとりごと:
出品しないでお客様との交流に使うかもしれない。
美味しいかどうかはさておき、
お茶づくりを苦労し過ぎたら、商品化したくなくなる・・・。

革登山春天散茶2015年 その1.

製造 : 2015年03月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明革登山大葉種古樹
茶廠 : 革登山農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 革登山農家
茶水 : 革登山山水
茶器 : コーヒー用グラスポット
革登山春天散茶2015年プーアル茶
革登山
革登山
革登山
白花
(白花と呼ぶ食べられる花が咲いている)

お茶の感想:
今年の春一番は革登山の古茶樹。
(今のところ出品の予定なし。3月中旬に再度検討)
昨年秋に訪ねた78歳の老人の農地。今年は79歳。
革登山
革登山
革登山の古茶樹は栽培の歴史が長く、老人の農地は比較的人の手が加わる。
秋に草刈りをして、冬のはじめに鍬入れをして、根本に藁をかぶせる(保温・保湿効果を狙っている)。
熟した枝(老葉をこすり落として枝を裸にして深い根を育てる技術)づくりもする。
西双版納においてはちょっと珍しいタイプになる。
革登山春天散茶2015年プーアル茶
革登山春天散茶2015年プーアル茶
革登山春天散茶2015年プーアル茶
革登山春天散茶2015年プーアル茶
革登山春天散茶2015年プーアル茶
革登山
近年の流行で、高級茶は栽培に人工的な要素が加わらないほど珍重される傾向にあるが、無農薬・無肥料の栽培においては、人の手をいかに加えるかは、自然といかに付き合うか、いかに寄り添うか、という思想の表現であるから、どちらが良いとか上質とかカンタンに決められない。
自然との共存という課題は、どの時代においても難しくて、常に変化を続けていて、考え続けるべき問題であり、茶の栽培ひとつにしても、お茶の味にしても、どう読み取るかは人の理性が試されると思う。
革登山春天散茶2015年プーアル茶
老人の農地は比較的栽培に人の手を加えるために、他の一般的な古茶樹よりも新芽が数日早く出る。手を加えないのは新芽の出るのが遅く、完全な野生茶になると4月中頃からの雨季にならないと新芽は出ない。
3月8日のこの茶葉は古茶樹であるがまだどこか眠い。どちらかというと冬茶の味がする。
昨年の秋は雨が多くて、乾季の冬になるのが例年よりも3週間ほど遅れた。
冬が短い。睡眠時間が足りない。
春に新芽は少し出たものの、まだちゃんと目覚めていない。
こういうのもたまには良いかと思う。
春なのにまだちょっと冬の味のお茶。
老人の農地の管理方法だからこそできるお茶。
革登山春天散茶2015年

ひとりごと:
春眠暁を覚えず。


茶想

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