プーアール茶.com

巴達生態紅餅2016年 その1.

製造 : 2016年3月28日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨小茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の茶壺とチェコ土の茶壺
倚邦の雲海上
倚邦の雲海中
倚邦の雲海下

お茶の感想:
今年の秋茶は不作。
西双版納のどこの茶山でも新芽・若葉が少ない。
春から夏にかけてずっと雨が多かったし、気温もそこそこ高かったし、育ちがよくなる条件が揃っていたように見えたけれど、星のめぐりのような見えないチカラのほうが大きかった。
茶葉の育ちが悪いと、香りも味も良い。
ヘンな話だがそういうものなのだ。
育ちの良いたくさんの茶葉で栄養を分けてしまうと一枚の分は薄まる。
何年ぶりかで味の乗った秋茶をつくるチャンスだったが、天気がそれを許さなかった。
例年なら乾季となる11月なっても雲が多い。3日に一度は雨が降っている。晴れても雲が多いので、天日干しのお茶はダメになる。
天日干し
夏からなんとなく予感していて、
「秋はどうするのですか?」
と聞かれても、
「ま、様子見ですね。」
みたいなことを言っていたと思う。
なぜ予感していたのか自分でもよくわからない。
星のめぐりが作用しているのだろうか。
お茶をつくらないとなると一箇所に留まる必要がないので、あちこちの茶山を歩くチャンスとなった。10日間ほどいくつかの茶山を訪ねて、つぎの春に備えた。
漫撒山のなじみの農家がつくっていた晒青毛茶を4キロほど仕入れたので、これは後に餅茶にして出品する。180gサイズの小餅茶で20枚。
景洪の雨
景洪の虹
この3日間雨が降り続いている。
北京の愛好家が持ってきた景徳鎮の作家につくってもらった茶壺を試すことにした。
こう書くといかにも暇を持て余しているように見えるが、実はこの秋から熟茶の渥堆発酵にふたたび挑戦していて、寝る間を惜しんで働いている。というか、微生物に働かされている。奴らは寝ないのだな。
お茶の仕事は重労働。
熱をもった筋肉が腫れた腕。寝不足でボーっとした頭。
お茶の味の囁きを聞くなんてことのできる状態じゃないが、これがリアルなお茶屋さんの仕事である。美味しいお茶をつくるのは知識や感性よりも根性や体力である。
さて、茶器によってお茶の味は変わるという話。
湯の熱の伝わり方に音の響きのような違いがあり、それがお茶の味を変える。
景徳鎮の青磁の茶壺とチェコ土の茶壺
指で弾くとチン!と鳴る青磁の薄くてカタイ質感は見ただけでわかる。
チェコ土の陶器の茶壺と比べる。
青磁の茶壺
チェコ土の茶壺
青磁の茶壺のほうがちょっとだけ重いが、容量は150ccで、チェコ土の茶壺は100cc。1.5倍の差があるので青磁のほうが薄造りである。手に持ったときに軽く感じる。
お茶は『巴達生態紅餅2016年』(卸売部)
巴達生態紅餅2016年
3.5gずつ。
早春の新芽・若葉でつくられたこのお茶は熱に敏感で、茶器を試すのにちょうどよい。とくに香りの立ち方にいろんな表情を見せてくれる。
青磁の茶壺
青磁の茶壺一煎め
チェコ土の茶壺一煎め
1煎めから茶湯の色に違いがある。
5煎くらいまで飲んでみたが、1煎めの違いが最後まで続いた。
青磁の茶壺は保温力はないかもしれないが、熱を反射する瞬発力みたいなものがあるのだな。
香りの立つスピードの早さと、摘みたての野の花のような新鮮で涼しい刺激のある感じが、この紅茶の性質をストレートに表している。
チェコ土のは、マルちゃん作の茶壺の中では薄造りなほうだが、柔らかい土の温かい感じは熱の伝わり方にも現れている。
1煎めは湯を注いでから10秒以内という短時間で抽出しているが、それでもこの違いが現れるのは、やはり保温力というよりも熱の反射の違いが大きいような気がする。
新芽・若葉にゆっくり熱を伝えると煮えてしまう。このお茶の場合は苦味や酸味が出る。
チェコ土の茶壺はもっと抽出時間を短くするべきなのかもしれないが、そうすると香りが立たない。たった10秒の抽出でも香りには熟れた甘味があって、これはこれで良いかもしれないが、青磁に比べるとおっとりしすぎている。
葉底青磁とチェコ土
葉底(煎じた後の茶葉)。
チェコ土のほうがしっかり茶葉が広がっていて、変色していて、触ると柔らかい。熱のしっかり通った結果が出ている。煮えているとも言える。
熱をしっかり通すほどに滋味深い味が出てくるという、古茶樹のような性質の茶葉ではない。熱の瞬発力で美味しいところだけサッと流し取るような感じが良いと思う。

ひとりごと:
空の光
秋の収穫
すすき
秋の収穫
農家はお茶が忙しくなくても、米とかトウモロコシとか、生活のための収穫に忙しい。
今年は自家製白酒の良い原料ができそうだな。

版納古樹熟餅2010年 その35.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗大・小
白磁の蓋碗大・小上から
白磁の蓋碗大・小底から
白磁の蓋碗大・小碗

お茶の感想:
手元の蓋碗の大小2種を比べる。
水を満タンにして小は90cc大は140cc。
蓋碗の碗だけの重量は小は63g大は79g。その差16gしかない。
蓋碗の大きさに対して「小」のほうはやや厚みがあり「大」のほうはやや薄づくりというバランスだが、大小にかかわらず同じ厚さでつくられてこうなったという見方が正しいと思う。手づくりだから個体差はある。
今日もこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
3.6g。
蓋腕小
蓋碗大
ほぼ同量の湯を注ぐことにする。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
淹れてみると、蓋碗大のほうは黒っぽい。
最初の煎から最後の煎(7煎くらい)までずっとこのような色の差がある。
蓋碗大の味は良い。口当たりがまろやかで、味に深みがある。甘味もある。
蓋碗小は口当たりがちょっとピリ辛い。味は軽くて深みがない。甘味も少ない。
香りの立ち方は似ているが、蓋碗大のほうが香りにも深みがある。
湯の温度に差があるのか?
ヤカンの湯は97度
沸き立ての湯。海抜600メートルくらいの西双版納では97度。
蓋碗に注ぐと90度くらいに下がる。
蓋碗大・小湯の温度
蓋碗大・小湯の温度
蓋碗に注ぐ湯の量は大・小ともに70ccくらいにそろえている。誤差はある。
結論から言うと、湯の温度の変化に蓋碗大・小の差はほとんどない。
注ぎたては同じ温度。
2分半ほど待っても、その差は1度ほどしかない。
保温力の差はほとんどないと言える。
北京の愛好家の蓋碗も測ってみた。
これは手元の蓋碗大と比べると少し保温力がある。
といっても、2分半蒸らしてからの温度差は1.5度ほど。
この微妙な温度差がお茶の味の差になっているとは思えない。
北京の愛好家の蓋碗
湯を注いですぐに茶湯の色の差が現れるのだから、茶葉の成分の抽出に、温度以外のなにかが大きく影響しているのだ。
「浸透圧」というのがある。例えば、シチューの具を煮込むときに塩を最後に加えるのは浸透圧を考慮しているから。最初に塩を加えて煮ると、肉は水分が抜けてワシワシになってしまう。塩分濃度の差が浸透圧を発生させるわけだが、こういうふうな目に見えない複雑なことが、茶葉と湯と茶器のあいだに起こっているのだろう。
感覚的に理解したいな。
形とか色とか手触りとか、指で弾いたときの音とか、手に取ったときのぬくもりとか、重さとか。
パッと直感でわかるようになりたい。

ひとりごと;
今日はこのお茶の整理。
『沈香黄片老茶磚80年代』(卸売部に出品)
沈香黄片老茶磚80年代
沈香黄片老茶磚80年代
いい顔しているよな。
そういえば、茶葉は感覚的にわかることがある。
茶器も経験を積めばわかるようになるだろ。

版納古樹熟餅2010年 その34.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗2種横
白磁の蓋碗2種上

お茶の感想:
白磁の蓋碗2種のつづき。
ひっくり返して底を見ると形の違いがはっきりする。
北京の愛好家の蓋碗(左)はまるい。手元の蓋碗(右)は角ばっている。
水の流れ、水の振動、湯の熱の響き方が違ってくるよな。
今日はこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年計量
3.6g
餅茶は崩し方を同じようにしないと、塊のままと崩れてバラバラの茶葉とで味の出方が違ってくる。
熟茶のような発酵のすすんだ茶葉は一般的に熱い湯でじっくり抽出するのがよいと思われているがそうでもない。
このお茶のように旬のタイミングで采茶されていたら、小さな新芽や柔らかい若葉が多く、それなりに熱に敏感である。
香りを立てるため、一煎めから味を充実させるため、必ず湧きたての熱い湯をつかうが、煮出して濁った味にならないように、注ぎや蒸らしを注意したほうがよい。
白磁の蓋碗2種1煎め
白磁の蓋碗2種1煎め茶杯
1煎め。
湯を注いで、ちょっと蒸らして、蓋碗の蓋をちょっとずらしたときに香りが立つ。
この香りにすでに違いがある。
手元の蓋碗は苺のような透明感のある爽やかさがあり、北京の愛好家の蓋碗は糠のようないわゆる発酵香が混ざって香りが鈍る。
茶湯の色はこの時点で北京の愛好家の蓋碗のほうが赤味が強く、熱のとおった色をしている。
ところが、これから後の煎ではずっと手元の蓋碗のほうがやや黒っぽい色になる。
白磁の蓋碗2種3煎め
白磁の蓋碗2種3煎め茶海
白磁の蓋碗2種3煎め茶杯
3煎め。
白磁の蓋碗2種5煎め
白磁の蓋碗2種5煎め茶杯
5煎め。
香りの印象がそのままお茶の味の印象をつくる。
前回の『章朗古樹紅餅2016年・青印』のときとほぼ同じような違いが現れる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.】
手元の蓋碗は清らかで軽く上にぬける。
サラッとしたドライな感じ。
口に溶けて自然に喉を滑り落ちる。
北京の愛好家の蓋碗はやや濁りがあり重く沈む。
とろみのあるウェットな感じ。
口に残り喉に押し込むような抵抗がある。
葉底
葉底は同じ。
飲み比べると明らかに手元の蓋碗のほうが美味しい。
これは好みの問題ではないと思う。
どうしても北京の愛好家の蓋碗を使うのなら、蒸らし時間を短めにするために、ちょっとだけ茶葉を多めにするとよいかもしれない。
注ぎ切ってから底にある茶葉が煮えないように、茶針でちょっと起こして蒸気を逃してもよいだろう。
そのくらい気を使って手間を掛けてでも、苺のような香りの出るときの美味しさには価値がある。
嬉しくなって、その日一日が輝く。
版納古樹熟餅2010年煮出して飲む
蓋碗では抽出しきれない茶葉や茎の内側の成分を銅の器で煮出す。
弱火で5分ほど。
甘くてとろみのある茶湯。
はじめの3煎めくらいまではこの甘味やとろみを出さないように意識したほうがよいな。

ひとりごと:
メコン川からラオスのお寺
ラオスのお寺
ラオスのお寺の壁の絵
チェンコーンから河を渡ってすぐのラオスのファイサーイにあるお寺の鐘。
大型トラックのホイールと、ベトナム戦争のときの弾頭と。
いい音する。
お寺の鐘に弾頭
お寺の鐘にホイール
力強い造形。アートだ。

漫撒三家青餅2014年・秋天 その4.

製造 : 2014年10月28日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山三家寨古茶樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 陶器の茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
漫撒三家青餅2014年・秋天
漫撒三家青餅2014年・秋天包み紙

お茶の感想:
昨日ののつづき。
蓋碗2種を試す。
今日はこのお茶。
『漫撒三家青餅2014年・秋天』(卸売部に出品)
漫撒三家青餅2014年・秋天5g
5g
北京の愛好家の蓋碗は熱を溜める。
それがじわじわ茶葉を煮やす。
この特徴を活かせないだろうかと考えた。
2014年の秋のお茶は、今から振り返って言えることだけれど、この数年でいちばんコンディションが悪かった。
見てのとおり大きく成長しすぎている。
これでも柔らかい一芽二葉か一芽三葉だから、雨の季節が終わっていないタイミングで采茶していることになる。
早春の新芽・若葉の多い茶葉は熱に敏感で、熱い湯で火傷させないよう気をつけなければならないが、秋の大柄の茶葉は熱い湯で葉や茎の内側の成分をしっかり抽出したほうが美味しい。
漫撒三家青餅2014年蓋碗2種1煎め
1煎め。
ほとんど差がない。
この時点で、このテストはあまり面白いことにはならないと予測した。蓋碗では役不足なのだ。
それでも少しの差があったので記録しておく。
手元の蓋碗(右の蓋碗)は、一煎めの味に微かな湿気味が感じられた。茶葉にまだ熱がしっかり通っていないときに出る味。口に含んだ茶の香りと味とが分離したようでまとまらない。その点、北京の愛好家の蓋碗は一煎めから比較的まとまっていた。ほんとうに微かな差である。
4煎めの蓋碗
4煎めの茶海
4煎めの茶杯
4煎め。
差なし。
ほんとうに差がないからびっくりする。
あえて言うなら、北京の愛好家の蓋碗のほうがちょっと甘い気がする。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)
茶葉の色も同じ。
蓋碗では味が出し切れない。
もったいないから紫砂の茶壺にバトンタッチ。
茶壺
茶湯の色は薄いがしっかり味が出た。まとまったまるい味。
以上。

ひごりごと:
業者仲間と天気の話が多くなってきた。
昨日も今日も雲が空を支配して、ときどき大粒の雨を降らしている。
西双版納の秋の旬は、雨の季節が終わるのが早いか、茶樹が冬眠するのが早いか、そのギリギリを狙いたいところだが、場合によっては雨の季節が終わらないうちに茶樹が寝てしまうこともある。
雨の季節が長引くほうが茶葉の育ちがよいので農家は収穫量が多くて儲かる。
農家に嫌われる茶商にならないと。

章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗裏

お茶の感想:
湯の熱の伝わりには響き方の違いがある。
お茶の味や香りの違いにつながる。
茶器の形や質によってその違いが生まれる。
「音」の高音や低音に似ているかもしれない。ボリュームの大・小のように数値化しやすいものではなくて、色や形のように感覚的に評価されるもの。
スピーカーをつくる技術者は、高音と低温の美しさについてじっくり考えている。感性を重視する音楽ファンは、どちらが優れているというよりも、どちらが美しい音色を出すかでメーカーやモデルを選んでいるはずだ。
茶器をつくる技術者はどうだろ。
現在はそれについてあまり多くを語られなていないような気がする。
素材の土の性質と水や茶との相性とか保温性とか、物理的にわかりやすそうな話はあるが、いまひとつ感性に訴える話は聞こえてこない。
もっとも、語られないから知らないとは言えない。
結果よりも過程。言葉よりも身体。東洋的な理解の仕方がある。
より多くの人にいち早く伝達したいがために言葉に頼りすぎると、脳ミソ先行的になって身体が伴わない。お茶についての西洋的理解のアプローチがいまひとつ芯を捉えないのは、そこに理由があると思う。
白磁の蓋碗
白磁の蓋碗に茶葉
北京の愛好家が景徳鎮にオーダーした蓋碗を持ってきた。
商品化するらしい。1000元というから蓋碗にしてはちょっと高級。
背の低い形状がパッと見た目にもわかる。
晒青毛茶(プーアール茶の原料と鳴る天日干し緑茶)を現地では試飲することが多いが、その大きな形状の茶葉を観察しやすいというのが一番めの理由。
湯を注いで茶葉が開くときにきゅうきゅう詰めにならずに気持ち良く伸びられる。そのほうが美味しくなるというのが二番めの理由。
口の大きく開いた形状のほうが香りが出やすい(広がりやすい)というのが三番めの理由。
しかし、それらはお茶の味の印象を決定づける要因としては弱いと思う。
それよりも、質量と形状がもたらす熱の響き方がお茶の味に強い個性をもたらすと考えている。
そこで、手元の蓋碗と比べてみることにした。
蓋碗2種上から
蓋碗2種ヨコから
若干色は違うが、どちらも景徳鎮の白磁。
北京の愛好家の蓋碗
手元の蓋碗
水を適量張ると、手元の蓋碗のほうが5ccから6ccほど多めに入るので、そこは注ぐときに調整したらよいだろう。
このお茶で比べる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
選んだ理由は、香りが出やすいことと、やや熱に敏感に反応すること。そして耐泡(煎がつづく)の古茶樹の茶葉であること。6煎めくらいの、茶湯の色も味も薄くなってくる頃になにか見つかるかもしれない。
章朗古樹紅餅2016年・青印3.6g
3.6g。
蓋碗2種一煎め
蓋碗2種一煎め注ぎ
1煎め。
この時点ですでにその差が現れた。
手元の蓋碗のお茶の味は軽い。香りが上のほうに抜ける。口の中に上昇気流が起こっている感じ。
北京の愛好家のお茶は重い。香りは上に抜けずに淀む。横に広がる感じではあるが、それにしても「抜け」が悪い。
蓋碗2種3煎め
蓋碗2種3煎め
3煎め。
味のボリュームという点では互角。
しかし印象は異なる。
やはり北京の愛好家の蓋碗のは重くて、手元の蓋碗のは軽い。
重いのが好印象であれば味の重厚感と言って褒められるが、そうではない。
湯の質感に粘りがあり、口あたりのキレが悪い。喉越しのスムーズさにも欠ける。このお茶の個性である涼しさを損なっている。
蓋碗2種5煎め
蓋碗2種5煎め注ぎ
5煎め。
煎を重ねて風味が薄くなってくると、大きく育った茶葉や茎の部分の旨味・甘味が出てくる。茶葉が煮えているのだ。熱々の湯を注いでいて5煎めにもなると、どちらにしても煮えた味になるが、煮え味の出方にも違いがある。北京の愛好家の蓋碗にはカンロ飴みたいな野暮ったさがある。手元の蓋碗にはそれがなくて、スキッとした涼しさを保っている。
蓋碗2種と7煎めの葉底
葉底上から
葉底ヨコから
7煎めの葉底。
葉底の色の違いに注目。
結果からもわかるように、北京の愛好家の蓋碗は熱がしっかり通って茶葉の酸化がすすんでいる。
そうなったほうが美味しいお茶もあるが、新芽・若葉の多いこのお茶の場合は手元の蓋碗のほうが圧倒的に美味しい。
白磁というガラス質を多く含む素材という点で、両者の化学的反応の差は少ない。
そうすると、厚みや形状による熱伝導の違いがお茶の味の差を生むと考えられる。
北京の愛好家の蓋碗
北京の愛好家の蓋碗蓋を開けたところ
手元の蓋碗
手元の蓋碗蓋を開けたところ
蓋をはずした碗だけの重量をみても124gと79g、45gもの差がある。
この45gが湯の熱の響き方の差になっている。
口径の大きくて背の低い形状の北京の愛好家の蓋碗のほうが熱が逃げやすいので、保温性の面では劣るはずだが、45g分の厚みが溜め込んだ熱がじわじわ茶葉を煮やすらしい。底にゆくほど厚みがあるようにつくられているが、茶を注いだ後の茶葉はその厚いところに残る。淹れる人が意図せず変化が続くことになる。蓋碗の中で茶葉が自由に広がりやすいというが、それがために底にベタッとへばりつく。手元の蓋碗は茶葉が窮屈に見えるが、広がりきらないで曲がったまま隙間をつくる。そこに熱の逃げ場ができる。
茶学でテーマにしている水の注ぎはどうだろう。
ヤカンから蓋碗に湯を注いだときの水の振動。水の音。
北京の愛好家のは背が低いので、落ちる水が水面を叩いてやや高い音が響く。
手元の蓋碗は背が高いので、水がちょっと溜まってくると深く潜って低い音が響く。
うまく説明できないが、手元の蓋碗の低い水音の響きは、お茶が美味しくなるサイン。
蓋碗の中での湯の流れと茶葉の動きにも違いが生じているが、これについてもまだ説明できるほど理解できていない。
ただ、このお茶の味の結果は蓋碗を手に持ったときからある程度予測できていた。
蓋と碗で185gある北京の愛好家のと126gの手元のと。約60gの差だけではない。手に持ち辛いほど口径が大きいために余計に重く感じて、湯を注ぐ手の動きも鈍くなる。重鈍な感じがそのままお茶の味に反映している。
低く横に広がった形状と高く背を伸ばした形状と、その形の感じがそのままお茶の味に反映している。
指で弾くとコン!と鳴るのとチン!と鳴るのと、その音の感じがそのままお茶の味に反映している。
直感は捉えている。
いつかどこかで経験した記憶が無意識のところで瞬間に繋がって、応用によって新しいものを理解するのだな。

ひとりごと:
チェンコーンからラオスに一日だけ足を伸ばした。
ラオスの焼酎「ラオカオ」は米とバナナ(たぶんバナナではなくて芭蕉だと思う。芭蕉の実ではなくて茎のような気がする。)で醸す。
ラオカオ1
ラオカオ2
ラオカオ3
ラオカオ4
昼間から赤ら顔の太っちょの親父が嬉しそうにつくる酒。
「これはいい酒だぞ」と直感は言ったが、以前に別の家のラオカオで頭が痛くなったことがあって、ちょっと警戒してしまった。
持ち帰って飲むほどに美味しくて、ちっとも悪酔いしない。芭蕉の効果なのか涼しくて、身体が熱く火照らない。もっと買っておけばよかったと後悔した。
直感に素直になろう。

版納古樹熟餅2010年 その33.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 軽い密封 紙包
茶水 : タイ・飲料水
茶器 : Klean Kanteenの保温ボトル
雲と鳥
雲と旗
チェンコーンへバスの窓の水滴
バスの窓から入道雲

お茶の感想:
バンコクからチェンマイの飛行機は早朝で、窓から下を見ると朝の白い太陽に水の反射がキラキラしている。蛇行する河とそこから網の目に広がる水路と、地平線まで延々とつづく水田と。それだけじゃない。陸の上であるはずの住宅地やその周りの空き地にもキラキラ反射する水面がある。水溜りや水瓶なのだろう。そういえばタイの人はよく水鉢に蓮などを生けているよな。
水鉢
この印象が今回の滞在中にずっとあって、頭のなかをグルグル巡っていた。
タイ水浸し。
雨季の続く9月後半。雨も毎日のように降る。空気中の水も多くてムッとしている。気温は高くて暑苦しくて、肌にはじっとり汗がにじんで乾かない。
逃げ場のない水。
水に身を浸しているような圧力。
2日間もいると骨にまで水が染みて芯から冷えてくる。
宿の部屋ではエアコンで空気を乾燥させるが、それでも関節が重い。寝汗をかいて深夜に起きる。
熱いシャワーで汗を流すとちょっと落ち着く。
身体の芯が冷えていることに気付いて、靴下を履いて寝るようにしたら寝汗はましになった。
タイの人や旅行者たちは氷の入った冷たい飲みものをガブガブ飲んでいるけれど、身体に水を貯めすぎて、しかも芯から冷やすことになる。唇の色にその兆候の現れている人が多い。
熱いお茶を飲むとたちまち汗が吹き出る。この汗は出したほうがよいのだ。
身体を芯から温めるお茶がよいな。
熟茶
生茶、紅茶、熟茶のどれが温まるかというと熟茶なのだけれど、そういう問題ではなくて、ひとくちかふたくちで背中のあたりに汗が出るようなお茶。
ちょっと濃いめに淹れた熱々の一杯。
はじめは苦くて後からスッキリ爽やか。

ひとりごと:
早朝の月
メコン川の空
メコン川
メコン川と小舟
チェンマイからバスに乗って6時間かけてチェンコーンに行って、パパイヤビレッジのハーブサウナを2回した。ヒリヒリするくらいのハーブの刺激が皮膚に染みて、おもいっきり汗をかいてスッキリした。
タイに住むなら家で毎日サウナできるようにしたい。
花
keep quiet
チェンコーンのタミラ
夜と月

巴達山賀松熟茶07年 その4.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県ー景洪市
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜興紫砂の茶壺
巴達山賀松熟茶07年
巴達山賀松熟茶07年
巴達山賀松熟茶07年

お茶の感想:
西双版納に戻ってすぐにお茶の在庫整理。
同時に熟成の具合を確かめる。
いつもの仕事。
けっこう手間がかかる。
箱から出したり詰め替えたり。
竹皮包みを外して餅茶1枚ごとに密封したり。
傷んだ包み紙を取り替えたり。
在庫の数を数えなおしたり。
湯を沸かして試飲したり。
過去にアルバイトを雇ったこともあるが、西双版納は人がむちゃくちゃでかえって問題が増えるので、ひとりでぼちぼち作業する。(西双版納にかぎらず他人の仕事は必ず気に入らないタイプなのだけれど・・・。)
見た目にあまり変化のない地道な仕事。太陽が沈んでゆくのを見ては今日もまた過ぎてゆく・・・とため息をついたりする。
卸売部で出品の『巴達山賀松熟茶07年』。
農家がメーカーに依頼してつくったお茶だから竹皮包みの質が悪くて(雨の季節に採取した竹皮であるうえに、洗って干してという工程をちゃんとしていない。)、そのため竹をかじる虫がついて、ついでに包み紙までかじられている。農家の倉庫に2014年まで置いていたから、そのときに付いた虫が今まで生き延びているのだ。
農家はいろんな生きものと共生している。
虫食いの包み紙
茶虫
てんとう虫のような形の2mmくらいの虫。茶葉は食べないけれど餅面に穴を開けて卵を産むので、イモ虫のような幼虫が茶葉の隙間に隠れている。1枚につき1匹いるかいないか。
生まれて死ぬまで竹しか喰わない虫だから汚いことはない・・・そう思える方にお求めいただけたらよい。
泡茶
葉底
お茶の味はすばらしい。
熟成の具合は抜群で、当店の西双版納の倉庫でもっとも美味しく育ったお茶のひとつと言える。もっとも熟茶は間違いなく美味しくなるのだけれど。
残り56枚。試飲分2枚差し引いて54枚。
餅茶一枚ごとに紙包みを開けて、ブラシでこすって落として、また紙を包みなおして、陰干しして、一枚ごと密封して、荷造りして、上海に転送する。
竹皮を開けるごとに表面についているトゲトゲした繊維の粉が飛び散る。肌に触ると痛い。あとから痒い。一日の終りに床を拭き掃除して、作業服を洗濯して、身体から落とすために何度もシャワーして・・・。
56枚のために2日間ほど費やす。
他のお茶の在庫整理もあわせたら月日があっという間に過ぎてゆく。
割に合わない仕事だと心得ている。経済的にも割に合わない。世の中に良い影響を与える社会人として活動するにも割に合わない。
なのに続ける。
「お茶が好きでこの仕事をしているのですか?」
最近はそう聞かれても言葉に詰まる。
たぶんそういうタイプの「好き」ではないからだ。
「もったいない」という気持ちに近い。
ご飯を食べ残したらもったいない。その「もったいない」に似ている。
茶葉には命がある。
単独で生命体ではないかもしれないが、茶樹の肉片であり、山の血液の一滴であり、他の様々な生きものと交流して生態系を構成する組織の一員である。
茶摘みはその命を奪ってゆく。
その瞬間から「もったいない」がはじまる。
製茶がうまく仕上がらなければもったいない。
輸送中に傷めたらもったいない。
保存中に質を落としたらもったいない。
お客様によろこんで買ってもらえなければもったいない。
美味しく飲まれなければもったいない。
もったいないだらけで、心配ごとがうじゃうじゃあって、細かな仕事が増えてゆく。
商売を考えたら、経済を考えたら、もったいないを捨てたほうがよい。もっと収益の上がる仕事に時間を割いたほうがよい。労働はもっと低賃金な他人に任せたほうがよい。そもそも、もったいないの伴う商売は選ばないほうがよい。
若くて将来有望な人から見たら、そんなことが分からないバカに見えるだろう。
でも、叔叔はお茶がもったいないからバカを続ける。
こう考えると「もったいない」も愛情の一種だよな。
「好き」ほど情熱的ではないし、積極的ではないし、語れる物語もない。
たいくつな気持ちだけれど大切なのだ。たぶん。

ひとりごと:
そうはいっても値上げはする。
うまく熟成している分。
手間暇かかっている分。
倉庫の家賃の分。
物価上昇しつづける現地で生活してゆく分。
つぎの仕事に取り掛かる分。
我慢はしない。つづかないから。
まだ夏の雲
まだ夏の雲。秋の旬はもうちょっと先。

茶学 おなら

ひとことで言うと、
おならを我慢しなければならないようなところに座らされてお茶を飲まされるのは嫌だということ。
「ちょっと外に出ておならしてきます。」くらい気安く言えるようにしてほしい。
良いお茶を飲めばお腹がグーッと鳴る。それが気になるくらい空気を緊張させると、お茶の味に影響を与える。
メコン川
メコン川
お茶

版納古樹熟餅2010年 その32.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 軽い密封 紙包
茶水 : タイ・チェンマイの飲料水
茶器 : Klean Kanteenの保温ボトル
渥堆発酵の熟茶づくり

お茶の感想:
温州人の茶友が渥堆発酵にアタックした。
熟茶づくりの微生物発酵をメーカーや工房に任せずに、自分でやる。
設備や道具は手作り。茶葉は農家にオーダーしたもの。
昨年からずっと茶友たちと話し続けていたテーマである。
他人に任せていてはこのお茶の再現すらできない。
+【版納古樹熟餅2010年】
経験が豊富であろう大手メーカーの職人は、もう良い仕事ができない。経済環境、社会環境、いろんなことが変化している。
どのみち伝統(多くの人が長い年月を掛けて考えて試してやり尽くした知恵の蓄積)は失われている。熟茶は1970年頃からの、黒茶にしては比較的新しい製法であるが、1970年代、1980年代と渥堆発酵の技術は変わってきたし、お茶の体感(効能)の面から見ると2000年代の熟茶はすでに別モノになっている。
つくり手だけのせいじゃない。消費する側の変化もある。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
茶友たちは中国人なので、成功したら中国で売ろうと思っている。
数年後には良いタイミングが来るかもしれないと思う。
大陸の人たちがプーアール茶を飲むようになったのは最近のこと。まずは大きな市場に向けたお茶づくりからはじまって、市場が成熟してゆくにつれ細分化したところを狙えるようになる。
熟茶はもともと大衆茶としてつくられた経緯があるから、手づくりしたがゆえに高価になったのを受け入れる消費者はまだ少ない。安易に古茶樹を謳ったものはいくらでもあるが、旬を外した夏の安い茶葉が使われている。たとえ旬と言ってもど真ん中の旬ではないし、何らかの問題があって売れ残った晒青毛茶(原料となる天日干し緑茶)を買い叩いてつくられるのが一般的だから、どこか問題がある。
我々が原料の茶葉を騙されることはもうない。西双版納に住んで山の農家に行って自分で茶摘みを管理するようになると、その問題はなくなる。だから生茶はよいのがつくれるようになってきた。問題は熟茶。晒青毛茶を渥堆発酵させる工程に1ヶ月以上もかかる。それを行う倉庫などの設備、道具、水の管理、そして職人の手、すべてにおいて不満があった。
ぜんぶ一からやり直す。
設備も道具も手づくりでよいから自分で考えてつくる。
渥堆の籠
茶友たちは、当初はふじもとが熟茶をつくって、安く分けてもらえたら良いな、あんなにリスクの高いことを自分でするのはバカだな・・・くらいに思っていた。
けれど、ふじもとは4年間消極的だった。2012年に人の不注意による大失敗があってから、試行錯誤を続ける経済的体力に不安を持つようになったからだ。
いつまでもノロノロしているふじもとに茶友たちは痺れを切らした。
温州人は西双版納で『版納古樹熟餅2010年』を20枚買って毎日飲んで、あることを発見した。
イケる。やってみる。先にやるぜ!
ミャンマーの山奥での金鉱採掘の仕事が忙しいので、採掘場の事務所の側に部屋をつくって、アドバイスした道具をぜんぶ揃えて、中国から茶葉を数十キロ持ち込んで、渥堆のテストを始めた。
一回目の水掛けから7日目。
すでに白カビが発生している。甘い香りが漂っているらしい。
熟茶の渥堆発酵
渥堆発酵
「ところで、何日に一度水をかける予定なの?」
「え、毎日霧吹きしているけど・・・そしたら微生物が活発になって温度が上がるし。」
「でも、毎日開けていたら雑菌が入りやすいけどな・・・。」
初めてだからワクワクして毎日見ずにはいられないし、水をかけた微生物の反応をリアルタイムで確かめたいし、ガマンできないのだろう。
こんな具合なので、このお茶は他人に売るどころか、飲ませることもできないだろう。
しかし、この一歩は大きい。
中国では人が信用できなくて、良いモノがつくれない。人の不注意によって大きな損失を被ることがある。裏切りによって思わぬ損失を被ることもある。必ずある。
先生は信用ならない。自分で一からやらなければならない。けれど、そんな展開が生み出すなにかがある。
版納古樹熟餅2010年
『版納古樹熟餅2010年』
旅のときは崩して携帯している。
Klean Kanteenの保温ボトルに湯を注ぐだけ。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
ちょっとコツがある。湯を注いでから30秒くらい蓋を締めて蒸らして、また蓋を開けて熱を逃がす。70度くらいに温度が下がると茶葉の煮え味がなくて、透明感のある清らかなお茶になる。

ひとりごと:
星のめぐりだ。
頑張らなくても大丈夫。
お茶の良いのは、できるときにできるのであって、つくられるものじゃない。
漁師さんが魚が捕れるのは、潮のめぐりであって、調整できるものではない。
もちろん、人の技術がたよりとなるお茶づくりもあるのだろう。
でも、プーアール茶はそうじゃないほうが良いと思う。
自分たちが熟茶づくりに挑戦するのは、技術的に優れたものを求める肉食的な態度ではなくて、人の荒れている技術の影響を受けたくないという草食的な態度なのだな。
チェンマイは雨
まだ雨の季節。
チェンマイがカラッとしてきたら、西双版納もそろそろ秋の旬がはじまる。

章朗古樹紅餅2016年・青印 その3.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺

お茶の感想:
チェンマイに着いた。
チェンマイ空港
次の日から茶学。
お茶はこれ。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
茶学SATI
茶学SATI
ヨガの先生が香港の友達を誘っていきなりはじまる。まさかお茶を淹れることになるとは思っていない。そのうえ香港人なのにこのようなカタチでお茶を淹れたことがないらしい。
茶学
茶学
それでもピタッと決まる。
1煎め、2煎め、3煎めと、水の落としの印象を変化させようと意識したのがちゃんと味に現れている。
集中力。
他人に見られたら恥ずかしいとか、他人よりも美味しく淹れようとか、失敗するのが怖いとか、水の落としの印象をつくること以外に気が散っていたら、味も香りも散ったお茶になる。
葉底
三人三様の葉底。
やはり今回は香港人のがいちばんキレイに茶葉が開いていた。
このときあえてお茶の説明をしなかったし、もちろん当店サイトを見たこともない人である。店長ふじもとが何者なのかよくわからないままお茶を淹れさせられている。
情報が少ない。ゆえに集中できたかもしれない。
案内役として自分が最初に淹れるお茶の、水の落としの印象とお茶の味との関係を注意深く観察していた。
ただそれだけのこと。
ただそれだけのことが、だんだんできなくなってゆく。
ビギナーズラックはまぐれではない。はじめての喜びや緊張がもたらす集中力が、熟練を圧倒している。

ひとりごと:
夜間飛行
(月明かりに輝く東シナ海)
『夜間飛行』
アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ著
100年前の夜間飛行は、郵便を一日早く届けることへの挑戦だった。
夜の空に小さな飛行機が吸い込まれてゆく。GPS位置情報システムなどない時代。遭難したら燃料が尽きるまで飛び続けるしかない。
人間が進化するために支払う代償は大きい。なぜそこまでするのだろうと筆者は問いかける。理屈のとおる説明などできないけれど、そこに人間の本性みたいなものが見える。
数年前に読んだ本を思い出した。
日本からバンコクへのフライトは深夜の便にして2回め。
台湾に大きな台風が近づいていたけれど、飛行機はそこを横切って飛んだ。
現代の飛行技術では、夜の空も台風も問題ないのだな。
夜間飛行
夜間飛行
夜間飛行
問題ないとわかっていても夜の海は暗くて広くて怖い。
怖いのになぜか心はシンとなって落ち着いている。
落ち着いているのになぜか涙が出そうになる。
こういう種類の感動があってよかったと思う。


茶想

試飲の記録です。

・キーワード検索

・カレンダー

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< July 2017 >>

・表示されている記事

・お茶と年代のカテゴリー

・記録

お茶の歴史
お茶の歴史 (JUGEMレビュー »)
ヴィクター・H・メア,アーリン・ホー

・サイトリンク

・プロフィール

 

mobile

qrcode

powered

みんなのブログポータル JUGEM