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漫撒生態青餅2014年 その4.

製造 : 2014年04月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨小茶樹および古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒山工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 手すき紙+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶

お茶の感想:
ん?
薫らない?
味がしない?
透明な甘い白湯が喉を滑り落ちるだけ・・・と思ったら、後から効いてくる。春の生命の沸くチカラが湯にキラキラするのがわかる。水中の光のように一瞬で現れて一瞬で消える。あんな味こんな香りと言葉にできないが、お茶をお茶と認識するに足るなにかがあるのを感じる。
うーん。
やっぱりすごいぞ。
そしてやっぱり難しいぞこのお茶。
『漫撒生態青餅2014年』(卸売部に出品中)
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
熟成半年目で別の姿を現しつつある。
直前に飲んでいた「革登山」や「倚邦山」は薫る小葉種のお茶。烏龍茶の品種に似てアピールが強い。この種のお茶は、あんな味やこんな香りがあるかないか。またその余白としての透明感や清らかさに注目する。茶気のような見えないチカラさえも味や香りを強調する存在として現れるからわかりやすい。
直後に「漫撒山」を飲むと、あんな味もこんな香りも無いから、どう味わってよいのかわからない。あっさりとガードをかいくぐって深いところへ潜り込まれる。体の芯で捉えるしかない。
最近このお茶の焦げ味が気になっていたが、それは他の味が姿を消したから、焦げ味だけが残って目立っていたのかもしれない。洗茶の一煎めを熱い湯でしっかり流せば、その問題は解消する。
深煎りが効いてきたと思う。
同じ茶葉でつくった『漫撒生態紅餅2014年』はこの半年の熟成でますます色気を発散するようになり、あんな味やこんな香りを言葉にしやすい。この紅茶づくりの工程は火入れらしい火入れはなく、深煎りとは対照的。
漫撒山の生茶の「姿を消す」味は、これまでにも『丁家老寨青餅2012年』などで「揺れる味」として紹介してきたが、それは原生品種の特性だと推測していた。しかし、この『漫撒生態青餅2014年』は樹齢30年から100年くらいの若い茶樹が多い。清代以降の新しい品種が多いことになる。
おそらく早春の新芽・若葉の純度が高いのが関係しているのだ。
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
いずれにしても深炒りがこの特徴をより強調するのかどうか調べる必要がある。
漫撒山の一帯で深煎りするようになったのは近年のこと。長期保存のゆくえは未体験のゾーンへ入ってゆくかもしれない。

ひとりごと:
茶湯には薫らなくても杯には薫る。
不思議な感じだ。
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
熟成の味は発見の味。
これまでの味や香りが別モノになったり、隠れていたのが出てきたり、また消えたりする。
手元のお茶にそうした変化を見つけるのは、お茶と自分と一対一の関係をつくる。他人の手元にある同じお茶が同じように熟成するとは限らないからだ。
熟成はお茶づくりの延長戦。一枚飲み切るまで何年でも楽しみはつづく。可能性もつづく。

曼松古樹黄片小餅2014年 その1.

製造 : 2014年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山曼松古樹
茶廠 : 象明の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶

お茶の感想:
「曼松」は西双版納でも最も高値をつけるお茶どころのひとつ。
旧六大茶山の倚邦山の一部で、明代末期から清代にかけて宮廷に収める貢茶をつくった歴史がある。
貢茶は皇帝が飲んだお茶とされるのはつくり話で、実際には王朝政府が外地へ転売して税収を得ていたお茶。政府公認の貢茶ブランドで信用を上げて高値をつけて稼いだのだろう。
しかし、その中のごく一部には北京で礼品に使用された上質の頂点があったにちがいない。そういうお茶を曼松から収穫していたのは、品種管理の徹底した栽培が行われていたからだと思う。(独自の推測であるが、まあそんなところだと思う。)
倚邦山の小葉種について参考ページ
+【倚邦 古茶樹 写真】
下の写真は曼松の古茶樹の新芽・若葉のお茶。
価格は現地の収茶商人の卸で1キロ9000元。(本日レートで157,936円)
曼松古樹散茶2014年プーアル茶
曼松古樹散茶2014年プーアル茶
曼松古樹散茶2014年プーアル茶
曼松古樹散茶2014年プーアル茶
茶葉の特徴から見ても、曼松の古茶樹は品種の揃っていることがうかがえる。
曼松のお茶どころは清代以降にいったん消滅している。
お茶づくりが廃れた時代を経て、さらに近年になって山の上の古い村から山の下の新しい村へ移住させる政策により、曼松のかつてのお茶どころの付近に村はない。道のりにして20キロの細い山道をバイクと徒歩で通って采茶(茶摘み)して近くの村へ持ち込んで製茶する。
さらに、近年の需要の拡大により曼松の一帯には畝作りで栽培される茶畑が増えているが、古茶樹モノはごくわずか。なので高い。
高いが、上に説明したとおり倚邦山の古茶樹との差は品種の純度が高いくらいで、それ以外に特別なものがあるのかないのか、いまひとつはっきりしない。したがって、市場価格が倚邦山の5倍以上することについては、個人によって解釈が大きく異ると思う。
過去に何度か曼松の上のほうのクラスを試飲したことがあり、少量であれば入手できる機会もあったが、パスしてきたのはこのような理由だった。
今回紹介するのは2014年早春の曼松の古茶樹の「黄片」。黄片とはやや成長した茶葉のことで、色が悪かったり硬くて製茶後の見た目が美しくなかったりで、ハネられた茶葉。だから割に安く入手できた。これを200gサイズの餅茶にしてある。
(卸売部に10月下旬に出品予定)
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶
倚邦山の古茶樹の黄片を過去に紹介していた。
+【倚邦古樹青餅2014年・明後 その2.】
この品種においては他の茶山の黄片とはちょっと異なる。ひとことで言うと薫る。味はやや濁ったり渋かったりするものの、他の茶山の黄片と比べると新芽・若葉との差はわずか。価値ある黄片だと思う。お客様の理解さえあればハネなくてもよいのだが、それなのにハネられるということは、お茶のことは知らないからとりあえず最高級のを試したいバブル需要で、見た目キレイに仕上げた「貢茶」が期待されるのだろう。
黄片は見た目が悪い。
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶と倚邦山の古茶樹の黄片2014年プーアル茶
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶と倚邦山の古茶樹の黄片2014年プーアル茶
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶と倚邦山の古茶樹の黄片2014年プーアル茶
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶と倚邦山の古茶樹の黄片2014年プーアル茶
左: 曼松古樹黄片小餅茶2014年
右: 倚邦山古樹黄片2014年
部屋中が茶の香りで充満する。
新芽・若葉よりも香りが強いような気がする。
圧餅加工の影響で茶湯の色には差があるが、この2つの味はよく似ている。
一般的な黄片のようなぼんやり甘い風味ではなく、くっきり鮮明な味と香り。
『曼松古樹黄片小餅茶2014年』は渋味・苦味がやや強いが、香りも強く、早春の茶摘みによる特徴が現れている。
すばらしいお茶だと思う。

ひとりごと:
曼松古樹黄片小餅茶2014年プーアル茶
曼松古樹黄片小餅茶2014年
黄片は茶葉の崩れた粉も多い。
いつも茶こしを使わないが、茶海の底に雑雑した粉が沈んでから、上澄みを杯に注げばよいと思う。
黄片はもともと自分飲み用のお茶。
ひとりで皇帝になった気分を味わうがよい。

龍成革登古樹青餅2014年 その1.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県革登山古茶樹
茶廠 : 孟海県の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
龍成革登古樹青餅2014年プーアル茶
龍成革登古樹青餅2014年プーアル茶

お茶の感想:
このお茶『龍成革登古樹青餅2014年』は、
同じ「革登山」の一般的な春の古茶樹の製品と比べたらまず勝るだろうし、適切なサンプルと飲み比べしなければ悪いところはまず見つからないし、また革登のお茶の香りは爽やかさにおいて周辺の「莽枝山」・「蛮磚山」・「倚邦山」・「曼撒山」・「易武山」・「攸楽山」よりもアピールが強いので、あるいはこれより高値のお茶と比べても遜色ないと感じるだろう。
価格もこなれていて、旧六大茶山の中ではリーズナブルな美味しいお茶。無農薬・無肥料の栽培に偽りはないし、古茶樹であることも、革登山に明代から清代にかけて移植された品種であることも偽りはない。
だったらそれでよいか・・・。
いや、ちがう。
なにか気持ち悪い。
西双版納の現地にいるから違和感を感じるのであって、もしも上海にいてお茶を試飲して選ぶなら、迷わずこのお茶を仕入れているだろう。商売のことだけを考えたらみんながそれでハッピーになれる。
しかし、自然環境と食の問題。未来の人間の生き方の問題。これらのことを考えると、このお茶は売るべきではない気がするのだ。
ここまで書きながらじわじわ分かってきたのだけれど、このお茶は森林を伐採して採光をよくした農地で育った茶葉。味にも香りにも葉底(煎じた後の茶葉)にもその特性が現れている。
熱帯雨林を育む谷があり、その蒸気で山の高いところは年中水気が多く深い緑が育まれている。そこで生まれたお茶だからこそ西双版納のお茶。
もうこれ以上森林を伐採してはいけない。リーズナブルなお茶を求めて生産者に産量を増やす工夫をさせてはいけない。美味しいから、古茶樹だから、オーガニックだから、旬だからと、短絡的なものの見方ではいけない。
森林に育ったこのお茶。
+【倚邦古樹青餅2014年】
これと比べてみたら違いは圧倒的。どちらが美味しいのかは誰にでも分かる。
龍成革登古樹青餅2014年プーアル茶と倚邦古樹青餅2014年プーアル茶
龍成革登古樹青餅2014年プーアル茶と倚邦古樹青餅2014年プーアル茶
龍成革登古樹青餅2014年プーアル茶と倚邦古樹青餅2014年プーアル茶
龍成革登古樹青餅2014年プーアル茶と倚邦古樹青餅2014年プーアル茶
左: 龍成革登古樹青餅2014年
右: 倚邦古樹青餅2014年
お茶づくりの業者は、いや、お茶を売る人も飲む人もみんな、自然環境の健康がもたらす天与の味や、丁寧な仕事のもたらす心のある味を、安く見積もりすぎている。
昔のお茶はそれが普通で、「そんなもの」だったから評価は低かったと思うが、しかし、今は違う。
崖っぷちに立って、責任を取るべきときが来ているのだ。お茶を正当に評価できる理性のある経済を求めるのだ。
革登山には写真のような森林のお茶がまだある。
+【革登山 古茶樹 写真】
機会があれば森林の茶葉でお茶をつくって圧倒的な差を見せつけたい。
そのようなわけで、本部・卸売部ともに出品数がなかなか増えなくて、売上は下がってきてイライラするが、そこを我慢するのが理性ある経済なのだろう。

ひとりごと:
昨晩、プーアール市で震度6.6の地震がありニュースになっていますが、西双版納からは距離があり、揺れは少しも感じませんでした。ご心配いただきありがとうございます。

弯弓春の散茶2014年 その7.

製造 : 2014年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
秋の旬をまじかにサンプルの試飲が増えてきて、新茶の強い成分に当って眠れない夜につらつら考えるに、老班章(近年もっとも高騰した有名茶山)のお茶は店の経営のために手がけておくべきだったと思う。
トップクラスの上質な茶葉だけはますます価値を上げて、現金はますます価値を下げてゆく。現状では銀行に預けている現金はどんどん価値を下げている。
老班章の標準的なレベルの市場価格は来年から下げてゆくと思うが、一部のトップクラスだけは価値を上げるだろう。脇見を一切せずにそのごく一部だけを狙う。
知る人だけに価値のあるもので、多くの人にはわからないが、知る人だけで成り立つ小さな市場では、これからますます需要が供給を上回ると思う。
自然環境の悪化や、乱獲の問題、社会環境の変化、いろいろ原因はあるが、もう一つの原因に、知る人の求めるレベルが上がってくるというのもある。
弯弓のお茶もそのひとつ。
『弯弓春の散茶2014年』
(後に『弯弓古樹青餅2014年』として出品)
弯弓春の散茶2014年プーアル茶
弯弓春の散茶2014年プーアル茶
弯弓春の散茶2014年プーアル茶
弯弓春の散茶2014年プーアル茶
茶葉には磁力がある。
この茶葉が手元にあるかぎり、あちこちから「この弯弓はどうか?」と他のサンプルが挑戦してくる。そして結果的に弯弓をよく知ることができる。
また、当店が来春に弯弓を手がけるとしたら、これを基準に同等以上のを探すだろう。自らハードルを高くしている。
この仕事を老班章でもやっておくべきだった。
お茶だけでなくいろんな仕事に、上には上を求める異常な過熱の起こることがあると思う。良いのか悪いのかは知らないが、新しい次元のモノを生み出したり、逆に反発が起こって原点回帰したりして、とにかく一歩前へすすむための礎になるだろう。そういう仕事をしたいのだ。堂々巡りから抜けだすためにも、自分が売った喧嘩を自分で買うのだ。

ひとりごと:
日本のお客様でこのお茶を入手された方は、他の弯弓と比べる機会はなく、ただ美味しいお茶として飲まれるだろう。
そのほうが冷静で良いと思う。
「買ってしまったら、高いのも安いのもいっしょですよ。」
お客様からそう言われたことがあるが、まさにそのとおりと思う。

丁家老寨青餅2012年 その14.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶

お茶の感想:
今日はこのお茶。
+【丁家老寨青餅2012年】
大きめの蓋碗+熱湯で淹れたのに、なかなか目覚めない。4煎めにやっと香りと味が出た。熟成3年目の過渡期は眠りから覚めるのに時間の掛かることがある。
ふと思いついて以下の組み合わせを試した。
蓋碗とプーアル茶
白磁の蓋碗大(薄め)+熱湯
白磁の蓋碗大(厚め)+ぬるい湯(80度くらい)
蓋碗の容量は同じくらい。
ちょっと焦げ味が気になったので、はじめの2煎はサッと洗茶で流して、3煎めから飲むことにした。洗茶の湯でしっかり茶器を温めることができる。
2つのタイプの蓋碗で試したら、保温力のある厚めの蓋碗のほうがぬるい湯にもかかわらず良い具合に抽出できた。湯がぬるいと蒸らし時間がやたら長く感じるが、この時間がなにか作用するみたいだ。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
茶湯の色に違いが現れる。
熱の通り方の違いが葉底(煎じた後の茶葉)にも現れている。
薄めの蓋碗でしっかり熱を通す技術もあるだろう。工夫されたし。
蓋碗とプーアル茶
蓋碗は、赤子泣いても蓋取るな。

ひとりごと:
日本にいるときのお昼に蕎麦を食べることが多くなった。
近所に小さな蕎麦屋があって、石臼で毎日挽いていて、天ぷらみたいな油臭いのはメニューになくて、若い店主はもの静かな人で、乙な感じなのだ。
昼の客が帰る頃に行く。
「ざるそばの大盛りと篠峯(しのみね)の熱燗。」
いつも決まった注文。
お酒には手づくりの漬物などがちょこっと2種ほど付く。
これで幸せ。1300円だったかな。
蕎麦
ひとりで食べるときはとくに、フレンチだの割烹だの手軽なお昼のコース料理よりもずっと楽しめる。
年齢のせいで食が良い具合に枯れつつあると思う。
若い頃は昼に蕎麦を食べることは少なかった。肉も魚も野菜も豆も芋もという具合にいろいろな栄養が揃っていて、全体のボリュームもあるランチが「お得」で、蕎麦だけで空腹を満たすなんて健康的でも経済的でもないし、また蕎麦なんて手間のかからない料理はじっくり味わう甲斐もないと考えていたように思う。
実際には単純な料理ほど難しくて、素材の良し悪しもはっきり現れるけれど、そこに気付いたのは最近のこと。
その前に、食に対して実益や経済を追求しなくなって、はじめて蕎麦を味わう準備ができたのだと思う。楽しむ心の余裕ができたとも言える。
ネットの口コミサイトで他人に美味しい店を紹介する情報は、自分の若い頃みたいに「お得」に注目しやすい。最近の言葉で言うとコストパフォーマンスか。そのほうが他人にも良い情報になりやすいし、お得に取り憑かれた人の多いのも事実なのだろう。
しかしお得情報で蕎麦の味わいは紹介できない。
ついでに言うと、今日の『丁家老寨青餅2012年』も他人に紹介しにくいお茶のひとつだろう。
日本酒と蕎麦
(写真はその店とは違って日本酒の店だが、ここの蕎麦もまあまあいける。)

弯弓古樹青餅2014年・複樹 その6.

製造 : 2014年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶小
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
広州の茶荘の弯弓2014年の晒青毛茶。
これを当店の『弯弓古樹青餅2014年・複樹』と比べてみる。
広州の茶荘の弯弓2014年の晒青毛茶
当店は2010年ー2011年と易武山地区のお茶づくりをしたが、2012年から漫撒山地区へシフトしている。漫撒山は現在は易武山の一帯に含まれるが、昔(清代の1800年代まで)は、易武山と漫撒山と2つの地域に分けられていた。
易武山と漫撒山の境界は「易武山麻黒村大漆樹」と「漫撒山瑶族丁家寨」の谷底にある。
易武山と漫撒山の境界
(易武山から漫撒山を望む。)
易武山と漫撒山の境界
(この谷底が易武山と漫撒山の境界線)
漫撒山のお茶もまた、柔らかくて甘い易武山と同じ系統に分類されているが、実際にはちょっと違う。どこがどうとはうまく言えないが、ちょっと違うのだ。
今日飲み比べる「弯弓」は漫撒山を代表する茶山のひとつであるから、漫撒山の個性が強く現れるべきと思う。ところが、結果から言えば広州の茶荘のはその特色が弱かった。むしろ易武山の麻黒村大漆樹のほうの味に近いと感じた。
易武山の特色を持ったお茶が漫撒山にあるのはなぜか?
そもそも、谷底を境にお茶の味の傾向が異なるのはなぜか?
この機会に考えてみようと思う。
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
左: 広州の茶荘の弯弓晒青毛茶2014年
右: 弯弓古樹青餅2014年・複樹
現在の地名に「漫撒山」は残っていない。
漫撒山のお茶づくりが過去にいったん廃れたからだが、廃れた理由は、歴代政府がお茶の権利を主張すること、つまり関税をかけることが地理的に困難なためだったと思う。ラオスやベトナムがすぐ背後にあり、山を川を伝って明王朝や清王朝や清王朝を半植民地化したイギリス政府の息のかからない地域へとお茶が流通した。お茶の権利を巡る小さな紛争は何度も起こっていた。流通したお茶の量は相当なもので、この輸送ルートの豪族が栄えたり、海のルートを担当したフランス東インド会社に大きな富をもたらした可能性がある。
つまり、お茶どころとしてはいったん廃れたことになっているが、お茶づくりは脈々と続いていたのだ。1950年頃に中華人民共和国がお茶を専売公社制にしてから低迷した様子があるが、それでも終わってはいなかった。
+【丁家老寨青餅2012年プーアル茶】
このページの丁家老寨の老人の話にもあるように、どこ国の記録にも残らない取引が続いていた。
このことが、漫撒山全体の農地化を遅らせたはずだ。
+【弯弓2013年秋天 写真】
弯弓の写真のように、森の中に茶樹が紛れている状態では、専門家でもなければお茶が生産されていると認識できない。
「農地化」とは、この地域では雑木を伐採して茶樹に採光を確保するくらいのことからはじまるが、実はそれだけでも品種改良は進む。日光に長時間晒されることを好む性質のものが強者となり、日光を嫌う性質のものが弱者となり、世代交代のたびに品種の個性が形成されてゆく。
人が意識しようがしまいが品種改良はすすむのだ。
易武山は歴史的に農地化されていた期間が長く、採光を確保する次は、1970年代には台刈りによって樹高を低くする栽培が普及する。一般的にはこれが問題だったと言われているが、そうでもない可能性がある。日光を好む性質が品種特性となってからの台刈りは、さらにその方向へと個性を強調させる。
一方で漫撒山のお茶どころは森の中に紛れたままで、さらに瑶族の栽培技術が残って枝を切らないとなると、漫撒山と易武山はますます個性を分けることになる。
1980年代から漫撒山での農地開発が徐々に進み、雑木を切るにとどまらず、外地から買ってきた苗を植えて育てる試みも始まる。漫撒山の一部で、易武山化が進むのだ。

ひとりごと:
メコン川を渡った開発区へ行ってきた。
西双版納告庄
西双版納告庄
西双版納告庄
独自の個性を失うほうへ向かっているのはお茶だけではない。

易武山落水洞の散茶2013春 その4.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山落水洞古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
今日も飲み比べ。
広州の茶荘の「落水洞」2014年の晒青毛茶。
易武山落水洞の散茶飲み比べ
プーアール茶の原料となる晒青毛茶(天日干しで仕上げた緑茶)のサンプルを集めてその中から一つを選ぶときは、サンプル数が多ければ多いほど個人的な好みは反映されなくなる。
茶葉の素質とか、製茶の良さとか、価格との兼ね合いとか、客観的に評価できる部分を重視しやすいからだろう。
また、その年の市況も影響する。例えば、今年2014年の春のように市場価格が高騰したら、高級感の表現できる「茶気」・「香気」・「透明感」をより重視したお茶が選ばれる。今年の気候が全体的に暑かったら、キレのよい渋味・苦味や爽やかな後味を重視したお茶が選ばれる。自覚していようがいまいが多くの中から一つを選ぶと、嗜好は個人よりも多数に偏る。
実際に、数人で飲み比べをしたときは、どれかひとつに人気が集中しやすい。味覚の才能など必要なくて、ふつうに味に敏感な人なら、どれが一番優れているのかはっきり分かる。人間の鼻や口には微妙な差を聞き分ける能力が備わっている。だから、比較に値するレベルのサンプルをどれだけたくさん集められるかが茶商の仕事。
有名茶山の中でも特に高値のつく有名寨子(村)のお茶は、茶商の裏方の仕事がしっかり出来ていれば、その価値は十分にある。なぜならサンプルの母数が大きいから。多くの中から選ばれし茶葉の質を知る授業料と考えたら、高価なりに価値がある。
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
ところが、この数年で有名寨子の全体のレベルが下がってきた。例えば易武山では「麻黒」・「落水洞」のサンプルが回って来なくなった。経験のある茶商は別のところのを探すようになり、経験の浅い茶商が有名寨子を集めるようになり、鑑定眼が甘くなったと思う。古茶樹のお茶の質を下げるのは乱獲だが、農家にそれを許してしまう構造がここにある。
当店は2013年に落水洞のお茶を農家から直接仕入れた。
+【易武山落水洞の散茶2013年】
茶樹を選んで采茶された新しい試みもの。このような特別なお茶は別として、標準的な古茶樹のお茶づくりは難しくなってきている。
この状況の中でも広州の茶荘は2014年の春の「落水洞」を100キロ以上も集めて餅茶製品をつくる。2008年から毎年つくってきて農家との信頼関係もあり、お客様の期待に応えるつもりなのだろう。多少茶葉の質が下がっても、事情を知っているお客様は仕事に納得できるだろうから、商売として成り立つのかもしれない。
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
左: 広州の茶荘の落水洞の散茶2014年
右: 易武山落水洞の散茶2013年
1年の差があり、熟成変化によって右の『易武山落水洞の散茶2013年』はやや赤味が増しているとしても、易武山の上質な茶葉に共通して見られる青黒い色がはっきりしている。左の『広州の茶荘の落水洞の散茶2014年』は、栽培に量産の特徴が現れた黄色っぽい色が混じる。
左は農地の周辺の雑木が伐採されて採光が良く、茶樹は人の背の高さほどに台刈りされ、分岐の多い枝の新芽・若葉で、小ぶりに育ち、茎が短い。右は周囲に森があり半日陰になる農地で、まだ台刈りされていない茶樹で、分岐の少ない枝の新芽・若葉で、やや細長く育ち茎が長い。
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
左: 広州の茶荘の落水洞の散茶2014年
右: 易武山落水洞の散茶2013年
易武山のお茶は2年か3年熟成すると蜜香が現れる。落水洞のはそれが濃厚で、蜂蜜というよりはメープルシロップかもしれない。この2つはまだ熟成が浅いので・・・・と思っていたが3煎めに『易武山落水洞の散茶2013年』に現れた。4煎、5煎とだんだんはっきりしてくる。さすがに『広州の茶荘の落水洞の散茶2014年』には見つからない。今年出来たところだから仕方ないとして、味の系統は同じ。落水洞に間違いないと思う。耐泡(煎が続く)も良く、やや渋味が強いものの、伸び伸びとした印象が素質の良さを感じさせる。
良い仕事だ。
後味にフッと喉の奥から鼻に抜けてゆくメントール感をともなうお香のような煙味が『易武山落水洞の散茶2013年』ならではの野性味。易武山の老茶にある「沈香」に通じる。

ひとりごと:
ふと思いつくところがあって、
易武山の老茶を飲んでみた。
2004年のお茶。
+【易昌號大漆樹圓茶04年】
易昌號大漆樹圓茶04年プーアル茶
易昌號大漆樹圓茶04年プーアル茶
易昌號大漆樹圓茶04年プーアル茶
易昌號大漆樹圓茶04年プーアル茶
もうひとつ。
1970年代中期〜末期のお茶。
久々の本格老茶。
+【7582大葉青餅70年代】
7582大葉青餅70年代プーアル茶
7582大葉青餅70年代プーアル茶
7582大葉青餅70年代プーアル茶
7582大葉青餅70年代プーアル茶
やっぱりそうだ。
茶摘みの技術が変わっている・・・。

漫撒生態青餅2014年 その3.

製造 : 2014年04月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨小茶樹および古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒山工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 手すき紙+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年・明後
右: 漫撒生態青餅2014年

お茶の感想:
当店のお茶は買った人が自分で淹れて飲んでいる。
セルフサービスなのだ。
お客様の手元にある茶器、水、そして技術が結果を分ける。
たとえ1万円のお茶を買ったとしても、千円の値打ちもなくなることもあれば、2万円以上、いや、お金には替えがたい喜びを得られることもあるだろう。
金額に対して平等にメリットを提供する商品やサービスが多い中、不公平なお茶の態度はちょっとカッコ良くてシビれるものがある。
カフェの席で500円のコーヒーに当然の権利があるかのようにふんぞり返るおっさんの居場所は、お茶にはないのだ。
セルフサービスで、人によって価値が大きく変わるところにこそ、むしろお茶の本質が現れるような気がする。
さて、昨日の飲み比べで失敗したお茶がある。
『漫撒生態青餅2014年』(卸売部に出品中)
なにも考えずに他のサンプルといっしょに淹れたら、ただ焦げ臭くて苦いお茶になった。
同席していた広東人は、
「なぜこのお茶を選んだのか?」
と聞く。仕入れを失敗したのではないのか?という意味だ。
そうだった。
このお茶はいくつものサンプルからひとつを選んだのではなかった。比べもしないで現場で直感で選んだのだった。
ひとことで言うと炒りすぎ。それははじめからわかっていた。農家の製茶が下手で炒りすぎている。でも、ちょっと考えてみたら、それがダメと判定するのは気が早過ぎるかもしれない。
2012年、
【丁家老寨青餅2012年プーアル茶】
2013年、
【漫撒古樹青餅2013年・黄印・青印】
と、丁家老寨のお茶を探ってきて、これらとは別の方向の美味しさがあるかもしれないと考えたのだった。
お茶づくりは可能性の追求。
現在よりも柔軟な発想ができた昔の職人なら、きっと同じことを試したに違いない。
このお茶は炒りすぎているために独自の味わいがあり、そこに標準を合わせるお茶淹れ技術があるかもしれない。また、保存熟成の変化には別の方向の魅力が見つかるかもしれない。
このお茶は、かなりぬるめの湯で淹れると清らかな風味が現れる。昨日の失敗は他のお茶と同様に沸きたての熱湯で淹れたのだった。
それをもう一度再現してみた。
茶湯の色の変化に注目。
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と漫撒生態青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年・明後
右: 漫撒生態青餅2014年
標準的な殺青(鉄鍋炒り)の『倚邦古樹青餅2014年・明後』は、湯の熱に敏感に反応して、煎がすすんだり時間が経つほどに湯に赤味が加わる。一方で、炒りすぎの『漫撒生態青餅2014年』は、湯の熱や時間の影響が少ない。
刻々と風味が変化し、じわじわ甘味が強く出てくる『倚邦古樹青餅2014年・明後』が魅力的に思える。
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
『漫撒生態青餅2014年』にこの変化の魅力を与えるには、積極的に注ぐ湯の温度や蒸らし時間に変化をつけるしかない。例えば、はじめの3煎めまではぬるい湯で、4煎めからは突然熱湯で抽出する。ターゲットが4煎めではちょっと遅いと思うなら、洗茶を軽く2煎めまですすめて、3煎めから飲むことにしてもよい。

ひとりごと:
お客様の感想は、美味しく飲めた方からいただくことが多くて、「美味しくない」という感想をわざわざ書いて送ってくる方は少ないが、実際にはそう感じた方も少なくないと思う。しかし、同じお茶を美味しく飲めている人がいるのは事実。「なぜ自分と他人の味が違うのだろう?」と疑うところからなにかがはじまる。
また別のケースでは、初回の感想とは違う印象になったからと、2回めの感想を送ってくださる方もある。何度か淹れて飲むうちに、なにか新しい発見や技術の進歩があるのだろう。
お茶を淹れることもまた可能性の追求。
つくり手が完璧な出来と思っているお茶は、なぜかお客様にウケない。こういうことがしばしばある。おそらく完璧なお茶は、お茶を淹れる挑戦を奪ってしまうのだ。

倚邦古樹春の散茶2014年 その3.

製造 : 2014年03月18日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
今年2014年の春に、北京の愛好家が集めたプーアール茶の原料となる晒青毛茶(天日干しで仕上げた緑茶)が何種かあって、この中に良いのがあれば180gサイズの餅茶にして卸売部に出品したいと思うが、ちょっと難しそう。ニセモノを掴まされている可能性がある。
今日は「倚邦」のお茶のサンプルを確かめる。
当店には倚邦のこのお茶がある。
【倚邦古樹青餅2014年】
これの原料となった晒青毛茶『倚邦古樹春の散茶2014年』を少し残してあるから、飲み比べできる。
有名茶山のお茶を選ぶときは「らしさ」が大事と思う。
春の旬らしさ。
古茶樹らしさ。
倚邦らしさ。
倚邦らしさはとくに重要。独特のその香気。その茶気。明の時代1600年代に移植されたと推測される小葉種の多い茶山ゆえに、そのちょっと珍しい品種の特性がはっきり現れたお茶が上等。周辺の山々にもある「春の旬」の「古茶樹」ではダメなのだ。
鑑定可能な有名茶山のお茶はそれなりに高いけれど、気持ち良い。
いつどこで騙されるかわからない緊張に終止符を打てる。お客様は買ったお茶がニセモノではないか?と疑いながら毎回飲むことにはならない。自分でその味を確かめた後は、疑う余地もなく安心して飲める。
だから「らしさ」は重要。
たとえホンモノであっても「らしくない」のはダメ。
さて、本命の飲み比べの前にまず「小茶樹」と「古茶樹」を比較する。
小茶樹と古茶樹のプーアル茶
小茶樹と古茶樹のプーアル茶
小茶樹と古茶樹のプーアル茶
左: 小茶樹
右: 古茶樹
この2つは北京の愛好家が入手してきたものだが、なぜこの2つがあるかと言うと、現地の業者から「うちはホンモノ、この2つのサンプルを試してくれ」と言われたのだろう。写真ではわかりにくいが、樹齢の若い小茶樹は葉底が黄色く明るい。暗く青いのが古茶樹。味の違いはもっとはっきりしている。
こうして比べると古茶樹のお茶はやはり美味しい。
ここで信用してしまったのだろう。
もう結果は見えているけれど、本命と飲み比べる。
倚邦のニセモノとホンモノ
倚邦のニセモノとホンモノ
倚邦のニセモノとホンモノ
倚邦のニセモノとホンモノ
倚邦のニセモノとホンモノ
左: ニセモノ
右: 倚邦古樹春の散茶2014年
倚邦のニセモノ
ニセモノの葉底は大きく、倚邦の小葉種の特徴が見当たらない。易武山や象明山の広い範囲に分布する中葉種。樹齢は200年くらいのが多い。
倚邦のホンモノ
ホンモノの葉底には倚邦の小葉種が多く混ざる。混生状態なので100%ではないが、パッと見てわかることが重要なのだ。
もちろんお茶の味も違う。とくに香りが違う。
どちらが美味しいか?という比べ方では、ちょっとの差で『倚邦古樹春の散茶2014年』に軍配が上がる。ニセモノもそう悪くはない。ちゃんと春の旬の古茶樹の味がする。
ただ、価格は「倚邦」の半分以下になる。

ひとりごと:
今日はいろいろ試飲ラッシュだった。
易武山古樹プーアル茶と漫撒生態青餅2014年
昔帰古樹2013年プーアル茶と冰島のニセモノ
宮廷プーアル熟散茶03年と05年
宮廷プーアル熟散茶03年と05年
宮廷プーアル熟散茶03年と05年
宮廷プーアル熟散茶03年と05年
宮廷プーアル熟散茶03年と05年
最後のお茶は、
左:宮廷プーアル熟散茶03年
右:宮廷プーアル熟散茶05年
(どちらも卸売部に出品中)
2003年のほうが優れている。在庫調整の都合で、あと数キロほど売れてから再度値上げしたい。
ちなみに、『宮廷プーアル熟散茶03年』には「陳年らしさ」がある。

易武古茶2014年 その1.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山の古茶樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 広州紙包+竹皮筒
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶

お茶の感想:
プーアール茶の魅力は素朴さ。
自然そのものの美しさ、チカラ、深い味わい。
過去のわずかな銘柄を除けば、プーアール茶は300年前の感覚のままにつくられた生活のお茶だった。
農家や製茶業者の衛生感覚も300年前のまま。家の周りを走り回っている鶏の羽毛、虫たち、竹箒の欠片、人の髪の毛、そんなものはお構いなし。気づかずに飲んでも体を壊したりしないし、まして死ぬことなんてありえない。
お米をつくるか、お茶をつくるか。
現地ではそのくらいあたりまえの農作物。
遠くへ運ばれて香港の港を出たら高級茶になっていたとしても、知ったことではなかった。
他の地域では、人々が考えて考えて体を動かして栽培から製茶にいたるまで技術を磨き上げた高級茶が育っていたが、この素朴なお茶の魅力には勝てないところがある。
今、プーアール茶は素朴ではなくなろうとしている。つくる人も変われば、飲む人も変わる。素朴なお茶は社会的なポジションを失っている。需要と供給の経済の理屈だけでは維持できない。
素朴さはつくろうと思ってつくれるものではない。
作為が無いから素朴なのであって、例えば当店が素朴をうたってつくれば、それはニセモノ。
いや、ホンモノの素朴なお茶をつくる手はまだある。しかし素朴な高級茶・・・大きな矛盾をかかえる。
一方で、価格を下げるために旬のハズレや大量生産の茶畑のお茶を原料にするなど新しい工夫をしながら、「昔ながら」を謳う業者も増えている。作為の醜さについての自覚がないのだ。
時代の変化に従い、自然体で良いお茶づくりをするなら、ひとつの道として大衆的高級茶へとプーアール茶を育てる手があるだろう。貴族的高級茶ではさすがに現在では売れないので、大衆的高級茶。
自然栽培による優れた素質を活かしつつ、収穫を綿密に計画する(収穫の技術はここでは栽培の技術でもある)。手づくりの良さを守りつつ製茶技術を精密に調整する。農家から製茶を外して、製茶職人を育てる。
さて、長い前置きになったが、今日のお茶はそんな新しい試みが成果となって現れたお茶。
広東の小さな茶荘のオリジナル。
『易武古茶2014年』
餅茶1枚357gの生茶。
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶
この春に易武山でこのお茶をつくっている老板に出会った。
時間がなくてあまり話を聞けなかったが、2008年から現地に通って少量の高級茶づくりを試みている人だった。春のお茶を秋になってやっと出品。広東の友人が早速一枚入手したので、試飲することになった。
つくられた量は70キロ。1枚357gだから196枚。
この量は当店からしたら多いが、このクオリティーだったら当店では10キロが精一杯。70キロつくるのはプロの仕事。
価格は『弯弓古樹青餅2014年』にせまる予想を超えた高値だが、弯弓と異なるのは、少量ながらも毎年安定して生産できる体制が整っていること。
弯弓の原生品種ほど特別ではないが、台刈りで背丈を短くされずに、自然に枝を伸ばした古茶樹の特徴がはっきりと現れている。茶樹の在処は秘密。しかし、製茶の精度の高さからみて、麻黒や落水洞などの集落からそう遠く離れていない山の中だと思う。鮮葉の鮮度がしっかり保たれているクリアーな味。
品種もまた麻黒のと似ている。弯弓のような大きな葉や太い茎は見つからない。
易武古茶2014年プーアル茶

ひとりごと:
良いお茶は茶葉が語る。


茶想

試飲の記録です。

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